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夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 44 巻第 2 号 109 ∼ 114 頁(2017 夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴 年). 109. 研究論文(原著). 夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴* 赤羽根良和 1)# 永 田 敏 貢 1) 齊 藤 正 佳 1) 篠 田 光 俊 2). 要旨 【目的】肩関節周囲炎に続発する夜間痛の臨床的特徴を明らかにするため,非夜間痛群,夜間炎症群,夜 間拘縮群で比較検討した。 【対象】対象は肩関節周囲炎 100 例であった。対象の肩関節 X 線正面像から AHI,HHD,AHI/HHD 比,GHA を測定し,肩関節可動域は屈曲,外旋,内旋角度を測定し,それぞれ で比較した。 【結果】AHI,HHD,肩関節屈曲可動域は 3 群間で有意差を認めなかった。非夜間痛群と比 較して夜間拘縮群は外・内旋域が減少し,GHA が増大していた。また,非夜間痛群と比較して夜間炎症 群は AHI/HHD 比が減少し,GHA が増大していた。夜間炎症群と比較して夜間拘縮群は GHA が増大し ていた。【結論】夜間炎症群および夜間拘縮群は肩甲骨が下方回旋位となっていた。また,夜間痛の発症 が炎症を起因とした場合は,肩関節可動域の回旋域が比較的保たれていた。しかし,拘縮を起因とした場 合は,肩関節の回旋可動域が減少することがわかった。 キーワード 肩関節周囲炎,夜間痛,臨床的特徴. とが特徴である. はじめに. 4‒7). 。.  このように夜間痛は病期により発症機序が異なるた.  肩関節周囲炎は肩関節構成体の退行変性を基盤として. め,的確な評価によって炎症期と拘縮期とに分類し,そ. 発症し,肩関節の疼痛と可動域制限を主症状とする疾患. れぞれの病期的特徴を明確にするとともに,病期に適し. 1). 。肩関節周囲炎に続発する症状のひとつに夜間. た治療を行うことが早期回復の必要条件となる。しか. 痛がある。夜間痛とは,就寝時に生じる疼痛の増悪によ. し,その一方で我々の渉猟し得た範囲では,過去にこの. り目が覚める症状であり,基本的には肩関節の三角筋付. ような分類および検討した報告は見あたらなかった。. 近に鈍痛を惹起し,起床後もしばらく持続するのが特徴.  このことを踏まえて我々は,肩関節周囲炎に続発した. である。夜間痛発生要因は肩峰下圧の上昇が引き金とさ. 夜間痛例の病期的特徴を明らかにすることを目的に,夜. である. 2). れており ,病態に応じて夜間痛の発症機序は異なると 3). 考えられている 。 4‒7). 間痛のない群を対照群とし,夜間痛があり上方支持組織 の炎症を認める群と,夜間痛があり上方支持組織の拘縮. によると,炎症期では肩峰下滑液包や腱. がある群に分けて,肩甲上腕関節の位置関係や肩関節可. 板周辺の炎症が,拘縮期では肩峰下滑液包と腱板との癒. 動域を測定し,それぞれを比較検討したので報告する。.  また林. 着や瘢痕組織が肩峰下圧を上昇させる因子となり,夜間 痛発症に至るのではないかと考察している。どちらの病. 対象と方法. 期にせよ,夜間痛例は上方支持組織の緊張を緩和させる. 1.対象. ため,肩甲骨を下方回旋位とした疼痛回避姿勢をとるこ.  肩関節周囲炎により平成 25 年 1 月∼平成 27 年 3 月ま. *. The Clinical Characteristics of Nocturnal Pain Accompanying Shoulder Periarthritis 1)さとう整形外科 (〒 501‒6062 岐阜県羽島郡笠松町 501) Yoshikazu Akabane, PT, Toshitsugu Nagata, PT, Masayoshi Saito, PT: Sato Orthopaedics 2)国際医学技術専門学校 Mitsutoshi Shinoda, PT: Internatinal Insecture of Medical Therapy # E-mail: [email protected] (受付日 2015 年 5 月 15 日/受理日 2016 年 11 月 17 日) [J-STAGE での早期公開日 2016 年 12 月 22 日]. でに当院を受診し,運動療法が依頼された片側罹患例 100 例 100 肩(男性 43 例,女性 57 例,平均年齢 59.9 ± 8.0 歳)を対象とした。全例に消炎鎮痛剤(商品名;ファ ルケン)が処方された。  対象者の取りこみ基準は腱板完全断裂,上腕二頭筋腱 炎,石灰沈着性腱板炎が診断上否定された症例,肩関節 周辺に手術の既往が否定された症例とした。.

