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福島原発事故と日本社会

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Academic year: 2021

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全文

(1)

放射線被ばくによる

健康障害のメカニズム

2011.9.18@国分寺

隅田聡一郎(一橋大学大学院修士課程)

(2)

市民の手に科学を取り戻す

市民の目線で科学をみる

市民科学者を目指す

故高木仁三郎校長 故高木仁三郎校長により1998年に設立。 校長は生涯を市民科学者として生きた。 専門:核化学。 原子力発電、プルトニウムの危険性を 世に知らせた功績により もう一つのノーベル賞といわれる ライト・ライブリフット賞を受賞

(3)

他のエネルギーにはない問題点:死の灰と放射線

死の灰 死の灰 熱エネルギー ウラン238 (燃えないウラン) ウラン235 (燃えるウラン) プルトニウム239 中性子 中性子 中性子 中性子 原子核 発電

(4)

福島第一原子力発電所にある核燃料

炉心

冷却プール

原子炉

1

号基

2

号基

3

号基

4

号基

5

号基

6

号基

69

トン    

86

トン

94

トン    

119

トン

94

トン    

116

トン

0

      

273

トン

0

      

273

トン

0

   

304

トン

共用プール        

1,176

トン

計:

851

トン

広島の原爆

 

63kg 原爆の約13,000倍

(5)

ガンマ線

アルファ線

ヘリウムの原子核

中性子線

ベーター線

電子

X線

外部被ばく

内部被ばく

(線源が体の外にある場合) (線源が体の中にある場合)

ベータ線

甲状腺 放射性ヨウ素

外部被ばくと内部被ばく

放射線の種類

(6)

人の身体

1個の受精卵から

分裂増殖分化する

成人

60兆個の細胞

  受精卵

(多能、万能)

皮膚 胃腸 肝臓

(7)

DNA

の二重ラセン構造

DNA: 32億塩基対

遺伝子:約22,000個

 (全DNAの1.5%)

(全長: 2m)

A:

アデニン、

T:

チミン

G:

グアニン、

C:

シトシン

(8)

DNAの複製

A:

アデニン、

T:

チミン

G:

グアニン、

C:

シトシン

DNA

の塩基

鋳型になる鎖

G T C A T G A T T A A C G G T C G C C

新しい 鎖

(9)

S鎖 S’鎖 鋳型のS鎖 鋳型のS’鎖 新しいS’鎖 新しいS鎖

(10)

DNAは何回複製されても元のDNAと同じ

(11)

放射線の量を知るための単位

エックス線やガンマ線は

1ミリグレイ=1ミリシーベルト

1ミリシーベル ト 5ミリシーベルト

1mSv被爆するとはどういうことか?

各細胞の核に平均して一本の飛跡が通る

(12)

化学結合のエネルギー(5〜7eV) 水素結合 診断用エックス線の エネルギー:100,000eV 2nm 二本鎖切断 一本鎖切断

Int. J. Rad. Biol. Doodhead DT,

1994

『Molecular Biology of THE CELL』より一部改変

(13)

放 射 線 の 量 ( ミ リ シ ー ベ ル ト ) 6000~7000 3000~4000 約半分の人が死亡 100〜250   急性症状のしきい値100〜250mSv JCO事故で死亡の大内、篠原さ ん 皮下出血、脱毛、下血、 嘔吐、下痢、吐き気、 発熱等 99%以上が死亡 1 公衆の1年の線量限度 0. 05 胸のX線集団検診 晩 発 障 害   発 が ん の リ ス ク 10 マンモグラフィー CT検査 0.15 17000~20000

自然放射線:一年間で2.4mSv 避けることは出来ない 線量が多くなるほど多くの 症状があらわれ、重症になる リンパ球、白血球の一時的減少

高線量被ばくのリスク:確定的影響

(14)

被ばく線量

17000〜20000mSv

被ばく後

8日

被ばく後

26日

(15)

放射線の特徴

(16)

間違えて修復される

放射線

この変化は元に戻らない

遺伝子が不安定になる

DNA 損傷

突然変異

変異を起こし

やすくなる

発がんへの道

放射線は何故がんの原因に?

