企業情報データベースシリーズ 活用事例紹介 第 7 回
勢いを増すアジアの建設業
城西国際大学 経営情報学部 客員教授
株式会社プロネクサス 顧問 岡東 務
株式会社プロネクサス
データベース事業部
1 2011 年 5 月 30 日 勢いを増すアジアの建設業 城西国際大学経営情報学部客員教授 プロネクサス主任研究員 岡東 務 １ はじめに アジア諸国の経済発展とともにアジア各国の建設会社の勢力図が徐々に変わり始めている。図表１は アジアの企業を対象にした総合企業情報データベースのeol AsiaOne に収録されているアジア各国の 建設会社を売上高順に並べたところ、第１位は中国、第２位は香港、そして第３位以下に日本の各企業 が並んだ。上位100 社までに日本の建設会社は 68 社、同 200 社までに 93 社(対象全企業 267 社では 100 社)が名前を連ねている一方、マレーシアの建設会社は第 42 位の WCT Berhad を筆頭に上位 100 社 までに9 社、同 200 社までに 52 社、さらに 267 社ベースでは全部で 92 社が名前を連ねており、日本 に次ぐ建設会社大国であることが分かった。このほか順位は下がるものの、タイ、中国、香港、シンガ ポール、台湾などの企業もそれぞれ十数社が軒を連ねている。 図表1 は、国別の建設会社の数を示したものである。ちなみに日本の比率は 37.2％、マレーシアは 34.2％、タイ 6.7％、中国 5.9％、香港 5.6％、シンガポール 5.2％、台湾 4.1％、フィリピン 1.1％とな っている。 図表1 建設業の国別社数(2009 年)
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図表2 上位 100 社までの会社名の一覧表
[No] [国] [企業名] [No] [国] [企業名]
1 中国 China State Construction Engineering Corporation Ltd. 51 日本 YAHAGI CONSTRUCTION CO.,LTD. 2 香港 China Communications Construction Company Limited 52 日本 WAKACHIKU CONSTRUCTION CO.,LTD.
3 日本 KAJIMA CORPORATION 53 中国 Hongrun Construction Group Co., Ltd.
4 日本 SHIMIZU CORPORATION 54 中国 Jiangsu Zhongnan Construction Group Co., Ltd.
5 日本 DAIWA HOUSE INDUSTRY CO.,LTD. 55 日本 Daiwa Odakyu Construction Co.,Ltd.
6 日本 OBAYASHI CORPORATION 56 日本 MATSUI CONSTRUCTION CO.,LTD.
7 日本 TAISEI CORPORATION 57マレーシアGamuda Berhad
8 日本 DAITO TRUST CONSTRUCTION CO.,LTD. 58 日本 NIPPON DENWA SHISETSU CO.,LTD.
9 日本 Sumitomo Forestry Co.,Ltd. 59 日本 Fudo Tetra Corporation
10 中国 Shanghai Construction Group Co., Ltd. 60マレーシアSunway Holdings Berhad
11 日本 HASEKO Corporation 61 日本 SECOM TECHNO SERVICE CO.,LTD.
12 日本 TODA CORPORATION 62 日本 KITANO CONSTRUCTION CORP.
13 日本 Nishimatsu Construction Co.,Ltd. 63 日本 DAISUE CONSTRUCTION CO.,LTD.
14 日本 PENTA-OCEAN CONSTRUCTION CO.,LTD. 64 日本 ICHIKEN Co.,Ltd.
15 日本 Sumitomo Mitsui Construction Co.,Ltd. 65 日本 RAITO KOGYO CO.,LTD.
16 日本 MAEDA CORPORATION 66 日本 SEIKITOKYU KOGYO CO.,LTD.
17 日本 NIPPO CORPORATION 67マレーシアRanhill Berhad
18 日本 PanaHome Corporation 68 中国 Changjiang & Jinggong Steel Building (Group) Co., Ltd.
19 日本 Kumagai Gumi Co., Ltd. 69マレーシアMuhibbah Engineering (M) Berhad
20 日本 TOKYU CONSTRUCTION CO.,LTD. 70 日本 NITTOC CONSTRUCTION CO.,LTD.
