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ブドウの早期落葉に関する研究 VIII 葉面散布剤による梅雨期落葉の抑制効果について-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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第23巻第2号(1972) 241 ブドウの早期落葉に関する研究 ⅦⅠ菓面散布剤による梅雨期落葉の抑制効果について

樽 谷

勝 Ⅰ緒 言 前報(8・9)の梅雨期における黄変喪の葉介析結果よりし.て,結果枝基部葉の費変には基内のN,P含塵とCu含意が 密接に関係しているものと考えられ,また㌍Pを用いたPの移行状態の観察(10)において,根が障害をうけた場合に は,基部築からPが容易に移行することが明らかに認められた.本報ではこれらの結果にもとづいて,各種の要素 を含む菓面散布剤の梅雨期前散布が,結果枝基部其の英脈黄変ならびにそれによる落葉の抑制・軽減に及ぼす効果を 観察し,梅雨期落葉の防止対策について検討した. 本研究の遂行に当り,京都大学教授小林牽博士から終始ご懇篤をご指導を賜わり,また本実験に際して,香川大学 農学部梅田裕教官の協力を得,大塚化学薬品株式会社徳島工場から薬剤試料の提供などをいただいた.あわせて「深甚 の謝意を表する.(注:本報は園芸学会昭和44年度秋季大会で発表したものであり,さらに京都大学審査学位論文の −・部であるハ) ⅠⅠ実験材料および方法 A1968年の実験 大川郡志度町高橋忠氏の西面傾斜地Campbell’sEarly園において,U字塾生枝,短梢暫定の成木を供試した.双方 に2介した主枝の1本を無散布区とし,他の1本を散布区とし,そ・れぞれ主枝上の結果枚数は70本館後とした.薬面 散布剤として,市販の硝酸カルシウム(石津製薬),アトニックーS(旭化学工業),サンピ3号(大塚化学薬品),フロ ・−リン(富士農芸化学),ミネヒロン1号(高千穂化成)の5種類を用い,おのおの展着剤リノ、−添加の600倍液を, 6月8日と6月18日の2回,おもに新栴基部の薬面に散布した.7月20日(梅雨明け直後)に,各供試樹における基 部薬の黄変,落薬状態を調査するとともに,薬内5要素含量を分析,比較した.黄変菓の発生および落薬状態の調査 覆らびに案分析は,第5報(8)の場合と同様な方法で行なった. 31969年の実験 大川郡志度町高橋敬一㌧氏の水田転換Campbell’sEarly園において,H塾生枝,短棺労定の成木を用いた.供試樹は 同園内で無作為に選び,結果枝本数を160∼190本とした.薬面散布には第1表に示す試験区および対象成分を選び, 第1表 薬面散布の試験区および処理法(1969年) 分 】 主た る 対象成分 】 散 布 液・散 布 時 期 無 処 理 対 照 区 尿 素 散布区 硝酸カルシウム 〟 リ ン酸一カリ 〝 サンピ多盈要素 〝 サンピ微温要素 〝 サ ン ピ 3 号 〝 無 処 理 製品蒐0..50%液(成分0.23%) 5L謂品呂〉謂 N, N,Ca, P,K, N,P,K,Ca,Mg Mn,B,Fe,Cu,Zn,Mo, 前2者の綜合成分,他糖,酸 〝 0い25%液(〝 0.24%)5L 〝 〝 01.25%液(〝 0.25%)5L 〝 〝 0い25%液(12い5mJ/5L)5L 〝 〝 0い25%液(12.5mJ/5L)5L 〝 〝 0‖25%液(12い5mJ/5L)5L 〝 注:1.葉面散布は基部葉に対して,表面に約7剖,表面に約3割程度の畳を目安とした. 2.サンピ多盈要素,サンピ微塵要素,サンピ3号は大塚化学薬品KKの製造提供による.

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成分または製品患の0.25%液(約400倍液)に展君剤リノーを添加(ただし,あらかじめ製品に展君剤が添加されて いるものはその−まま使用)した散布液を作った.6月3日と6月10日の2回,1樹当り5Lずつを新梢基部菓の表面 に重点的に散布した.尭面散布処理後,梅雨期中の6月25日,7月3日および梅雨明け彼の7月20日に,各区の基 部薬における費変,落葉の状態を調査した.また6月25日(薬面散布後15日)に試料をとり,基部葉内の5要素な らびに微盈要素含量を,前と同様の方法によって分析,比較した.

