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東日本大震災で支払われた地震保険金の使途とその経済波及効果

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【査読済み論文】

東日本大震災で支払われた地震保険金の

使途とその経済波及効果

野 崎 洋 之

■アブストラクト 保険には一定の経済波及効果が期待され,特に損害保険分野における財物 保険は,その補償が,毀損した財物の復旧を目的にしていることから,大き な経済波及効果を生む可能性がある。 本研究では,損害保険の経済波及効果に関する実証研究として「地震保 険」,殊に「東日本大震災で支払われた地震保険金」に着目し,その保険金 の使途等に関する調査を実施した。その結果,地震保険金の6割近くが建築 修繕費に充てられており,地域間産業連関表(2005)を用いて地震保険金の 経済波及効果の推計を行ったところ,東日本大震災で支払われた地震保険金 は3兆円を超える経済波及効果を有し,災害復興に大きく貢献していること が明らかになった。 一方で,本研究が地震保険の価値を相対的に評価できていないことを認識 した上で,保険金の使途に関する知見が十分に蓄積されていない現状を踏ま え,更なる実証研究の実施と比較研究の必要性を今後の課題として纏めた。 ■キーワード 東日本大震災,地震保険,経済波及効果 *平成27年3月6日の日本保険学会関東部会報告による。 / 平成27年3月9日原稿受領。

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1.はじめに そもそも「保険(保険業)」について,経済波及効果の有無を問うた場合, 保険者の責任の開始時点(消費者が保険者に保険料を支払った時点)で,保 険料のうち,特に付加保険料部分について一定の経済波及効果が期待される。 しかし,付加保険料は保険料全体の一部(半分に満たない)に過ぎないこと と,その多くが保険会社の社員や募集人の給与(生活資金)等に充てられる ことから,その効果は,決して大きいとは言えない。 一方で,特に損害保険分野における財物保険の保険事故が発生した場合に は,その補償が毀損した財物の修復を目的にしているため,支払われる保険 金(損害保険金)は大きな経済波及効果を生む可能性がある(図1)。また, 大規模な自然災害の復興に,金融・保険は有用に機能することを示した研究 もある1) 。では,世界的にみても優れた自然災害保険のひとつとされる日本 の地震保険(家計分野)2) の保険金は,どのような経済波及効果を有してい 図1 損害保険分野におけるお金の流れ(模式図) 出所)筆者作成3)

1) Peter, G. v., S. v. Dahlen and S. Saxena (2012),pp. 21-22.

2) 日本の地震保険制度(家計分野)についての最新の概説書として,高橋 (2012)がある。

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保険学雑誌 第 633 号 るのであろうか。 地震保険は被災者の生活の安定に寄与するための資金を支給する費用保険 としての性格が色濃いものである4) 。しかし,地震保険は,財物保険である 火災保険に付帯する募集形態を取っていることや,補償の額(保険金額)が 財物の価額に,保険金の支払方法が財物の損害の程度(主要構造部の損害の 程度)に連動することから,消費者にとっては火災保険に類する補償の保険 に見えている可能性も否めない。 そこで本研究は,東日本大震災で支払われた地震保険金について,「地震 保険金の使途等に関する調査」を実施して実態を把握するとともに,地震保 険金の経済波及効果を推計した。 本稿では,2で先行する調査・研究をレビューして本研究の位置付けを示 し,3及び 4の調査・分析を踏まえ,5で纏めと今後の課題を述べる。 2.先行研究と本研究の位置付け ⑴ 東日本大震災によるストック毀損額の推計 2011年3月11日14時46分に三陸沖で発生した東北地方太平洋沖地震は我が 国に大きな被害を齎した。この地震により,宮城県栗原市では最大震度7を 記録し,東北から関東に至る広い範囲で大きな揺れを観測した。また,地震 の規模を示すマグニチュードは9.0であり,これは国内観測史上最大,世界 的にみても1900年以降に発生した地震の中で4番目に大きいものであった (表1)5) 。更に,東北地方太平洋沖地震では大きな津波も発生し,青森県, 岩手県,宮城県,福島県,千葉県及び茨城県の6つの県の広い範囲で浸水被 害が生じ,その面積の合計は,山手線の内側の面積の約9倍に相当する 4) 地震保険制度に関するプロジェクトチームは,検討にあたって,地震保険制 度の目的に係る議論の明確化を図るため,損壊した財産の回復を図るための財 物保険と「被災者の生活の安定に寄与する」ための資金を支給する費用保険と いう形で,目的に着目して用語を整理している(財務省(2012),2頁)。 5) 内閣府(2012),3頁。

