医療被ばくの適正化
放射線医学講座 放射線部 RIセンター 楫 靖 [email protected]内 容
• 一般透視検査 • IVR検査 • CT検査 • 小児検査 • (核医学)PET検査一般透視検査
(上部消化管造影検査・注腸造影検査)
• エックス線を使う場面(例) – 透視:「動画」→透視線量率 13.6mGy/分 – 撮影:「静止画」→撮影線量 2.0mGy/毎 (上部消化管造影、直接撮影、仰向け、二重造影像の場合) 参考:放射線量適正化のための医療被曝ガイドライン(日本放射線技師会編、文光堂)エックス線造影検査:被ばく低減の原則
• 適正・厳格な検査の適応 • 必要最小限の撮影回数 • 透視時間の低減 – 「パルス透視」を適切に使う(位置決めのときなど) – 7.5 or 15f/sの使用により、約1/2~1/4の低減 • 必要最小限の照射野 – 造影している臓器、情報を知りたい臓器に「絞る」インターベンショナルラジオロジー検査
(
IVR あい・ぶい・あーる)
画像を利用し治療を行う一連の手技 心臓カテーテル検査もIVRの一つ
アンダーチューブ (tube;X線管) フラットパネル 散乱線 で、 術者は被曝する 厳重注意: モニターに写るような場所に、決して手を出しては いけません!!プロはまず自分の身を守るべし
X
IVRの被ばく
被検者の被ばく(皮膚吸収線量)
肝臓
IVR 2000-2500mGy
頭頸部
IVR 2000-4000mGy
放射線による皮膚障害 初期一時的紅斑 2Gy 1時間40分 透視線量率 20mGy/分で計算 一時的脱毛 3 2時間30分 永久脱毛 7 5時間 皮膚潰瘍 18 15時間 多いときには に達するIVR従事者のrisk
• 被検者の1万分の1以下 • 肝臓IVR 0.075mGy • 被検者 2000mGy(多いとき) • X線透視<<<撮影 • 防護ガラスを使いましょう!!CT検査
被曝線量の低減:装置の進歩
• 位置決め像から身体の形・容量に合わせて線量 (管電流)を自動調節する
– Adaptive exposure control (AEC)
「胸部
CT」
→目的によって、撮影条件を変化させ
診断能力を損なわない範囲内で、
できるだけ被ばく低減する工夫例
• 検診の胸部CTはlow dose CT (30mAs)で施行 • 肺動脈CT angiographyは通常120kVのところ
100kVで施行
• 胸部CTは年齢40歳以下ではdefaultの70%の 線量(mA)で施行
検診胸部低線量
CT
• CT検診学会では胸部の検診CTの撮影方法と して20 – 50mAsの低線量で行うように提言し ている
肺動脈
CTA
• 肺動脈のCTAでは、血栓の有無が問題になる • 解剖学的な空間分解能よりも、血栓と血流の コントラストが良好となる低電圧とすることで、 被曝線量を大幅に低減できる Radiology 241(3): 899-907.この検査での平均的な吸収線量は8.08mGy PACSで見ると、CTの画像の中にこのような数値が 記録されているが、万能の数字ではない。どの範囲、どの 臓器にエックス線が照射されたかによって、影響が異なる
CT検査の(おおまかな)被ばく線量評価
「CTDI vol」小児
に被ばく低減がなぜ必要か
• 小児は成人より放射線に対する感受性が高 い(細胞分裂が盛ん) • 体格が小さく、脂肪が少ないため成人と同じ 撮影条件では、臓器当たりの被ばく線量は数 倍になる • 小児は成人より平均余命が長い(被ばく後に 生きている期間が長い)ので、放射線障害が 発現する機会がより多くなる• CTは非常に有益な検査法であるが、一回の検 査における被ばく線量が多いことも事実である • 小児の放射線被ばくを考えるうえで、最も重要
小児
CT検査の撮影法
CT検査前に確認しておかなければならない3つのこと 1.CT検査の適応性 適応が曖昧な検査は行わない 2.撮影範囲の設定 必要な撮影部位のみ撮影 超音波検査/MRIで充分な部位のCT検査は行わ ない 3.単純か造影かの判断 両方施行する疾患は小児では非常に限られる• 撮影条件はALARA (as low as reasonably achievable)を基本とする • つまり読影できる最低の線量で撮影するとい う概念から、画質とのバランスを考えて体重 や体格に合わせた撮影パラメーターを用いる • ALARAコンセプトはCT検査に限らずX線を使用 するすべての検査に共通する
線量低減に向けた具体的な取り組み
1)自動管電流制御装置
