香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号13′〉16,1980
ブロイラ、一用飼料としての大麦の利用について
一色 泰,新 比呂志,大松 潔,上田博史
THE USE OF BARLEYIN BROILER RATIONS
Ⅵ1takaIssHIKI,HirIOShiSHIN,KiyoshiOHMÅrSUandHiro血iUEDA
TheutilityofbarleyinbroilerrationswasinvestigatedusingbIOiler−typeChicks一Fiveexperimentaldietswere
prepared;aCOntrOldietcontaining50%groundyellowcomandfburbarleydietsreplacinghalforalloftheyellowcom
inthecontroldietwithgroundbarley(GB)0=O11edbarley(RB)・Eachof−theexpeIimentaldietsweregiventothirty 4・Week−01dcockerelsorpul1etsfor6weeksandbodyweightchangeandftedintakewererecozded・Replacinghalforalloftheyellowcornwithbarleyresultedinaprogressiveincreaseinftedintakebutinaprogres.
sivedecreaseine氏ciencyoffeedutilizationlConsequently〉grOWthwasadverselya飴ctedwhenbarleyreplacedall
oftheyellowcornbutnotwhenbaIleyreplacedhalfoftheyellowcorn・PeIformancewasnota飽ctedbythephysical
払rmsuchasgIindingo=011ing ブロイラ・−・用飼料に佼も多く配合されているトウモロコシの代替として脱秤大麦の利用性を,その置換盈および形 状について調査した.対照飼料には50%の挽砕トウモロコシを配合し,大麦配合飼料は対照飼料のトウモロコシの半 畳あるいは全盛を脱秤大麦の挽砕(GB)または庄扁(RB)で記換した.供試鶏はブロイラ・−・専用種を用い,雄雌おの おの30羽ずつに各試験試料を給与し,6週間飼養試験を行った.その結果,全盛を大麦で置換すると,飼料の摂取盈 は増加したが,飼料効率は著しく低下し,増体盈は対照区に比して有意に減少した…・一・方,半畳を大麦で置換すると 飼料摂取盈の増加により,増体盈は金魚置換区よりも良く,対照区と差がをかったn また,挽砕および圧扁加エによ る差はみられなかった. 緒 ロ わが国における養鶏産業の発展はその技術的進歩もさることながら,トウモロコシ等の安価な輸入穀類によるとこ ろが大きい.しかしをがら,今後も引き続き大患の輸入穀類にたよることは,液近の国際情勢からみて飼料需給上関 越である.−・方,国内産の穀類についてみると,麦類は行政指導の面もあり,水田姦作を利用し,規模の拡大と省力 栽培が試みられその収穫盈も年々増加の傾向にある.特に,大麦は単位面酷当りの収盈が多いため栽培面横が増加し つつある.しかし,麦類は食用としての消費には限度があり他に有効な利用が望まれ,国内産の麦類を飼料として活 用し,その利用の促進をはかることば重要を課題と考えられる..麦類を養鶏用飼料として利用する場合,いくつかの 問題点が指摘されている.特に大変は飼料効率がトウモロコシに較べて低く,鶏の成長に悪影響を与える(1 ̄8)と報告 されている. 本実験は香川県産の大麦を脱辞し,挽砕と圧扁加エしたものについてブロイラー専用鶏に給与し,トウモロコシに 対する代替えの可能性をみる目的で,その置換盈と飼料の形状の関係について調査した. 材料および方法 供試鶏は4週齢まで慣用の方法で育雛したチャンキー系ブロイラー専用種の雄雌を用いた.4週齢時に体重の揃っ た健康状態の良い雛を雄雌おのおの150羽ずつを選び,各試験区の平均体重が等しくをるように雄雌とも30羽ずつのOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号(1980) Tablel.Compositionofexperimentaldiets 14 (%) ControI GB−50 RB−50 GB−100 RB−100 Ingredient: Ground yellow corn Husked ground baIley Husked rolled barley Milo
