音波ふるい器によるシルトのふるい分けと
その粒度分析への応用
山田 宣長
SIEVING SILT PARTICLE OF SOIL WITH A SOUND WAVE
SIFTER AND ITS APPLICATION TO PARTICLE SIZE ANALYSIS
Nor・iyoshiYAMADA
IntheJapaneseIndustrialStandards,bothsievingmethod(formorethan75pm) andhydrometer・method(forlessthan75FLm)aredefinedtoparticlesizeanalysisofsoil
But,because of theoreticaldifference between the two methods,gradation curve frequentlyshowsdiscontinuousformmoreandlessthan75FLm
Inthispaper,thepossibilitiesofsoundwavesiftertosievesiltparticleofsoiland to analyzeparticlesizeas“drysievingmethod”,arereSearChed
Results obtained are as follows:
(1)ThemostprofittablecycleofsoundwavetosievethesampleisprovedtobelOOHz
(2)Whentheamount ofsampleislOg,theresult ofsievingagreesbest with thatof hydrometermethod(JIS)
(3)Timerequiredtosievethesamplemaybedesireble over60min,pOSSibly120min forahigherdegreeofaccuracy
(4)Whensound wavesifteris applied to particle size analysis,being combined with Sievingmethodusedatpresent(JIS),nOn∼WaterprOOfaggregateandflocculationof soil can be represented quantitatively
キーワ・−ド:音波ふるい器,シルト,粒度分析,団粒. 緒 土のような粉粒体の粒度を測定するに際して,.JISの規格では75〟m以上を対象としたふるい分 析と,それ未満を対象とした沈降分析とが採用されている.しかしながら分析方法の原理的な相違 のため,粒径加積曲線によって粒度を表示した場合,75/Jmを境にして曲線が不連続となる場合が しばしば認められる.この点について土質工学会では,多少の誤差はやむをえないので,曲線をな (1) めらかに近似すること,不連続性が著しい場合には再実験することを提唱している 音波ふるい器は粉粒体試料に50∼300Hzの音波を加えて振動させ,従来ふるい分けが困難である と考えられていた75/Jm未満の微細粒子のふるい分けを可能としたものであり,同志社大・三輪教 授の考案によるといわれている. ここでは筒井理化学器械製SW−20塑音波ふるい器に,ふるい目開き5,16,40,75/Jmのナイロ ンスクリーンを設置し,音波周波数,供試試料の質量,ふるい分け時間の3因子を変化させた条件 で,シルト粒径部分を効率よくふるい分けする条件を選定した.そしてその結果をもとにして,5
〟mから2mmにわたる広い粒径範囲を対象とした乾式ふるい分け法による粒度分析の可能性に
ついて検討を加えた.なお,ふるい分けに際しては,径約1mmのプラスチック球を各ふるいに5香川大学農学部学術報告 第45巻 第1号(1993) 52
gずつ入れて試料の目詰まりを防止した.
音波ふるい器によるふるい分けの理論 音波を利用して粉粒体をふるい分けする可能性については,三輪が江戸時代の和歌からヒントを (2) 得て実用化に至ったといわれている 音波によるふるい分けに際しては,ふるいの網を共振させてふるい分ける方法と,試料を共振さ せてふるい分ける方法とが考えられる.前者については,弦楽器や打楽器にその相似性が見出され, 理論的にも確立されたものとなっている.たとえば,ふるいの網が直径方向に張られた弦によって近似できるとすると,弦・の振動を表す微分方程式彩=C2掛こ両端固定の境界条件と,持0の
ときの弦の変位および速度の初期条件を入れ,弦の振幅が−・番大きい(振動数が−・番小さい)振動数を銅るとc=去ノ言となる(3)・ここでα=弦長,r=張力,β=線密度である・
同様にして,ふるいの振動が円形の膜の振動で近似できるとするとろ慧Ⅴ信の振動数を与えた
場合に膜の振幅が最大となる. しかしながらこれをふるい分けに応用した場合には,rの値の影響を受ける点に問題がある.す なわち,ふるいの網の張力が不明な場合には適正な振動数(音波の周波数)を与えることが不可能 となり,実際のふるい分けに際して上式をそのまま適用することは不適当な場合が多い. つぎに試料を音波に共振させてふるい分ける場合を考えてみると,振動する空気(音波)の振幅 晶,最大振幅Am,角周波数α,波長バ,振動の節から粒子までの距離ゼとするとXn=Amsina)tSin(2胡)
