ネットワーク設定の変更にあたっては、ESX ホスト、ServerView Appliance (以下、SVA)、および Virtual Storage Appliance (以下、VSA) の 3 つの OS の間でネットワークの整合性を維持しながら変更手順を進める必要があります。 その手順を以下に示します。
1. 概要
VSX960 のネットワーク設定変更には、以下の 6 つの IP アドレスの変更が含まれます。 ESX ホストの IP アドレス SVA の IP アドレス VSA の IP アドレス Gateway ホストの IP アドレス Name server の IP アドレス MMB の IP アドレス 設定変更される可能性があるその他のネット関連の変数は次のとおりです。 ESX ホストのホスト名 SVA のホスト名 VSA のホスト名 本文書の手順中で、実行するコマンドを示すとき、以下のいずれかの記号で、どのコンソールで実行するかを示します。 “ESX>” ESX ホストで実行するコマンドを示します。“SVA>” ServerView Appliance で実行するコマンドを示します。 “VSA>” Virtual Storage Appliance で実行するコマンドを示します。 本文書の手順には、ESX 上のファイルを編集することが含まれます。
手順の実行者が編集ユーティリティ(vi など)の操作を熟知していることが前提となります。
この文書では share、iSCSI ターゲット、CIFS LUN のような ONTAP リソースの移行は含まれません。ONTAP リソースの移行はそれぞれの ONTAP で、リソース構成内のホストのアクセスリストはもとより、ONTAP にアクセスする外部クライアントのリソースについても変更する必要 があることにご注意ください。
PRIMERGY VSX960
※
ネットワーク設定変更手順
本稿では、VSX960
※のネットワーク設定(IP アドレスなど)の変更手順を示します。
(※ VSX960 という名称はサーバブレードとストレージブレードを組み合わせたソリューションの総称を示しています) 富士通株式会社 2011 年 6 月2. 移行手順
2.1 設定値の準備 以下のパラメータについて、変更後の設定値を用意してください。 - ESX ホストの IP アドレス、ネットワークマスク、ホスト名 - SVA の IP アドレス、ネットワークマスク、ホスト名 - VSA の IP アドレス、ネットワークマスク、ホスト名 - ゲートウェーIP アドレス - Name server の IP アドレス - MMB の IP アドレス 2.2 構成ファイルの編集1. 管理者ユーザ名 root で ESX Host にログインしてください。 手動で VSX960 構成ファイルを変更します。 2. /svim ディレクトリに移動してください。 # chdir /svim 3. serbatchstart.xml ファイルのバックアップを作成してください。 # cp serbatchstart.xml serbatchstart.xml.backup 4. serbatchstart.xml ファイルを(vi などのユーティリティを使用して)編集し、新しいネットワーク環境用にパラメータを変更してください。 この XML ファイルは大きいファイルですが、”ipaddr” の文字列を検索することによって、編集箇所を見つけやすくなります。 重要:
VSX960 インストールの後に ESX サーバの ESX パスワードを変えた場合は、serbatchstart.xml ファイル内の構成パスワードも変え てください。そうしなければ構成スクリプトは正しく機能しません。 serbatchstart.xml の変更例: 以下の IP アドレスに変更する例を示します。 - ESX ホストの IP アドレス、ネットワークマスク、ホスト名: 172.19.144.22、255.255.255.0、BX920-S2-vsa7 - SVA の IP アドレス、ネットワークマスク、ホスト名: 172.19.144.23、255.255.255.0、svahost4 - VSA の IP アドレス、ネットワークマスク、ホスト名: 172.19.144.24、255.255.255.0、vsahost7 - MMB の IP アドレス 172.19.144.20 - ゲートウェイ IP アドレス: 172.19.144.1 - Name server の IP アドレス: 172.19.128.3 <networking>セクションの場所を検索してください。ESX ホストの情報を変更します: ---<networking> <addvmportgroup>true</addvmportgroup> <dns> <dhcp_resolv>false</dhcp_resolv> <dhcp_hostname>false</dhcp_hostname> <hostname> BX920-S2-vsa7</hostname> </dns> <addvmportgroup>true</addvmportgroup> <vlanid>0</vlanid> <interfaces><interface><device>vmnic0</device> <bootproto>static</bootproto> <ipaddr>172.19.144.22</ipaddr> <netmask>255.255.255.0</netmask> <gateway>172.19.144.1</gateway> <nameserver>172.19.128.3</nameserver> </interface>
SVA パラメータと VSA パラメータ(<svappliance>と<vsaappliance>を検索する)に関しても同じ手順を用いて変更してください。変更を 元に戻す場合は、元の XML ファイルをコピーしてください。 <svappliance>セクションの場所を検索してください。SVA の情報を変更します: ---<svappliance> <hostname>svahost4</hostname> <vmname>vm7</vmname> <mmb_ipaddr>172.19.144.20</mmb_ipaddr> <users> <user><encrypted>false</encrypted> <user_password>x1x1x1x1x</user_password> </user> </users> <licence1></licence1> <onvmfs>storage1</onvmfs> <interfaces><interface><device>eth0</device> <ipaddr>172.19.144.23</ipaddr> <netmask>255.255.255.0</netmask> <gateway>172.19.144.1</gateway> <nameserver>172.19.128.3</nameserver> </interface> </interfaces> <accepted>true</accepted> </svappliance>
