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オンライン日本語アクセント辞書 (OJAD) を活用した教材作成および授業実践例 2013 年 12 月 26 日ニコラウス コペルニクス大学日本言語文化研究室瀬口利一 1. 本稿の目的本稿は 本年 11 月 30 日のポーランド日本語教師会による勉強会の発表資料に加筆したものである 通常授業の枠内

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オンライン日本語アクセント辞書(OJAD)を活用した教材作成および授業実践例 2013 年 12 月 26 日 ニコラウス・コペルニクス大学 日本言語文化研究室 瀬口利一 1.本稿の目的 本稿は、本年11 月 30 日のポーランド日本語教師会による勉強会の発表資料に加筆 したものである。通常授業の枠内でまとまった指導時間がなかなかとれない発音、イ ントネーションの指導を効果的に行うために、峯松信明(東京大学大学院教授)チー ムが開発した「Online Japanese Accent Dictionary」(以下、OJAD 、サイトア ドレス:http://www.gavo.t.u-tokyo.ac.jp/ojad )の有効活用法について考える。 2.OJAD 活用の動機 直接のきっかけは、本年10 月 5 日、ポズナニのアダム・ミツキェヴィチ大学で開 催された勉強会において、峯松教授の講義を拝聴する機会に恵まれたことである。筆 者は現在、ニコラウス・コペルニクス大学において、学士 1 年生(初級レベル)、2 年生(中級前期)、3 年生(中級後半、上級前半)の文法、聴読解、作文等の授業を 担当しているが、これまで発音、イントネーション指導は時間的制約から断片的に行 うのみであった。しかし、「日本語のイントネーション、アクセントは漢字以上に難 しい」と苦手意識を打ち明ける学生が少なからずおり、実はイントネーションやアク セントの指導こそ、ネイティブスピーカーが本領を発揮するべき分野であり、学生の 出来、不出来に対しても最大の責任を負うべきではないかとの認識に至った。このた め、自身の授業に音声指導を積極的に組み込む足がかりとするべく、OJAD を教材作 成や学生の自習教材として活用し、その効果をうかがうこととしたい。 3.目標 OJAD 活用にあたり、次の2点に重点を置いた。 ①聴解、読解、文法の授業においても、イントネーションやアクセントの上がり目、 下がり目等を日頃から強く意識させること ②アクセント核のマークやピッチカーブを書かせる小練習を取り入れ、目、耳、手、 口を使って慣れさせること 4. OJAD の活用例 本年 10 月からの前期通常授業(文法、聴読解クラス等)において、1,2年生を 対象に次のような形で使用を始めた。また、後期授業のスピーチ指導でも使用を予定 している。 ▽1 年(初級ゼロレベル~前半、2 クラス 35 名) ・教材作成に使用。

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▽教室用語の導入時に、韻律音読チュータ・スズキクンで作成した教材例(イ): 初級導入段階では毎回90 分授業のうち 30 分程度を発音、アクセント、イントネ ーション指導にあてた。市販教科書「1 日 10 分の発音練習」(くろしお出版)、「コミ ュニケーションのための日本語発音レッスン」(スリーエーネットワーク)を併用。 実施例: ①ミニマルペアなどの短い音声を聞かせたり、短文のディクテーションをさせたり する際、アクセント核のマークやピッチカーブをテキストに付けさせる ②記入後、ペアで添削し合う。正しいマーク位置、ピッチカーブを確認し、正解を 見ながら全員で復唱。個別に発音させ、誤りを矯正。 ▽無作為に選んだ学生(複数)の答案例(ロ):

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▽2 年(初級終了~中級前半、2 クラス 33 名) メインの教科書「中級日本語」本文の音読練習に併用。アクセント核、ピッチカー ブ付きのテキストをパワーポイントで表示しながら読ませる。 東京外国語大学のインターネット教材http://jplang.tufs.ac.jp/int2/yo/6/1.html を併用。(教材例ホは、6 課「銀貨や銅貨はなぜ丸いか」の本文から) ①OJAD の韻律音読チュータ・スズキクンを用いて、本文にアクセント核、ピッチカ ーブを付けたテキストを印刷 ②そのテキストと上記アドレスの音声教材を無料ソフト「ビデオキャプチャ Bandicam」で録画、録音合成 ③ ②で作成した動画を再生し、学生に見せ、聞かせながら、音読、シャドーイング をやらせる ▽スズキクンの印字画面と音声ファイルを合成した教材例(ホ): 5.OJAD の利点、気づいたことなど 実際に使用を始めて気づいた点を、以下に列挙する。 ・初級者は、最初の2、3回は高低アクセントの違いの聞き分け、使い分けともに難 儀する学生がほとんどだったが、回を重ねるごとに改善傾向が見られた。 ・中級者は、初級レベルの学習時にアクセントやイントネーションを意識した指導を ほとんど受けておらず、音読の際、不自然なアクセントの乱れが目立つ。意味のまと まりをつかみながら、フレージングやポージング指導を行いたいが、まずは初級者同 様、アクセント符号、ピッチカーブに慣れさせる必要がある。 ・スズキクンに入力して誤表示された部分を見落とさずにマニュアルで修正する必要 があり、教材作成には一定の手間がかかる。 ・教師自身の発音、発話を見直す良い機会になった。

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例えば、「暑かった」の高低アクセントは、HLLLL、LHLLL のどちらも使われて おり、OJAD でも両用併記されているが、ディクテーションを行う場合、教師側に「ア クセントの揺れ」が生じて学生を混乱させないよう、意識して発声をコントロールす る必要がある。さらには、教材例(ホ)の「~ことである」にLHLLL や LLHLL が あり得るように、普通の早さで読んだ場合、ゆっくり読んだ場合でピッチカーブは変 わることがあり、これもコントロールを要する。 ・上記に関連して、許容される「揺れ」と許容できない「間違い」を明確に区別して 教える必要性を感じた。 ・OJAD は教科書別に動詞、形容詞、名詞などを検索して並べ替え、音声を聞けるの で、特に、単語検索、動詞の後続語検索は、自習に使うよう学生に奨励していきたい。 ただし、スズキクンは、100%正しく表示されるわけではないので、今のところ学 生の自習向けには勧めていない。 6.まとめ 発音、アクセント、イントネーションなど音声面における学習者の苦手意識を克服 するには、初級ゼロレベルの段階から、アクセント核の符号やピッチカーブに慣れ親 しませ、日本語のリズム、アクセント、イントネーションを継続的に意識させていく ことが極めて重要だと思われる。そのために、通常授業において、短時間でもこれら の小練習を継続的に取り入れていきたい。OJAD を教材作成の道具として用いながら、 授業内容の改善に努めていきたい。その効果を具体的に検証していければと思う。 またスピーチ練習の際、スズキクンを用いて、学生が書いた原稿にアクセント核の 位置やピッチカーブを付けて表示できるので、使用して効果を確かめたい。フレージ ング、ポージングをどう教えていくかは今後の課題である。 現段階では、音声と視覚効果を結びつける教材作成にとどまっているが、例えば、 漢字学習でも、「工場、向上、恒常、厚情」など同音異義の言葉を覚えさせるのに、 OJAD を使えば視覚的な効果が期待できるかもしれない。今後、学生にも OJAD を 実際に使わせてみた上で、様々な活用法を探ってみたい。 以上

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