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電波干渉計VSOP-2のための円偏波ポーラライザーの研究開発

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(1)

電波干渉計VSOP-2のための円偏波ポーラライザーの

研究開発

著者

海田 正大

内容記述

学位授与大学: Osaka Prefecture University(大阪

府立大学), 学位の種類: 博士(理学), 学位記番号:

論理第78号, 学位授与年月日: 2009-06-30, 指導教

員: 小川 英夫.

(2)

電波干渉計 VSOP-2 のための

円偏波ポーラライザーの研究開発

(Research and Development of Circular Polarizer for

Radio-Interferometer VSOP-2)

大阪府立大学 大学院理学系研究科 物理科学専攻

2009

(3)

目次

目次

目次

目次

目次

目次

目次

目次

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・・1

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論文要旨

論文要旨

論文要旨

論文要旨

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・・

・・・・3

・・・・

第 1 章

はじめに

はじめに

はじめに

はじめに

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・・

・・・・5

1.1 ブラックホール及びその直接観測 1.1.1 ブラックホールとは 1.1.2 ジェットの三次元磁場観測 1.2 VSOP から VSOP-2 へ 1.2.1 高分解能観測のために 1.2.2 磁場の観測のために 1.2.3 VSOP-2 に参加する地上電波望遠鏡

第 2 章

円偏波

円偏波

円偏波

円偏波ポーラライザー

ポーラライザー

ポーラライザー

ポーラライザーの

の研究

研究開発

研究

研究

開発

開発

開発

・・・

・・・

・・・

・・・・

・・・・

・・・

・・・11

・・・

2.1 VSOP-2 地上局の 22GHz 円偏波ポーラライザーの開発 2.1.1 はじめに 2.1.1.1 円偏波観測の方法 2.1.1.2 受信機性能への寄与 2.1.2 セプタム型円偏波ポーラライザーの原理 2.1.3 22GHz 帯ポーラライザーの設計 2.1.4 結果と考察 2.1.4.1 ポーラライザーの性能測定結果 2.1.4.2 測定結果の考察 2.1.5 まとめ 2.2 VSOP-2 のための 40GHz 帯円偏波型ロータリージョイントの開発 2.2.1 はじめに 2.2.2 円偏波導波管型ロータリージョイント 2.2.3 40GHz 帯ポーラライザーの設計 2.2.3.1 セプタム部の設計 2.2.3.2 ベンド部及びステップ導波管部の設計 2.2.4 40GHz 帯ポーラライザーの製作 2.2.5 結果と考察 2.2.5.1 ポーラライザー単体での性能 2.2.5.2 直列に接続したポーラライザーの性能 2.2.5.3 様々な角度での直列接続ポーラライザーの性能 2.2.5.4 測定結果の考察 2.2.6 まとめ

(4)

第 3 章

1.85m ミリ

ミリ

ミリ

ミリ波電波望遠鏡

波電波望遠鏡

波電波望遠鏡の

波電波望遠鏡

の開発

開発

開発

開発

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・・・・

・・・

・・・

・・・48

3.1 はじめに 3.2 各部装置の開発 3.2.1 レドーム 3.2.2 主鏡 3.2.3 光学系 3.2.4 受信機 3.2.5 中間周波数増幅系 3.2.6 制御系 3.3 試験観測 3.4 まとめ

第 4 章

まとめ

まとめ

まとめ

まとめ

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・

・・・60

・・・

4.1 円偏波ポーラライザーの研究開発 4.1.1 VSOP-2 のための 22GHz 帯円偏波ポーラライザーの開発 4.1.2 40GHz 帯 H 型ロータリージョイントの開発 4.2 1.85m ミリ波電波望遠鏡の開発

謝辞

謝辞

謝辞

謝辞

・・・

・・・

・・・

・・・・・

・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・

・・・・

・・・・62

引用文献

引用文献

引用文献

引用文献

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・・・・

・・・・63

(5)

論文

論文

論文

論文要旨

要旨

要旨

要旨

日本の次期スペース VLBI プロジェクト VSOP-2 は、38µ 秒角という超高分解能でブラッ クホール及びその降着円盤の撮像、ジェットの磁場構造の解明を目指している。VSOP-2 と は VLBI Space Observatory Programme-2 の 略 で 、 VLBI ( Very Long Baseline Interferometry:超長基線干渉法(複数のアンテナを合成して 1 つの望遠鏡とする技術)) により、衛星軌道上のアンテナと地上の電波望遠鏡を干渉させる事で地上のアンテナだけ では達成できない高空間分解能を実現するプロジェクトである。衛星軌道上に打ち上げる 衛星を ASTRO-G と言い、現在その開発が精力的に進められていると共に、干渉計となる地 上望遠鏡群の整備も並行して進められている。VSOP-2 では主要な観測テーマとしてブラッ クホールから発生するジェット構造に対する磁場の三次元構造の解明が挙げられる。その ためには、右旋、左旋の両円偏波観測による偏波角及びファラデー回転量度の観測が不可 欠となる。本研究では、VSOP-2 干渉計のための 22 GHz 帯円偏波ポーラライザーの開発を 行った。また、そのポーラライザーを用いた応用的研究として VSOP-2 の Ka 帯地上リンク アンテナに用いる 40 GHz 帯ロータリージョイントの開発を行った。 はじめに 22 GHz 帯の円偏波ポーラライザーの開発を行った。地上電波望遠鏡用のポーラ ライザーに要求される周波数帯域は 20.5-25 GHz である。これは、VSOP-2 の観測帯域 20.6-22.6 GHz、同周波数帯の主な輝線である 23 GHz の水メーザー、23-25 GHz に存在する アンモニア輝線をカバーする帯域が単一の電波望遠鏡としても用いられる地上電波望遠鏡 には求められるからである。一方、同帯域では帯域が上記のような広帯域な性能を有する ものは存在しない。そこで我々は、帯域 20%の今迄にない広帯域ポーラライザーの開発に 着手した。設計は 3 次元電磁界解析ソフト HFSS を用いて行い、製作したポーラライザーは 20.5-25GHz において、インサーションロス平均 0.15dB、リターンロス 20dB 以上、アイソ レーション 20dB 以上の良好な性能を獲得し、今迄にない広帯域なポーラライザーの開発に 成功した。 更に 22 GHz 帯でのポーラライザー開発の経験を生かし、その応用的な研究として VSOP-2 搭載用に 2 台の円偏波分離器を直列に接続する方式のロータリージョイントを提案した。 この方式は広く用いられている TM 方式と比較した場合大きく 2 つの利点がある。(1)帯 域が最大 20%(今回は約 15%)と TM 方式の 10%よりも広くとれる。(2)1 系統の信号し か扱えない TM 方式に対して、独立した 2 系統の信号を伝送する事ができるという点であ る。製作したロータリージョイントは、帯域 35-41GHz において、インサーションロス平 均 0.5dB、リターンロス 15dB 以上、アイソレーション 17dB 以上、位相変動 2°p-p 以下の 性能を得た。TM01方式と比べ、約 1.5 倍の広帯域の性能を得る事ができ、2 信号を独立に伝 送できる他の型では実現不可能な特性を持つことに成功した(これを H 型という)。 また上記の開発とはやや独立した研究として、口径 1.85m の新しいミリ波サブミリ波電 波望遠鏡の開発を行った。この望遠鏡の観測周波数は 230GHz である。この望遠鏡の開発の 目的は(1)電波望遠鏡各部開発のテストベンチ、(2)中小口径という特長を生かした分子 雲の広域サーベイ観測である。特に 230GHz 帯でビームサイズ 2.9′というサイズの望遠鏡 は世界中に存在しない。また、一酸化炭素分子の 3 ライン12 CO(230.5 GHz)、13CO(220.4 GHz)、C18O(219.6 GHz)の同時観測を可能としていることが、特徴である。2008 年の 3 月には太陽の連続波観測に成功した。

