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複素数に関する一考察-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

研究ノー卜

複素数に関する一考察

木 村

等*

石 川 英 利 * *

1 序 数のシステムとして複素数がどのようなものであるかについて考察するのが,ここ での課題である。数の概念が自然数から始まったと考えることは自然であろう。自然 数を出発点として,歴史的にではなく論理的に,算法を中心として,数のシステムの 発展について考えてみる。 自然数と自然数の和および積はまた自然数である。このとき,自然数の全体は加法 および乗法に関して閉じているとし、う。あるいは,自然数については加法,乗法が可 能であるということもある。一方,減法についてみれば,

5-3

は自然数であるが,

3-5

は自然数のシステムの中には存在しない。すなわち, 自然数は減法に関しては閉じて いない。また同様に,自然数は除法に関しても閉じていない。そこで,まず減法を可 能にするために負数を考える。

O

および正,負の整数からなる数のシステムを整数とよ ぶ。整数のシステムにおいては加法,減法が可能であり,乗法もまた可能であるが, 除法は必ずしも可能ではない。そこで, 2つの整数の比を1つの数と考え,これを有 理数とよぶ。比すなわち分数のうち,分母が 1であるものは整数と考えてよいから, 有理数は整数を含むと考えてよい。また有理数について,整数と矛盾しないような加 法,乗法およびその逆算法としての減法,除法を定義することができる。このように *香川大学 〒760高松市幸町2番1号 H 香川職業訓練短期大学校 干763丸亀市郡家町3202番地

(2)

228- 第61巻 第3号 558 して,加,減,乗,除,すなわち四則算法が全て可能な数のシステムをつくることが できる。 これまでは, 自然数から出発して,算法が自由にできるというようにということを 求めて,有理数にまで数の範闘を拡げてきた。次に,方程式を解くという面から考え てみる。 l次方程式

a

x

b,

a

ヰO は,

a

, bを整数に制限した場合にも,また有理数とした場合にも,有理数の範囲で解 をもっ。このように,整数あるいは有理数を係数とする1次方程式は,有理数の範囲 C解をもつことがわかる。しかしながら 2次方程式を考えた場合,例えば, x2 = 2 は,有理数の範囲では解をもたない。すなわち,この方程式の解となる数,すなわち 自乗したとき2となる数はもはや整数の比としては表し得ないということを示すこと ができる。このような,整数の比とならない数を考えて,無理数とよぶ。無理数と有 理数とによって構成される数のシステムが実数である。しかし,実数にまで数の範囲 を拡張しても 2次方程式 x2+1=O は,解を持たなし、。ここで,代数方程式が常に解を持つように数の範囲を拡張するこ とを考える。 2 加法および減法 実数を与えられたものとして,さらに数の範囲を拡張する。このとき,四則算法に ついて実数が持っている性質をそのまま持つことを条件とする。まず加法について, 実数は次の4つの性質を持っている。すなわち, (1) 加法が可能である 任意の2つの数a. bに対して 1つの数 (α+b)が存在す る。またこのα(+b)は唯lつに限る。 (2) 結合法則が成り立つ (a+b)+c = a+(b+c) (3) 加法は可換である

(3)

559 複素数に関する一考察 α

+b

=

b

十α (4) 減法が可能である 任意の2つの要素α,b ~こ対して

+z

=

b

-229-を満足するような要素

z

が存在する。このとき ,

z

=

b-a

とかき ,

a

b

から

z

を求める算法を減法とし、う。 いま, (4)は,a = bの場合についても,

+

0

α

a を満足するαOが存在することを保証している。ここで,任意の数bをとれば, (4)から, 少なくとも 1つの

z

が存在して,

a+z

= b が成り立つ。したがって, b+Oa = (α

+zl

+

=(z+αl

+Oa=Z+(α+

O

a

)

=

z+

α=α

+z

=

b

が成り立つ。すなわち,ある 1つの数αに対して

+Oa

= a となる数

O

a

は,任意の数bに対しても同様な等式

b+Oa

=

b

を満足する。このように,

O

a

は,数αに依存することなく,等式

b+Oa

=

b

を満足す る。次に,このような性質をもっ要素が2つ存在するとし,

0

"

0

2

とかく。いずれも要 素に依存することがないから,

0

+02

=

0

が成り立つ。一方(3)を用いて,

0

+02

=

02+0

=

0

2

とすることができることから, 0

= O2 が成り立つことがわかる。このようにして,

+

O

a

=

a

(4)

-230- 第61巻 第3号 560 を満足するαOは,この数のシステムにおいてはただ1つしか存在しないことがわか る。このような数を零とよび, 0で表す。 次に,減法について考える。任意の1組の数α,bに対して, 2つの数

z

" z

,が存在 して,

+z

=b

a+z

=b

が成り立っとする。いま,

a+z

= 0 を満足する

z

をつくる。

z+b

=

z+(

α

+z

,)

=(z+

α

)+z

=

(

α +z)+z

=

O+z

=

z

+O

=

z

z+b =z+(α+

Z

2

)

=

(z+α)

+

Z

2

=

(

α +z)+z

=

0+Z2

=Z2+0

=

Z

2

となることから,

Z

Z

2

であることがわかる。このように 1組の数 a,bに対して

+z

= b を満足する数

z

は,ただ1つに限ることがわかる。 ここで ,b = 0とすれば,上のことから,任意の数αに対して,

+z

=

0

を満足する

z

は,aに対してただ 1つ存在する。このような

z

a

の加法に関する逆 元といい,

α

で表す。 これまでに述べてきたことから,性質(1)-(4)を満足する数のシステムは,常に零お よび加法に関する逆元

-a

を持つことを示すことができる。また逆に,零および逆元 の存在,すなわち

任意の数αに対して

α+0 =σ

(5)

561 を満足する数Oが存在する。 (4勺 任意の数Gに対して α

+z

=

0

復素数に関する一考察 を満足する数

z

が存在する。このような数

z

-a

とかく。 231 を認めるならば, (1),

(

2

)

(

3

)

(

4

'

)

(

4

つから

(

4

)

,すなわち減法の可能性を導くことが できる。すなわち,いま,任意の1組の数

a

,bに対して,はつから

-a

が存在する から,(1)によって ,b+(-a)が存在する。これをGに加えると, α+{(b+(-a)}

=

(

α

+b)+(-a)

=

(b+

α

)+(-a) = b+{

α+(α)}=

b+O

=

b となるから ,b+(-a)は(4)における

z

に相当するものであり ,b-aと書いたものであ る。このようにして(4)が成り立つことがわかる。 3 ベクトルとスカラー積 第2節において述べた性質(1)-(4)は,整数,有理数および実数のいずれもが満足す るものである。また数でないもの,例えば実数を成分とする n次元ベクトルもまた(1) -(4)を満足する。すなわち, 2つの n次元ベクトル

α=(

仇,

a

z

, " an),

β=

(

b

"

b2, " bn) の和は,

α+β= (

α

+

b

"

a2+b2,

, an+bn) として定義される。ベクトルの和は,成分の和に還元することができるから, (1)-(4) が成り立つことを容易に示すことができる。ベクトノレについては,ベクトルと実数の 積,スカラー積を定義することができる。すなわち, a~ =α(X" X2, ", Xn) (aXl, aX2,

, aXn) を,ベクトル

s

と実数Gとのスカラー積といい,実数Gをスカラーという。スカラー 積については, ① α(~+η) = a~+ 岬

(6)

-232ー ② (α +b)~

=

a~+b~ ③ α (b~) = (ab)~ ④ 1~ = ~ が成り立つことは容易にわかる。 第61巻 第3号 562 ベクトルのシステムは(1)-(4)を満足するから,零が存在する。この零は, (0, 0,…,

0

)

となる。これを零ベクトルという。 し、ま, ム =(1, 0" 0), i2

=

(0, 1, 0,…, 0), , ij = (0" 0, 1, 0" 0), in=(O, 0" 0,1) と書くことすれば, ~ = (.x" X2, Xn)

=

(め, 0,…, 0)+(0, X2, 0, ,0)+引 +(0,0" Xn) =仇(1, 0,… , 0)+X2(0, 1, 0,ゎ, 0)+ ゎ +Xn(O,0, ., 1) X

i

+X2i2+い .

