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地域を知り・地域に出ることと経済学教育

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Academic year: 2021

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 学生が地域を知り,地域に出る実践は,最近多くの 大学で取り組まれている。この取り組みは,経済学教 育にとって現実との生き生きとした関係を取り戻す上 で大きな可能性をもつと考えられる。山梨県の大月市 立大月短期大学(以下,大月短大)においても,5 年 前から「地域をフィールドに学ぶ」という科目群を設 けている。ここでは,この間の教育実践を通して見え てきた可能性と課題について検討してみたい。1)

Ⅰ.「地域をフィールドに学ぶ」設置の経緯

1.学生にとっての経済学  大月短大は経済単科の短大であるが,入学する多く の学生にとって,経済学は必ずしも積極的な興味対象 ではない。経済的負担の軽い公立の短期大学というこ とが選択の理由となっている場合が多く,4 年生大学 への編入学の実績も理由とされる。在学生を対象とし た「教育に関するアンケート」では,本学を受験した 理由として「経済科に進みたかった」は,複数回答で 26.1% にすぎない。2)  経済学部を含め大学に入学する学生にとって,経済 や経済学についてのイメージは明確な像を結びにくい。 現代の社会において,労働や生産活動を直接目にする 機会が少なくなり,経済活動について人間生活の全体 構成のもとで捉えることが難しくなっている。そこか ら,経済科に入学した学生に対して経済学を積極的に 学ぶ動機づけが必要となる。後述の学生たちの自発的 な活動から,「地域をフィールドに学ぶ」科目群がそ のための 1 つのルートとなると考えられた。 2.公立短期大学の地域貢献  大月市立の短期大学として,以前から地域貢献につ いては意識的な取り組みがなされてきた。1981 年に は,地域に関する調査研究を課題とする地域研究室や, 市民に授業を開放する特別聴講生制度を発足させた。 1999 年には,地域研究室のもとで大月市民が地域の 問題を議論する場として「地域づくりゼミナール」が つくられ,地域活性化に向けた提言や『大月市民がつ くった財政白書』の作成などの活動を積み重ねてきた。 それらの活動をとおして,大月短大と市民との間で能 動的な関わりが築かれてきた。 3.学生による地域での活動の拡がり  「地域をフィールドに学ぶ」という科目群を構想す る直接的なきっかけとなったのは,学生による地域で の活動の拡がりである。  1 つは,商店街での活動。以前から,商店街と交流 をもっていた学生がいた。2003 年に商店街協同組合 が,「空き店舗活用事業」で学生を主体とする事業を 提起し,学生のサークルと商店街協同組合,短大教員 の 3 者による 1 年間の調査活動を経て,「ひろさと村」 という空き店舗活用事業が開始され,学生たちが Books & Café を運営することになった。3)

 もう 1 つは,森つくりの活動への参加。ほぼ同時期 に,地域づくりゼミナールに参加していた市民が放置 されている民有林の手入れを目的に「大月森つくり 会」を始めた。その市民と知り合った学生たちが「森 つくりサークル」をつくり,森林の間伐・枝打ちなど の作業や間伐材の活用などに取り組んだ。  これらの学生たちの地域での活動は,自発性・能動 性に溢れた積極的なもので,短大として正式にサポー トする必要を認め,「専門特殊講義」という一時的な 位置づけの授業で単位化した。そして,全般的なカリ キュラム改革(2007 年度)に際して,「地域をフィー ルドに学ぶ」という科目群として,「大月学入門」「地 域実習」を設置することとした。4)

地域を知り・地域に出ることと

経済学教育

The Journal of Economic Education No.31, September, 2012 Learning the Community, Going into the Community and Economic Education