(17)

がんは多数の遺伝子の変化で起きる

ーがんの多段階説ー

突然変異あるいは

遺伝的不安定性

悪性化

悪性化への階段

-遺伝子の段階的変化-放射線による

がん遺伝子の活性化

放射線又は環境因子による

他の遺伝子変異

『がん細胞の誕生』より 一部改変

(18)
(19)

内部被ばくを過小評価する

ICRP

●「しきい値なし直線モデル」を採用 ●γ線による外部被ばく線量を平均化 ●ALARA(As Low As Reasonably

Achievable)の原則 「すべての被ばくは,経済的及び社会 的な要因を考慮に入れながら,合理的 に達成できる限り低く保たなければな らない」 ⇒合理的かどうか判断するのは、原子力・核を推進する側。 被ばくを強制する論理。リスク=ベネフィット論。

(20)

  欧州放射線リスク委員会(

ECRR)

●「クリアランス制度」をきっかけに 1997年に発足。ICRPから独立 した機関としてEU議会に承認。 ●物理学にもとづくICRPに対して 、DNA発見以後の分子生物学・生化 学。功利主義批判。 ●低線量内部被ばくによる晩発障害 →クリス・バズビー委員長「100キロ 圏のガン増加数をICRPの2838人 にたいして19万1986人(半数は最初 の10年で発病)」

(21)
(22)
(23)

汚染の状況

→ 栃木や茨木まで広がる 高濃度汚染地域 (文科省と米エネルギー省による 航空機モニタリング) ↑ 首都圏に点在するホットスポット

(24)

Hosi他 Health Phys.2000 汚染レベル(MBq/m2

セシウム

137による環境汚染と人体汚染の関係

人 体 蓄 積 量 中 央 値 (B q /k g ) 50 100 150 200 250 300 350 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 ロシアのBryansk 地方に住む 5歳から15歳の男女をWBCで計 測 飯舘村 福島市 二本松市 1991年から1996年にかけて調査 いわき市 田村・葛尾・伊達 (Bq /k g 義務的移住ゾーン 希望すれば移住 管理 区域

(25)

ネステレンコ=ヤブロコフ「食品と人へのチェルノブイリ放射能汚染」 バンダジェフスカヤ=バンダジェフスキー 子どもの体内に蓄積されるセシウム137が、体重1kgあたり50Bq に達すると、生命維持に必須の諸器官(循環器系、神経系、内分 泌系、免疫系)、腎臓、肝臓、眼、その他の臓器に病理的変化 があらわれる。また体重1kgあたり30Bqを超えるセシウム137が 長期的に体内に留まると、しばしば深刻な心臓疾患を引き起こす 可能性がある。 95年から07年にかけて、ベラルーシの高濃度汚染地域 (セシウム137で1平方メートルあたり55万5000ベクレル) に住む子供30万人を調査したころ、体重1kgあたり15~20Bq以上 のセシウム137を蓄積している子供が全体の70~90%を占めた。 さらに、多くの村でセシウム137が体重1kgあたり200~400Bq に達し、2000ベクレルまで達する子供もいた。 子どもと大人では、同じ量の汚染された食品を食べた場合でも、子どもは体重が軽く、新 陳代謝が活発なため、内部被ばくによる被ばく線量は大人の 5 倍に達しています。

(26)

放射線の特徴

(27)

セシウム高汚染地区の子どもの健康状態

セシウム高汚染地区における汚染食品

1,肉(牛肉または豚肉) 2,キノコ、ベリー類 3,ミルク 4,野菜(特にアブラナ科) 反復性の呼吸器・消化器疾患、内分泌疾患 免疫力の低下、白内障、がん、先天異常 心臓血管系の疾患による胸痛 (高血圧、低血圧、心電図の異常など) 脳神経系の疾患、糖尿病 疲れやすい、周囲に対する無関心 加齢の促進、 一人で二つ以上の病気を持つ子どもが多い 健康な子どもの割合が20%程度になる 脳神経系の疾患、糖尿病