+

xnin と書くことができる。 4 乗法および除法 次に数が乗法に関して満足する条件について考える。実数の乗法については,次の ことが成り立つ。すなわち, (5) 乗法が可能である 任意の2つの数

a

,bに対して,数めが存在する,また, この

a

b

はただ1つに限る。

(

6

)

結合法則が成り立つ

(

b

c

l

=

(

a

b

)

c

(

7

)

乗法は可換である

a

b

=

b

a

(8) 乗法と加法の関連において分配法則が成り立つ

(

b

十c)

=

ab+ac

(7)

563 複素数に関する 考察 (9) 除法が可能である αヰ

O

であるとき,任意の

b

に対して,

z

= b -233-を満足する zが存在する。この zを,aと bの商といい z=

b

/

αと書く。また商 を求める算法を除法とし、う。 加法の場合と同様にLて,a = bキOとすれば,

a

z

ニ α を満足する

z

が存在する」とが

(

9

)

によって保証されている。この

z

をむと書く。いま 任意の数を bとすれば,

a

z

= b を満足する

z

が存在する。ここで, bea=(az)eα= (za)eα =z(aea)=za=az=b となることから ,eaはGに依存

L

ない。また,このような性質をもっ

2

つの数

e

l

e

2

が存在するとすれば, ele2

e

l

ele2 e2e

e

2

となることから,

e

e

2

となり,このような数eは,ただ1つしか存在しないことがわかる。このような数e を単位といい, 1で表す。このようにして (9,) 任意の数。に対して

1

=

1a

=

a を満足する数1が存在する, とし、う命題が成り立つことがわかる。このことから(9)を用いて, (92)

α*0

であるとき,

a

z

=

1 を満足する数

z

(数

z

をGの逆数といい,

1

/

α

で表す。〉が存在する, とし、う命題を導くことができる。 (5),(6), (7), (9)から, (9,), (92)を導いたが,加法の

(8)

-234- 第61巻 第3号 564 場合と同様に,

(

5

)

(

6

)

, (7),

(

9

,),

(

9

2)を前提とすれば,

(

9

)

を導くことができる。すな わち ,0 =1=0であるとき, (92)から逆数1/αが存在する。任意の数bをとったとき,

1

/

0

.

bが存在する。これをαにかけると,

0

/

α

.b)

=

α

(

・l/o)b

=

1.b

=

b このように Lて,oz bを満足する

z

が存在することを示すことができるo 次に,乗法と数Oの聞の関係について考える。 補 題 任 意 の 数

z

に対して, 0

z = O が成り立つ。 証明 任意の数を Gとすると, G十0=0 が成り立つ。 (o+O)z

=

oz+O

z

一方 (α+O)z = oz であるから,

z+O

z oz が成り立つ。このことから, O.z =

0

となることがわかる。(証明終り〕 いま, 2つのOでない数0,bをとるo0 ヰOであるから, α

z

=

1 となる数

z

が存在する。

(ob)z

=

(bo)z

=

b(oz)

=

b

1

=

b いま ,ob =

0

となるとすれば,

(ob)z = O.z =

0

となる。一方,上の等式から

(9)

565 複素数に関する一考察 -235ー を得る。これは b宇Oとしたことに矛盾する。したがって,命題 ( 10) αヰ 0,bヰOならば:abヰO が成り立つことがわかる。 αヰ 0,b宇

O

で あ っ て , か つ め=0が成り立っとき,この ような

a

,bを零因子とよぶ。 (10)は(5),(6), (7), (9)を用いて導くことができるから,こ れらの性質を満足する数のシステムは,零因子を持たないことがわかる。 5 拡張された数と実数(スカラー積〉 実数の拡張として,四則算法について,実数と同じ性質,すなわち,上述の(1), (2), (3), (4), (5), (6), (7), (8), (9)の性質をもつものを考える。実数は直線上の点と一対ー の対応、がつくものであるから,実数の拡張を一次元のものとすることはできなし、。そ こで n次元ベクトルを数の拡張として考えることとする。 n次元ベクトルは,加法・ 減法については実数と同じ性質(1)-(4)を満足している。乗法については,内積は 2 つのベクトルの積として実数をとるのであるから,ここで考える積ではなし、。積の結 果として同じ種類のものが得られるものでなければならない。そのようなものとして, 3次元ベクトルの積として外積が考えられるが,外積は可換性をもっていなし、。この ため,積を別に定義し直さなければならないが,そのようなことが可能であるのか, もし可能であるとすれば, どのようなものであるのかが問題である。 最初に,積に関する性質(5)-(9)を満足する積が定義できたものとする。ここで,ス カラー積との聞の関連について,次の命題が成り立つものとする。 ⑤ αα

=

abαβ ここで,ギリシャ文字α,β は拡張された数としてのベクトノレ弘ローマ字。,bは実 数すなわちスカラーを示す。この数のシステムにも, (9)から単位元eが存在する。 eに ついては,

e

2 =

e

.

e

=

e

が成り立つ。また,

e*O

なぜならば,

e

=

0

とすれば, αヰ

o

~こ対して, α

e=

α0=0

(10)

-236 第61巻 第3号 566 一方

e

の性質から α

e=

α であるから, α=0となり, α宇 Oとしたことに矛盾する。 まず,新しい数のシステムと実数との閣の関連を考察する。いま実数を aとすれば,

m

は新しい数のシステムにおける単位元

e

とdのスカラー積であるから,新しい数 の 1つである。

a

a

e

との対応、

ae-

α を考えれば,この対応、は1対lの対応、であることは容易にわかる。 さらに, ( i ) ② か ら

ae+be

= (α

+b)e

であるカミら,

ae+ be-a+b

となる。 ( ii )

ae-b

e

=

z

とおけば,

z+be

= αe を満足する。一方,

(a-b)e

をつくれば,

(a-b)e+be

=

{(a-b)+b}e

=

a

e

したカ:って,

z

= (α

-b)e

=

ae-be

が成り立つ。したがって

ae-be-a-b

(iii) ⑤から,

a

e

.

b

e

=

(

a

b

)

e

e

=

(

a

b

)

e

となるから,

ae.be-ab

(11)

567 複素数に関する一考察 (iv) いま aヰOであり,かつ,ae = 0であると仮定する。このとき,

}(ae)

;

左辺は,

(ae)

=

(

)e

=

1e

=

e したがって, l e=--=-O G を得る。次に, (α+O)e = ae十Oe であり, (α+O)e = ae であるヵ、ら, ae+Oe = ae が成り立つ。このことから, Oe =

0

であることがわかる。任意、の C ヰOに対して, c 0をつくれば,

c

0

=

c(Oe)

=

(cO)e

=

Oe

=

0

を得る。いま

ι

として

1

/

α

をとれば, l/a 0 = 0 を得る。したがって,

e=lO=O

G -237-を得る。これは矛盾である。このようにして ,aヰ0,ae =

0

から矛盾を生じたわけて、 あるから ,a

*

0のとき aeヰOであることがわかる。 次に aヰ

O

したがって aeヰ

O

bヰO しf.::.カLって beヰO とするならば, (9)から

(12)