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561㎢に達している6)。また,東北地方太平洋沖地震に端を発して大規模な 余震も多数発生しており,本震(2011年3月11日)以降,マグニチュード 6.5以上或いは震度5弱以上を記録した地震の数は100回を超えている7) 。そ して,これらの被害(ストック毀損額)について,震災直後の早い段階から 世界銀行や内閣府,民間の調査会社などが推計し,公表を行っている。その 中で,最も早く公表したのが世界銀行(World Bank)である。 表1 1990年以降に発生した大規模地震 出所)内閣府(2012)『平成24年版 防災白書』をもとに筆者作成 World Bank(2011)は,直接被害として1,220億ドルから2,350億ドル (GDP の2.5%から4.0%)という推計結果を公表した8) 。次に,内閣府(経 済財政分析担当)(2011)は月例経済報告等に関する関係閣僚会議の中で2 つのケース(ケース1:約16兆円,ケース2:約25兆円)のストック毀損額 を公表した9) 。その後,稲田ら(2011)は,住宅,社会インフラ,民間企業 6) 国土地理院(2011),1-3頁。 7) 気象庁のウェブサイトで,東北地方太平洋沖地震の余震活動の領域内で発生 したM6.5以上もしくは震度5弱以上を観測した地震について確認が可能であ る。閲覧日(2015年3月6日)時点で,本震を含め,107番まで採番されてい る。 8) World Bank(2011),pp. 1-2.なお,東北地方太平洋沖地震(2011年3月11 日)発災当時は1ドル80円程度であったため,世界銀行の推計結果を1ドル80 円で換算すると,9.8兆円から18.8兆円になる。 9) 内閣府(経済分析担当)(2011),1-8頁。推計方法については,岩城,是川, 権田,増田,伊藤(2011)で公表。

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保険学雑誌 第 633 号 設備,自動車・船舶及び流通在庫等について,ストック種類別の被害額の推 計を公表した10) 。その推計結果が表2である。 表2 直接損害~東日本大震災のストック被害額の推計 出所)稲田,入江,島,戸泉(2011),2-6頁より作成 また,武田(2011),石丸(2011),日本政策投資銀行(2011),熊谷ら (2011)及び内閣府(防災担当)(2011)などは,稲田らと同様に,ストック 毀損額についてストック種類別の被害額推計を公表している11) 。ストック毀 損額の合計と,住宅ストックの毀損額を纏めたものが表3である。 そして,これらの推計結果から,東日本大震災によるストック毀損額の合 計が15兆円から20兆円程度で,そのうち,地震保険の保険金の支払いの基準 となる住宅の毀損額が2兆円から5兆円程度と推察される。 10) 稲田,入江,島,戸泉(2011),2-6頁。 11) 武田(2011),3頁。石丸(2011),6-7頁。日本政策投資銀行(2011),1頁。 熊谷,渡辺,神田,長内,笹原(2011),8-15頁。内閣府(防災担当)(2011), 1-3頁。

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表3 東日本大震災による資本ストック毀損額の推計事例 出所)武田(2011),3頁,石丸(2011),6-7頁,日本政策投資銀行(2011),1 頁,熊谷,渡辺,神田,長内,笹原(2011),8-15頁及び内閣府(防災担当) (2011),1-3頁をもとに筆者作成 ⑵ 地震保険の消費者行動に関して先行する調査・研究 地震保険の契約実態を把握する方法として,実際の地震保険契約情報を分 析する方法と,アンケート調査に基づく方法が考えられる。 損害保険料率算出機構や日本損害保険協会は,実際の地震保険契約情報を もとに,定期的に保有契約件数・新契約件数,世帯加入率及び付帯率等の公 表を行っている。しかし,そもそも火災保険・地震保険の申込書に記載され る情報が限定的であるため,詳細な分析は困難である。また,公表されてい る情報について,例えば契約件数も,その契約の保険の対象が建物なのか, 家財なのか,或いはその両方を対象とした契約なのかが明らかではないため, 公開情報をもとにする分析には限界がある。更に,地震保険契約において, 1人の契約者12) が建物と家財をそれぞれ別に契約することも想定される13)こ 12) 地震保険契約において,実際には契約者と被保険者の異なるものや,1人の 契約者に対し,複数の被保険者が存在するものなど,様々な契約形態が考えら

