2 昨年12月に立正佼成会教団の人事異動により、中央学術研究所の11代目の所長に就 任いたしました。本部組織の改変に伴い、組織的には研究所の中の二部署として、学 術研究室と佼成図書文書館(旧佼成図書館と旧佼成文書館の統合)が設けられました。 弊研究所の歴史の中で、講師の諸先生方をはじめ、関係各位のおかげさまでこのよう に迎えさせていただいていることに深く感謝申し上げます。弊研究所は、昭和44年に 仏教研究や自教団の教義研究に限らず、世界の平和に貢献するために、総合的、学際 的な研究を目指し、立正佼成会教団内に設立されました。弊研究所は、当初より当代 一流の学者の方々を講師の諸先生としてお迎えし、あらゆる場面では、ご示唆ならび に研究指導を頂きつつ、幅広い分野で努力してまいりました。 立正佼成会は、平成11年(1999年)に庭野日敬開祖の入寂の式典を執り行い、今年 で創立74年を迎えました。昨年、平成23年3月11日に東日本大震災で多くの犠牲を払 い、その痛みは今もなお、様々なかたちで私たちの生活の中に残っています。また、 容易に解決のできない困難な課題も山積しています。時代が進み環境が変化する中で、 もう一度、私たち自身が内外の現状を深く見つめ、宗教をもととする団体として、ど のような考え方、思想、哲学を社会に提示していけるのか、どのような智慧を供給で きるのかを考え直す機会にめぐり合えていると受け止めております。 そのような状況の中、中央学術研究所として学術研究室と佼成図書文書館が組織さ れましたことは、お互いの持っている資源を有効的にかつ有機的に活用できることで ありましょう。現在、佼成図書文書館に設置された開祖さま全集編纂委員会が、開祖 全集の編纂に取り組んでおります。また、学術研究室に移管されました開祖研究は、 開祖のさまざまな記録データをもとに、より学術的で正確な研究が進むものと思われ ます。旧佼成文書館が携わっていたアーカイブスの推進が佼成図書文書館で継続され、 自教団の基礎的な資料収集・データ化がさらに進められます。このような基礎的な資 料の整理と思想研究は、自教団の基礎的で重要なものとなると確信しております。
中央学術研究所 新所長あいさつ
川 本 貢 市
中央学術研究所 新所長あいさつ 3 また学術研究室では、『原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究』、『中央学術研究所紀 要』、『真理と創造』、『CANDANA』の発刊および、WEB 上での掲載を進めています。 また、一般読者を対象とした文庫本『アーユスの森』を随時発刊しています。『アーユ スの森』では、社会における様々な課題をその分野の第一人者の方々にご執筆いただ いており、宗教、平和、医療、介護等の問題に取り組み、社会に強く考え方を提示し ていきます。また、年1回発刊している『Philologica Asiaticaの原典研究』を20年ほど、 Pali Text Society と共同で、研究を行ってきております。
このような中で、弊研究所は設立趣旨に基づきその使命を果たす努力をしており、 宗教研究所として、特定の宗教に偏った研究ではなく、幅広く様々な宗教を視野に入 れております。また、研究内容も多岐に渡り、仏教学や法華経に関することはもちろ んのこと、人文、社会、自然科学に及ぶものもあります。基礎的な研究からさらに、 昨今内外から求められる現代の諸課題にも取り組み、今後もこれらのテーマを見据え た研究活動を継続して、求められた諸課題の処方箋となるよう努力できたらと思って おります。 さて、改めて弊研究所の置かれている立場を振り返って見ますと、現状は教団内外 からさまざまな提言を求められていると思われます。人間の生活に密着した問題に対 しての仏教からの教団としての見解を求められています。現代社会においては、諸問 題に対する人々の関心は高まってきています。現状に対する苦悩に加え、従来からの 考え方に対する疑念や不安が生じています。私たちは、そうしたことを踏まえ、仏教 ならびに法華経を基礎において、調和のとれたものの見方のできる体制作りが必要と なります。このような意味で、弊研究所は所員、及び客員研究員の養成、助成をして いく所存でございます。 今まで培われてきたことを大切にしながら、宗教教団の付置研究所として、ふさわ しいあり方を今後も模索していきます。一つひとつの研究や活動に誠意を持って、取 り組み、会員はじめ世界中の多くの方々に対して、お役に立てる存在でありたいと願 っています。 講師の諸先生方、関係各位の方々のご教導・ご協力をお願いを申し上げ、就任のあ いさつとさせていただきます。