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(4) 高橋宏志 本凪デイスカパリ ~i1 序説 J うえでも また r14~ における民事訴訟 1'. 続 h の問題を認識するうえでも考慮すべき重要

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(1)

[論説]

電子保存情報の証拠保存義務

一 一

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1

5

年改正連邦民事訴訟規則

3

7

(

e

)

一 一

V

目 次 l はじめに 2. 2015年連邦民事訴訟規則改正の概要 (1) 2015年連邦民事訴訟規則改正経緯 (2) デイスカバリ}に関する改正 (3) 裁判所による早期事

1

'1"-管理に関する改正 (4) 裁判所及び当事者聞の協力に関する改正 3. 2015年改正連邦民事訴訟規則37条 (e)

J

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!

(1) 2006年改正連邦民事訴訟規則37条(e)の概要 (2) 2006年改正連邦民事訴訟規則37条(e)の問題点 (3) 2015年改正連邦民事訴訟規則37条 (e) (a)2015年改正連邦民事訴訟規則37条 (e)の改正経緯 (b) 2015年改主連邦民事訴訟規則37条 (e)の概要

~~

(c)2015年改冗連邦民事訴訟規則37条 (e)の今後の動向 4 日本における電子保存情報 (ESI)の証拠保存義務

(

1

1

l:J本の民事訴訟手続における証拠保存義務

(2) 電子保存情報 (ESI)の証拠保存義務の問題①ー証拠保存義務の対象範囲ー (3) 震子保存情報 (ESI)の証拠保存義務の問題ヨト証拠保存義務違反及びぞれ に{半ろ効果

1 はじめに

2015年12月 1日 か ら 改 正 連 邦 民 事 訴 訟 規 則

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(1)が 施 行 さ れ た 。 こ の 改 正 に つ い て は ア メ リ カ 合 衆 困 最 高 裁 判 所 (1) 2015年改正を含む最新の連邦民事訴訟規則は米凶裁判所のウェッブサイトにおいて確

(2)

首 席 裁 判 官 で あ る ジ ョ ン ・ ロ パ ー ツ 判 事 の2015Year-End Report(2) (published on December 31

2015)に お い て も 重 大 な 改

i

f

ーとして指摘されている。 2015年 改 定 連 邦 民 事 訴 訟 規 則 は 、 裁 判 所 及 び 当 事 者 聞 の 協 力 、 裁 判 所 に よ る 早 期 訴 訟 運 営 、 事 件 に 比 例 ( 均 衡 ) し た デ イ ス カ パ リ ー に よ っ て 、 裁 判 の 公

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Uust)、 迅 速 (speedy)、 訴 訟 経 済 ( 低 廉 )(inexpensive)を実現するための改iIといえ(3)、 規 則1条 、 規 則26条

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)

、 規 則16条 、 規 則37条(e)等が改正された。 米 国 の デ イ ス カ パ リ ー の 特 徴 と し て ト ラ イ ア ル 前 の 手 続 と 集 中 審 理 を 実 施 す る ト ラ イ ア ル と い う 手 続 の2段 階 構 造 と な っ て お り 、 ト ラ イ ア 続 と し て ト ラ イ ア ル 準 備 の た め の デ イ ス カ パ リ ー が あ る(4)。 デ イ ス カ パ リ ー の 方 法 と し て 証 言 録 取 (deposition)(5)、 質 問 書 (interrogatoη)(6)、 文 書 等 提 山 認できる。 http://www.uscourts.gov/rules-policies!current-rules-practice予rocedure! federal欄rule品開civil開procedure (2) SeeChief Justice John G. Roberts Jr, 2015 Year.End Report on the Federal Judiciary, αuαilable αt http://u河 川J.supremecourt.gov/ publicinfo / yeαr.end/ 2015yeαr.endreport.pdf

(3) SeeThomas Y. Allman, The 2015 Ciuil Rules Pack

α

ge As Transmitted to Congress, 82 DEF. COUNS. J. 378, 405 (2015); John G. Roberts Jr, suprαnote 2 at 4.

(4) 高橋宏志「本凪デイスカパリ ~i1、序説 J i1、協山臼j年記念論文集第3巻(イミ斐閣、 1983) 527買以下、霜山甲 「アメリカ合衆国の開示子続 わが閣の研究の現状・:意義・方法

-J

土;林79巻4号 1;{以下、大村雅彦「アメリカ民訴における事件情報の早期開示の動 向

J

本川統一郎博士山稀祝貿「民事裁判の充実と促進下巻 321頁以下(判例タイムス 社、 1994)、大村雅彦「新民事訴訟法とアメリカ法[争点整理・証拠収集の比較を中心と して

1

J白iF.48巻12月半生82頁以卜、小林秀Jと「新版・アメ1)カ民事訴訟法j (弘文:段、 平8) 170頁以下、浅香古車

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アメリカ民事手続法j73頁以下、 87頁以下(弘文堂、第 2版、平20)、十ー井悦生=出港政裕「米国デイスカパリーの法と実務

J

(発明推進協会、 2013) 3頁以ト参照っなお、伊版異教授は、平成3{ド12月に法務省、民事局参事下守護より 公衣された「民事手続に附する検討事項」の内符を分析して、事実及び吉正拠の開示手続 の導入について検討される中で、「争点整理の段階において、事案に関して両当事者およ び裁判所の聞に最大限の共通認識を形成することは、重要な意味をもっ」とし、「開示子 続は、そのための手段として位宵づけられる

J

旨述べられている。日本において米国的 デイスカパリー制度をとの程度参照のうえ導入すべきかについては慎重な検討が必安と 与えられるが、この論稿における分析及び指摘は米国のデイスカパリー制度を理解する うえでも、また r14~ における民事訴訟1'.続 h の問題を認識するうえでも考慮すべき重要 な分析及び指摘であると思うハ伊藤成「開示手続の主

n

念と意義一民事訴訟法改正の導入 をめぐってー(上) (下)J判タ786号6頁以下、中JIタ787号11頁以下。 (5) FED.R.Crv.P.30, 31, and 32 (6) FED.R.Crv.P.33.

(3)

(production of documents and things)および土地立入り (entryupon land) (7)、 身体・精神検査 (physicaland mental examination) (8)、白内要求 (requestfor admission) (9)があり、日本の民事裁判手続との関係では、文書等提出 (production of documents and thing自)が日本と比較し広範で‘あることから、特にその点が 強調されることが多いように思われる。もっとも、現在のデ、イスカパリ 2015年改正に加えて近年の改正だけでも、 1993年改正として必要的ディスクロー ジャー (requireddisclosure)の 制 度 等 の 導 入(10)、2000年 改 正 と し て1993年 導 入 の 初 期 必 要 的 デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー (initialrequired disclosure)の 開 示 義 務 対 象 情 報 の 縮 小 等(11)、2006年 改 正 と し てeデ イ ス カ パ リ ー(12)に 関 す る 放 済 規 定 で あ る 規 則37条 (e)等 の 導 入(1,めがなされ、その方向性が修正されつつ現在に 至っている。これに対し、円本においては、 1996年 に 改 正 さ れ た 民 事 訴 訟 法 は 争 点整理手続(民訴法164条 乃 至178条)及ぴ集中証拠調べ(民訴法182条)により 米 国 に 近 い 集 巾 審 理 型 の 訴 訟 手 続 と な り 、 質 問 書 (interrogatory)を参考にした といわれる当事者照会(民訴法163条)の導入、文書提出義務の一般義務化(民訴 法220条4号)等の改

E

が行われ、更に2003年には訴え提起前における照会(民 (7) FED.R.CIV.P.34. (8) FED.R.CIV.P.35 (9) FED.R.CIV.P.36目 (10)連邦民事訴訟規則1993年改正に関する邦語文献として、笠井正俊「民事訴訟における争 庁、及び証拠の早期整理とディスクロージャー

J

論叢142巻5・6社(1998) 132頁以卜、 小林・前掲i土(4)170頁以ド参照Q (11)述邦民事訴訟規則2000年改定に関する邦詩文献として、笠井主俊「アメリカの民事訴訟 における2000年のデイスカパリ制度改正をめぐって」新堂幸司先生市稀祝賀「民事訴訟 法理論の新たな構築下巻

J

3頁以下(有斐問、平13)。

(12) The Sedona Conference の定義によれば、 e デイスカパ l)~ は、(訴え提起前も含む)司法(裁

半!j)過程の文脈において電子保存情報を特定し、その所在を催定し、保存し、収集し、準備検討 し、提伊lするー述のプロセスをいう。原文は次のとおりである。官lectronicDiscovery (E