(6)

第 1 章

はじめに

はじめに

はじめに

はじめに

1.1

ブラックホール

ブラックホール

ブラックホール及

ブラックホール

及びそ

びその

びそ

びそ

の直接観測

直接観測

直接観測

直接観測

宇宙の歴史と進化は、ビッグバン以降加速膨張してゆく時空において、小さな密度ゆら ぎが成長して構造が形成される過程である。宇宙における構造化とは、自己重力によって 高密度化する収縮と、天体の集団が大規模化してゆく合体という過程である。後者の合体 は、ダークマターと恒星とガス雲の集合である銀河、銀河と銀河間ガスやダークハローの 集団である銀河団、さらに超銀河団といった大規模構造を形成してきた。一方前者の収縮 は、分子雲や恒星、惑星や白色矮星、中性子星、そしてブラックホールと、様々な階層に ある多様な天体を誕生させた。宇宙における収縮は、エネルギー発生においても重要な要 素である。恒星での核融合反応は収縮によってガスが高密度化した結果であるし、ブラッ クホールは降着する物質の重力エネルギーを解放することで、活動銀河核やX線星として輝 いている。収縮過程とそれに伴うエネルギー発生のメカニズムへのアプローチは、様々な 天体の現象や起源を明らかにする上で重要である。

そのための有力な手法であるVLBI(Very Long Baseline Interferometry)は複数のアンテナを 合成して一つの巨大な電波望遠鏡とする技術であり、天文学において最も高い空間分解能 が得られる。望遠鏡の進化の歴史は高分解能獲得への歴史でもあり、世界初の電波天文衛 星「はるか」を用いたスペースVLBIである電波干渉計VSOPでは、周波数5GHzで0.4ミリ秒 角という高分解能を達成した(Hirabayashi et al. 1998, 2000)。この分解能は人間視力(約1′) に比べて150万倍の向上であり、近傍の活動銀河核において数百シュバルツシルト半径のオ ーダーに到達した。

現在計画が進められている VSOP-2(VLBI Space Observatory Programme 2)は 38µ 秒という 高い空間分解能を用いて、宇宙の極限領域を解像する事を目的としたスペース VLBI 計画で ある。この分解能は近傍の星生成領域で太陽半径程度に達し、降着円盤から原始星への質 量降着と角運動量輸送の現場と考えられる磁気圏を初めて解像できる。また、近傍の活動 銀河核で 10-100 シュバルツシルト半径程度に相当し、ブラックホールの周囲で重力エネ ルギーを放射やジェット加速に変換する現場である降着円盤を、初めて捉えることができ る。このように VSOP-2 による高分解能撮像は、宇宙の収縮過程に伴う天体生成・エネルギ ー発生のしくみを一段深く理解する、重要なステップとなることが期待される。さらに VSOP-2 では活動的天体でエネルギー変換に大きな影響を与える磁場の本格観測を行うこ とを予定している。そのためには、両偏波を同時測定する機能が必要となる。本研究はこ のために新たな左右両偏波に分離を行う円偏波ポーラライザーの開発研究を主な内容とし ている。第 1 章では VSOP-2 の観測対象及び科学目標について述べる。

1.1.1

ブラックホール

ブラックホール

ブラックホール

ブラックホールとは

とは

とは

とは

ブラックホールは光すらも脱出できない重力を持つ天体である。ブラックホール天体に ついては、1960 年代から理論的にその存在が予測され、1970 年代以降の X 線観測等でそ

(7)

の存在が間接的に観測されてきた。ブラックホールの周囲には、落ち込んでいく物体の集 まりである降着円盤、逆に物質を噴出すジェットが存在する。ブラックホールの模式図を 図 1-1 に示す。ブラックホールの見かけの大きさ(シュバルツシルト半径を見込む角度) は、近傍の活動銀河核でマイクロ秒角程度、銀河系内の恒星質量程度のブラックホールで ナノ秒角程度であるため、ブラックホールの撮像のためにはそれ以上の超高分解能が必要 となる。シュバルツシルト半径とは、ブラックホールからの脱出速度が光速と等しくなる 半径の事である。質量 m の物質が、半径 R、質量 M の天体から脱出できる最低の速度(脱 出速度)は、

0

2

1

2

=

R

GmM

mv

・・・(式 1-1)

R

GM

v

=

2

・・・(式 1-2) となる。従って R が小さくなると天体からの脱出速度は大きくなり、やがて高速 c を超え る。これがブラックホールである。では実際に光が脱出不能になる半径であるシュバルシ ルド半径は、脱出速度がcに等しい場合であるため、

km]

[

3

~

2

2





=

Θ

M

M

c

GM

R

・・・(式 1-3) となる。ここで M⊙は太陽質量である。すなわちシュバルツシルド半径は太陽でおよそ 3km、 地球はならば 3cm と非常に小さい事が解る。実際に VSOP-2 の高分解能を持ってしても、 撮像の対象はブラックホール周囲の降着円盤となる。一方で恒星質量程度サイズのブラッ クホールについて、重力マイクロレンズ現象を VSOP-2 で観測することで質量と分布を調 べられるというアイディアが提案されている。 活動銀河核が 107―1014Lものパワーを発するしくみは、大質量ブラックホールへの質 量降着による重力エネルギーの解放であり、ブラックホール周囲に形成された降着円盤が 重力エネルギーを放射に変換する現場だと考えられている。近傍の活動銀河核について考 えれば、VSOP-2 の分解能は降着円盤のサイズに匹敵する。VSOP-2 の 43GHz でのビーム 図1-1(a) ブラックホールの模式図。(b) VSOP観測によるクェーサー 3C 273 のジェット構造 (Lobanov & Zensus 2001)。ジェットの輝度が二重螺旋構造を示している。(赤と青の線) (ISAS提供)

(8)

図1-2 降着円盤とブラックホール。M87は「おとめ座」にある大きな楕円銀河で、地球か らおよそ5000万光年の距離にある。比較的近距離にある銀河のため、視直径は7分程度で多 くの観測、研究がおこなわれている。VSOP-2ではブラックホールに落ち込む物質で構成さ れる降着円盤のサイズを求めることが期待される。 サイズ 38µas は、M87 では 13rs に相当するので、降着円盤のサイズを求めることができる と期待される(図 1-2)。近傍 20Mpc 内には、VSOP-2 のビームサイズが 20 シュバルツシル ト半径以下に相当する天体が少なくとも 3 個、200 シュバルツシルト半径以下に相当する天 体が少なくとも 13 個存在する。

