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維持管理担当者としてやるべきことを知る ---- 本日お伝えしたいこと ---- 劣化状況の把握と診断 劣化原因の推定 ( メカニズム ) 問題 問題点の洗い出し 見える化 情報の共有 補修 維持管理の方法を検討 補修方法の決定 長期的視野での維持管理計画作成 (LCC) 計画 実行 PDCA 2

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(1)

「建築物の劣化と点検のポイント」

-外壁編-

公益社団法人

全国ビルメンテナンス協会

専門委員 古橋 秀夫

(2)

維持管理担当者としてやるべきことを知る

----本日お伝えしたいこと----

・劣化状況の把握と診断

・劣化原因の推定(メカニズム)

・問題・問題点の洗い出し

※情報の共有

見える化

・補修、維持管理の方法を検討

・補修方法の決定

・長期的視野での維持管理計画

作成(

LCC)

計画・実行

※PDCA

(3)

保全の基本は“点検”

※「点検」という地道な業務は、雑草取りと同じ。

「後で・・・やろう」と思っていると、とんでもないことになる。

※草刈り・雑草取りは毎日でもしなくてはいけない。

つまりなんでもそうですが、「仕事をためてしまってはいけ

ない」のです。

どこから手を付けていいのかわからなくなるので・・・。

(4)

1.建築物の劣化を知る

(現象) 使い勝手・デ ザインが相対 的に陳腐化 新材料・新シ ステムの出現 による見劣り 新機種導入の 遅れ (現象) 老朽化 汚れ、古び、脆化、 ひび割れ、強度低 剥離 破損 漏水等

物理的劣化

社会的劣化

機能的劣化

(経済的劣化)

寿命

(現象) 性能低下 エネルギー量の 増加 故障、修理、交換 頻度の増加 木村宏 編著 入門ビルディングリフォーム 33P 34Pより引用作成 (注)個々の物理的劣化が集積 して現出する

(5)

代表的な劣化現象と発生部位及びその影響

-その①

対象部位 劣化現象の例 結果 影響 ① 物 理 的 劣 化 躯 体 コンクリート ひび割れ、表面劣化、中性化、強度低 下、たわみ、鉄筋腐食等 躯体強度 構造安全性 鉄骨塗装 膨れ、白亜化、錆、剥がれ、割れ、変 退色、欠損等 鉄骨強度 構造安全性 外 壁 タイル 浮き、剥離、クラック等 剥離落下 美観、漏水 公共安全性 屋 根 防水 表面劣化、浮き、膨れ、剥離、破断、 漏水等 漏水 資産価値 内 装 天井 壁・床 防水 破損、汚損、錆、固着等 美観悪化 利便性低下 環境・安全性 設 備 機器 損傷、騒音、振動、腐食、ガス・液体 の漏洩、絶縁性低下、運転異常 故障多発 性能・安全性 配管、配線 部品、部材 赤水、詰まり、腐食、肉厚減少、絶縁性低下、漏洩、漏電等 故障多発 性能・安全性 ビル全体 全体の老朽化、古び 使い勝手・美 観悪化 テナント入居率、賃貸料

(6)

代表的な劣化現象と発生部位及びその影響

-その②

対象部位 劣化現象の例 結果 影響 ② 機 能 的 劣 化 建 築 全体 汚損、使い勝手悪化等 修繕費増加 採算性低下 設 備 システム 全体の老朽化、古び 運転費・修繕費増加 採算性 ③ 社 会 的 劣 化 維持保全 交換用部品、部材の欠乏 同一システム での修繕不 能 新品、新システ ムでの転換 建材・設備システム 新材料、新システムの導入困難等 相対的陳腐 化 ステイタス低下 テナント苦情 ビル機能 新機能導入の需要に対応困難(OA機・ セキュリティ・アメニティシステム等) テナント・サービス低下 テナント入居率、賃貸料 法規改訂 法規不適合(アスベスト等) 疫病因 社会 デザイン デザイン思潮の変遷への追随困難 相対的陳腐 化 ビル イメージ スペース 空間感覚への変遷への追随困難(広 さ、天井高等) テナント・サー ビス低下 収益性

(7)

2.劣化の傾向を知る

劣化は、最初は緩やかに進むが、ある程度の年

月が経過すると急激に進む。

一般的に建築後

10年~15年経過すると建築物に

何らかの劣化が進行する。

放置すると!