1969年における実験期間中の天候は,典型的を梅雨期の様相を示した.すなわち,5月末ごろから7月12日の間,

各旬とも3∼8日間の降雨日数があり,とくに6月下旬に109.Omm,7月上旬に1軋5mmの降雨があり,平年に比 べて期間中は降雨が多かった.7月15日には梅雨明けとなり,その後は晴天が続いた. ⅠⅠⅠ実 験 結 果 A1968年の実験 7月20日における各区の黄変,落葉の状態は,第2真のとおりである. 第2哀 楽面散布剤の黄変・落葉の抑制効果(1968年:7月20日調査) 、‥ .‥∴\\・ ・∴・・.・こし丁 T 硝酸カルシウ ム (石 津 製 薬) アト ニ ックーS (旭化学工業) サ ン ピ 3 号 (大塚化学薬品) ■7 ロ ・− リ ン (富士農芸化学) ミ ネ ヒ ロ ン1号 (高千穂化成) すなわち,本実験の場合に鮨散布区を100とした比率でみると,硝酸カルシウム,フローリンおよびサンピ3号に おいて,比較的に落葉抑制の効果がみられた. っいで薬内要素含邁を分析した結果は,第3表のとおりであり,明確なる傾向は認めがたいが,前報までに明らか にされた黄変菜の分析結果からすれば,菓面散布剤の種類によって,とくにP,Kの含丑が高くなっているのは注目 すべきである. 第3表 尭面散布剤の散布が葉内5要素含劉こ及ぼす影響(乾物重%,1968年:7月20日採集分析) Ca I hlg N I P 無 散 布 散 布 硝酸カルシウ ム (石 津 製 薬) アト ニ ノクーS (旭化学工業) 無 散 布 散 布 サ ン ピ 3 号 (大塚化学薬品) フ ロ ー リ ン (富士農芸化学) ミ ネ ヒ ロ ン1号 (高千穂化成)

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243 第23巻第2号(1972) B1969年の実験 (1)基部葉の黄変・落葉状態 梅雨期中および梅雨期明け後に,基部薬の黄変と落葉の状態を調査した結果は,第4表のとおりである. 第4表 葉面散布剤の散布が基部薬の費変・落葉に及ぼす影響(新梢1本当り:1969年) 留健全 改の割合  ̄ ̄丁−− ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ % 1,0 141.9 13..5 28..3 27.6 4.1 31.6 すなわち,7月20日における新柏1本当りの落葉数は,無処理対照区の約4、1枚に対して,リン酸−・カリ,サンピ 多義要素,サンピ3号散布の各区では1、.0∼1.4枚にすぎない.また新梢基部の落葉数が1∼2枚程度の健全枝の残留 数の割合は,無処理対照区のわずか1.0%に対して,リン酸−・カリ,サンピ多良要素,サンピ3号散布の各区では約 28∼32%の高い残留数を示し,これらの各区では基部葉の黄変・落葉数が少ないことを認めた. (2)基部葵内の要素含蕊 6月25日(薬面散布後15日)に採菓した試料について,5要素および微丑要素を分析した結果は,第5表のとお りである. 第5表 棄面散布剤の散布が基部葉内の要素含故に及ぼす・影響(乾物重当り・1969年:6月25日採弟分析) Fe F Cu L Zn Ca l Mg − Mn N L P