-Discovery); The process of identifying, locating, preserving, collecting, preparing, reviewing, and producing Electronically Stored Inform品tion(ESD in the context

ofthe legal process."SeeThe Sedona Conference Glossary E-Discovery & Digital Information Management 4th Ed (July 2014) at 15.より簡易な定義としては、 e

デイスカパリーは電下保存情械(脚注目参照)に対するデイスカパリーといえよろo

See e.gリ SHlRAA.SCHEINDLIN & DANIEL J. CAPRA, ELECTRONIC DISCOVERY AND

DIGITAL EVIDENCE: CASES AND MATERIALS 51 (Thomson Reuters ed. 2015). (13)浅香肯幹 iEデイスカパリー連邦民事訴訟規則26条(b)項、連邦註拠規則502条」米法

(4)

訴 法132条の2)等の訴え提起前における証拠収集の処分等の制度も導入された。 と日 る改iIを経で裁判における裁判所 の役割、審理構造、証拠収集手続等その特徴が接近しつつあるように思われる。そ の た め 連 邦 民 事 訴 訟 規 則 の 検 討 と い う 比 較 法 的 素 材 の 提 供 は 従 前 よ り も 非 常 に 意 義があるものと考えられる。 本稿は2015年改正の連邦民事訴訟規則の中でも特に規則37条(e)(14)の改正を 中 心 に 検 討 す る 。 連 邦 民 事 訴 訟 規 則37条(e)は2006年 改 正 に お い て 導 入 さ れ た 規定である。

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技術の急速かっ飛躍的発展により eデイスカパリーの意要性はそ の 問 題 点 も 含 め て 増 す ば か り で あ り 、 様 々 な 分 野 及 び 活 動 範 凶 に お い て 電 子 保 存 情 報 (electronicallystored information“ESI")) ( (15)が 活 用 さ れ 、 必 然 的 に 電 子 保 存 情 報 に 関 す る 証 拠 保 存 の 問 題 へ の 対 応 が 喫 緊 の 課 題 と な り 今 回 の 連 邦 民 事 訴 訟 規 則37条(e)の 改 正 に 至 っ て い る 。 日 本 の 民 事 訴 訟 法 に お い て は 電 子 保 存 情 報 (ESI)に関連する証拠調べに関する規定(民訴法231条 参 照 ) は 極 め て 脆 弱 であり、

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法 改I巨がない限りは、例えば民訴法231条 の 解 釈 ・ 運 用 に よ っ て 対 応 せざるを得ない。米同と同様に

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技術等が飛躍的に発展し様々な所動が電子保存 情 報 (ESI)を通じてなされている高度情報化社会において、日本の裁判において も、これまで以上に電子保存情報 (ESI)が証拠として裁判所に提出され、その対 応 に 迫 ら れ る 状 況 に な る こ と は 確 実 で あ る だ ろ う 。 連 邦 民 事 訴 訟 規 則37条(e)の (14)電チ保存情報を対象とするいわゆる eデイスカハリーに関しでは2006.1[ての米凶連邦民事 訴訟規則改正に伴い白木でも学者や特に実務家によって大きく取りよげられた。例えば、 浅香・前掲注(13)433頁以ド、藤本利一「米同連邦民事訴訟規則におけるE・デイスカパ リー一規定の導入とその現状

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阪大法学59(3・4-241)703頁以下、竹部晴美iEデイスカ パ1)-における費用分拘の問題-Zubulake1, II, II判決を中心に一」関学64巻1号53 頁以ト、同 iEディスカパリーにおける保護命令電子情報の非開示が認められる場合に ついて 」関学 61 巻 4~ナ 114 頁以ト、有田大助 iEーデイスカパリーに閣する米f'ii]述邦民 事訴訟規則の改正」際尚34巻11号1412頁以下、民鍋伶奈「米国訴訟におけるデイスカ パリー手続と円本

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業に求められる対応

-E

デイスカハリーに関する改正法そ踏まえて

J

NBL856サ22員以下、ケネスN.ラシュパウム・菊池毅「米国民事訴訟における証拠開 示と電千情報 (Eデイスカパリー)の実務について」際商38巻10号1340員ー以下参照。 (15)電チ保存情報(electronically自toredinformation“(ESI"))は、電チ的に保存されてい るあらゆる情報であり、例えば、 Eメール、インスタントメッセージ、 SNSのコンテン ツ、その他パソコン、スマートフォン│付の電子情械だけでなく、最近ではクラウドコン ピューテイング(脚注(97)参照)サービスの利用の増加によりクラウド上の電チ情報が 挙げられよう。 Seegenerally SHlRA A.SCHEINDLIN et a supra ,.l note12at51・75.

(5)

改正は、日本の民事裁判における電子保存情報 (ESI)の取り扱いを検討するに際 しでも、比較法的検討のための素材として重要であると考えられる。したがって本 稿は連邦民事訴訟規則37条(e)を中心として2015年 改E連 邦 民 事 訴 訟 規 則 を 概 観することをボ目的とし、当該規則改TF.ーとその背景を踏まえた日本における電子

(ESI)に係る民事訴訟法上の問題(とりわけ日本における

(ESI)の証拠保存義務及びその前提にある電子保存情報 (ESI)の証拠調べ手続

きにおける取り扱い)については、今後の継続的研究の方向性を示すための若干の 検討を行うこととしたい。

2

.

2015

年連邦民事訴訟規則改正の概要

2006年の連邦民事訴訟規則改正からおおよそ10年経過した2015年12月1日 に改正述邦民事訴訟規則が施行された。本稿では改正された述邦民事訴訟規則37 条(e)(以下「規則37粂(e)Jともいう。)を中心に考察するが、規則37粂(e)の改 正は他の連邦民事訴訟規則の改正と相倹って行われているため、まず規則37条 (e) の改正を検討する際に念頭に置くべき改正規定(規則

1

条、規則26条

(

b

)

(

l

)

、 規 則16条等)を巾心にその改正経緯とともに検討する(16)。

(

1

)

2015

年連邦民事訴訟規則改正経緯 今回の連邦民事訴訟規則の改正に至るまでには、連邦及び州裁判官、訴訟弁護 士、政府や企業内の弁護士、学者等から様々な見解を聴取し議論の機会を設け、 (16)本丸;中に取り kげない改京事項として、 Appendix(付属書)として書式フォームが掲 げられていたが、多くのものが時代遅れのものとなったため規則84条が改百され当

該Appendixは駁止された。 Seee.g., Memorandum from Judge David G. Campbell, Chair, Advisory Comm. On Fed. Rules ofCivil Procedure to Judge Jeffrey Sutton, Chair, Standing Comm. On Rules of Practice and Procedure B・19(June 14, 2014)

[hereinafter June 2014 Advisory Committee Memol.もっとも、最新の書式は合衆国 裁判所のウエツブサイト (http://www.uscourls.gov/forms/pro-s日嗣forms)において取得

できるc

また改比規則55条において収消し得る対象が規則60条(b)に基づく「最終」欠庸判決で あることを明確にするため、 "final"の文言が追加されているのId.at B・68.

(6)

事前の実証的検証を行い、慎重な討議を経ている(17)。今回の改正において重要 な役割合果たしたのはお010年にデューク大学で開催された会議である。ディス カパリーやeデイスカパリーにおける大きな負担に対する関係各所からの懸念に 呼応して開催された当該会議は、連邦裁判所の民事裁判の状況を調査し、連邦 1条の日的である公iIUust)、迅速 (speedy)、訴訟経済(低廉) (inexpensive)を達成するためのより妥当な手段を模索するために、民事規則諮 問委員会 (theAdvisory Committee on Civil Rules)(以下「諮問委員会」とも いう。)によって後援された(18)。当該会議においては述邦裁判所における 訟は合珂ー的に運用されており、大きな修正は必要ないということで結論付けられた が(19)、当事者間の協力・協同 (advancingcooperation)、手続の利用における 比例(均衡)性 (proportionality)の考庫、早期の裁判所による事件管理 (early judicial management)によって民事裁判手続は改善されるべきとの点について、 ほぼ全会一致で合意が形成され、特にeデイスカパリーのパネルは、電子保存情 報 (ESI)の保存と喪失に関する規則の諮問委員会による作成を推焚した(20)。当 該会議に

5

1

き続き諮問委員会はKoeltl判事を座長として組成されたデユーク分科 委員会 (DukeSubcommittee)と既存のディスカパリ一分科委員会 (Discovery Subcommittee)に対し電子保存情報 (ESI)の保存と喪失に関する規則等の検討

を割当てた(21)。諮問委員会は2013年8月、 2010年のデユーク大学での議論を 踏まえた連邦民事訴訟規則の修正案を公示し、当該修正案に対する 2300件以上の ダラス、フェニツクス、ワシントンD.C.での公聴会における 120人以上 の意見を踏まえ、当該修正案は諮問委員会によって再度修正された。その後常任委 員会(22)によって検討され、司法会議 (JudicialConference)に提山された。司 法会議によって承認されたeデイスカパリーの救済規定の改正を含む連邦民事訴 訟規則改正案は連邦最高裁に送付され、 2015年4月29日に連邦最高裁に承認さ (17)ld. at B・2. (18)Id. (19)ld. (20) Id.;ThornasY.Allrnan, 8upr日note3 at 375-匂.376. (21) See e.

g

.

