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握の問題 執行面での対応の可能性等を含め様々な角度から総合的に検討する 複数税率の導入について 財源の問題 対象範囲の限定 中小事業者の事務負担等を含め様々な角度から総合的に検討する 施策の実現までの間の暫定的及び臨時的な措置として 簡素な給付措置を実施する つまり 低所得者対策として 給付付き税額

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このページを印刷する 【第 77 回】 2014 年 9 月 2 日 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

低所得対策の効果は軽減税率よりも

給付付き税額控除の方が圧倒的に大きい

消 費 税 の軽 減 税 率 の問 題 については、与 党 協 議 会 でのヒアリングがほぼ終 わり、年 末 の最 終 決 着 に向 けた駆 け引 きが始 まる。しかし、消 費 税 率 引 き上 げに伴 う低 所 得 者 対 策 の議 論 は、軽 減 税 率 の代 替 案 である「給 付 付 き税 額 控 除 」について何 ら議 論 していないという点 で、大 変 不 十 分 な議 論 だ。そこで 筆 者 は、給 付 付 き税 額 控 除 の試 案 を作 ってみたが、軽 減 税 率 とは全 く異 なる 政 策 効 果 があることが分 かる。 給 付 付 き税 額 控 除 は民 主 党 政 権 が主 張 したものだが、政 治 の恩 讐 を超 えて、 国 民 の立 場 から議 論 する必 要 がある。 軽減税率か給付付き税額控除か 与 党 税 制 協 議 会 において、軽 減 税 率 を飲 食 料 品 に導 入 した場 合 の減 収 額 8 ケースの案 などが示 され業 界 ヒアリングが行 われている。ヒアリングではおおむ ね反 対 の意 見 が多 いようだが、年 末 に向 けて政 党 間 でのさまざまな駆 け引 き が行 われるものと考 えられる。 消 費 税 率 を 4 月 から 8%に引 き上 げ、さらに来 年 10 月 から 10%に引 き上 げ ることを内 容 とした消 費 税 増 税 法 第 7 条 は、以 下 のように規 定 している。 「低 所 得 者 に配 慮 する観 点 から、番 号 制 度 の本 格 的 な稼 動 及 び定 着 を前 提 に……給 付 付 き税 額 控 除 等 の施 策 の導 入 について、所 得 の把 握 、資 産 の把

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握 の問 題 、執 行 面 での対 応 の可 能 性 等 を含 め様 々な角 度 から総 合 的 に検 討 する。……複 数 税 率 の導 入 について、財 源 の問 題 、対 象 範 囲 の限 定 、中 小 事 業 者 の事 務 負 担 等 を含 め様 々な角 度 から総 合 的 に検 討 する。……施 策 の実 現 までの間 の暫 定 的 及 び臨 時 的 な措 置 として……簡 素 な給 付 措 置 を実 施 す る。」 つまり、低 所 得 者 対 策 として、「給 付 付 き税 額 控 除 」か「複 数 税 率 」の導 入 を 検 討 すること、その実 現 までの暫 定 的 ・臨 時 的 な措 置 として「簡 素 な給 付 措 置 」を実 施 することとしているのである。 ところが与 党 税 制 協 議 会 での議 論 は、複 数 税 率 が意 味 する軽 減 税 率 につい てのみ行 われており、給 付 付 き税 額 控 除 に関 する議 論 は全 く行 われていない。 それどころか、政 府 部 内 でも、具 体 的 な検 討 すら始 まっていない状 況 だ。ちな みに「給 付 付 き税 額 控 除 」とは、一 定 の目 的 の下 に、所 得 に応 じて税 額 控 除 や給 付 をする制 度 のことである。 この理 由 はよく分 からないが、給 付 付 き税 額 控 除 は民 主 党 政 権 が主 張 した もので、政 権 交 代 が行 われたのだから議 論 するまでもない、という感 覚 だろう。 そうであれば、消 費 税 法 の規 定 はどのような意 味 を持 つのだろうか。 「消 費 税 還 付 制 度 」という名 称 にすれば抵 抗 もなくなるのではないか。 給 付 付 き税 額 控 除 は仕 組 みが複 雑 だ、という論 者 もいる。しかしカナダの導 入 している消 費 税 逆 進 性 (所 得 低 い者 ほど税 負 担 が重 くなること)対 策 の給 付 付 き税 額 控 除 は、一 定 所 得 以 下 の者 に、家 族 の人 数 に応 じて、基 礎 的 支 出 に対 する消 費 税 額 相 当 分 を定 額 として給 付 するもので、決 して複 雑 ではない。 中 身 は、「消 費 税 還 付 制 度 」である。 試案を作ってみると…… そこで、一 定 の仮 定 を置 いて日 立 コンサルティングの助 力 を得 ながら試 案 を 作 成 してみた。