Hasegawa, Yoshikazu

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Ⅱ.「地域をフィールドにして学ぶ」の概要

1.「大月学入門」(1 年前期)  「大月学入門」は,学生が地域の活動に参加する前 に,地域の全体的な状況を把握しておく必要があると の考えで設置した。この科目では,大月地域の概要と 地域を支え地域再生をめざす諸活動について紹介する。 各講義は,大月市の職員や実際に地域での活動に携わ る市民が担当する。そのため,土曜日の午前中に開講 している。  2011 年度の講義内容は,資料 1 の通りである。  まず,大月市と市政の概要について市の総務部長が 説明し,大月の自然・歴史・文化財について郷土資料 館の学芸員が説明する。なお,この学芸員は大月短大 の卒業生で,その面からも学生にとって刺激となって いる。  「森林・第 1 次産業再生」について。大月市は森林 の面積が 87% を占める自然に溢れた地域であるが, 民有林は手入れが行き届かず,農業も後継者難に直面 している。民有林の手入れに取り組む「大月森つくり 会」,農地・農業再生に取り組む「おおつきエコビ レッジ」,シオジの原生林を活用して森と親しむ活動 を進める「シオジ森の学校」の活動を紹介する。「大 月森つくり会」と「おおつきエコビレッジ」は地域実 習の受け入れ先である。  「商店街・まちづくり」では,大月商店街協同組合 の商店街活性化をめざす活動と商店街での市民・学生 の活動を紹介する。商店街のシャッターに絵を描く活 動,「桃太郎伝説」の紙芝居づくりや「大月空襲を語 り継ぐ活動」など多彩な活動が継続されている。商店 街協同組合も地域実習の受け入れ先である。  大月市真木に多くの芸術家が集まり「芸術村」が形 成されている。山陽精工は,下請から脱却するためオ ンリーワン製品の開発に成功した。「子どもが就職し たくなる会社」を標語に,リーマンショックの困難の 中でも人員削減を行なっていない。このような,地域 における元気な活動を紹介する。  その他,高齢化が進行する大月での福祉の現状につ いて市の福祉保健部長に紹介してもらう。また,大月 で拡がる様々な地域再生の取り組みの連携をめざして 月 1 回の新聞を発行している「大月を良くする市民の 会」からも報告をしてもらう。  この「大月学入門」は,「大学コンソーシアムやま なし」の「やまなし観光カレッジ事業」の一環とも なっているため,その開講式と 2 回のバスによる現地 視察,そして地域コンシェルジュの地域づくり講座が 組み込まれている。 2.「地域実習」(1 年後期,2 年前期・後期)  1 年の後期以降,地域に出て地域活動に実際に参加 する「地域実習」が始まる。 1)「大月森つくり会」  民有林の手入れに携わる「大月森つくり会」の活動 に参加する。「大月森つくり会」は,「水は命!森は 源!川は絆!」を標語に,桂川・相模川流域の森づく りに向け,市民の手でできる森林整備に取り組んでい る。2002 年に発足したが,当初から大月短大の学生 が参加し,その後,近隣の帝京科学大学や都留文科大 学の学生も参加している。  学生は,会の活動─植林(春の植樹祭),下草刈り, 枝打ち,間伐,間伐材の活用などに取り組む。また, 会の代表が「桂川・相模川流域協議会」の中心メン バーであることから,協議会が主催するシンポジウム に参加するなど,森・水・環境問題の学習にも取り組 むことになる。 2)「おおつきエコビレッジ」  農地・農業の再生,都市農村交流などに取り組む 「NPO 法人おおつきエコビレッジ」の活動に参加する。 「おおつきエコビレッジ」は,不動産会社が住宅開発 のため買い占め放置し荒廃していた農地を会社解散の ため大月市に寄付したことから,その土地を借り受け て農地・農業の再生や都市農村交流などに取り組むた め,地元住民が中心となって立ち上げた組織である。  学生は,黒米の種蒔き-田植え-草取り-稲刈り- 脱穀-餅つき・料理という,一連の作業を軸に,小麦, 大豆,サツマイモなどの作物に関わる作業に携わる。 2011 年度は,大学祭で,黒米を材料にした「黒米ま んじゅう」の製造・販売にも取り組んだ。 3)「大月商店街」  大月商店街協同組合の協力のもとで,商店街の「ま ち宿り」という施設を拠点に活動する。商店を取材し て,商店や店主を紹介する新聞「@ home・おおつ き」を発行し大月駅頭で配布したり,「まち宿り」で 地元の農産物の販売を行なったりしながら,商店街の 活性化について学ぶ。学生たちは,商店街のイベント にボランティアとして参加することも多い。大月の夏 祭「かがり火祭り」や商店街の「賑わいづくり社会実 験事業」として取り組まれた「軽トラック市」にも多

