「破壊力学(第 3 版)」
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序 文
破壊力学は,第二次大戦以前には実質的に存在せず,原理が確立されたのはそれ 以降のことである.工学系の講義のあるほとんどの大学には,少なくとも大学院レ ベルには破壊力学コースができ,多くの学部学生もこの科目を受講するようになっ てきた.産業界では破壊力学の応用は一般的になり,かつては少数の専門家に限ら れていた知識も普及してきた. 破壊力学の著書は多いが,そのほとんどは特定分野の読者を対象にしている.こ の科目では材料試験に重点がおかれるが,詳細な数学的誘導も重視される.破壊の 微視的側面に焦点を当てた著書は少なく,連続体力学モデルだけを扱っているもの がほとんどである.また,多くの著書は,金属や高分子のような特定の材料系に対 象を限定して扱っている.本書は,先進的な専門書であると同時に入門書でもある. 専門書は,この分野の研究者にとっては有益であるが,予備知識をもたない学生に は向かない.一方,入門書的な扱いでは,単純化のあまり誤解を招きやすい. 本書は,比較的広い読者を対象に破壊力学を総合的に扱っており,理論的背景と 応用の両方を詳述してある.本書は大学院生用の教科書,さらには技術者や研究者 の参考書にもなる.本書の一部は学部コースの破壊力学にも適当である. 本書は第3版である.初版および第2版は,それぞれ1991年および1995年に出 版された.前著は好評であったが,何人かの同僚から尊重すべきいくつかの建設的 な批判も受けた.本改訂版にはそれらの意見を考慮してあり,初版および第2版を ご存じの読者ならびに初めて本書を手にする読者の期待に添うものであることを希 望する. 本改訂版では,各節を見直し充実させた.陳腐化したり改訂版の文脈に沿わなく なったため,第2版の内容を削除したところもある.第2章は線形弾性破壊を扱っ ているが,き裂干渉に関する新しい節を入れた.また,従来の俗説の誤りを明らか にするため,いわゆる平面歪破壊に関する新しい節を第2章に加えた.第7章およ び第8章は破壊靱性試験法の最近の進歩を取り入れて更新した.構造物への応用に 関する第9章は,完全に再構成し書き直した.第10章では,疲労き裂閉口,疲労下 限界,変動振幅効果を扱っているが,内容を充実させ書き直した.おそらく,第3 版の最も大きな変更点は,環境割れに関する新しい章(第11章)である.計算破 壊力学に関する章は,これまで第11章であったが,第3版では第12章になっていii 序 文 る.第13章には多数の演習問題を追加し,第2版にあったいくつかの問題は修正 あるいは削除した. 基本的な構成および思想は第3版でも変わっていない.本書は見かけだけではな く,読みごたえのある内容になることを目指した.最初に基本概念を定性的に記述 し,高度な数学を最小限に抑えた.このため,数学的学力に差がある学部の学生も 物理的意味が理解できる.進んだ読者に対しては,各章末のAppendixで詳細な数 学的背景を示した. 破壊力学の基本原理と応用において,本書では材料科学と固体力学を他の破壊力 学の著書よりも広範に一体化することを試みた.破壊力学では,連続体力学が非常 に強力な道具であることが証明されてきたが,微視組織的側面も無視できない.連 続体力学理論によれば,き裂先端部の応力や歪が推定できるが,破壊の限界条件を 左右するのは材料の微視的組織である. 第1章では破壊力学の課題を紹介し,概要を述べた.この章には次元解析を入れ たが,これは後章で威力を発揮する.第2章および第3章では,線形弾性破壊力学 および弾塑性破壊力学の基礎概念を述べた.破壊力学で最も重要かつ最もよく誤解 される概念は,単一パラメータの仮定である.これは,小型実験室的試験から構造 物の挙動を推定可能にするものである.単一パラメータが一義的にき裂先端状態を 表すとき,破壊靱性−このパラメータの限界値−は試験片寸法に依存しない.一方, 単一パラメータ仮定が成立しなくなれば破壊靱性は寸法に依存し,小型破壊靱性試 験は構造物の挙動の指標ではなくなる.第2章および第3章では,単一パラメータ 仮定の基礎を詳述し,その成立条件を述べた.第3章では,単一パラメータ理論の 限界を越えて発展しつつある最近の破壊力学の研究結果を記述した.第2章およ び第3章は,初心者にも取り組みやすいように記述した.第2章および第3章の Appendix 2およびAppendix 3では,線形弾性破壊力学および弾塑性破壊力学の重 要な関係式の数学的誘導を示した.これらAppendixには大学院レベルの固体力学 の予備知識が必要である. 第4章では,動的および時間依存性破壊力学を紹介した.動的破壊に関する節に は,静止き裂の高速負荷,高速き裂の伝播・停止の簡単な議論を加えた.また,ク リープき裂成長を表すC∗,C(t),Ctなどのパラメータと粘弾性材料の破壊を表す 類似の物理量を紹介した. 第5章では金属と合金の破壊の微視的機構を,第6章では高分子,セラミックス, 複合材料,コンクリートの破壊機構を述べた.これらの章では,破壊挙動に及ぼす 微視的組織と材料特性の重要性を強調した. 第7章以降は応用編であり,金属の破壊靱性試験に関する実用的アドバイスを与
えた.第8章では,非金属材料の破壊試験について述べた.第9章では,線形弾性 および弾塑性アプローチを含む構造物への破壊力学の応用手法を述べた.第10章 では,疲労き裂伝播への破壊力学アプローチを述べ,き裂閉口および微小き裂挙動 を含むこの分野の問題点を議論した.第11章は,環境割れに関するまったく新しい 章である.第12章では,計算破壊力学の最近の発展を述べた.また,構造物にお ける応力拡大係数および領域積分法を中心とするJ 積分の決定法を述べた.第13 章は,第1章から第12章までの内容に関する現実的演習問題である. 本書を大学の教科書として用いる場合,半年ですべてを終えるのは無理である. 指導者は学生の必要度と予備知識から節を選択すべきである.Appendixを除く最 初の三つの章は,どんなコースでも基礎となる.また,材料科学が学生の主な研究 分野でなくても,材料の章(第5章および第6章)のうち,少なくとも一つの章は 必ず含めるべきである.応用を目指すコースでは,はじめの章に加えて第7章から 第10章を含めるべきである.大学院コースの固体力学では,Appendix 2,3,第4 章,Appendix 4,第12章を含めるべきである. この第3版の出版を支援して下さったすべての方々に感謝したい.多くの同僚 および友人が草稿を批評して下さり,写真や演習問題を提供してくれた.初版お よび第2版を含めて,W. L. Bradley,M. Cayard,R. Chona,M. G. Dawes,R. H. Dodds Jr.,A. G. Evans,S. J. Garwood,J. P. Gudas,E. G. Guynn,A. L. Highsmith,R. E. Jones Jr.,Y. W. Kwon,J. D. Landes,E. J. Lavernia,A. Letton, R. C. McClung,D. L. McDowell,J. G. Merle,M. T. Miglin,D. M. Parks,P. T. Purtscher,R. A. Schapery,C. F. Shihの諸氏に謝意を表する.Sun Yongqi氏は,
とくに本書のために多数のSEM写真を作成して下さった.第3版のため有益なコ
メントおよび参考文献を提供下さったR. A. Ainsworth,D. M. Boyanjian,S. C.
Daniewicz,R. H. Dodds Jr.,R. P. Gangloff,R. Latanision,J. C. Newman,A. K. Vasudevan,K. Wallin,J. G. Williamsの諸氏に感謝したい.うっかりしてこ
のリストからもれた方がおられれば謝りたい.第3版の準備段階では,現在の会社
Structural Reliability Technologyの多くの同僚から貴重な支援を受けた.Devon Brendecke,Donna Snyman,Greg Thorwaldの諸氏である.
大事なことを言い忘れた.1989年に私に本書の執筆を勧めてくれたのは,以前
CRC出版におられ,現在著名な小説家であるRuss Hall氏である.