1…5。%ll.7。

ppm

m pp64665767208027 1 1

320 243

276 257 285

216 ppm 295 330 257 245 280 277 pp 390 230 195 135 245 250 無 処 理 対照区 尿 素 散布区 硝酸カルシウム 〝 リ ン酸−・カリ 〝 サンピ多蓋要素 〝 サンピ微蓋要素 〝 サ ン ピ 3 号 〝 1“90 2 0…45【 225 257】 262 分析試料は葉柄と斐身で, 無処理対照区および尿素,サンピ微蓋要素区では,黄 注 変薬の若干を含んでいる. すなわら,散布剤のもつ主成分の相違によって,葉内の要素含盈に差異を生じた.とくに無処理対照区とサンピ微 盈要素散布区ではN含蒐が低く,無処理対照区および尿素,硝酸カルシウム,サンピ微量要素散布の各区では,Pお よび∵Kの含丑が低く,逆にCu含盈が高い傾向を示した..換言すれば,第4表で費変・落葉の比較的少なかった各 区,すなわちリン酸−・カリ区,サンピ多盈要素区およびサンピ3号散布区では,無処理対照区に比べてN,Pの含盈 が高く,Cu含超が低かった. ⅠⅤ 考 察 −・般に,樹体ならびに果実の生長にともなう肥料要素の吸収状態(1・8,4,6)をみると,新棉伸長や果実肥大の旺盛な ときには,NおよびPの吸収が盛んであり,PやMgはこれらの新棺や果実の生長・肥大のために,基部索から容 易に生長旺盛な部位へ移行するものとされている.

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ブドウにおける肥料要素吸収の季節的変化について,小林,細井,伊,水谷ら(7)および小林,細井,磯田ら(6)の 実験によって,新梢伸長期(4月上旬∼6月下旬)に比較的高濃度のPを施用することによって,果実の収孟を増し 品質を良くすることを認めている.また広保(1,2)によると,リン酸の吸収は果馴巴大期までに完了し,成熟過程に入 ると吸収されなくなり,そ・れ以前に茎頚内に貯蔵されたPが果実中へ移行するものとされている. こ.のようをことから,本研究における梅雨期落葉は,ブドウの発育経過の時期的段階からみて,梅雨期ごろは新棉 および果実の成長が旺盛なる時期に相当しており,体内栄養的にはNおよびPの要求度が高く,とくに結果樹では, 結実および幼果の発育のためにPの要求が一層高いものと思われる.−・方,梅雨期は気象的にみると螢天・降雨によ って日照が不足し,加えて園地の過温または停滞水などによる土壌通気の悪化は,根の機能を低下■する∫とくにN,P およびKなどのⅠ牧収を抑え,その結果として基部重から先部薫へのPの移行を起こすことになる・このことは前報(10) で観察したように,根の機能障書を受けたものにおける基部築からの$2Pの移行が明らかに認められたことからもう なずける.・また葉脈黄変薬における薬内要素成分の特徴として,NおよびP含羞が少をく,Cu含嵐が高いことは, これらの成分との間に密接な関係を有するものと考えられる. 果樹における肥料の葉面吸収肪16,17) ならびに葉面散布に関する研究(511,12,13,14)として,尿素については早くか ら比較的多くの報告がみられる.リン酸については高橋(5)の柑橘に対する実験,佐藤ら(12)の各種果樹に対するリン 酸一・アン・モエアの散布,石原(5)の温州みかんに対する過リン酸石灰の散布,渋川ら(14)のリンゴに対する第一・リン酸 アン毛ンの葉面散布などがあり,いずれもリン酸の菜面吸収の事実を明らかにし,葉内のP含盈を高めたことを報告 している. 従来より,果実の突止まりヤ収穫呆の品質の向上をはかるために,リン酸の尭面散布が行なわれているこ・とは,前’ 述の諸報告にお車て述べられているが,本実験のように梅雨期における早期落葉の抑制・軽減を目的とした,リン酸 の糞面散布はいまだ行なわれていないしかし本実験において,尿素のほか数種類の菓面散布剤の梅雨期前散布が,基 部案内のNおよびP含盈を補給・増加し,それが基部菜の黄変,落葉を抑制または軽減に効果を示したことは,はな はだ興味あることである. すなわら,梅雨期における一甲凋落薬の主な原因となっている尭脈蓑愛菓の発現を抑制するために,リン酸を含む葉 面散布剤の梅雨期前散布は,前述のような結実の肥大ならびに品質の向上に及ぼすPの影響とあわせて,きわめて合 理的であるといえ.る.. Ⅴ 摘 要 Campbell,sEarlyブドウ園における梅雨期落葉の抑制効果を検討するために,数種類の葉蘭散布剤の利用を試みた.

