連続繊維シー トとコンク リー ト界面の付着性状に関する実験的研究
磯
雅人
* 要 約:
本研究は,連
続繊維シー トによ り袖壁付きRC柱
を “簡易"か
つ “低コス ト"で
耐震補強する工法の開発を目的とした ものであ り,す
でにその構造性能については前回報告を行つた。 しか し,そ
のせん断抵抗機構はいまだ未解決であ り,不
明な点 も多 く残されているのが現状である。そ こで本研究では,連
続繊維 シー トによ りせん断補強された袖壁付きRC
柱のせん断抵抗機構を解明するため,連
続繊維 シー トとコンクリー ト界面の付着試験 を実施 した。本報告では,そ
の試験 結果な らび に付着強度の評価方法について報告する。供試体は,炭
素繊維 シー トを接着 した断面 100(mm)角,長
さ 6001mm),中
央 にノッチを設 けたコンクリー ト供試体であり,両
端に引張力を加える構造である。実験の要因と水準は,炭素繊 維 シー トの積層枚数(1∼3枚)と定着長さ(30,60,100,200,300mm)で ある。本研究で得 られた知見を以下に示す。 ・付着強度はシー ト引張則性の増加とともに増大する。 ・シー トの引張剛性を共通にして,定
着長さを変動させた場合,付
着強度は定着長さ100mm程
度以上で頭打ちとなる。 さらに,付
着強度推定式を導出し,本
提案式で付着強度実験値を精度良く評価ができることを示す。 キヮード:
連続繊維 シー ト,付
着強度,剥
離,最
大付着応力度,引張剛性,有
効付着長さ U.D,C624.012.45 目 次 1.はじめに 2.実験概要3実
験結果1.は
じめ に 筆 者 らは,既
存 の袖 壁 付 きRC柱
に連続 繊 維 シー ト をエ ポ キ シ樹 脂 に よ り接 着 して 補 強 す る工 法 につ い て 提 案 を行 な い,す
で にそ の構 造 性 能 と工 法 の有 効 性 につ いて報 告 を行 った 。1)2)し
か し,そ
のせ ん 断 抵 抗 機 構 に は不 明 な 点 も多 く,そ
の解 明が 急 が れ て いるのが現 状 で ある。 こ こで は,連
続 繊 維 シー ト補 強 され た袖 壁 付 きRC
柱 の 破 壊 性 状 が,
“シー トの剥 離"に
よ り最 大 耐 力 が 決 定1)2)し
て ぃ る こ とか ら,そ
のせ ん断抵抗 機 構 を解 明す る には,
“シー トとコ ン ク リー ト間 の付 着 挙 動"の
把 握 が 最 重 要 で あ る とい う視 点 か ら,本
研 究 で は,コ
ン ク リー ト表 面 に炭 素繊 維 ンー トを接 着 東急建設技術研究所報No.27 4.付着強度 (Pbu)の評価5ま
とめ した供 試 体 の両 引 き試 験 に よ り,そ
の挙 動 を明 らか にす る と同時 に,付
着 強 度 の評 価 を行 う こ と を 目的 と した。2.実
験 概 要 表1に供 試 体 一 覧,図
1に供 試体 の一例(CF-1-100),表
2∼4に
使 用 材 料 の 力学 的性 質 を示 す 。 供 試体 の形 状 は,断
面100mm角
,長
さ600mm,両
側 面 の 中央 で 材 軸 に直 角 にひ び割 れ を誘 発 す るた め の ノ ッチ (深 さ:20mm)を
設 けて い る 。 また 配 筋 さ れ る鉄 筋 と シー トとの相 互作 用 の影 響 を取 入 れ るた め断面 中心 には,丸
鋼06(端
部 :180° フ ッ ク型) を1本
配 置 した 。供 試 体 の 上 下 面 に ノ ッチ 位 置 を跨 =仕 側面にシート補強した試験体 *2:Σ tEf ntEf 炭素繊維補強ホ3:付 着強度― 「シート4接着画のうち1接着面が端部 まで剥離した時点における載荷引張力」 表
1
供 試体 お よび実 験結果 一 覧 ■共通要因■■試験体名称■ 試験体断面
: C略
1坦00(1)試験対象 BXDXL=100(mm)x ll)(l(mm)×600(mm) (1)(2)(3) RC:無 補強CF