訳者まえがき
T. L. Anderson 博士の著書“Fracture Mechanics, Fundamentals and Applica-tions, Third Edition”は,破壊力学の教科書として世界中で最も広く読まれている ものである.本書は副題にもあるとおり,破壊力学の基礎から応用までカバーする ものであり,破壊力学を基礎から学ぼうとする学生だけでなく,構造物の破壊力学 的評価を行おうとする技術者,さらに,日頃,研究や業務として破壊力学を扱ってい る研究者や技術者にとっても,手元において参照できる非常に有益な教科書である. 著者はTexas A&M大学で研究教育に携わった後,コンサルタント会社を設立し て構造物の信頼性評価に関する実務にあたるとともに,米国石油協会の維持基準 API-RP579のき裂状欠陥評価手法を中心となって開発している.このような著者 の経歴を反映して,本書は,破壊力学の基礎だけでなく,実用構造材料と構造物の 信頼性評価に関する記述が詳細で,かつ,実用的である.また,弾塑性破壊力学や 数値計算手法をはじめとする最新の情報が盛り込まれている. 原著は,監訳者の大学の研究室において院生の輪講用教材として毎年採用し,通 年でほぼ全体を学習させている.一方,日々の破壊力学研究において,本書を見直 して認識を新たにすることもたびたびある.このような経験から,本書をより多く の方々に読んでいただきたいと考えていたところであるが,今回,Anderson博士 のご好意により日本語訳を著すこととなった.翻訳にあたり,金田重裕と吉成仁志 が訳出し,粟飯原周二が監修を担当した.また,日本語訳の索引の作成には,監訳 者の研究室の大学院生である中居寛明君の協力を得た. 本書の出版にあたり,森北出版株式会社富井晃氏にご協力をいただいた.感謝す る次第である. 2011年1月5日 監訳者 粟飯原周二 訳 者 金 田 重 裕 吉 成 仁 志
目 次
Part I 導入
第1章 歴史と概要2
1.1 構造物はなぜ破壊するのか ... 2 1.2 歴史的展望 ... 6 1.2.1 初期の破壊研究 8 1.2.2 リバティ船 9 1.2.3 戦後の破壊力学研究 10 1.2.4 1960∼1980 年の破壊力学 11 1.2.5 1980年∼現代の破壊力学 13 1.3 破壊力学設計法 ... 13 1.3.1 エネルギー条件 14 1.3.2 応力拡大係数アプローチ 15 1.3.3 時間依存性き裂成長と損傷許容性 16 1.4 破壊に及ぼす材料特性の影響 ... 17 1.5 次元解析のレビュー ... 18 1.5.1 Buckinghamの Π 定理 19 1.5.2 破壊力学における次元解析 20 参考文献 ... 21Part II 基礎概念
第2章 線形弾性破壊力学26
2.1 原子レベルの破壊 ... 26 2.2 欠陥の応力集中効果 ... 28 2.3 Griffithのエネルギー平衡 ... 30 2.3.1 限界応力条件との比較 32 2.3.2 修正 Griffith 式 33 2.4 エネルギー解放率 ... 35vi 目 次 2.5 不安定とR曲線 ... 38 2.5.1 R曲線が種々の形状をもつ理由 40 2.5.2 荷重制御と変位制御 41 2.5.3 有限のコンプライアンスをもつ構造物 42 2.6 き裂の応力解析 ... 43 2.6.1 応力拡大係数 44 2.6.2 Kと巨視的挙動の関係 46 2.6.3 有限寸法の影響 49 2.6.4 重ね合わせの原理 53 2.6.5 重み関数 55 2.7 KとGの関係 ... 57 2.8 き裂先端塑性 ... 59 2.8.1 Irwinの方法 60 2.8.2 帯状降伏モデル 63 2.8.3 塑性域補正式の比較 65 2.8.4 塑性域形状 66 2.9 K支配破壊 ... 68 2.10 平面歪破壊:事実と誤解 ... 72 2.10.1 き裂先端の応力 3 軸度 73 2.10.2 見かけの破壊靱性に及ぼす板厚効果 74 2.10.3 塑性域の影響 77 2.10.4 構造物におけるき裂の意味 79 2.11 混合モード破壊 ... 80 2.11.1 斜めき裂の伝播 81 2.11.2 等価モード I き裂 84 2.11.3 2軸荷重 84 2.12 複数き裂の干渉 ... 85 2.12.1 同一平面上き裂 85 2.12.2 平行き裂 87 Appendix 2 線形弾性破壊力学の数学的基礎 ... 88 A2.1 平面弾性学 88 A2.1.1 直角座標 88 A2.1.2 極座標 90 A2.2 き裂の不安定成長解析 91 A2.3 き裂先端応力解析 92 A2.3.1 一般面内荷重 92 A2.3.2 Westergaardの応力関数 95
A2.4 第 2 種楕円積分 100 参考文献 ... 101 第3章 弾塑性破壊力学
105
3.1 き裂先端開口変位 ... 105 3.2 J経路積分 ... 109 3.2.1 非線形エネルギー解放率 110 3.2.2 経路独立線積分としての J 112 3.2.3 応力特異性パラメータとしての J 113 3.2.4 大歪領域 115 3.2.5 Jの実験室的測定 116 3.3 JとCTODの関係 ... 122 3.4 き裂成長抵抗曲線 ... 125 3.4.1 安定および不安定き裂成長 126 3.4.2 成長き裂の J の計算 128 3.5 J支配破壊 ... 130 3.5.1 停留き裂 130 3.5.2 J支配き裂成長 133 3.6 大規模降伏下のき裂先端拘束 ... 135 3.6.1 弾性 T 応力 139 3.6.2 J – Q理論 142 3.6.3 劈開破壊のスケーリングモデル 147 3.6.4 2パラメータ破壊力学の限界 153 Appendix 3 弾塑性破壊力学の数学的基礎 ... 156 A3.1 帯状降伏モデルによる CTOD 算定 156 A3.2 J経路積分 158 A3.3 非線形弾性エネルギー解放率としての J 160 A3.4 HRR特異性 161 A3.5 小規模降伏における安定き裂成長解析 164 A3.5.1 Rice – Drugan – Sham解析 164 A3.5.2 定常き裂成長 168 A3.6 き裂問題への全歪塑性理論の適用性について 170 参考文献 ... 173 第4章 動的破壊および時間依存性破壊177
4.1 動的破壊とき裂停止 ... 177 4.1.1 停留き裂に対する高速負荷 178viii 目 次 4.1.2 高速き裂伝播と停止 183 4.1.3 動的経路積分 193 4.2 クリープき裂成長 ... 194 4.2.1 C∗積分 196 4.2.2 短時間挙動と長時間挙動 198 4.3 粘弾性破壊力学 ... 202 4.3.1 線形粘弾性 202 4.3.2 粘弾性 J 積分 205 4.3.3 線形挙動から非線形挙動への遷移 208 Appendix 4 動的破壊解析 ... 211 A4.1 動弾性き裂先端場 211 A4.2 一般エネルギー解放率の導出 214 参考文献 ... 218
Part III 材料の挙動
第5章 金属の破壊機構224
5.1 延性破壊 ... 224 5.1.1 ボイド発生 225 5.1.2 ボイド成長と合体 227 5.1.3 延性き裂成長 235 5.2 劈開破壊 ... 237 5.2.1 フラクトグラフィー 238 5.2.2 劈開破壊発生の機構 239 5.2.3 劈開破壊靱性の数学モデル 243 5.3 延性–脆性遷移 ... 250 5.4 粒界破壊 ... 252 Appendix 5 劈開破壊の統計モデル ... 253 A5.1 最弱リンク破壊 254 A5.2 伝播の条件付き確率 256 参考文献 ... 258 第6章 非金属材料の破壊機構262
6.1 エンジニアリングプラスチックス ... 263 6.1.1 高分子の構造と性質 263 6.1.2 高分子の降伏と破壊 2706.1.3 繊維強化プラスチックス 276 6.2 セラミックスとセラミックス複合材料 ... 288 6.2.1 微視き裂靱化 291 6.2.2 変態靱化 293 6.2.3 延性相靱化 294 6.2.4 繊維靱化およびウィスカー靱化 295 6.3 コンクリートと岩石 ... 297 参考文献 ... 300
Part IV 応用
第7章 金属の破壊靱性試験306