(2) 110. 理学療法学 第 44 巻第 2 号. 表 1 対象者の特性. 症例数. 非夜間痛群. 夜間炎症群. 夜間拘縮群. 38 例. 27 例. 35 例. 16 例. 11 例. 16 例. 性別  男性  女性 平均年齢. 22 例. 16 例. 19 例. 59.1 ± 8.3 歳. 59.7 ± 8.0 歳. 61.1 ± 7.6 歳. 図 1 超音波画像診断を用いた上方支持組織 超音波画像所見を用いて夜間炎症群と夜間拘縮群に分類した..  なお,本研究を実施するにあたり通常の診療と比較し. 峰間を撮影し,厚みのある線状高エコー像の烏口肩峰靭. 特異的な検査・治療は実施しないことを条件に,被験者. 帯を抽出した。また,その深層には高エコー像の棘上筋. には事前に検査・測定の目的と内容を十分に説明し,同. 腱が短軸像として抽出することができた。これを大結節. 意を得たうえで実施した。. 付着部まで観察した。続いてプローブを 90°回転させ, 棘上筋腱の長軸像を観察した。. 2.方法.  正常の棘上筋腱は線状高エコー像で fibrillar pattern. 1)夜間痛の程度と対象の分類. を示し,厚みは約 5 mm である。このため腱板炎の判.  夜間痛を定量化した報告はない。そのため今回は,夜. 定は,腱板の腫脹や局所膨隆が 5 mm 以上みられた場. 間痛の程度を林の報告. 5). に準じ分類した。この分類は,. 合とした. 8). 。また,腱板と三角筋との間には線状高エ. 夜間痛例の症状に応じて区分けしたものであり,基本的. コーの peribursal fat が存在する。このため肩峰下滑液. にこの分類にあてはまらない症例は認めていない。. 包炎の判定は,peribursal fat の深層に低エコー像で示.  Type1 は夜間痛がまったくないもの,Type2 は時々. 8) す貯留がみられた場合とした 。. 夜間痛はあるが,目が覚めるほどではないもの,Type3.  肩関節を伸展,内転方向に誘導すると,棘上筋腱は肩. は毎日持続する夜間痛があり,一晩に 2 ∼ 3 回は目が覚. 峰下滑液包の下を遠位方向に滑動する。このため上方支. めるもの,Type4 は毎日持続する夜間痛があり,明ら. 持組織の拘縮の判定は,棘上筋腱と肩峰下滑液包との境. かな睡眠障害を訴えるものである。. 界が不明瞭であり,かつ肩関節を伸展,内転方向へ他動.  Type1 と Type2 を 非 夜 間 痛 群,Type3 と Type4 を. 的に動かしても,両組織間の滑動性がみられなかった場. 夜間痛ありとし,さらに下記に示す超音波画像診断によ. 合とした。. り炎症を認めた群を夜間炎症群,炎症がなく拘縮のみ認. 3)肩関節の X 線検査と測定方法(図 2). めた群を夜間拘縮群の 3 つに分類した(表 1) 。.  上腕骨と肩甲骨との位置関係を明らかにする目的に,.  なお,腱板炎または肩峰下滑液包炎と上方支持組織の. 肩関節正面 X 線撮影像を用いて測定した。測定肢位は. 拘縮の両方の所見を有する症例はいなかった。. 座位とし肩関節はすべての方向において中間位とした。. 2)超音波画像の診断方法(図 1). ①肩峰骨頭間距離(Acromiohumeral Interval:以下,.  超音波診断は同一検者が行った。体位は患者を座位と. AHI). し,肩関節は伸展・外旋位とした。触診で烏口突起と肩.  AHI は肩峰下端と上腕骨頭上端との最短距離を計測. 峰の位置を確認した。超音波画像は,まず烏口突起と肩. した. 9). 。.