コンクリートの配合:21-15-20-H (2)シ
ート積層枚数(枚) 鉄筋:1-φ6(SR235) (3)定
着長さ(mm) ′ッチ部割裂強度 付着強度43 (kN) 証 駁 杯 名 シート厚さ t(mm) ヤンク・係数 EXN/mm2) 積層枚数 n(枚) Σt 定着長さ Llmm) 120 120 1′ ツチ RC 148 1シート 3_8と 30 148 CF-1-30 60 151 187 1疋 CF-1-60 115 60 175 258 1シ ート CF-3-60'1 338 1シー 3.84 100 16.1 CF-1-1004i 154 340 1シー 384 200 CF-1-200・ 1 139 335 1ズ ビ CF-1-300 768 136 482 1シ ート CF-2-300▼ l 115 300 152 521 1シ ート CF―〔ユー3〔,0・1 0167離
30。
m
230X105 (公称値)*建
築研究室訓 宮 彊 度 Fc (N/mm2) l土稲 頭反 (封 械) (N/mm2ぅ 剖 裂 領 反 (封 繊) (N/mm2】 -13-ZU―H 346 243 胸カプレート 1,mm ゲ_ジ長Smrn 表
2
材料特性 (コンクリー ト) fい二
1イ→
鞘
図1
供 試体 の一例 (cF‐1‐100) いでそ の両 側 に,幅
60mmの
炭 素繊 維 シー トが等 し い定着長 さを もって貼付 されて いる。使用 した炭 素繊 維 シー トは,PAN系
の 炭素繊維 シー トで あ り,日
付 量 は300g/m2,シ
_卜
厚 さは0.167mmで
ある。 シー ト 貼付 けは,コ
ンク リー トの表面研 磨,プ
ライマー塗布, エ ポキ シ樹脂 によるシー ト接着 の順序で実施 した。供 試体 両端 の加 カ プ レー トは,M6全
ネ ジ9本
(長さ:100mm,M6は
中央部 に も配置)で
供試体 に定着 され, 張 力が コ ンク リー トに伝達で きる機構 とな って いる。 また,
この定 着治具部分 (加カ プ レー トか らloomm
の範 囲)の
割 裂 に対 処 す るた め にスパ イ ラル 筋 を配 置 し,さ
らに一 部の供試体(No.4,No.5,No.6,No.8,
No.9)で
は試 験部分以外 の破壊 に対処す るため に,両
側 面 に,ノ
ッチ部分 を除 いて シー トによる補強 を施 し た (図1参
照)。 実 験 の要 因 と水 準 は,炭
素 繊 維 シー トの積 層 枚 数 (1∼3枚
),定
着 長 さ(30,60,100,200,300m
m)の
2種
類 で あ る。 積 層枚数 によ る影響 は,定
着 長60mmと
共通 に して積 層枚数 をo枚
,1枚 ,3枚
と変 動 させ たNo.1,No.3,No.4供
試体 によ り,さ
らに定 着 長300mmと
共通 に して積 層枚数 をo枚
,1枚 ,2
枚,3枚
と変動 させ たNon,No,7,No.8,No.9供
試 体 によ り確認す る。一方,定
着長 さ によ る影響 は,積
層枚数 を1枚
と共通 に して定着長 をomm,30mm,60
mm,100mm,200mm,300mmと
変 動 させ たNo.1,N
o.2,No.3,No.5,No.6,No.7供
試 体 によ り,さ
らに 積 層枚数 を3枚
と共通 に して定着長 をomm,60mm,
300mmと
変動 させ たNo.1,No,4,No.9供
試体 によ り 確 認す る。供 試体 数 は,比
較 用 のRC基
準 供試体 も含 め計9体
で あ る。測 定 は,引
張 力,ノ
ッチ部分 の 開 口 変位 〕加 力治 具間の伸 び量,ノ
ッチ位置 の鉄 筋 ひず み, シー トひずみ につ いて行 った。 シー トひずみの測 定 ゲ ー ジ長 さは5mmと
し,ゲ
ー ジ間隔は10mm(シ
ー ト 定着 長:60mm以
下 の供 試体),15mm(シ
ー ト定着 長:loomm以
上 の供試体)と
