• 検索結果がありません。

John Stuart Mill "On Liberty"のドイツ語訳について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "John Stuart Mill "On Liberty"のドイツ語訳について"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

John Stuart Mill "On Liberty"

の ドイ ツ語訳 につ いて

馬 場 昭 夫 序 ジ ョン ・スチ ュアー ト・ミル著

`

`

OnLi

be

r

t

y"

(「自由論」)が公刊 され たの は

1

8

5

9

年 である

。1

8

6

9

年 には, ミルの全集 の ドイツ語版 の第

1

巻が公刊 されたが, この中にウィー ン大学 の哲学 の教授 テオ ドール ・ゴンベル ツ訳 の 「自由

(

"

DI

EFREI

HEI

T

") が お さ め られている1)。 ミルは 「自由論」 の最初 の扉 に 「本書 に展開 されたあ らゆ る議論 の直接 に帰一す る,重 大 な指導原理 は,人類 が能 う限 り多種多様 な発展 を遂 げることが絶対 に根本 的に必要であ る, とい うことに帰着す る。」 とい うヴィル-ルム ・フォ ン ・フンボル トの 「政府 の権 限 と義務」 の中の言葉 を記 している2)3)4)0

ヴィルヘルム ・フォン ・フ ンボル ト

(

Kar

lWi

l

he

l

m v

onHumbol

dt

,

1

7

6

7-1

8

3

5

)

は, ドイツの人文主義 を代表 し,著名 な言語学者,政治家である。研究 は言語学,古典文学, 哲学,美学,教育学,考古学,歴史,法律,政治 の諸科 にわた り, ゲーテ, シル レル等 と 交流 があ った。 ベル リン大学生 みの親 であ る5)0 ミルが ドイツ語 につ いて, どのよ うな理解力 を もっていたか は分 か らないが, イギ リス の思想家であるが, ドイツの思想家 に敬意 を表 していることは, ミルの思考様式, ことば 使 いに も, ドイツ語 の影響 は何 らかのかたちであることが考 え られ る。 ドイツ語圏 において, ウィー ンで最初 に, ミルの著作が翻訳 された. ミルの著作 は,莱 語 と して も難解であ る。 自由主義 の伝統 が イギ リスにおけるほどに根強 くない ドイ ツ語圏 における ミルの翻訳 において, どのよ うな英語 と ドイツ語 の対比,対応がな されたのであ ろ うか。 以下,第

1

章序 説

(

CHAPTER I I

nt

r

oduc

t

or

y)

につ いて考 えてみ る。 書 き出 しの部分 は次 の通 りであ る。

CHPTER I I

nt

r

oduc

t

or

y

Thes

ubj

e

c

toft

hi

se

s

s

ayl

Snott

hes

o-c

al

l

e

d `

l

i

be

r

t

yoft

hewi

l

l

',s

ounf

or

t

u-nat

e

l

yoppos

e

dt

ot

hemi

s

name

ddoc

t

r

i

neofphi

l

os

ophi

c

alne

c

e

s

s

i

t

y;

butc

i

v

i

l

,or

(2)

9-s

oc

i

all

i

be

r

t

y:t

henat

ur

eandl

i

mi

t

soft

hepowe

rwhi

c

hc

anbel

e

gl

t

l

mat

e

l

ye

xe

r

c

i

s

e

dbys

oc

i

e

t

yov

e

rt

hei

ndi

v

i

dua

l

.Aque

s

t

i

ons

e

l

dom s

t

at

e

d,andhar

dl

ye

v

e

rdi

s

-c

us

s

e

di

nge

ne

r

alt

e

r

ms

,

butwhi

c

hpr

of

oundl

yi

nf

l

ue

nc

e

st

hepr

ac

t

i

c

alc

ont

r

ov

e

r

s

i

e

soft

heagebyi

t

sl

at

e

ntpr

e

s

e

nc

e,andi

sl

i

ke

l

ys

oont

omakei

t

s

e

l

fr

e

c

ognl

Z

e

d

ast

hev

i

t

alque

s

t

i

onoft

hef

ut

ur

e.