1..リン酸を含む散布剤を梅雨期前(6月上旬)に散布することによって,結果枝基部葉における葉脈黄変の発現

と,それによる落葉を抑制した. 2.リン酸を含む散布剤の業面散布によって,案内のP含虞が高くなるとともに,Cu含盈が低くをった. 文 (1)広保 正:ブドウ樹の栄養生理的研究(第2 報),生育時期を異にするブドウ樹の無機組成分 について,園学雑,30(2),111∼116(1951). (2)広保 正:栄養生理に基づくブドウ樹の施肥法, 虚及園,38(7),1071∼1076(1963). (3)細井寅三,遠藤融郎:葡萄Delawareの新梢に おける着果の有無と肥料3要素吸収盈の季節的 変化,農及園,30(11),1497∼1498(1955) (4)細井寅三,井上 宏:基肥(窒素)施用期の相違 と葡萄幼樹の生長及び果実収立との関係,農及 園,31(5),723∼724(1956). (5)石原正義:葉蘭施肥,農林省振興局研究部監 修;園芸全編,181∼189,東京,巻賢堂(1959). (6)小林 華:果樹の栄養生理,159∼182,東京, 献 朝倉書店(1958)u (7)小林 章,細井寅三,伊 字英,水谷随作:燐 酸および加座の施用時期と温度がブドウ果実の 収量・品質に及ぼす影響,国学雑,2g(2),85 ′}95(1960),. (8)樽谷 勝:ブドウの早期落葉に関する研究,Ⅴ 梅雨期の湛水,多湿が早期落葉に及ぼす影響に ついて,香川大農学報,21(4引,207∼216 (1970)い (9)樽谷 勝:ブドウの早期落葉に関する研究,Ⅵ 新梢基部葉の黄変・落葉に及ぼす尭内要素含盈 の変化,香川大農学報,22(2),123∼134(1971). (10)樽谷 勝:ブドウの早期落葉に関する研究,Ⅶ 基部葉における㍑Pの吸収・移行について,香

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245 ・加盟および3要素含有葉面散布剤の散布につ いて,国学雑,28(1),1∼11(1959) (15)潮田常三:肥料の薬面吸収,農及園,27(8),86 1∼866(1952). (16)潮田常三,黒瀬 邁:肥料の葉面散布に関する 研究(第3報),82Pによる葉面散布吸収後の養 分転移路の追跡,土肥雑,23(3),226∼227 (1953). (17)谷田沢道彦,束野正三:糞から吸収されたリン 酸の形態の変化,菓面施肥にかんする研究(第 3報),土肥雑,23(4),297∼301(1953). 第23巻第2号(1972) 川大農学報,22(2),135∼141(1971). (11)大畑徳輔:薬面散布,果樹栽培の新技術,204 ∼245,東京,朝倉書店(1957)‖ (12)佐藤公一・,石原正義,原田良平:果樹の燐酸薬 面散布に関する研究(第1報),桃・梨・柿・葡 萄・温州蜜柑実生に対する燐酸一・アンモン薬面 散布の効果,園学雑,23(3),159∼164(1954). (13)渋川潤一・,成田 括:りんごに対する尿素の葉 面散布について,園学雑,21(3),149∼154 (1952).. (14)渋川潤一・,相席盛雄,泉谷文足,−・木 茂:りん ごに対する肥料の葉面散布に関する研究,燐酸

STUDIES ON THE DEFOLIATION OF GRAPE VINES

IN THE SUMMER SEASON

VIIT About the restrain of the defoliation in the rajny season

bvfbliaspraysofnutrientelements

Masaru KuRETANI

Summary

Inordertoexaminethee鮪ctof’therestrainastothedefbliationintheCampbe11’sEarlygrape

vineyard,Wetriedfbliagesprayssomekindsof’nutr・iente】ementonleaves

lByapplyingfbliagespraysofnutrientelementcontainlngphosphorusbefbretheralnySeaSOn

(earlyinJune),WeObservedthedevelopmentofyellowingVeinandcou]drcstrajnthede−

fbliationofleavesthroughthat

2 Byutilizingfo1iageSPraySOffbliarfbrtilizercontainlngphosphorusontheleaves,Phosphorus

contentintheleavesincreased)butcoppercontentdecreased

(1971年11月30日 受理)

参照

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