眼で見てはっきりと判る状態となる。

結 果

部分だけの補修では済まなくなり、周辺へと拡大し、

修繕工事・費用共に大掛かりとなる。

「危険な劣化」

「緊急性の低い劣化」

(8)

3.鉄筋コンクリート造の変状を知る

初期欠陥:

施工時あるいは竣工後まもなく発生した変状

例:ジャンカ、コールドジョイント、内部欠陥、砂すじ、表面気泡他

経年劣化:

建材の特性が時間の経過と伴に損なわれていく現象

例:ひび割れ、深さ、剥離、錆汁、エフロレッセンス、汚れ、変色、

すり減り他

構造的変状:

設計で想定された以上の構造的変化によって生じる変位やひび割れ、亀

裂等をいう

例:たわみ、変形、異常振動、地盤沈下等

損傷:

地震や衝突などで短時間のうちに発生し、変状が時間の経過とともに進

行しないもの

(9)

(1)初期欠陥(発生原因)の事例

・ジャンカ:コンクリートの表面や内部に骨材だけが集まってできた

空隙の多い欠陥部分、コンクリート打設時の締め固め不足

・コールドジョイント:コンクリート打ち継ぎ部に生じる不連続面

(10)

・砂すじ:コンクリート中の水分が分離して外部に流出する

際に生じ、コンクリート表面に細骨材が縞状に露

出するもの。

・表面気泡(あばた):コンクリート混合時や打設時に多量

の空気を巻き込んだもの。

(11)

(2)経年劣化の事例(外壁)

①モルタル壁

(12)

②タイル壁

軽度 中度 重度

タイル単体での補修 面的なタイルの補修 外壁タイル面積の30%~ 全面の補修

(13)

モルタルの厚さ0.5㎜の個所も。

(14)
(15)

最近の主な外壁等の落下事故

2017.3.15 大阪・大阪市

10階建共同住宅バルコニーの外壁タイルの一部(縦80cm横90cm)が落下。

負傷者なし。

2017.1.6 福岡・福岡市

スーパーの屋根・外壁の一部が落下。駐輪場の屋根を突き破り一部が公道へ。

2016.7.19 岐阜・岐阜市(新栄町)

JR岐阜駅近くの賃貸用ビル。外壁の2~3階部分のモルタルが落下。負傷者

なし。

2016.7.7 大阪・大阪市

9階建ビルの外壁タイルの一部が落下。通行人に被害を及ぼす。

2016.7.4 東京・江東区

地下鉄の入り口。外壁の御影石(38

kg)が落下。夕方のラッシュアワー時も幸

いに負傷者なし。

(16)

札幌市役所庁舎の外壁落下事故について-個人的考察-

(1)日時:2012年4月25日 午前11時頃及び午後13時半頃の2回

(2)竣工:1971年(築後42年)

(3)概要:中庭に面した庁舎外壁が劣化し、コンクリート製タイル16枚

計約2.1トンが落下

(4)部位:庁舎中庭に面した地下1階部分の外壁

(5)被害:中庭には出入りする人が少なく、幸いにして負傷者なし

(6)経過:前年(2011年8月)に

点検実施

。充填剤で埋めた

パネルの継ぎ目に

無数の亀裂を確認

したが、

「落下の危険性は低い」と判断

した。

その結果、

改修工事の実施を8か月遅らせ

、本年(2012年4月)に

変更した。

市側の見解「これまで壁が落下したことはなく、危機感が足りなかった」

(庁舎管理課)