した。 引張 力 は,供
試 体 の両端 につ いて いる丸 管 を引張 る ことによ り導入 し, 加 力 は,500kNア
ム ス ラー試験機 によ り実施 した。 表3
材料特性 (鉄筋) 表4
材料特性 (炭素繊維 シー ト) x106(N/mm2) 0242 定 着 長OOmm以下I I
定 を 王 さLI ン xl。5(N/mm2) 202 炭素碑雄シート シート精菌部をさけたコンクリートの葛1裂職壇 コンクリート 斜 め翻 梨 ひび翻 れ 1定着長llX mm以J
炭素樹 権 シー ト シートとコンクリート間 の界 面 早1離 の 界面 訓H ①カチ部に樹梨ひび葛1れ 図2
破壊性状 の一例3.実
験 結果 表 1に 実 験 結果 一 覧 を示 す 。3.1
破 壊性状 図2に破壊 性 状 の一例 を示 す 。RC供
試体(No.1)は
, ノ ッチ部の割 裂 によ り終 局 に至 り,そ
の後 は,ひ
び割 れ が 徐 々 に 口開 いて い く性 状 を示 した 。 シー ト定 着 長:60mm以
下 の供試 体(No.2,4)は ,ノ
ッチ部 に割 裂ひび割れ (①)が
発生 し,つ
いで定着 された繊維 シ ー ト部分をさけたひび割れ (②)に
よ り終局に至 った。 一方,シ
ー ト定着長:loomm以
上の供試体 (No.5,6,8,9)の
破壊 過程 は,ま
ず ノ ッチ 部 に割裂 ひび割れ (①),つ
いで材軸 に対 して約45° の斜め割裂ひび割 れ (②)の
発生の順であった。その後,シ
ー トの定着 部の剥離が中央部か ら両端 に向か って進行,ノ
ッチ を 中心 とした4接
着面のうち,一
つの接着面が端部 まで 剥離 (③)し
て終局 に至 った。剥離 した シー ト裏面 を 試験後観察す るとコンク リー ト表層面が付着 してお り, 剥離 はコンク リー ト表層部で生 じていることが観察 さ れた。No.3 CF-1-60, No7 CF-1-300で
は, ノッ チ部の割裂ひび割れ以外 に定着治具先端部分 (加カプ レー トか ら約100mmの
位置)に
も割裂ひび割れが生 じ,No.3は
その割裂ひび害1れが大 き く口開いて終局 に 至 った。No.7は
,そ
の割裂ひび割れ を原 因として,定
着治具部分領域 (加カプ レー トか らloommの
範 囲) の試験部のシー トが剥離 し終局に至った。 コンクリート 降伏 点 (N/mm2) 引 張 強 さ (N/mm2) 降 伏 ひ す み (μ) 370 482 1830 比 重 (g/cm3) 厚 さ (mm) 引張強さ (N/mm2) 180 0167 34803.2
引張 力 と ノ ッチ部 の開 口変位 関係 図3に
引張 カ ーノッチ部 の開 口変位 関係 を示す。No.l RC基
準 供 試体 は,割
裂 ひ び割 れ の発 生 とともに急 激 に耐 力 が低 下 す る と同時 に,ノ
ッチ 部 の 開 口変 位 が 大 き く伸 展す る性 状 を示 した 。 そ の後 は,鉄
筋 が 引 張 力 を負 担 し,徐
々 に 開 口変 位 が 進 む性 状 を示 し た 。 シー ト定着長 がloomm以
上 の供試体 は,ノ
ッチ 部 の割 裂 ひ び割 れ発 生 によ り開 口変位 が 伸 展 し始 め, そ の 後,開
口変 位 の増 加 と と も に耐 力 は上 昇 して い くが,シ
ー トが 剥南にす る と同 時 に急 激 に耐 力が 低 下 す る性 状 を示 した 。割 裂 ひ び 割 れ 発 生後 の 岡J性 は, 積 層 枚 数 の 増 加 と と も に上 昇 す る傾 向 が見 られ る も の の,積
層枚 数 を1枚
と共 通 に して,定
着 長 :100,200,300mmと
変 化 させ た 供試 体 の変 形性 状 は,定
着 長 さの違 いによ らず ほ ぼ同様 で あった。 また,図
3に
示 して いな いNo.2 CF-1-30は ,シ