Defatted rice bran Soybeanmeal Fishmeal Yellowgreuse Meat bone meal AlfAl払meal Calciumcarbonate TIi−Calciumphospate Sodiumchlozide MineIalmixture* Vitaminmixture** DL,Methionine DL−Lysine.HCI Chemicalcomposition: Moisture Crudeprotein Crude払t
Nitrogen free extract Crudefiber Cr・udeash O 5・M一∽0・09・0∽ 2 2 1 1 2 りー l l M 岬M O・50・OM6・0 血0・0 叩∽0・O細川5・0∽ ■︺ l l −hJ545 一〇・00・50・0餌7・05・05・0即日O・5∽MO・2MM 5 1 1 5 0 0 0 0 0 0 5 1 1 1 〇 .〇 5 5 5 5 nO 月 0 カ う 5 2.0 1‖2 0.5 0い2 0.25 0.25 ︵〃 2 2L 2 L .〇 2
0 2 5 2 2 1 0 0
5 2 α α 0 0 −.〇 2 5 5 2 ウ血 0 ∩﹀ ∩叫 ∩肌 ウ直 り‘ EJ −.ヽノ 2 ウ巾 〇.α 5 5 ..† ■.⊃ 0 0 〇.〇. 4 5 月 0 0 0 4 こJ .〇 カ 0 0 4 5 0 0 〇.〇1. 9 3 3 2 8 5 1 8 0U 2 2 ︵bl l 1 5 1 1 5 2 4u 4 7 7 6 2 8 8 1 2 6 1 1 仁J 8 3 2 4 0心 5 −1 00 8 2 2 6 1 1 こJ 2 8 0U l▲ 2 6 1 4 2 ︻J nO 8 1 1 5 9 3 3 0 nO 7 1 nO nO 2 2 6 *Mn8%,Zn5%,FeO”6%,IO.1%CuO”06%andcornstarchasacaIrier **Gram/kg:VitaminA(200,000IU/g)10,VitaminD8(30,000ICU/g)7,thiamine.HC11.6,負boaavin8, Pyridoxinel…6,Cholinechloride96,nicotinicacidl・6Capantothenate32,fblicacidO.8andsucroseasa carrier 5区に分け,10羽ずつを中,大雛用群飼ケ・−ジに収容し,10週齢までの6週間飼餐試験を行った.をお試験開始時の 平均体重は雄雛は919g,雌雛は783gであった. 試験飼料の組成は表1に示した通りである.対照飼料にはトウモロコシを50%配合し,慣用のブロイラー用後期飼 料の成分組成とほぼ同じになるように調製した.大麦配合飼料は対照飼料のトウモロコシを半盈あるいは全盈を脱秤 した大麦の挽砕(GB)または圧扁(RB)加工したもので密換した.をお,大豆粕および魚粉の配合盈を調節して各 試験飼料の粗蛋白質盈が等しくなるようにした.試験期間中は,飼料のより喰いを防止するために1日2回(8時, 16時)少盈の残飼がある程度に給与し,水ともに自由に摂取させた。体重測定は個体別に,飼料摂取盈は各試験区ご とに,2週間おきに測定した..有意差の枚定は雄雌をブロックとする乱塊法(7)で行った. 結果および考察 4週齢から10週齢までの飼育試験の結果を表2に示したり 増体盈は8週齢まで試験飼料による差はみられをかった が,10週齢時では対照区に対して全盈置換区は有意に減少した小 しかし,半畳置換区は対照区との間に差がみられを かった.飼料摂取盈は6週齢以降,大麦の置換により有意に増加し,金盈置換区はさらに増加した.その結果,飼料 効率は試験期間を通じて全盛置換区が混も低く,半盈置換区はこれを上回ったが,対照区には及ばをかった. 試験期間中いずれの測定時においても雄は増体盈,飼料摂取盈および飼料効率ともに雌を有意に上回った.しかし, 飼料の形状については,挽砕と圧扁との間に明らかを差はみられなかった.OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