21 日本 TOKEN CORPORATION 71 日本 Seibu Electric Industry Co.,Ltd.
22 日本 Mitsui Home Co.,Ltd. 72マレーシアZelan Berhad
23 日本 OKUMURA CORPORATION 73 日本 SHINNIHON CORPORATION
24 日本 ANDO Corporation 74 日本 C-CUBE Corporation
25 日本 HAZAMA CORPORATION 75 日本 UEKI CORPORATION
26 日本 THE ZENITAKA CORPORATION 76 香港 Shui On Construction and Materials Ltd.
27 日本 TOA CORPORATION 77 日本 MEISEI INDUSTRIAL Co.,Ltd.
28 中国 Shanghai Tunnel Engineering Co., Ltd. 78 日本 DAIICHI KENSETSU CORPORATION
29 日本 TAKAMATSU CONSTRUCTION GROUP CO.,LTD. 79 日本 TOKURA CORPORATION
30 日本 MAEDA ROAD CONSTRUCTION CO.,LTD. 80 中国 Guangdong No.2 Hydropower Engineering Company Ltd.
31 日本 ASANUMA CORPORATION 81マレーシアSunway City Berhad
32 日本 Taihei Kogyo Co.,Ltd. 82 日本 SHO-BOND Holdings Co.,Ltd.
33 日本 TOYO CONSTRUCTION CO.,LTD. 83 香港 Yau Lee Holdings Ltd.
34 日本 TEKKEN CORPORATION 84 台湾 BES Engineering Corp.
35 香港 Baoye Group Company Limited 85 日本 Mori-Gumi Co.,Ltd.
36 日本 TOBISHIMA CORPORATION 86 日本 SOLCOM Co., Ltd.
37 日本 THE NIPPON ROAD CO.,LTD. 87 中国 Zhejiang Hangxiao Steel Structure Co., Ltd.
38 日本 Asunaro Aoki Construction Co.,Ltd. 88 日本 Nankai Tatsumura Construction Co.,Ltd.
39 日本 FUKUDA CORPORATION 89マレーシアS P Setia Berhad
40 日本 P.S.Mitsubishi Construction Co.,Ltd. 90 日本 MORIYA CORPORATION
41 中国 Road & Bridge International Co., Ltd. 91 中国 Shenzhen Tonge (Group) Co., Ltd. 42マレーシアWCT Berhad 92 台湾 BES Engineering Corp.
43マレーシアIJM Corporation Berhad 93 タイ CH.KARNCHANG PUBLIC COMPANY LIMITED
44 香港 China State Construction Int'l Holdings Ltd. 94 日本 HOSODA CORPORATION
45 日本 NAKANO CORPORATION 95 香港 Hsin Chong Construction Group Ltd.
46 タイ ITALIAN-THAI DEVELOPMENT PUBLIC COMPANY LIMITED 96 タイ SINO-THAI ENGINEERING AND CONSTRUCTION PUBLIC CO.,LTD.
47 日本 TOA ROAD CORPORATION 97 日本 KYOWANISSEI CO.,LTD.
48 日本 OBAYASHI ROAD CORPORATION 98 日本 MISAWA HOMES CHUGOKU CO.,LTD.
49 日本 TOTETSU KOGYO CO.,LTD. 99 香港 Chun Wo Development Holdings Limited
50 中国 Long Yuan Construction Group Co., Ltd. 100 中国 Xinjiang Beixin Road & Bridge Construction Co., Ltd.