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くの学生が参加した。

Ⅲ.予想を超えた学生の参加とその成果

 大月学入門と地域実習への学生の参加は次第に増加 し,当初の予想を超えた学生が参加するようになって いる(表 1)。2011 年度には,大月学入門 77 名,後期 の地域実習 68 名が参加している。1 学年 200 名強の学 生数であるから,大月学入門には 3 人に 1 人,2 年間 の内に,何れかの授業に参加する学生は半数近くに 上っていると考えられる。(2012 年度の大月学入門は, 約 130 名) 表 1 大月学入門・地域実習履修状況 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 大月学入門 1 年生 35 35 49 52 75 2 年生 31 9 3 0 2 後期・ 地域実習 1 年生 34 34 44 52 52 2 年生 3 13 21 21 16  以下,参加した学生たちが,その中でどのようなこ とを学んだのかを学生の感想・レポートなどにもとづ き整理してみたい。 1.大月学入門 1)2 年間生活する場,大月の地域を知る。  大月学入門は,おもに 1 年生が履修することになる が,そこで学生たちは 2 年間生活することになる大月 の地域について知ることになる。大月短大には,山梨 県内からの出身者は 3 割程度で,長野,富山,静岡, 新潟をはじめ,北海道から沖縄まで全国から学生が集 まる。遠方から来る学生にとっては,東京から近いこ とで都会を期待するが,その期待は裏切られる。また, 87% が森林という恵まれた自然も,短大とその付近の 下宿を往復する限り,実感は乏しい。  学生たちは,この大月学入門を通して,この地域に 積極的な関心を持つ。シオジの森のような自然や,猿 橋をはじめとする文化財などの存在を知り,「行って みたい」という感想。また,地域で行なわれている活 動を知ることで「活動に参加したい」「大月のために できることをやりたい」といった感想も出され,実際, 「かがり火祭り」などへのボランティア参加も多く, 2011 年は,50 名ほどの学生が会場整備や販売などに 携わった。 2)地域の抱える問題を知る。  大月学入門の講義をとおして,大月市が抱える問題 ─少子高齢化,人口減少(3 万人を切る),商店街 の衰退,農林業の困難,市財政の困難などの実態を知 ることになる。そこで知った大月の地域が抱える問題 は,自分の出身地でも同様に抱えるものであると気づ くことになり,地元の問題にも関心が向かうことにな る。 3)地域を支え,再生に取り組む人々を知る。  地域の抱える問題に取り組む人の話しを聞き,現実 に対し能動的に働きかける人々の存在を,身近に生活 する人に見いだす。講師は同じ大月市にくらす人であ り,地域が抱える問題の解決をめざして困難な中で努 力しており,実践に裏付けられた話しの迫力は学生に ストレートに伝わる。このことは,地域や社会を人々 の能動的な活動との関わりでとらえることにつながり, 社会・世界は人々がつくっているということを実感す ることになり,経済学の理解にとっても重要な素地と なると思われる。 4)生活することと学ぶことの能動的な結びつき。  学生は,大月学入門をとおして(さらには「地域実 習」をとおしてより深く)2 年間生活する大月の地域 について知ることになるが,そのことの意味は,地域 について知るということに止まらない。2 年間の短大 生活において,学生は教室の中で学ぶだけの生活を送 るわけではない。地域の中で日々の生活を行い,また, その生活の中からも多くのことを学ぶ。大月学入門を とおして,地域に対して積極的・能動的な関心を持つ ことは,生活全般に関する意識を積極化させる。それ は,他の授業での学びにも積極的な影響を及ぼしてい るように思われる。これは,大月学入門の講義の際の 学生の生き生きとした表情や感想文,そして,それら の学生の他の授業における態度などから気づかされる ことである。 2.地域実習  地域実習では,関心を持った地域活動に実際に参加 し能動的に関わることになる。前述の 3 つの活動分野 があるが,紙幅の都合と商店街については上笹報告・ 唐澤報告があるため,ここでは森つくりの活動とエコ ビレッジの活動について考察する。 1)自分の身体を動かして,自然に働きかける活動  「大月森つくり会」「おおつきエコビレッジ」では, 林業や農業といった分野で自然に直接働きかける活動 に参加する。自然を対象に,自らの身体(人間的自 然)を動かして働きかける,労働の本源的な姿を体験