ー ト補 強 部 を さ けた斜 め割 裂 ひ び割 れ 発 生 と と も に 急 激 に耐 力が低 下 し,ほ
ぼRC供
試 体 と同様 な 性 状 を示 した 。 シー ト定着 長 が60mmの
供 試体 は,定
着 長 がloomm以
上 の供試体 とほ ぼ 同様 な破壊 過程 をた ど るが,シ
ー トが 剥宵佐す る以 前 に,定
着 され た 繊 維 シー ト部 分 をさ けた ひ び割 れ が 発 生 し,そ
れ と同時 に急 激 に耐 力が低下す る性 状 を示 した。3.3
付 着 強度 図4に
付 着 強 度 ―積 層枚 数 関係,図
5に
付 着 強度 一定 着 長 さ関係 を示す 。黒 塗 り記 号 は,コ
ン ク リー トの 割 裂 破壊 を示 し,自
抜 き は,シ
ー トの剥 離 破 壊 を示 して いる。 これ よ り付 着 強 度 は,積
層 枚 数 の 増 加 と と も に上 昇 す る傾 向 が 見 られ る。 同 様 に 定 着 長 を長 く した 場 合 に も,付
着 強 度 は概 ね 上 昇 す る傾 向 が見 られ る。 しか し,積
層 枚 数 を1層
と共 通 に して,定
着 長 を変 化 させ た 場 合 の 供 試 体(0,○
印)の
耐 力 は,定
着 長loommで
頭 打 ちがみ られ,有
効 な 定 着 長 が 存 在す る ことが確 認 された。3.4
付 着 強度 時 の シー トひ ず み 分 布 図6に
付着強度時 の シー トひず み分 布 を示す 。定着 長 が300mmと
共通 に して 積層 枚数 によ る影 響 を見 て み る と,シ
ー トの積 層枚数 を増加 させ る と,ひ
ず み の 集 中は軽減 され,シ
ー トが広 範 囲で効 果 を発揮 して い る ことが わか る。 この現象 は文 献8)で
示 され た理 論, 実 験 結果 とも一致 す るもので あ り,本
試 験 で も同様 な 性 状 が確 認 で きた。 これ よ り図4で
見 られ た積 層枚 数 の増加 による付着強度 の上昇 の理 由は,積
層枚 数 の増 加 に よ り,ひ
ず み の集 中が 軽減 され,シ
ー トが広範 囲 で効果 を発揮す る ことが1つ
の要 因 と して挙 げ られ る。 一方,図
6中
で積層枚数 を1層
と共通 に して定着長 をloo,200,300mmと
変 化 させ た供 試体 で は,シ
ー トの効 く領域 お よび ひず み分 布 性 状 は ほ ぽ 同様 で あ 東急建設技術研究所報No.27 0 0.3 06 0。 9 1.2 ノッチ部の開口変位 (口■) 図3
引張 カ ー ノ ッチ 部 の 開 口変位 関係1 2 3
積層枚数(枚) 図4
付 着 強 度 ―積 層 枚数 関係 50 100 150 200 250 300 350 定着長さ(mm) 図5
付 着 強 度 一定 着長 さ関係 -200 -100 0 100 200 300 ゲージ位置(mm) 図6
付 着強 度 時 の シー トひず み分 布 60 10 0 60 50 10 ︵受 ︶ く 串 下 2 も 当 部 黎 〓 G0 10 2 も H 韻 中 学卿
剛
側
側
卿
側
︵ミ ︶ぐ 常 0 上 I Λ C):割 裂ひび割れ △ :鉄 筋降伏 □ :シ ー ト到巖◇ :最 大荷重 □*:シー ト到難により量大荷重 No 9 CF-3-300 出o l RC ★ CF 20 │ 肘o ネ 7 CF-1 点擦区間 変位データ不良 キ:定着治具先端部分に 割裂ひび割れを生した供試体 日ほき:レート皐ilttE 黒 塗 り:ヨシクリート割裂破壊 データ:本実験 より 定着 長さ:300mm 定着 長さ:60mm
F
■:定着治具先端部分に 割裂ひび罰れを生じた供試体 日 預 き :ン ー ト剥 離 黒塗り:ョンクリート割裂破壊 データ:本実験より 共通要 因 :3層 貼 り 共通要 因 :1層 貼 り 0■ ▲ す ´ ´。 置 位 望 И I ツ Ц 定着部 に割 裂ひび割れ発 生 2枚 貼り:7睛m l枚貼り:51mm付着 応力度分布 τ