8歳、男児 CLD 40mAs 100kVpに設定 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180 195 210 225 240 255 e ff. m A s テーブル位置 CARE Dose 4D 管電流
乳腺防護カバーによる遮蔽
• 乳腺防護カバーは、ビスマスでコーチングさ れたラテックスシートを放射線感受性の高い 臓器である眼窩、甲状腺、乳腺などの臓器に 載せてCT検査を行うと該当臓器の被ばくを低 減しつつ画質が保たれると言われている放射 線遮蔽のシートである • 女児の胸部CT撮影時に使用する• 我が国では薬事法に基づき一般医療機器と して平成21年2月6日付けで製造販売が受理 され、正式に国内で市販が認められている • 米国においてもFDA( Food and Drug
Administration)で認可され市販されている • 乳腺の他、眼窩用、甲状腺用もある
• ファントムを用いて、乳腺防護カバー (bismuth breast shield) を使用することにより
1)どの程度の乳腺被ばく線量が下げられるか 2)画質を維持できるか
• CTDIアクリルファントム 結果:100kV , 50mAs 約20.9% 線量低減 120kV , 50mAs 約18.7% 線量低減 • RANDOファントム 結果:100kV , 50mAs 約26% 線量低減 120kV , 50mAs 約29.2% 線量低減
• 成人用胸部ファントム • 肺野の腹側、背側に2カ所の ROIを設定し4断面について肺 血管陰影、腫瘤影について放 射線専門医5 人で乳腺防護カ バー設置あるなしの画質を評 価した • 結果:乳腺防護カバー使用に より画質に有意差なし
• 我々の結果では、乳腺の線量は100kVで約 21.8%, 120kVで約21.6%下げることができた • 画質についても乳腺防護カバー使用前後で 優位差はない結果となった • しかし、今回は成人用ファントムで画質評価 を行っている。小児用でも大きな差はないと 思われるが確認が必要である
患者さんに対する被ばく軽減
FDG投与量を体重で増減
吸収補正用の
CTを低線量で撮影
CTは管電流自動調整機構
(Caredose 4D)PETセンター
(PETに関するスライド:PETセンター 坂本教授より借用)患者さんの被ばく線量は?
•
PETの被ばく線量は,
18F-FDG投与量に依存。
⇒
270MBq
投与 で
5.1mSv
•
PET/CTの場合には,吸収補正用
CTによる被ばくも加算。
⇒
低線量CT
で
0.99mSv
1.77mSv
(ICRP Publ.80のデータを基に換算) (Biograph16) 参 考 (Biograph LSO) 4.5MBq/kg× 60kgの場合患者さんの被ばく線量は?
•
造影CTの撮影に伴う患者への被ばく線量の 増加実効線量(mSv)=CTDIvol(mGy)×体軸方向撮影距離(cm)×リスクファクタk(mSv/mGy/cm)
Biograph sensation 16 にてCaredose 4D (管電流自動調整機構)使用
参 考 体重約60kgの場合 リスクファクタ: 0.015 (ICRP Publ.102) 主に追加されている造影CT検査を目的別に3種類に分類し、各々 の被ばく線量を算出 膵腫瘍の精査目的の腹部4相撮影および胸部撮影 大腸癌の術前精査目的の腹部3相撮影および胸部撮影 消化器癌や婦人科癌などの再発診断目的の腹部2相撮影 および胸部撮影 合計19.3 mSv 合計20.2 mSv 合計16.9 mSv
PETセンターで勤務している医療
従事者の被ばく低減
遮蔽体を活用
Webカメラで観察し、ナースコールを
活用
獨協医科大学病院 PETセンター
被ばくを低減するには?
防護の三原則
(時間・距離・遮蔽) ⇒ 線量分布の把握被検者と接する時間を短く
安全確保は確実に!
両立させるには? 遮蔽体を活用 Webカメラで観察し、ナースコールを活用 高橋さん 病棟の看護師さん等の 不安をあおるでしょう か?獨協医科大学病院 PETセンター
②
処置室の線量分布
•
獨協医科大学病院 PETセンター 机 ロ ッ カ | 流し台 出入口 被検者 21.2 16.7 8.6 5.0 5.6 1.1 0.7 6.9 13.1 49.2 42.1 14.7 4.0 20.1 68.9 80.2 自 注 機
②
処置室の線量分布
単 位 : μSv/h 投与量: 270MBq n : 8 鉛衝立 鉛衝立による 遮蔽効果獨協医科大学病院 PETセンター
④
PET-CT室の線量分布
1.1 1.0 3.4 2.5 4.1 1.8 1.8 単 位 : μSv/h 投与量 : 270MBq n : 7 鉛衝立 鉛衝立による 遮蔽効果獨協医科大学病院 PETセンター