I

ti

ss

of

arf

r

om be

i

ngne

wt

hat

,i

nac

e

r

t

ai

n

s

e

ns

e

,i

thasdi

v

i

de

dmanki

ndal

mos

tf

r

om t

her

e

mot

e

s

tage

s;

buti

nt

hes

t

ageof

pr

ogr

e

s

si

nt

owhi

c

ht

hemor

ec

i

v

i

l

i

z

e

dpor

t

i

onsoft

hes

pe

c

i

e

shav

enowe

nt

e

r

e

d

,

i

tpr

e

s

e

nt

si

t

s

e

l

funde

rne

w c

ondi

t

i

onsandr

e

qul

r

e

Sadi

f

f

e

r

e

ntandmor

ef

undam-e

nt

alt

r

e

at

me

nt

6)7)

Er

s

t

e

sCapi

t

e

l

Ei

nl

e

i

t

ung

De

rGe

ge

ns

t

anddi

e

s

e

rs

c

hr

i

f

ti

s

tni

c

h上di

es

oge

nannt

eWi

l

l

e

ns

f

r

e

i

he

i

t

,di

ee

i

ne

n

s

ounghc

kl

i

c

he

nGe

ge

ns

at

zz

ude

rmi

βbr

a

.

uc

hl

i

c

hs

obe

nannt

e

nLe

hr

eY

onde

rph-i

l

os

ophi

s

c

he

nNot

we

ndi

gke

i

tbi

l

de

t

,s

onde

r

ndi

ebt

i

r

ge

r

l

i

c

heode

rs

oc

i

al

eFr

e

i

he

i

t

:di

eNat

urunddi

eGr

e

nz

e

nde

rGe

wal

t

,We

l

c

hede

rGe

s

e

l

l

s

c

haf

tde

n Ei

nz

e

l

ne

n

ge

ge

nt

i

be

rz

us

t

e

ht

.Ei

neFr

age

,di

e,s

oal

l

ge

me

i

nge

f

aβt

,S

e

l

t

e

naus

ge

s

pr

oc

he

n

undkaum j

e

mal

se

r

Or

t

e

r

twor

de

ni

s

t

,de

r

e

nunbe

wuβtwi

r

ke

nde

rEi

nf

l

uβ s

i

°

hj

e

-doc

hbe

ide

rBe

s

pr

e

c

hungde

rZe

i

t

f

r

age

nv

i

e

r

f

ac

hf

uhl

barmac

ht

,undi

nde

rman

wahr

s

c

he

i

nl

i

c

hbal

ddi

eLe

be

ns

f

r

agede

rZukunf

te

r

ke

nne

nwi

r

d.Di

e

s

e

l

bei

s

ts

o

we

ni

gne

u,daβ s

i

ev

i

e

l

me

hri

ne

i

ne

m ge

wi

s

s

e

nSi

nnedi

eMe

ns

c

hhe

i

tf

as

tY

onde

n

f

r

dl

e

S

-

t

e

nZe

i

t

e

nange

t

he

i

l

that

;

s

i

et

r

i

t

上j

e

doc

haufde

rEnt

wi

c

kl

u

n gs

s

t

uf

e,We

l

c

h

ede

rge

bi

l

de

t

e

r

eThe

i

luns

e

r

e

sGe

s

c

hl

e

c

ht

e

sj

e

t

z

te

r

r

e

i

c

hthat

,unt

e

rv

e

r

ande

r

t

e

n

Be

di

n一

gunge

nauf

,di

ee

i

nene

ueundt

i

e

f

e

rgr

e

i

f

e

ndeBe

handl

ung-e

r

f

or

de

r

n

8'9)

1.扉の文章 につ いて 「自由論] は, イギ リスの思想家 ミルが英文で書 いた書 であ り,英文 と ドイツ語訳 を比 較す るとい う場合, ミルの英文が, ゴンベルツによって, どのよ うな ドイツ語 に訳 された か と考え ることは当然である。 しか し, ミルは, この書の最初の扉に,ヴィルヘルム ・フォ ン ・フンボル トの文章 を掲 げている。 ミルの英語 の概念 につ いて, ドイツ語 との比較か ら 出発す ることもで きるので はないか。 そのような観点か ら,注

3

,

4

に記 した フンボノレトの文 を検討 してみ る。 この場合, ミルの 「自由論」 を ドイツ語 に訳す にあた り, ドイツ人 ・フンボル トの文が 引用 されている場合 には, それに該当す る部分をそのまま原文か ら引用 していると考え る ことはすなおな ことである。 しか し, ここに, ミルの 「自由論」 に記 されている英文 と, ゴンベルツの ドイツ語訳 の扉 に記 されている ドイツ文 は,私が訳す と次 のよ うになる。

(3)