一色 泰,新比呂志,大松 潔,上田博史:ブロイラ・−用飼料としての大麦の利用について 15 Table2.Bodyweightgain,feedintakeandgain−ftedratioofthecocker・elsandpulletsfedtheexperimentaldiet$ Experimentaldiet* PeIiod (week) Contr01 GB−50 RBL50 GB−100 RB−100 Average Bodyweightgain(kg/bird) 4−6 Cockerel Pullet Average 4−8 Cockerel Pullet Average 4−10 Cockerel Pullet Average 4−6 CockeIel Pullet AveT三唱e 4−8 CockeIel Pu11et AveI;唱e 4−10 CockeIel Pullet Average 4−6 Cockerel pullet Average 4−8 Cockerel Pullet Average 4−10 CockeI・el pullet Average 0.77 0.73 0=59 0.58 0.68 0。66 1,.66 1…58 1い27 1.27 1.47 1.43 2.41 2.39 1.84 1..81 2.13乱*** 2.108 0.71 0.69 0.58 0.ィ55 0∫65 0..62 1.58 1.56 1い27 1い20 1.43 1り38 2.41 2−25 1い81 1..73 2。、11乱 1…99b 0.69 0.72** 0い56 0.57 0、63 L49 1.57** 1.21 1.24 1.35 2…27 2、3.5** 1.78 1.79 2.03b Feedintake(kg/bizd) 5 7 1 2 0 1 0 9 ︵U 7 4 6 7 1 4 8 9 4 1 1 b b tU l ︵ソー 7 2 4 3 9 3 6 HJ 4 う ︿b O 3 6 兵刃 ▲ソー lL I L 3 3 3 5 4 5 乱 8 乱 1..74 1。47 1.61b 3.70 3.11 3..411) 5.83 5.01 5り42b e e ¢ O 1 6 9 1 5 5 2 9 85 6 82 5 〇 .1 5 11 L 1 3 3 3 6 5 5 L I L 3 3 3 6 5 5 0U 5 6 0U 2 5 〇 1 6 ¢ ¢ e O\2 6 0U 1 5 5 4 0 l L 3 3
6 0U 7 4
* * 6 3 7 1 * * 8 2 8 0 5 * * Gain/fted(g/100g) 40い8 39.4 40.1b 42け7 40.7 41.7b 41,.0 36、1 3臥6b 3 8 1 7 乱 乱 n 5 0 3 5 1小 3 2 8 ∩い 4 4 4 4 4 4 4 3 4 8 5 4 5 6 8 1 4 3 4 4 4 4 4 3 3 b b b 4 5 5 0 5 0U ウ心 フ 5 8 6一′ 0 ︻′ nO 7 3 5 3 3 3 4 3 3 3 3 3 O b e 9 7 のJ 5 5 0 5 6 1 ︻∴ 6 ︻∴ 8 7︰︵首 7 3 3 3 QJ 3 3 3 3 3 ¢ ¢ ¢ nO 6 0 4 3 * * .9 月 1 9 A▲ ︵3 39‖8** 35.8 *Half(50)orall(100)ofyellowcorninthecontroldietwasreplacedbygroundbar1ey(GB)orrolled baIley(R月) **Thedi晩renceductosexisstatistical1ysigni丘cantatl%level… ***Thedi能rentsuperscriptletters(a,b,C)aresigni丘cantlydifftIentat5%1evel。 飼料中のトウモロコシを大麦で置換した場合,その置換盈が多くなるにつれで雛の成長と飼料効率が低下し,特に 全盈置換でその傾向の著しいことばよく知られている(ト6).本来験でも対照飼料のトウモロコシを大麦で金魚置き換 えると,10週齢時の増体重は6%減少し,有意差が認められた.しかし,本実験の増体盈の減少率は他の研究者(8 ̄8) による10%から20%の減少率に比べると極めて小さかった.この差は本実験は4週齢暗から飼育試験を開始している のに対し,他の試験では初生時から供試しており,また鶏の品種や飼育環境の違いおよび給与大麦の違い(2,8)による ものと考えられる 一・般に大麦は,可消化の殿粉(1),生産エネルギー価(8〉あるいは代謝エネルギ・一価(9)はトウモロコシに比べていず れも低いと報告されている.したがって,飼料に大盤の大麦を配合する場合,飼料全体のエネルギー価を高めること によって飼料価値の改善が期待されている.ARSCOTT etal、(8)は大麦配合飼料に4%あるいは8%の動物性油脂を添 加することによって,トウモロコシ配合飼料給与鶏との間に発育の差がをくをると報告している.しかし,彼らが用 いた基礎飼料の脾肪含盈は3.3%で本実験に用いた試験飼料の8、3%に比べると著しく低い.したがって,本試験で大OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号(1980) 16 安全盈置換区の発育阻専が他の報告に比べて小さかったもう一つの原因は,飼料のエネルギ1一価の差によるところが 大きいものと推察される. 