(7)推定原因:寒冷地であるという気候的特性から、壁との間に滲み込んだ水分

が凍ったり、溶けたりを繰り返し、更に隙間の間隔が拡大することによ

り剥離に至ったものと推定される。

注:以上は、北海道新聞等の記事より、必要事項を抜粋し、整理したものである。

(17)

(3)コンクリートの劣化サイクル

ひび割れの拡大

コンクリートの劣化原因

には複合的要因がある。

・ひび割れや汚れなどの

外観上の変化として現

れる。

・放置すると、ひび割れ

箇所から内部に水や劣

化原因物質が侵入する。

ひび割れの発生

雨や湿気が

侵入

劣化原因物質の

侵入増加・漏水

大気中の二酸化

炭素、塩化物イオ

ン等の侵入

中性化・鉄筋の腐

食・爆裂

(18)

コンクリート内鉄筋が発錆・膨張し、この時 生じる圧力が周囲のコンクリートを破壊する現 象。 鉄が鉄錆に変化すると体積は約2.5倍に膨 張するといわれている。 鉄 かぶり厚さ 仕上材 落下 壁断図面 タイルやモルタルなどが部分的に欠けた状 態。 落下につながるので、注意が必要。 (内部の応力によるものと、外部の衝撃によ るものがある。) モルタルとコンクリートの境界面の接着が不 良となり、隙間が生じ、部分的に分離した状 態。 表面上はわかりにくいので、打診による調査 が必要となる。 コンクリート 壁断図面 モルタルか らの欠損 落下 モルタル コンクリート 外壁仕上材 壁 衝撃 欠損 出隅部 コンクリート 仕上材 モルタル 浮き モルタルの剥離 モルタル の温度 上昇 モルタル の温度 低下 タイルとモルタル又はコンクリートの境界面 の接着が不良となり、隙間が生じ、部分的に 分離した状態。 タイル目地のモルタルの接着力が高ければ 落下は免れる。 モルタルやコンクリート中に含まれる石灰分 (水酸化カルシウム)が水に溶けて表面に流 れ出し、白く結晶化する現象。 主にコンクリートのひび割れや、タイル及び 石張りの目地から生じる。 塗膜及びシーリング材の劣化により表面が 粉末状になる現象。 手で外壁などの塗装表面を擦ると白色 チョーク状の粉が付着するので容易に判断で きる。 目地 タイル 浮き 目地の接着力の低下 タイルの外れ 落下 水 石灰分 (水酸化 カルシウ ム) コンクリート タイル 目地 ツール:白色チョーク状 の粉 外壁:白色チョーク状の粉 モルタル

(19)

4.点検(目視)すべき部位・対象とは?

○外部からの点検 躯体:ひび割れ・剥離・剥落(鉄筋の露出)・錆汁・漏水等 外装材:剥離・剥落・ひび割れ・チョーキング・変色・褪色・汚れ等 シーリング材:剥離・ひび割れ・周囲の汚れ(溶融)等 その他:手摺等の金属材の錆・変形・脱落・外構の異常等 ○屋上の点検 コンクリート保護層:凍害・ひび割れ・目地の異常・植物の繁茂等 砂利保護層:飛散・断熱層の露出等 露出防水:膨れ・割れ・剥離等 パラペット・笠木:防水層廻り等 塔屋:躯体・外装仕上げ材・シーリング材・金属部材等 ○内部 躯体のひび割れ(壁・柱・梁・床)、仕上げ材のひび割れ、漏水・漏水 の跡、建具の開閉不良・ベランダの状態等

(20)

(1)点検はいつ行うのか?

○初期点検・・・ 維持管理開始時点での初期性能の把握 (2年以内) ○日常点検・・・ 日常の巡回等で可能な範囲を対象に行う (劣化・損傷・初期欠陥の有無と程度) ○定期点検・・・ 建築物全体の劣化・損傷・初期欠陥の有無や程度の把握等 (数年に1回) ○臨時点検・・・ 地震・台風・大雨等の発生時。衝突等の事故の発生時 (状況の把握・対策の要否等) 〇緊急点検・・・ 構造的な変状による事故あるいは事故には至らないが著しい変状が 発生した場合。他にも同様に部位部材等で発生する可能性が考えら れる場合に実施する。

「劣化の過程」と「兆候」を見逃さない!

