財政制度等審議会 財政投融資分科会
説明資料
(官民ファンドに係る論点等)
平 成 2 9 年 1 1 月 8 日
財 務 省 理 財 局
資料2
<目
次>
1.我が国におけるリスクマネー供給と官民ファンド
2.論点① 官民ファンドの事業状況と資金調達
(1)事業状況
(2)資金調達
3.論点②
JICT及びA-FIVEからの制度要求
4.論点③ 企業の生産性向上等に向けた課題
1.我が国におけるリスクマネー供給と官民ファンド
2.論点① 官民ファンドの事業状況と資金調達
(1)事業状況
(2)資金調達
3.論点②
JICT及びA-FIVEからの制度要求
4.論点③ 企業の生産性向上等に向けた課題
○
我が国では、米英のみならず中国やインドと比較しても、
PEファームの数は少なく、
オーストラリアや韓国と同水準。また、投資金額の面でも、
PEの投資規模は新興国と
同水準で、ベンチャーキャピタルについても、米国の
1/80にとどまっている。
参考:経済産業省「第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会」(2017年10月18日)事務局及び(一社)日本ベンチャーキャピタル協会説明資料 (注)活動中のPEファーム数は2016年8月30日時点、PEの投資金額は2016年8月までの20年間、それぞれThomson Reuterデータベースより集計。なおPEの投資金額は金額公表案件のみを集計。 VC投資金額は2016年の数値。活動中のPEファーム数
各国の
PE・VCの活動状況
1
-1 民間からのリスクマネー供給の状況①
PEの投資金額(過去20年間)
3,223 844 702 590 541 334 304 197174
103 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 2,346 493 175 159 146 109 8567
40 36 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 75,900950
0 20,000 40,000 60,000 80,000 米国 日本VC投資金額
(件数) (billion USD) (億円)1
-2 官民ファンドの設立
○
我が国においてリスクマネーが十分に供給されていない状況にある中、政府の成長
戦略の実現などの政策的意義があるものに限定して、民業補完を原則としつつ、民間
で取ることが難しいリスクを取ることによって民間投資を喚起(呼び水効果)し、民
間主導の経済成長が実現することを目的として、官民ファンドを設立。
官民ファンドのスキーム
国
民間
官民
ファンド
出資等
投資先
企業
サブ
ファンド
出資等
出資等
産投出資/
一般会計出資
出資等
※サブファンドを用いる場合
呼び水効果
呼び水効果
民間
民間
出資等
出資等
資金調達に係る
政府保証
1
-3 官民ファンドの位置付けと他の資金供給主体
○
投資事業に対する資金供給主体としては、官民ファンド以外にも民間事業者や一般
会計などが存在。官民ファンドは、「投資収益の論理」と「政策目的(公共政策)」
の重複領域(官民ファンドのストライクゾーン)で機能することが求められている。
参考:財政投融資分科会(平成26年4月7日開催)冨山委員提出資料官民ファンドの
ストライクゾーン
投資収益
政策目的
民間資金
補助金
・交付金
一般会計
1
-4 産業投資の対象となる官民ファンド等
○
以下の官民ファンド等に対して、これまでに
5,891億円の産業投資を措置。
機関名
設立日
(存続期間)
産業投資
(
29年3月末時点)
民間出資
(
29年3月末時点)
産業革新機構
(
INCJ)
21年7月
(
15年間)
2,860億円
(出資)
140億円
特別業務
(国際協力銀行(
JBIC))
28年10月
( - )
525億円
(出資)
-
地域経済活性化支援機構
(
REVIC)
※預金保険機構経由で出資25年3月
(
10年間)
130億円
(出資)
※一般会計出資30億円101億円
農林漁業成長産業化支援機構
(
A-FIVE)
25年1月
(
20年間)
300億円
(出資)
19億円
民間資金等活用事業推進機構
(
PFI推進機構)
25年10月
(
15年間)
100億円
(出資)
100億円
海外需要開拓支援機構
(
CJ)
25年11月
(
20年間)
586億円
(出資)
107億円
特定投資業務
(日本政策投資銀行(
DBJ))
27年6月
(
10年間)
1,150億円
(出資)
※DBJの自己資金1,150億円
海外交通・都市開発事業支援機構
(
JOIN)
26年10月
( - )
190億円
(出資)
59億円
海外通信・放送・郵便事業支援機構
(
JICT)
27年11月
(
20年間)
50億円
(出資)
24億円
1
-5 産投出資機関の状況
○
日本政策投資銀行(
DBJ)や産業革新機構(INCJ)のように「一般分野」を支援対