1.1.2

ジェット

ジェット

ジェット

ジェットの

の三次元磁場構造

三次元磁場構造

三次元磁場構造

三次元磁場構造

ブラックホールに付随するジェットは、光速に近い速度の細く絞られたプラズマの流れ であり、天体によっては差し渡しが106 pcのスケールにも達する、単一の天体としては宇宙 で最もスケールの大きい構造である(図1-1(a))。その降着エネルギーが相対論的な速 度への加速に使われる仕組みや、ジェットが細く絞り込まれる機構については、複数のモ デルが存在しており、観測的な切り分けがおこなわれていないのが現状である。そのため には、降着円盤とジェットの関係について、両者を同時に撮像してその構造を調べる事が 重要となる。ジェットの絞込み・加速機構の理論的に重要な候補として、磁場の存在があ る。そのためにVSOP-2では偏波の観測が重要な役割を担っている。 ジェットの生成・加速機構については複数のモデルがあり、そのモデルを大別すると主 に以下の三つとなる。1つ目は電磁流体力学(Magneto-hydro-dynamics:MHD)モデルと呼ば れるもので、降着円盤を貫く磁力線から発する、磁気遠心力あるいは磁気圧で加速すると いうモデルである(Uchida & Shibata 1985, Koide et al. 2002)。2つ目は、輻射圧加速モデル と呼ばれるもので、降着円盤からの輻射圧によって粒子を加速するというモデルである (Bisnovatyi-Kogan & Blinnikov 1997)。3つ目は衝撃波加速モデルと呼ばれるもので、降着 円盤近傍から発生した速い流れが遅い流れに追突して衝撃波加速が起こるというモデルで ある(例えばKataoka 2004)。このモデルでは、どのようにして衝撃波が加速し、円盤の極 方向への収束がなされるのかが、重要な課題となる。これらのモデルに対して観測的な検 証を行うためには、ジェットの磁場形状やプラズマ組成などを明らかにしてモデルの予測 と比較する事が必要である。VSOP-2の両偏波観測によって、ジョットの3次元磁場構造の解

(9)

明が期待される。 ジェットの電波放射はシンクロトロン放射であり、光学的に薄い波長域では偏波ベクト ルは投影磁場に垂直になる。また、ファラデー回転量度 FRM は

=

8

.

1

×

10

5

[

−2

]

n

B

d

l

rad

m

FRM

e

r

r

・・・(式 1-4) と磁場の視線成分B [G] と電子密度 ne[ 3 −

cm

] に応答する。したがって、偏波観測によっ て偏波ベクトルと FRM を測定することによって、ジェット内の三次元磁場構造について調 べることができる(図1-3(a))。観測される偏波角χは FRM によって天体放射本来の偏波 角χ0から回転し、 2 0

λ

χ

χ

=

+

FRM

・・・(式1-5) という関係を持つ。したがって、多波長で偏波角χを測定することでχ0と FRM とを求める ことができる。このような手法によって、クェーサー 3C 273 の磁場構造が「右ねじ螺旋構 造」であることを示した結果が、 VLBA によって得られており(Asada et al. 2002)、 VSOP-2 ではさらに高空間分解能の構造が期待される。 ジェットの内部構造をFRM で明らかにするのは、サブミリ波などの高周波では以下に述 べるように回転量が少なく得策ではないためである。適当な周波数と高分解能を持つ VSOP-2は、この点での寄与が大きく期待出来る。観測波長域がλ1とλ2の範囲のとき、FRM に 対する精度は 2 2 2 1

λ

λ

χ

=

∆FRM

・・・(式 1-6) で与えられる。VSOP-2 では観測周波数の範囲が8 GHz から43 GHz と短波長よりなので FRMに対する感度はあまり高くなく、 ⊿χ を 0.1 rad 程度とすると ⊿FRM は 80 radm-2 となる。一方でFRM の秤量は、 8 GHz での観測帯域 128 MHz を 32 点に分光してχ を測定できたとすると 1.8× 5

10

と、radm-2 非常に大きい FRMにも対応できる。ジェット

は根元に近いほど大きな FRMを示す(Zavala & Taylor 2003) ので、 VSOP-2 によるジェッ トの根元に近い領域の観測では精度より秤量が重要になるので、このような仕様で十分に 対応できる。

(10)

1.2

VSOP から

から

から

から VSOP-2 へ

1.2.1

高分解能観測

高分解能観測

高分解能観測

高分解能観測のために

のために

のために

のために

冒頭にも述べたように、VLBIは複数のアンテナを合成して一つの巨大な電波望遠鏡とす る技術であり、天文学において最も高い分解能が得られる観測装置である。干渉計はアン テナ間の距離が大きいほど高い分解能を得ることができるが、地球上においては最大でも 地球の直径以上アンテナを離すことはできない。そこで衛星軌道上にアンテナを設置する ことによりアンテナ間の距離を衛星と地球間の距離とすることが可能となり、この人工衛 星を用いたスペース VLBIは地上のアンテナだけでは得られない高空間分解能をもたらす。 世界初の電波天文衛星「はるか」を用いたスペース VLBI である VSOP では、周波数 5GHz で 0.4 ミリ秒という高空間分解能を達成し、活動銀河核ジェットの詳細な構造やプラズマ トーラスの発見、高輝度温度天体のサーベイなどの成果を挙げてきた。VSOP-2 (VLBI Space Observatory Programme-2) 計画は スペースVLBIの第2 段である(図1-3(b))。

VSOP-2 では 38 マイクロ秒という、ハッブル宇宙望遠鏡の 2000 倍の高分解能によって、 活動銀河核の降着円盤とブラックホールの撮像、ジェットの生成・加速機構の解明を目指 している。VSOP-2は電波望遠鏡を搭載した人工衛星 ASTRO-Gと、地上の電波望遠鏡やト ラッキング(追跡)局から構成されるシステムで、人工衛星と地上電波望遠鏡とで同時に 天体を観測する。地上電波望遠鏡では受信信号をテープなどの媒体に記録し、衛星が受信 した信号はトラッキング局に伝送してから記録する。これらの記録信号を相関器で干渉さ せ相関処理を行い、相関結果を計算機で解析する。 ASTRO-Gに搭載されるアンテナは口径 9m のオフセットカセグレン方式の大型展開ア ンテナである。受信機の観測周波数は8 GHz、 22 GHz、 43 GHzである。展開アンテナで集 光された信号はフィードを経由して低雑音受信機(LNA)に送られる。フィードホーンは 帯域毎に3つ用意される。ホーンの直後に円偏波分離器が搭載され、右旋円偏波、左旋円偏 波に分離されLNAへと伝送される。LNAはモノリシックマイクロ波集積回路(Monolithic Microwave Integrated Circuit: MMIC)アンプを用いた高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor: HEMT)受信機を採用している。その後中間周波数信号へと周波数変換さ れた観測データは、37-40GHzの周波数帯であるKa帯を用いて地上リンク局へと送られる。 ASTRO-Gは2012 年の打ち上げを目指し、 5 年以上の観測運用が計画されている。 ASTRO-G衛星の概観図及びVSOP-2のイメージ図を図1-4に示す。またVSOP-2の軌道につい ての模式図を図1-5に示す。

(11)

図1-5 VSOP-2軌道の模式図。VSOP-2は遠地点25000 km、近地点1000 kmの軌道を取りながら、 地上望遠鏡との干渉を行う。

1.2.2 磁場

磁場

磁場

磁場の

の観測

観測

観測

観測のために

のために

のために

のために

VSOP では、衛星「はるか」側の偏波が左旋(LHCP) のみであった(Kobayashi et al. 2000)。 そのため偏波成分での十分な(u,v) 分布(干渉計で観測されるフーリエ成分のフーリエ空間 上の分布)が得られず、通常の偏波観測と比較して品質がおち、分解能も低下していた。 VSOP-2 では、各帯域について、右旋 (RHCP)、左旋(LHCP)用の 2 偏波の受信機を搭載して、 高解像・高品質の偏波画像の取得を目指している。これにより、スペクトル線観測におけ る感度の向上を図る事ができる。具体的にはブラックホール周囲のジェットや原始星の磁 気圏の観測など磁場観測に使用する。 原始星の磁気圏は、降着円盤の運動量の制御およびアウトフローの加速の役割を担って いる。実際に星形成領域からのX 線放射が数多くの原始星で検出され、磁気リコネクショ ンによる巨大フレアがその放射メカニズムと考えられている。X 線光度と電波光度との間 には相関があり、高分解能観測可能な電波でその構造や輝度温度を求めることは重要であ る。VSOP-2 の 38 マイクロ秒角の分解能は、150 pc の距離の星形成領域で 0.0054 AU に 相当し、フレアを起こす磁気圏の領域を詳細にマッピングできると期待される。Weak line 型牡牛座T 型星の輝度温度は位相補償にて検出可能なレベルである。原始星の磁気圏から の非熱的電波は、ジャイロシンクロトロン放射によって強く円偏波していると考えられる。 両円偏波でマッピングを行うことにより、原始星の磁場の空間構造を初めて直接的に明ら かにすることができる。