(21)

(2)目視点検のポイント1

外壁に発生したエフロレッセンス

どこからか雨水が浸入して発生か

タイル壁面に発生したひび割れ

タイル面が剥離しタイルのみが割

れた場合や躯体のクラックに影響

されてひび割れが起こった場合な

ど、いろいろなケースが考えられる。

場所や範囲などを記録

(22)

タイルの浮き

タイル裏への浸水が凍

結・融解により、タイル

の浮きが促進される原

因となる。

(2)目視点検のポイント2

開口部の隅に発生した

タイルのひび割れ。

(23)

(2)目視点検のポイント

3

タイルの剥がれ、浮き、

ふくれ等がないか確認

する。

この写真では、壁面2

枚のタイルの剥がれが

確認できる。

(24)

(2)目視点検のポイント4

壁面のひび割れ、汚れ等を確認す

る。

内部鉄筋にまで達していると、鉄筋

の腐食を引き起こし、建物の耐久性

が著しく低下する原因となる。

(ひび割れの長さや幅、深さに注意)

この写真では、モルタルの剥がれ、

鉄筋の露出と錆が確認できる。

この写真は、屋上パラペット部分の

亀裂が確認できる。

(25)

(3)クラックスケールによるひび割れの計測

一般的に

ヘアークラック:幅0.2~0.3㎜以下

構 造クラック:幅0.3㎜以上

深さ5㎜以上

経時的な変化を知る

(26)

5.外壁の点検スケジュール イメージ

植込等

建物

1 2 道路等 道路等 落下により歩行者等に危害を 落下により歩行者等に危害を

災害危険度の大きい壁面の概念図

(27)

6.予備調査から診断Ⅱの選定のポイント

・直径30cm以上のまとまったタイル又はモルタルの剥離箇所が

1箇所以上存在する場合

・ひび割れが、壁面全体に発生しているか、局所的にひび割れが

大きいかまたは集中している箇所が2箇所以上存在する場合

・ふくれが1箇所以上存在する場合

・部分診断等により探査の結果、浮きの面積が直径50cm以上

の箇所が1箇所以上存在する場合

・その他、異常が認められる場合で、タイル又はモルタルの剥離

による災害防止の観点より、診断レベルⅡを実施すべきと判断

された場合

(28)

7.主な劣化診断法の特徴と長所・短所

(1)外観目視法

診断者が肉眼又は双眼鏡等を使用して調査する方法。仮設や

特別な機材が必要ない、また広い範囲のデータを収集できる。

外見上異常のある箇所以外(内部の浮き等)は発見できない。

(2)打診法

診断者がテストハンマー等で外壁をたたき、その音で異常な

箇所を調べる。一番信頼できる診断法と考えられているが、

外壁を全面打診するには

足場やゴンドラの仮設が必要に

なる。

(29)

(3)反発法

シュミットハンマー等を用いて衝撃を与え、返ってきた衝

撃の強さを測ることでコンクリート等の強度を測定する方

法。強度を数値として示すのには有効であるが、

ピンポイ

ントでの劣化箇所の特定は不向

測定箇所の選定

(1) 平滑な型枠面で水平測定を原則

(2) 厚10cm以下の構造物は避ける。

(3) 隅角部より3cm以上内側

(4) モルタル仕上げ面は避ける。

(5) コンクリート表面に湿りのあるときは

避けること。

測定方法

測定値はばらつきがある上に異常な値を

示す箇所もあるので、統計的に信頼のお

ける平均値を求めるために20点の測定

値の算術平均を取る。

(30)