（注）１．決算期は2009 年 1 月から 2009 年 12 月を対象。 ２．売上高上位101 社から 267 社は図表 13 として巻末に掲載。 ３．韓国企業はセグメント情報が未収録のため、対象から除外。 ２ 上位企業の横顔 （１）チャイナ ステート コンストラクション アジアの建設会社の第1 位にランクされたのは上海証券取引所（A 株）に上場している中国のチャイ ナ ステート コンストラクション エンジニアリング(China State Construction Engineering
Corporation Ltd. 略称 CSCEC)。
同社の業績の推移は図表３にみるように急速な成長を遂げている。2009 年の売上高の前年度伸び率 は31.6％、2010 年度は同 29.1％と驚異的ともいうべき数字になっている。直近期の 2010 年 12 月期の 売上高は4 兆 5648 億円と日本のスーパーゼネコンといわれる最大手グループの 2 倍以上の規模を誇る
3 など文字とおりアジアの建設業のナンバーワンとなっている。 同社の事業セグメントは、85％が建設エンジニアリング、12％が不動産、残りがその他という構成で ある。 A 株とは、中国の証券市場に上場されている株式のうち、人民元で決済される株式のことを指す。一 部の外国機関投資家の売買も可能だが、大半は中国国内の投資家による売買が行われる。 図表３ チャイナ ステート コンストラクションの 業績の推移 (単位：百万円、％) 科目／年 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 2,033,482 2,574,321 2,684,859 3,535,789 4,564,877 営業利益 72,846 144,369 89,084 172,794 231,561 当期利益 36,813 75,207 36,479 82,717 113,836 売上高営業利益率 3.6 5.5 3.4 5.1 5.0 売上高当期利益率 1.8 2.9 1.4 2.3 2.5 (資料) eol AsiaOne （２）チャイナ コミュニケーション コンストラクション 第2 位が香港証券取引所に上場しているチャイナ コミュニケーション コンストラクション(China Communication Construction Company Limited、略称 China Comm Cons、中国交通建設股份有限公 司)である。 チャイナ コミュニケーションは、2006 年 10 月 8 日に、中華人民共和国の会社法に基づき有限責任 制の株式会社として中国で創設された。その目的は株式を香港証券取引所に上場する準備の一環として、 チャイナ コミュニケーション グループの組織再編成して行われた。同社は同年 12 月に上場を終えた (アニュアルリポート「2010」82 頁参照)。国別・地域別分類では、同社を香港としたが、実態は北京に 本社を置く中国企業だから、1 位、2 位とも中国企業とした方が正確かもしれない。 2010 年の売上高は 3 兆 3944 億円、前年度比 8.9％増だった。 同社の事業セグメントは、橋の建設が77.8％、浚渫が 9.4％、港湾機械の製作が 6.3％、橋のデザイ ンが4.1％、残りがその他 2.5％という構成になっている。 図表4 チャイナ コミュニケーションの 業績の推移 (単位：百万円、％) 科目／年 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 1,777,415 2,346,895 2,424,142 3,115,491 3,394,449 営業利益 99,043 161,918 157,912 170,057 174,070 当期利益 179,723 318,513 286,360 313,432 355,166 売上高営業利益率 6.0 7.4 7.0 5.8 5.4 売上高当期利益率 2.8 4.0 3.4 3.2 3.6 (資料) eol AsiaOne
4 （３）鹿島建設 第3 位は鹿島建設。以下清水建設、大和ハウス工業、大林組、大成建設、大東建託、住友林業と日本 を代表する建設あるいは住宅建設会社が並ぶ。しかし、日本の建設会社を取り巻く環境は厳しい。最大 の理由は建築と土木を合計した建設投資が長期的な低下傾向にあることだ。国土交通省の｢平成21 年度 建設投資見通し｣によると、平成12 年度の建設投資額は総計で 66 兆 1948 億円(うち建築 33 兆 6189 億 円)だったものが、年を追うごとに減少し同 18 年度は 51 兆 3281 億円(うち建築 30 兆 5836 億円)となっ た。この間に22％も減ったうえに、19 年度以降も減り続ける予想されていた。その後の建設投資額の 推移は、みずほコーポレート銀行によると、09 年度が 42.2 兆円(実績)、10 年度が 39.6 兆円と 40 兆円 を割り込み、11 年度は 40.5 兆円とかろうじて 40 兆円台を回復する見通しである（「産業調査」2011 年、 173 頁）。 