1.2.3 VSOP-2 に

に参加

参加

参加する

参加

する

する

する地上

地上

地上

地上電波望遠鏡

電波望遠鏡

電波望遠鏡

電波望遠鏡

VSOP-2 の実現には、地上望遠鏡の参加が不可欠である。したがって、天文衛星の開発と 共に衛星と干渉を行う VLBI 観測局(以下観測局)の整備も同時に重要となる。ここで VSOP-2 の地上システムの概要について述べる。VSOP-2 衛星は、コマンド局からのコマン ドに従って動作し、データを取得後に地上のリンク局へと送信する。リンク局では送られ たデータを記録する。VSOP-2 衛星と、コマンド局、リンク局が三位一体となって、一つの 宇宙電波望遠鏡として機能するのである。 一方で衛星と一緒に観測を行う観測局は、国内では臼田 64m、国立天文台 VERA20m4 局、 野辺山 45m、山口 32m、情報通信研究機構(NICT)鹿島 34m 等が想定されている。VSOP 観測では地上望遠鏡群を組織して観測を円滑に行うために、GVWG(Global VLBI Working Group)が組織され、角望遠鏡毎に割り当てられた時間提供量を決め、スペース VLBI 観測 に参加するという手法が取られた。VSOP-2 でも同様の手段が検討されており、地上望遠鏡

(12)

の参加枠組み、開発等が進められている。VSOP-2 観測に参加できる望遠鏡には、いくつか の条件が必要となるが、本研究で主に重要になるのは (1) VSOP-2 と同じ周波数帯で観測できる。 (2) 右旋円偏波、左旋円偏波の両偏波を観測できる。 という 2 点である。例えば山口大学の 32m 電波望遠鏡は、現在 6GHz 及び 8GHz 帯の観測 しかおこなわれておらず、新たに VSOP-2 のための 22GHz 帯受信機の開発を行う必要があ るために、現在開発が進められている。山口 32m 電波望遠鏡の写真を図 1-6 に示す。本研 究では、その 22GHz 帯受信機に搭載する円偏波ポーラライザーの研究開発を行った。その 詳細については第 2 章で述べる。 図1-6 山口32m電波望遠鏡

(13)

第 2 章

円偏波

円偏波

円偏波

円偏波ポーラライザー

ポーラライザー

ポーラライザーの

ポーラライザー

の開発

開発

開発

開発

2.1

VSOP-2 地上局

地上局

地上局の

地上局

の 22GHz 帯

帯円偏波

円偏波ポーラライザー

円偏波

円偏波

ポーラライザー

ポーラライザー

ポーラライザーの

の開発

開発

開発

開発

2.1.1

はじめに

はじめに

はじめに

はじめに

電波と光とは、電磁波の中で地上から宇宙を直接みることのできるただ二つだけの“窓” である。電波と光の中間波長の電磁波である赤外線や、光より短波長の紫外線・X 線などは、 地球大気に妨げられて、ほとんど地上に届かない。その二つだけの観測波長帯である電波 観測と光学観測との違いとして挙げられる点は、電磁波を“粒子”ではなく“波”として扱って いる点が挙げられる。これは電波の波長が長いために可能となる相違点である。そしてミ リ波~サブミリ波の観測に用いる装置が電波望遠鏡である。電波望遠鏡の機能は主に 3 点 であり、集光、増幅、処理である。電波望遠鏡の基本的な構成を,図 2−1 に示す。電波望 遠鏡は大別してアンテナ,受信機,計算機で構成される。受信機は超伝導ミクサ,前段の 冷却低雑音増幅器といった装置で構成される。また,後段の増幅系,分光器,積分器とい った装置をまとめてバックエンドと呼ぶ。また目標の天体の追尾,取得したデータの解析 等を行う計算機部を制御系と呼ぶ。 集光はアンテナの役割で主にミリ波以上の領域ではパラボラの金属鏡が用いられるのが 一般的である。集光部の光学系としては、光学望遠鏡と同様にカセグレン型(例えば ALMA 等)がよく用いられるが、ナスミス型(例えば野辺山 45m 望遠鏡、1.85m 望遠鏡等)やク ーデ型(例えば 60cm 電波望遠鏡)も存在する。天文学における観測対象は非常に遠方であ るため、地上で観測する場合には平面波として扱える。よって電波をコヒーレントに集光 する事で位相等の情報を失わずに電波を検出する事が可能とある。アンテナで集光された 受信信号は,光学系(ビーム伝送系)を用いて低雑音増幅器又はミクサへと導かれる。特 に直接増幅の難しい 100 GHz 帯以上では、超伝導ミクサを用いるのが一般的である。ミク サでは,受信信号と局部発振器からの信号を混合し,その差分の周波数の信号,すなわち 「うなり」の信号を中間周波数信号(IF 信号)として出力する。適切な電波強度まで IF 信 号を増幅したあと,分光計に入力して周波数分離する。VSOP-2 では、超伝導ミクサを用い ずに HEMT 増幅器を用いて、集光した受信機を直接増幅している。 電波望遠鏡の受信機において、偏波分離器はホーンの直後に接続され、偏波を分離後信 号は受信機に導入される。ミリ波帯の国内最大の望遠鏡である野辺山 45m 電波望遠鏡にお いては、直交偏波分離器(OMT)搭載型の受信機が搭載され(Nakajima et al. 2008)こちら も広帯域の観測性能を発揮している。また干渉計観測においては、直交偏波はそれぞれの 偏波の向きを合わせる必要があり野辺山ミリ波干渉計、ALMA 干渉計等の一定の地域に展 開される干渉計に用いられている(例えば Wollack et al. 2002)。一方、特に VLBI のような 超長基線の観測には偏波の向きを合わせる必要のない円偏波が使用されている。本章にお ける研究の主な目的は、スペース VLBI 観測計画である VSOP-2 の受信機に用いる 22GHz 帯円偏波分離器の開発である。

(14)