適用限界

適用できない場合

・雨天又は雲天で日中の気温較差が少ない、風の強い日

・軒裏、出隅、入隅、庇などの突起部位、樹木、雨樋、

日蔭になる部分、凹凸の激しい部分

・空気層(浮き代)がない、反射率の高い材質、障害物

(4)赤外線装置法

剥離している箇所と健全な箇所との温度差を赤外線装置に

より測定する方法。足場等が必要ない、広範囲のデータ収集

が可能、また測定結果を記録・保存できるが、

天候等に影響

を受けやすい。⇒適用限界

(31)

誤検知を生ずる恐れがある場合

・光沢や凹凸のあるタイル、複数色のタイル、深目地貼

・タイル下地モルタルが厚い、外壁の一部の汚れ

(32)

8.点検

→診断→リフォーム→のフロー

維持管理

診断

リフォーム

日 常 点 検 定 期 点 検 法 定 点 検 点 検 結 果 評 価 判定 診 断 の 要 否 診 断 計 画 の 立 案 診 断 の 実 施 評 価 判定 リ フ ォ ー ム 要 否 リ フ ォ ー ム 企 画 リ フ ォ ー ム 計 画 の 立 案 リ フ ォ ー ム 実 施 木村宏 編著 入門ビルディングリフォーム 36Pより引用作成

全てが点検から始まる!

(33)

9.診断方法の事例

区分 1次診断 2次診断 3次診断 目的 概要調査 1次診断を受け、より詳 細に 1次、2次診断を受け、 より高精度に 診断者 一般技術者、入居者等 保守管理者 建物所有者 保守管理者 施工会社やメーカーの 技術者等 高度の専門技術者、 メーカーの専門技術者 等 方法 視覚、聴覚、触覚 簡易計器(スケールそ の他) 計測機器(非破壊検査 等) 高度の測定機 サンプル採取、実験室 等へ持ち込み(破壊検 査) 評価例 健全、放置可、調査を 要す(劣化度を観察) 軽度、中度、重度等 (診断個所を指定) 軽度、中度、重度等 (補修の要否を指定) 1次診断前に予備調査として、建物所有者、保守管理者への問診と目視調査が行 われ、診断の方法等が決定される。

(34)

10.診断のステップとその概要

(注1)設備機器を対象とした診断機器を含む (注2)診:診断者の略 1次診断 2次診断 3次診断 診 方法 対象例 診 方法 対象例 診 方法 対象例 一 般 技 術 者 ・ 保 守 管 理 者 ・ 建 物 所 有 者 等 問診 目視 聴覚 触覚 簡易計器 スケール スコープ ハンマー ゲージ テスター 試薬等 (主として 外面) 漏水痕跡 変色・退色 膨れ 割れ 剥離 発錆等 保 守 管 理 者 ・ 施 工 者 メ ー カ ー 等 超音波肉 厚測定機 水質分析 X線解析 内視鏡 差圧計 赤外線温 度色映像 埋設管探 知器 残存肉厚 pH測定 腐食速度 汚れ、詰ま り錆、ライニ ング剥離 フィルタ詰 まり タイル・モ ルタルの 浮き・剥離 漏水等 専 門 技 術 者 はつり 周波数分 析 渦流探傷 サンプリ ング 放射線透 過 超音波探 傷 コンクリート 中性化深さ 騒音、振動 傷、割れ 錆 詰まり 残存肉厚 鉄筋、配管 配列 コンクリート 強度 配管、腐食、 肉厚等

(35)

日常的に行うことが望ましい外壁面の点検とは

屋上・屋根の点検(亀裂・たわみ、排水溝・ルーフドレイ

ンの土砂等堆積、草木等)

外壁面の確認

・ひび割れの有無

・仕上げ材(タイル等)の浮き、剥がれ、凹み(沈み)

・錆の有無、鉄筋の露出

雨水の壁内部への浸入の有無(その痕跡)

外部の開口部周りからの雨水の浸入の有無(その痕跡)

(外部の建具周りのシーリング剤の確認)

外壁に取り付けてある機器・機材等の周囲の確認

(汚損・錆の発生・破損・断線・照明器具の不点灯等)

(36)

本日のまとめ

「ないない尽くし」の環境で、どうやり繰り(

管理

するのか?