リ June2014Advisory Cornrnittee Merno8upra note 16 at B-2. (22)半式にはtheConference's Cornrnittee on Rules of Practice and Procedureとの名林 であり、 theStanding Cornrnitteeとして知られている。

(7)

れ た た め 米 国 議 会 に 提 出 さ れ(23)、 米 国 議 会 に よ る 拒 否 や 修 正 等 が な か っ た た め 、 初 日 年 四 月 1日に施行された(問。 (2)

ディスカバリーに関する改正

デイスカパリーに関する改iIは、主として次の4点である(25)。 ① 当 該 事 件 (the case)の解決に比例(均衡)(proportionality)し た デ イ ス カ パ リ ー の 必 要 な 範 囲 の 決 定 に 際 し 、 そ の 決 定 の た め の 考 慮 事 項 を 特 定 す る た め に 、 規 則26条(b)(2)(C)規 (当該事件の必要性、係争額、当事者の資力、当該訴訟における 性 、 当 該 争 点 解 決 の た め の デ イ ス カ パ リ ー の 必 要 性 、 提 案 さ れ て い る デ イ ス カ パ リ ー の 負 担 又 は 費 用 が 当 該 デ イ ス カ パ リ ー に よ り 見 込 ま れ る 利 援 を 上 回 る か ど う か(26)) を デ イ ス カ パ リ ー の 範 凶 を 規 定 す る 規 則26条(b)(l)に移行し、証拠(情報)の偏在 事 案 を も 考 慮 し て 「 当 事 者 の 関 連 情 報 へ の 相 対 的 な 近 擁 性J("the parties' relative access to relevant information")を 新 た に 追 加 し た(27)。 ② デ イ ス カ パ リ 一 対 象

(23) SeeU.S. Courts' website,αvαilable athttp://www.uscourts.gov/rules-policies/ pending-rules-amendments.

(24)規則授権法 (RuleEnabling Act, 28 U.S.C.

e

e

2071-2077)に基づく連邦民事訴訟規則 の。般的なじ文E手続及び2015年己主主i安締について、ジョン・ロパーツ連邦最高裁首席半JI 'Jf.の2015Year-End Reportにもわかりやすい説明が記載されているので参照されたいc

See e.

g

.

リ JohnG. Robe此自Jr,supra note 2 at 1 to 4, 5.

(25) See e.g., June 2014 Advisory Committee Memo supra note 16 at B・4. デイスカパ

リーに関するその他の改正点として、裁判所はデイスカパリーに関する不当な負担又は費 用につき防御するために要した費用の分担に閲する命令を発することが認、められているが (Oppenheimer Fund, Inc., v. Sαπdeη437 U.S. 340, 358 (1978))、規則26条(c)(1)(B) においてその行明記された。また、規則26条(D会議においてデイスカパリーに関する 協議が行えるようにするため、規則34条による脅:面提示要求は当事者聞の規制26条(町 会議以前に行うことができるよう規則26条(d)(2)が改TF.されている。 Id.at B-10, 11. (26)規則26条(b)(1)への移行に際して、当該考慮事現の記載の順帯を変更しているcその意 阿は、係争金額が考慮事項の冒頭に現れることにより当該事項が最も章ー要な要素と誤解さ れることを避けるためである。 1983年当時の諮問委員会内釈にも非合銭的救消(利益) が主重要であることは記載されているところである。 Id.at B欄8. (27)デイスカパリーに関する比例(均衡)性 (proportionality)に関する改正は既に1983年改 正の際に実施されており、その後1993年及ぴ2000年においても行われている。 2010年 のデユーク会議において、+:だデイスカパリーに閲する比例(均衡)性 (proportionality) の問題が解決していないことが再確認され、今回の2015年改正に至ったcなお、今回の 改正に際して、特にデイスカパリー申立当:Ji者lH1Jが比例(均衡)性 (proportionality) の立証の負担が増加したり、被申立当事者が単に「相当性なし」との紋切り叫の異議を申 立てることが懸念されたため、 26条(b)(l)の諮問委員会注釈には2015年の当該改正は

(8)

事項として既に確立しているため明記が不要と考えられる事項(ディスカパリー対 を知っている人物の特定や所在、文香証拠や物証の存在、性質等)が改 íf~íj 規則26条(b)(l)から削除された(28)。③五当な理由 (goodcause)を条件とした 烹題(自ubjectmatter)に関連するデイスカパリーは尖際にはほとんど利用されな いことから、当該規定も改疋前規則26条(b)(l)から削除された(29)。④デイスカ パリーの範囲を制限するために誤用又は悪用されることを避けるために、改正前規 則26条(b)(l)の「デイスカパリーが(事実審理において)証拠能力を有する証拠 開示に繋がるものと合環的に考えられる場合、関連情報が事実審珂!において証拠能 力を有する必要はない

J

("Relevant information need not be admissible at the trial if the discovery appears reasonably calculated to lead to the discovery of admissible evidence")との文言が「当該デイスカパリーの対象となる情報は (事実審理において)証拠能力を有する必要はない

J

("Information within this scope of discovery need not be admissible in evidence to be discoverable") と の丈言に書き改められた(30)。 なお、文書等捉出要請 (requestfor production)を促進し、現状の文書等提出 要請に係る実務を明確にするため、規則34条及び37条も改定されているの1)。ま ず、規則34条(b)(2)(B)は、丈書等提出要請(規則34条(a)(l))を受けた当事者 の対応として調査に代えて文書又は電子保存情報

(ES

I)のコピーを提出する旨述 べることができるよう改正され、それに伴い規則37条(a)(3)(B)(iv)も改正され調 査及びそれに代わる文書等の提出の慨怠に対しでは強制申立ての権限が与えられ ている(32)。次に改正規則34条(b)(2)(B)は、広範な紋切到の異議の問題(異議の 実際の珂ー同を相手方にほとんど提供しない)を解消するため、文書等提出要請に対 申立当事者側の負担増加を意凶するものではなく、紋切り型の異議申し立てを認めるも のではないことが明記されている。 Id目 atB・7,8. (28) Id.at B開9. (29)Id. (30)Id.

(31) Id.at B・11.See α180

Thomas Y. Allman

8upra note 3 at 392-393.なお、文書等提 山要請のー連の千続の流れについては、例えば土井ほか・前掲注(4)8011以下参照。

(32) See June 2014 Advisory Committee Memo 8upra note 16 at B-11.その他改正規則

34条(b)(2)(B)によると、えJ畠;等の提山が選択された場合、遅くとも当該応答において指

定された時点ぷは指定された~Ijの合判的期間に当該提出が会 f しなければならない。 Id.