h匡
│││IHHI
シートのひずみ分布 シートの 断面積 Σ tb
Pbu Le シート剥離区間シートの有効付着長さ 図
7
抵抗機構 のモデル化 つた 。 図5で
,積
層枚 数 を1枚
と共 通 に して定 着 長 をloo,200,300mmと
変 化 させ て も付 着強度 はほ ば 同様 で あ っ た こ と を報 告 したが,
これ らは定 着 長 さ を変 化 させ て も内部抵 抗 機 構 (シ ー トの効 く領 域, ひ ず み 分 布 性 状)は ,変
化 せ ず,ほ
ぽ 同様 な 性 状 を 示 す た め と考 え られ る。4.付
着強度(Pbu)の評価 ここでは,本
試験デー タおよび既往 の文献 3)∼ 11) のデー タを利用 し,シ
ー トが剥離破壊 す る時 の付着 強度 の評価 を試みる。付着強度 Pbuの評価 にあた って は,図
7に
示す よ うにシー トの有効 付着長 さ:4の
区間で,付
着応 力度:τ buが等分布 す ると仮定 した抵 抗モデル を考 え,式
(1)によ り評価す る。 Pbu=τ bu・ b・Lc (1)
こ こにb:シ
ー ト幅 以 下 に,付
着 応 力度 τ buおよ び実 際 に付着 力 を分 担 して い る付 着 領 域Lc(以
下,有
効 付 着 長 さ)に
つ い て の検 討 をす す め,定
量 的 に評価 を行 う。4.1
付着 応 力度(τ bu)の評価 こ こで は,式
(1)中の 付着 応 力度 τ buに つ いて評価 す る 。 試 験 後,剥
離 破 壊 した シー トの 裏 面 を観 察 す る と,シ
ー ト接着 面 にコンク リー ト表 層部 が付着 し, コ ン ク リー トの表 層 部 で 破壊 が 生 じて いた 。 また文 献7)で
は,コ
ンク リー ト強度 の上 昇 とともに付 着 強 度 が 増 加 す る こ と を報 告 してお り,付
着 強 度 に与 え る コ ンク リー ト強 度 の影 響 を指 摘 して い る。 以 上 の2点
か ら,付
着 応 力度 τ buは,コ
ン ク リー ト強 度 に大 き く影 響 され る も の と考 え,コ
ン ク リー ト強 度 の 関 数 で評 価 す る こ と に した 。 そ こで,図
8に
付 着 応 力 度 ― コ ン ク リー ト強 度 関係 を示 す 。 プ ロ ッ トされ た 付 着 応 力度 は本 試 験 お よ び文献3)∼
9)で
得 られ た も ので あ り,付
着 強 度 時 も し くは 付 着 強 度 近 傍 時 で 得 られ た 最 大 の 付 着 応 力度 で あ る 。 こ こに,付
着 応 力度 τ buの評 価 は式(2)に よ る。 τ bu=Δ εf・Ef・b・ Σt/(b・x) (2)
ここに
,△
εド
x区
間のひずみ増分
00 100 200 30_0 400 500 ヨンクリート圧縮強度:σB(N/mm2) 図8
付着応 力度 ―コ ンク リー ト圧縮強度関係 〕∼勁ぶ
命 E E \ Z 、 い ¨悩 R 慢 漁 こ К 申 命 E E ヽこ ぅ。 い ¨製 R 愴 黎 セ 0 0 100 2∞ 300 400 シート定着長さ:Llmm) 図9
付着応 力度 ―シー ト定着長 さ関係 Eざンートヤンク'係 数 (実 測 値) x:△ [fの区 間 (=ひ ずみケ'―シ'の 間隔) 本 試 験 にお け る付 着 応 力度 は,図
6の
ひ ず み分 布 の太 線 で 示 した ひず み 勾 配 が 最 大 の 区 間 か ら算 出 し た 。 な お,既
往 の文 献 につ いて も,文
献 中 の ひ ず み 分 布 図 よ り本 試 験 と同様 な 手 法 で 付 着 応 力度 を算 出 した。 これ よ り,付
着 応 力 度 は コ ン ク リー ト強 度 の 上 昇 と と もに概 ね 増 加 す る 傾 向 に あ る。 そ こで 両 者 の相 関 を評 価 す るた め,割