本実験における大麦の半盈置換区の噂体盈は飼料摂取最の増大により,飼料効率の低下が相殺され,対照区とほぼ 同じであったい−・般にトウモロコシの半盈を大麦で雷換した場合,雛の発育阻普は企及置換よりもその割合ははるか に小さい(トA).したがって,トウモロコシを大麦で置換する場合はその半畳まで,すなわち,飼料に対して25%から 30%程度にとどめれば,大麦の栄養価は相対的に向上し,飼料の配合原料として有効に利用できるものと考えられる. 大麦の栄養価を高める方法としては上述したェネル軒一源の補充以外に,浸水処理と酵素添加がある.大麦に等盈 の水を加え,混合後乾燥し,再粉砕すると代謝エネルギー怖が高まり(9),雛の成長と飼料効率が無処理のトウモロコ シと同程度・まで改善される(4)と報告されている1−・方,酵素添加も大麦のエネルギ・−・価を高め(9),雛の発育を促進 させるが(4),これらほ浸水処理よりも劣り(4),酵素の精製により効果を失なう(4)ことが報告されている.これらの 効果は消化率の改善,栄養素の腸管からの透過あるいは吸収の増加などによってさらに促進されることが示唆されて いる(9).L.かし,国内産の大変についてのこれらの処理が無効であるとの森本(2)らの報告もあり,まだ不明を点が 多い.また,大麦の加熱処理や芽出しはばとんど栄養価の改善に対して効果を持たない(2,4)と述べられている…飼料 の形状について,ペレットにすることにより栄養価が攻寄されるが,その効果は少なく,酵素や動物性油脂の添加と 併用させることが望ましいようである(5),.本実験でも飼料の形状を挽砕と庄扁加エについて比敬したが,両者間には 差がをく,飼料の加工経費およびより喰いなどの点から,庄扁加工は得策とは考えられない小以上の諸報告のうち油 脂添加などのエネルギ・−・源の補充以外は大麦の栄養価の改善に大きな期待はもてず,今後は大麦の栄養価の低い原因 の追究と,栄養価向上の対策について,さらに追究する必要があろう. 表3に1kg増体に必要な飼料摂取盈とその経費を各試験飼料ごと算出し,大麦の経済性について検討した.なお Tabユe3〃 FeedandcostrequiIedforlkgbodyweightgaln Experiementaldiet* ControI GB−50 RB−50 GB−100 RB−100 FeedIequiredfbrlkggain(kg/biId) 2A9 2・58 2、59 2”82 2”77 Costrequiredfbrlkggain(yen/bird) 194 197 201 210 211 * SeefootnoteinTable2 飼料1kg当りの価格(1980年5月現在,香川経済農協連調べ)はトウモロコシ49‖75円,挽砕大麦42.5円,圧扁大麦 47.0円であった.したがって,飼料中の大麦の盈が多くなれば飼料価格は安くなり,また庄扁よりも挽砕の方が安価 である.しかし,大麦の置換により1kg増体に必要な飼料摂取盈はトウモロコシ配合飼料よりも多くなり,1kg増 俸に必要な超費も大変訝換飼料が高く,現在の政府指定の大麦払下げ価格では飼料費の節減にをらをかった.しかし, 穀類の価格は変動が大きく,トウモロコシと大麦の価格差はその時期と地域によって異なり,2円∼15円程度(kgあ たり) といわれている.本突放のように,配合飼料中のトウモロコシを単純に大変で旺換する場合挽砕大麦の価格 が1kg当り,トウモロコシよりも11.3円以上安ければ,半盈置換は経済的に成立する. 参 考 文 献 (6)JENSEN,LS,R.E.FRY,J.B.ALLRED andJ. McGINNIS:Poult【ySci.,36,919−921(1957). (7)富田 実:畜産を中心とする実験計画法,p.87, 養賢堂,東京(1975)。 (8)WILLINGHAM,H.E。,KC.LEONG,L.S…JENSENand JいMcGINNIS:PoultrySci.,39,103(1960). (9)LEONG,KCu,LいS.JENSENandJ.McGINNIS: PoultrySci.,41,36−39(1962)一. (1980年5月31日 受理) (1)森本 宏,富田 実,星井 樽:畜試研報,1, 205−210(1963) (2)森本 宏,吉田 実,星井 博:畜試研報,2,87− 96(1963)∩ (3)ARSCOⅠⅠ,G.H。,LE.JoHNSON andJE.PARKER: PoultIySci‖,34,655−662(1955) (4)WILLINGHAM,H。E、,L.S.JENSENandJいMcGINNIS: PoultrySci。,38,539−544(1959). (5)ARSCOrT,G.H.andR.J.RosE:PoultIySci.,,39, 93−95(1960).