ミルの英文 「この本 の各 ペー ジに展開 されている全ての議論が直接 に集 中 してゆ く, 偉大 な指導原理 は,人 間が,豊 か な多様性 において発展す ることが,絶対 に,又本質的 に 重要で あるとい うことである。」 ゴンベルツの ドイツ語訳 に引用 されているフンボル トの文章 「従 って,人間の偉大 さ が,究極的 に依拠 し,又,個 々の人間が,永久 に格闘 し, そ して,人間 にたず さわ ろ うと す る誰 もが,決 して見失 って ほな らない もの は,力 と教育 とい う特徴である。」 上記 の二つの文章 には, あ さ らか にずれがある。 これはどうした ことであろ うか。 ミル 「自由論」 の核心 をなす,人間の多様 な発展 の重要性 を印象づ けるため に引用 した フ ンボ ル トの文章 は,力 と教育 を強調 す る文章 にかわ っている。 ゴンベル ツの訳 につ いて は著者 の許可 を得て翻訳 された ことが記 されている。

(

Mi

tGe

ne

hmi

gungde

sVe

r

f

as

s

e

r

s

i

i

be

r

s

e

t

z

t

)

ミルが引用 した文章 に該 当す る文章 が フンボル トの著書 にないとは考 え られない。 ゴン ベル ツが訳す にあた って, ミルの英文 を少 し内容 を変 えて訳 したか, それ とも, フ ンボル トの ドイツ語 の原文 を引用す る際 に, ミルの引用文 とは異 なる文 を引用 したか どち らかで あろ う。少 し内容 を変 えて訳 した とい うには文 が違 いす ぎる。 ドイツ語訳 を出版す るにあ た って,扉 の文章 を入 れかえた と考 え られ る。 ちなみに,現在 の レクラム文庫 においては, 扉 にフ ンボル トの文章 はない。 ミルの英文 に対応す るフ ンボル トの文章 は入手 していないので, どのような ドイツ文が, ミルの英文 にな ったか確認 はで きない。

2.

単語の比較

i

nt

r

oduc

t

or

y

s

ubj

e

c

t

e

s

s

ay

l

i

be

r

t

yoft

hewi

l

l

phi

l

os

ophi

c

alne

c

e

s

s

l

t

y

c

i

v

i

l

,ors

oc

i

all

i

be

r

t

y

nat

ur

e

l

i

mi

t

s

powe

r

l

e

gl

t

i

mat

e

l

y

e

Xe

r

C

I

S

e

s

oc

i

e

t

y

Ei

nl

e

i

t

ung

Ge

ge

ns

t

and

Sc

hr

i

f

t

Wi

l

l

e

ns

f

r

e

i

he

i

t

岩波文庫訳 序説 主題 論文 意志 の 自由

phi

l

os

ophi

s

c

he

nNot

we

ndi

gke

i

t

哲学 的必然

b

t

i

r

ge

r

l

i

c

heode

rs

oc

i

al

eFr

e

i

he

i

t

市民的, また は社会的 自由

Nat

ur

Gr

e

nz

e

n

Ge

wal

t

な し な し

Ge

s

e

l

l

s

c

haf

t

- 革i1 -本質 諸限界 権力 正 当 に 行使す る 社会

(4)

individual Einzelnen 個人

stageofprogress, Entwicklungsstufe, な し

adifferentandmorefundam- eineneueundtiefergreifende これ まで とは

entaltreatment Behandlungerfordern, 違 った,一層 根本的 な取 り 扱 い

3.

文章の比較

次 の一文 に注 目 して, いか に翻訳 がゆがめ られているか に注意 を払 う必要 があ る ことへ の手 がか りと したい。

thenatureandlimitsofthepowerwhichcanbelegltimatelyexercisedbysocie -tyovertheindividual.

dieNaturunddieGrenzenderGewalt,WelchederGesellschftdem Einzel nenge-gentlberzusteht. 英文, ドイツ語文 を訳す と次 の通 りであ る。 英文 :社会 によ って個人 に対 して正 当 に行使 され得 る権力 の性質 と限界 ドイツ語文 :社会が個人 に対 して与 え る権力 の性質 と限界 (derGesellschftはdieGes -ellschaftと考 え られ る) なお,注

9

にあ るよ うに,現在 のReclam文庫 にお ける ドイツ語訳 は次 の通 りであ る。

WesenundGrenzenderMacht,welchedieGesellschaftrechtmaβig豆berdas Individuum austib

t

.

(社会 が正 当 に個人 に対 して行使す る権力 の本質 と限界)

1) 杉原四郎 『J.S.ミル と現代』130頁以下。

2) J.S.ミル,塩尻公明 ・木村健康訳 「自由論」 (岩波文庫)4頁。

3) ミルの英文原文 :Thegrand,leadingprinciple,towardswhicheveryargumentunfoldedin thesepagesdirectlyconverges,istheabsoluteandessentiaiimportanceofhumandevelopme -ntinitsrichestdiversity.