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することになる。  これらの作業は自然との直接的な関わりであるとと もに,自然を相手とすることで,学生同士が協力して 作業することを体験することになる。個々の作業につ いては,きつい作業の場合もあるが,それをとおして, 里山,米・農産物などの背後に人の労働がある事を実 感することになる。 2)農業・農村,林業・里山などの実態・抱える問題 と喜びを知る  作業に携わりながら,学生たちは里山の荒廃,林 業・農業に携わる人の不足・高齢化・後継者難など, 抱える問題点を実感することになる。同時に,慣れな い作業は大変であるが,作業の成果を実感することに もなる。暗かった森林が間伐をすることで光が射すよ うになること,蒔いた種から作物ができた喜びなど。 そして,食や水などについての意識の変化ももたらさ れる。 3)指導してくれる,異なる年齢層の市民との交流。  いずれの場合にも,年配の人に教わりながら作業を 行なうことを体験する。その過程で,直接作業に関わ ることに止まらない話しを聞いたり,一緒に力を合わ せて作業するなどの交流を体験することにもなる。 3.問題意識の発展  大月学入門,地域実習をとおして獲得された問題意 識は,短大の中での教育をとおして発展する可能性を もっている。 1)「生きた経済学」へのルート  学生たちは,大月学入門や地域実習をとおして,地 域経済の衰退と再生,農林水産業の再生,環境問題, さらには経済成長のあり方といった現在の日本経済が 直面する問題に客観的には向き合うことになる。それ は,経済学を「生きた経済学」として学ぶための糸口 となりうるものである。学生たちのレポートの中には, 自覚的にこれらの問題に向き合おうとするものも見ら れる。 2)「キャリア教育」としての意義  大月短大では,3 割程度の学生が 4 年制大学に編入 学するが,地域経済・地域政策,農業,林業などの分 野に編入学する学生も増えている。エコビレッジに参 加して,農学部に編入学する学生もおり,森つくり会 に参加して林業を学ぶ学部に進もうとする学生もいる。 商店街の活動に参加した学生からは,経営学部に進む 者も多い。  このような直接的な関係だけではなく,広く経済 学・社会科学に向き合う姿勢,社会に対する生きた把 握は,編入学する学生にとっても,就職する学生に とっても,地域,人,労働への視野を広げる。  森つくりの活動に参加した学生は,以下のような感 想を書いている。  「…私がすごくいいと思うのは,この短大の地域実 習だ。こういう森に関連した授業はそういう研究をす る学部や学科だけだと思っていたからだ。この授業が あったから森について調べるきっかけができて,現状 も知ることができた。今後はそういう中で,経済学に 結びつけて考えていくことができればいいと思うし, ボランティアや NPO の活動にも参加していきたいと 思うようになった。」  農業,林業の体験は,卒業後,直接関わり合う分野 に就職することにならなくても,農業・林業,そして 自然との関わりについての視野を育むことになる。

Ⅳ.課題と展望

1.課題  「地域をフィールドに学ぶ」科目群の大月学入門と 地域実習をとおして,学生の地域への関心,問題解決 への能動的な姿勢,生きた経済学や経営学に向けた問 題関心も拡がっていると評価できる。実際に,編入学 をとおして問題意識を発展させる事例も生まれている。 ただ,学生がつかんだ問題関心や現実との関わりにつ いて,経済学の学習とどう結びつけていくかという点 では,課題が残る。学生の意識の中では,地域との関 わりの中でつかんだものと「経済学」は重なり合わな い場合が多い。(経営学については,商店街の場合な どで比較的直接に対応する場合が多いが)  これは,「実習」という性格上の限界もあり,ゼミ やチュートリアルなどをとおして,問題関心を発展さ せることで解決される面もあるといえるが,より本質 的には,「経済学」の側がこのような課題に応えるも のになっているかという問題があるであろう。学生が 地域に出て学んだものを生きた経済認識に発展させる ことを可能にする,経済学および経済学教育の発展が 求められている。  この点での大月短大固有の困難は,短期大学 2 年間 の時間的制約である。問題関心を発展させるには時間 不足であり,また,学生の間での経験の蓄積・伝承も 難しい。その点に対する意識的な対応が必要である。