(9)

する異議は理由も含めて当該異議の根拠を特定して明確に述べなければならいと する よると、例えば開示範岡が過大であると る が、一部については異議がない場合にはその旨述べるべきであるとする)。また改 TF.規則

3

4

(

b

)

(

2

)

(

C

)

は、異議に基づき応答すべき文書等の提出を保留している 場合には、 、て、保留されている 関する詳細な記載は 不要であるが、当該保留につき述べなければならないとする。 (3) 裁 判 所 に よ る 早 期 事 件 管 理 に 関 す る 改 正 裁判所による早期の事件管珂ーに関する改正は、主として次の事項である(33)。 まず、スケジ、ユール会議に関して、①規則

1

6

(

b

)

(

l

)

(

B

)

の「電話、メール、又 はその他の子段による」との文言を削除し相対(関係者山席)又は直接的手段(同 時通話システムによる会議)による会議を促し、②規則

1

6

(

b

)

(

2

)

が規定するス ケジ‘ュール命令発行日寺点を早めることによって(被告が訴状受領後

9

0

日(改正前

1

2

0

日)又は被告出頭後

6

0

日(改花前

9

0

日)のいずれか早い該当日以内)(34)早 期にスケジ、ユール会議が開催できるようにし、③スケジ、ユール命令の内容として規 則

1

6

(

b

)

(

3

)

(

B

)

につき電子保存情報

(

E

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I)の「保存」、連邦証拠規則

5

0

2

条に 基づく合意、及ぴデイスカパリ』ー申立前の裁判所との協議が追加され、当事者及ぴ 裁判所聞の会議による当該争点の解決を促している(35)。 また、送達時期に関しては、規則

4

条(m)は訴状提出後

9

0

日以内(改正前は問。 日)に送達されなければならないとし到達期限を早めている(36)。 なお、

2

0

0

6

年改正による規則

2

6

条(f)及び規則

1

6

条において、電子保存情報

(

E

S

I

)

の保存及びデイスカパリーに関する合意に関する事項がデイスカパリー会 議及びスケジュール会議における協議事項となり、またスケジ斗ール命令に記載が (33)本稿では事件管科の問題については深く立ち入ることはできないが、事件管到!の問題や 裁判所の裁最の問題については、例えば加藤新太郎「手続J;!d量論(日目、文堂、エド自作)2 買以下、

9

4

買以下参照c

(

3

4

)

スケジュール命令 (SchedulingOrder)はスケジ、ユール会議 (SchedulingConference) 後に発せられることから(規則

1

6

条(b)(l)(B)参照)、スケジュール命令 (Scheduling Order) の発行時点を平めることは、スケジュール会議 (SchedulingConferencel の 実施時点も早まることになる。

(35) See June

2

0

1

4

Advisory Committee Memo supra note

1

6

at

B

1

2

(10)

なされることになっている(37)0 2006年の改正と相まって早期の裁判所による積 極的な関与により、電子保存情報 (ESI)を含むディスカパリ と共有することによって当該問題をスケジュール会議等により早期に解決するこ とが期待されている。

(

4

)

裁 判 所 及 び 当 事 者 聞 の 協 力 に 関 す る 改 正 2010年のデ、ユーク会議においても確認されたように、民事訴訟において公正、 迅速、訴訟経済の目的を実現するためには、裁判所に加えて当事者聞の協力が不可 欠である(38)。特に上記(3)の裁判所による早期事件管珂ーによる当該目的を達成する ためにも裁判所及び当事者聞の協力は重要であろう(:l9)。この点を明確にするた め、連邦民事訴訟規則1条において、「本規則の規定は、全ての訴訟の公正、迅速 かつ低廉な裁判を保障するように、裁判所及び当事者間において用いられ、解釈さ れ、運用されなければならない

J

とし、「裁判所及び当事者間において用いられ

J

(", and employed by the court and the parties") との丈言を挿入することによ り、裁判所及ぴ当事者間の協力関係を明確にした(40)。なお、当該改主規定のパブ リック・コメントの際に、当該改主文言により新たな異議申¥J.てが懸念されたた め、諮問委員会注釈において当該改耳‘によって新たな又は独立した制裁の根拠とな るものではない旨注記されている(41)。

(37)浅香・前掲注 (13)434頁以下参照、土井 lまか・前掲注(4)57頁以下参照。

(38) See e.gリ JohnG. Koeltl, Progress in the Sprit of Rule 1, 60 DUKE L.よ537,

544(2010); John G. Roberts Jr, supra note 2 at 5, 6.

(39)裁判所による'Jj:件管理に関するレズニック教授の問題指摘について、力11藤・前掲注(34)94

買以下参照。現

1

J

連邦民事訴訟規則はより管理者的裁判官像を求めていると言い得るこ とから、職権1:義と当事者ぷ義とのや目点、裁判所のよえ最規制についてさらに検討が必要 となるであろう。

(40) See e.g., June 2014 Advisory Committee Memo supra note 16 at B・13-14

(11)

3

.

2015

年改正連邦民事訴訟規則

37

条 (

e

)

(

1

)

2006

年改正連邦民事訴訟規則

37

条 (e)の概要 eデイスカパリーに関する制裁発動の根拠としては連邦民事訴訟規則J(例えば規 則26条 (g)、規則37条 (b)、37条 (c)及 び37条 (d))に基づく場合だけでなく、米 国の連邦裁判所において、一定の要件の下において訴訟提起前に(1替在的)当事者 はコモン・ロー上の固有権 (inherentauthority又はinherentpower)に暴づき 証拠保存義務を負うものと解されており(42)、当事者が「係属中又は将来の訴訟と 関連し得る証拠として知った又は知りうべきであったとき」から当該当事者はその 保有又は支配する証拠について保存義務が発生すると考えられている(43)0 eデイ スカパリーに関して制裁が発動された事案は1980年代初頭には既に登場していた

が(44)、Willoughby弁護士(45)等による、電[-保存情報 (ESI)のデイスカパリー に関する400件 以 上 (2010年1月1円以前のもの)にも及ぶ制裁中立て事案に係 る連邦裁判所の意見書の調査(以下「本eデイスカパリー関連調査」という。)によ れば、 2004年に至るまではその件数はー桁代に留まっていたようである(46)。し かし、 2003年からお004年 の 聞 に 電 子 保 存 情 報 (ESI)に関する制裁申立てに係 (42)See, e.g., Silvestri v. Gen. Motors Corp., 271 F. 3d 583, 590 (4th Cir 2001). See a.lso, Dan H. Willoughby, Jr. et a,.lS臼nctionsfor E-Discovery Viol臼tions:By the Numbers, 60 Duke L.よ798,802(2010).

(43) See e.,g.Advi臼oryCommittee on Rule臼ofCivilProcedure, Agenda Book, November

1,2011, at 101-107,αuαilαbleαt

http://www.uscourts.gov/rules・policies/archi ves/ agenda -books/ ad visory -commi ttee

-rules-civil-procedure-november-20 11目 Seealso, Memorandum from Judge David

G. Campbell, Chair, Advisory Comm. On Fed. Rules of Civil Procedure to Judge Jeffrey Sutton

Chair

Standing Comm. On Rules of Practice and Procedure 35 (May 2, 2014) [hereinafter May 2014 Advisory Committee Memol,日lJαilαbleαt http://www.uscourts.gov/rules-policies/archives/agenda悶books/committee-rules

-practice-and -procedure-may-20 14#pagemode=bookmarks

(44)See e..,gWm. T. Thompson Co. v. Gen. Nutrition Corp., 593 F. Supp. 1443 (C. D. Cal.1984).

(45) Dan H. Willoughby, Jr.弁護上は、King& Spaldingに所属するデイスカバリーを専門 とする弁護ムーであり、連邦民ポ訴訟規則諮問委員会によって実務家代表として選I:t'れ、

2010年のテ、ユーク大学で、行われた会議においてはeデイスカパリーの制裁に閣する問魁 につき当該委員会に対してプレゼンテーションも行っている。

(12)

る事案が3倍に増加し、以後急激な増加傾向にある(47)。電子保存情報 (ESI)に 関する制裁申?で件数が増加傾向にあった2006年には電子保存情報 (ESI)に係 るデイスカパリーに関して規則26条(の、規則16条(b)、規則34条(b)、規則26 条(b)(2)(B)、規則26条(b)(5)(B)、規則37条(e)等の規定の改If,が行われた(48)。 本稿ではまず2006年改正の際に新設された規則37条(e)(以下「改iI前規則37 条(e)Jという。)を中心に概括する。 上記のとおり、訴え提起前においても訴訟が予期しえた時点において関連情報 (証拠)につき証拠保存義務が発生することについては裁判所の判断も一致してい ると考えられているが(49)、当該証拠保存義務違反における制裁発動の要件につい ては巡回区毎に異なり、当該制裁に関する予測可能性が確保されていない。そのた め特に膨大かつ保存コストが多額となり得る電子保存情報 (ESI)の保存が問題と なっていた。このような問題を踏まえて2006年の連邦民事訴訟規則改正の際には 証拠保存義務を定義すべきか検討されたがその立法化は見送られたものの(50)、情 報(証拠)保存に関する当事者間の自発的合意を促し、電子保存情報(ESI)を含 む情報(証拠)の開示と保存に関する会議を行うことを義務とし(規則26条(旬、 さらに電子保存情報 (ESI)に係る証拠保存の負担を軽減するため以下の規則37 条 (e)が新設された(51)0 第37条 不開示又はデイスカパリーへの非協力,制裁 (e)電子保存情報の提供慨怠 裁判所は、例外的な状況がない限り、日常的かっ (47) ld. at 795. (48) i英語4・市T掲注(13)433頁以ド参照。

(49) See e.g.リ May2014 Advisory Committee Memo sup'・anote 43 at 35.