保全対象の

主要部位

を特定する(絞る)。

例:建築・・・屋根・外壁(仕上げ)

重要度・優先度

(緊急度)を決める。

更新周期

を決める(修繕計画の確認)

※計画的な実施(定期修繕との整合)

※道連工事の排除

(37)

「建築物の劣化と点検のポイント」

(事例編)

公益社団法人

全国ビルメンテナンス協会

専門委員 古橋 秀夫

(38)

質問①

写真は検査時築21年のマンションの外壁。

共用廊下の天井部分で、エキスパンションジョイントと梁との取り合い部から エフロレッセンスが発生し、タイル表面に垂れ落ちている。

(39)

A:指摘のみ …建物の機能・性能上の問題に結び付かない軽微な不具合。清掃など日常の維持管 理で対応できるレベルの問題。 B:要経過観察 …兆候はあっても緊急の補修や原因についての詳細調査を要しないレベルの不具合。 想定内の経年劣化も含む。居住者自身による日常の点検や応急補修で事足りるレベ ル。 C:要補修 …大規模修繕工事を待たずに補修すべきレベルの不具合。原因を特定できる場合の 本格的な補修と特定できない場合の応急補修に分かれる。応急補修の場合は将来の 本格的な補修のため、原因についての詳細調査を伴う。 D:要詳細調査 …原因を特定しないとただ補修しても再補修を繰り返す恐れが高いレベルの不具合。 構造上の問題に結び付く不具合も含む。 E:要更新もしくは要補強・要改修 …補修では間に合わず、また日常の維持管理で点検・交換できるような部位ではない 不具合。部位丸ごとの更新をはじめ、補強や改修、建て替えを検討する必要があるレ ベルの不具合。 写真で見られる現象について補修の必要性を判断する場合、下記のA~Eのうち最 も適当なのはどれか。

(40)

解答

D:要詳細調査

エキスパンションジョイントとは、構造的に独立した住棟同士の接合部。一方の棟だ けに固定し、もう一方はフリーにする。また、エフロレッセンスとは、コンクリートやモル タル内のアルカリ成分である炭酸カルシウムが水に溶けて表面に浮き出たもの。 写真に見えるエフロレッセンスは上階からの漏水が原因で発生した可能性がある。 エフロレッセンスを拭き取って隙間をシールするだけでは、原因を除去したことにはな らない。すぐ補修するのではなく、その前に原因を特定する詳細調査が必要になる。 検査時築21年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

(41)

A~Eの定義

:補修の必要性の度合い

A:指摘のみ (1)雑な施工だが、建物の機能・性能上の問題はない (2)美観上の問題のみ (2)は塗装のみが剥がれた場合などで、補修するかは依頼者の判断次第 (3)使用者(居住者)の使い方の問題 (4)管理者の維持管理上の問題 (3)と(4)は、バルコニーの排水溝のゴミ詰まりや共用廊下の照明切れなど、 居住者や管理組合(管理者)が日常の清掃や点検をきちんとしていれば済む B:要経過観察 (1)兆候はあるが緊急の補修や詳細調査までは必要ない 目地モルタルだけがひび割れ、構造上や防水上の問題はないケースなど (2)想定定済みの経年劣化(検査時点の長期修繕計画で対応可能) (3)所有者、居住者自身による日常の点検や応急補修で対応できる (3)は住戸内の壁クロスの小さな傷や剥がれなど、長期修繕計画や大規模修繕工事に 組み込む必要がないレベルであるという意味。ただし、症状の進行が早い場合は共用 部分である躯体の構造や防水上の問題に起因している可能性もあるので、「要経過観 察」としている。経過観察の結果症状の異常な進行がある場合は、CないしDに進む。

(42)