-238- 第61巻 第3号 568 Z 一 一

e

e

a

b

が存在する。すなわち,

a

e

=

z

'

b

e

を満足する

z

が存在する。一方,

t

e

をつくれば

~e'be

=

(~'b)ee

=

a

e

となるカミら, ρ u

a

b

一 一

e

e

G70 一 一

z

が成り立つ。したがって,

a

e

a

b

e

b

上で述べた(i), (ii), (iii), (iv)から,対応

ae-

αはl対1であり,かつ向型対 応であることがわかる。すなわち,新しい数のシステムの中で, αeという型をもっ要 素全体は実数と同型である。ここで,スカラー積について考察する。任意の新しい数 αに実数。をかけるスカラー積に対応するものとして,積

a

e

・αを考える。上述の⑤か ら,

a

e

・α

=a

e

・lα=(α・l)eα =αα を得る。このように,

a

e

α

a

αとなることから,実数αに対応する

a

e

とαとの積 をとれば,スカラー積。αと同じ結果を得ることがわかる。このような積は,スカラー 積についての性質①,②,③,④,⑤を満足する。 すなわち, ① α(α十β)=

aa+as

(8)を用いて

a

e

(

α+β)=

(

a

e

)

α

+(ae)

β=α

(

e

α

)+a(e

β)=αα+αβ ,

(a+b)

α

=a

α

+b

β (α

+b)

に対応するものは,

ae+be

であることは前に示した通りである。したがっ て, (8)から

(13)

569 複素数に関する一考察

(ae+be)α= (ae)α+(be)α=α(eα)+b(eα)=αα+bα

③ α(bα) = (ab)α:

ae・(be・α)= (ae.be)α

=

{(ab)ee)α

=

(ab)e・α

= abα ④ lα=α

lに対応するものはeであるから, eα=α

⑤ (ω

)

(

b

β) , = (α

b

)

α・β:

(7)を用いて {(ae)・α}・{(be)・β}= (αe)(be)α・β={(ab)e)α・β = (ab)e・α・β=(ab)α。β -239ー このようにして,スカラー積についての性質は,通常の積の性質から導くことがで きる。したがって ,aeを実数と考えたとき,スカラー積という特別な積を考える必要 はなく,このシステムにおける積だけで充分である。このようにして,新しいシステ ムにおける aeという型の数は実数の役割りをすることから,新しい数のシステムは 特別な場合として実数を含むと考えてよし、。 6. 拡張された数 拡張された数は,

n

次元ベクトルであるから ,

n

個の独立な基底が存在し,任意の数 すなわち任意のベクトルは,その一次結合として書くことができる。いま l組の基底 を 11, l2, , ln とすれば,任意のベクトノレαは, α alil+aziz+川…+anin と書くことができる。これを α (al, aZ,

, an) と書き,おのおのの実数 a;を成分という。いま,基底としては任意の一次独立なベク トルをとればよいのであるから, II

e

(14)

240ー 第61巻 第3号 570 にとることとする。このとき,

e

=

(1, 0" 0) であり,実数と同型な要素は ae =α(1, 0,一, 0)= (a, 0" 0) となる。この乙とから,第 1成分を実数成分とよぶ。また,仰という型の要素は実数 と同型であるから,単に実数αと書く。また, スカラー積も,前に示したように,新 しい数のシステムの積となっていることから,今後用いられる算法は,すべて新しい

¥

数のシステムにおけるものである。このことから,新しい数についても,ベクトルαと 書く代わりに,数αと書くこととする。 次に新しい数の積について考察する。基底ベクトルルとれの積もまたn次元ベク トルであるから,この基底の一次結合として書ける。これを, Zr・

i

s

=

AWi

AWi

z

+

+

t

l

W

i

n

と書くことにする。乙のとき, Zs

i

r

=

À~%+ÀWiz++ λ詐)in と書くことができる。この積が交換法則(7)を満足するときには,

AW

= À~),

t

= 1, 2" n が成り立つ。基底ベクトルの聞の積を上のように書くとき,任意の2つのベクトル, すなわち新しい数 α =

2

:

:

a

v

i

v

,β =

2

:

:

b

νtν の聞の積

α

,βは,分配法則(8)が成り立つから α'/3 =

(

2

:

:

a

ν

i

v

)

(

2

:

:

b

v

i

ν) =

2

:

:

a

p

b

v

i

p

i

v

μν =

2

:

:

a

p

b

ν(

2

:

:

À~Ut) =

2

:

:

(

2

:

:

aμbvÀ~ni , (6)から結合法則が成り立つから,これを基底の聞の積に適用する。 (iγ

i

s

)

i

(

A

W

i

+A

<,?2i

z+

刷、 +λ切ら

)

i

, =

AW(Ai

'

!

i

+

λ

日i

z

+

…+λ

W

i

n

)

(15)

571 一方, 複素数に関する一考察 +λ宮(AWれ+λ皆i2

+ +

λ岱)in)

+

+λ~~)(À~lil + À~1i 2 + +λh~)ìn ) = (~ÀWÀ~l) il + ρ

+(~λ惚λぽ )i;+ … +(~À<,!'i ・ ÀW)inp p

t れ 以

7

υ

(

isiれ,)=ゐ以γベ(À~1誌lLt仏+ λ 巴巴皆'hら2+引…わい山+ λ 岱)in)) =λW(ÀWi1+À引の+川 +λ~tPin) +λ留λWil+λ( 抱i2+…+λWin)

+

l(AVhil+A出i2+

…+

À~'i2 in)

= (~À岱)ÀW)il+" +(~À忠弘同 )i ,+ 十 (~À出)λ~n;mn し

t

,こがって, 2λ埠!À~l= ~

A

A出i p が成り立つ。 いま 1つのOでない新しい数を

5

とする。 c,

C

2

=

cc, '

………

, cn+l

=

cゆ い

5

-241ー は,

n+11

悶の

n

次元ベクトルであるから一次独立ではない。また一方,

c

O

である から ,

c

を1個のベクトノレからなる l組のベクトルと考えたとき,これは一次独立であ る。このようにして 2 話

m

三五

n+l

を満足する

m

について

m

個のベクトルの組 c, c2, …, Cm が一次従属であるような

m

が存在することがわかる。したがって

m

個 の 実 数bl, b2''', bmが存在して, b1Cm+ b2Cm-l

+

+bmc = 0

(16)

-242ー 第61巻 第3号 572 が成り立つ。このとき ,b,ヰOとしても一般性を失わなし、から ,b,で両辺を割って, c-m+C,c-m-,+れ}十 Cm-1C-= 0 を得る。この等式を, c-(c-m-'+C,c-m-2+ +Cm叶)= 0 と変形すれば, c-ヰ Oかっこの数のシステムは零因子をもたないから, c-m-'+C,c-m-2+… 十Cm-l= 0 が成り立つ。ここでCm-l= 0ならばさらに次数を下げることができることから,一般 性を失うことなく Cm-l 本

O

と仮定してよい。この係数を用いて,実数係数の多項式 G(x) = Xm-'+ C

Xm-2+"+Cm_

をつくる。 G(x)はガウスの定理によって, G(x)

=

(xν-uu)?

白{

(x一九)2+

叫ん

と因数分解することができる。ここで Uv,VV, WνはOでない実数である。また,等 式 ~ん +2~Æ ν =

m-l

が成り立つ。いま,めは実数で、あり, c-は実数でないから, (c-

-u

ν)ヰO 一方 ,G(c-)=

0

であるから, (10)によって,少なくとも

1

つの νに対して, (ç-一九 )2+W~ =

0

が成り立つ。このようにして 1つの

t

が与えられたとき,このごに対応して, (c--V)2+W2 = 0 を満足する実数V,Wが存在することがわかる。 いま,基底ベクトルを 1I

e

, 22, “.,"" Zn とすれば,

2 ~玉 ν 話 n は実数ではなし、。したがって,んに対して2つの実数 Vt,Wtが存在して, (i

t-v

,)2

+wl

= 0

(17)

573 複素数に関する一考察 が成り立つo w,ヰOであるから,上の式の両辺を

ωf

で割って, (iー 刷 )2 -一一τ ムー

+1

=

0

Wi を得る。乙れを

日生)

+1

=

0

と書く。ここで座標変換 e

= i

(=ε) Z

一 札Zl

e

t

~ム.

t

= 2. 3.ゎ¥ n

w

を考える。この変換の行列について行列式の値を求めれば, 1 O O

V

2

1

W

2

;

;

2

o.

