香港における日本食品関連市場調査
産業部 国際課
TEL 082-224-5659 日本食への関心が高まっている香港において、自治体、JETRO等との連携による 地域産品の輸出商談会・物産展が開催されました。中国経済産業局では、中国地域産の 加工食品等の海外販路開拓を目的に、現地バイヤーや消費者の日本食品への関心度につ いて調査を行うとともに、現地の経済交流関係支援機関との情報・意見交換を行い、現 地での今後の事業展開に関する情報収集を行いました。 平成25年12月26日 広島 発 上海経由 香港国際空港 着 27日 現地バイヤーとの輸出商談会 開催 28日 地域産品物産展 開催(現地日系スーパー主力店舗) 29日 地域産品物産展 開催(現地日系スーパー主力店舗) 30日 在香港日本国総領事館、香港貿易発展局 等 訪問 31日 香港 発 上海経由 広島空港 着 ・香港は日本にとって12番目の貿易パートナー(金額ベース)で、輸出先としては、 CHINA(本土)、米国、韓国、台湾、タイに次ぐ6番目のパートナー。 -日本は香港にとって米国に次ぐ3番目の貿易パートナー(金額ベース)。 ・香港は日本産農林水産物・食品の輸出先第1位で、輸出額全体の約2割を占めてい る。 -香港には1000店を越える日本食レストランがあると言われている。 ・香港の旅行客にとって、日本は人気の旅行先(2010 年は第2位)。香港の訪日旅行 客の約1/4は10回以上のリピーター。香港は日本人旅行客にとって、7番目の 旅行先。 ・香港における日系企業(日本に親会社を持つ企業)数は、約1400社で、2013 年 に米国を抜き第 1 位の規模となった。 -製造、貿易、金融機関、日本食レストラン等、様々な業種が存在。地域本社の設立、 中小企業の進出、消費者向け製品・サービス企業の進出等がある。今月のトピックス
●日 程
●日本と香港の経済関係 (在香港日本国総領事館からの情報収集)
1.日 時
: 12 月 27 日(金)14:00-18:302.場 所
: 香港日本人倶楽部3.概 要
・参加企業数 : 14社 ・来場者 : 29社(46名) (内訳:卸業-17 社、小売業-4 社、 レストラン・ホテル-7 社、その他-1 社) ・商談件数 : 90件 ・成約見込件数 : 17件4.主な成約(見込)事例
・調味料メーカーと卸会社(味噌) ・調味料メーカーとレストラン(味噌) ・菓子メーカーと卸(菓子、ジュース) ・ふりかけメーカーとレストラン(まぜご飯用ふりかけ) ・生鮮果実製造者と卸(みかん)5.国内参加企業からの主なコメント
・従来とは異なるルート等と新たな出会 いがあり、役に立った(ふりかけメーカー) ・新規の顧客と商談ができた(ソースメーカー) ・卸会社の来場が多く、商流が確保てきていな い自社には有益であった。(味噌メーカー) ・香港市場の現状、戦略を絞るための貴重な情 報が入手できた(行政団体) (香港日本人倶楽部における商談会風景)●地域産品輸出商談会(瀬戸内産品輸出商談会 in 香港)
1.日 時
:12 月 28 日(土)~29 日(日)2.場 所
:イオン香港 コーンヒル店3.概 要
・12/28 12:00-13:00 おにぎり試食販売 ・12/29 16:00-18:30 レモン、カキ、豚肉を使った調理 品の試食販売4.開催結果
-会場 :イオン香港 14店舗 -出店企業 : 38社 -売上実績(12/25-31) : 約 2,000 万円 (イオン香港 コーンヒル店 イベント風景)5.国内参加企業等からの主なコメント
・日本酒の試飲で、アルコール度が高いというコメントが多かった。果実酒、カク テルの人気が高かった。(アルコール飲料) ・試食用の味噌汁を日本と同じ味付けにすると辛いと言われた。やや薄めにした 方が好評であった。アジアには醤という共通調味料あり、受け入れられやすい。 (味噌) ・香港市場のターゲットは外食産業。外食産業と栽培契約を締結する等により、 農家の収益安定・平準化を進めたい。(米)6.イオン香港(食品・飲食部 マネージャー)との意見交換
・イオンコーンヒル店の来客数は、平日が 8000 人、土・日は 15000 人程度。 ウォンポー店ではその半分程度。コーンヒル店の来客数は自社の中でも突出。 ・今回は瀬戸内地域産品という企画になったが、鳥取、島根を含めた中国地域産品 でも企画は可能。●地域産品物産展(瀬戸内産品物産展 in 香港)
香港市場について
-香港の人口は700万人である。食品、ファッションのテストマーケットとしては 有効。工場等は CHINA やベトナムに設置することになる。 コンシューマーグッズについては、香港の路面店で成功したら、それは大陸でも売 れる。 香港への年間観光客は 5000 万人で、3500 万人が CHINA から、1500 万人がそれ以外 である香港は Showcase として使える。 -香港はフリーポートなので関税がかからない。日本企業の海外展開の拠点として香 港にホールディングカンパニーをつくり、Regional Headquater しての機能を持 たせれば良い。香港における日本食マーケット