---ホスト名<hostname>、VM 名<vmname>、MMB の IP アドレス<mmb_ipaddr>、IP アドレス<ipaddr>、ネットワークマスク<netmask>、 ゲートウェイアドレス<gateway>、および DNS サーバ<nameserver>のフィールドを変更することができます。それ以外は変更しない でください。 <vsappliance>セクションの場所を検索してください。Data ONTAP-v の情報を変更します: .---<vsappliance> <hostname>vsahost7</hostname> <vmname>vm7</vmname> <poolname>vm7</poolname> <LicKey1/> <users> <user><encrypted>false</encrypted> <user_password>y1y1y1y1</user_password> </user> </users> <poolvmfs>storage1</poolvmfs> <nvpoolvmfs>storage1</nvpoolvmfs> <licence1>aaaa-bbbb-cccc-dddd-eeee-ffff</licence1> <interfaces><interface><device>eth0</device> <ipaddr>172.19.144.24</ipaddr> <netmask>255.255.255.0</netmask> <gateway>172.19.144.1</gateway> <nameserver>172.19.128.3</nameserver> </interface> </interfaces> <accepted>true</accepted> </vsappliance> .---ホスト名<hostname>、IP アドレス<ipaddr>、ネットワークマスク<netmask>、ゲートウェイアドレス<gateway>、および DNS サーバ <nameserver>のフィールドを変更することができます。それ以外は変更しないでください。 変更後の serbatchstart.xml ファイルを保存します。
2.3 ESX ホストに接続
iRMC video redirection を介して ESX ホストに接続し、root でログインします。(!セキュアシェル(SSH)セッションを使用しないでください!) Remote Management で ESX に接続し、root でログインします。
ESX に接続するには、Internet Explorer から 「http://(マネジメントブレードのアドレス)」 でアクセスし、Console のアイコンをクリックします。
2.4 設定ツールによるアドレス変更
“console-setup”という名前の設定ツールを使って、実際のアドレスを変更します。 初期メニューはエントリーを示しています:
.---1. Show Current vswif 2. Show Network Adapters 3. Show vSwitch/vDS Information 4. Delete vswif
5. Configure Service Console Network Interface 6. Exit
---メニュー項目“5. Configure Service Console Network Interface”を入力してください。サブメニュー5 が開きます。
---5.1 vswif ID [0]
5.2 Name of service port group [Service Console] 5.3 vSwitch for service console [0]
5.4 IP Address [172.19.144.22] 5.5 Subnet mask [255.255.255.0] 5.6 Default gateway [172.19.144.1] 5.7 VLAN ID [0]
5.8 vmnic to use with service console [vmnic0] 5.9 Save Changes
5.10 Return to Menu
---4~6 と 8 に値を入力し、9 番のコマンドを実行します。値が妥当でない場合には、警告が表示されます。
---Enter your choice (1-10): 9 Invalid ip address.
Invalid subnet mask.
---値が正しい場合は、値を保存した後に ESX のネットワークが初期化され、新しい IP アドレスの設定が構成されアクティブになります。 “consol-setup”または、ESX CLI コマンドを使用することで、その結果を確認することができます。:
重要: “consol-setup”ユーティリティメニュー5(Configure Service Console Network Interface)は IP、ネットマスク、およびゲートウェ イだけでなく、IP の割り当てを行う vmnic(5.8)の設定も必要とします。 どの vmnic かが分からない場合は、vmnic0 での設定を 試みてください。 esxcfg-nics –l コマンドは、vmnics がどこに接続されているかを表示します。 すべてのパラメータが設定されている場合、プログラムは(5.9)の変更の保存をするときに、ネットワークの再設定を 初期化します。もし幾つかのパラメータが存在しない場合、何も実行されません。 ゲートウェイアドレスは、ping を使用してテストすることができます。 esxcfg-vswitch -l と esxcfg-vswif -l コマンドを使用して設定を確認できます。 ESX Host をリブートする必要はありません。正しくネットワークに接続されている場合、現在設定されているルートを確認するため に、”root-N”コマンドを使用してデフォルトゲートウェイを表示してください。
2.5 ネットワーク設定を再構成
SVA と VSA のネットワーク構成を再設定します。この手順の中で、SVA と VSA はシャットダウンされます。 2.5.1 SVA 設定の修復 1. スクリプト sva_recovery を呼び出し、現在の SVA のネットワークパラメータを変更してください。 (必要ならば、SVOM のサーバーリストを取り替えてください。) スクリプト sva_recovery の引数は、マネージメントブレード(MMB)のアドレスが変更されたかどうかによって異なります。以下のようにし てください。 MMB アドレスが変更されている場合、以下のように入力してスクリプト sva_recovery を呼び出します。 ESX> sva_recovery - -OverwriteSVABackup