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保険学雑誌 第 633 号 とから,契約件数を世帯数で除すことで算出した世帯加入率は,大まかに普 及の増減の傾向を捉える情報としては一定の意味をなすが,普及状況を測る 物差しとしては信頼性に乏しい14) 。そこで,地震危険や地震防災,地震保険 に関する消費者の意識について多くの調査がなされ知見が蓄積されてきた。 例えば損害保険料率算定会15) は,兵庫県南部地震から4年が経過した時点 で消費者の地震危険に対する意識の調査を行っている。その後も継続して 2004年・2009年・2015年に地震危険(大規模地震を含む)に対する消費者の 意識・行動と,地震に関する危機意識と地震保険加入の関係,地震保険の認 知度に関しての調査結果を公表している。また,「低所得者の場合,高所得 者層とは異なり,いざというときに貯蓄を取り崩すなど,『自己保険』を利 かせる余地は限られている上,当面の生活資金の借り入れも,生活福祉資金 制度など公的な制度に頼るしかない。更に,持ち家世帯であれば,被災した 自宅の補修・建て替えは(被災者生活再建支援金からの200万円の支給があ るとは言え)難しい。低所得者層(特に持ち家世帯)の地震保険に対するニ ーズは高いものと考えられる」とした上で,2008年12月にインターネットに よる調査を実施し,所得が低い世帯の地震保険加入率が進んでいないことを れるが,本稿では,特別の記載を付しない限り,便宜上,契約者と被保険者は 同一で,一対一の関係にあるものとする。 13) 火災保険は自動車保険(強制・任意とも)とは異なり,1つの保険の対象に 対し,複数の保険契約を締結することが可能である。従って,1つの保険に対 し,複数の火災保険が付保され,それに伴って,1つの保険の対象に,複数の 地震保険が付帯されている可能性もある。 14) 地震保険の主契約となる火災保険を契約する際の手続きを考えると,保険の 目的である建物と家財を1保険証券で加入する場合もあれば,銀行から住宅ロ ーンを借りる際に,建物については長期の火災保険(質権設定付きなど)に加 入しており,建物と家財を別の保険証券で加入しなくてはならない場合も往々 にしてあることから,現行の加入率の算出方法が実態を適切に踏まえているか というと疑問であると筆者は指摘している(野崎(2010),144-145頁)。 15) 現・損害保険料率算出機構(2002年7月,損害保険料率算定会と自動車保険 料率算定会の再統合により設立)。

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明らかにした研究もある16)。しかし,これらは「被災を想定した者(消費 者)の地震保険加入・非加入」に関するものであり,「実際に被災した者 (被災者)の地震保険金」に関する調査・研究ではない。 実際に被災した者(被災者)の地震保険金に関する情報を把握する方法と して,地震保険金を支払った者(保険者)を対象にする方法(実際の地震保 険契約情報を対象にする方法)と,地震保険金を受け取った者(被災者)を 対象にする方法が考えられる。その場合,前者は調査対象が特定でき,かつ, そもそも地震保険を取り扱っている保険会社の数が数十社程度と限定的であ ることから,調査の実施は容易である。事実,日本損害保険協会は,東日本 大震災の地震保険金の支払いについて,地震保険を取り扱っている保険会社 の情報を集計し公表を行っている17) 。しかし,かかる調査で収集可能な情報 は,保険会社側で把握することができる情報に限定されることから,地区別 (都道府県別)の事故受付件数や保険金支払件数,支払保険金の額程度に留 まってしまう。一方で,後者を対象にした場合は,より幅広な情報を把握す ることが可能になる。しかし,調査したい内容や,その設問に対して適切な 回答者(標本)を探すことが容易ではない。 被災者を対象にした調査がこのような困難性を有している中で,内閣府 (防災担当)(2011)は,2009年の自然災害で被災者生活再建支援法が適用さ れた地域の被災世帯のうち,2010年12月31日までに支援金の支給実績があっ た世帯(2,374世帯)を対象に,郵送調査法によるアンケートを実施(2009 年2月3日から24日まで)しており,その中で,損害保険等の活用状況の調 査も行っている。しかし,その内容は,損害保険等の加入状況と,住宅の再 建に占める保険金の寄与度をみるに留まっており,地震保険金の使途等,地 震保険金について具体的に言及する設問は設けられていなかった18) 。また, 16) 佐藤(2009),108-109頁。 17) 日本損害保険協会は,2011年4月6日以降,ウェブサイト上で「東日本大震 災に係る地震保険金の支払件数,金額について」の公表を行っている。 18) 内閣府(防災担当)(2011),42-45頁。

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保険学雑誌 第 633 号 地震保険に関連する調査ではないが,被災者の現在の状況に最も相応しい活 動とは何かを把握・検討するために,東北地方太平洋沖地震による津波浸水 被災世帯を対象に行った調査があるが,それは,その調査対象の抽出方法と して,被災前に津波浸水被災区域(町丁目単位)内居住者のうち,世帯主氏 名をゼンリン住宅地図及びハローページ・タウンページ(東日本電信電話株 式会社発行)で特定できた者を抽出し,被災前住所宛に調査票を送付して, 転居届を提出している場合に郵便物が転送される郵便転居・転送サービスを 利用して行うといった具合に,とても煩雑な工程で行われている19) 。なお, 調査の困難性からか,東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)は勿論のこ と,兵庫県南部地震(1995年1月17日)や福岡県西方沖を震源とする地震 (2005年3月20日)など,多額の地震保険金が支払われた地震災害20) でさえ, 被災者を対象にした地震保険金に関する調査報告は見当たらなかった。 ⑶ 本研究の位置付け そこで本研究では,本章⑴及び⑵の調査・研究から導き出された前提(表 4)に基づいて,地震保険金の使途等に関する調査⑶と,その調査結果をも とに,地震保険金の経済波及効果の算出⑷を実施した。 表4 研究領域と調査方法 19) 中林(2014),1頁。 20) 地震保険制度(家計分野)発足以来,保険金の支払額が多かった上位の地震 災害については,日本地震再保険のディスクロージャー誌「日本地震再保険の 現状」で紹介されている(日本地震再保険(2014),34頁)。