7.1 一般的考察 ... 307 7.1.1 試験片形状 307 7.1.2 試験片方向 310 7.1.3 疲労予き裂 311 7.1.4 測定器具 312 7.1.5 サイドグルーブ 315 7.2 KIc試験 ... 315 7.2.1 ASTM E399 316 7.2.2 E399と類似規格の欠点 320 7.3 K – R曲線試験 ... 324 7.3.1 試験片設計 325 7.3.2 K – R曲線の実験的測定 326 7.4 金属のJ試験 ... 328 7.4.1 基礎試験法と JIc測定 328 7.4.2 J – R曲線試験 331 7.4.3 不安定破壊の限界 J 値 334 7.5 CTOD試験 ... 334 7.6 動的靱性およびき裂停止靱性 ... 338 7.6.1 高速荷重破壊試験 338 7.6.2 KIa測定 339 7.7 溶接部の破壊試験 ... 343 7.7.1 試験片の設計と製作 344 7.7.2 切欠の位置と方向 344 7.7.3 疲労予き裂 346x 目 次 7.7.4 試験後の解析 347 7.8 延性–脆性遷移領域における鋼の試験と解析 ... 348 7.9 定性的靱性試験 ... 350 7.9.1 シャルピーおよびアイゾット衝撃試験 351 7.9.2 落重試験 352 7.9.3 落重テアおよび動的テア試験 353 Appendix 7 実験室試験片の応力拡大係数,コンプライアンス,極限荷重解 354 参考文献 ... 360 第8章 非金属の破壊試験
365
8.1 エンジニアリングプラスチックスの破壊靱性測定 ... 365 8.1.1 高分子に対する K と J の適合性 366 8.1.2 予き裂と他の実際的諸問題 372 8.1.3 KIc試験 374 8.1.4 J試験 378 8.1.5 時間依存性破壊パラメータの実験的推定 381 8.1.6 プラスチックスの定性的破壊試験 383 8.2 複合材料の層間靱性 ... 385 8.3 セラミックス ... 389 8.3.1 シェブロン切欠試験片 389 8.3.2 ブリッジインデンテイション法による予き裂付き曲げ試験片 392 参考文献 ... 394 第9章 構造物への応用397
9.1 線形弾性破壊力学 ... 398 9.1.1 表面き裂の KI 399 9.1.2 多項式応力分布の影響係数 400 9.1.3 任意負荷に対する重み関数 403 9.1.4 1次応力,2 次応力,残留応力 406 9.1.5 LEFMに関する注意 407 9.2 CTOD設計曲線 ... 407 9.3 弾塑性J積分解析 ... 410 9.3.1 EPRI J推定法 410 9.3.2 参照応力評価法 416 9.3.3 延性不安定解析 418 9.3.4 現実的な考察 4219.4 破壊評価線図 ... 423 9.4.1 当初の概念 423 9.4.2 Jベースの FAD 426 9.4.3 FAD曲線の近似 428 9.4.4 参照応力の推定 430 9.4.5 溶接構造物への応用 435 9.4.6 FAD法における 1 次応力と 2 次応力 440 9.4.7 FADによる延性テア解析 442 9.4.8 規格化された FAD 評価法 443 9.5 確率論的破壊力学 ... 445 Appendix 9 代表的な形状の応力拡大係数と全面塑性J解 ... 447 参考文献 ... 462 第10章 疲労き裂伝播
466
10.1 疲労における破壊力学の相似性 ... 466 10.2 経験的疲労き裂成長式 ... 469 10.3 き裂閉口と疲労下限値 ... 472 10.3.1 き裂の楔力作用機構の詳細観察 475 10.3.2 き裂閉口に及ぼす負荷変数の影響 478 10.4 疲労下限界 ... 479 10.4.1 下限界に対するき裂閉口モデル 480 10.4.2 2クライテリオンモデル 483 10.4.3 不活性環境での下限界挙動 485 10.5 変動振幅荷重と遅延 ... 488 10.5.1 変動振幅疲労に対する線形損傷モデル 489 10.5.2 き裂先端の逆塑性 491 10.5.3 過大負荷および過小負荷の影響 495 10.5.4 遅延モデルと変動振幅疲労 497 10.6 微小き裂の成長 ... 501 10.6.1 微視組織的微小き裂 503 10.6.2 力学的微小き裂 503 10.7 疲労の微視的機構 ... 504 10.7.1 領域 II の疲労 504 10.7.2 下限界近傍の微視的機構 507 10.7.3 高 ΔK 値での疲労 507 10.8 疲労き裂成長試験 ... 508xii 目 次 10.8.1 き裂成長速度と下限界測定 508 10.8.2 き裂閉口の測定 511 10.8.3 ΔKeffの実験的定義 513 10.9 損傷許容手法 ... 515 Appendix 10 繰り返し荷重へのJ経路積分の応用 ... 517 A10.1 ΔJの定義 517 A10.2 ΔJの経路独立性 519 A10.3 小規模降伏限界 520 参考文献 ... 520 第11章 金属の環境助長割れ
525
11.1 腐食の原理 ... 525 11.1.1 電気化学反応 525 11.1.2 腐食電流と分極 528 11.1.3 電極電位と不動態 529 11.1.4 陰極防食 530 11.1.5 腐食の種類 530 11.2 環境割れの概要 ... 531 11.2.1 割れ機構の用語と分類 531 11.2.2 割れ,ピット,隙間の閉塞化学 532 11.2.3 き裂成長速度と作用応力拡大係数の関係 533 11.2.4 EACの下限界 535 11.2.5 微小き裂効果 536 11.2.6 静的負荷,繰り返し負荷,変動負荷 537 11.2.7 割れの形態 537 11.2.8 寿命推定 538 11.3 応力腐食割れ ... 539 11.3.1 被膜破壊モデル 541 11.3.2 ステージ II のき裂成長速度 542 11.3.3 SCCに影響する金属学的因子 542 11.3.4 腐食生成物の楔作用効果 543 11.4 水素脆化 ... 544 11.4.1 割れの機構 544 11.4.2 割れの挙動に影響する因子 546 11.5 腐食疲労 ... 552 11.5.1 時間依存性およびサイクル依存性挙動 552 11.5.2 代表的データ 55511.5.3 機 構 558 11.5.4 疲労に及ぼす腐食生成物の楔作用効果 560 11.6 試験法 ... 560 11.6.1 平滑試験片による試験 561 11.6.2 破壊力学試験法 562 参考文献 ... 567 第12章 計算破壊力学
570
12.1 数値解法の概要 ... 570 12.1.1 有限要素法 571 12.1.2 境界積分方程式法 573 12.2 計算破壊力学の従来法 ... 575 12.2.1 応力と変位のマッチング 576 12.2.2 要素き裂進展 577 12.2.3 経路積分 577 12.2.4 仮想き裂進展:剛性微分式 578 12.2.5 仮想き裂進展:連続体アプローチ 579 12.3 エネルギー領域積分 ... 581 12.3.1 理論的背景 581 12.3.2 3次元への一般化 584 12.3.3 有限要素法の実行 586 12.4 メッシュデザイン ... 588 12.5 線形弾性問題の収束 ... 594 12.6 成長き裂の解析 ... 601 Appendix 12 特異要素の性質 ... 603 A12.1 四角形要素 604 A12.2 三角形要素 605 参考文献 ... 606 第13章 演習問題609
13.1 第1章 ... 609 13.2 第2章 ... 610 13.3 第3章 ... 613 13.4 第4章 ... 614 13.5 第5章 ... 615 13.6 第6章 ... 616xiv 目 次 13.7 第7章 ... 617 13.8 第8章 ... 620 13.9 第9章 ... 621 13.10 第10章 ... 623 13.11 第11章 ... 625 13.12 第12章 ... 626 索 引 628
第
2
章
線形弾性破壊力学
1960年以前に開発された破壊力学概念は,フックの法則に従う材料にしか適用で きなかった.小規模降伏に対する補正は1948年までに提案されたが,これらの解 析は,巨視的に線形弾性挙動を示す構造物に限られた. 1960年以降の破壊力学理論は,動的効果や各種非線形材料挙動(たとえば,塑性 や粘塑性)を考慮するために開発されてきた.しかし,これら最近の結果はすべて 線形弾性破壊力学(LEFM)の拡張である.したがって,破壊力学の高度な概念を理 解するには,LEFMの基礎を理解することが不可欠である. 本章では,線形破壊力学に対するエネルギーおよび応力拡大係数アプローチにつ いて述べる.InglisおよびGriffithの研究を概観し,次にエネルギー解放率と応力 拡大係数について述べる.章末のAppendixでは,LEFMのいくつかの重要な結果 の数学的導出を示す. 後章でも線形破壊力学に触れる.第7,8章は線形弾性材料の実験室的破壊靱性 試験,第9章はLEFMの構造物への応用,第10,11章はLEFMの疲労き裂伝播 および環境割れへの応用である.第12章では,応力拡大係数とエネルギー解放率 の数値計算法について述べる.2.1
原子レベルの破壊