MMB アドレスが変更されていない場合は、引数なしでスクリプト sva_recovery を呼び出します。 ESX> sva_recovery
2. SVA にログインして、dvadmin ユーティリティを構成します。 ESX> ssh root@<SVA の IP アドレス>
SVA> dvadmin --save -s <esx ip> -u root -p <root esx password> exit 次の vsa_recovery スクリプトを実行するために、dvadmin 構成が必要です。 2.5.2 VSA 設定の修復
1. スクリプトが終了した後、スクリプト vsa_recovery を呼び出します。引数は必要ありません。 ESX> vsa_recovery
2. SVA にログオンし、“dvadmin”ツールを使用して VSA を開始します。 ESX> ssh root@<SVA の IP アドレス>
SVA> dvadfdmin vm start <VSA の vm 名>
3. SVA dvadmin ユーティリティから、VSA にコンソールを開きます。 SVA> dvadmin vm console connect <VSA の vm 名>
4. 「Selection (1-8)?」のプロンプトが出るまで待ちます。以下のような画面となります。 ここでは「5」を入力します。
5. 「*>」のプロンプトが出るまで待ちます。以下のような画面となります。 ここでは「disk show -a」を入力します。
「Local System Id:」の箇所に表示される数字①と、一覧のカッコ内部に表示される数字②を用いて、次に以下のコマンドを入力します。 *> disk reassign –s ② –d ①
「Would you like to continue (y/n)?」には「y」を入力します。
6. もう一度「disk show -a」を入力し、②部分の設定が正しく書き換わっていることを確認します。
7. 「halt」を入力します。「Please press any key to reboot.」が表示されたら[Enter]キーを押します。
8. 「password:」が表示されたら、メニューの「Extras」-「Virtual Keyboard…」を実行して仮想キーボードを表示します。ここで、「Ctrl」-「]」-「X」の順にクリックします。
② ①
9. 通常モードで VSA を再起動し、新しい IP アドレスと新しいゲートウェイの IP アドレスを設定します。 IP を設定する場合は、次のコマンドを使用してください:
ifconfig vif0 <新しい IP アドレス> netmask 255.255.255.0 broadcast <ブロードキャストアドレス> up ゲートウェイを設定する場合は、次のコマンドを使用してください:
route add default <新しいゲートウェイの IP アドレス> 1
"vif0" インターフェイスが VSA で定義されていない場合は、vif0 の代わりに、VSA のアドレスへのインターフェイスを"ea0" に設定するこ とができます。
---- 例( vsx960
1.0)---# ifconfig vif0 172.19.144.24 netmask 255.255.255.0 broadcast 172.19.144.24 up
# route add default 172.19.144.1 1
# verify command # ifconfig -a
10. ESX コンソールから、以下のコマンドを入力します。 ESX> cd /opt/fujitsu/ServerviewSuite/Rollout ESX> python assign_nics.py /svim
以下のエラーメッセージが何度か表示されるかもしれませんが、これらのメッセージは無視して構いません。 Failed to add uplink vmnic0 to vswitch vSwitch0, Error: Uplink already exists: vmnic0
For the 4 interfaces.
11. 接続検証: ESX から、SVA に ping を実行します。応答がある場合、SVAにログインし、dvadmin vm を呼び出します。ESX から ping を 実行し、Data ONTAP-v が動作しているか確認します。
DATA ONTAP-v が動作している場合、コンソールまたは SSH 経由で ONTAP にログインし、変更された ONTAP のパラメータを構成し てください。これらの変更はこのドキュメントの範囲を超えています。
2.5.3 SNMP トラップ送信先の変更
VSA で SNMP トラップを正しい送信先に転送するために、ONTAP-v コマンドラインで下記のコマンドを使用してください。 ESX> ssh root@<VSA の IP アドレス>
VSA>snmp traphost delete <SVA の以前の IP アドレス>
VSA>snmp traphost add <SVA の新しい IP アドレス>
アドレスは、VSA の/etc/registry ファイルに設定されます。 例:
rdfile /etc/registry ….
3. トラブルシューティング
1. 回復スクリプトに関するログファイル
sva_recovery と vsa_recovery は、/opt/fujitsu/ServerViewSuite/Rollout/rollout.log に詳細なログを出力します。 回復スクリプトの進展を監視する場合は、tail -f rollout.log を実行します。
2. 検証: Ifconfig –a か、または ping をそれぞれのマシン上で使用し、必要な IP が正しく設定されたことを確かめてください。 常にトップダウンで実施してください。: 最初に ESX ホスト、SVA、それから VSA という順です。
ゲートウェイの構成を確認するには、Netstat –rn を使用してください。
3. vSphere Client を用いて、vm appliances state ( online , offline )をモニターする方法が役に立ちます。 4. VSA の状態確認:
もし VSA appliance が正常に開始されていない場合、状態を参照するために “dvadmin vm log” 機能を使用してください。 データ ディスクを再割り当てすることを忘れないでください。
5. SNMP トラップ
ServerView のログにエラーメッセージが表示された場合、VSA で正しく SNMP trap アドレスを設定してください。 詳細はリファレンスを参考にしてください。