(50) 2006年の述邦民事訴訟規則改荒の際にも証拠保存義務を定義すべきか検討されたが、結 局その立法化の困難さから述邦民事訴訟規則において証拠保存義務については│官接規定 されていなし'0See, e.g., THE SEDONA CONFERENCE, The SedonαConference Commentary on Legal Holds: The 1トigger& the Process, 11 SEDONA CONF. J. (2010) at 267; ADVISORY COMMITTEE MINUTES, Apr. 14-15,2005 at 39-40; copy available at

http://ww杭uscourts.gov/rules-policies/archives/meeting-minutes/advisory-committee

-rules倫civil剛procedure陶april-2005

(51) See Thomas Y. Allman, Rules 37

Meetslts Critics: The Justification forαLimited Preservαtion Sα声Hαrborfor ESI, 4 NW. J. TECH. & INTELL.PROP. 1, 1(2006) at 3-4.

(13)

善意による電子情報システムの稼働の結呆により喪失した電子保存情報を提 供できない し、 ことカfできない(52)。 当該規定の適用に際しては、特に下線音1[の解釈を中心として、次の2点を検討 する必要がある。第1に、電子保存情報 (ESI) を提示しなかった当該事案におい て連邦民事訴訟規則に従った制裁規定があるかどうか、第2に、上記に加え、電 子保存情報 (ESI)の喪失が日常的かっ善意による電子保存情報システムの稼働の による喪失であり、例外的な状況が存在しないかどうか、以上の2点を検討 しなければならない(目的。第1の考慮事項につき、規則37条(e)は、「本規則にお ける制裁

J

(sanctions under these rules) との規定があるとおり、連邦民事訴訟 規則における制裁の回避規定であることから、規則37条(e)の適用の前提として 電子保存情報 (ESI)の喪失が連邦民事訴訟規則上の制裁の対象でなければならな い。第おの考慮事項に関し、「善意

J

(good faith) について諮問委員会によると過 失 (negligence) と (recklessness) の中間に依置づけられるものと考えていたよ うである(54)0

I

日常

J

(routine) に関して規則 37条 (e)の諮問委員会の注釈には いかなるシステムを想定しているかとの記載はないものの、規則制定過程におい て、天災等の災害に備え保存された記憶媒体内の情報で一定期間アクセスされな かった情報を自動的に消去するプログラム等を想定し、通常の業務過程において 電子保存情報 (ESI) が削除されたかどうかがポイントとなると考えられていた (52) FED. R. CIV. P. 37(e). 原文:1ま以卜のとおりである。

Rule 37. Failure to Make Disclosures or to Cooperate in Discovery; Sanctions (e) Failure to Provide Electronically Stored Information. Absent exceptional circumstances, a court may not impose sanctions under these rules on a party for failing to provide electronically stored information lost as a re自ultof

the routine, good-faith operation of an electronic information system.

(53) See e.g., Thomas Y. Allman, suprαnote 51 at 4. なお、 2006年に連邦民事訴訟規 日Ijが改正された

P

4

時の参照文献等には規WJ37条(めと記載されているが、これは規則

37 条 (e) は 2006.î['の改iE ~tは37条(めとして規定され、 2007午ーの形式修4の際に規 則37条 (e)に安更されたためである。 SeeAlexander Nourse Gross, A SαfeH,αrbor FトomSpoliation Sαnctions: Cαn an Amended Federα1 Rule ofCivil Procedure 37(e) Protect Producing pαr,ties?, 2015 Colum. Bus. L. Rev. 705, 716 (2015).

(54) See Minutes, Civil Advisory Committee (Apr. 14-15,2005) at 42, avαilable at http://www.uscourts.gov/rules-policies/archives/meeting-minutes/advisory-committee -rules-civil-procedure-april・2005.See also Thomas Y. Allman, supra note 51 at 5.

(14)

ょうである(55)0

i

例 外 的 な 状 況

J

(exceptional circumstances)についても定義 規定はないが、規則制定過程において、制裁発動に柔軟性 (flexibility)を与える ために加えられたものである(56)0 .

.

r

記のとおり、この第2の考慮事項の「日常」 (routine)、「善意

J

(good faith)、「例外的な状況

J

(exceptional circumstance自) には明確な定義がなく、裁判所の広範な裁最と適用の予測可能性の問題を生じさせ 今回の改正へと至っている。 (2)

2006

年改正連邦民事訴器規買1j37

条 (e)の問題点 本eデイスカパリー関述調杢によれば、 2006年改正連邦民事訴訟規則施行後の 実務状況(電子保存情報 (ESI)に係る制裁申立ての取扱いも含む)として、電子

保 存 情 報 (ESI)に係る制裁は、電子保存情報 (ESI)の保存義務違反を理由とし

て制裁が発動されることが多く (57)、その根拠として、連邦民事訴訟規則(規則26 条(g)、規則37条(b)、規則37条(c)、 規 則 及 び37条(d))に基づく場合又は裁判 所 の 間 有 権 (inherentauthority)に基づく場合があり、多くは規則37条 又 は 裁 判所の│古│有権に基づき制裁が発動されるようである(58)0 2004年以降電子保存情 報 (ESI)に係る制裁申If.及ぴ制裁発動件数が飛躍的に増加しているにもかかわら ず(59)、規則37条 (e)の適用により救済された事例は多くはないようである(60)。 (55) See Report of the Civil Rules Advisory Committee, May 27, 2005 (amended July 25, 2005) (Agenda E-18 (Appendix C)) [hereinafter “ADVISORY COMMITTEE REPORT (2005)"J at C-83.

http://www.uscourts.gov/rules-policies/archives/committee-reports/reports-judicial -conference司sept冶mber-2005.See αl80, Thomas Y. Allman, 8uprαnote 51 at 4-5.

(56) See e.g., ADVISORY COMMITTEE REPORT (2005), 8uprαnote 55 at C・85;

Thomas Y. Allman, 8uprαnote 51 at 6.

(57) See Dan H. WilloughbぁJr.et a,.lsupra note 42 at 803.

(58) Id.at 798-802.もっとも、制裁の種頒(例えば、訴え却ド (Dismissals)や欠席判 決 (defaultjudgment)、F音審に対する不利主主説示 (AdverseJuηInstruction自)、全 銭裁定 (MonetaryAwards))によって連邦民事訴訟規則と裁判所の凶令権 (inherent authority)のいずれを一般的な根拠とするか異なるようであるO 例えば厳しい制裁で ある訴え却下 (Dismissals)や欠席判決 (defaultjudgment)の場合には規則37条(b) (同条項と裁判所の困有権 (inherentauthority)の双方を根拠とするものを含む)に基 づき制裁を課すことが多いが、陪審に対する不利主主説示 (AdverseJury Instructions) では裁判所の間有権 (inherentauthority)に恭づき制裁を楳す場合も多くなる。 Id.at 805-814. (59)Id.at 795 (60)Id.at 824-828.

(15)

それでは、何故、改正前規則

3

7

条(e)の適用による救済事例は少ないのであろう

か。この点については改JF.前規則

3

7

条(日)において指摘されていた

になる。

第1に、前述のとおり、改TF.前規則37条(e)は、「本規則における制裁

J

(sanctions under these rules)に対する救済規定となっており、電子保存情報 (ESI)喪失に 刻する連邦民事訴訟規則上の制裁回避規定にすぎない。制裁発動の根拠が裁判所の 固有権 (inherentauthority)の場合には改正前規則37条(e)の適用によっては救 済されないことになる(日1)。すなわち固有権 (inherentauthority)に基づく訴え 提起前の証拠保存義務違反は改正前規則

3

7

条 (e)の適用によっては放済されない。 第2に、改正前規則37条(e)の立法当初は固有権 (inherentauthority)に基 づく証拠保存義務違反に基づく制裁発動の場合にも裁判所が改正前規則37条(e) の趣旨を考慮して妥当な制裁発動を行っているとの指摘もあった(62)。しかし、実 際 に は 固 有 権 (inherentauthority)に基づく証拠保存義務違反に基づく制裁発 動の要件は統一されておらず(側、合衆岡控訴裁判所 (UnitedStates Court of Appeals)の巡回

l

夫毎によって異なり、第2巡回灰のように過失 (negligence)に 基づく証拠破棄の場合にも厳しい制裁を課す裁判例(64)があるため、その制裁発動 の不確実性から、当事者は当該制裁を恐れて過剰に証拠保存を実施しなければなら ずそのコスト等が問題となっている(65)。

(61) See e.g., Thomas Y. Allman, supra note 51 at 15-16; Philip J. Favro, THE NEW SANCTIONS FRAMEWORK UNDER THE PROPOSED RULE 37(E) AMENDMENS 21 Rich. J.L.& Tech. 12014 at 6; Alexander Nourse Gross suprαnote 53 at 724. See αl80, Nucor Corp.立:Bell, 251 F.R.D. 191, 196 n.3 (D.S.C. 2008).

