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数学学習におけるネット利用2

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Academic year: 2021

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全文

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要旨

数学学習におけるネット利用 2

Math and Web study

小 林 健 一 郎

K

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KOBAYASHI

(令和元年9月1日受理) 基礎的な数学の学習にWebを利用した。その実際を紹介する。

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数学教育、 Web、PHP

1

.

序論 近年、社会全体が多様化しており、学生の資質・バックグラウンドも多様化している。 2017年度、著者は基礎数学(中学∼高校程度の数学で、就職試験を意識したもの)を担当 した。受講生は 40名程度であったが、その中でさえ指示された教材を「やさしすぎる」と 感じる学生から「難しい」と感じる学生まで多様であった。その多様性からくる問題を「Web による宿題」のシステムで解決する(緩和する)方法を前論文で紹介した[ 1]。著者は、同 じシステムを2019年度の基礎数学にも使用した。 2019年度の受講学生は30名程度であま り変わらなかったが、出席率や成績に変化が見られた。本小論ではこれを報告し考察する。

2

.

W

e

b

宿 題 前論文 [l]で提示したものであるが、ここでも簡単に紹介する。詳細に関しては、前論文 を参照していただきたい。 Web宿題(学生諸君には「今日のテスト」とした)は、「毎日 1題ずつの宿題を 100日 間出題するもの」で、それによって次のように成績をつけることにした。もちろん、学生 諸君にそのように宣言もしている。

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・成績は宿題点とテスト点の合計とする。 ただし、合計が 100点を超えれば 100点とする。 その主な目的は「多様な学生に対応するため(自習できる学生には自習してもらい、そ うでない学生には講義で対応する)」が第一であるが「学生諸君に毎日数学に触れてもらう」 ということもあった。 2017年度には、 7日は紙で行い実際の Web宿題は 93

H

間となった。紙で行った分は統 計に反映していない。 2019年度は 100日間すべて Webで行った。 2019年度には「Web宿 題を何回か行ったが試験を受けなかった学生」が3人いたが、これも統計から除外した。 Web宿題は 1日 1題しか出題されず、その日が過ぎれば解答できないようにした。ただ し、「 1日 1題」は、より正確には、図 lのようなアルゴリズムで行った。 問題か出される

字 生 か 解 答 す る

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1点獲得して終了 似たけll問難か出される

字 生 が 解 笞 す る

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1点獲得して終了 点 数 は 獲 得 で き ず 終 了 図

1 W

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宿題のアルゴリズム Web宿題の最初の解答が不正解だった場合、「もう 1回ボタン」が現れ、それを押すと 数値が異なる間題で解答できるようにしたのである。 また、問題には 4 8通りのバリエーション(数値等が違うもの)があり、アクセスし た人によって、確率的にだが違う間題が出るようにした。したがって、誰かが最初に行っ た結果を他人がそのまま利用することはできないはずである。これらは、

PHP

で作成した。 宿題を 100題正解した学生はテストで 0点でも成績は 100点になる。ただし、テストを 受けない場合は宿題点が 100点でも成績を 0点にすることとし、学生諸君にも周知を徹底 した。 2019年度は講義の参加者数は毎回 5、6人だったが、宿題を 50日以上行った学生は 20 人、 20日以上行っていた学生は 26人だった。テストを受けたのは 33人である。

(3)

講義参加者数が少なくて著者は大いに驚いたが、宿題を 2日に 1度以上(休みの

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も含 めて)行っていた学生が 6割以上いたことも驚きであった。 なお、獲得した点数の確認はニックネームで公開するようにしていた。

3

.

テ ス ト と 宿 題 の 結 果 宿題は Web上の採点であるため、選択問題とした。 2017年度の初めには選択肢を 4つ に固定していたが、選択肢を増やすと正解率がかなり下がった。残念ながら「何も考えず に解答し、運よく当たれば良い」と考えた学生がいたのかもしれない(証拠はない)。さら に言うと、 1回目に不正解となってから 2回目の解答まで数分以上かける学生が最も多い が、 1分以内に再解答し再び間違っている学生もいた。これも「考えずに選択した」とい う可能性が高いだろう。 2019年度ははじめから選択肢を多めに取ったが「ランダムに解答 しているように見える学生」はいた。 テスト結果は次のようになった。 点数 2017年度人数 2019年度人数 0

3 1 10 19 6 4 20 29 3 2 30 39 8 3 40 49 6 2 50 59 1 4 60 69 4 5 70 79 3 2 80 89 3 3 90 100 1 6

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2017

年度テスト点

9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

_ _

I

I

0 9 10 19 20 29 30 39 40 49 50 59 60 69 70 79 80 89 90 100 図2 2017年 度 テ ス ト 結 果

2019

年度テスト点

9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

_

_

0 9 10 19 20 29 30 39 40 49 50 59 60 69 70 79 80 89 90 100 図

3 2

0

1

9

年度テスト結果 テスト点 2017年度 2019年度 平均 42.6 50.6 標準偏差 24. 7 24.5

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問題のレベルは両年度同じ程度である。したがって、 2019年度の学生の方がわずかだが 成績が良いと言える。 一方、 Web宿題点の結果は次の通りである。 Web宿題点 2017年度人数 2019年度人数

10 4 10 ∼ 19 5 3 20 29 4 2 30 39 3 2 40 49 2 2 50 59 2 4 60 69 6 5 70 ∼ 79 3 2 80 89 3 3 90 ∼ 100