ム = ~

0 0

Wn

=一一

1 ー ヰO

W

2

W

3

'

"

W

n

. 0 O 1 μIn となるから el,

e

Z

, "",

e

n

は1組の基底であり,

e

e

d+1

=

0

t

=

2

3

,… ,

n

が成り立つ。 いま基底を,

e

e

e

2

e

3

,リ“"

e

n

としたとき,

ere.. λWe , + λ完 e2+'''+ λ~1)en

と書くこととするとき,

e

e

S

e

e

S

=

e

S

e

r

e

e

r

e

=

e

r

(18)

-244- 第61巻 第3号 となることカミら, ,.1l's'

=

1 ; ,.1

W

=

0, jヰ S, , .1

W

=

1; ..

1

¥

1

1

=

0, Jヰ r が成り立つ。また,

e

r

e

r

e~

=

一1=

-1e

=

1

e

であるから, , .1

W

=

-1 ; ,.1

W

=

0, jヰ l が成り立つ。 λの間には,積が(5),(6), (8)を満足するとき, 2::,.1¥!'i

λ

!

=

2::

λ

(

J

J

λ

ぽ ρ q 574 が成り立つことは前に示した通りである。いま n

=

3

, r

=

s

=

2

, }

=

t

=

3

とすれ

a

λ

L

L

)

λ

W

+

λ

λ

+

λ

呂1,.1民)

=

A

2

)

λ

+

λ

W

,.1

W+

,.1忠

A

自 が成り立つ。この等式に上の

A

の値を代入すれば, -1 = (,.1思)2 を得る。これは,,.1留が実数であることに矛盾する。このようにして ,

n=3

のベクト ルについては,数としての積が定義できない。すなわち

3

次元の数は存在しないこと がわかる。 次に,

n=4

の場合について考えてみる。このとき,積についての条件として

λ

<:J=

0

, 5宇

1;

,.1官 =

0

, r'ヰ

l

が成り立つようなものを考える。 このとき, r

=

s

=

4,

t

=

2

}=2とすれば, λiYλ官 +λ22λ盟 +λ目λ~2.l+ λIA)λEA)

=

λ

λ

W

+

λ

λ

+

λ

W

,.1

W+

λ

W

,.1

W

したがって,

-1=λ

λ

1

2

を得る。 次に, r

=

2, S

=

4, t

=

3, j

= 1

とすれば, ,.1W,.1 W+ λ~2j,.1山 +,.1W,.1W+ ,.1山Aiy

(19)

575 複素数に関する一考察

-245-=A2λW+λ

&

Y

AW+

λ

λ

+AW

λ

i

y

したカ:って, 一 λ~31

=一

λ

1

2

λ

w

=

λ

I

A

)

が成り立つ。これを上の式に代入して,

AWAW

= -1 を得る。いま,

AW

= 1,λ自 =-1 とすれば,上の式を満足する。これは,

e

4

e

2

e

3

e

2

e

4

ー の であることを意味する。同様に Aに関する全ての等式を検討することによって, む の = 凸

e

3

e

4 e

2

e

4

e

2

e

3

e

3

e

2

-e

4

e

4

e

3

ーの

e

2

e

4

=

-e3

を満足するとすれば 4次元ベクトルに,矛盾なく積を導入することができることが わかる。ただし,この場合交換法則(7)は成り立たない。これが四元数とよばれるもの である。 次に,積について, (5), (6), (7), (8), (10)を満足するような数のシステムは,どのよ うなものであるかについて考察する。そのために,任意の r,5(=

2

3

,', n; rヰ

s

)

について ,

e

γ+es,

er-es

をつくる。おのおのに対して

v

,w;

v

, w が存在して,

{

(

e

γ十

es)-v}2+W2

=

0

{

(

e

r

-

e

s

)

-

v

'

}

2

+W'

2

= 0 を満足する。それぞれを変形して e~+eres+eser+e~-2v(er+es)+v2+W2 =

0

e~-

e

r

e

s

-

ese γ +e~-2v'(er-es)+v'2+W'2 =

0

この2つの式の辺々を加えて

2e~+2e~-2(v+

v

'

)

e

γ一

2(v-v')es+v

2

+v'2+W2

+W'2

= 0

を得る。

2 _ _2 _ ー 唱

e

r

=

e

s

= - 1

(20)

-246ー 第61巻 第3号 であるから,上の式は -4-2(

v+

v

'

)

e

r

-

2(

v-v

'

)

e

s

V

2

+V'2+W2

+W'2

= 0 すなわち

(

v

2

V2

+W2

+w'2-4)e

-2(v+v')er-2(v-v')es

=

0

となる。乙こで

e

l

e

r

, esは一次独立であるから,

V

2

+V2

+W2

+w2

-4

= 0

v+v

=

0

v

-

v

'

= 0 が成り立つ。これから,

v=v'=O

W

2

+w

2-4 = 0 を得る。 W,WはOでない実数であるから, Oく

w

2

<

4 が成り立つ。一方,

v

= 0であるから

(

e

γ

+e

.s

)2+w2

=

0

e~+ere .s +eser+e~+w2 = 0

e

r

e

s

e

s

e

γ=2一ω2 が成り立つ。いま, δγ

e

γes十

e

s.

e

r

とおけば, S γ

-

2-w2

したヵ:って,

-2<δ

円 く

2

すなわち

δ

;

<

4

が成り立つ。 ここで

n

注3として,基底を

e

l

,ez, ,

e

n

か ら ん,

f

'

2

, 川,んへの変換

l

=

e

=

e

576

(21)

577 複素数に関する一考察 -247 12= e2 /レエνe2+YνZ Gν を考える。変換行列の行列式は 1 O O 0... 0 O 1 O

....0 ムェ

I

0 X3 Y3 0...0 O X. O Y.' 0

o

Xn O 0...Yn = Y3Y. 凶Yn であるから ,Y3Y4 . Ynヰ Oならばこの変換は基底の変換として可能である。さらに, l~ = -1,

fd

ν+

/2= 0,ν = 3, 4,

n

となるような変換が可能であるかどうかについて考察してみる。 f~ = (xve

z

+

yνGν)2

x~e~+y/e/+xν.Yv( e2eν+eνe2)

-(xE+y~)+xνYν82ν= -1

fdν+fvf2 = e2(xνe2+YνGν )+(Xνe2+YνGν )e2 -x νd+yνe2eV+xνe~+yve νe2

=

-2x

ν+yν82ν=0 上の2つ の 式 を 満 足 す る ん,yνは 82V = 0 のとき xν= 0, yν= 1 82νヰO のとき ν 一 ν ザ ゐ 一 2 つ u I o

一 一

ν y これを上の式に代入すれば, 4γ ZZ 一 τずU2ν+2x~=-1

x~O

ーか=

-1

(22)

-248-が-~

ν-4-8~ν

:

:

t

8

2

一戸一年宇O /4-δtν

yν=

守 王 ヂ ヰ

O

V

4-

d'

z

"

このようにして,条件 第61巻 第3号

/

c

= -1,

f

2

f

ν+

/

2

= 0;lノ =3, 4,… ,n を満足するXν司t0, .yνヰOが存在することから,変換 ん

=

e" }2= e2 ん= xνe2+'yνGν,ν =3, 4,… ,n は可能で、ある。ここで, (7)から

/

z

f

ν

+

/

"

/

2

=

2

んん

=0

となる。

/

2

中 0,

ν

/

宇O かっ fzf

ν=0

578 は,条件(10)と矛盾する。このようにして ,

n

詮3である限り条件(10)に矛盾することがわ かる。したがって,乗法について, (5), (6), (7), (8)を満足し,かつ,零因子を持たな いという条件を満足するならば

n

孟2でなければならないことがわかる。 7 2元数 前節において,実数と同じ性質を保ちながら,実数を拡張した数は

2

次元のベク トルに対して積を定義したものであることがわかった。そこで,このような数を

z=

ぬれ

+

x

2

i

2

と書く。ここで, Xl, X2は実数である。れとして eをとることにすれば,X1Zl Xleは 実数と同型となることは,前に述べた通りである。したがって, Xlを実数部とよび, i,(= e)は1と書けるものであるから省略することが多い。また,X!I2を虚数部とい う。

z

は実数部と虚数部の和として表されることから2元数とよぶ。 Zγとらの積を前 に述べたように,一般の形で,

i

r

i

s

Wi

+A

<

;

J

i

2

(23)

579 複素数に関する一考察 と書く。 このとき, α = (α" a2)= ad

+a2i2 β = (b" b2)= bd

+b2i2 の積α

β は as = ~ arb.AWi

+

~ arb.