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3.地震保険金の使途等に関する調査の概要と調査結果からの考察 ⑴ 調査の設計 先述の通り,地震保険は被災者の生活の安定に寄与することを目的とした 保険であり,従って,被保険者が被災した場合に受け取ることができる保険 金は,被保険者(被災者)の当面の生活費を補うことができるように補償が 設計されている。しかし,この地震保険の目的は「地震保険に関する法律」 に記されているものであって,消費者が,保険契約の一連のプロセスにおい て手にするであろうパンフレットや重要事項説明書,保険証券,地震保険普 通保険約款等に記載されているわけではない。また法律は,地震保険の制度 設計者や商品供給者の現時点における地震保険に対する考え方・想いに過ぎ ず,消費者の地震保険金の使途を制限するものではない。そう考えると,地 震保険の被保険者が地震保険金を受け取るときの状況と,地震保険を付帯す る火災保険の補償の関係から,地震保険金を住宅等の再建費用に充てている 可能性も十分に考えられる。 そこで調査では,法律の枠組みに囚われることなく,きちんと実態を把握 できるように配慮して設問を設計した。 ⑵ 調査の概要 地震保険金の使途等に関する調査は,野村総合研究所が提供するインター ネットリサーチサービスを利用し,まず,標本(サンプル)の条件抽出を目 的に,本調査に先駆けて予備調査を実施し,その上で本調査を実施した。 なお,予備調査は2011年11月4日から10日にかけて,本調査は2011年11月 11日から21日にかけて実施した。 ⒜ 予備調査の実施 予備調査は,野村総合研究所が提供するインターネットリサーチサービス

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保険学雑誌 第 633 号 のモニター21)の中から,モニターの属性登録において,地震保険金が支払わ れた地域22) に居住している20歳以上のモニターを対象に,東北地方太平洋沖 地震発災当時の居住地域23) ,地震保険の加入状況,地震保険金の請求・受け 取りの有無,損害の程度及び受け取った保険金の額等について調査を行った。 その結果,39,874サンプルを回収し,うち2,669サンプルが地震保険金を 受け取った者24, 25) で,建物について地震保険金を受け取った者が2,210サン プル,家財について地震保険金を受け取った者が1,195サンプルであった (表5,表6)26) 。 21) モニター数は,2016年1月5日時点で536,806人である。 22) 日本損害保険協会がウェブサイト上で公表している「東日本大震災に係る地 震保険金の支払件数,金額について(2011年9月28日現在)」より,都道府県 名が明らかな地域。 23) モニターの転居等により,属性登録の居住地と東北地方太平洋沖地震発災当 時の居住地域に乖離が生じていることを危惧し,予備調査において一応の確認 を行っている。 24) 地震保険金を受け取った者とは,建物と家財の両方及び建物または家財のい ずれか一方について地震保険金を受け取った者を意味している。 25) 本調査の標本として条件に適合した標本ではあるが,現時点で標本に代表性 はない(分析に適した母集団になっていない)。 26) 建物について地震保険金を受け取った者(N=2,210)と家財について地震 保険金を受け取った者(N=1,195)のそれぞれに,建物と家財の両方につい て地震保険金を受け取った者(N=736)が含まれている。従って,地震保険 金を受け取った者2,669サンプルのうち,建物についてのみ地震保険金を受け 取った者が1,474サンプル,家財についてのみ地震保険金を受け取った者が459 サンプル,建物と家財の両方について地震保険金を受け取った者が736サンプ ルである。

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保険学雑誌 第 633 号 表6 地震保険金の受取状況(保険の対象別) ⒝ 代表性の確保 本調査の実施に先駆けて,予備調査によって条件抽出された地震保険金を 受け取った者のサンプル(N=2,669)から,地区別・保険の対象別・損害 の程度別に分類した標本プールを作成し,その上で,地区別・保険の対象 別・損害の程度別に,東日本大震災における地震保険金支払件数の分布に準 ずる形状になるように配慮して,各プールの中から無作為にサンプルの抽出 を行った。 具体的には日本損害保険協会(2011)をもとに,地震保険金の支払件数を 北海道・東北地方と関東甲信越・静岡の2地域に集約し,それぞれの地域に おける損害の程度に基づいて,サンプルの形状を設定した。しかし,サンプ ルの形状を整えるにあたって,そもそも地震保険の加入状況について,保険 成績統計等においても建物と家財を分類した加入件数や,1契約者が建物の みに加入している場合,家財のみに加入している場合又は建物と家財の両方 に加入している場合の割合などが把握できているわけではない(2 ⑵)。況 してや地震保険金の支払いについては1996年1月の改定によって,家財の損 害認定が建物から独立しており,例えば建物の損害認定が全損であったとし ても,家財の損害認定が異なる結果になることは往々にして想定される。