裂 破 壊 した 供 試体(0印
)を
除 き,剥
離 破壊 した 供 試 体 (○ 印)に
つ い て 最 小 二 乗 法 によ る 回 帰 を行 つ た。 式(3)は回 帰 に よ り得 られ た もので,図
8中
に もあわせ て示 した。 τ bu=0,93・ σD044(N/mm2) (3)
次 に,本
試 験 で 得 られ た 付 着 応 力度 と式(3)と の 関 係 を詳 細 に見 る ため,図 9に
本 試 験 よ り得 られ た 付 着 応 力度 と式(3)と の 関係 を示 す 。 これ よ り割 裂 破 壊(0印
)し
た 供 試 体 を 除 い て,シ
ー トの 剥 離 破 壊 (○印)を
示 した 供 試 体 の 付 着応 力 度 は,ば
らつ き は大 きい ものの,ほ
ぼ式(3)を示 す 直 線付 近 に分 布 し, 概 ね 本推 定式 に よ り評価 で き る もの と考 え られ る。4.2
有効 付着 長さ(Lc)の 評価 こ こで は,有
効 付 着 長 さ に つ いて 評 価 を行 う。 評 価 に あ た り有 効 付 着 長 さ は,連
続 繊 維 シー トの 引 張 岡J性 (Σt・E♪ の増加 と とも に長 くな る ことが,既
往 よ 々 O △ 白 黒 デ 回帰直線° 最大付着応力度:r的=o93 σB°“
O
○ ○ ω R2=01 △O
● σB=346N/mm2 。 ◇ ● 0る
時
の
付
着
応秀
基日
τbu 099 σ口。“ ――(3)回帰直線 有効付着長よLe=0125(Σ t'Ef)。5, ○ ○ △ R2=054 O △ 11)より
時
e じ ゴ 一他 ︼ 漁 ‡ 祭 禅 140 0 50000 100000 150000 200000 連続繊維 シートの引張剛性:Σt・E、N/mm) 図10
有効付着長 さ一連続繊維 シー トの引張岡J性関係 動∼:1) の文 献12)よ
り報 告 され て いる。以 上 の ことか ら, 既往 の文 献3)∼
11)の
試 験 デ ー タ を利 用 し,有
効 付 着 長 さ と シー トの 引張 剛 性 と の相 関 関 係 につ いて 調 査・検討す る ことに した。 図10に
有効 付着長 さ 一連続繊維 シー トの引張岡J性関 係 を示す。横軸 の算 出 に使用す る Efは 実測値 を使用 し, 縦軸 の有効付着長 さは以下 の式(4)によ り算出 した。e晩
=e Pby(τ
bu・b) (4)
ここに
, e珪
:有効付着長 さ実験値 e Pbざ付着強度実験値 τ bu:式(3)よる付着応力度 有効付着長 さの評価 で は,定
着長 さが100mm以
上で, シー トの剥離破壊 によ り終 局 に至 った供試体 を検 討対 象 と し,コ
ンク リー トの割裂破壊,シ
ー トの破 断 によ って決定 した供試体 は,評
価 か ら除外 す る ことに した。 つ ま り十分 な付 着能 力 を発揮す る以前 に終 局 に至 って いるため,有
効 付着 長 さの評価 には不適 切 と考 えた た めで ある。 同図 よ り,シ
ー トの剥離 破壊 を示す供試体 の有効 付着 長 さは槻 ね シー トの 引張剛性 の増加 ととも に上 昇す る傾 向が見 られ た。 この傾 向は,シ
ー トのひ ず み分布 で積 層枚数 を増加 させ る とひず み の集 中が緩 和 され,付
着 力 を広 範 囲で負 担 す る現 象 と一致 す る も ので ある。そ こで,関
係 因子 の相 関 関係 を定 量 的 に評 価す るた め最 小二 乗 法 に よ る回帰分析 を行 った。式(5) は 同分析 よ り得 られ た もので,同
図 中 に もあわせ て 示 した。また参考 のため図6中
に も式(5)よ り求めた1,2,
3枚
貼 り供試体 の有効 付着 長 さ を示 した。 また,図
10 表2