λ

惚12 γ 1,S となることは, 前述の通りである。 ここで, Z,Z, ee e Z, Z ,Z2= eZ2= Z2 Z2Z1 Z2e = Z2 であるから,

A

W

= 1,λw = 0, λ

=0 λ

)

= 0,λw = 1, λ皆 =1 となることは容易にわかる。いま, らら=μi

+

νi2 すなわち, λ恕=μ

AW =ν -249-であるとする。この場合, 上のことからわかるように, (7)を前提としなくても,

λ

V

J

=

λ

Y

J

が成り立つ。このことから α

.

s

= ~

L

:

a1bsA弘)tJ 1γs

=2Zasbd

i

;

=s

α

すなわち,積について交換法則が成り立つことを導くことができる。 次に, α!s= (a,b,+a2b2μ)十(a,b2+a2b,+νa2b2)i2

(24)

-250ー 第61巻 第3号

y

=

(Cl, C2) Cl+ι2i2 をかける

(as)y = {alblCl+a2b2μι1 + (alb2C2+ a2b1c2+νa2b2C2)μ)

+{alblC2+a2b2μC2+ (al b2Cl

+

a2b1cl十va2b2cl) +ν(alb2C2+a2blC2+νa2b2C2)

}

i

2 {al b1cl+ (alb2C2+ a2b1c2+ a2b2C1)μ+ a2b2C2μν} + {(alblC2+ alb2cl

+

a2b1cl) +(σlb2C2+ a2blC2+ a2b2Cl)ν + a2b2C2(μ+ν2)} i2 ここで a→β,β→ y,y→ α とすれば, (βy)α {alblCl + (blC2a2+ b2Cla2十b2C2alμ)十a2b2C2μν} 十{(blCla2十blC2al

+

b2Clal)

+

(blC2a2+ b2C la2

+

b2c2al)ν + a2b2C2(μ+ν2)} i2 となる。このことから (as)y

=

(sy)

α=α

(sy) 580 すなわち,結合法則が成り立つことがわかる。このように,積については,積のっく り方(5),分配法則(8),単位元の存在 (91)を認めれば,交換法則(7),結合法則(6)を導くこ とができる。 次に

i

2について考察する。 /2については, i2i2 =μ+νi2 すなわち iZν/2μ=0 が成り立っと規定した。そこで, G(χ) = X2一νz一μ=0 をつくる。ここで,

(25)

581 複素数に関する一考察 251 ( i )ν2+4μ>0 ( ii)ν2+4μ=0 (iii)ν2+4μ くO の3つの場合が考えられる。このおのおのの場合についてら,それによって定まる2 元数Z 仇+χa2がどのようなものとなるかについて考察する。 ( i ) 〆+4μ>0の場合 実数 ν+β

可五

ν

-IV

耳石

U1二一一一一一一一一一 U2 山 2 が存在し, U1ヰ U2 C(X)= (X-U1)(X-U2) が成り立つ。いま Uiは実数であり,らは実数でないから, Z1 i2- U1 - U1十12ヰO Z2

=

i2- U2

=

-

u2+i2ヰO であり,かっ C(i2)= i~ νi2 一 μ = (i2-u1)(i2- U2) = Z1Z2 =

0

であるから,このふ ,Z2は零因子である。このような数仇+XU2を双曲数という。 次に 11,らを e1,e2に基底を変換する。ただし, 11 11

e

j

=

下卓ー

(i2 -

~)

レ" + 4 μ L とする。この変換の行列式ムは,

O

ム =

I

ぷ写

4

.

u

I

V

耳石

2

(26)

-252- 第61巻 第3号 したがって, このような変換は可能で、ある。いま

F

をつくれば, 4 ν 2、

r

= -.-2ν"+一一一-4μ 、 , 4' ¥12 -Z2仇 十 一 一j , ,2 = 寸 三 一(μ+

-

S

-

)

ν"+生μ 4

=

__

4__.

l

C

土並

ν2+4μ4 このようにして, 双曲数は

z

=

X

+

X

2

!

と書くことができる。これを双曲数の標準型という。ここで,

F

= 1 である。 さらに,基底の変換 11=t(1-j) }2=す (1+j) を行う。変換の行列式ムは ム = したがって, 1 2 2 2 1 2 1 ,1 1 = 一 + 一 = 一 宇4 '4 2

O

このような変換は可能である。 j山 = す(1-f)す(1-f) =十 (1-2j+F =十(2-2j)=す(1-f)= j

1 1. , ,,¥1

J

z

f

2

=

2

(1+ f)

2

(1

+

f)

=

τ

(1+2j+F

=

(2+2f)=

~(1 +j)

= f2 1 1 . .¥ 1 M2 =

2

(1-f)す(1+j)=I(l-f)=0 582

(27)

583 複素数に関する一考察 j2h =

0

したがって,この基底を用いれば 2つの数α,βの積は, α'/3= (a,f,

+

a2iz)(b,j,

+

bz/2) a

b

h+

α2b2.Jz となる。いま, αヰ0,βが与えられたとき, α

z=

β を満足する

z

を求める。 Z X

j

+

Xzf2 とすれば, αz

=

a,x,j,

+

a2X2lz

=

b']l

+

b2}2 であるから, α

X

b" a2X2 b2 が成り立つ。したがって aヰ

0

,a2ヰOの場合 y 図1 253ー ]2 },

(28)

-254- 第61巻 第3号 584 x

=

=

b

la" X2

=

=

b21a2 を得る。この式からわかるように a" a2のうちいずれかがOである場合は,除法は 不可能である。すなわち,図1における

i

t

l

z

軸上の数による除法は不可能である。 次に零因子について考察するために, as

=

=

0 とする。 as

=

=

a

b'71十a2b2j2 であるから, a

b

=

=

0 かつ a2b2

=

=

0 である。いま,

α*

0,βヰO とすれば, a,

=

=

0ならば,aヰOか ら ぬ 宇 O. a2ヰOであるから ,a2b2

=

=

0によってん==0, したがって, β宇

O

から

b

1ヰ

O

を得る。また ,a2

=

=

0

とすれば同様にして ,alヰ 0,b,

=

=

0, b2ヰO。このようにして,零因子の一方は;,軸上にあり,もう 1つはj2軸上に あることがわかる。 次に, α a,jl

+

a2]zの平方根を求める。 z x

j

+

X272 とすれば, Z2

=

=

Xr,;+U.lz

=

=

a山

+

a2]z であるから,

x

r

=

=

a"

.

:

d

=

=

a2 しt.::.カLって,

x

=

=

:

t

;

O

;

-

X2

=

=

:

t

;

a

;

すなわち ,a" a2

>

0

であるとき, α ad,+ad2は, z==

:

t

布 j,:t/

j2 の4個の平方根を持つことになる。このことから双曲数に対しては,n次の代数方程式 が

n

個の根を持つというガウスの定理は成立しないことが分かる。

(29)

585 複素数に関する一考察 -255-(ii) ).I

z+4μ=0

の場合

G

(

x

)

エ XZ_).IX μ=

(x-

n

となるから,

(

i

f

f

y

=

方 一 三 =2 一旦2 .