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そこで本研究では,最初に建物について地区別・損害の程度別にサンプル の形状を整え(建物についてサンプルの形状を整えた時点で,その中には家 財についても地震保険金を受け取っている者がいることから,既に家財につ いても一定量の損害の程度別のサンプルが集まっていることになる),次に, 家財について充足していない分を,家財についてのみ地震保険金を受け取っ た者のサンプルで補って形状を整えた。 その結果として生成された標本(サンプル)が表7であり,これには建物 と家財の両方について地震保険金を受け取っている者(N=179)が含まれ ていることから,実際には800サンプルから構成されている。 表7 地震保険金の使途等に関する調査の標本 ⒞ 本調査の実施 本調査では,3⑵ ⒝で生成したサンプル(N=800)を対象に,「地震発生 から保険金請求・受領までの実態」「損害保険会社の社員等の対応」「地震保 険金の使用状況・使途」及び「地震保険と被災者生活再建支援制度との関係 (地震保険の損害認定と罹災証明書の被害の程度など)」等の調査を行った。 そして本稿では,これらの調査結果から,専ら地震保険金の使用状況・使途 について分析・考察する。 なお,調査では「地震保険金の使用状況・使途」について,建物の改修や 家財の修繕又は再調達に必要な費用,地震保険金の使用状況及び使途(今後 の使用計画(予定)を含む)等の調査を行っている。

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保険学雑誌 第 633 号 ⑶ 調査結果の考察 ⒜ 地震保険金の使用状況 本調査は,2011年11月に実施しており(先述),東北地方太平洋沖地震の 発生から8か月が経過した時点である。この時点において,受け取った地震 保険金を「全て使った」と回答した者は25.0%に留まり,逆に,「まだ使っ ていない(受け取った地震保険金の全てが,現金又は預貯金として残ってい る)」と回答した者が37.5%もいることが明らかになった(図2(左))。 また,調査では,受け取った保険金の額と,「受け取った地震保険金を全 て使った」と回答した者以外の者に対しては,使った割合を問うており,こ れらの調査結果から地震保険金の使用状況(金額)について算出すると,東 北地方太平洋沖地震の発生から8か月が経過した時点でさえ,地震保険金の 過半が使われておらず(56.4%),現金又は預貯金として残っていることが 確認できた(図2(右))。 図2 地震保険金の使用状況(N=800)

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⒝ 地震保険金の使途 また,受け取った地震保険金の使い道(使途)として,既に使ったお金又 は今後の使用計画(予定)を,その用途(費目)ごとに集計27) すると,6割 近くが建築修繕費(59.4%)に充てられており,かつ,全体の8割以上が建 物・家具・家電の修繕及び再購入費に充てられていることが確認できた(表 8)。 表8 地震保険金の使途(N=800) 4.東日本大震災で支払われた地震保険金の経済波及効果 ⑴ 推計手法 経済分析の手法を大別すると,3つの手法(生産性分析,応用一般均衡分 析及び産業連関分析)がある。本研究では,保険者から被災者に支払われた 地震保険金について,保険金を受け取った者の地震保険金の使途(3 ⑶ ⒝) を入力情報として産業連関分析28) を実施した。 また,本研究の対象が地震保険金であるが故,直接効果が表れる地域が一 部の地域に集中する29) 。従って,経済産業省が公表している「地域間産業連 関表(2005)」を用いて地震保険金の経済波及効果の推計を行った。そして, 27) 「既に使ったお金(事実)」と「今後の使用計画(予定)」の合計。 28) 産業連関分析とは,ある産業で発生した最終需要が他の産業に及ぼす波及効 果を,産業連関表を用いて導出する分析手法である。 29) 地震災害は,その災害の特性(面的災害)から被災者が一部の地域に集中す る。

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保険学雑誌 第 633 号 地震保険金の経済波及効果の推計の全容を示したものが図3である。 図3 地震保険金の経済波及効果の推計(全容) ⑵ 直接効果の算出 地震保険金の使途等に関する調査では,地震保険金の使途(今後の使用計 画(予定)を含む)について財別に問うており,地震保険金の財別の使途を 各産業に振り分けることで,産業別の直接効果を導くことができる。なお, 地区別・保険の対象別・損害の程度別の地震保険金の使途の構成(割合)が 表9で,日本損害保険協会が2011年11月24日に取り纏めた各都道府県の支払 保険金(1兆1,849億円)を乗じて集計した結果(地域別・産業別の直接効 果)が表10,表11,表12及び表13である。