原子レベルで原子結合を壊すような応力や仕事が作用すれば,材料は破壊する. 結合強度は原子間引力によって供給される. 図2.1に,ポテンシャルエネルギー–原子間距離,力–原子間距離のプロットを 示す.ポテンシャルエネルギーの最低値で,一定の平衡距離を生じる.平衡位置か ら分離距離が増すと,引張力が生じる.原子結合を完全に切断するには,この力が 結合力(cohesive force)を上回る必要がある.結合エネルギーは次のようになる. Eb= ∞ x0 P dx (2.1) ここに,x0は平衡位置,P は作用力である.図2.1 原子間距離の関数としてのポテンシャルエネルギーと力.平衡距離 x0ではポテン シャルエネルギーが最小になり引力と斥力が釣り合う. 原子レベルでの結合強度は,原子間力–変位関係を正弦波の半周期で近似すれば 推定できる. P = Pcsin πx λ (2.2a) ここに,λを図2.1に示す.簡単のため原点をx0とする.微小変位では力–変位 関係が線形である. P = Pc πx λ (2.2b) そして,結合剛性(すなわちバネ剛性)は,次のようになる. k = Pc π λ (2.3) 両辺に単位面積当たりの結合数とゲージ長さx0をかけ,kをヤング率E,Pcを 結合応力σcに置換する.σcについて解けば, σc= Eλ πx0 (2.4) となる.または,λは近似的に原子間距離に等しいとすれば, σc≈ E π (2.5)
28 第 2 章 線形弾性破壊力学 となる. 表面エネルギーは次のように推定できる. γs= 1 2 λ 0 σcsin πx λ dx = σc λ π (2.6) 単位面積当たりの表面エネルギー(γs)は,破壊エネルギーの半分に等しい.なぜ なら,破壊時には二つの表面ができるからである.式(2.4)を式(2.6)に代入し,σc について解くと,次のようになる. σc= Eγs x0 (2.7)
2.2
欠陥の応力集中効果
前節の結果によれば,材料の理論結合強度は約E/πとなるが,脆性材料の破壊強 度の実験値はこれより3∼ 4オーダ小さい.第1章で述べたように,レオナルド・ ダ・ヴィンチ,グリフィス,その他の人々による実験は,脆性材料の実強度と理論 強度の隔たりは,材料中の欠陥によるものであることを示した.破壊は,原子レベ ルの応力が材料の結合強度を超えなければ起こりえない.したがって,欠陥は局所 的に応力を増大し,巨視的強度を下げる効果があると考えられる. 欠陥の応力集中効果を最初に定量的に求めたのはInglis[1]である.彼は平板中の 楕円孔を解析し,応力が楕円孔(長さ2a,幅2b)の長軸に垂直に作用するとした(図 2.2).孔は板の境界によって影響されない,すなわち,板幅 2a,板の高さ 2b とした.長軸先端(点A)の応力は次のようになる. σA = σ 1 +2a b (2.8) σA/σは応力集中係数ktの定義である.a = bのときは円孔となり,よく知られ ているようにkt= 3である. 長軸aがbに対して大きくなれば,楕円孔は鋭いき裂に近づく.このときInglis は,次式のように式(2.8)を曲率半径ρで表すと便利であることを発見した. σA = σ 1 + 2 a ρ (2.9) ここに, ρ =b 2 a (2.10) となり,a bのとき,式(2.9)は図2.2 平板中の楕円孔 σA= 2σ a ρ (2.11) となる.Inglisは,先端だけが楕円であれば,式(2.11)は切欠の応力集中の良好な 近似になることを示した.式(2.11)は,無限に鋭いき裂先端(ρ = 0)では応力が無 限大になることを示唆する.どんな材料でも無限大の応力には耐えられないから, 最初にこれが発表されたときは注目された.鋭いき裂を含む材料は,理論的には無 限小荷重で破壊することになる.Griffith[2]に,局所応力ではなくエネルギーに基 づいた破壊理論を展開させる動機になったものは,この鋭いき裂のパラドックスで ある(2.3節参照). 連続体の無限に鋭いき裂は現実材料に関するものではなく,原子からなる材料の 数学的抽象観念である.たとえば,金属は塑性変形し,鋭いき裂は鈍化する.塑性 変形しない場合の可能な最小き裂先端半径は,原子半径のオーダである.次式のよ うに,式(2.11)にρ = x0を代入すれば,原子レベルの鋭いき裂先端の局所応力集 中が算定できる. σA= 2σ a x0 (2.12) もし,σA = σcで破壊が起こるとすれば,式(2.12)を式(2.7)に等しいとおいて, 破壊時の遠方応力が次のように得られる. σf= Eγs 4a 1/2 (2.13) 式(2.13)は破壊応力の粗い推定値である.なぜなら,Inglisが解析で用いた連続 体仮定は原子レベルでは成り立たないからである.しかし,GehlenとKanninen[3] は,離散“原子”が非線形ばねで結合された2次元格子中のき裂の数値シミュレー
30 第 2 章 線形弾性破壊力学 ションから,次に示す類似の結果を得た. σf = α Eγs a (2.14) ここに,αは1のオーダの定数で,仮定した原子間力–変位関係(式(2.2)参照) に多少依存する.
2.3
Griffith
のエネルギー平衡
熱力学の第一法則によれば,系が非平衡から平衡に移るとエネルギーが減少する. 1920年にGriffith[2]は,この考えをき裂形成に応用した. ここでは,表面にはたらく引力が突然消滅してき裂が形成されると考える.その瞬間には, 歪とポテンシャルエネルギーは元の値を保つ.しかし,一般には,新しい状態は平衡状態にな い.最小ポテンシャルエネルギーの定理から,平衡状態にない場合は平衡に達すればポテン シャルエネルギーが減少する (もし平衡状態にあれば,エネルギーは変化しない). このような過程によって総エネルギーが減少するか,または一定になるときのみ き裂が形成される(または,既存のき裂が成長する).したがって,破壊が起こる限 界状態とは,総エネルギーに変化のない平衡状態下でき裂成長が起こる点として定 義できる. 長さ2aのき裂をもつ,一定応力σを受ける板を考えよう(図2.3).板幅 2aで 平面応力状態とする.(図2.2と図2.3はa bのとき一致する). き裂が成長するためには,材料の表面エネルギーより大きいポテンシャルエネル ギーが板から与えられなければならない.平衡状態下では,き裂面積増分dAに対 図2.3 遠方引張応力を受ける無限板の板厚貫通き裂するGriffithのエネルギー平衡は,次のように表示できる. dE dA = dΠ dA+ dWs dA = 0 (2.15a) あるいは, −dΠ dA = dWs dA (2.15b) である.ここに,Eは総エネルギー,Πは内部歪エネルギーや外力によるポテン シャルエネルギー,Wsは新しい表面の形成に要する仕事である.図2.3のき裂板 について,GriffithはInglis[1]の応力解析から次式を得た. Π = Π0−πσ 2a2B E (2.16) ここに,Π0は無き裂板のポテンシャルエネルギー,Bは板厚である.き裂は二 つの表面を生じるので,Wsは次のようになる. Ws= 4aBγs (2.17) ここに,γsは材料の表面エネルギーである.したがって, −dΠdA = πσ 2a E (2.18a) となる.そして, dWs dA = 2γs (2.18b) となり,式(2.18a)と式(2.18b)を等しいとおいて破壊応力を求めると,次式となる. σf= 2Eγs πa 1/2 (2.19) 図2.4 遠方引張応力を受ける固体中の埋没円板き裂
第
5
章
金属の破壊機構
図5.1に,金属と合金における最も一般的な三つの破壊機構を模式的に示す.4番 目の機構である疲労は第10章で述べる. 延性材料(図5.1(a))は通常,介在物や第 2相粒子で発生する微視的ボイドの発生,成長,合体により破壊する.劈開破壊(図 5.1(b))は,特定の結晶面に沿った分離が関与する.破壊経路は粒内(transgranular) である.劈開破壊はしばしば脆性破壊とよばれるが,これは大規模塑性や延性き裂 成長後に起こることもある.粒界破壊(intergranular fracture) (図5.1(c))は,その 名が示すように結晶粒界が破壊経路になる. 図5.1 材料の破壊の三つの微視的機構5.1
延性破壊
図5.2に,延性金属の1軸引張挙動を模式的に示す.材料に引張力を加えれば, やがて歪硬化が断面積減少に追いつかなくなる不安定点に達し,最大荷重を超すと くびれができる.高純度材料の引張試験片はくびれて尖った点になり,極めて大き な塑性歪が生じ,絞りがほぼ100%になる.しかし,不純物を含む材料は非常に小 さな歪で破壊する.ミクロボイド(microvoids)は介在物や第2相粒子で発生する. ボイドが成長して巨視的欠陥となり,これが破壊をもたらす. 延性破壊[1]∼[5]で一般に観察されるステージは,次のようになる. 1. 界面分離あるいは粒子割れにより,介在物や第2相粒子に自由表面を形成する. 2. 塑性歪や静水圧応力により,粒子周りにボイドが成長する. 3. 成長ボイドと隣接ボイドが合体する.図5.2 延性材料の 1 軸引張変形 第2相粒子や介在物がマトリックスとよく結合している材料では,ボイド発生が しばしば限界ステップになり,ボイド形成直後に破壊が起こる.容易にボイド発生 が起こるときは,破壊特性はボイドの成長と合体によって決まる.ボイド成長がそ の間隔に対する限界寸法に達し,ボイド間で局所塑性不安定が進行し破壊に至る.