WILHELM VONHUMBOLDT SphereandDutiesofGuverment 4)最初 の ドイツ語訳 の対応す るところ :Dasalso,woraufdieganzeGrOβedesMenschenzulet

-zt,Wonachdereinzelnemenschewigringenmuβ,undwasder,welcheraufmenschenwirken will,れieausdenAllgenVerlierendarf,istEigenthtlmlichkeitderKraftundderBildung.

(5)

Ideenzueinem Versuch,dieGrenzen derWirksamkeitdesStaatszubesti m-men.

(JOHNSTUARTMILL,DIEFREIHEIT (GesammelteWerke,Band 1,1869)) 5) J.S.ミル,塩尻公明 ・木村健康訳 「自由論」 (岩波文庫)256頁

6) JOHNSTUARTMILL,ONLIBERTY (PENGUINCLASSICS)P.59 7) 「自由論」 (岩波文庫) の 日本語訳 は次 の通 りである。 この論文 の主題 は,哲学的必然 とい う誤 った名前を冠せ られている学説 に実 に不幸 に も対立 さ せ られているところの, いわゆる意志 の自由で はな くて,市民的, または社会的 自由で あ る。 換 言すれば,社会が個人 に対 して正当に行使 し得 る権力の本質 と諸限界 とである。 この問題 は, 一 般的に述べ られた ことは稀 れであ り, また一般的に論議 された こともほとん どないが, それが潜 在 していることによ って現代の実践的論争 に深甚の影響を及 ぼ してお り, また, やがて は将来 の 最 も重要 な問題 と認 め られ る可能性 のある問題である。 これは,新奇 な問題 どころで はな くて, ある意味 において は, ほとん ど最古 の時代か ら,人類を二分 させて来 た問題であ る。 しか しなが ら,今 日比較的文明の進 んだ部類 の種族 において は, この問題 は新 たな諸条件 の下 に立 ち現 われ て, これ まで とは違 った,一層根本的な取 り扱 いを必要 とす るのである。

8) JOHNSTUARTMILL,DIEFREIHEIT,(GesammelteWerke,Band1,1869)(Ubersetz tv-onTheodorGomperz)P.1

9) なお,現在 のReclam文庫 における ドイツ語訳 は次の通 りである。

ERSTESKAPITEL Einleitung

DerGegenstanddieserAbhandlungistnichtdiesogenannteFreiheitdesWillens,dieman sobedauerlicherweisezuderfalschbenanntenLehreYonderphilosophischenNotwendigkeitin Gegensatzbringt,SondernbiirgerlicheodersozialeFreiheit,willsagen:WesenundGrenzen derMacht,welchedieGesellschaftrechtmaβigtiberdaslndividullm auStibt.DiesisteineFr -age,diemanseltenstelltunddiemankaum JemalstheoretischerOrtert,dieaberdiepraktis -ChenStreitfragenunseresZeitaltersdurchihrgeheimesDaseintiefbeeinfluβtundsi°hwahr -scheinlichbaldalsdieLebensfragederZukunfterweisenwird.Weitentferntdavon,neu zu sein,hatsュevielmehringewissem SinnedieMenschheitfastschonseitihrenAnfangenentz -weit,inden Stadium desFortschrittsaber,inwelchesdiezivilisiertenTeileunsererGattung nun

elngetretenSin°,Stelltsiesi°hunterneuenBedingungendarundverlangteineandersartlge undfundamentalereBehandlung.

(JohnStuartMill,UberdieFreiheit,也bersetztvonBrunoLemke,1995.PHILIPPRECLAM JUN.)

参照

関連したドキュメント

この 文書 はコンピューターによって 英語 から 自動的 に 翻訳 されているため、 言語 が 不明瞭 になる 可能性 があります。.. このドキュメントは、 元 のドキュメントに 比 べて

作品研究についてであるが、小林の死後の一時期、特に彼が文筆活動の主な拠点としていた雑誌『新

長尾氏は『通俗三国志』の訳文について、俗語をどのように訳しているか

長尾氏は『通俗三国志』の訳文について、俗語をどのように訳しているか

日本語で書かれた解説がほとんどないので , 専門用 語の訳出を独自に試みた ( たとえば variety を「多様クラス」と訳したり , subdirect

システムであって、当該管理監督のための資源配分がなされ、適切に運用されるものをいう。ただ し、第 82 条において読み替えて準用する第 2 章から第

図表の記載にあたっては、調査票の選択肢の文言を一部省略している場合がある。省略して いない選択肢は、241 ページからの「第 3

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から