鹿島建設は 1840(天保 11)年創業の日本を代表する大手建設会社、1965 年には日本初の超高層ビル、 霞が関ビル（地上 36 階）着工(完成は 1968 年)したほか、1967 年には東京電力福島原子力発電所、1972 年には青函トンネルを着工するなど日本の土木、建築史に登場する主要な建築物を手掛けていることで 知られている。 ちなみに鹿島建設の業績の推移をみると図表5 のとおりである。 図表5 鹿島建設の業績の推移 (単位：億円、％) 科目 年度 売上高 営業利益 当期純利益 売上高 営業利益率 建設受注高 2001 20,603 423 －411 2.1 14,094 2002 18,748 362 101 1.9 12,730 2003 16,161 463 －48 2.9 13,127 2004 16,824 470 131 2.8 16,193 2005 17,708 556 221 3.1 14,627 2006 18,913 554 413 2.9 16,125 2007 18,940 180 407 1.0 16,772 2008 19,485 196 －62 1.0 15,854 2009 16,373 －67 132 －0.4 11,383 2010 13,256 172 258 1.3 11,884 2011(予想) 14,700 340 170 2.3 ― (資料) eol AsiaOne (注) 数字は連結決算、2011 年度の数字は鹿島建設の「決算短信」から引用。 図表5 によると、鹿島建設の業績は年を追うごとに厳しさを増しているように見える。2011 年度は 10％程度の増収を見込むが利益の水準はかってに比べるとなお低い水準にとどまる。 同社は今後の経営戦略、対処すべき課題（平成23 年｢決算短信｣5 頁）のなかで、国内建設事業は一 層の原価低減努力と技術力を生かした採算重視の受注方針により収益力のさらなる向上を目指すと同 時に、海外建設事業は施行中工事の採算性の改善とアジア圏を中心とした有望市場を対象とした営業の 強化を図ると述べている。
5 鹿島建設の海外売上高比率は、それまでの10％台から 2008 年に 20.4％と初めて 20％台に乗せたが、 その後は17.4％、14.7％と低下している。 第4 位の清水建設も国内市場の頭打ちを受けて海外市場の開拓に取り組む方針。その前段階として、 2012 年春入社の新卒採用に同社として初めて留学生専用の説明会を開催した（「日本経済新聞」、2011 年4 月 25 日付け朝刊）。留学生も日本人社員と同様総合職社員として育て、アジアなどで顧客や協力会 社との橋渡し役になることを期待している。 ３ 東南アジアの建設会社 （１）マレーシア 国・地域別では日本に次いで第2 位となったのがマレーシア。売上高で第 42 位の WCT Berhad、 第43 位の IJM Corporation Berhad、第 60 位の Sunway Holdings Berhad などが同国での大手企 業。社名の後のBerhad は公開会社を意味するマレー語である。 WCT Berhad は 1981 年に設立、1995 年上場を果たした。事業セグメントはエンジニアリングが 89.0％、不動産の建設と開発が 9.7％、不動産開発、投資及び管理が 1.3％となっている。 2009 年の売上高は 1262 億 4000 万円となったため、第 42 位になった。しかし 2010 年は売上高が 450 億円の大幅に減ったため、順位は後退している。 図表6 WCT Berhad の 業績の推移 (単位：百万円、％) 年 科目 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 47,267 93,973 99,710 126,240 45,000 営業利益 5,836 10,157 4,781 6,604 7,905 当期利益 2,973 4,995 2,684 3,979 3,717 売上高営業利益率 12.4 10.8 4.8 5.2 17.6 売上高当期利益率 6.3 5.3 2.7 3.2 8.3 (資料) eol AsiaOne IJM Berhad は、1983年の設立。同社はマレーシアの有力な建設会社グループの1つであり、マレ ーシア証券市場に上場している。建設、不動産開発、コンクリート及び関連製品の製造、パーム油農園 及び同関連製品、通行料収入など建設業以外の事業を営んでいる。同社のビジョンは世界水準のインフ ラストラクチャーと建築物(建物)の国際的に競争力のある建設者であることとしている（同社2009年度 ｢アニュアルレポート｣4頁）。 同社の業績の推移は図表7のとおりである。