図 2-1 一般的なミリ波帯電波望遠鏡の構成。

2.1.1.1

円偏波観測

円偏波観測

円偏波観測の

円偏波観測

の方法

方法

方法

方法

電波は光と同様に電磁波の一種で横波である。横波は波の伝わる方向に垂直に振動して いる。伝わる方向と振動方向を含む面を振動面という。一般に天体からやってくる電波は 特定の振動面を持たないが、特定方向の振動面が観測される場合もあり、そのような電波 を偏波しているという。偏波には振動方向がいつも一定な直線偏波と変位が波の進行とと もに回転する円偏波とがある。直線偏波はその振動方向と偏波の割合で表し、それぞれ位 置角と偏波率と呼ぶ。円偏波は右回りまたは左回りの円偏波率と呼ぶ。偏波の観測は天体 の物理状態の中でもとりわけ振動面を偏らせる磁場についての情報を与えてくれる。 VSOP-2 ではジェットのブラックホールに付随する磁場観測を行うために両円偏波観測 が仕様となっており、当然地上局の受信機についても同様の仕様が求められる(Tsuboi et al. 2008)。電波天文のミリ波領域における円偏波分離の方式については、主に 3 つの方式が存 在する(図 2-2)。1 の方式は 1/4 波長板を用いた方式で矩形導波管の電場ベクトル(E ベク トル)の向きと同じ向きの片偏波のみを受信する。2 の方式は 1/4 波長板を用いている点は同 様であるが、直交偏波計(OMT)を用いる事によって両直交偏波の受信が可能となる。よ って右旋、左旋の両円偏波が受信可能となる。3 の方式は導波管型の円偏波ポーラライザー を用いる方式である。この方式では 1/4 波長板の代わりに、導波管内にて位相を 90°ずらし 両円偏波を分離している。この方式では、光学系の 1/4 波長板での損失が無いためにより効 率的に円偏波の分離が可能となる。本研究では 3 つめの方式である導波管型セプタムポー ラライザーの開発を行った。ポーラライザーの詳細については 2.1.2 章で述べる。

2.1.1.2

受信機性能

受信機性能

受信機性能への

受信機性能

への

への

への寄与

寄与

寄与

寄与

円偏波ポーラライザーに求められる重要な性能として、低損失という点が挙げられる。 それは、宇宙からの微弱な電波を検出する電波天文観測において、高感度の受信機を実現 する事が非常に重要となるからである。ここでは、まずポーラライザーによる損失の観測 効率への寄与について述べる。 宇宙からの電波は非常に微弱であるため、そのままでは処理・解析ができない。このた め増幅する必要があるのだが、受信機に雑音があるとそれ自体も増幅してしまうため、天

(15)

図 2-2 電波天文のミリ波領域における円偏波分離方式。1 の方式は 1/4 波長板を用いた方 式で矩形導波管の E ベクトルの向きと同じ向きの片偏波のみを受信する。2 の方式は直交偏 波計(OMT)を用いる事によって両直交偏波の受信が可能となる。よって右旋、左旋の両 円偏波が受信可能となる。3 の方式は本研究である導波管型の円偏波ポーラライザーを用い る方式である。 体からの電波が雑音に埋もれてしまいかねない。このことから受信機及び伝送系の雑音を いかに減らせるかが受信機開発の重要な課題である。 観測によって得られる分光データのノイズレベル⊿Trmsは,主に大気及び受信機によるシ ステム雑音温度 Tsysと,以下の関係にある。

τ

f

T

T

rms sys

=

・・・・(式 2-1) ここで f は分光器の周波数分解能,τ は観測時間(積分時間)である。 雑音温度とは、システム内で発生する雑音のエネルギーをプランクの放射公式

1

1

2

2 2

×

=

kT hv

e

c

hv

I

・・・(式 2-2) を用いそれと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に換算して表される。ここで I:単位 面積、単位立体角、単位時間、単位周波数辺りの電波強度、h:プランク定数、k:ボルツマ ン定数、T:絶対温度、v:観測周波数、c:光速度である。 すなわち,あるノイズレベル(⊿Trms)を持つスペクトルデータを取得するのに要する観 測時間は,受信機や大気などを合わせたシステムの雑音温度 Tsysの二乗に比例する。従って, Tsysを半減することは観測時間を 1/4 に短縮できることを意味する。効率のよい観測を実現 するためには Tsysの値を低く抑えることが本質的な問題になる。Tsysを構成する主な要因に, ・受信機自体から発生する雑音

(16)

・大気(酸素,水蒸気など)による雑音 が挙げられる。よって,観測を効率良く行うためには,大気による雑音が少ない観測サイ ト(高地)を選び,かつ低雑音の高感度受信機を開発・使用することが重要となる。 では、22GHz フロントエンドの主な受信機雑音原因について考える。22GHz フロントエ ンドの構成を図 2-3(a)に示す。ここでフロントエンドのシステム雑音温度は以下の式で与え られる。 LNA pol amp pol LNA pol sys

G

G

T

G

T

T

T

=

+

+

・・・(式 2-3)

低雑音増幅器の増幅率

率(損失)

ポーラライザーの増幅

後段増幅器の雑音温度

低雑音増幅器の雑音温

温度

ポーラライザーの雑音

システム雑音温度

:

:

:

:

:

:

LNA pol amp LNA pol sys

G

G

T

T

T

T

したがって、増幅器の雑音温度と共にポーラライザーの損失がシステム雑音温度に大き く寄与する事が解る。また後段増幅器の雑音温度は、低雑音増幅器の増幅率が一般的に 30dB 程度である事を考えるとほぼシステム雑音温度に寄与しない事が合わせて解る。よってポ ーラライザーの損失をいかに抑える事ができるかが、観測効率を上げる上で極めて重要に なる事が解る。 図 2-3(a) 22GHz フロントエンドの構成。ホーンにて導波管モードへと変換された電波はポ ーラライザーへと入力され、右旋及び左旋に分離され低雑音増幅器へと導かれる。(b) 円偏 波。 (a) (b)

(17)

2.1.2

セプタム

セプタム

セプタム

セプタム型

型円偏波

円偏波ポーラライザー

円偏波

円偏波

ポーラライザー

ポーラライザーの

ポーラライザー

の原理

原理

原理

原理

セプタム型ポーラライザーは 3 つのポートを持った導波管デバイスで、片側には 2 つの 矩形導波管入出力、反対側には方形導波管の入出力が存在する。2 つの矩形導波管の間には ステップ状の壁が存在し、その壁の事をセプタムと呼び方形導波管を伝送する電磁波に対 してシングルリッジ導波管に似た役割を果たしている。方形の導波管は実際には 2 つのポ ートの役割を果たしており、それは方形導波管を 2 つの垂直なモードの電磁波が伝送する からである。 マイクロ波、ミリ波帯の導波管型のポーラライザーとして、図 2-4 の septum 部に示した ような高さの異なるリッジ導波管を繋げた構造(以下ステップリッジ構造)のポーラライ ザーを実験的に提示したのは Chen et al. 1972 である。この論文では、実際に製作したリッ ジ導波管の寸法、測定結果も提示され非常に高性能を示している。また、Albertsen 1983 で は挟帯域ではあるが、ステップリッジ構造とは異なるよりコンパクトな構造のポーラライ ザーが提案されている。また、Bornemann et al. 1999 ではダブルリッジ等その他の方式の考 察が行われている。しかし、Chen et al. 1972 ではポーラライザーの実験的な有用性について は明らかにされたが、セプタムでの電界、磁界のパターンについて詳細な解析は行われな かった。その後、特にセプタム部でのモードの解析について研究が進められており、Ege et al. 1985、Borneman et al. 1995、Noureddine et al. 2003 等でセプタム部での電磁界のパターン が分析された。これらの論文ではモード整合法と散乱行列を用いた解析結果が示された。 また解析手法については、Balaji & Vahldieck 1998、Bornmann & Ambt 1990、Bornemann & Arnbt 1992 で示されている。 それではまず始めに円偏波に対して述べる。直線偏波に対して、円偏波とは、電界ベク トルの先端が円を描くものである。さらに波の進む方向と同じ方向を見たとき、電界の先 端が右回りするものを正円偏波または右旋円偏波、左回りするものを負円偏波または左旋 円偏波という(図 2-3(b))。円偏波は二つの波(ここでは波 A と波 B と定義する)の振幅 を等しく、位相を 90°ずらして加える事により得られる。波 A と波 B の振幅が E、波 B の 位相が波 A の位相より 90°すなわち π/λ(rad)だけ遅れているとすると、波 A、波 B の電界 EA、EB及びそれらの瞬時値 eA、eBは、以下になる。