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まず、現 在 行 われている「簡 素 な給 付 措 置 」の概 要 を見 てみよう。給 付 対 象 者 は、住 民 税 (均 等 割 )( * )が課 税 されていない者 である。課 税 されている者 の 扶 養 親 族 や生 活 保 護 受 給 者 は対 象 外 である。 この結 果 、年 金 受 給 者 が 1200 万 人 、それ以 外 の該 当 者 が 1200 万 人 、合 計 で 2400 万 人 が受 給 対 象 となる。 給 付 額 は、一 人 1 万 円 、ただし、年 金 受 給 者 は 1 万 5000 円 である。この結 果 、給 付 費 総 額 は、(1200 万 人 ×1 万 円 )+(1200 万 人 ×1 万 5000 円 )= 3000 億 円 となる。 これを参 考 にしながら、「給 付 付 き税 額 控 除 」を設 計 してみたい。その際 参 考 にしたのはカナダ型 の給 付 付 き税 額 控 除 である。上 述 のように、一 定 の所 得 以 下 の家 庭 に、家 族 の人 数 に応 じて、定 額 で給 付 する。一 定 の所 得 を超 える と給 付 額 は逓 減 し、最 終 的 には消 失 する、という制 度 設 計 である。 まず給 付 総 額 であるが、消 費 税 率 を 5%から 8%へ 3%引 き上 げた際 の財 源 が 3000 億 円 ということから考 えて、10%への引 き上 げには財 源 を 5000 億 円 と した。つまり給 付 付 き税 額 控 除 に回 す財 源 は、合 計 5%の税 率 引 き上 げに対 して 1%当 たり 1000 億 円 という計 算 である。 次 に給 付 対 象 者 である。「簡 素 な給 付 措 置 」は、年 金 受 給 者 以 外 の住 民 税 非 課 税 者 1200 万 人 、年 金 受 給 者 等 1200 万 人 を対 象 としたが、「給 付 付 き税 額 控 除 」では、年 金 受 給 者 は除 くこととした。彼 らには別 途 消 費 税 率 引 き上 げ に伴 う物 価 スライドがあるという対 応 策 が見 込 まれるというのが理 由 である。 逆 に、カナダのように、ワーキングプアの生 活 支 援 という意 味 合 いも念 頭 に置 くので、住 民 税 を払 っているが年 収 の少 ない者 は含 めることとした。 世 帯 の人 員 については、子 ども(被 扶 養 者 )も含 め全 員 をその対 象 にし、大 人 と同 額 を一 律 支 給 することとした。これは子 育 て支 援 の意 味 合 いももたせる ためである。 (*)住 民 税 (均 等 割 )とは、所 得 にかかわらず一 定 額 を納 める税 のこと。