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図表7 IJM Berhadの 業績の推移 (単位：百万円、％) 年 科目 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 61,193 78,979 144,385 124,627 115,041 営業利益 10,318 13,143 －184 18,839 21,460 当期利益 5,138 6,640 16,203 7,860 9,532 売上高営業利益率 16.9 16.6 －0.1 15.1 18.7 売上高当期利益率 8.4 8.4 11.2 6.3 8.3 (資料) eol AsiaOne Gamuda Berhad は 1976 年設立、1992 年に上場した。事業セグメントは土木エンジニアリングが 73.3％、不動産開発が 21.2％、水道事業などの供給サービスが 5.4％ となっている。同社の業績の推移は図表8 のとおりである。 図表 8 Gamuda Berhad の 業績の推移 (単位：百万円、％) 年 科目 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 38,391 52,257 79,787 73,700 66,628 営業利益 4,208 5,767 10,698 4,966 7,051 当期利益 4,931 6,390 10,790 5,234 7,617 売上高営業利益率 11.0 11.0 13.4 6.7 10.6 売上高当期利益率 12.8 12.2 13.5 7.1 11.4 (資料) eol AsiaOne （２）タイタイでは18 社の建設会社が事業を展開している。このうち大手の CH.KARNCHANG PUBLIC COMPANY LIMITED が第 93 位、SINO-THAI ENGINEERING AND CONSTRUCTION PUBLIC CO.,LTD.が第 96 位に入った。 CH.KARNCHANG PUBLIC COMPANY LIMITED の事業構成は、ほぼ 100％が建設業。
図表9 CH.KARNCHANG PUBLIC COMPANY の業績の推移 (単位：百万円、％) 年 科目 2005 2006 2007 2008 2009 売上高 39,099 63,455 50,811 34,628 35,711 営業利益 2,188 2,091 156 635 －347 当期利益 5,123 －16,121 －2,163 3,679 －278 売上高営業利益率 5.6 3.3 0.3 1.8 －1.0 売上高当期利益率 5.0 －6.3 0.1 4.1 0.7 (資料) eol AsiaOne 業績は必ずしも順調ではないようだ。図表9 に載せていないが 2010 年に入っても第 3 四半期まで連
7 続して営業赤字が続いている。
SINO-THAI ENGINEERING AND CONSTRUCTION の業績は前半が赤字だったが、2008 年からは売上規模は ほぼ半減したが黒字体質に転換した。
図表10 SINO-THAI ENGINEERING AND CONSTRUCTION の業績の推移 (単位：百万円、％) 年 科目 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 48,473 64,735 38,047 33,280 25,097 営業利益 －5,807 －222 514 600 1,132 当期利益 －17,634 98 1,334 2,442 3,594 売上高営業利益率 －12.0 －0.4 1.4 1.8 4.5 売上高当期利益率 －12.1 0.12 1.2 2.5 4.8 (資料) eol AsiaOne （３）シンガポール
シンガポールには14 社の建設会社がある。このうち第 115 位に Chip Eng Seng Corporation Limited、 第116 位に Tiong Seng Holdings Limited、さらに第 120 位に NSL Ltd が大手 3 社。
Chip Eng Seng Corporation の事業構成は建設が 64.0％、不動産開発が 35.6％、残りが不動産投資その他 である。同社は1960 年代に創業、1982 年に公共住宅市場に参入した。以来、公共及び民間の建設プロ ジェクトの代表的な主契約者としての地位を確立した。
業績の推移は図表11 のとおり。2010 年度は現地通貨建てベースで対前年比 26.7％の増収、同 45.6％ の増益を達成した。これは主に不動産開発収入が296.5％増となったことが貢献したもの。ただ、主力 の建設は7.9％減収になった（同社 2010 年度「アニュアルレポート」8 頁）。
図表11 Chip Eng Seng Corporation の業績の推移 (単位：百万円、％) 年 科目 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 12,821 15,614 22,320 24,824 30,193 営業利益 418 －720 －234 －862 1,715 当期利益 2,286 7,814 5,524 9,931 13,885 売上高営業利益率 3.3 －4.6 －1.1 －3.5 5.7 売上高当期利益率 8.9 25.3 12.4 20.0 23.0 (資料) eol AsiaOne
Tiong Seng Holdings は建設プロジェクトの比率が 90％、不動産開発が 9％、残りがその他という事業 構成になっている。業績は2009 年に大きく躍進したが、2010 年度はその反動が出た格好。