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表9

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保険学雑誌 第 633 号 表10 地震保険金による直接効果(北海道)

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表12 地震保険金による直接効果(関東)

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保険学雑誌 第 633 号 ⑶ 波及効果の算出 前節で算出した直接効果を地域間産業連関表(2005)に代入し,間接1次 波及効果と間接2次波及効果を算出した結果,それぞれ1兆1,562億円と 6,853億円になった。また,乗数効果は2.55で,東日本大震災で支払われた 地震保険金は3兆円(2011年の日本の名目 GDP の0.6%に相当する額)を 超える経済波及効果を有していることが明らかになった(表14)。 表14 東日本大震災で支払われた地震保険金の経済波及効果 地震保険金の経済波及効果について産業別にみると,直接効果では建設が 圧倒的であったが,1次・2次といった波及に伴って,商業,金融・保険, 運輸などの産業にも経済波及していることが確認できた(図4)。更に,地 域別にみると,被災地域(東北・関東)に閉じることなく,中部,近畿など にも経済波及していることが確認できた(図5)。 なお,東日本大震災に起因する地震保険金の支払額は,震災後1年を経た 2012年3月12日の時点で1兆2,185億円になり,更に1年(震災から2年) が経過すると,1兆2,346億円に上っている。また,建物系共済も,共済金 を1兆1,013億円支払っている。 保険と共済では,それぞれ異なる性質の補償(保障)になっているものの, 共済金を受け取った者(被災者)が,地震保険金を受け取った者と似た境遇 にあることに違いはない。そこで,共済金についても地震保険金の使途を外 挿するならば,保険・共済業界として,事業が,東日本大震災において6兆 円近い経済波及効果を生み,社会(復興)に大きく貢献したと言える。

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保険学雑誌 第 633 号 図5 地域別の経済波及効果(単位:10億円) ⑷ 地域間産業連関表(2005)を用いた経済波及効果の推計の課題 経済波及効果の推計にあたって,震災復興(保険による効果)は毀損した 財物(マイナス)を基本的には元の状態に戻す効果を有しており,例えば, ゼロをより良くする興行(催し)とは起点と到達点に違いがあるが,経済波 及効果は増減の分量を量るものであることから,経済学的には同意と言える。 しかし,震災復興は偶発的事象であり,一般的な興行とは異なる面もある。 このことについて,本研究と同様の「保険」という視点ではないが,阪 神・淡路大震災を題材に,震災復興における産業連関表の研究30) が行われて おり,その中で,震災前と震災後では,地域の産業構造に変化が生じること が示されている。そこで,県民経済計算(内閣府)を用いて岩手県,宮城県 及び福島県における2010年から2012年にかけての産業構造の変化の分析を行 ったところ,阪神・淡路大震災における神戸のような変化31) は見られないも のの,主な変化として,建設業の割合の増加(4.9ポイント)と電気・ガ ス・水道業の割合の減少(2.8ポイント)を確認した(図6)。 30) 阪神・淡路大震災を題材にした震災復興における産業連関表の研究として, 芦谷,地主(1999)や芦谷(2005)などがある。 31) 東北大学大学院経済学研究科地域産業復興調査研究プロジェクト(2015), 277-287頁。

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従って,地震保険金の使途を入力情報としたマクロな分析においては,現 時点における最新の「地域間産業連関表(2005)」を用いて経済波及効果を 推計することは妥当であるものの,今後,被災地域等の産業構造の変化を考 慮した検討・分析が必要と言える。 図6 岩手県,宮城県及び福島県の産業構造の変化 5.おわりに 本研究では,損害保険の経済波及効果に関する実証研究として「地震保険 (家計分野)」,殊に「東日本大震災で支払われた地震保険金」を取り上げ⑴, 東日本大震災によるストック毀損額の推計を網羅(2 ⑴)し,更に,地震保 険の消費者行動に関して先行する調査・研究を,研究領域と調査方法で体系 的に整理することで,地震保険金の使途に関する知見が十分に蓄積されてい ないことを確認,本研究の意義を示した(2 ⑵ 及び 2 ⑶)。そして実際に, 地震保険金の使途等に関する調査を実施した(3 ⑴ 及び 3 ⑵)。 その結果,東北地方太平洋沖地震の発生から8か月が経過した時点でさえ, 地震保険金の過半が使われていなかったことと,地震保険は費用保険として の性格を色濃く持つものの,地震保険金の6割近くが建築修繕費に充てられ