-香港は日本食ブームであるが、東日本大震災の風評被害は残っている。今でも西日 本の食品の需要が大きい。東日本産食品の放射線の影響がよくわからないためであ る。 香港での商品表示は、Made in Japan でOKであるが、産地、県名までの表示、店 頭で地図の掲示等を行っているものもある。 -香港は健康ブームである。日本食品は、品質が良ければ高価でも売れる。そのため のセールスポイントを打ち出す事が必要。例えば、新鮮な商品、添加物がない商品、 ダイエット効果が高い商品等。日本からの輸送の場合、その日の朝発送したら、夜 には市場に出せる。香港の人は、日本の商品については、高価であることはよく承 知している。 例えばカキについて、香港には、台湾、韓国、豪州、米国等から入ってきている。 日本の商品については、日本国内の競争とは異なる環境のビジネスとなることを日 本の企業に教育する必要がある。 -日本食材について、香港には日本食レストランが 1000 軒以上ある。その内2~3 割は日本人経営である。その他は、日系企業で働いた経験等のある香港人がオーナ ーといったものが多い。香港における日本酒マーケット動向
-日本酒については、日本食レストランで提供されるものが大半であるが、高価なも のはギフトとして利用されている。クッキング教室との連携等による日本食の普●香港貿易発展局
(香港貿易発展局は、現地政府により設立された経済交流支援機関)
及・浸透活動も良いかもしれない。香港人の「日本酒テイスティングの会」との連 携も可能と考えられる。梅酒(チョーヤ)は人気がある。
その他
-香港貿易発展局は日本の農林水産省と MOU を締結し、日本の産品の輸出に協力して いる。 -中国地域企業の香港でのビジネス展開支援について、香港に拠点を持っている日系 地銀・信用金庫等の情報ネットワークを使って、CHINA 本土企業とつなげていくと いう方法がある。 -香港においては、誰がライバルなのか、ライバルのセールスポイントは何か、価格 はどうか、等々を研究し、事業計画を立てる必要がある。香港日通の新物流センターについて
-日系物流企業で、建物一棟を専用しているのは香港日通のみ。 空港、港湾、CHINA 本土へのアクセスが良い。1 日 1000 台のトラックが出入りして いる。 保管エリアが広いので、低温保管庫、部品保管庫としての機能も提供。 取扱貨物の80%が電子機器類である。食品は数%程度(容積比)。 食品は航空便利用が多い。空港から航空機専用コンテナを運んできて、当該施設で 分類して顧客配送を行っている。 食材の保存は-20 度、電子機器で-10 度というものもある。冷凍倉庫が満杯にな ることもあるので、そのときは協力企業の倉庫を借用してい る。 船便の場合、貨物を出して届くまで一週間程度かかる。海上運送は3日間。航空便 の場合、発送して翌日には届く。日本を今日の午後発送したら、翌日夕方には店頭 に並んでいる。 最近は、アパレル関連貨物の扱いが多くなっている。(ユニクロが現在の 18 店舗 を 20 店舗にするといっている。) 当地内配送については、ヤマト運輸と連携して小口配送を行っている。これは他の 地域にはない珍しい取り組みである。 自社の取引先は、香港の商社、日本企業と直接取引をしているバイヤー等、様々で ある。 -2013年に、香港では珍しい港湾労働者のストライキがあり、1ヶ月以上香港で の荷揚げができなくなった際、香港の荷物が深圳へ移ってしまった。その結果、世●日本通運・香港
界主要港コンテナ取扱量ランキングにおいて、香港は深圳に逆転され、3位から4 位になった。
香港市場について
-香港はフリーポートであり、規制も厳しくないので、何でも入ってくる。また、世 界市場のテストマーケットとして、物産展の開催が多い。 -香港への食品輸入規制 輸入ライセンス対象品目は、食肉、家禽肉、乳製品、米、酒類(30%超)、 野菜果物類は、土がついていなければ規制はない。 日本からの輸入において、東北・関東6県については、原産地証明、放射能検査が 課せられている。 -香港人は日本食が好きである。味覚的には甘い物(スイーツ)は女性だけでなく男 性もよく食べている。香港人は、外で飲酒はしない。週末は家族で外食に行き、家 庭での料理機会は少ないように感じられる。香港における日本食に関する評価
日本産品については、安全・安心という評価が高く、価格が高い事も認知されてい るようです。ただし、東日本大震災後は、日本国内の「産地」への関心が強くなって おり、西日本への産地へのニーズが大きいとのことです。 ちなみに、岡山県の白桃、広島県のカキなどは広く認知されているようです。地域産日本酒の販路開拓について
日本酒の良さをより強くアピールしていく必要があるようです。例えば、ワインと 比較して健康的な飲み物であることや、製法だけでなく、文化や原材料等の背景 等 があることを併せて紹介していくような工夫も必要とされています。 また、香港における日本酒消費者を拡大するため、日本食レストラン等外食産業へ の売り込み、日本食とコラボした飲み方等のプレゼン等が必要と考えられます。海外展開支援について
中国経済産業局におきましては、地域の自治体、産業支援関係機関、金融機関等と 連携し、地域の皆様の海外事業展開のお手伝いをさせていただいております。 平成 26 年度における予算措置の中で、例えば、アセアン諸国における中小企業販 路開拓を支援するJETRO・アセアン キャラバン事業や、中小企業基盤整備機の 事業計画策定支援事業(F/S支援事業)等があります。●まとめ(香港への中国地域産品販路開拓について)
経済産業省 中国経済産業局 広報誌
新興国市場、アジア地域への事業展開を御検討の際は、各種支援施策のご活用を 御検討いただければ幸いです。