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図表12 Tiong Seng Holdings の業績の推移 (単位：百万円、％) 年 科目 2006 2007 2008 2009 2010 売上高 10,318 17,131 17,141 24,770 15,969 営業利益 1,704 1,752 172 3,124 798 当期利益 1,775 1,827 1,073 6,135 2,843 売上高営業利益率 16.5 10.2 1.0 12.6 5.0 売上高当期利益率 17.2 4.7 3.4 11.0 8.5 (資料) eol AsiaOne ４ むすび アジアの建設会社は全体として活況を維持している。特に中国の企業は高度成長を背景に業容の拡大 が進むと思われる。また東南アジア諸国も相対的に高い成長が予想されており、概して同様の傾向にあ る。 一方、内需に主に依存してきた日本の建設会社は、国内の建設需要の先細りが予想される中で、環境・ エンジニアリング分野への取り組みを強化するとともに、海外事業の立て直しへ動かざるを得ないとの 意見もある（みずほコーポレート銀行「産業調査」2011 年、178 頁）、特に成長が期待されるアジア市 場への本格的な展開が避けられない選択肢の一つになっている。 ただし海外工事は採算管理が難しいといわれる。例えば鹿島建設は、大林組とトルコのヤビ社と組ん で、アラブ首長国連邦のドバイ道路交通局から都市交通システムの建設工事(工事名称：ドバイメトロプ ロジェクト建設)を平成 17 年 7 月に受注した。しかし受注後の設計変更及び追加工事の発生により、採 算が悪化し、平成21 年 3 月期と同 22 年 3 月期に損失処理を余儀なくされた。特に 22 年 3 月期は 67 億円の連結営業赤字を計上する一因となった（「鹿島建設「有価証券報告書」22 年 3 月期、18 頁」）。 新幹線、上下水道、再生可能エネルギー、原子力発電などのインフラ整備は、先進国はもとより、新 興国で旺盛な需要が見込まれているなか、日本政府もモノを単体で輸出するだけではなく、システム全 体や付随サービスを含めた海外でのパッケージ型インフラの事業展開を後押ししようとしている（「日 本経済新聞」2010 年 11 月 23 日付け朝刊、ゼミナール[インフラの海外展開]参照）。そうした流れが本 格化すれば、建設需要もそれ相応に見込めることになる。 日本の建設会社はもともと高い技術力を持っているし、第2 次世界大戦前から海外工事の経験のある 会社も多い。今後、採算管理の一層の徹底を図ることにより、利益貢献が期待できる案件を選別しなが ら海外への展開が進んでいけば、日本の建設会社が復活していくことも可能性も十分にあると考えられ る。
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図表13 101 社から会社名の一覧
101マレーシアMTD Capital Berhad 185マレーシア YNH Property Bhd
102マレーシアUBG Berhad 186 台湾 LongDa Construction & Development Corpor 103 日本 SUMIKEN MITSUI ROAD CO.,LTD. 187 香港 Deson Development Int'l Holdings Ltd. 104 フィリピン House of Investments, Inc. 188マレーシア United Malayan Land Berhad
105 タイ TOYO-THAI CORPORATION PUBLIC COMPANY LIMITED 189マレーシア Karambunai Corp Berhad 106 日本 FUJI FURUKAWA ENGINEERING & CONSTRUCTION 190マレーシア LBS Bina Group Berhad 107 日本 Nishinippon Sys Installations & Const. 191 日本 SANTO CO.,LTD. 108マレーシアMTD ACPI Engineering Berhad 192マレーシア Magna Prima Berhad 109 中国 Tengda Construction Group Co., Ltd. 193 日本 NITTOH CORPORATION 110 日本 TENOX CORPORATION 194マレーシア FajarBaru Builder Group Berhad 111 日本 TOMOE CORPORATION 195マレーシア KSL Holdings Berhad
112 日本 NIPPON DENTSU CO.,LTD. 196マレーシア Prinsiptek Corporation Berhad
113 日本 MIKIKOGYO CO.,LTD. 197 タイ THAI POLYCONS PUBLIC COMPANY LIMITED 114マレーシアMalaysian Resources Corporation Berhad 198マレーシア Mahajaya Berhad
115シンガポールChip Eng Seng Corporation Limited 199 タイ TRC CONSTRUCTION PUBLIC COMPANY LIMITED 116シンガポールTiong Seng Holdings Limited 200 日本 KANDA TSUSHINKI CO.,LTD.