シー トが剥離 破壊す る時 の付 着強 度推 定式 東急建設技術研究所報No.27 60 50 40 30 20 10 10 20 30 、 40 50 付着強度計算値(kN) 図 11 15000 付着強度 の実験値 と計算 値 の比較 ⊃∼10 0 3000 6000 9000 12000 15000 シートひずみ計算値(μ) 図12
シー ト最大ひずみの実験値 と計算値の比較3)∼動 中 に本 試 験 の デー タ を0で
示す が,こ
れ よ り本試験 デ ー タは回帰 曲線近傍 に分布 してお り,概
ね 本 提案式 で 評価 で きる もの と思 われ る。なお,本
試 験 の有 効 付着 長 さ実験値 :e現 は,表
ヽ中の付着強度実験値か ら鉄筋 降伏耐 力 :10.5(kN)を 差 し引いた数値 を cPbuに 代入 して 算 出 した。LFO.125(Σ
t・Ef)°57 0)
以 上,シ
ー トが剥離 破壊す る時 の付着 強度 に関 して 導 出 され た諸式 を式(6)にま とめて示す。4.3
付 着 強 度 推 定 式 の検 証 図11に
付 着 強度 の実 験 値 と提案 した式(6)によ る計 算 値 との 比 較 を示 す 。 提 案 式 に よ る 計 算 値 は,剥
離 破 壊 した 供 試 体 の付 着 強 度 を概 ね 評 価 で き て お り, 00 ∞ 00 ∞ ︵ ︲ ミ ︶埋 餌 係 ぐ 格 0 ユ ー ︵ O:炭素繊維シート △:アラミド繊維ンート 破壊モード:シート剥離 データ:文献3)∼ 11)より 比較値=10 ○ ○ ∼184(Avg=103) ○ ○ 実験値/計 算値Ξ056∼165(Avg lO
比較値三10 ○O
○③
O
付着強度推定式:Pbu=丁的・b・児=ε max・ Ef・ Σt・b
最大付着応 力度:τ的=093・ σ BO“(N/mm2) 有効付着 長さ:咤=0125(Σt・碑)057(mm) ただし,蛇
>Lの
場 合,叱=Lとする。 剥離破壊 ここに,L:シート定着長さ(mm)σ
B:コンクリート圧縮強度(N/mm2)b:シ
_卜 幅(mm) ε max:シート最大ひずみ Ef:シートヤング係数(N/mm2)Σ
t:シートの積層厚さ(mm) (6)比較 値 (=実 験 値
/計
算 値)は
o.59∼1.84(平
均lo
3)で
あ った。 図12に
剥離 破 壊 を示 した供 試体 の シー ト最 大 ひず み の実 験 値 と計算 値 の比較 を示 す 。 計算 値 は,式
(6) の関係式 よ リシー ト最大 ひず みc ε maxを逆 算 して求 め た 。 本 試 験 よ り得 られ た実 験 値 は,付
着 強 度 時 の シ ー ト最 大 ひず み を プ ロ ッ トした 。 また既 往 の文 献 よ り抽 出 した デ ー タ は,付
着 強 度 時 も し くは そ の 近 傍 の ひ ず み分 布 図 か ら読 み取 った 最 大 ひず み を プ ロ ッ トした。 同 図よ り実験 値 は,比
較 値 (=実 験 値/計
算 値)1,o付
近 に分 布 してお り,概
ね 式(6)によ リシー ト 最 大 ひず み を評 価 で き る もの と考 え られ る 。 比 較 値 は,0.56∼ 1.65(平
均103)で
あ つた 。5.ま
とめ1)付
着強度 は,シ
ー トの引張岡J性の増加 とともに上昇 す る。 しか し,引
張剛性 をそ ろえて シー ト定着長 さ を変化 させた場合 の付着強度 は,定
着長 さ100(m
m)程
度 で頭打 ち とな る傾向がみ られた。2)付
着強度 時 に効 果 を発揮 して いるシー トひずみの領 域 は,引
張岡J性の増加 とともに,広
が り,ひ
ず み の 集 中は緩和 され る傾向 にある。3)シ
ー トが剥離破壊す る時の付着強度推定式 を提案 し, 概ね本提案式 によ り,そ
の付着強度お よび付着強度 時 の シー ト最大 ひずみ を推定できる ことを示 した。 謝 辞 本研究で使用 した炭素繊維 シー トおよび樹脂は,三
菱化学 (株)に
提供 して頂きました。 ここに記 して謝意 を表す。 参考文献 1)磯雅人・中村洋行:炭素繊維 シー トによりせん断補強された袖壁付RC柱