)

cos(

)

,

(

,

1 0 ) ( 1 0

e

z

t

E

t

z

e

E

x j t z A x x A

ω

β

β ω

=

=

a

E

・・・(式 2-4)

)

sin(

)

,

(

,

1 0 ) 2 ( 1 0

z

t

E

t

z

e

e

E

y j t z B y y B

ω

β

π β ω

=

=

a

− −

E

・・・ (式 2-5) ここで Ex1は波の X 方向の振幅、Ey1は波の Y 方向の振幅、axは X 軸方向の単位ベクトル、 ayは Y 軸方向の単位ベクトル、t は時間、ω は角速度、β0は位相定数で 2π/λ で定義される量 である。合成波は振幅が E で、偏波面が x 軸に対し、

z

t

z

t

z

t

0 0 0 1

)

cos(

)

sin(

tan

ω

β

β

ω

β

ω

θ

=

=

・・・(式 2-6) だけ傾いた電磁波となる。例えば z=0 とすると、θ=ωt となり、偏波面は角速度 ω で回転す る。波の進行方向(z 方向)と同じ方向を向いて眺めたとき、偏波面は右回りに回転してい るため正円偏波となる。逆に波 B の位相が波 A の位相より 90°進んでいると、θ=-ωt-β0z となり、回転方向は逆になります。すなわち負(左旋)円偏波になる。波 A,B の振幅が等 しくなく、位相差が 90°でないと、合成電界ベクトル先端の軌跡は楕円となる。このような 合成波を楕円偏波という。逆に、直線偏波は等振幅の正(右旋)円偏波と負(左旋)円偏 波の和で表される。z方向に進行する振幅 E の正負円偏波の電界を Erc、Elcとすると、

(18)

(

)

j z x y lc z j x y rc

E

j

e

E

j

e

0 0

,

(

)

β β − −

=

+

=

a

a

E

a

a

E

・・・(式 2-7) 両者の和をとると Erc+Elc=ay2Ee -jβ0zとなり、振幅が 2E、偏波面が y-z 面の直線偏波となる。 以上より、円偏波を分離又は発生するという事は直交する直線偏波の位相を 90°ずらす事と 等価であることが解る。 次にセプタム型ポーラライザーでの偏波の振る舞いについて説明する。セプタム型ポー ラライザーの構造を図 2-4 に示す。ポーラライザーは円偏波を分離するセプタム部、導波管 の向きを 90°変えるベンド部、出力導波管のサイズを標準サイズに変更するステップ部で構 成される。このうち性能に最も重要なのは両円偏波を分離するセプタム部である。ここで はセプタム部における円偏波分離の原理について述べる。2.1.1 で述べたように円偏波は位 相が 90°ずれた二つの直線偏波の合成であり、逆に位相を 90°ずらす事により直線偏波に分 離可能である。セプタム部では水平偏波に対して、垂直偏波の位相が 90°遅れる事により円 偏波を分離する。 図 2-5(a)に水平偏波のセプタムを通過する時の振る舞いを示す。水平偏波は TE10モード で方形導波管を伝送し、セプタム部に入力される。セプタム部にて信号は 2 分岐されるが 伝送モードは変わらずに矩形導波管へと出力される。よって位相の変化もない。一方垂直 偏波の場合を考える(図 2-5(b))。TE01モードで入力した垂直偏波は、セプタム部にて TE01 モードと TM01モード及び高次モードが混在したモードへと変換される。ここで管内波長が 延びるために水平偏波に対して位相が 90°シフトする。またセプタムを通過後には水平偏波 と同じ TE10モードとして矩形導波管内を伝送する。例えば、右旋偏波がセプタムに入力す る場合、2 つの垂直な偏波は図 2-6 のように表され、水平偏波に対して垂直偏波は位相が 90° シフトする。 セプタムは垂直偏波にとってはシングルリッジ導波管であるため、水平偏波 に対して位相が±90°に変換される事になる。セプタムの設計が正確に 90°シフトするよう に設計されていれば、結果として打ち消し合う偏波は port 3 へ進み、打ち消さずにそのまま 通過する偏波 port 2 へと進む。 よってセプタム型ポーラライザーにおいてポイントとなるのは、水平偏波と垂直偏波の 位相差が 90°になるという点である。そのためにリッジ導波管についてより詳細に説明す る。リッジ導波管は矩形導波管の H 面の片面、または両面の一部を突起させた導波管であ る。片面のみの場合にはシングルリッジ導波管、両面の場合にはダブルリッジ導波管とい う。リッジ導波管の解析については、例えば Chen 1957、Hoefer et al. 1987 が挙げられる。

(19)

図 2-5(a)セプタム部での水平偏波の振る舞い。信号は 2 分岐されるが、位相及び伝送モード に変化はない。(b)セプタム部での垂直偏波の振る舞い。方形導波管の入力時は TE10伝送モ ードであるが、セプタム部で TE10及び TM01モード、両高次モードが混在したモードとなる。 この時垂直偏波は水平偏波に対し、位相が±90°となる。 図 2-6 セプタム部の構成。入力は方形導波管側で、導波管サイズは 8.1×8.1mm である。 次にリッジ導波管について説明する。図 2-7 にリッジ導波管の断面図を示す。リッジ導波 管の電界分布は、同図の実線のように中央部に集中するため、ちょうど真中に静電容量を z 軸の方向に分布的に付加したことと等価となる。したがって、元の矩形導波管の TE10波に 関しては、導波管の横幅が等価的に広くなったのと同じことになり、遮断周波数が低くな る。その理由は次のようになる。 導波管の電磁界は、横方向に振動しながら管軸 z 方向に進行するものである。特に、周波 数が低く、励起波長が遮断波長に等しい場合には、横 x 方向に振動する“z 方向に無限長の 共振器”と考える事ができる。したがって、図 2-7 のように導波管の一部を凹ました場合の 遮断波長を求める問題は、このリッジの断面と同じ形の共振線路の共振波長を求める問題 に移し変える事ができる。すなわち a=2(l1+l2)、a´=2l2となる。 特性抵抗及び長さが RC1、l1、RC2、l2の線路を図 2-8(a)のようにつなぐと、この回路の共 振波長 λ0は RC1= RC2の場合には

(

1 2

)

0

=

4

l +

l

λ

・・・(式 2-8) であるが、比 RC2/ RC1が 1 からずれると λ0と異なった値をとる。同図から接続点で左右を見 込む入力インピーダンスはそれぞれ 1 1 1

jR

tan(

2

/

)

l

Z

=

C

π

λ

・・・(式 2-9) (a) (b)

(20)

図 2-7 リッジ導波管の断面図。図中の矢印は電界ベクトルの向きを表している。 0 1 2 3 4 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 RC2/RC1 λ /λ0 図 2-8 (a-c)特性抵抗変化共振回路(d)特性抵抗比 RC1/RC2による共振波長の変化。 2 2 2

jR

cot(

2

/

)

l

Z

=

C

π

λ

・・・(式 2-10) となる。ここで共振条件は、Z1+Z2=0 であるから、

(

2 1

)