(62)改以前規則37条(e)の適用を連邦民事訴訟規則上の制裁に限定しているのは、規員Ij授権 法 (RuleEnabling Act

28U.S.C.

3

9

2071-2077)上の制約のためであることは裁判 所においてもj副長LIされていることから、多くの裁判所て寸立国布権に基づく証拠保存義務 に関して改正前規則37条(e)が適用できないとしても、改iじ前規則37条(e)を指針とし て考慮して妥当な材論に::Eるとの指摘がなされていた。 SeeThomas Y. Allman, 8uprα note 51 at 16 (63)拙稿「民'ji:訴訟千続における証拠保存義務ー訴え提起前の証拠保存義務を中心としてー」 法論88巻2・3号92買以下参照。 (64) See e.g., Residential Funding Corp. v. Degeorge Financial Corp., 396 F. 3d 99, 113 (2d Cir. 2002). (65) See e.g., Philip J. Favro, 8upra note 61 at 4.圃有権 (inherentauthority)に基づく 訴え提起前の証拠保存義務については、相稿・前掲注(63)85頁以下参照。

(16)

第3に、改正前規則37条(e)の「例外的な状況がない限り

J

(absent exceptional circum日tances)の文言に関しでは定義規定がなく、いかなる場合に「例外的な状 況」があるものとして制裁が課されるか不明であるという問題である(66)。日常的 かっ善意の電子保存情報 (ESI)喪失に対する救済規定であるはずの改了F:前規則37 条(e)が、「例外的な状況

J

(exceptional circumstances)の解釈如何によってそ の適用が回避されては救済の意味をなさず、また「例外的な状況

J

(exceptional circumstances)の内容が明確でなければ、制裁を恐れるがあまり過剰に電子保存 情 報 (ESI)を保存しなければならないことになる(問。 第4に、「円常的かつ善意による電子情報システムの稼働の結果により喪失した電 子 保 存 情 報

J

(as a result ofthe routine

good-faith operation of an electronic information system)の解釈について、「例外的な状況」と同様にその内容が明確 でないことに加えて、この点につき、改正前規則37条(e)の諮問委員会の注釈には 電子保存情報の証拠保存義務を有する当事者はいわゆる訴訟ホールド(litigation hold)(68)を実施し証拠を保存することが卜記要件(特に「善意

J

要件)を満たす 要素の一つであることを指摘しているにもかかわらず、裁判所によっては訴訟ホー ルド(litigationhold)の尖施が必要不可欠であると考え、関連情報の喪失が直ち に「善意」要件を満たさないとして改正前規則37条(e)を不適用とする じていた。これでは誤って又は(軽)過失で電子保存情報 (ESI)を喪失した場合 に放済されないという問題点が指摘されていた(69)。 (66)John H. Beisner, DiscoveringαBetterWα:y:The Need for E,酔ctiveCivil Litigαtion Reform, 60 DUKE L.J.547, 591 (2008).See also, Alexander Nourse Grosssuprα note 53 at 718. (67) See e.gリAlexanderNourse Grosssupranote 53 at 718. (68)訴訟ホールド (]itigationholdぷはlegalholdと言われる)は、証拠保存義務違反によ る制裁を回避するための措置であり、 ー般的には通常の文書(情報)管理規定による保 管(破棄)干ー続そ停止し証拠を保存するため、関連証拠を管理する従業員等に保存措 置に闘する通知を送付し関連証拠の保存を凶る手続であるわ Seee., THE SEDONA .g CONFERENCE, suprαnote 50, at267. (69) See e.g., Alexander Nourse Grosssupranote 53 at 719.

(17)

(3) 2015年改正連邦民事訴訟規則37条(e) (a) 2015年改正連邦民事訴訟規則 37条 (e)の改正経緯(70) 2015年改Ifに際しては、改If前規則 37条 (e)の問題点を踏まえて、(i)電子保存 情報

(

E

S

I)の喪失に対する制裁発動のための要件の統一的解釈を樹立し、 (ii)

_

t

.

記(i)と関連して電子保存情報

(

E

S

I)の過剰な保存に関する費用等の負担を軽減 することを目標として規則改正の準備が進められた(71)。当初、諮問委員会は詳細 な証拠保存に関する規則、すなわち証拠保存の発生時期、保存の範囲、保存期間、 制裁等の手段を規定することを模索したが、これらに関する連邦裁判所の裁判例 は、広範かつ統一的で・なくあまりにも多様であったため、詳細な規則を作ることは 困難であった(72)。 そこで、改正前規則 37条 (e)下で認識されていた問題点を当該規則の改正を行 うことにより解決することが検討された。 2013年8月には諮問委員会より以下の 改原案(以下「規則的条(制改If案

J

という。)が公示された。 [規則的条 (e)改主案 (2013年8月公示)] 第37条 不開示又はデイスカパリーへの非協力,制裁(73)

(70) See e.g,目June 2014 Advisory Committee Memo suprαnote 16 at B・14;May 2014

Advisory Committee Memo, supm note 43 at 35.

(71)May 2014 Advisory Committee Memo, supm note 43 at 35-36.

(72) Id.at 36.

(73) Id.at 53-54原文は以下のとおりである。

FED. R. Crv. P. 37(e) [Published Rule 37 (e) A mendment Proposal]

Rule 37. Failure to Make Disclosure or to Cooperate in Discovery; Sanctions (e) Failure to Preserve Discoverable Information.

(1)Curαtive meαsures; sαnctions. If a party failed to preserve discoverable information that should have been preserved in the anticipation or conduct of litigation, the court may: (A) permit additional discovery, order curative measures, or order the party to pay the reasonable expenses, including attorney's fee, caused by the failure; and (B) impose any sanction listed in Rule 37(b)(2)(A) or give an adverse欄 inference jury instruction, but only if the court finds that the party's action: (i)caused substantial prejudice in the litigation and were willful or in

(18)

(e)開示対象となり得る情報の保存慨怠 (1 ) 回復的措置;制裁 当事者が、訴訟係属中 又は訴訟を予期し た時点で保存すべき開示対象となり得る情報の保存を慨君、した場合、裁判所 は、 (A)追加のデイスカパリーを認め、回復的措置を命じ、又は当事者に対し慨 怠により生じた弁護士報酬を合む合理的な費用の支払いを命ずること ができ、

(

B

)

規則

3

7

(

b

)

(

2

)

(

A

)

に規定されている制裁を課し、又は不利主主推定の陪 審説示を行うことができる。但し、裁判所が当事者の行為が以下の行 為に該当するものと認定した場合に限るものとする。 (i)当事者の行為が訴訟において重大な不利益を及ぼし、かつ、故意又は 悪意の場合;又は (ii)当事者の行為が訴訟における請求の提示又は請求に対する防御の重 要な機会を回復不可能な程に奪う場合 (2) 当事者の行為を評価する際の考慮事項 当事者が訴訟係属中(訴訟行為時) 又は訴訟を予期した時点で保存すべき開示対象となり得る情報の保存を慨 怠したかどうか決定する場合又は慨怠が故意又は悪意に起因するかどうか bad faith; or (ii)irrep制 羽blydeprived a party of any meaningful opportunity to present or defend against the c1aims in the litigation. (2)F1αctors to be considered in αssessing a pαrty's conduct.The court should consider all relevant factors in determining whether a party failed to preserve discoverable information that should have been preserved in the anticipation or conduct of litigation, and whether the failure was willful or in bad faith. The factors include:

(A) the extent to which the party was on notice that litigation was likely and that the information would be discoverable;

(B) the reasonableness ofthe party's efforts to preserve the information; (C) whether the party received a request to preserve information, whether

the request was clear and reasonable, and whether the person who made it and the party consulted in good faith about the scope of preservation; (D) the proportionality of th日 pre日ervatione罰fortsto any anticipated or

ongoing litigation; and

(E) whether the party timely sought the court's guidance on any unresolved disputes about preserving discoverable information.