5.1.1
ボイド発生
粒子とマトリックス間の界面結合を破壊するのに十分な応力が作用すると,第2 相粒子や介在物周りにボイドが形成される.ボイド発生応力を推定するモデルは多 数発表されてきたが,それらは連続体理論[6],[7]や転位–粒子間干渉[8],[9]に基づい ている.後者では1µm以下の粒子直径が必要である. 最も広く用いられるボイド発生の連続体モデルは,Argonら[6]によるものであ る.彼らによれば,円柱形粒子の界面応力は平均(静水圧)応力と相当(ミーゼス) 応力の和にほぼ等しい.剥離応力は,これら二つの応力の和の限界値であり,次の ようになる. σc= σe+ σm (5.1) ここに,σeは相当応力であり,次のようになる. σe= 1 √ 2 (σ1− σ2)2+ (σ1− σ3)2+ (σ3− σ2)21/2 (5.2) σmは平均応力であり,次のようになる. σm= σ1+ σ2+ σ3 3 (5.3) σ1, σ2, σ3は主応力である.Argonらのモデルによれば,発生歪は静水圧応力が増す につれて減少する.すなわち,3軸引張応力場でボイドが発生しやすいが,これは226 第 5 章 金属の破壊機構 実験観察と一致する. フランスのBereminらの研究グループ[7]は,Argonらの破壊条件式をC – Mn鋼 の実験データに応用し,圧延方向に引き延ばされたMnS介在物でのボイド発生は, 次の半経験式からよく推定できることを示した. σc= σm+ C(σe− σY S) (5.4) ここに,σYSは降伏応力,Cはフィッティングパラメータであり,圧延方向負荷で 約1.6,直角方向負荷で約0.6である. GoodsとBrown[9]は,サブミクロン粒子のボイド発生に対する転位モデルを開 発した.彼らは,粒子近傍の転位は次の量だけ界面の応力を上昇させると推定した. Δσd= 5.4αμ ε1b r (5.5) ここに,αは0.14∼ 0.33の定数,μは剪断弾性係数,ε1は最大遠方垂直歪,bは バーガースベクトルの大きさ,rは粒子半径である. 全最大界面応力は,次に示すように最大主応力とΔσdの和となる.これら応力の 和が限界値に達すれば,ボイド発生が起こる. σc= Δσd+ σ1 (5.6) σ1を偏差成分と静水圧成分に分離すれば,別の等価な式が得られる. σc= Δσd+ S1+ σm (5.7) ここに,S1は最大偏差応力である. GoodsとBrownの転位モデルは,局所応力集中は粒子寸法の減少とともに増大 することを示す.大きな粒子では,ボイド発生が非常に困難になる.連続体モデル (式(5.1)と式(5.4)参照)は,r > 1µmの粒子に当てはまるが,これはσcが粒子寸 法に依存しないことを意味する. 通常,ボイド発生は,実験観察によれば連続体モデルとも転位モデルとも異なり, 大きな粒子で容易に起こる傾向がある[10].しかし,これらのモデルは,粒子–マト リックスの剥離による発生のみを考察していることに留意したい.ボイドは粒子が 割れて発生する場合もある.大きな粒子は塑性歪が存在すれば割れやすい.大きな 欠陥には,Griffithき裂(5.2節参照)となりうる微小欠陥をより含みやすいためで ある.さらに,酸化物や硫化物のような大きな非金属介在物は,しばしば製造時に 損傷を受ける.これら粒子は,塑性変形に先だって割れたり剥離したりしてボイド 発生を容易にすることもある.実験とよく一致するボイド発生モデルを開発するに は,今後さらに研究が必要である.
5.1.2
ボイド成長と合体
いったんボイドが形成されると,塑性歪や静水圧応力がボイドの成長と合体をも たらす.図5.3,5.4は走査型電子顕微鏡(SEM)の破面写真であり,ミクロボイド 合体の典型であるディンプル破面を示す.図5.4はボイドを発生した介在物を示す. 図5.5は,ミクロボイドの成長と合体を模式的に示す.ボイドの初期体積率が低 い(< 10%)と,各ボイドは独立に成長すると仮定できる.さらに成長すれば近隣ボ イドが干渉する.塑性歪はボイドのシートに沿って集中し,局所ネッキング不安定 が起こる.破壊経路の方向は応力状態に依存する[11]. 図5.3 低炭素鋼の延性破壊を示す走査型電子顕微鏡 (SEM) 写真 写真提供:Mr. Sun Yongqi. 図5.4 鋼の延性破壊破面の高倍率写真.ミクロボイドを発生した球形介在物に注意. 写真提供:Mr. Sun Yongqi.228 第 5 章 金属の破壊機構 図5.5 延性材料のボイド発生,成長,合体 多くの材料では,粒子の分布はバイモーダル(bimodal)またはトリモーダル (trimodal)である.たとえば,析出硬化アルミ合金は,サブミクロンの第2相析出 物の微細分布に加えて,比較的大きな金属間化合物粒子を含む.さらには,細粒化 のためのミクロンサイズ分散粒子も含む.介在物では極めて容易にボイドが形成さ れるが,微小粒子がその役割を果たす場合もある.バイモーダル粒子分布は,次に 述べるように,いわゆる剪断破面をもたらす. 図5.6に,一軸引張試験で一般に観察される“カップアンドコーン(cup and cone)”破面の形成を示す.くびれは試験片中央に3軸応力状態を生じ,大きい粒 子でのボイド発生・成長を促進する.歪が増加すればボイドが合体し,円板型欠陥 (penny-shaped flaw)ができる.試験片外周部は静水圧応力が中央部より低いので, あまりボイドを生じない.円板型欠陥は,引張軸から45◦方向に変形帯を生じる. この歪集中が,微小な多数の粒子にボイドが発生できるくらい十分な塑性歪をもた らす.微小粒子は近接しているので,これら微小ボイドが形成されるとすぐに不安 定になり,やがて試験片の全体破壊およびカップアンドコーンが生じる.破面中央 部は低倍率では繊維状であるが,外周は比較的平滑である.後者の表面は引張軸と 45◦をなし,ミクロボイド合体の証拠がほとんどないので(低倍率で),このタイプ の破面を剪断破面という.破面と作用応力が45◦をなすとモードⅠとモードⅡの混 合負荷になる. 図5.7に引張試験片の破面写真を示す.くびれ部の縁に比較して,中央部ではミ クロボイド集中が高いことに注目したい.
図5.6 一軸引張でのカップアンドコーン破面形成
図5.7 破壊したオーステナイトステンレス鋼引張試験片の (非腐食) 金属組織学的断面 (ネッキング部の黒点がミクロボイド).写真提供:P.T. Purtscher.
第
7
章
金属の破壊靱性試験
材料のき裂進展抵抗を測定するのが破壊靱性試験である.この試験では,1個の 破壊靱性値あるいは抵抗曲線を求める.K,J,CTODのような靱性パラメータを き裂進展に対してプロットする.劈開破壊する試験では通常,一つの靱性値で十分 である.なぜなら,この破壊機構は典型的に不安定なためである.この状態は図 2.10(a)の模式図,すなわち平坦なR曲線をもつ材料に相当する.劈開破壊は,実 際は図4.8に示したような下向きの抵抗曲線をもつ.しかし,ミクロボイド合体に よるき裂成長では通常,図2.10(b)に示したように上向きR曲線を示す.延性き裂 成長は,少なくとも初期は安定である.延性き裂成長が起こるとき,試験片が即時 に破断することは滅多にない.したがって,延性破壊抵抗はき裂発生値あるいは全 R曲線で表示できる.米国材料試験協会(ASTM),英国規格協会(BSI),国際標準化機構(ISO),日本
機械学会(JSME)など,世界中の各種機関が破壊靱性測定法を発表してきた.最初 のKおよびJ試験法は,ASTMにより,それぞれ1970年および1981年に開発さ れた.一方,BSIは1979年に最初のCTOD試験法を発表した. 現在,破壊靱性規格にはKIc,K – R曲線,JIc,J – R曲線,CTOD,KIaの各試 験法がある.本章では,基本的にASTM規格を取り上げる.これが世界中で最も 広く用いられているからである.しかし,他の機関の規格もASTM法と一般には 矛盾せず,通常は細部で相違があるにすぎない.既存の規格は技術の改善や経験の 蓄積により絶えず発展している. 読者は,破壊靱性試験実施の指針については,本章だけでなく関係の規格を参照 すべきである.また,K,J,CTODの基礎や,これらのパラメータの限界を理解 するために,第2章と第3章を復習することを強く勧める.