2 1 2 2 1 1

cot

/

tan

0

cot

tan

θ

θ

θ

θ

C C C C

R

R

R

R

=

=

・・・(式 2-11) ただし 1

2

l

1

,

2

2

l

2

,

λ

π

θ

λ

π

θ

=

=

ゆえに 2 2 1 1

θ

θ

l

l

=

・・・(式 2-12) θ1 と θ2 に関する上の連立方程式は直接解析的に解くことはできないので、与えられた特性 抵抗比 RC2/ RC1と線路長比 l1/ l2に対して、図式的にとかなければならない。こうして得られ た結果の値をそれぞれ θ10、θ20とすると、これから共振波長 λ が次のように求まる。 1 10

2

l

θ

π

λ

=

または 2 20

2

l

θ

π

λ

=

・・・(式 2-13) l1= l2の場合の計算結果について図 2-8(d)に示す。またこの時の、λ/λ0は(式 1)及び(式 6) より以下の式のように求まる。

(

1 2

)

1 1 0

4

1

2

l

l

l

+

×

=

θ

π

λ

λ

・・・(式 2-14) ここで l1= l2及び、式を整理すると、以下の式となる。 (d)

(21)

1 0

4

θ

π

λ

λ

=

・・・(式 2-15) 図 2-8(d)から特性抵抗比 RC2/ RC1が小さくなると共振波長が伸びている。これは次のよう な事を意味する。RC2線路は開放端近くの部分を占めているので電流が少なくて電圧が大き い。すなわち集中定数的にいえば、だいたいにおいてコンデンサとして働いている。そこ で図のような等価回路を考える事ができる。ここでコンデンサ容量 C を大きくするほど共 振波長は長くなる。C を大きくすることは、RC2線路の分布容量 C0を大きくすること、した がって RC2を小さくする事に相当する。よって小さくすると λ が伸びた理由が説明付けられ る。図 2-8(a)の回路は図 2-8(c)のように 2 個用いて接続しても結果は同じである。これは、 リッジ導波管の遮断周波数を求める問題と全く等価である。以上より、リッジ導波管の遮 断周波数が、通常の矩形導波管よりも低くなる事が解る。

2.1.3

22 GHz 帯

帯ポーラライザー

ポーラライザー

ポーラライザー

ポーラライザーの

の設計

設計

設計

設計

ここでは、開発したポーラライザーの設計について示す。目標とする特性は、周波数帯 域は 20.5-25GHz である。VSOP-2 で実際に求められる帯域は 20.6-22.6GHz である。一方 で 23GHz に水メーザー、23-25GHz にはアンモニアの輝線が存在する。そこでそれからの全 帯域をカバーするようにした。目標とする性能は、周波数帯域 20.5-25GHz において、イ ンサーションロス 0.1dB 以内、リターンロス 20dB 以上、アイソレーション 20dB 以上とし た。インサーションロスは、2.1.1.2 で述べたように、受信機性能すなわち観測効率に直接 寄与するために出来得る限り小さく抑える事が望ましい。ここでは、表面損失等から予想 される理想値に近い 0.1 dB 以内という値を目標とした。リターンロスは各ポートに入力し た電波が何%反射するかを示す指標である。ここでは反射した電波が定在波等になっても 進行波に影響を及ぼさない基準として 20 dB 以上、すなわち 1%以下を目標とした。アイソ レーションは偏波間の分離を意味し、右旋偏波が出力されるポートにどの程度左旋偏波が 漏れ込んでいるかの指標である。回路に及ぼす影響としては、リターンロス同様に定在波、 進行波の特性悪化(振幅がずれた波同士で打ち消してしまうため)がある。目標値につい ても上記の理由から、リターンロスと同様の値とした。 設計はアンソフト社の 3 次元電磁界解析ソフト HFSS を用いて行った(Ansoft corporation)。 HFSS は基本定理として有限要素法を用いている。有限要素法では、重み付き残差法や変分 定理に基づいて微分方程式の問題が観測対象領域に関する元の問題と等価な積分方程式に 変換される。この操作によって対象としている微分方程式の次数をひとつ下げることがで き、計算負荷を減らすことができる。そして積分範囲を要素と称する三角形や四面体の部 分小領域に分割し、要素ごとの積分をすることにより有限要素方程式が得られる。有限要 素法の利点は、分割に用いられる要素は形、大きさ、向きなどを自由に選べることであり、 従って複雑な形状をした領域を分割し、解析することが容易にできる。また、微分方程式 の境界条件には、微分方程式が対象としている物理量が直接規定される条件だけではなく、 別の物理量で規定される条件も取り入れることが可能である。このような境界条件は、微 分方程式の問題を重み付き残差方程式や変分方程式の問題に置き換えるときに自然境界条 件として取り込まれ、対応する有限要素方程式が誘導される。このように有限要素法は解 析対象の形状や境界条件の取り扱いに優れている。歴史的には航空機や建築物の強度解析 に使われ始めたのが始まりで、Tuner et al. 1956 がはじまりであると言われる。構造力学に ついては、有限要素法は中心的役割を果たし実用化されていたが、電磁界解析で有限要素 法が使われるのはそこからやや遅れ 1960 年代後半から 1970 年代前半である。原因として

(22)

図 2-9 設計した 22 GHz 帯ポーラライザーのセプタム部の寸法(単位: mm)。 図 2-10 (a)導波管のサイズが連続的に変化していくテーパ変換器。(b)3 段のステップ導 波管変換器。各段の長さは、導波管の管内波長の 1/4 になっている。 応力を求める問題の場合には未知数がスカラー量でよかったが、電磁界を求めるにはベク トル量を求める必要があり、スカラーのポテンシャルを未知数として有限要素法を適用し ても得られる解には、物理的には出てくるはずがない非物理解(スプリアス解)が出てき てしまうからである。しかしベクトル基底関数が開発され、スカラー基底関数を使うノー ド・ベース解析要素法からベクトル基底関数を使うエッジ・ベース有限要素法へと発展し、 有限要素法の電磁界解析問題への適用は進んできた。 HFSS ではこのような原理を用いてマクスウェル方程式を数値シミュレーションにより 厳密に解くため、高周波デバイスの動作解析を高精度に求めることができる。また、アン ソフト社独自の ALPS 高速周波数スイープ法により、1 点の周波数解析結果から、周波数特 性を一度に求めることも可能である。これにより、指定した周波数帯に対する伝送特性を 連続的に捉えることができ、周波数を複数の解析を繰り返す従来の手法に比べ、Q 値の高い 急峻な周波数特性の変化も見逃すことなく、高速かつ効率良く結果を求めることができる。 図 2-9 にセプタム部の設計した寸法を示す。設計時の主な評価項目は、通過による損失を 示すインサーションロス、反射に損失を表すリターンロス、偏波間の漏れ込みの指標であ るアイソレーションである。セプタム部の設計は(kaiden et al. in press)のスケールモデル から最適化を行った。この値を元にセプタムの各段の高さ及び長さを、最適化した。セプ タム部単体の性能目標は周波数 20.5-25GHz 帯において、リターンロス 20dB 以上、アイソ レーション 25dB 以上とした。主にリターンロスを最小にしつつ、水平偏波と垂直偏波間の 位相差を 90°に合わせるように最適化を行う事によってこの目標を超える性能を得る事が できた。この時セプタムの高さは反射特性、長さの調整は位相の変化の寄与が大きい。円

(23)