+

i

z

ヰO "~ であるから,この場合も零因子が存在する。変換 れ =1, k = iz

ー と 2 一 一

る ム ﹄ え 考 を ハ U 4 十 唱 E ム 一 一 ハH V 可 t A であるから,このような変換は基底の変換であり,新しい基底は 1, k であり,

e

=

(

i

z

y

=

わら+千

=μ+

=0

が成り立つ。この数を放物数とよび,x+ykを放物数の標準形とし、う。 2つの数α = a,+azk,β = b,+bzkの積は, as = a,b,+(a,bz+azb,)k となる。 いま, αヰOであるとき, α'Z

=

βを満足する zを求める。 Z= x,+xzkとすれば, α'Z= a,x,+(a,xZ+aZx,)k= b,+bzk であるから, a,x, b" a,xZ+aZx, bz

(30)

-256- 第61巻 第3号 したがって, b, 1 ,( a2b,¥ a,b2-a2b, X

a X2 一一 ¥02一一一一←l一一一一一一一T一一一 ,' a,¥ a, / ai となるから

a

,ヰOならば除法は可能である。 次に,零因子について考える。 α

=

a

+

a2k =1=-

0

s

= b

+

b2k =1=-

0

as

=

a,b,+(a,b2+a2b,)k

=

0 であるから,

a

b

= 0 したヵ:って,

a

=

0

または b

=

0

L 、ま,

=0

とすれば,

α

O

カミら a2ヰ

O

また α/3

=0

であり, ぬん+a2b

=

0

であるから, α2b

=

0

したがって

ム=0

を得る。 βヰ

O

と組み合わせて b2ヰ0,b

=

0

586 の場合も同様の結果を得る。すなわち,この数において零因子は,a2k, b2kという型 を持つものである。 次に,平方根について考察する。

(31)

587 複素数に関する一考察 -257-Z2 α とし ,Z χl+x2kとすれば, Z2= (Xl+x2k)2= xf+2xlX2k = al+a2k であるから U al, 2X1X2 a2 したがって ,al

>

0のとき Xl

:

t

;

ぬ 一 凶 すなわち ,al

>

0

のとき

;+d

k,

-d;-d

h の2つがαの平方根である。またal= 0ならば,a2 = 0の と き め =0, X2 不定 と なるから ,al = a2 = 0すなわちα=0の平方根は ,x2kの型の数全てであり,無限に 存在することとなる。このように,放物数の場合も,ジ=0が無限個の解をもつこと からガウスの定理は成り立たなし、。 Ciii) )12+4μ<0の場合

u-νz

一μ =

(

i

2

y

-μ2 H F

a A τ

-+

4

ν

一 の , 台 、 、 1 1 ' /

ν

2

d ' ' s t E、 、

一 一

基底il,i2を1,に変換する。ここで, i1

e

= 1

よ{μ_~\

n = j-()l2+4

辺川

ρ¥ν2 J' '" 2 とする。この変換の行列式は O ν 2 ρ ρ

(32)

-258- 第61巻 第3号 588 となる。 ここで,

作会

(

i

2

f

)

2

=

(

t

z

ν

i+

~2)

4

(,

ν2¥4ν2+4μ

芯ヰ五

μ十

4)

=一石存石

r

-

4

-

- - 1 この場合の数を,楕円数あるいは複素数という。複素数の標準形は,X+Ylである。 2つの複素数 α a

+a2i

s=b

+b2i の積は,

σ

1

3

= (a,b,-a2b2)+(a,b2+a2b,)i となる。次に, z x

+x2i が

a

z

= s(

α

0

)

を満足するとする。 αz

=

(a,X,-a2X2)十(a'X2+a2x,)i = b

+b2i しTこカ:って

,X,-a2X2= b, の め+a'X2= b2 それゆえ a

b

+a2b2 X, 一一一万一「一吉一一, ai""t"ai となる。 αヰ O ならば,

i

+

a~

>

0

a

b2-a2b

X2= aî+a~ であるから, αヰ

O

である限り上のzが存在する。つまり,除法が可能である。このよ うtこふ, この数は(9)を満足するから,零因子は存在しない。 次に, 平方根について考察する。 Z2 α

(33)

589 複素数に関する一考察

Z

2

=

.u-xl+2

X!

X

2

i

a

+a2

i

であるから, ..2 _ ~ i)

X

i

-

X

2

a

"

e

X

X

2 a

2

したヵ:って,

4xru

= a~

XI=xr-a

したがって, L 、ま

4u(xr-a

,)= a~ 4xt-4a , xr-a~ = 0 が

2

adj4ai+

Z-Gl

土必存否

- 市

4

2

x

f

= .Q,-f(J工

Z

2 の場合について考える。一般に

α

,1豆f(J工芝が成り立つ。 1

a

1 <必石 a~

一-

ー に 江 ヨ の場合は xf一三一一三一一一<0となり矛盾である。 1

a

1

=必石瓦

-259 の場合は ,

a

2

= 0,このとき ,

a

,ぐOならば

x

r

= 仇 <0となって矛盾である。仇>

Oのときは,.U 0。このことから

X

I

=

.u-a

-a

,ぐOとなってやはり矛盾を生

ずる。 このようにして .Uは

(

a

-jar+a

n

!

2

となり得ず xf

=

-

.Q1 十ふ石a~

2 となることがわかる。ことのことから

x

=

:

t

したカ:って,

(34)

-260ー 第61巻 第3号

2

=

0

, al

>

0

のとき, Xl

=

:

t

l

瓦ヰ 0

, X2

=

0

z=

:

t

必;

0, al五Oのとき

X12FF= 丙~=o

れ =:

t

/-al

=

土灯五オ

ZI =

:t汀五オ

1

2ヰ

O

のとき Xl

:

t

G

1

+

/

2

五存否

X2=±7JGl+hz

-al+

必 存

E

Z

ーム

a2

/

-

=

al+

必存否

2a~

ームf{lz

V

2

=

:

t

a2 (複合同順)

。( /

a1+ 必存a~

, a2

/- al+ 必石a~ ~

¥

Z =ヱ

¥

v

2 T マa~

V

2

590 となる。ここで ,

r

a

をlつの値に定めるために,

l

X

,れを上のようにして得られるも ののうち X2

>

0

となるものを

r

a

として選ぶ。 X2 = 0ならば Xl孟Oとなるものを

r

a

とする。 このようにして定まる

r

a

を主値という。 ここで,実係数の多項式は G(x) = coxn十C1Xn-1+, “+Cn Co

(Xiサ

JIb-uj)2+wy}λj

と因数分解できる。 ここで

v

(35)

591 k

ki+2

λ

n

いま方程式 C(x) = 0 を考える。 (x-v;)2+Wj = 0 (x-Vj)2 = -Wj 複素数に関する一考察 -261-ここで,上に平方根について述べたように -Wjの平方根は2つあり,その主値を

J

土石

7

とすると,この2つの平方根は土

J

工五

7

であるから, x-Vi=:t/

土石

7

x = Vj:t〆土石7 となる。すなわち ,CX-Vj)2+W; = 0 は2つの根をもっ。したがって,実数を係数とする n次の方程式 C(x)= 0は k ~ ki+2 ~ん n 個の根をもつことがわかる。さらに,係数を複素数とした場合にも ,

n

次の代数方程式 がn個の複素数の解をもつことがガウスによって証明されている。これが,ガウスの 代数学の基本定理とよばれるものである。 8 共役数 標準化した任意の2元数 z

=

Xel+ye2

=

X+ye2 に対して x軸に関して対象である数 z x-ye2 を

z

の共役数という。いま d = μ と書く。ここで, μ =-1 (複素数), 0 (放物数), 1 (双曲数〉である。 共役数

z

について,次のことが成り立つ。すなわち, 1)

z

が実数ならば

z=z

(36)

-262-2) (z)=z=z 3) Ci) ZI+Z2=Z2十Z2 (ii) Z1Z2

=

ZI

Z2

仙(ま)