7.1
一般的考察
実際上,すべての破壊靱性試験にはいくつかの共通性がある.試験片の設計は各 規格で類似しており,材料の対称方向と試験片の方向は常に考慮すべき重要事項で ある.疲労荷重の要求事項は各規格で異なるが,試験片の予き裂はいずれの場合も 疲労荷重を加えて導入する.荷重や変位の基本的な測定器具は,実際上あらゆる破 壊力学試験で共通であるが,実験によってはき裂成長をモニターするための測定器 具も必要になる.7.1.1
試験片形状
ASTM規格では,破壊発生およびき裂成長用の試験片として5種類を定めてい る.この中の一つの規格では5種類全部を認めておらず,また特定の試験片種類 の設計は規格間で違いがある.現行規格には,コンパクト試験片,片側切欠曲げ (SEN(B))試験片,円弧型(arc-shaped)試験片,円板型試験片(disk specimen),中央引張(MT)板試験片の5種類がある.図7.1に各試験片を示す. また,コンパクトき裂停止試験片はKIa測定用であり,7.6節で述べる.シャル ピー試験や落重試験のような定性的靱性測定用試験片については,7.9節で述べる. 脆性材料に応用されるシェブロン切欠試験片については,第8章で述べる. 各試験片形状は,三つの重要な特性寸法をもつ.き裂長(a),板厚(B),幅(W ) である.多くの場合,W = 2B,a/W ≈ 0.5であるが,本章後部で述べるように例 外がある. 研究で使用される試験片形状は多数あるが,まだ規格化されていない.たとえば, 片側切欠引張板試験片,両側切欠引張板試験片,軸対称切欠棒試験片,2重片持梁 試験片などである. 膨大な破壊靱性試験が,コンパクト試験片やSEN(B)試験片で行われてきた.図 7.2は寸法(B, W, a)が同じ二つの試験片を示す.コンパクト試験片は確かに材料の 節約になるが,穴があるため,幅方向では余分に材料が必要である.板材や鍛造材 ではコンパクト試験片が経済的であるが,溶接部試験では,方向によって溶接金属 の消費を節約できることからSEN(B)試験片が望ましい(7.7節参照). コンパクト試験片は,図7.3に示すように,特殊な治具でピン荷重を加える.コ ンパクト試験片は試験片寸法に対応した治具を製作しなければならないので,普通 は限られた数だけ機械加工される.試験片寸法は幾何学的に比率を決める.標準寸
308 第 7 章 金属の破壊靱性試験
図7.1 標準破壊力学試験片
図7.3 コンパクト試験片の試験装置 図7.4 SEN(B) 試験片の 3 点曲げ試験装置 法は1/2T,1T,2T,4Tで,板厚Tはインチである1) .たとえば,標準1Tコン パクト試験片は,B = 1 in (25.4 mm),W = 2 in (50.8 mm)である.ASTMはSI 単位になったが,コンパクト試験片の表記法はそのままで変わっていない. SEN(B)試験片は,寸法に関しては非常に柔軟性がある.SEN(B)試験片の標準 荷重スパンは4Wである.治具を適当に設計すれば,スパンは任意に連続的に調整 できる.したがって,1個の治具で広範囲の板厚のSEN(B)試験片が試験できる.3 点曲げ試験の装置を図7.4に示す. 1)このような表記法の例外は,薄板試験片の場合である (7.3 節参照) .
310 第 7 章 金属の破壊靱性試験
7.1.2
試験片方向
工業材料が,均質かつ等方であることは滅多にない.微視組織,したがって機械 的性質はしばしば方向に敏感である.方向に関する感受性は,破壊靱性測定ではと くに著しい.というのは,選択した方向の微視組織には,き裂伝播が比較的容易な 弱い面を含む可能性があるからである.試験片方向は,破壊靱性測定では重要な変 数なので,あらゆるASTM破壊試験規格では靱性を測定した方向を報告すること になっている.ASTMは,このための表記法を採用している[1]. 図7.5は,圧延板または鍛造材から採取した破壊試験片に対するASTM表記法 を示す.試験片を板の対称軸に配置するときは,六つの可能な方向がある.L,T, Sという文字は,圧延方向または鍛造方向に対して縦方向,横方向,板厚(short transverse)方向を表す.破壊力学試験片の方向を表すには,二つの文字が必要であ る.最初の文字は,モードI試験のき裂面に常に垂直な主引張応力方向,2番目の文 字はき裂伝播方向を表す.たとえば,L – T 方向は,荷重が縦方向でき裂伝播が横 方向を表す.図7.6に示すように,丸棒や中空円筒でも同様の表記法が使える.こ の場合の対称方向は,円周方向,半径方向,軸方向(それぞれ,C,R,L)である. 理想的には横方向の材料の靱性を測定すべきであるが,これはしばしば実際的で はない.適切な試験方向を決定するときは,実験目的と材料形状を考慮すべきであ る.一般材料試験やスクリーニング試験では,き裂が圧延方向に伝播する低靱性方 向(T – LまたはS – L)を採用すべきである.しかし,試験目的が欠陥構造物の状態 をシミュレートすることであれば,き裂方向は構造物の欠陥方向と一致させるべき である.形状的制約のため,試験が不可能になる場合がある.たとえば,S – Lお 図7.5 圧延板および鍛造材から採取した試験片の ASTM の表記法出典:E1823-96: “Standard Terminology Relating to Fatigue Fracture Test-ing”, American Society for Testing and Materials, Philadelphia, PA, 1996 (2002再認可)
図7.6 円板および中空円筒から採取した試験片の ASTM の表記法
出典:E1823-96: “Standard Terminology Relating to Fatigue Fracture Test-ing”, American Society for Testing and Materials, Philadelphia, PA, 1996 (2002再認可) よびS – T 方向は厚板でなければ不可能である.T – SおよびL – S方向は,圧延板 から採取しうるコンパクト試験片の寸法を制限する.
7.1.3
疲労予き裂
破壊力学理論は,負荷前には無限に鋭いき裂を想定する.実験室試験片はこの理 想からはずれるが,実用的には満足しうる十分鋭いき裂を導入できる.そのような き裂を導入する最も有効な方法は繰り返し荷重によるものである. 図7.7は代表的な試験片の予き裂導入法を示す.疲労き裂は機械切欠先端から発 生し,繰り返し荷重を注意深く制御すれば所望の寸法に成長する.最近の油圧サー ボ試験機は,正弦波荷重や他の波形を発生させることができる.高い周波数の疲労 予き裂専用機もある. 図7.7 破壊力学試験片の疲労予き裂.疲労き裂は繰り返し荷重により 機械切欠先端に入れる. 疲労き裂は,測定すべき靱性値に影響しないような方法で導入しなければならな い.繰り返し荷重は,き裂先端に微小降伏域をもつ有限半径のき裂を生じる.この 先端部には,歪硬化した材料と複雑な残留応力分布(第10章参照)を含む.破壊靱索 引
■ 英数先頭 1次応力 · · · 406 1次クリープ · · · 201 2クライテリオンモデル · · · 483 2次応力 · · · 406, 440 2軸荷重 · · · 84-85 2軸比 · · · 141 2パラメータ破壊力学 · · · 153 の限界 153 2パラメータ理論 · · · 154 3軸応力状態 · · · 73 Airyの応力関数 · · · 576 ASTM E399規格 · · · 316, 320, 338 ASTM E561規格 · · · 326 BCC材料 ⇒体心立方材料 Bettiの相反定理 · · · 574 BuckinghamのΠ定理 · · · 19 C∗積分 · · · 196 Dugdale – Barenblattの帯状降 伏モデル · · · 291, 299 FAD ⇒破壊評価線図 FCC金属 ⇒面心立方金属 Goodsと Brown の転位モデル · · · 226 Griffithき裂 · · · 240 Griffithのエネルギー条件 · · · 32 Griffithのエネルギー平衡 · · · 30, 147, 185 Griffithの式 · · · 33 修正 33 Griffith板 · · · 594 Gurson – Tvergaardモデル (GTモデル) · · · 232 Gursonモデル · · · 230 HAZ ⇒熱影響部 HCP金属 ⇒六方稠密金属 HEAC ⇒水素環境助長割れ HRR特異性 · · · 114, 115, 132, 161 IHAC ⇒内部水素助長割れ Inglisの解析 · · · 32 Irwinの塑性域補正 · · · 61, 62 J – Q理論 · · · 142, 145 J支配破壊 · · · 130, 369 き裂成長 133 停留き裂 130 J積分 · · · 11 のエネルギー解放率の定義 117 の実験室的測定 116 の弾塑性解析 570 CTODと の関係 122 一般化 206 遠方場 169 応力特異性パラメータとして の 113 繰り返し荷重への応用 519 全歪理論 129, 217 全面塑性 412 弾塑性 解析 410 粘弾性 205 K減少試験 · · · 509 K支配域 · · · 130 LEFM ⇒線形弾性破壊力学 LVDT ⇒差動変圧器 Maxwellモデル · · · 269 MT形状 ⇒中央引張試験片形状 NDE ⇒非破壊検査 Paris – Erdoganの式 · · · 470, 472 Paris則 · · · 