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2.1.4 結果 結果 結果 結果と と と と考察 考察 考察 考察

2.1.4.2 測定結果 測定結果 測定結果 測定結果の の の の考察 考察 考察 考察

性能測定の結果インサーションロスの値がシミュレーションよりもやや大きい値となっ た。インサーションロスは、2.1.1.2章で述べたように受信機性能への寄与が大きいためで きる限り小さな値にする必要がある。本研究で扱う山口32m電波望遠鏡の22 GHz帯受信 機の仕様については、前段のポーラライザー及び前段の増幅器等は20 K程度まで冷却され る事が予定されている。その場合には、常温で平均0.15 dB値は問題ない値であると言え る。しかし、今後常温での使用の機会があるかもしれない事を考えるとその原因について 究明する事は重要である。そこで、本章ではインサーションロスの増加原因について主に 2点の考察を行った。

1 点目は加工時にリッジ最上部と上面導波管面との間に隙間がある場合である。ポーラ ライザーの上部と下部は、ネジで固定しているがセプタム部に直接ネジ穴をあけて固定し ている訳ではない。また製作時には下部に逃げ溝を設ける事で導波管面での接触が良くな るように工夫している。しかし、実際にはセプタム部上面は上下止めネジから遠いために 直接力がかかりにくいために、隙間が生じやすい事が考えられる(図 2-15(b))。この部分 に隙間がある場合には、セプタムを抜けた本来TE10モードで伝送すべき矩形導波管部にお いても、TM01モードが励起する事になる。伝送モードが異なるという事は伝送時の管内波 長が異なる事を意味するため、基本モードのロスは大きくなる事になる。また、ベンド手 前の導波管面で反射する成分も存在してしまう為に、リターンロスの悪化も懸念される。

今回の解析に用いたモデルを図 2-15(a)に示す。Port1 はセプタムに対して水平な偏波を垂 直偏波、垂直な偏波を水平偏波とした。解析の結果を図2-16に示す。結果から隙間は5µm 付近から性能が劣化するという傾向が見えた。これは、実際には電流が流れる導波管表面 で電気的な非接触が生じる事が原因として考えられる。また、全体的に導波管の隙間が大 きくなるにつれて値も悪くなるが、特定の隙間で突然劣化するという結果は見えなかった。

おおむね5µm程度までに抑えられれば、リターンロス20 dB以上、アイソレーション20 dB 以上、以内という性能が可能という見込みが得られた。しかし、5µmという精度はフライ スによる加工精度においては非常に小さいため実際にはその値を指定するのは難しい。対 策としては、加工時にセプタム面を周囲の導波管面よりも5~10µm程度高く残すという方 法が考えられる。この場合には例えば導波管下部と上部を合わせた時には、当然セプタム が一番に接触する事になる。但し、ネジ止めする事によりおそらく周囲の導波管面も接触 すると思われるが、それによる性能の劣化については気をつける必要がある。またセプタ ムが歪むないしは傾くという問題も考えられる。セプタムが傾いた場合については以下に 述べるが、結論を先に述べれば影響は小さい。従って、このセプタム部を高く残すという 加工方法は、性能改善のためにも有力な方法の一つであると考えられる。

2点目はリッジ部が傾いた場合のモデルを作成し、その傾きの大きさがポーラライザーの 性能にどのような影響があるかについて解析した(図2-15(c))。22 GHz帯のポーラライザ ーはフライスによる切削方式で製作を行った。従って片側の矩形導波管の切削時には問題 がないが、後から削る導波管側の(セプタムを残す)加工を行うさいにセプタムが傾く危 険がある。セプタムの厚さは0.5 mmと非常に薄いためこの問題は無視できない。しかし、

セプタムの厚さは帯域の広さに影響するので力学的な強さを求めて必要以上に厚くする事 はできない。セプタムが傾いた場合の解析の結果を図 2-17 に示した。解析の結果から、