(19)

決定する場合、裁判所は全ての関連事項を考慮すべきである。関連事項は 以下のとおりである。 (A)訴えが提起され得ること及ぴ情報が開示対象となり得ることについて 当事者が認識していた程度 (B)当事者による情報を保存するための措置の合理性 (C)当事者が情報保存の要求を受けたかどうか、要求が明確かつ合理的で あったかどうか、保存範囲について要求を行った当事者と誠実に協議 したかどうか (D)係属中又は予期された訴訟における情報保存措置の比例(均衡)性 (E) 当事者が開示対象となり得る情報保存に関する未解決の問題に関して 裁判所の指示を適時に求めたかどうか 規則37条 (e)改正案の特徴は、第1に、規則 37条 (e)改正案の対象が改正前規 則37条(e)と異なり電子保存情報 (ESI)に限定されていないことである(74)。す なわち電子保存情報 (ESI)だけでなく有形物である物証となり得るものも適用対 象となる。第2に、情報(証拠)を喪失した当事者に対する回復的措置(規則 37 条(e)改正案

(

l

)

(

A

)

)

と制裁(規則37条(e)改

J

I

案(l)

(

B

)

)

とを分けて規定し、制 裁発動については相手方当事者に重大な不利益を及ぼし、かっ故意又は悪意を要す るとして厳しい要件を設定している(規則前条(e)改正案

(

l

)

(

B

)

(

i))(75)。もっと も、制裁について厳しい要件を設定する一方で、帰責性がなくとも制裁が課せられ る要件も定めている(規則37条(e)改正案

(

l

)

(

B

)

(

i

i))(76)。第3に、証拠を喪失し た当事者の保存義務の慨怠、故意又は悪意の有無を裁判所が判断する際の考慮事項

(74) See May 2014 Advisory Committee Memo, 8upra note 43 at 40.規則 37条(e)改iE 案の刻象を篭子保存情報 (ESI)以外も対象としたため、有形物の保存義務違反について の先例 (Silvestriv. Gen. Motors Corp.) との調和を図るためにも、重要な機会を回復 不可能な穏に奪った場合という制裁の発動娯件(規則37条 (e)改比案の(1)(B)(ii))を加 えたようである。しかし、当該要件を加えたことにより本文記載のとおりパブリック・ コメントにおいて問題が指摘され、また有形物と無形物の電了ー保存情報 (ESnとでは その性質が大きくことなり統 的な規定を作成することが困難であるものと考えられ、 最終的には規則37条 (e)の適用対象は後子保存情報 (ESI)に限定されることになった。

See May 2014 Advisory Committee Memo, supr,αnote 43 at 40

(75) See May 2014 Advisory Committee Memo, supra note 43 at 36.

(20)

が列挙されている(規則37条(e)改 正 案(2))(77)。 この規則37条(e)改原案は前述のとおりパブリック・コメントに付され、 2300 件 以

h

の意見書や公聴会における120人以

h

の意見が寄せられた。パフやリック・ コメントにおいて特に問題視された点をいくつか列挙すると、故意 (willful)及ぴ 悪 意 (badfaith)の基準が明確でないこと、重要な機会を回復不可能な程に奪っ た場合における制裁の発動(規則37条(e)改 正 案(1)(B)(ii))により帰責性等によ り制裁発動を限定した趣旨が回避され得ること、故意 (willful)及び悪意 (bad faith)に加えて章ー大な不利主主 (substantialprejudice)を課すことは余りに厳し すぎること等である(78)。 (b) 2015年改正連邦民事訴訟規則37条 (e)の概要 規則37条(e)改正案に対するパブリック・コメントを踏まえ更に修正されたも のが、匁015年 四 月 1日から施行された改正規則37条(e)であり、内容は次のと おりである。 第37条 不開示又はデイスカパリーへの非協力;制裁(79)

(

e

)

電子保存情報の保存悌怠 当事者が保存のための合理的な措置を慨怠した ことにより訴訟係属中(訴訟行為時)又は訴訟予期時において保存すべき電 (77) Id.at 36. (78) Id.at37. (79) FED. R. CIV. P.37(e). 原文は以下のとおりである。

Rule 37.Failure to Make Disclosure or to Cooperate in Discovery; Sanctions (e) Failure to Preserve Electronically Stored Information. If electronically stored information that should have been preserved in the anticipation or conduct of litigation is lost because a party failed to take reasonable steps to preserve it, and it cannot be restored or replaced through additional discovery, the court:

(1)upon finding prejudice to another party from loss of the information, may order measures no greater than necessary to cure the prejudice; or (2) only upon finding that the party acted with the intent to deprive another

party ofthe information's use in the litigation may:

(A) presume that the10日tinformation was unfavorable to the party;

(B) instruct the jury that it may or must presume the information was unfavorable to the party; or

(21)

子保存情報を喪失した場合、追加のデイスカパリーによって証拠を回復又は 代替することができないとき、裁判所は、 (1) 当該情報の喪失により相手方当事者の不利益が認められた場合、不利益 を回復するため必要な限度において回復措置を命ずることができ、又は (2) 当 事 者 が 相 手 方 当 事 者 の 当 該 訴 訟 に お け る 情 報 の 利 用 を 妨 げ る 意 図 を もって有為したことが認められた場合のみ、 (A)当 該 喪 失 情 報 が 当 事 者 に と っ て 不 利 投 で あ る こ と を 推 定 す る こ と ができ、 (B)陪 審 員 に 対 し 当 該 情 報 が 当 事 者 に と っ て 不 利 様 で あ る こ と を 推 定 す べ き 又 は 推 定 で き る こ と を 説 示 す る こ と が で き 、 又 は (C)訴え却下又は欠席判決をすることができる。 匁015年 四 月 1日 に 施 行 さ れ た 改 正 連 邦 民 事 訴 訟 規 則37条 (e)の 特 徴 は 、 第1 に、 2013年8月 に 公 示 さ れ た 規 則37条 (e)改 五 案 と 異 な り 電 子 保 存 情 報 (ESI) に限定されたものの(80)、改直前規則37条 (e)がその適用対象を連邦民事訴訟規則

k

の制裁に限定していた問題点を踏まえて、改主規則37条 (e)は防│有権(inherent authority)に基づく制裁をも対象として適用対象を拡大している(別)。もっとも、 (80) 2013年8月に公示された規則37条(e)改正案では適用対象とされていた電了イ呆イ了情報 (ESI)以外の有形物等につき、改正規則37条 (e)においてはその溺刑対象から除外され た。従前どおり電チ保存情報 (ESI)にj車問を│浪定した士甲山については、電寸こ保存情報

(ESI)が量的にも爆発的に増加し、電子保存情報 (ESI)を取り扱う手段も多様化して

いること(物証等の有形物とはその性質が大きく異なること)、電子保存情報 (ESI)以

外の依拠破棄の取り扱いについては既に確史しているとで7い得ること(例えばSilve自tri

v. Gen. Motor自Corp.)、従子保存情報と有形物の双方の証拠保存義務に関する統 的

規定を作成することが実際に困難であること等が指摘されている。 Seee.gリ June2014

Advisory Committee Memo 8upra note 16 at B-15-16.

(81) Id. at B・15.2015年の改iF.規則37条(e)の諮問委員会注釈において、まず改iF.前規則37 条 (e)が梅めて限定的であったため寵子保存情報の百iE拠保存義務漆反に士、

l

する制裁発動に 関し巡回区毎に~.なる慕準が用いられることになり、証拠イ栄作のための過剰な負担と費用 を(i替イ七的)当当者に対して負担させる状川になっていることを指摘している。そして同 注釈は己主半規則37条(e)が改以前37条(e)に代わるものであり、裁判所がいかなる制裁 を発動すべきか決定するに際し、従前のように凶有権 (inherentauthority)や川法に依 J処することを排除する旨指摘している。 SeeFED.R.Crv.P.37(e) advisory committee's notes。また、 2013年8月の規則37条(e)改止案の諮問委員会注釈には、多くの (i符在 的)当事者が情報(証拠)保存義務の不確実性の問題を強調し、とりわけ訴訟提起前の問

(22)

改正規則

3

7

条 (e)自体が証拠保存義務の新たな根拠になるものではないことは諮 問委員会の注釈においても明記されている(82)。第おに、

&if

‘規則

3

7

条 (e)本 文 が規定する情報(証拠)保存のための合理的な措置という要件である。改

.

i

f

規則

3

7

条 (e)の諮問委員会注釈によれば(83)、コモン・ロートの証拠保存義務(訴訟係 属中(訴訟行為時)又は訴訟を予期した時点で関連する電子保存情報

(

E

S

I)の保 存)に基づき保存すべき関連電子保存情報

(

E

S

I)を喪失した場合、当該喪失が当 事者による合理的な措置の欠如によるものであることが回復的措置又は制裁発動 の前提条件となっている(84)。さらに当該諮問委員会注釈においては、合現的な措 置につき当該証拠保存のために当事者が取るべき措置は完全なものである必要は なく、当事者の訴訟に対する溜熟度(洗練性)を考慮すべき旨指摘され(85)、さら に当事者の(合理的に期待し得る)資力・資源(例えば人材や資金)等を考慮のう え、証拠保存のための当該合理的措置が講じられているかどうか判断するよう明記 されている(比例(均衡)性 (proportionality)の考慮)(86)。第

3

に、改正規則

3

7

条 (e)本丈のとおり、合理的手段が講じられず電子保存情報

(

E

S

I)が喪失した 場合、最初

J

に追加的ディスカパリーにより当該喪失した情報の回復を阿ることに なっている(87)。第

4

に、改

i

f

‘規則

3

7

(

e

)

(

l

)

は、当該情報喪失により相手方当 事者に不利益が発生したことを条件として、改正規則

3

7

条(e)(2)の厳しい制裁を 発動する前に、裁判所は当該不利益を回復する限度で回復措置を命ずることができ

趣にワいて指摘しているの SeeMay 2014 Advisory Committee Memo, supra note 43 at 54.