象とする機関のほか、農業や
ICT(情報通信)、インフラの海外展開など「特定分野」
を支援対象とする官民ファンドが存在。
産投出資機関の状況
参考:財政投融資分科会「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」1
-6 官民ファンド等に対する財政投融資分科会での意見
○
30年度の産投要求は対前年度比で約6割増加。官民ファンドは伸率こそ目立たないが、引き続き多額の印象。編
成にあたっては、妥当性と効率性の観点から精査し、不要不急の案件には予算措置を行わないようお願いしたい。
○
官民ファンドは、先頭を切って民間資金の触媒となっている。問題は波及効果があるかどうか。財投から金を
出しても民間がついてこない原因として、リスク特性が合わないといったいくつかの議論があるが、民間金融シ
ステムに問題があるのではないか。
○
銀行や企業は資金余剰の状態であるにもかかわらず、リスクマネー需要に対し資金を十分供給していないのが
根本的な問題。理論的には、民間から資金が供給されないのは、リスクに対し臆病になっている、もしくは、民
間では割高な資本コストが要求されるため、それに見合う案件が見つからないのいずれかではないか。
○
他方、現実には、官民ファンドの投資案件の中には、利益がでているものもあると思われるが、民間は、その
ような案件になぜ出資しなかったのかが問われるべきではないか。
○
クロスボーダーでの案件は、エクイティを誰がとるのかが重要。出資は融資とは目利きの性質が異なるため、
有能な人材が限られている。類似の投資対象について、官民ファンドが複数存在することは人的資源を分散させ
る一因になっており、能力ある人材を集約するべきではないか。
財政投融資分科会(平成29年10月19日)での主な意見
1.我が国におけるリスクマネー供給と官民ファンド
2.論点① 官民ファンドの事業状況と資金調達
(1)事業状況
(2)資金調達
3.論点②
JICT及びA-FIVEからの制度要求
4.論点③ 企業の生産性向上等に向けた課題
2
-(1) 官民ファンドの事業状況①
○
30年度において、産業投資を相当程度(100億円以上)要求している4ファンド
(
A-FIVE、CJ、JOIN、JICT)の計画と実績は以下のとおり。
(注)計画は、28年度までは補正後計画ベース。29年度は当初計画、30年度は要求。 【A-FIVE】 (単位:億円) 産業投資 (b) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 産業投資 (d) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 24年度 400 400 - - 20 △ 20 - 300 - - 18 △ 318 0.0% 75.0% 25年度 350 350 - - - - 2 - - - - 2 0.5% 0.0% 26年度 350 150 - 30 - 170 13 - - - 0 13 3.6% 0.0% 27年度 200 50 - - - 150 32 - - - - 32 16.0% 0.0% 28年度 200 50 - - - 150 12 - - - 1 11 5.8% 0.0% 合計 1,500 1,000 - 30 20 450 58 300 - - 19 △ 261 3.9% 30.0% 29年度 267 130 - - - 137 30年度 225 185 - - - 40 投資計画 (a) 計画 投資実績 (c) 実績 投資 執行率 (c/a) 産業投資 執行率 (d/b) (参考) 財源 財源 【CJ】 (単位:億円) 産業投資 (b) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 産業投資 (d) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 25年度 550 500 - - 100 △ 50 - 300 - - 85 △ 385 0.0% 60.0% 26年度 350 300 - 115 - △ 65 216 116 - - 21 79 61.6% 38.7% 27年度 260 100 - 250 - △ 90 70 - - - 1 69 27.1% 0.0% 28年度 350 200 - 270 - △ 120 24 170 - - - △ 146 6.8% 85.0% 合計 1,510 1,100 - 635 100 △ 325 310 586 - - 107 △ 383 20.5% 53.3% 29年度 400 210 - 310 - △ 120 30年度 400 250 - 325 - △ 175 投資実績 (c) 財源 計画 実績 (参考) 投資計画 (a) 投資 執行率 (c/a) 産業投資 執行率 (d/b) 財源2
-(1) 官民ファンドの事業状況②