傾きは200 µm程度まで性能には影響しない事が解った。セプタムの厚さが0.5 mmである

ことから、事実上その40%が傾く事は考えにくい。またテスト加工を行った際にもそのよ うに大きく傾く事はなかった。全体的に傾きが大きくなるにつれて、やや値も悪くなるが ほぼ影響は見えなかった。また、特定の値で突然劣化するという現象は見えなかった。こ

れについては、セプタムが傾いていても、導波管内の電界のモードは傾きを200 µm程度ま でに抑えられれば、リターンロス20 dB以上、アイソレーション20 dB以上という性能が 可能という見込みが得られた。

図2-15 (a)HFSSのモデル。各ポートは上記のように設定した。(b)背面図と隙間部分の拡

大図。下の図で囲んだ部分の高さを変えた解析を行った。(c)拡大図及びリッジを上から観 た図。図中は傾きの最大値を1 mm にしているが、実際にはもっと値は小さい。また、リ ッジの最上部で傾きが最大となり、そこからベンドに向かい傾きが小さくなるようにした。

Port 1

水平水平水平 水平 垂直 垂直 垂直垂直 Port 2

Port 3 (a)

(b)

(c)

図 2-16 リッジ最上部と上面導波管の間に隙間がある場合のシミュレーション結果。(a)

インサーションロス(b)リターンロス S22(c)アイソレーション(d)リターンロス S11 水平(e)リターンロスS11垂直。

図2-17 セプタムが傾いた場合のシミュレーション結果。(a)インサーションロス(b)リ ターンロスS22(c)アイソレーション(d)リターンロス S11 水平(e)リターンロス S11 垂直。

2.1.5

まとめ まとめ まとめ まとめ

私は新たにVSOP-2地上電波望遠鏡に用いる22GHz帯の円偏波ポーラライザーの開発を行 った。VSOP-2では主要な観測テーマとしてブラックホールから発生するジェット構造に対 する磁場の三次元構造の解明が挙げられる。そのためには、右旋、左旋の両円偏波観測に よる偏波角及びファラデー回転量度の観測が必要である。そのためには、高性能且つ広帯 域のポーラライザーの開発が不可欠であった。

本研究で開発したポーラライザーの特徴は、今までにない帯域が20%という広帯域化に 成功した事である。地上電波望遠鏡用のポーラライザーに要求される周波数帯域は20.5-

25GHzである。これは、VSOP-2の観測帯域20.6-22.6GHz、同周波数帯の主な輝線である23GHz

の水メーザー、23-25 GHzに存在するアンモニア輝線をカバーする帯域が単一の電波望遠鏡 としても用いられる地上電波望遠鏡には求められるからである。そのためポーラライザー にも広帯域化が求められていた。

製作したポーラライザーの性能を、ベクトルネットワークアナライザを用いて測定した 結果、帯域20.5-25 GHzにおいて、インサーションロス平均0.15 dB、リターンロス20 dB以 上、アイソレーション20 dB以上という性能を得た。これはVSOP-2の性能目標を満たす性能 であり、また地上電波望遠鏡の観測要求を満たす帯域を同時に得る事ができた。しかし、

インサーションロスに関してはシミュレーションとの比較という点においてやや性能が悪 かった。そこで、(1)上面導波管とセプタム上面が十分に接触せずに、隙間が生じている 場合、(2)セプタムが傾いて加工された場合について考察を行った。その結果今回のイン サーションロスの性能については、(1)の接触の悪さが原因として考えられ、インサーシ ョンロス0.1dB以下という性能を得るためには、隙間をおよそ5µm以下に抑える必要が有る 事が解った。またセプタムの傾きについては、200µm程度傾いた場合においても性能への顕 著な影響は見られなかった。以上の点から、22 GHz帯ポーラライザーのような2点方式によ る製作を行う場合には、(1)に留意して製作を行う事で更なるインサーションロスの低減、

すなわち低損失化が期待される。

本研究で開発したポーラライザーは、現在山口32m電波望遠鏡への搭載が予定されている。

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