=

;~

証明 第61巻 第3号 1) Z = x+ye2において Zが実数であるときはy= 0であるから, Z x-ye2

=

x-oe2

=

X Z また逆に, Z

=

x+ye2

=

Z x-ye2 ならば, 2ye2 =

0

2e2ヰ

O

であるから

y=o

しt-:'7うLって Z = Z χ が成り立つ。

2

)

Z

=

x+.ye2, Z

=

x-ye2 したがって, 3)

z

= x+ye2 = Z ( i) ZI

+

Z2

=

(

Xl +Yle2)+ (Xl +y2e2) = (Xl+X2)+(Yl+Y2)e2 = (Xl+X2)ー(yl+Y2)e2 = (xl-Yle2)十(x2-Y2e2) ZI十Z2 ( ii ) ZI

Z2= (Xl +Yle2)(x2+Y2e2) = X1X2+Y1Y2μ+ (X1Y2

+

X2Yl )e2 592

(37)

複素数に関する一考察 -263-593 = (.X1X2+Y1Y2μ)一(X1Y2+X2Y1)e2 = (X1-Y1e2)(X2-Y2e2) Z

Z2 (iii) Z2s = Z1, Z2ヰO とすれば, ρ μ 方 22β= Z2β Z1 Z2宇

O

であるカミら 22司と

O

したヵ:って, n Zl

一 一

句 Z2 すなわち,

(

)

=

9 二元数のトポロジー 二元数は二次元のベクトルであるから,平面上の位置ベクトノレとして表すことがで きる。このとき ,

x

軸として実数軸をとるのが通常である。まず,距離について考察す る。 任意の集合について,任意の2つの要素Z1,Z2の聞の距離ρ(Z1,Z2)は,この集合の 要素の対Z" Z2に対して定義される実数であって,つぎの

3

つの公理を満足するもの である。すなわち, (1)ρ(Z1, Z1)

=

0

ρ(Z1, Z2)

>

0, Z

司tZ2 (2)ρ(Z1, Z2) =ρ(Z2, Z1) (3)ρ(Z1, Z2)十ρ(Z2,Z3)孟ρ(Z1,Z3) この

3

つの公理は

(38)

-264- 第61巻 第3号 594 1) ρ(Zl,Zl) = 0 ρ(Zl, ZZ)

>

0, ZlヰZz 2) ρ(Zl, ZZ)+ρ(ZZ, Z3) 主主ρ(Z3, Zl) によって置き換えることができる。なぜ、ならば,いま1), 2)が成り立っとする。 2)に おいて ,Zz

=

Z3とすれば, ρ(Zl, ZZ)+ρ(ZZ,ZZ)孟ρ(ZZ,Zl) 1)から, ρ(ZZ,ZZ)= 0であることから, ρ(Zl, ZZ)注ρ(ZZ,Zl) が成り立つ。次に,Zl, Zzについてむを適用すれば, ρ(ZZ, Zl)+ρ(Zl, Zl)孟ρ(Zl,ZZ) すなわち, ρ(ZZ,Zl)注ρ(Zl,ZZ) が成り立つ。したがって, ρ(Zl, ZZ)孟 p(Zz,Zl)孟ρ(Zl,ZZ) となることから, (2)ρ(Zl, ZZ) =ρ(ZZ, Zl) が成り立つことがわかる。これから, ρ(Zl, ZZ)+ρ(ZZ, Z3)孟ρ(Z3,Zl) =ρ(Zl,

zJ

として(3)が成り立つことを導くことができる。このようにして, 1), 2)から(1), (2), (3)を導くことができる。 いま, 1つの要素

z

に対して定まる実数 11Z 11を考え, ρ(Zl, ZZ) = 1 Zl-1

z

z

l

l

として定義することを考えてみる。このとき, 11Z 11を

z

のノルムといい, n(z)と書 くこともある。 1 1Z = 111 1

z

-

o

=ρ11 (Z, 0) となるから, 11011 =ρ(0, 0) = 0

(39)

595 複素数に関する一考察 また ,ZヰOであるとき,

I

l

z

1

=

1

ρ

(Z,

0

)

>

0

が成り立つ。また - ZはO - Zであることから,

1

1

-

-

Z

=

1

1

0

1

1

-

Z

=

1

1

ρ

(0, z)

=

ρ

(Z,

0

)

=

I

l

z

1

1

が成り立つことがわかる。次に 3つの要素Zl,Z2, Z3から Zi=Zl-Z2, Zi=Z2-Z3 をつくれば, Z3-Z

= -{(Z2-Z3)+(Zl-Z2)} であるから,

ρ

(Z3, Zl)

=

z

1

1

3

-

z

1

1

1

となる。一方

=

1

1

一{(Z2-Z3)+(Zl-Z2)}

1

1

=

1

1

一(zi+z,*)

1

1

=

1

1

zi+zi

=

1

1

1

1

zi+zi

1

1

ρ

(Z3, Zl)妥

ρ

(Zl,Z2)+

ρ

(Z2, Z3)

=

1

1

Z

-Z2

1

1

+

I

l

z

2

-

z

3

1

1

=

1

1

zi

1

1

+

1

1

z

i

1

1

が成り立つから,給局

1

1

zi+z.*

1

1

1

1

zi

+

1

1

1

1

zi

1

1

が成り立つことがわかる。 以上をまとめると,

1

1

Z

1

1

z

に対して定義された実数であって, l

1

1

0

1

1=

0

1

1

Z

1

1

>

0

, ZヰO 20 )

1

1

Zl

+

Z2

1

1

I

l

z

l

l

l

+

I

I

z

2

1

1

I

I

-

z

l

l

=

I

l

z

l

l

を満足するものと考えることができる。さらに, 30 ) kを実数とすれば,

(40)

-265--266

1

1

k

z

=

1

1

1

k

l

1Z

1

1

1

4')

1

1

e

=

1

1

1 を満足するものとする。 このことから,実数hに対して 第61巻 第3号

l

I

k

=

1

1

k

1

1

e

=

1

1

1

k

1

1

1

e

=

1

1

1

k

1

596 が成り立つ。このようにして,

1

1

Z

1

1

は実数の場合の絶対値の拡張であると考えること ができる。したヵ:って, 5')

1

1

Zl

z

2

1

1=

z

1

1

l

l

l

1

1

Z

2

1

1

が成り立っと考える。 いま 2元数

z

に対して,

1

1

Z

1

1

を定義す町る。

z

から実数を作り出す演算として Z.Z =

(

X

+

y

e

2

)

(

X

-

y

e

2

)

x2 μ~y2 を用いることとする。ここで, l 楕円数(複素数〕 μ =

1

0

放物数 l 双曲数 である。いま, 30 )を満足するようにするために,

Ilzll=J

Z

と定義する。このとき,

1

1

0

1

1

=

1

1

0

0

1

1

=

/0

=0

Z =1=-

0

のとき

1

1

Z

=

1

1

r

z

z

=

汀子±万可孟

O であるが, μによっては

O

となることがある。 次に,kを実数とすれば,

k

z

=

k

(

X

+

y

e

2

)

=

k

x

+

k

y

e

2

であるから

1

1

k

z

1

1

=パ五夜了

(41)

597 複素数に関する一考察

=1

1 (kx+kye2)(kx;-kye2) 1 = j 1 k2x2-fJ.k2y21 =

I

k

ζ

日亡石可

=Ik

げ百亡巧寸

=Ik

I

l

z1

1

が成り立つ。また,

1

1

e

=

1

1

j

1

(1+Oe2)(1-0e2)

1

行 =1 が成り立つ。さらに,

1

1

Z

l

Z

2

1

1

=

j

1

(

Z

l・

Z2)

三;

)

1=

1

I

Z

l・

Z2

bz21

= j

1

(

Z

l

Z

l

)(Z2Z2)

1

I

Z

I2

1

1

1

Z2Z21

=汀

ZlZ

r

.