(3) 夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴. 111. 図 2 肩関節正面 X 線撮影像を用いた計測 AHI は肩峰下端と上腕骨頭上端との最短距離を計測した. HHD は上腕骨頭臼蓋部分の最大径を計測した. GHA は関節窩上縁と下縁を通る直線と上腕骨長軸とのなす角を計測した.. 10). ②上腕骨頭径(Humeral Head Diameter;以下,HHD). 定を行った。その結果,いずれも有意差を認めたため,.  HHD は上腕骨頭の垂直軸方向での最大径を計測した。. 主効果が認められた要因に関して事後検定として Steel-. 10). ③ AHI の HHD に対する比率(以下,A/H 比). Dwass 検定を実施した。また,正規性に従った屈曲,.  A/H 比は AHI を HHD で除して算出した。. 外旋に関しては Levene 検定を行った。屈曲に関しては. ④臼蓋上腕角(Glenoid-Humeral Angle:以下,GHA). 等 分 散 し て い た た め 1 元 配 置 分 散 分 析 を 行 っ た が,.  GHA は関節窩上縁と下縁を通る直線と上腕骨長軸と. p=0.78 で,主効果を認めなかった。外旋に関しては,. 9). のなす角を計測した 。. 等分散していないため,Welch の 1 元配置分散分析を. 4)肩関節可動域の測定方法. 行い,主効果が認められた要因に関して,事後検定とし.  肩関節可動域は肩関節 X 線撮影と同じ日に実施した。. て Games-Howell 検定を実施した。すべての検定で統計. 肩関節可動域の測定方法は屈曲,外旋,内旋角度を日本. ソフト R2.8.1 を使用し,有意水準は 5%とした。. 整形外科学会および日本リハビリテーション医学会に準 じ,ゴニオメーターを用いて計測した。測定は同一検者. 結   果(表 2). が実施し,測定回数は 1 回とした。実施方法は端座位で. 1.肩関節の X 線検査. 行った。.  AHI は非夜間痛群 9.9 ± 3.1 mm,夜間炎症群 8.8 ±.  肩関節の屈曲は,基本軸が肩峰を通る垂直線,移動軸. 1.5 mm,夜間拘縮群 9.2 ± 1.6 mm であった。. が上腕骨とし可動域を測定した。肩関節の内外旋は,基.  HHD は非夜間痛群 49.4 ± 6.1 mm,夜間炎症群 48.8. 本軸が床に垂直,移動軸が尺骨とし可動域を測定した。. ± 7.6 mm,夜間拘縮群 49.1 ± 7.3 mm であった。  A/H 比は非夜間痛群 0.2 ± 0.1,夜間炎症群 0.18 ± 0.02,. 3.検討項目. 夜間拘縮群 0.19 ± 0.02 であった。夜間炎症群は夜間拘.  非夜間痛群,夜間炎症群,夜間拘縮群の 3 群間で比較. 縮群よりも有意に減少していた。. 検討した。.  GHA は非夜間痛群 9.7 ± 4.3° ,夜間炎症群 16.9 ± 5.0°,.  肩甲上腕関節の位置関係は A/H 比,GHA に関して,. 夜間拘縮群 20.2 ± 3.9°であった。夜間炎症群は非夜間. 肩関節の可動域は屈曲,外旋,内旋に関して検討した。. 痛群よりも増大し,夜間拘縮群は非夜間痛群より増大. 1)統計学的処理. し,夜間拘縮群は夜間炎症群よりも増大していた。.  統計学的処理の手順としては以下に示す方法で行った。  X 線検査結果(A/H 比,GHA),肩関節可動域(屈曲,. 2.肩関節可動域. 外旋,内旋)について,1 元配置分散分析を用いて,非.  屈曲は非夜間痛群,夜間炎症群,夜間拘縮群間におい. 夜間痛群,夜間炎症群,夜間拘縮群の 3 群間の比較を. て有意差を認めなかった。. 行った。各変数が正規性にしたがうかどうか確認するた.  外旋は非夜間痛群 33.8 ± 16.8° ,夜間炎症群 27.8 ±. めに Shapiro-wilk 検定を用いた。正規性の認めなかっ. 15.3° ,夜間拘縮群 13.7 ± 9.7°であった。夜間拘縮群は. た A/H 比,GHA,内旋に関しては,Kruskal-wallis 検. 非夜間痛群よりも有意に減少し,夜間拘縮群は夜間炎症.