470 PE ⇒ポリエチレン PVC-U ⇒非可塑化ポリ塩化ビ ニル R6法 · · · 425 Ramberg – Osgoodの式 · · · 113, 411 Rice – Drugan – Sham解析 (RKS解析) · · · 164Ritchie – Knott – Riceモデル (RKRモデル) · · · 243 R曲線 ⇒抵抗曲線 SCC ⇒応力腐食割れ SCF ⇒応力集中係数 SENB試験片 · · · 143 Qパラメータ 143, 144 深い切欠付き の有効板厚 152 SHE ⇒標準水素電極 U形試験片 · · · 562 Westergaardの応力関数 · · · 95 Wheelerモデル · · · 498 Willenborgモデル · · · 499 WLF関係 · · · 268 ■ あ 行 圧縮破損 · · · 282 アモルファス高分子 · · · 265 粗さ誘起閉口 · · · 473 アンダーマッチ溶接部 · · · 439 板 Griffith 594 片側き裂付き 20 変位制御 36 板厚貫通き裂 · · · 30 板厚非貫通き裂 · · · 399 一般化 J 積分 · · · 206 一般化損傷積分 · · · 168 遺伝積分 · · · 203 陰極 · · · 525 陰極防食 · · · 526, 530 ウィスカー靭化 · · · 295 打ち切りワイブル分布 · · · 248 運動エネルギー の散逸 178 密度 193 変形エネルギと 179 運動エネルギーと変形エネルギー の比 · · · 179
影響係数 · · · 400 エネルギー 解放率 14, 35 の定義 193 一般化 214 擬 217 非線形 110, 111 条件 14-15 平衡 Griffithの 30 時間積分と 208 総 32 運動 178, 193 結合 26 散逸 33 塑性 329 ポテンシャル 111 エラストマー · · · 264 エンジニアリングプラスチックス · · · 263 の破壊靭性測定 365 高分子の構造と性質 263 高分子の降伏と破壊 270 繊維強化プラスチックス 276 延性き裂成長 · · · 235 延性材料 · · · 225 の 1 軸引張変形 225 延性 – 脆性遷移 · · · 182, 250, 252 における鋼の試験 348 の劈開き裂伝播 252 延性相靭化 · · · 294 延性テアリング き裂進展と 320 不安定破壊と 336 延性破損 · · · 235 に至るボイドの干渉 235 延性不安定解析 · · · 418 遠方引張応力 · · · 20 板厚貫通き裂と 30 応力特異性 63 半無限板 47 応力 3軸度 236 集中係数 (SCF) 28, 285 特異性 44 白化域 272 歪関係 88 腐食割れ (SCC) 445, 531, 539, 544 1次 406 2次 406, 440 結合 26 参照 416, 430 残留 406 剪断 53 弾性 T 139 拡大係数 10, 15, 44, 59, 336, 354, 447 範囲比 472 閉口応力と 63 特異性パラメータ 113 剥離 225 反射 波 191 閉口 63 平面 58 ワイブル 245 遅れ遅延 · · · 496 オーバーマッチ溶接部 · · · 439 帯状降伏モデル · · · 63, 107, 123, 156, 291, 299, 500 ■ か 行 確率的破壊力学 · · · 445 重ね合わせ · · · 56, 553 荷重 –擬変位曲線 370 制御構造物 36 制御と変位制御 41 –変位曲線 375, 513 緩和試験 371 仮想き裂進展解析 · · · 579 仮想き裂モデル · · · 299 片側き裂 · · · 47, 236 付き試験片 108 付き平板 20, 120 カップアンドコーン破面 · · · 230 カミソリ刃切欠 · · · 372 ガルバニック結合 · · · 526 環境助長割れ (EAC) · · · 525, 530 環境割れ · · · 252 擬エネルギー解放率 · · · 217 機械的応力除去 · · · 436 擬弾性コンプライアンス · · · 381 擬弾性変位 · · · 379 境界積分方程式法 (BIE 法) · · · 574 極座標 · · · 90 切欠感度 · · · 384 切欠端開口変位 (CMOD) · · · 313, 475 き裂 開口変位 59 形成 30 進展 35 の CTOD 368 力 35 エネルギー条件 14 成長 30 安定 39, 169 高 3 軸度 236 コンクリート 298 時間依存性 16 スティック/スリップ 275 速度 508, 533 定常 134, 168, 170 歪エネルギー変化と 8 不安定 39 不安定解析 92 成長抵抗曲線 (R 曲線) 380 安定および不安定き裂成長 126 成長き裂の J 計算 128 速度 16 停止 190, 565 高速き裂伝播 183 停止靭性 248, 338 停留き裂の高速負荷 178 動的破壊と 177 伝播 183 鈍化 105 の応力解析 43 Kと巨視的挙動の関係 46 応力拡大係数 44 重み関数 55 重ね合わせ 53 有限寸法の影響 49 の楔作用機構 475 の数値シミュレーション 29 発生 207 閉口 472, 474 モデル 480 き裂の楔作用機構 475 負荷変動の影響 478 Griffith 240 板厚貫通 30 切欠端開口変位 (CMOD) 313, 475 クリープ 194 挙動 198 定常 195 高速 183 き裂速度 185 き裂停止 190 動弾性き裂先端パラメータ 186
630 索 引 動的靭性 188 停留 130, 178 疲労 504 モード I 84 き裂先端 開口角 (CTOA) 165 挙動 273 塑性 59 Irwinの方法 60 帯状降伏モデル 63 塑性域補正の比較 65 有効コンプライアンス 62 応力 254 拡大係数 59 場 70 応力 3 軸度 73 応力解析 Westergaardの応力関数 95 面内荷重 92 大規模降伏下の 拘束 135 2パラメータ破壊力学の限界 153 J – Q理論 142 弾性 T 応力 139 劈開破壊のスケーリングモデル 147 動弾性 パラメータ 186 特異性 46, 95 鈍化 115 き裂先端開口変位 (CTOD) · · · 11, 105, 235 試験 334 設計曲線 12, 407 Jと の関係 122 圧縮の過小負荷 495 帯状降伏モデルによる 算定 156 き裂進展 368 線形粘弾性材料 367 弾塑性域と 397 破壊クライテリオンと 208 疲労と 468 き裂閉口 応力 63 下限界に対する モデル 480 塑性誘起 483, 487 キンク帯 · · · 283 金属 におけるクリープき裂成長 366 における破壊の微視的機構 224 の J 積分試験 328 のき裂伝播 33 HCP 238 腐食過程 527 金属の環境助長割れ · · · 525-569 応力腐食割れ 539-543 SCCに影響する金属学的因子 542-543 ステージⅡのき裂成長速度 542 被膜破損モデル 541 腐食生成物の楔作用 543 環境割れの概要 531-538 EACの下限界 535-536 荷重 (静的,繰り返し,変動) 537 き裂成長速度と作用応力拡大係 数の関係 533-535 寿命推定 538 微小き裂効果 536-537 割れ機構の用語と分類 531-532 割れの形態 537-538 割れ,ピット,隙間の閉塞化学 532-533 試験法 560-567 破壊力学試験法 562-567 平滑試験片による試験 561-562 水素脆化 544-552 割れの機構 544-546 割れの挙動に影響する因子 546-552 腐食の原理 525-531 陰極防食 530 電気化学反応 525-528 電極電位と不動態 529 腐食電流および分極 528-529 腐食の種類 530-531 腐食疲労 552-560 機構 558-559 時間依存性およびサイクル依存 性挙動 552-555 疲労に及ぼす腐食生成物の楔作 用効果 560 金属の破壊機構 · · · 224-261 延性 – 脆性遷移 250-252 延性破壊 224-237 延性き裂成長 235-237 ボイド成長と合体 227-235 ボイド発生 225-226 劈開破壊 237-250 靭性の数学モデル 243-250 発生の機構 239-243 フラクトグラフィー 238-239 劈開破壊の統計モデル 253-257 最弱リンク破壊 254-256 伝播の条件付き確率 256-257 粒界破壊 252-253 金属の破壊靭性試験 · · · 306-364 CTOD試験 334-338 KIc試験 315-324 ASTM E399 316-320 K – R曲線試験 · · · 324-328 K – R曲線の実験的測定 326-328 試験片設計 325-326 延性 – 脆性遷移領域における鋼の 試験と解析 348-350 金属の J 試験 328-334 J – R曲線試験 331-333 基礎試験法 328-331 不安定破壊の限界 J 値 334 サイドグルーブ 315 実験室試験片の応力拡大係数,コ ンプライアンス,極限荷重解 354-359 測定器具 312-314 定性的靭性試験 350-354 アイゾット衝撃試験 351-352 シャルピー衝撃試験 351-352 動的テア試験 353-354 落重試験 352-353 落重テア試験 353-354 動的靭性およびき裂停止靭性 338-343 KIa測定 339-343 高速荷重破壊試験 338-339 疲労予き裂 311-312 溶接部の破壊試験 343-348 試験後の解析 347-348 試験片の設計と製作 344 疲労予き裂 346-347 繰り返し荷重 · · · 519 への J 経路積分の応用 517 クリップゲージ · · · 342, 475, 512 クリープ 挙動 198 き裂成長 194 コンプライアンス 209 1次 198