C:要補修 (1)(応急的でも)大規模修繕工事を待たずに補修すべき 通常の補修は不具合や劣化の原因を建物検査で特定できた場合に行う。そうでな いとすぐに再補修となる可能性があるからだ。ただし、原因特定に詳細調査(D)が 必要になる場合には、その調査結果を待っていると症状が進行するのは明らかな ので応急的な補修を行う方がよいケースもある。こうしたケースは「C、D」と表示した。 このCのランク付けをした場合、同社の検査報告書では参考補修方法を示している。 ここではその代表的な例の概要を一部で紹介している。 D:要詳細調査 (1)原因を特定しないと補修しても再補修を繰り返す恐れがある 雨漏り(漏水)や結露、構造上主要な部分のひび割れなどが該当。目視中心の建物 検査では、その現象を確認することはできても原因を特定できるとは限らない。漏水 については水質検査でそれが雨水か水道水かを見分けたうえ、雨水の場合は浸入 想定箇所に散水する漏水検査を行って浸入経路を特定する。 (2)構造上の問題がある 躯体の柱や梁、耐力壁など構造上主要な部分に見逃すことのできない現象がある 場合には、建設時の構造計算書が妥当なものであるかを診断する「構造計算書診 断」を詳細調査と並行して行い、その結果問題があれば、耐震補強(E)を提案する ことになる。

(43)

E:要更新もしくは要補強・要改修 初期の状態に戻す修繕や補修では間に合わず、別の対応が必要になるランク。 (1)更新が必要 鉄部の腐食が進んで使用上危険な状態に陥った外部階段、早期劣化した屋上防水 層、地震で破壊されたエキスパンションジョイント(構造的に独立した住棟同士の接 合部。一方の棟だけに固定し、もう一方はフリーにする)など、補修では間に合わず、 また日常の維持管理で点検・交換できるような部位ではないケースが該当する。 (2)補強ないし改修が必要 Dの詳細調査の結果を受けた耐震補強、建物の外壁全体に断熱材を増し張りする 断熱改修など、長期修繕計画の見直しが前提となるケース。 (3)建て替えを検討したほうが経済的 建物全体の機能回復が困難なレベルに達し、補強や改修工事を行うよりも建て替え るほうが経済合理性のある場合。維持管理を放棄したまま年数を経たマンションなど が該当するが、そうしたマンションでは管理組合が機能せず、資金調達も意思決定 もできない状態に陥っていることが少なくない。

(44)

質問②

上の写真で見られる現象について補修の必要性を判断する場合、下 記のA~Eのうち最も適当なのはどれか。 A:指摘のみ B:要経過観察 C:要補修 D:要詳細調査 検査時築21年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

(45)

解答

D:要詳細調査

外壁のタイル目地がひび割れてエフロレッセンスが発生している。 タイルを接着したモルタルから発生しているのであれば、応急的な補修で 済むが、躯体コンクリートがひび割れて浸入した水分によって発生している 可能性もあるので、補修の前に詳細調査を行う必要がある。 検査時築21年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

(46)

質問③

検査時築43年のマンション。上の写真で見られる現象について補修の必要性 を判断する場合、下記のA~Eのうち最も適当なのはどれか。 A:指摘のみ B:要経過観察 C:要補修 D:要詳細調査 検査時築43年のマンション(写真:住宅検査保証協会)

(47)

解答 E

:要更新もしくは要補強・要改修

壁面のタイルが大量に剥がれ落ちている。全面張り替えもあり得るが、 検査では構造躯体の状況から建て替えも検討するように指摘した。

(48)

質問④

検査時築10年のマンションの外壁。上の写真で見られる現象について補修 の必要性を判断する場合、下記のA~Eのうち最も適当なのはどれか。 A:指摘のみ B:要経過観察 C:要補修 D:要詳細調査 検査時築10年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

(49)

解答 E

:要更新もしくは要補強・要改修

「深目地」と呼ぶ陰影のあるタイル仕上げの外壁で一部のタイルが剥離し ていた。剥落面には接着剤がほとんど確認できず、目地シールもない。 タイルを引っ掛けるアゴ自体も浅く、他のタイルが剥落する危険もある。 詳細調査のうえ、仕上げ面の変更も含めた補強・改修を検討した方がよ い。 検査時築10年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