(4) 112. 理学療法学 第 44 巻第 2 号. 表 2 各群間における比較 非夜間痛群. 夜間炎症群. 夜間拘縮群.  A/H 比. 0.2 ± 0.1. 0.18 ± 0.02. 0.19 ± 0.02.  GHA. 9.7 ± 4.3°. 16.9 ± 5.0°**. 20.2 ± 3.9°**†. 肩関節 X 線検査 ††. 肩関節可動域  屈曲. 117.1 ± 19.7°. 117.4 ± 26.0°.  外旋. 33.8 ± 16.8°. 27.8 ± 15.3°. 117.7 ± 17.0° 13.7 ± 9.7°**††.  内旋. 45.2 ± 15.9°. 41.9 ± 17.7°. 32.7 ± 16.5°**†. †. :p<0.05 夜間炎症群との有意差を示す. :p<0.01 夜間炎症群間との有意差を示す. ** :p<0.01 非夜間痛群との有意差を示す. ††. 群よりも有意に減少していた。. 有意に増大していた。GHA の増大は肩甲骨外側縁の傾.  内旋は非夜間痛群 45.2 ± 15.9° ,夜間炎症群 41.9 ±. 斜量を反映し,同時に肩甲骨の下方回旋量でもある。夜. 17.7°,夜間拘縮群 32.7 ± 16.5°であった。夜間拘縮群は. 間炎症群は,肩峰下滑液包炎や腱板炎に加わる牽引や伸. 非夜間痛群よりも有意に減少し,夜間拘縮群は夜間炎症. 張刺激を回避するため,肩甲骨を下方回旋位にさせて弛. 群よりも有意に減少していた。. 緩させていたと考えられる。また,夜間拘縮群は癒着し ている肩峰下滑液包と腱板により肩関節が下垂位になる. 考   察. だけの可動域が足りず,代償的に肩甲骨を下方回旋位と.  肩関節周囲炎に続発する夜間痛は,炎症期では腱板や. することで上方支持組織を弛緩させていたと考えられ. 肩峰下滑液包に生じる浮腫や腫脹を起因とし,また,拘. る。つまり夜間痛例は,どちらの病期においても肩甲骨. 縮期では肩峰下滑液包と腱板との境界部に生じる癒着や. を下方回旋位にすることで,上方支持組織の緊張を軽減. 瘢痕組織を起因として発症すると考えられている. 3‒7). 。. させているようである。この結果は,夜間痛例では肩甲. そのため,どちらの病期にせよ上方支持組織の容積が増. 骨を下方回旋位させた疼痛回避姿勢をとると述べた林ら. 大するため,烏口肩峰アーチを表層へ押し上げる形とな. の報告. り,肩峰下圧は上昇すると予測される。.  また,夜間拘縮群は夜間炎症群よりも GHA が増大し.  