j

1

Z

2

Z

2

1 =

l

l

z

l

l

l・

1z

1

2

1

1

-267--が成り立つ。このようにして,上に定義した

I

l

z1

1

は,前に述べた 3'),4'), 5') 満足 することがわかる。 次に, 2')との関連において,一般に定義されたノルム N(z)について,次の定理が 成り立つ。 定理 いま 2元数

z

について定義されたノルム N(z)について ,N(z)が3つを満 足するならば,

ε

= {zIN(z)< 1} が凸であるための必要かっ充分な条件は,N(z)が2つを満足することである。 証明 N(z)が2つを満足するとき,任意の2つの要素

Z

l

,Z2

t

ε

をとる。このと き, N(Zl)

<

1, N(Z2)

<

1 が成り立つ。ここで, Z

λ

Z

l

+(1

λ

)Z2,

0

壬,.l玉;;

l

をつくる。 N(z)

=

N(

λ

Z

l

十(1

-

λ

)Z2) 話N(,.l

Z

l

)

+

N {(1-,.l)Z2} = ,.lN(Zl)+(1-,.l)N(Z2) ぐλ+(1一λ)

=

1

(42)

-268- 61巻 第3号 し

t

.cカ:って, AZ1十(1 λ)Z2

E

ε

すなわち,

ε

は凸である。 次に,逆を証明するために,N(z)が2つを満足しないと仮定する。このとき, Zl, Z2f

ε

かつ N(Zl)+ N(Z2)く N(Zl+Z2) を満足するあ ,Z2が存在する。このことから, N(Zl)

<

h, N(zz)く h h+k

<

N(Zl +Z2) を満足する実数h,kが存在することがわかる。次に,これを用いて Zl Z2 Zi

=

h'

Zi

=

k

をつくれば, N(zi)

=

N(¥h

主)

J

=

h

~_

N(Zl)

<

1 N(z;)

=

N(¥kJ

主)

=

k

~_

N(Z2)

<

1 となることから, zi, Z;

εε

となる。いま,

A=-h- l-A=

一生一

h+k' A " h+k として, Z = Az;'+(l一λ)zi をつくれば, N(z)

=

N(lIz;'+(l-lI)z;) ニ

N(dEzf+dzd

598

(43)

599 したがって 複素数に関する一考察 = N ( h 一一一一一十一一一一一-

akh)

h+k h ' h+k k =N{-il h+k 一(Zl

+

Z2)} ,~, ' ~.'J =-1-N(Zl+Z2)>l h+k Z

E

E

ε

-269 このようにして,

ε

の内部の2点ziziを結ぶ線分上の点

z

ε

に含まれないこと,す なわち,

ε

が凸でないことを示すことができた。 上のことから,

2

つは

ε

が凸であるための必要かっ充分な条件であることがわかる。 いま ,N(z)=lあるいは11Z 11= 1を満足する

z

の集合 C

=

{z111Z 11

=

1

}

を特性曲線とよぶ。 11Zo11ヰOを満足する Zo= Xo+ e2YOを考える。 (Xo,YO)は2元数

Zoの二次元ベクトルとしての要素表示であるから,平面上の位置を示すものと考えて よい。このことから, f = {z1 Z = kzo= (kxo, kyo),

0

話hく∞} は,原点と Zoを通る半直線である。ここで,k1

=

1

/

11

z

oIIとしたときの

z

を ふ と す れば, 1 1Zl 11= 11kzoII = k 11zoIIニ向11Zo11= 1 であるから Zlは特性曲線の上にある。 逆に,Zl klZOが特性曲線の上にあるとすれば, 1 1Zl 11=

kd

Zo11= 1 であるから, Ilzo11ヰ 0,このようにして, 11Zo11宇Oであるとき,またそのときに限っ て,原点と Zoを結ぶ半直線は特性曲線と交わることがわかる。また,k 11Zo11は増加関 数であるからk11Zo11= 1の点,すなわち特性曲線とこの半直線との交点はl点に限 る。 1 1Zo11

'

*

0

である

2

元数を Zoとし ,Zoと原点を結ぶ半直線と特性曲線との交点をふ

(44)

-270 としたとき, Zl klZ0 ここで, k1 =

1

/

11Zo 11 であるから, Zl

-

-

-

-ZO H け│ したカlって Zo = 11Zo 11Zl が成り立つ。また, 第61巻 第3号

Zl

=

(Xl, Yl)

=

klZ0

=

(klXO, k

yo)

であるから,ベクトルとしての長さ 1Z 1については,

I

Z

1

1

=ぷ存完 =

!(k1Xo)2+(k仇 )2

=Ik

む汗完了

=

k

J

;

'

汗ヌ

= kllZo 1 しずこカ:って 1 Zo 1

=

1Zl 1 = 11Zo H zll が成り立つ。すなわち, 1 Zo 1 一11Zo 11 = 11

z

o

I

I

ーロ~ が成り立つ。 600 いま, 11Z 11= 0 を満足する点が原点のみであるとするならば,任意の方向にヲ I~ 、た 直線は特性曲線と交わるから,特性曲線は有界である。特性曲線が有界でない場合, 特性曲線の上の点を特性曲線の上で動かしても,いくらでも原点から離れてし、く。一 方,原点を通る半直線と特性曲線はただ1つの点で交わるから,この直線と

z

軸との 交角

8

n

は上限あるいは下限

8

0

をもつことになる。 x軸と

8

0

をなす直線は特性曲線 と交わることはない。このことから,この直線の上の点は11Z 11=

0

を満足することが わかる。

(45)

601 複素数に関する一考察 -271ー ここで,楕円数(複素数),双曲数,放物数の各々において,その特性曲線の特徴に ついて考察する。

A

.

楕円数〔複素数) zz χ2ーμy2において,楕円数(複素数〕は, μ =-1の場合であるから, 1 1

z

11=

I

X

可子

となる。このことから ,

z

O

ならば, 11

z

11>

0

であり,

1

つを満足する。特性曲線は c

=

{z111z 11

=

1

}

= {z I

I

X

可 子 =

1

}

=

{z1 X2+y2

=

1} であるから,原点を中心とする半径lの円である。したがって,

ε

は円の内部であるか ら凸であり,かっ,有界である。 ー ム O - 1 図2

B

.

双曲数 双曲数においては, μ =1であるから,

I

l

z

l

l

=パ子二子了

(46)

272- 第61巻 第3号 となる。したがって,特性曲線

c

=

{

Z

1

1

1

Z

1

1

=

1

}

=

{

Z

11

百て子

T

=

l} = {Z

I

x

2- y 2 =l} は,図3に示すような双曲線である。 U

シ/

図3 602 Zo Z 特性曲線 (C)の囲む領域

ε

は,図からわかるように凸でもなく,また有界でもない。 したがって,双曲線のノルムは

2

0 )を満足しなL、。例えば,

Z

=

3+2j

Z

2

=

2+j

とすれば,

Z

+Z2

=

5+3j

1

1

1

1

+

z

1

1

z

I

I

= 布 + ぽ =3968“ "

1

1

z

+

z

2

1

1

= 4 であるから

1

1

z

l

l

+

z

1

1

2

1

1

1

1

z

+

z

2

1

1

(47)

603 複素数に関する一考察 -273-となる。双曲線の場合,定義から直ちにわかるように, 2つの直線 x = Y, x --y の上の点については,すべてノルムは零である。

C

.

放物数 放物線においては, μ=0であるから, Ilz 11

=汀五可

=Ixlとなる。したがって, 特性曲線は,

c

=

{

z

111

z

= 11 l}=

{

z

11

x

1 = l} = {z 1 x

=

::!::l} となるから,

C

は図

4

に示す通りである。

v

工 - A O l 図4 したがって,

ε

=

{

z

111

z

11~

l

}

は,出ではあるが,有界ではなし、。

ε

は凸であるから,この場合ノルムは2つを満足す る。しかしながら,有界マはないから,ノルムが

O

となる点は原点のみではない。放 物線の場合は,y軸の点はすべてノルムは

O

である。 これまで述べてきたように,双曲数と放物数においては,

z

ヰOかっ11

z

11

=

0とな

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