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保険学雑誌 第 633 号 て い る( 財 物 保 険 の 保 険 金 の よ う に 用 い ら れ て い る )こ と を 確 認 し た (3 ⑶)。そして,地震保険金が持つ乗数効果は2.55で,地震保険は毀損した 財物の修復だけではなく,災害復興に大きく貢献していることを明らかにし た⑷。 しかし本研究の成果は,インターネットによるアンケート調査の調査結果 に依存しており,調査結果は,例えば東日本大震災の被害の特徴のひとつで ある福島第一原子力発電所周辺の帰還困難区域や居住制限区域に自宅を有す る者の固有の事情等を捉えきれていない可能性も十分に考えられる。また経 済波及効果の推計においては,マクロな視点・分析に留まっており,地震保 険金を受け取った者とそうでない者の違いなど,個人(家計)レベルでの地 震保険金の意義等を十分に検討できていない32) 。更に,諸外国の同種の保険 との比較や,他の保険種目との比較ができておらず,地震保険の価値・地震 保険金の経済波及効果の意義を相対的に示せているわけではない。従って, 検討の範囲が限定的と言わざるを得ない。より本質的な検討を行うには,他 国或いは他種目の実証研究等の実施が今後の課題である。 (筆者は株式会社野村総合研究所勤務) 主要参考文献 [1] 芦谷恒憲,地主敏樹(1999)「阪神・淡路大震災の経済的影響推計のための 産業連関表」『産業連関』(環太平洋産業連関分析学会)第8巻第4号,pp. 6-14。 [2] 芦谷恒憲(2005)「兵庫県産業連関表から見た阪神・淡路大震災による経済 構造変化」『産業連関』(環太平洋産業連関分析学会)第13巻第1号,pp. 45-56。 [3] 石丸康宏(2011)「東日本大震災の経済的影響について~その1:生産サイ ドからの分析」『経済レビュー 2011年』(三菱東京 UFJ 銀行)第1号,pp. 1-15。 [4] 稲田義久,入江啓彰,島章弘,戸泉巧(2011)「東日本大震災による被害の

マクロ経済に対する影響」『APIR Discussion Paper』(アジア太平洋研究所)第 6号,pp. 1-9。

32) 恒常所得仮説に基づいて東日本大震災の家計消費への影響について検討を行 った研究として,齊藤(2015)がある。

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[5] 岩城秀裕,是川夕,権田直,増田幹人,伊藤久仁良(2011)「東日本大震災 によるストック毀損額の推計方法について」『経済財政分析ディスカッション・ ペーパー』(内閣府)第11巻第1号,pp. 1-14。

[6] 気象庁(2011)「余震活動の領域内で発生したマグニチュード6.5もしくは震 度5弱以上を観測した地震(余震領域外を含む)」

http : //www. data. jma. go. jp/svd/eqev/data/2011_03_11_tohoku/after shock. html (2016年1月3日閲覧)。 [7] 熊谷亮丸,渡辺浩二,神田慶司,長内智,笹原竜平(2011)「第169回 日本 経済予測(改訂版) 日本経済は当面下振れ圧力が強いが,2011年度下期以降 持ち直しへ 」『Economic Report』 http ://www.dir.co.jp/souken/research/report/japan/outlook/11060901outlook.pdf (2016年1月3日閲覧)。 [8] 栗山泰史(2012)「東日本大震災における損害保険業界の対応および地震保 険制度の仕組みと今後の課題」『保険学雑誌』第619号,pp. 63-82。 [9] 栗山泰史(2013)「日本における地震保険制度の仕組みと今後の課題」『予防 時報』(日本損害保険協会)第255号,pp. 36-39。 [10] 慶應 京大連携グローバル COE(2012)『日本の家計行動のダイナミズムⅧ 東日本大震災が家計に与えた影響』慶應義塾大学出版会。 [11] 経済産業省経済産業政策局調査統計部(2010)「平成17年地域間産業連関表 (概要)」

http : //www. meti. go. jp/statistics/tyo/tiikiio/result/result_02/pdf/h17_irio_gaikyo. pdf(2016年1月3日閲覧)。 [12] 国土地理院(2011)「津波による浸水範囲の面積(概算値)について(第5 報)」http ://www.gsi.go.jp/common/000059939.pdf(2016年1月3日閲覧)。 [13] 齊藤誠編著(2015)『大震災に学ぶ社会科学 第4巻 震災と経済』東洋経済 新報社。 [14] 財務省(2012)「地震保険制度に関するプロジェクトチーム報告書」 http : //www. mof. go. jp/about_mof/councils/jisinpt/report/20121130_01. pdf( 2016 年1月3日閲覧)。 [15] 佐藤主光(2009)「防災政策が個人の自助努力に与える影響」『研究会報告 書』(内閣府経済社会総合研究所)第44号,pp. 91-114。 [16] 損害保険料率算出機構(2004)「大規模地震危険に関する消費者意識調査」 『地震保険研究』(損害保険料率算出機構)第5号,pp. 1-108。 [17] 損害保険料率算出機構(2009)「地震危険に関する消費者意識調査」『地震保 険研究』(損害保険料率算出機構)第21号,pp. 1-127。 [18] 損害保険料率算出機構(2011)「地震保険保有契約件数都道府県別推移表 (速報値)」http ://www.giroj.or.jp/news/2011/120215.pdf(2016年1月3日閲覧)。