このような環境下で,就寝時に肩関節の伸展と回旋動. ていた。つまり夜間拘縮群の方が肩甲骨の下方回旋量は. 作が強要されると,上方支持組織の緊張は高くなり,さ. 大きかった。これに関しては,夜間拘縮群では肩関節の. 4)8). 外転拘縮が高度になると肩甲骨の下方回旋量は増大する. 吉田は肩峰下圧が上昇すると,うずく様な痛みが生じた. のか,また夜間炎症群では炎症が強いと肩甲骨の下方回. ことを実験研究で明らかにしており,これが夜間時にお. 旋量は増大するのかを調査する必要がある。しかし,今. らなる肩峰下圧の上昇が惹起されると考えられる. いて睡眠障害発症の要因になると推察している. 。. 11). 。. 4‒7). を裏づけることになる。. 回の研究ではこれについて検討されておらず,今後の課.  今回の結果から,肩関節の X 線検査において AHI や. 題としたい。. HHD は有意差を認めなかった。しかし,A/H 比は夜間.  また,肩関節可動域では屈曲は有意差を認めなかっ. 炎症群が夜間拘縮群よりも,わずかではあるが,有意に. た。しかし,外旋および内旋は夜間拘縮群が非夜間痛群. 減少していた。A/H 比の減少は,上腕骨頭の上方変位. よりも有意に減少していた。夜間拘縮群は腱板や肩峰下. 量を反映するため,夜間拘縮群と比較して夜間炎症群. 滑液包に癒着や瘢痕組織を形成しており,同時に組織硬. は,肩峰と上腕骨頭間距離が近接して上方支持組織を弛. 度も高くなっていたと予測される。つまり腱板や肩峰下. 緩させていた可能性がある。肩関節は下垂位になると上. 滑液包の拘縮は,夜間痛発症の要因になるとともに,肩. 腕骨頭が下方に懸垂される。そのため,上方支持組織に. 関節の回旋可動域を減少させることがわかった。. は常に牽引や伸張刺激が加わり,肩峰下滑液包炎や腱板.  加えて,外旋および内旋は夜間拘縮群が夜間炎症群よ. 炎が生じている際には,軽度な刺激でさえ侵害刺激とな. りも有意に減少していた。上方支持組織の拘縮が回旋域. りうる。したがって,夜間炎症群でみられた A/H 比の. を減少させることはすでに述べた。その一方で,肩峰下. 減少はそれを回避するための防御反応である可能性が考. 滑液包や棘上筋に生じた炎症は,夜間痛発症の要因とな. えられた。. るが,夜間拘縮群のように肩関節の回旋可動域を制限し.  GHA は夜間炎症群や夜間拘縮群が非夜間痛群よりも. ないことがわかった。しかし,炎症期と拘縮期は独立し.