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2.展望  「地域をフィールドに学ぶ」ことで地域を知り,地 域に出ることで,学生たちは生きた地域・経済の現実 と向き合うことから,経済学への能動的な関わりの入 り口に立つことになる。そこを起点とした経済学教育 のカリキュラム体系の可能性はあるといえよう。自然 に立脚した人間生活に即した経済学,それは,3.11 以 降の現実が求めているものでもある。  また,「地域をフィールドに学ぶ」の 5 年間の経験 は,大学と地域の開かれた関係の形成,学生を育てる 地域,人を育てる力を持った地域を大学が媒体となっ て作り上げる可能性も示しているといえよう。  最後に,経済教育学会で教育を受けた側からの報告 を担当してくれた倉科さんは,卒業論文のまとめで, 「持続的なむらづくりを行なっていく上で,農村と消 費者の結びつきが不可欠ではないか」との問題意識か ら調査・検討を行なった結果を「ただの商品としてで はなく,思い入れのある満足度の高い商品として提供 できるよう,真に伝えたい農村地域の現状と魅力を消 費者に情報発信しつづけることが,農村と消費者とが 結びついていくためには必要だと考える」5)と結んで いるが,「地域をフィールドに学ぶ」ことは,農村と 消費者,農村と都市をつなぐ市民を育てる可能性をも つといえよう。 註 1) 本稿は,2011 年の経済教育学会分科会報告をまとめたも のである。分科会では,学生側からの評価を,卒業生の 宇都宮大学 4 年生,倉科芙美さんに報告してもらった。 資料 2 にレジュメを抄録する。 2) 大月短大の「平成 21 年度教育に関するアンケート」では, 「本学を受験した理由」について,複数回答で,「学費が 安かったから」73.2%,「4 年制大学への編入実績から」 38.5%,「他大学・短大の受験に失敗したから」26.5% の次 に「経済科に進みたかったから」26.1% で,「先生や先輩 に薦められたから」25.1% がつづく。 3) 上笹恵「経営学の実践教育を通じた知恵の獲得と異文化 の交流」『経済教育』No25,2006 年。唐澤克樹「商学連 携による学生参加型まちづくりの意義」『経済教育』No30, 2011 年。 4) 「地域をフィールドに学ぶ」科目群の設置に際して,地域 の人に講師を依頼する仕組みなどで,経済教育学会での, 松本大学の佐藤進先生の実践や「近江草津論」の藤岡淳 先生の実践が参考となった。 5) 倉科芙美「お米の販売を通して考えるむらづくりと消費 者の関係性」宇都宮大学農学部農業経済学科,卒業論文, 2012 年。 1)4.16 大月の概要 ①「大月市の概況」 大月市 後藤正巳総務部長 2)4.23 大月の概要 ②「大月の歴史と文化財」 大月市郷土資料館 稲垣自由学芸員 3)5.7 「やまなし観光カレッジ事業」開講式 山梨県観光部観光振興課 4)5.14 森林・第 1 次産業再生 ①「大月森つくり会」大月森つくり会 河西悦子代表他 5)5.21 森林・第 1 次産業再生 ②「おおつきエコビレッジ」 NPO 法人おおつきエコビレッジ 篠田猛雄さん 6)5.28 森林・第 1 次産業再生 ③「シオジ森の学校」シオジ森の学校 笠井正宏さん,下澤直幸さん,大窪恭子さん 7)6.4   現地視察 ① 道の駅・はくしゅう,シャトレーゼ白州工場 尾白の森名水公園べるが,サントリー白州工場 8)6.11 商店街・まちづくり ① 大月商店街協同組合 小俣孝理事長 9)6.18 商店街・まちづくり ② 地域づくりゼミナール 大窪恭子さん他 10)6.25 真木アート 真木窯 小林民夫さん 11)7.2  大月の元気な企業 山陽精工 白川太専務 12)7.16 「伝える企画」の作り方〜地域コンシェルジュによる地域づくり〜 佐藤あずみさん 13)7.23 むすび〜地域づくりのネットワーク 地域づくりゼミナール 知見邦彦さん 14)7.30 大月の福祉 大月市 佐藤勝男福祉保健部長 15)8.8  現地視察 ② 大月精工,猿橋,桂川ウエルネスパーク,笹一酒造 資料 1 2011 年度の経過 「地域実習に参加して」 <自己紹介> 2010 卒業生 倉科芙美(くらしな ふみ)  2008.4 大月市立大月短期大学経済科入学   2008.4 〜 2008.8 大月学入門   2008.9 〜 2010.2 地域実習(おおつきエコビレッジ)  2010.4 宇都宮大学農学部農業経済学科 3 年次編入学 資料 2 倉科報告レジュメ(一部省略)