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このような前 提 を置 くと、以 下 のような制 度 が出 来 上 がる。 世 帯 年 収 300 万 円 未 満 の世 帯 について、家 族 一 人 当 たり一 律 3 万 円 を給 付 する。300 万 円 から 400 万 円 までの世 帯 については、その半 分 ということで一 人 当 たり一 律 1.5 万 円 を給 付 する。年 収 400 万 円 以 上 の世 帯 については給 付 はない。 これに伴 う所 要 財 源 はおよそ 5000 億 円 弱 である。 両制度の効果の比較 以 上 の案 と軽 減 税 率 について、家 計 にどのような効 果 をもたらすのか、実 際 の統 計 に基 づいて、世 帯 収 入 ごとにその効 果 を比 較 してみた。その際 、軽 減 税 率 の減 収 額 についても、給 付 付 き税 額 控 除 と同 じ 5000 億 円 とすることが比 較 上 必 要 となる。 生 鮮 食 料 品 を対 象 にすると 1%当 たりの減 収 額 が 1800 億 円 と試 算 されてい るので、これをもとに財 源 を合 わせると、軽 減 税 率 は 7%(10%-3%)となる (5000÷1800≒3) 試 算 結 果 を比 較 したのが下 図 である。

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拡大画像表示 これを見 てわかることは、生 鮮 食 料 品 を 7%とする軽 減 税 率 を導 入 したので は、その効 果 が金 持 ちも含 めた全 世 帯 に及 ぶこともあり、低 所 得 者 への軽 減 効 果 は極 めて少 ないことである。また、目 的 である逆 進 性 は何 ら解 消 されてい ない。図 で分 かるように低 所 得 者 の税 負 担 率 はほとんど軽 減 されないからだ。 このことは、たとえば世 帯 収 入 が 1000 万 円 程 度 の世 帯 での生 鮮 食 料 品 支 出 は年 間 28 万 円 程 度 (食 料 品 全 体 の支 出 は 94 万 円 )と考 えられるが、それ に対 応 する軽 減 税 率 による減 税 分 は 8500 円 程 度 (28 万 円 ×3%)となること からも理 解 できよう。 一 方 、給 付 付 き税 額 控 除 の方 は、消 費 税 負 担 が大 きく軽 減 されている。200 万 から 400 万 円 の世 帯 収 入 では、負 担 が累 進 になっており、逆 進 性 の解 消 も 行 われている。

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このように、軽 減 税 率 は極 めて効 率 の悪 い制 度 で、金 額 ベースでは、消 費 額 の多 い金 持 ちにより多 くの利 益 をもたらす。また、軽 減 対 象 品 目 の管 理 のため に事 業 者 や納 税 者 に多 大 のコストをもたらす。 一 方 、給 付 付 き税 額 控 除 は、低 所 得 者 対 策 の効 果 が見 事 に表 れる。事 業 者 や納 税 者 のコストもかからない。 問 題 は、給 付 付 き税 額 控 除 を正 確 に執 行 するには、世 帯 の所 得 を正 確 に捕 捉 する必 要 があるので、マイナンバーの活 用 が不 可 欠 である、ということである。 消 費 税 率 の引 き上 げが 2015 年 10 月 、マイナンバーが導 入 されるのが 2016 年 1 月 なので、法 定 調 書 の収 集 スケジュールを考 慮 すると、2017 年 度 からの 開 始 とならざるをえない。それまでの間 は、「簡 素 な給 付 措 置 」で対 応 する必 要 がある。 また、今 回 「簡 素 な給 付 措 置 」の導 入 で、自 治 体 には給 付 業 務 を執 行 する仕 組 みが構 築 された。それを活 用 すれば、効 果 的 に低 所 得 者 対 策 を行 うことが できるのである。 いったんこのような制 度 が導 入 されれば、将 来 的 に、児 童 手 当 など他 の制 度 と整 合 性 を取 りながら、子 育 て支 援 やワーキングプア対 策 にも活 用 できる。わ が国 の所 得 再 分 配 がうまく行 われていないという問 題 もこれにより大 きく改 善 される。ぜひ検 討 をすべきだ。

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