の構造性能に関する実験的研究,東
急建設技術研究所報,No
23, pp.137-142, 1997.9 2)磯雅人・松崎育弘他 :炭素繊維シー トによりせん断補強された袖壁付RC柱
の構造性能に関する実験的研究, コンクリー トエ学年次論文報告集,Vo1 19,No2,pp.225∼ 230,1997 3)浅野靖幸・佐藤靖彦他 :炭素繊維シー トの付着特性について,土
木・建築における複合構造物の実用化技術,複
合構造研究委員会報告書, (社)日本コンクリー トエ学協会 】ヒ海道支部,pp.26(l-265,199754)Tostta Maeda・ Yasiv劇Ш Asan():A study On bond mecha対 bm OfcarbOn iber sheet,FRPRCS 3,MЛ l,pp 279∼286, Oct.1
997 5)岳尾弘洋・松下博通他
:CFRP接
着工法における炭素繊維 シー トの付着特性,コンク リー トエ学年次論文報告集,Vol 19,No.2, pp.1599-1604, 1997 6)佐藤裕―・木村耕三・小畠克朗i CFRPシー トとコンク リー トの付着挙動 (その1),
日本建築学会構造系論文集,No 500,pp,75∼82, 1997.10 7)出雲健司・浅水俊博他 :ア ラミ ドおよび炭素連続繊維 シー トの付着特性,コンク リー トエ学論文集,第
9巻,No 2,pp工∼7,19987
8)岳
尾弘洋・松下博通他:CFRP接
着工法における炭素繊維 シー ト付着而す方向上実験,コンク リー トエ学年次論文報告集,Vo1 20,No l, pp.431-436, 19989)西
田浩之・ 上原子晶久他 :連続繊維 シー トとコンク リー トとの付着特性,コンクリー トエ学年次論文報告集,V01_21,No 3, pp 1507-1512, 1999.7 10)浅野靖華・佐藤靖彦他 :炭素綴 【佳シー トの付着力向上に関する一考察,土木学会第52回年次学術講演会,pp 1004∼ 1(X15,1997911)Bmal Babu ADHIKARY,H簿
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木学会論文集,No 648/V‐47,pp_71∼87,2(X105EXPERIMENTAL STUDY ON BOND BEIIAVIOR
BEMEN CONTINUOUS FBER SHEETS AND CONCRETE
M.Iso
The obicct市 CS Of thtt rescarch arc to da五fy bond bchavior bctwccn carbon ttber shccts and concretc and
to derivc thc forlnula to evaluatc thc bond strcngths. In this study, nine R/C Prisms bondcd carbon ibcr shccts
wcrc conductcd. Number of shcct and bond lcngth wcrc takcn as va五 ablcs. From thc rcsuls prcsentcd in this p
apcr, thc fO■owing conclusions can be drawn.
1)ThC bOnd strcngth incrcascs with an incrcssc in stiffncss of carbon ibc shcct.
2)Thc bOnd strength is almost same for diffcrcnt lcngths cxcept fof bond lcngth of lcss than 100mm. 3)Thc cquation for thc bond strength is Prcscntcd.Faifly good agrccmcnt betwccn cxpc五 mcntal