117 日本 NISSEI BUILD KOGYO CO.,LTD. 201マレーシア TSR Capital Berhad
118マレーシアKUB Malaysia Berhad 202マレーシア Melati Ehsan Holdings Berhad
119 台湾 New Asia Construction & Development Corp 203 タイ PRE-BUILT PUBLIC COMPANY LIMITED
120シンガポールNSL Ltd 204 タイ ASCON CONSTRUCTION PUBLIC COMPANY LIMITED
121 日本 FUJITA ENGINEERING CO.,LTD. 205 タイ DEMCO PUBLIC COMPANY LIMITED 122 日本 Br. Holdings Corporation 206 日本 SEED CO.,LTD.
123マレーシアSunrise Berhad 207マレーシア A & M Realty Berhad 124シンガポールKoh Brothers Group Limited 208マレーシア Zecon Berhad
125 台湾 New Asia Construction & Development Corp 209 中国 Guangzheng Steel Structure Co., Ltd. 126 香港 Shanghai Tonva Petrochemical Co., Ltd 210 日本 A.C HOLDINGS Co.,Ltd.
127シンガポールKSH Holdings Limited 211マレーシア Nilai Resources Group Berahd 128マレーシアBina Puri Holdings Berhad 212 日本 SAITA CORPORATION 129シンガポールLian Beng Group Limited 213マレーシア Pintaras Jaya Berhad 130 日本 YAMAURA CORPORATION 214マレーシア Tahps Group Berhad
131マレーシアMudajaya Group Berhad 215 中国 Xinjiang Huitong (Group) Co., Ltd. 132 日本 KUDO CORPORATION 216マレーシア South Malaysia Industries Berhad 133マレーシアMah Sing Group Berhad 217マレーシア OSK Property Holdings Berhad 134マレーシアProtasco Berhad 218マレーシア Kumpulan Hartanah Selangor Berhad 135 タイ SYNTEC CONSTRUCTION PUBLIC COMPANY LIMITED 219マレーシア Daiman Development Berhad 136 香港 China Singyes Solar Technologies Holdings Ltd. 220マレーシア Oriental Interest Berhad 137 日本 Daiwa Densetsu Corporation 221マレーシア PLB Engineering Berhad
138マレーシアNaim Holdings Berhad 222 台湾 Kobin Environmental Enterprise Co., Ltd. 139シンガポールLum Chang Holdings Limited 223マレーシア Pasdec Holdings Berhad
140 日本 Suzunui Industry Co.,Ltd. 224 日本 OHMORI CO.,LTD. 141マレーシアTRC Synergy Berhad 225マレーシア Hua Yang Berhad
142 日本 Joban Kaihatsu Co.,Ltd. 226マレーシア Perak Corporation Berhad 143シンガポールWee Hur Holdings Limited 227マレーシア Hunza Properties Berhad
144シンガポールBBR Holdings (Singapore) Limited 228シンガポール China Great Land Holdings Limited 145 台湾 Hwang Chang General Contractor Co., Ltd. 229マレーシア Farlim Group (Malaysia) Berhad
146 台湾 Evergreen Construction Corp. Ltd. 230 タイ THAI INDUSTRIAL & ENGINEERING SERVICE PUBLIC COMPANY LIMITED
147シンガポールUnited Fiber System Limited 231マレーシア Merge Housing Berhad 148マレーシアGolden Plus Holdings Berhad 232マレーシア Sycal Ventures Berhad 149 日本 AOKI MARINE CO.,LTD. 233マレーシア Gromutual Berhad