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保険学雑誌 第 633 号 [19] 損害保険料率算出機構(2014)「保有契約件数および新契約件数推移」 http ://www.giroj.or.jp/news/2014/140613.pdf(2016年1月3日閲覧)。 [20] 損害保険料率算出機構(2015)「地震保険に関する消費者意識調査(平成26 年(2014年)調査)」『地震保険研究』(損害保険料率算出機構)第28号,pp. 1-138。 [21] 損害保険料率算定会(1999)「地震危険に関する消費者意識の調査」『地震保 険調査報告』(損害保険料率算定会)第30号,pp. 1-76。 [22] 高橋康文(2012)『地震保険制度』金融財政事情研究会。 [23] 田口玄一(2010)『復刻版 第3版 実験計画法(上)(下)』丸善。 [24] 武田洋子(2011)「2010~2012年度の内外景気見通し(東日本大震災後の改 定値)」『MRI の提言・調査成果』 http ://www.mri.co.jp/opinion/column/uploadfiles/pr20110418_pec02.pdf(2016年 1月3日閲覧)。 [25] 東京海上日動火災海上保険編著(2010)『損害保険の法務と実務』金融財政 事情研究会。 [26] 東北大学大学院経済学研究科地域産業復興調査研究プロジェクト(2015) 『東日本大震災復興研究Ⅳ 新しいフェーズを迎える東北復興への提言』南北社。 [27] 内閣府(経済財政分析担当)(2011)「月例経済報告等に関する関係閣僚会議 震災対応特別会合資料 東北地方太平洋沖地震のマクロ経済影響の分析 」 http ://www5.cao.go.jp/keizai/bousai/pdf/keizaitekieikyou.pdf(2016年1月3日 閲覧)。 [28] 内閣府(防災担当)(2011)「東日本大震災における被害額の推計について」 http ://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/pdf/110624-1kisya.pdf(2016年1月3日 閲覧)。 [29] 内閣府(防災担当)(2011)「被災者へのアンケート調査結果」 http ://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hisaishashien/pdf/dai1kai/siryo3_3.pdf (2016年1月3日閲覧)。 [30] 内閣府(2012)『平成24年(2012年)版 防災白書』日経印刷。 [31] 中林一樹(2014)「東日本大震災で被災されました皆さまへの支援に関する 調査集計結果(2013年3月調査 市町村別集計)」『大船渡市・気仙沼市・新地町 被災者支援アンケート調査 2013年調査報告レポート』

http : //www. meiji. ac. jp/gakucho/reconstruction/tohokurp/6t5h7p00000geup9-att /6t5h7p00000geut5.pdf(2016年1月3日閲覧)。

[32] 日本共済協会(2015)「東日本大震災から4年 共済団体の取組み」『共済と 保険』(日本共済協会)第681号,pp. 4-15。

[33] 日本地震再保険(2014)「日本地震再保険の現状 2014」

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覧)。 [34] 日本政策投資銀行(2011)「東日本大震災資本ストック被害金額推計につい て エリア別(県別/内陸・沿岸別)に推計 」『DBJ News』 http ://www.dbj.jp/ja/topics/dbj_news/2011/html/0000006633.html(2016年1月3 日閲覧)。 [35] 日本損害保険協会(2012)「東日本大震災に対する損害保険業界の対応」『損 害保険研究』第74巻第1号,pp. 211-261。 [36] 日本損害保険協会(2014)「地震保険の都道府県別加入率」

https : //www. sonpo. or. jp/archive/statistics/syumoku/pdf/index/kanyu_jishin. pdf (2016年1月3日閲覧)。

[37] 日本損害保険協会(2014)「地震保険の都道府県別付帯率」

https : //www. sonpo. or. jp/archive/statistics/syumoku/pdf/index/futai_jishin. pdf (2016年1月3日閲覧)。 [38] 野崎洋之(2010)「消費者の期待に応える地震保険の検討にむけて」『損害保 険研究』第72巻第3号,pp. 141-160。 [39] 野元敏昭,野崎洋之,岩瀬健太(2014)『私たち損害保険代理店の事業継続 計画』新日本保険新聞社。 [40] 堀田一吉(2014)『現代リスクと保険理論』東洋経済新報社。 [41] 宮沢健一(2002)『産業連関分析入門(新版)』日本経済新聞社。

[42] Peter, G. v., S. v. Dahlen and S. Saxena (2012) “Unmitigated Disasters? New Evidence on the Macroeconomic Cost of Natural Catastrophes,” Bank for Internationals Settlements, BIS Working Papers, No. 394, pp. 1-34.

[43] World Bank(2011) “The Recent Earthquake and Tsunami in Japan : Impli-cations for East Asia,” World Bank East Asia and Pacific Economic Update 2011, Vol. 1, pp. 1-2.

参照

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