となる.共振する粉粒体に作用する抵抗力RにStokesの法則が適用できるとすると 斤=3方励(普一普) ここで二‰は粒子の振幅であり,粒子群(試料)の衝突数を最大にする音波の周波数は ノ=放となる(4)・ 10kHz lkHz lOOHz 〟m O.2 0.5 1.0 2。0 5。.0 10 2050
図−1粒径と振幅比の関係(文献(4)一部加筆)これを図示すると図−1のとおりである. この図からわかるように,特定の粒子径に対して粒子群の衝突を最大とする周波数=振幅比0..5を 選定することができ,たとえば5/Jmの粒子にたいしては100Hz程度が最も適正な振動数(音波の 周波数)となるのではないかと考える. 実際の音波ふるい器においては,ふるい分けを促進するために,粉粒体試料の中に径1mm前後 のプラスチック球を入れることが推奨されており,それから判断すると音波によってプラスチック 球を振動させ,それによってふるいの網を強制的に振動させているものとみなせる.したがってふ るい分けの際には主として粉粒体自身の共振に依存しているが,同時に間接的にふるいの網も振動 させてふるい分けの効率を高めていることがわかる. 基礎的実験とその結果 (1)音波周波数の選定
ふるい器の発振する音波の周波数は,50∼300Hzの範囲において25Hzおきに設定し,試料とし
てカオリン50gを供試して5∼120minの10段階の時間ふるい分けを行った.そのうち120minふるい分けの結果は図−2に示すとおりである.この図において,100Hz以下および250Hz以上の測
定結果は周波数依存性が高く,不安定であったので省略しセある. 図−2から判断すると,周波数100∼150Hzにおいて最も良好なふるい分けができるが,周波数が 高くなるほど騒音が大きくなる傾向がある.すなわち,図−3からわかるように,300Hz以下の周 波数での音圧は,周波数が高くなるほど増加し,300Hzでは100Hzの約1‖5倍となる.したがってふるい分けに最適な周波数は100Hzと考える.この値は図−1において5/Jmの粒径に対する振幅
比0.5の値とほぼ・−・致しており,ある程度理論的根拠をもつものとみなせる. ただし,図−2において破線で示したように,周波数が100Hz以下になるとふるい分けの効率が 急速に低下し,かつ不安定な結果となるので,実験中の周波数の低下には十分注意する必要がある. Hz lOO 150 200 図−2 周波数と残留率との関係54 香川大学農学部学術報告 第45巻 第1号(1993) kHz O。2
0.5
1..0 2い0 図−3 周波数と音圧の関係(文献(4jより引用) 仰 2 5 10 20 50 100 図−4 試料の質盟の影響 (2)供試試料の質量の決定試料としてカオリンを供試し,質量10∼50gの範囲内で10gおきに,100Hzの周波数で120min
ふるい分けを行った.その結果を.JISに準拠した測定結果(沈降法)と対比し,粒径加横曲線とし て示すと図−4のとおりである. この図からわかるように,供試試料の質量が大きくなるほど40/Jm以下の微小粒子を過少評価す る傾向が強く,JISの粒度分析結果と比較すると,試料10gの場合が最も良好な一・致をみせ,また50 gの場合には5,16/Jmふるいの両方において,みかけ上ほぼ1/2の加積通過率を示している.ふる い分けの時間をさらに長くとれば,この傾向は多少緩和される傾向があるが,実用上の見地からい えば,ふるい分け時間が120min以上にも及ぶのは好ましくないので,試料の質量は10g程度とする のが適当であるものと考える.min 20 40 60 80 100 120 図−5 ふるい分け時間と残留率との関係 ただし,カオリンと比べて40/∠m以下の微小粒子の割合が少ない試料の場合には,たとえば40/Jm ふるいの通過率が50%の場合には20gとするというように適宜増加することが可能となろう. (3)ふるい分け時間の選定 基礎的実験(1),(2)で得られた結果をもとにして適正値を設定し,試料の畳はカオリン10g,音波の
周波数は100Hzとした上で,ふるい分け時間5,10,20,30,40,50,60,80,100,120min後に
各ふるいの残留量を測定した.その結果は図−5に示すとおりである. この図からわかるように,16〟m以上のふるいでは試料の畳は時間と共に単調減少し,逆に5/∠m 以下の試料の畳㌢ま単調増加するが,5〟mふるいでは10minまで増加し,その後鱒減少する傾向が みられる.骨材のふるい分けに関する.JISの規定では,1minの変動が1%以内とされており(5),それとの関
連で判断すると,試料10gの場合であっても,ほとんどすべてのふるいについてふるい分け時間は60min以上必要となり,できれば(すべてのふるいで変動が1%以内となる)120min程度の時間
ふるい分けるのが望ましい. ただし,(2)の場合と同様に,40〃m以下の微小粒子が少ない試料については,多少時間が短縮で きる可能性があるが,質量の場合ほど顕著な効果はなく,たとえば通過率が1/2の試料であっても, ふるい分け時間を1/2とすることは困難である. 粒度分析への応用 香川県下から15種類の土壌を採取して,音波ふるい単によるふるい分けが粒度分析に応用できる 可儲性を検討した.供試試料の基本的物理性は表−1に示すとおりである.実験は ①JISの粒度分析法に準拠した粒度分析 ② 分散剤を用いない粒度分析(湿式) ③ 乾式ふるい分け+音波ふるい器による粒度分析 の3者によって行い,それぞれの粒径加横曲線を比較した.その結果図−6に示した3種類のパタ・− ンが認められた.香川大学農学部学術報告 第45巻 第1号(1993) 表−1 56