(5) 夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴. 113. た群ではなく,炎症期から拘縮期へと続き,その過程で. だきました国際医学技術専門学校の片寄純一先生に感謝. 肩関節内外旋の可動域制限が徐々に強まると考えられ. 申し上げます。. る。そのため,夜間炎症群では,炎症が治まった早期か ら肩関節内外旋可動域の確保を目的とした介入が必要と なる。  本研究結果より,腱板炎や肩峰下滑液包炎が主病変の 夜間痛例に対しては,炎症を抑えるための薬物療法等に 加えて,就寝時には肩関節を軽度屈曲位とさせるなどの 肩峰下圧の上昇を抑えるポジショニングの指導が有効と 考える。  腱板や肩峰下滑液包の拘縮が主病変の夜間痛例に対し ては,腱板と肩峰下滑液包との滑動性を改善させるため のストレッチング等に加えて. 7)12). ,就寝時には炎症期. と同様のポジショニングの指導が有効と考えられる。 結   語  夜間痛を認める症例は,肩甲骨を下方回旋位させて疼 痛回避肢位となっていた。また,夜間痛の発症が上方支 持組織の炎症を起因とする場合には,拘縮を起因とした 場合よりも上腕骨頭が上昇する可能性が示唆されたが, 肩関節の回旋可動域は保たれていた。その一方で,上方 支持組織の拘縮を起因とする場合には,肩関節可動域の 内・外旋域を中心に制限されていた。 謝辞:最後に,本研究の統計処理についてご指導をいた. 文  献 1)三笠元彦:五十肩の歴史.整・災外.1994; 37: 1527‒1532. 2)小西池泰三:肩峰下滑液包の圧測定─夜間痛との関連─. 日整会誌.1999; 73: S461. 3)田中幸彦,林 典雄,他:肩関節周囲炎に合併する夜間痛 に対する我々の運動療法について.第 19 回東海北陸理学 療法学術大会誌 71. 4)林 典雄,鵜飼建志,他:夜間痛を合併する肩関節周囲炎 の可動域制限の特徴と X 線学的検討.理学療法の医学的 基礎.2002; 6: 32. 5)林 典雄,鵜飼建志,他:夜間痛を合併する肩関節周囲炎 の可動域制限の特徴と X 線学的検討 ─運動療法への展 開─.Clinical Physical Therapy.2004; 7: 1‒5. 6)林 典雄,岸田敏貢:肩関節の機能解剖.MB Med Reha. 2006; 73: 1‒8. 7)林 典雄:五十肩における疼痛の解釈と運動療法.関節外 科.2011; 30: 26‒32. 8)皆川洋至:肩インピンジメント症候群を理解するための マクロ解剖と超音波解剖.臨床スポーツ医学.2013; 30: 409‒415. 9)三笠元彦:診断の進め方と主な臨床検査.関節外科.1995; 14: 25‒28. 10)井上宜充:肩関節周囲炎後例における肩峰骨頭間距離と肩 関節可動域制限の関連についての検討─関節裂隙距離の定 量化と機能的意義─.理学療法学.2010; 37: 174‒177. 11)吉田 徹:いわゆる変形性関節症の疼痛について.整形外 科.1975; 26: 745‒752. 12)千葉慎一:可動域制限─制限因子の評価─.関節外科. 2011; 30: 1233‒1240..

(6) 114. 理学療法学 第 44 巻第 2 号. 〈Abstract〉. The Clinical Characteristics of Nocturnal Pain Accompanying Shoulder Periarthritis. Yoshikazu AKABANE, PT, Toshitsugu NAGATA, PT, Masayoshi SAITO, PT Sato Orthopaedics Mitsutoshi SHINODA, PT Internatinal Insecture of Medical Therapy Purpose: To evaluate the clinical characteristics of nocturnal pain accompanying shoulder periarthritis, the positional relationships of scapulohumeral joint and shoulder joint movements were compared among a non-nocturnal pain group, a nocturnal inflammation group, and a nocturnal contracture group. Patients: The subjects were 100 patients (100 shoulders) with shoulder periarthritis. Based on frontal shoulder joint X-ray films of the subjects, the AHI, HHD, AHI/HHD ratio, and GHA were measured. To assess the range of shoulder join movement, flexion, lateral rotation, and internal rotation were measured and compared. Results: No significant differences of AHI, HHD, and shoulder joint flexion were observed between the three groups. Compared to non-nocturnal pain group, the nocturnal contracture group showed a reduced range of lateral and internal rotation, while GHA was increased. Compared to the nonnocturnal pain group, the nocturnal inflammation group showed a decrease of AHI/HHD, while GHA was increased. The nocturnal contracture group showed an increase of GHA compared to the nocturnal inflammation group. Conclusion: In the nocturnal inflammation and nocturnal contracture groups, the scapula was in a position of downward rotation. When nocturnal pain was due to inflammation, the range of shoulder joint rotation was relatively well maintained. However, the range of shoulder joint rotation was restricted when contracture was responsible for pain. Key Words: Shoulder periarthritis, Nocturnal pain, Clinical characteristics.

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