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chuka minkoku to bunbutsu jigyo : kokumin kokka kensetsu ni okeru bunbutsu no imi waseda daigaku daigakuin ajia taiheiyo kenkyuka hakushi gakui ronbun

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Academic year: 2021

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アジア太平洋研究科 博士学位論文要旨

中華民国と文物事業

―国民国家建設における文物の意味―

学籍番号 4003S313-2 張 碧惠

主指導教員 天児 慧

Keywords : 中華民国, 国民国家建設,文物事業,近代化,中華伝統,ナショナリズム,清王朝文物

本論文は、辛亥革命から 1949 年に中華民国が台湾へ退去するまで の期間を対象として、中華民国各政府期の文物に対する認識過程を追 い、その認識に基づいて行われた文物事業に注目し、国家建設におい て文物がどのような役割を担ってきたのかを明らかにすることを研 究目的としている。 中華民国の文物事業において焦点となるのは、文物を近代国家とし てどのように処置し、国家機構に組み込むかということである。そこ で、本論文では四つの問題を提起した。第一に、「近代化」とともに 構築された「中華伝統」という価値が文物に投影されることは、近代 文物事業にどのように反映され事業の展開に結びついたのか。第二に、 侵略の危機に直面した中華民国は、文物を保護するために収蔵場所か ら文物を疎開させたが、こうした文物の移動によって国家建設におけ る文物の位置づけにどのような変化が生じたのか。第三に、国民国家 建設に不可欠な国民創出において、ナショナリズムと文物がそれぞれ に果した役割。第四に、辛亥革命後、中華民国の「清王朝文物」に対 する処置が、文物における「中華伝統」の付与とどのように関わり、 国家建設と結びついたのか。 本論文では、以下のような構成に従って、中華民国樹立後の文物事 業をめぐる組織や法令の整備をはじめ、「清王朝文物」の接収及び博 物館の設立、発掘調査における文化主権、戦争からの文物保護、展覧 会による文物の表象、戦後の文物返還要求の諸過程を検証することに よって、上記に提起された四つの問題の解明を試みた。 第 1 章では、中華民国樹立後、発足した北京政府が清末からの課題 であった文物の海外流出を防ぐために取り組んだ文物事業を論じる。 まず、清末における文物流出の背景及び文物事業導入のきっかけにつ いて触れる。それから、北京政府期の文物事業に関して、文物保護を 中心に組織と法整備について述べ、北京政府期においても止められな かった文物流出の原因と北京政府期の文物事業の限界について論じ る。最後には、北京政府期の考古事業について述べる。中国で考古事 業がどのように受容され、欧米諸国の発掘隊に対する規制の背景、さ らに後に南京国民政府にも受け継がれていく文化主権意識との繋が りについて言及する。 第 2 章では、1928 年から 1937 年に南京国民政府が西南内陸へ移転 するまでの時期を対象に、南京国民政府の文物事業について論じる。 北京政府から未完の文物事業を受け継いだ南京国民政府は、文物事業 に関連する法令や組織の整備、中国独自の発掘調査と海外発掘調査隊 に対する統制、文物保護事業の国際関係的な展開などにおいて大きな 成果があった。また、文物を民族や歴史、伝統を表象する存在として 活用することで国民統合を図るようになったのも南京国民政府期か らである。本章では、こうした文物事業を個々に検討し、南京国民政 府が中央集権的体制下で文物事業をどのように再構築し、それが国家 構想のなかでどのような意味を持ったのかを明らかにする。 第 3 章では、文物事業における博物館の役割について述べる。亥革 命直後に、旧都の「清王朝文物」を「古物陳列所」に収める経緯や、 「北京政変」後、「内廷文物」を収蔵するために「故宮博物院」を設 立した政治背景、南京国民政府が「故宮博物院」を接収した政治状況 などを検討し、中華民国の文物事業における博物館の位置づけを探る。 ここでは「清王朝文物」が「中華民国の文物」に変換され、保護・管 理されるとともに、国民に公開されることが、中国の近代国家建設に おいてどのような意味を持つのかを明らかにする。 第 4 章では、文物の疎開について論じる。まず、1930 年頃からす でに検討されていた「古物陳列所」文物の南京移転に対する市民団体 の反対運動を検討し、それを踏まえて、満州事変後の「北平文物」南 遷について、南遷をめぐる南京国民政府内部の問題と、南遷反対運動 の意味などについて探る。また、南遷文物の内訳から南遷における「故 宮文物」の位置づけを検証し、「故宮文物」から「北平文物」への意 味の変容を考える。さらに、文物の内陸疎開と重慶移転後の国民政府 の文物事業について論じる。 第 5 章では、中華民国が 1929 年から 3 回にわたって国内で開催し た「全国美術展覧会」および、海外で開催された「ロンドン中国芸術 国際展覧会」(1935~36 年)、「モスクワ中国芸術展覧会」(1939 年)、 第二次大戦後の台湾における展覧会(1948 年 3 月)について、その 開催あるいは参加経緯を整理し、中華民国がこれらの展覧会において 文物を展示した狙いとそれを通じて文物によって表象されるものの 意味を探る。 第 6 章では、戦後中華民国政府によって展開された損失文物調査、 日本などに対する文物返還要求、「逆産」の没収、疎開文物の帰還な どについて検討し、こうした一連の「失われた文物」の復帰を目指す 諸措置が、第二次大戦後における国家の再統合においてどのような意 味を持ちえたのかを探る。 終章ではこれらの考察結果に基づいて、序章で提起された四つの問 題について論じた。 [主要参考文献] 『中華民国史档案資料匯編 第三輯(文化) 』、中国第二歴史档案館編 江蘇古籍出版社、1991.6 『中華民国史档案資料匯編 第五輯(文化1-2)』、中国第二歴史档 案館編、江蘇古籍出版社、1991.6 『中華民国史事紀要(初稿)』、中華民国史事紀要編輯委員会 1971 『中央古物保管委員会議事録』、中央古物保管員会編、1934.6 史勇、『中国近代文物事業簡史』、甘粛人民出版社、2009.11 吉開将人、「近代中国における文物事業の展開-制度的変遷を中心に-」 『歴史学研究』、2004 年 6 月号 『晨報』 『大公報』 『東方雑誌』 『民国档案』 『内政消息』 『順天時報』 『益世報』

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