【JOIN】
(単位:億円) 産業投資 (b) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 産業投資 (d) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 26年度 1,105 585 510 - 40 △ 30 - 150 - - 54 △ 204 0.0% 25.6% 27年度 752 372 340 94 5 △ 59 87 - - - 5 82 11.6% 0.0% 28年度 1,096 432 613 97 - △ 46 21 40 - - - △ 19 2.0% 9.3% 合計 2,953 1,389 1,463 191 45 △ 135 109 190 - - 59 △ 141 3.7% 13.7% 29年度 1,226 649 488 89 - -30年度 1,332 639 629 64 - -計画 実績 投資計画 (a) 投資実績 (c) 財源 財源 (参考) 投資 執行率 (c/a) 産業投資 執行率 (d/b)【JICT】
(単位:億円) 産業投資 (b) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 産業投資 (d) 政府保証 (5年以上) 政府保証 (5年未満) 民間出資 その他 27年度 270 200 - 70 20 △ 20 - 19 - - 19 △ 37 0.0% 9.4% 28年度 679 222 457 - 2 △ 2 13 32 - - 5 △ 24 1.9% 14.2% 合計 949 422 457 70 22 △ 22 13 50 - - 24 △ 61 1.4% 11.9% 29年度 416 190 226 - - -30年度 502 252 250 - - -財源 財源 計画 実績 投資計画 (a) 投資実績 (c) (参考) 投資 執行率 (c/a) 産業投資 執行率 (d/b) (注)計画は、28年度までは補正後計画ベース。29年度は当初計画、30年度は要求。2
-(1) 官民ファンドの事業状況③
○
4ファンドの投資実績と運営経費の実績は以下のとおり。
各官民ファンドの投資実績と運営経費
【A-FIVE】
(単位:億円)人件費
調査費
その他経費
24年度
-
-
1
1
0
1
0.0%
25年度
2
-
8
4
0
4
436.2%
26年度
13
0
10
5
1
5
80.6%
27年度
32
0
11
5
1
5
33.7%
28年度
12
1
11
6
1
5
98.8%
累計
58
1
41
20
2
19
71.5%
運営経費
(b)
投資実績に対する
運営経費の割合
(b / a)
投資実績
(a)
回収額等
【CJ】
(単位:億円)人件費
調査費
その他経費
25年度
-
-
6
1
-
4
0.0%
26年度
216
0
16
8
-
8
7.2%
27年度
70
0
15
8
-
7
21.4%
28年度
24
7
19
9
1
8
80.0%
累計
310
7
55
27
1
27
17.9%
投資実績に対する
運営経費の割合
(b / a)
投資実績
(a)
回収額等
運営経費
(b)
【JOIN】
(単位:億円)人件費
調査費
その他経費
26年度
-
-
3
2
0
1
0.0%
27年度
87
-
11
5
2
5
13.0%
28年度
21
-
13
6
2
6
62.2%
累計
109
-
27
13
3
11
25.2%
投資実績
(a)
回収額等
運営経費
(b)
投資実績に対する
運営経費の割合
(b / a)
【JICT】
(単位:億円)人件費
調査費
その他経費
27年度
-
-
3
1
0
2
0.0%
28年度
13
-
4
3
0
1
32.4%
累計
13
-
7
3
0
3
51.6%
投資実績に対する
運営経費の割合
(b / a)
投資実績
(a)
回収額等
運営経費
(b)
2
-(2) 資金調達①(コスト)
<外貨の調達コスト>
産業投資⇒通貨スワップ(円貨⇒外貨)
政府保証外債・借入
・法人事業税:0.525%
(産投出資が機構の資本金となるため、資本金に対する
法人事業税(資本割)が毎年度課税される
(注1))
・登録免許税:0.7%
(産投出資が機構の資本金となるため、増加した資本金
の額に対する登録免許税が課税される
(注2))
・通貨スワップコスト:2.89%
(注3)<円貨の調達コスト>
産投出資
政府保証国内債・借入
・法人事業税:0.525%
(産投出資が機構の資本金となるため、資本金に対する
法人事業税(資本割)が毎年度課税される
(注1))
・登録免許税:0.7%
(産投出資が機構の資本金となるため、増加した資本金
の額に対する登録免許税が課税される
(注2))