(82) See FED.R.Crv.P.37(e) advisory committee's notes.

(83) Id. See also May 2014 Advisory Committee Memo, supra note 43 at 40-41.

(84)改止前規則37条(e)において日常的かっf事君、の電チ保存情報システムの嫁働による電チ 保存情、恨の喪失が検討されたが、改正規

W

J

3

7

条(e)においては電子保存情械の保存のため の合理的措置を講じたかどうかを判断する際にそれらが)5'慮されることになる旨、改正規 則37条(e)諮問委員会注釈において指摘されている。 SeeFED.R.CIV.P.37(e) advisory committee's note目白 (85)合戦的手段の安求は不μJ抗力による電チ保存情報

(

E

S

I)の喪失の場合には当てはまら ないとされるが、当事者のむ該不可抗力に対する認識と備えの程度による旨の指摘もあ り、不可抗力による電下保存情報

(

E

S

I)の喪失が直ちに制裁不適用となるわけではない ものと考えられるの See FED.R.CrV.P.37(e) advisory committee's notes. See also., Philip J. Favro, suprαnote 61 at 13

(86) See e.g., June 2014 Advisory Committee Memo supra note 16 at B・16. (87)Id.

(23)

ることになっている(88)。第5に、不利益陪審説示に関する各巡回区の裁判例が四 分五列の状況にあることからその統一を阿るため、改

i

f

規則37条

(

e

)

(

2

)

は、不利 益陪審説示や欠席判決等の厳しい制裁に関する帰責性の主観的要件として、過失 を排除し(89)、批判のあった規則37条(e)改主案の故意 (Willfulness)又は悪意 (Bad faith)の要件に代えて、「相手方当事者の当該訴訟における当該情報の利用 を妨げる意図」としてその主観的要件の内容を明確にした(90)。 (c) 2015年改正連邦民事訴訟規則37条(e)の今後の動向 改正規則37条(e)は、電子保存情報

(ES

I)に限定されているものの、固有権 (inherent authority)に基づく訴え提起前の証拠保存義務違反の場合をも適用対 象とし、不利主主陪審説示のような厳しい制裁発動の主観的要件を明確にしているこ と等から、改正前規則37条(e)の問題点が相当程度解消されるものと期待される。 もっとも、今後問題となり得る点が既にいくつか指摘されている(91)。

まず、電子保存情報

(ES

I)を保存するための「合理的な措置

J

("reasonable steps")について明確な定義がなく、前記(b)記載のとおり諮問委員会注釈には一 般的なガイドラインはあるものの、その判断は基本的に裁判所の裁景に委ねられて いることである(92)。裁量に委ねられた裁判所が参考にする裁判例も統ーされた状 況にはないため、事案によって異なるのは当然としても、裁判所や弁護士の資質に よって結論が大きく左右されかねないという懸念がある(93)。 次に、改正規則37条

(

e

)

(

2

)

においては主観的要件が明確にされ、少なくとも過 (88) Id.at B・16-17.相手方の「不利袷J(prejudice)についてのす:証責任の負担について、 パブリック・コメントにおいて懸念が示されていたが、 ー般論としては~該情報を凡た こともない佃手々に立証の負担を認すのは酷といえるが、必ずしも明確に立証責任を

i

k

めることは難しいとの判断から、裁判所の裁量に委ねられいてるとのことである。 Jun巴

2014 Advisory Committee Memo supra note 16 at B・17

(89) See e.g.リ Re日identialFunding Corp.立:DeGeorge Finan. Corp., 306 F.3d 99 (2d Cir.

2002).O該裁判例については改TF.‘規則37条(e)(2)の諮問委員会注釈においても、過失 又は重過失において不利益Ii再審説示を認める ResidentialFunding Corp. v. DeGeorge Finan. Corp.裁判例を否定する門別確に述べている SeeFED.R.CIV.P.37(e) advisory committee's notes

(90) Seeιgリ June2014 Advisory Committee Memo supra note 16 at B.・17.

(91)See e.

g

.

リ PhilipJ. Favro, suprαnote 61 at 12-19

(92)Id. at 12-13. (93)Id. at 13-14

(24)

失や重過失が排除されることは明確になった。しかし「当該情報の利用を妨げる意 同

J

の該当性については、なお解釈に委ねられている。「当該情報の利用を妨げる 意 同 」 が 悪 意 (badfaith)に近接する概念と考えられるが(94)、諮問委員会の注 釈に「故意による喪失又は廃棄

J

(intentionalloss or destruction)との記載があ り、裁判例においては悪意 (badfaith)と故意 (willfuln朗自)を明確に区別した 裁 判 例 も あ る た め(95)、「当該情報の利用を妨げる意図」にはいわゆる悪意 (bad faith)と 区 別 さ れ た 故 意 (willfulness)も含むと解釈して当該情報の利用を妨げ る意図」に関する争点が拡大する可能性もある(96) もっとも諮問委員会の注釈は 過失によって不利裕階審説示を認めた裁判例との対比の中で、「訴訟における利用 を妨げるために当事者の故意による証拠の喪失又は威棄」が論用的に不利主主推定説 示に繋がるとも説明しているため、「当該情報の利用を妨げる意凶」は従前の裁判 例 の い わ ゆ る 故 意 (willfulness)ではなく、悪意 (badfaith)に近い概念として 扱われ、単なる杷憂に過ぎない可能性も十分ある。 さらに、制定法の一般的限界とも言い得るが、改I巨規則 37条 (e)がJ急速に進歩 す る 電 子 保 存 情 報 (ESI)を扱う ITシステム(例えばクラウドコンピューテイン グ(97)) に 対 応 す る こ と が で き る か と い う 懸 念 で あ る(98)0 ITシステムによって 取 る べ き 「 合 理 的 な 措 置

J

("reasonable steps")は当該システム毎にそれぞれ異 なるものと考えられ、裁判所は当該システムにおける電子保存情報 (ESI)が「合 理 的 な 措 置

J

("reasonable steps")なく喪失した場合における回復措置の困難な (94) See e.g., June2014 Advisory Committee Memo supra note16at B・17. (95)宏、意 (Badfaith) は証拠となり得るものを(将米の)罰f~í~ を妨害する意図を布して意識 的に破棄した場合であり、放窓 CWillfulne呂田)は証拠となり得るものを,官、識的に破棄し たが(将来の)訴訟を妨符する窓凶がなかった場合とする裁判例(例えばVictorStanley, Inc. v. Creative Pipe

Inc.

269 F.R.D.497

530-534 (D. Md. 2010)がある。 (96) See e.gリPhilipJ. Favro, supra note61 at15. (97)米国国枝標準伐術研究所 (NIST:National In自tituteofStandard and Technology)の 定義(独¥f行政法人情椛処理機構による円本語司

D

によれば、「クラウドコンビューテイ ングは、共用の構成可能なコンピューテイングリソース(ネットワーク、サーバー、スト レージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必姿に応じ て、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手 続きまたはサービスプロパイダとのやりとりで速やかに割こ'jてられ提供されるものであ るj。独立行政法人情報処迎機構 iNISTによるケラウドコンビューティングの定義 米 国国立標準技術研究所による推奨

J

(独立行政法人情報処理機構、 2011) 1頁。 (98) See e.g., Philip J. Favro, suprαnote 61at16-19.

参照

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