(50)

質問⑤

検査時築6年のマンション。上の写真で見られる現象について補修の必要 性を判断する場合、下記のA~Eのうち最も適当なのはどれか。 A:指摘のみ B:要経過観察 C:要補修 D:要詳細調査 検査時築6年のマンション(写真:住宅検査保証協会)

(51)

解答 C

:要補修

タイル目地に細かい穴(ピンホール)が空いている。 この程度の穴でも雨水の浸入箇所になる。

シール処理か目地の再施工が必要になる。

(52)

質問⑥

検査時築21年のマンションの外壁。上の写真で見られる現象について補修 の必要性を判断する場合、下記のA~Eのうち最も適当なのはどれか。 A:指摘のみ B:要経過観察 C:要補修 D:要詳細調査 検査時築21年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

(53)

解答 C

:要補修

大規模修繕工事では足場を固定するために躯体の一部に穴を開ける。 写真ではその穴が未補修のまま放置されている。 充填材処理のうえ、タイルを張り直す。充填材はエポキシ樹脂、ポリマーセメ ント、高炉スラグ系超微粒子セメントなどがある。 検査時築21年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

(54)

質問⑦

検査時築5年のマンションの共用廊下の見上げ。上の写真で見られる現象につ いて補修の必要性を判断する場合、下記のA~Eのうち最も適当なのはどれか。 A:指摘のみ B:要経過観察 C:要補修 D:要詳細調査 検査時築5年のマンションの共用廊下の見上げ(写真:住宅検査保証協会)

(55)

解答 C

:要補修

補修で十分。共用廊下の目隠し壁の基部にエフロレッセンスが発生 している。 周囲にひび割れなどの現象は見当たらないので、シールを打ち替え る補修で足りる。 シールとは、接合部や目地の隙間を埋める材料。防水性や気密性な 検査時築5年のマンションの共用廊下の見上げ(写真:住宅検査保証協会)

(56)

劣化症状・経過年数 調 査 建物概要調査(経歴・立地条件等) 外観目視調査(劣化状況) 詳細調査(劣化度・劣化原因) 診 断 補 修 設 計 劣化度の判定 劣化原因の特定 アルカリ骨材反応 酸性土壌・化学薬品等の腐食 物質による劣化 耐震性・ 構造耐力に関する調査の 必要性 補修の要否 補修工法の選定 補 修 工 事 設計調査 設計図書作成 施工計画書作成 施工調査 設計図書との整合 工事実施 経過観察 終了 別途 調査 別途 調査 設計 変更 設計者 と協議 可能性なし 必要性なし 要 不要 可能性あり 必要性あり 整合していない 整合している

(57)

調査費用の事例

外部足場費(高さ20m・外壁面積1,000㎡) ¥1,3000,000.- 外壁打診調査費 ¥800,000.- 現場経費 ¥200,000.- 諸経費 ¥200,000.- 合計 ¥2,300,000.- 建築物の条件が確定されていませんので、「会社案内」等の事例から参考価格として例示しています。

A社の例

・外壁全面打診見積(外部に足場を組み打診法による検査) ・赤外線劣化診断見積 赤外線劣化診断作業費(外壁面積1,000㎡) ¥200,000.- 画像解析費 ¥150,000.- 損傷図面作製費 ¥100,000.- 諸経費 ¥50,000.-

(58)

調査費用の事例

外壁面積2,000㎡ ¥500,000.-前後 外壁面積3,000㎡ ¥750,000.-前後 建築物の条件が確定されていませんので、「会社案内」等の事例から参考価格として例示しています。

B社の例

赤外線劣化診断見積(詳細不明) 外壁面積1,000㎡ ¥300,000.-前後 外壁面積2,000㎡ ¥500,000.-前後 外壁面積3,000㎡ ¥750,000.-前後

C社の例

打診法・ロープブランコ方式

参照

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