(注1)東京都の平成30年度における外形標準課税法人の資本割の税率。なお、REVICとPFI推進機構については、資本割に係る課税標準の特例措置が適用されている。 (注2)株式会社が資本金増加の登記をする場合の適用税率 (注3)平成29年3月における財投機関の取引例 発行機関 発行日 償還期限等 利率 ㈱日本政策金融公庫 H29.9.25 政府保証国内債(6年) 0.001% ㈱日本政策投資銀行 H29.9.15 政府保証国内債(10年) 0.090% ㈱民間資金等活用事業推 進機構(PFI推進機構) H29.3.30 政府保証国内債(10年) 0.145%・発行例
発行機関 発行日 償還期限等 利率 ㈱日本政策投資銀行 H29.9.1 政府保証米ドル債(10年) 2.625% ㈱国際協力銀行 H29.7.21 政府保証米ドル債(10年) 2.875% ㈱国際協力銀行 H29.7.21 政府保証米ドル債(5年) 2.375% ㈱国際協力銀行 H29.7.21 政府保証米ドル債(3年) 2.125%・発行例
2
-(2) 資金調達②(民間ファンドの例)
○
民間ファンドでは、エクイティだけでなく一部デットによりリスクマネー供給の財
源を調達。他方、
4ファンドは全額を出資により調達。
民間ファンドの資金調達の例
(
28年度末)
官民ファンドの資金調達
(
28年度末)
(単位:億円)
借入・債券
資本剰余金
資本金及び
㈱ジャフコ
43
661
日本アジア投資㈱
183
89
アジア開発キャピタル㈱
12
55
(単位:億円)
借入・債券
資本剰余金
資本金及び
A-FIVE
-
319
CJ
-
693
JOIN
-
249
JICT
-
74
2
論点
<論点>
●
各ファンドの投資計画額と実績を踏まえ、適切な投資計画の策定についてどう考えるか。
1.我が国におけるリスクマネー供給と官民ファンド
2.論点① 官民ファンドの事業状況と資金調達
(1)事業状況
(2)資金調達
3.論点②
JICT及びA-FIVEからの制度要求
4.論点③ 企業の生産性向上等に向けた課題
3
-1 JICTの支援対象の拡充①(制度要求の概要)
○
総務省・
JICTより、概要以下の新たな制度要求がある。
現行の支援対象
○ 現行、
JICTの支援対象は、通信・放送等に関するインフラ整備を伴う事業。
(参考)JICT支援基準(抄)
通信・放送・郵便に係るインフラの整備及びその運営若しくは維持管理又はこれらと当該インフラを活用したICT
サービス若しくは放送コンテンツの提供等をパッケージで行おうとするもの。
制度要求の概要
○
インフラの整備を伴わない事業(ソフト事業)について、多数の個人や企業が活動を行う上で共通して利
用するサービス(決済など)を提供する事業(プラットフォーム事業)のうち、特に重要なものを支援対
象に追加。
新規の制度要求の概要
検討の視点
○
JICTは、インフラ整備事業では、①大きな初期投資が必要、回収期間が長期にわたる、②相手国の法制変更リスク
や自然災害リスクがあるなど、民間が対応困難なリスクがあること等を理由に設立。こうしたことを踏まえれば、
支援対象は、大きな初期投資や資金回収リスク、規制変更など民間では対応困難な事情が認められる必要。
○
また、
CJ機構がコンテンツ・アプリを支援対象とするため、JICTはインフラの整備を伴う事業を対象とした経緯。
①
JICTの設立趣旨等との関係
3
-1 JICTの支援対象の拡充②(視点)
<論点>
●
JICTの設立趣旨や民間企業の海外展開の状況に留意する必要がある一方、ソフト分野でも、政
府施策等に基づく事業の場合、民間企業が対応困難なリスクがありうることも踏まえ、どのよう
な事業がJICTの支援対象に相応しいと考えるか。
参考:総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)○ 近年、民間事業者でも、政府支援を受けずに海外のソフト分野への積極的展開。
(参考1)モバイルコンテンツ市場拡大の取り込みの例 S社は、北京、上海、ベトナムに拠点設立。ベトナムでは、平成21年よりのべ10社の地場大手ICT企業に出資。 (参考2)プラットフォーム事業の海外展開の例 R社は、ドイツ、中国、インドネシア等に進出し、様々な業者が共通して利用できるキャッシュ・オン・デリバリーの決済サービスを提供。② 民間事業者の動き
○ プラットフォーム事業には、様々なものがあり、①公共サービスとして提供されるもの、②個別ビジネスと
して競争的に提供されるものの他に、③近年特に、既存産業と
ITの融合の進展に伴い、民間事業者が提供す
るものであるが、個人や企業が活動する上での共通基盤として、協調して提供されるものがある。
○ 特に、新興国では、③の事業を、政府等の政策・施策に位置づけられた事業として、
ITシステムの整備を行
うケースが増大(例えば、カンボジアの証券取引所システムなど)。海外展開の有力分野となっているが、
①当該国の政府の政策と密接に関連し、②関係者が多数となり、事業内容の調整にリスクがあることなどが
指摘されている。
③
プラットフォーム
事業
区分 事業規模 6次産業化