偏波分離器は方形導波管から入力を行い、矩形導波管に出力される。出力導波管は、後段 の取り付けを考慮して左右に出力される形が望ましい。そこでベンドを取り付け、90 度導 波管を曲げて出力するようにした。 次にベンド部の設計について述べる。ベンドは 45°の直線で繋げるコーナー構造とした (図 2-4 の bend)。徐々に折り曲げていく E 面ベンドについては Kerr 2001 等で解析されて おり、本研究においても検討したが性能を得るためにはサイズを大きくする必要があるた めに、より小型で同程度の性能を得る事ができるコーナー方式を採用した。また、この方 式を用いる事で製作が容易になるというメリットもある。シミュレーションの結果では、 帯域内でリターンロス 35dB 以上の良好な特性を得る事が出来た。 次にステップ部について述べる(図 2-4 の step)。ポーラライザー部の出力矩形導波管の サイズは 8.2×3.85 mm である。これに対して K バンドの標準導波管サイズは、10.67×4.32 mm である。寸法の異なる導波管をつなぐ際には、寸法すなわち特性インピーダンスを整合さ せる必要がある。インピーダンスを整合するということは、伝送線路の適当な場所にイン ピーダンスの不連続部をつくり、これによって生じる反射波で負荷からの反射波を打ち消 す事である。寸法の異なる方形導波管を接続する場合には、(1)導波管のサイズが連続的 に変化していくテーパ変換器または(2)導波管のサイズが、特定の段数でその 1 段の長さ が 1/4 波長であるステップ変換器がよく用いられる。テーパ変換器を図 2-10(a)に、ステッ プ変換器を図 2-10(b)に示す。テーパ整合では二つの導波管のインピーダンスの比が 1.5 以 下の場合にはテーパ長を λg/2 の 3~4 倍にすることにより定在波比(Voltage Standing Wave

Ratio:VSWR)は約 1.05 となる。またステップ整合の場合は、接続すべき 2 種の導波管の特性 インピーダンスを Z01、Z03とすれば変成部の特性インピーダンス Z02は 03 01 02

Z

Z

Z

=

・・・(式 2-16) とし、長さはこの部分の管内波長の 1/4 とすればよい。ここでは、帯域 20%及び性能を考 慮し、3 段のステップ導波管を用いて導波管サイズを変更する事にした。 特性インピーダンスを算出するには、導波管の管内波長をまず求める必要があるのでこ こでは先に管内波長について述べる。TE10モードの管内波長 λgは、真空中での波長 λ 及び 導波管の遮断波長 λcより 2

)

(

1

c g

λ

λ

λ

λ

=

・・・(式 2-17) となり、例えば K 帯(18~26 GHz)の標準導波管(10.67×4.32 mm)において 22.5GHz(λ=13.3 mm)の信号の場合を考えると、

]

[

17

mm

g

λ

・・・(式 2-18) となる。同様の方法で各ステップの管内波長を求め、導波管長を決定する。 導波管の特性インピーダンスを求めるためには、導波管内の電磁界の形から考える必要 がある。導波管の電界と磁界の管軸に対して横向き(x、y)方向の成分は、z 方向に対して は進行波であることを考慮すると、次のようになる。

x

a

E

E

y

=

2

0

sin

π

[V/m] ・・・(式 2-19)

(24)

x

a

H

x

a

H

H

g x

π

λ

λ

π

α

sin

2

sin

cos

2

0

=

0

=

[A/m] ・・・(式 2-20) ここでαは進行波と管軸の成す角である。平行板線路と違って、電界も磁界も x 方向に変化 しているので、これを伝送線路と見るときの電圧や電流は定めにくい、例えば、最大電圧 は H 面の中央(x=a/2)で、最大電界 2E0の b 倍の大きさをもち、

b

E

V

(a/2)

=

2

0 [V] ・・・(式 2-21) また、H 面上を z 方向に流れる最大電流密度 J は x=a/2 点の最大磁界 2H0cosα に等しい。

α

cos

2

0 ) 2 / (

H

J

a

=

[A/m] ・・・(式 2-22) このように電圧や電流密度が、x 方向にともに sin(π/a)x の形で変化しているので、導 波管の特性抵抗 Rcは平行板伝送線路の場合のようにきちんと定まらない。そこで導波管の 中に単位伝送線路を考えてみる。矩形導波管を横電界 Eyと横磁界 Hxとに平行な線で正方形 の微小マスメにわけ、その一つ一つが微小な正方形断面(∆x、∆y、かつ ∆x=∆y)をもつ平行 板線路とすると、これは形が小さいから x 方向の E や H の変化にこだわらなくてもよい。 その電圧、電流は

=

=

x

a

E

y

y

E

V

y

2

0

sin

π

[V] ・・・(式 2-23)

=

=

x

a

H

x

x

H

I

x

2

0

cos

α

sin

π

[A] ・・・(式 2-24) この単位線路の特性抵抗を RC0Hとすると ∆x=∆y だから

α

η

α

cos

1

cos

1

0 0 0 0

=

=

=

=

H

E

H

E

I

V

R

x y H C [Ω] ・・・(式 2-25) ここで η0=120π [Ω] すなわち、導波管の単位特性抵抗は、平行板の場合の RC0の 1/cosα=λg/λ 倍に大きくなって いる。

α

η

λ

λ

α

cos

1

cos

1

0 0 0 0

=

=

=

g C C H C

R

R

R

[Ω] ・・・(式 2-26) よって全抵抗は横幅が a で、縦方向長さが b だから次の値になる。

a

b

R

R

=

CoH [Ω] ・・・(式 2-27) 以上のことから導波管の特性インピーダンスは以下となる。すなわち矩形導波管(a×b)の特 性インピーダンスは、

a

b

a

b

R

a

b

R

R

CH C H C g g

λ

λ

η

λ

λ

0 0 0

=

=

=

[Ω] ・・・(式 2-28) となる。 導波管寸法及び導波管長は、上式で求めた値を元に電磁界解析による最適化を行った。 例えばここでは周波数 22.5 GHz の場合には、Zin=315 Ω(8.1×3.85mm)、Zout=195 Ω(10.67×4.32

図 2-1  一般的なミリ波帯電波望遠鏡の構成。  2.1.1.1      円偏波観測円偏波観測 円偏波観測の円偏波観測のの の方法方法方法方法 電波は光と同様に電磁波の一種で横波である。横波は波の伝わる方向に垂直に振動して いる。伝わる方向と振動方向を含む面を振動面という。一般に天体からやってくる電波は 特定の振動面を持たないが、特定方向の振動面が観測される場合もあり、そのような電波 を偏波しているという。偏波には振動方向がいつも一定な直線偏波と変位が波の進行とと もに回転する円偏波とがある。直線偏波は
図 2-2  電波天文のミリ波領域における円偏波分離方式。1 の方式は 1/4 波長板を用いた方 式で矩形導波管の E ベクトルの向きと同じ向きの片偏波のみを受信する。 2 の方式は直交偏 波計(OMT)を用いる事によって両直交偏波の受信が可能となる。よって右旋、左旋の両 円偏波が受信可能となる。 3 の方式は本研究である導波管型の円偏波ポーラライザーを用い る方式である。  体からの電波が雑音に埋もれてしまいかねない。このことから受信機及び伝送系の雑音を いかに減らせるかが受信機開発の重要な課題である。
図 2-4  開発した 22GHz 帯円偏波ポーラライザーの構成
図 2-9  設計した 22 GHz 帯ポーラライザーのセプタム部の寸法(単位: mm)。  図 2-10  (a)導波管のサイズが連続的に変化していくテーパ変換器。 (b)3 段のステップ導 波管変換器。各段の長さは、導波管の管内波長の 1/4 になっている。  応力を求める問題の場合には未知数がスカラー量でよかったが、電磁界を求めるにはベク トル量を求める必要があり、スカラーのポテンシャルを未知数として有限要素法を適用し ても得られる解には、物理的には出てくるはずがない非物理解(スプリアス解)が出てき
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