150 フィリピン EEI Corporation 234 タイ BTS GROUP HOLDINGS PUBLIC COMPANY LIMITED 151 台湾 Evergreen Construction Corp. Ltd. 235マレーシア Ho Hup Construction Company Berhad
152 日本 SONEC CORPORATION 236マレーシア SBC Corporation Berhad 153マレーシアAhmad Zaki Resources Berhad 237マレーシア Lebar Daun Berhad
154 タイ CHRISTIANI & NIELSEN (THAI) PUBLIC COMPANY LIMITED 238マレーシア Lien Hoe Corporation Berhad 155 日本 KOATSU KOGYO CO.,LTD. 239 香港 Tsun Yip Holdings Limited 156 香港 Hanison Construction Holdings Limited 240マレーシア Dolomite Corporation Berhad 157 台湾 Hwang Chang General Contractor Co., Ltd. 241 香港 WLS Holdings Limited
158マレーシアMalton Berhad 242 タイ PYLON PUBLIC COMPANY LIMITED
159 日本 TAKAHASHI CURTAIN WALL CORPORATION 243 タイ FOCUS DEVELOPMENT AND CONSTRUCTION PUBLIC COMPANY LIMITED
160マレーシアMutiara Goodyear Development Berhad 244マレーシア LBI Capital Berhad 161 日本 The Kaneshita Construction Co.,Ltd. 245マレーシア Country View Berhad
162 日本 Giken Kogyo Co.,Ltd. 246 香港 Summit Ascent Holdings Limited 163マレーシアHock Seng Lee Berhad 247マレーシア Y&G Corporation Bhd
164 日本 NIPPON KANRYU INDUSTRY CO.,LTD. 248マレーシア Bertam Alliance Berhad 165マレーシアMetro Kajang Holdings Berhad 249マレーシア Land & General Berhad
166マレーシアGlomac Berhad 250シンガポール Yoma Strategic Holdings Limited 167マレーシアTriplc Berhad 251 日本 mbs,inc.
168 タイ UNIQUE ENGINEERING AND CONSTRUCTION PUBLIC COMPANY LIMITED 252 日本 CREA HOLDINGS,Inc.
169マレーシアKumpulan Perangsang Selangor Berhad 253マレーシア Ken Holdings Berhad 170 タイ NAWARAT PATANAKARN PUBLIC COMPANY LIMITED 254マレーシア Focal Aims Holdings Berhad 171マレーシアCrest Builder Holdings Berhad 255マレーシア Damansara Realty Berhad 172マレーシアMitrajaya Holdings Berhad 256シンガポール Goodland Group Limited
173マレーシアIreka Corporation Berhad 257 中国 Shanghai Huili Building Materials Co., Ltd. 174シンガポールOKP Holdings Limited 258マレーシア PLS Plantations Berhad
175マレーシアDijaya Corporation Berhad 259 タイ SCAN GLOBAL PUBLIC COMPANY LIMITED 176マレーシアEastern & Oriental Berhad 260マレーシア Naim Indah Corporation Berhad
177マレーシアAjiya Berhad 261マレーシア Mulpha Land Berhad
178マレーシアEkovest Berhad 262 香港 Richly Field China Development Limited 179マレーシアDKLS Industries Berhad 263 フィリピン Supercity Realty Development Corporation 180マレーシアSHL Consolidated Berhad 264マレーシア Fountain View Developement Berhad 181マレーシアLoh & Loh Corporation Berhad 265マレーシア Ibraco Berhad
182マレーシアGadang Holdings Berhad 266 タイ POWER-P PUBLIC COMPANY LIMITED 183マレーシアMK Land Holdings Berhad 267マレーシア Ark Resources Berhad