(28)
(29)

セシウムの排泄

アップルペクチン:

   リンゴの乾燥粉末(

15-16%ペクチンを含む)

   

1回5gを1日2回

プラセボ:ペクチンを含まない粉を同様に投与

3週間後 アップルペクチンを与えた子ども

       セシウムが

62.6%減少

      プラセボの子ども 

1.9%減少

ベラルーシでは

37kBq/m2以上の汚染地域に

200万人が住んでおり、そのうち50万人が子ども

セシウム体内汚染平均は約

30Bq/kg体重。

汚染のない環境に

3週間おき

汚染のない食事を与え、セシウムの減少率を調べた。

(30)
(31)

広がる二次汚染

江東区の保護者でつくる「江東こども守る会」は七日、都 庁で記者会見し、都の汚泥処理施設「東部スラッジプラン ト」(同区新砂三)近くのグラウンドの土から高濃度の放 射性セシウムを検出したとする独自調査の結果を発表した 。  調査は、同会が神戸大大学院の山内知也教授(放射線計 測学)と実施。検出されたセシウムは一平方メートル当た り二三万ベクレルで、放射線障害防止法で、放射線管理区 域からの持ち出しが制限される汚染基準の約六倍という。 また、プラント周辺と同区の荒川、旧中川沿いでは、放射 線量が毎時〇・二マイク ロシーベルトを超える地点が多 くあった。山内教授は「値が高い地域の位置と風向きを考 慮すると、下水を通じてプラントに集まった放射性物質が 処理過程で再び大気中に放出されている可能性が高い」と 主張。(東京新聞、6月8日) 汚泥処理施設、下水処理施設の問題。

(32)

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そしていま福島で、起きていること

収束しない福島第一原発事故

高濃度汚染地域で暮らし続ける人々

避難しても帰ってくる人々

専門家による「安全」キャンペーン

マスクもせず外で遊ぶ子どもたち

「恐怖を煽るな」「風評被害」

失業した酪農家、漁師。自殺も。

次々と高線量被ばくしていく原発作業員

避難先での不自由な暮らし。

差別と偏見。

県民健康管理調査

(33)

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サテライト疎開(集団的避難)

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク

サテライト校を核とするコミュニティ疎開

寄宿舎・公営住宅

「避難する権利」の保障

福島朝鮮初中級学校@郡山

5月から新潟朝鮮初中級の寄宿舎へ

 保護者・先生のイニシアティブと強固な人的ネットワーク  合同運動会・授業、除染作業 

(34)

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第三者機関による被ばく低減措置

・ベルラド研究所

ベラルーシ政府の援助を受け食品中の放射能検査のための地 域センターを370ヶ所設けた。(34万点の放射能検査)

政府は汚染地域に住む就学児童や生徒

20万人以上に、

汚染されていない食品を無償で配給

・福島各地で設置される市民放射能測定所

・空間線量・土壌・食品測定

・体内汚染の測定(『

3.11生活記録ノート』)

「こども健康相談会」とあわせて、食事指導や休養施設・サ ナトリウム療養を実施予定

(35)

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立ち上がる保護者たち

20mSV問題。 母乳からも放射性物質が検出。 福島や関東では子ども達に原因不明の 鼻血、下痢、だるさなど。福島の子ど もたちの尿からはセシウムが検出。 各地で結成される保護者ネットワーク 署名活動を通じた自治体への働きかけ ・市民放射能測定所・東京@下北沢 全国ネットと共同で、マーケットのブ ランド測定

(36)

内部被ばくから子どもを守るキャンペーン

・リーフレットの作成・配布

放射能に関する基礎地機、低線量内部被 ばくの健康影響について

・保護者ネットワークのサポート

自治体や学校への要請、「放射能から子 どもを守る」地域運動をバックアップ

・被ばく予防セミナーの開催

放射線被ばくに関する啓発活動

参照

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