時間依存 変形 416 定常 197 計算破壊力学 · · · 570-608 エネルギー領域積分 581-588 3次元への一般化 584-586 有限要素法の実行 586-588 理論的背景 581-584 従来法 575-581 応力と変位のマッチング 576-577 仮想き裂進展 (剛性微分式) 578-579 仮想き裂進展 (連続体アプロー チ) 579-581 経路積分 577-578 要素き裂進展 577 数値解法 570-575 境界積分方程式法 573-575 有限要素法 571-573 成長き裂の解析 601-603 線形弾性問題の収束 594-601 特異要素の性質 603-606 三角形要素 605-606 四角形要素 604-605 メッシュデザイン 588-594 形状補正係数 · · · 61 系のコンプライアンス · · · 42 有限な 42 経路独立積分 · · · 113 欠陥 形状パラメータ 101 寸法 13, 16 の応力集中効果 28 結合 エネルギー 26 剛性 27 結合域モデル · · · 299 結合力 · · · 26 限界応力クライテリオン · · · 32 原子間距離 · · · 26 ポテンシャルエネルギーと 26 高靱性セラミックス · · · 262 構造物はなぜ破壊するのか · · · 1-6 構造物への応用 · · · 397-465 CTOD設計曲線 407-409 確率論的破壊力学 445-446 代表的な形状の応力拡大係数と全 面塑性 J 解 447-461 弾塑性 J 積分解析 410-422 EPRI J推定法 410-416 延性不安定解析 418-421 参照応力評価法 416-418 破壊評価線図 (FAD) 423-445 FAD曲線の近似 428-430 FADによる延性テア解析 442-443 FAD法における 1 次応力と 2 次応力 440-442 Jベースの FAD 426-428 規格化された FAD 評価法 443-445 参照応力の推定 430-435 溶接構造物への応用 435-440 高分子 に対する K と J の適合性 366 の構造と特性 263 の降伏と破壊 270 アモルファス 265 架橋 264 カミソリ刃切欠 372 金属より優れた点 4 結晶 265 線形 264 大規模降伏 381 半結晶 266 分岐 264 ゴム靭化 · · · 275 固有のき裂長 · · · 503 コンクリート におけるき裂成長 298 LEFM 297 応力 – 変位曲線 299 仮想き裂モデル 299 結合力モデル 299 混合モード破壊 · · · 80-85 2軸荷重 84 等価モード I き裂 84 斜めき裂の伝播 81-83 コンピュータ技術 · · · 13 コンプライアンスオフセット · · · 512 ■ さ 行 最弱リンク破壊 · · · 254 サイドグルーブ · · · 315 細粒化 · · · 242 材料靭性の特性化 · · · 12 差動変圧器 (LVDT) · · · 313 作用テアリングモジュラス · · · 126 参照応力 · · · 416, 430 参照弾性率 · · · 204 残留応力 · · · 406, 436 シェブロン切欠試験片 · · · 389 時間依存性破壊 ⇒動的破壊およ び時間依存性破壊 試験 法 562 CTOD 334 K減少 509 荷重緩和 371 シャルピーとアイゾット 351 衝撃後圧縮 284 靭性 350 動的テア 353 落重 352 試験片 形状 307 寸法 137 設計 325, 344 の極限荷重解 354 DCB 192, 386 の混合モード荷重 387 の初期欠陥 386 の荷重装置 387 DENT 137 SENB 143, 152 U形 562 板厚 74 き裂付き の荷重緩和試験 371 サイドグルーブ付き 77 シェブロン切欠付き 389 シャルピーとアイゾット 351 端部切欠付き曲げ 386 破壊したオーステナイトステンレ ス鋼引張 229 破壊靭性と 寸法 137 破壊靭性と 板厚 76 非線形粘弾性 210 平滑 の試験 561 ボルト荷重 563, 565 曲げ 392 指数則 · · · 469 き裂面圧 400 指数硬化則材料 154 下限界 挙動 485 不活性環境 485 閉口モデル 480 シャルピー試験機 · · · 338 シャルピー試験とアイゾット試験 · · · 351
632 索 引 重合度 · · · 263 修正バウンダリーレイヤー解析 · · · 140 従来法 (計算破壊力学) 応力と変位のマッチング 576 経路積分 577 剛性微分式 582 要素き裂進展 577 連続体力学アプローチ 583 準脆性材料 · · · 297 小規模降伏 における安定き裂成長 164 における塑性変形形状 136 の限界 521 衝撃強度 · · · 384 衝撃後圧縮試験 · · · 284 靭性試験 · · · 350 定性的 350 進展力曲線 · · · 38 水素 脆化 544, 559 割れ機構 544 割れ挙動に影響する因子 546 トラッピング 545 環境助長割れ (HEAC) 544 有効水素量 550 数値解法 · · · 570 境界積分方程式法 574 剛性有限要素法 571 有限要素法 571 隙間腐食 · · · 532 スティック/スリップき裂成長 · · · 275 ステンレス鋼 カップアンドコーン破壊 230 破壊したオーステナイト 229 脆性破壊 · · · 224 セラミックス · · · 288 の延性相による靭化 294 の繊維およびウィスカ靭化 295 の微視き裂靭化 291 の非常に重要な特性 389 の変態靭化 293 高靭性 297 先進 297 繊維 強化プラスチックス 276 座屈の模擬 283 靭化 295 のうねり 283 遷移時間 · · · 179 線形損傷モデル · · · 489 線形弾性破壊力学 (LEFM) · · · 11, 17, 26-104, 366, 398-407 に基づく解析 398 の動的バージョン 178 Griffithのエネルギー平衡 30-35 限界応力条件との比較 32-33 修正 Griffith 式 33-35 K支配破壊 68-72 KとG の関係 57-59 エネルギー解放率 35-38 き裂先端塑性 59-68 Irwinの方法 60-62 帯状降伏モデル 63-65 塑性域形状 66-68 塑性域補正式の比較 65 き裂の応力解析 43-57 Kと巨視的挙動の関係 46-49 応力拡大係数 44-46 重み関数 55-57 重ね合わせの原理 53-55 有限寸法の影響 49-52 欠陥の応力集中効果 28-30 原子レベルの破壊 26-28 コンクリートと岩石 297 混合モード破壊 80-85 2軸荷重 84-85 等価モード I き裂 84 斜めき裂の伝播 81-83 線形弾性破壊力学の数学的基礎 88-101 き裂先端応力解析 92-100 き裂の不安定成長解析 91-92 第 2 種楕円積分 100 平面弾性学 88-91 多項式応力分布の影響係数 400-403 1次応力,2 次応力,残留応力 406-407 LEFMに関する注意 407 任意負荷に対する重み関数 403-406 表面き裂の KI 399-400 不安定と R 曲線 38-43 R曲線形状の理由 40 荷重制御と変位制御 41-42 有限のコンプライアンスをもつ 構造物 42-43 複数き裂の干渉 85-87 同一平面上き裂 85-86 平行き裂 87 平面歪破壊 72-80 き裂先端応力 3 軸度 73-74 構造物におけるき裂の意味 79-80 塑性域の影響 77-79 見かけの破壊靭性に及ぼす板厚 効果 74-77 線形粘弾性 · · · 202 線状高分子 · · · 264 全体破壊 · · · 256 のハザード関数 256 剪断 破壊 228, 354 シアリップ 236 剪断応力 53 剪断降伏 271 全歪理論 J 217 の妥当性 172 増分理論と 171 層間剥離 · · · 279, 388 相似性 · · · 14, 15 塑性 理論 171 逆 492 塑性域 · · · 60, 312 塑性域形状 66 塑性域補正 65, 412 塑性エネルギー · · · 329 塑性変形 · · · 105 損傷許容性 · · · 16, 17, 516 ■ た 行 対応原理 · · · 205 大規模降伏 · · · 135 下のき裂先端拘束 135 体心立方材料 (BCC 材料) · · · 237 タイプ 1 破壊 · · · 3, 5 タイプ 2 破壊 · · · 4, 5 多項式応力分布 · · · 400 多分散性 · · · 264 単一パラメータ破壊力学の不成立 · · · 13 弾塑性支配域 · · · 397 CTODと 397 弾塑性破壊力学 · · · 105-176 J経路積分 109-122 Jの実験室的測定 116-122