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1.大月学入門,地域実習の感想  ・参加した動機は,農業が好きで興味があったため  ・参加してみて,中山間地域での農作業の大変さ(非効率)と意義を考えるようになる。  ・自分の生活もある中で,地域について考え,行動する方々がいることを知る。  ・地域のお祭りに参加し,昔からの行事などの実施自体が危ぶまれていることを知る。  ・ 大月市の抱える問題(高齢化,耕作放棄地の増加,人口減少など)は,自分の地元も含めて,日本全体の問題だ と知る。  ・ 参加者の中には,土に触れることが初めてに近い学生もいることを知り,自分たちの食料がどうやって生産され ているのか,さらに知りたいと考えるとともに,消費と生産が完全に分離していることに気づく。  ・学祭での古代米販売の経験から,消費者にどう伝えていくか,商品の魅力をどう伝えるかを考える。 2.現在,宇都宮大学で学んでいること 2.1 福島県「大学生の力を活用した集落活性化調査委託事業」  ・3 年次のゼミで参加。2 年継続事業。  ・1 年目は,布沢区の方々と地域点検ワークショップを実施  ・ 2 年目は,昨年のワークショップで提案された地域活性化案を,布沢区全戸にアンケート形式で問う。アンケー ト結果を元に,学生らしい活性化案をプレゼン予定。  ・ 集落活性化とは何か。それぞれの地域に特性,価値観がある。都会を追いかけるといった成長ではなく,発展の 軸を考える。 2.2 宇都宮大学里山科学センター「里山で米づくりと落ち葉堆肥づくりを学ぼう」  ・ 大木須での米づくりでは,宇都宮大学の新品種ゆうだい 21 の栽培から販売までに学生が参加し,里山の循環機能 を生かした農業を学ぶ。  ・ 参加者は,参加を希望した農学部の学生。ボランティアと単位になるインターンシップの学生がいて,全部で 25 人。特別受講生 5 名程度も参加。  ・ 大木須地区で生産したお米「元気森もり」の販売を通して,消費者の声と地域の魅力をつなげることを考える。 (栃木県主催マルシェ栃木等で販売)  ・同時に大木須地区の活性化について,里山コミュニティビジネスプロジェクトに参加。  ・大木須地区の今後の発展の軸,方向性について地域住民が主体となって考えていくためのお手伝い。 2.3 地域実習との関わり  ・上記の活動に,積極的に参加できているのは,地域実習での経験から主体性を学んだため。  ・地域実習でもった問題意識を継続し,中山間地域の農業の意義について考える。 3.大月学入門,地域実習の意義  ・学生の主体性が育つ場。  ・地域や農業への問題意識の芽生えを促す。  ・世代もばらばらの地域の方との交流の機会を得ることで,コミュニケーション能力が身につく。  ・さまざまな考え方を見聞きし,自分の意見を考えるきっかけとなる。  ・ 学生は労働力としては,むしろ足手まといかもしれないが,何も知らない学生に指導することで,地域の方が元 気になる。また,若い世代への知恵,技術の継承につながる場となる。  ・地域実習のような教育プログラムは,里山の持続的な管理を行っていく一つの解決策になるのではないか。

参照

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