6 2017年度は最高配点が 93点である。

2017年度Web宿題点

12 10 8 6 4

一 一

l

2

一 一

0 9 10 19 20 29 30 39 40 49 50 59 60 69 70 79 80 89 90 93

一 一

4 2

0

1

7

年度

W

e

b

宿題結果(横軸は点数、縦軸は人数)

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2019年度Web宿題点

10

8 7 6 5 4 3

I

l l

l l

2

1

I

0 9 1019 20 29 30 39 40 49 50 59 60 69 70 79 80 89 90100 図5 2019年度Web宿題結果(横軸は点数、縦軸は人数) 宿題点 平均点 35.4 換算平均点 I標準偏差 2017年度 38. 1 2019年度

54. 5

54. 5 換算平均点= (平均点/満点) X100 29. 1 32.2 こちらもテスト点同様平均点が 2019年度の方が 2017年度より高い。(実は、 2019年度 はWeb宿題に不備があり「解答した学生には無条件で 1点足すJということが 2回あっ た。その影響を実質受けた学生数は正確に記録していないが多くて 5、6人と思われる。仮 に全員が影響を受けたとして全員から 2点引いても 2017年度より良いと言えるだろう。) Web徊題の問題も 2017年度と 2019年度でほとんど変わらないが、著者としてはむしろ 「少し難しくした」と考えている。それは、①2019年度は選択肢の数をはじめから多くし たこと、②2017年度には初期の段階でかなりの基本問題を出したが 2019年度は少なめに しこと、また、③2017年度は後半に前半と同様の問題を繰り返し出題したが 2019年度に はそうしなかったことがあるためである。 テスト点と Web宿題点の相関図は次のようになる。

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テスト

Web

宿題相関

90 80 70 0 0 0 0 6 5 4 3 → 癸

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翌 逹

q

a

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20 10

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. .

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. .

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︱ ︱

10 20 30 40 50 60 テストの点 → 70 80 90 100 図

6 2

0

1

7

年度テスト点と

W

e

b

宿題点の相関

(8)

テスト

Web

宿題相関

100 90 80 70 → 60 奨

s

蜀連

q

a

M

50 40 30 20 10

——-•

-.

-—

••

• ー

. .

10 20 30 40 50 テストの点 60 70 80 90 100 → 図

7

2019年度テスト点と Web宿題点の相関 相関係数は 2017年度が 0.27で、 2019年度が 0.54である。 2017年度は「弱い正の相関」 で、 2019年度は「正の相関」と言える。 テスト点が平均以上の学生と未満の学生で Web宿題点の平均をみると次のようになる。 Web宿題点の平均 Web宿題点の平均 (2017) (2019) テスト点が平均末満 29. 3 39.4 テスト点が平均以上 42.2 72.5 下段/上段 1. 4 1.8 2019年度は「テスト点が高い学生ほど Web宿題点も高い」という傾向があると言える だろう。もちろんこれは「正の相関があること」の 1つの見え方だが、 2017年度にはこの

(9)

傾向が弱く、「テスト点上位者に限ると Web宿題をしていない学生がしていた学生と同程 度近くいた」という結果になったが、 2019年度では「テスト点上位者には Web宿題をし ていた学生多い」ということが見える。 Web宿題が平均点以上の学生と未満の学生でテスト点の平均を取ると次のようになる。 テスト点の平均 テスト点の平均 (2017) (2019) Web宿題点が平均未満 37. 7 35. 3 Web宿題点が平均以上 48.2 61. 8 下段/上段 1. 3 1.8 これも 2019年度はテスト点と Web宿題点に正の相関があるということを別の角度から 示しているだけだろう。 2017年度の結論は次のようなものであった。 ・テストの点の上位者には Web宿題をやっている人とやっていない人が同程度いる。 ・テストの点の下位者では Web宿題をやっている人の方がテストの点数が高い傾向 がある。 2019年度にはそのような構造はなく、単純に次のようになる。 ・Web宿題点とテスト点には正の相関がある。 前論文でも書いたが、 Web宿題点とテスト点の間に相関があってもそれが因果関係とは 言えない。つまり、 Web宿題とテストの両方の点が高くても「Web宿題をよくやったから テストで良い点を取った」ということはできない。 それでも、「Web宿題とテストに相関がある」という事実は一考に値する結果だろう。

5

.

考察

特徴的なケースを見る。 テストが 70点以上の学生 人数 2017年度 7 Web宿題点の平均 50. 5

(10)

テストが 20点末満の学生 人数

2017年度 2019年度

3

11.3 2017年度の宿題は 100点満点に換算している。 Web宿題点の平均 16. 5 前述のように、 2017年度はテスト点の高い学生にも Web宿題点の低い学生(宿題をし ていない学生)が混ざっていたが、 2019年度ではテストの点が高い学生はほとんど Web 宿題点が高いと言える。 2019年度で、テストの点が低い学生の結果に次のようなものがある。個人を特定されな いため一部しか表示していない。また同様の理由で正確には記さないが、 Web宿題点の合 計は高目の学生である。 日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日 9 0 2 3 4 5 6 7 9 0 1 2356780 1 1 2 3 4 5 7 8 9 0 1 0 1 1111111 2 2 2 2 2 2 2 2 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 月 月 戸 FF 月 月 戸 FF 月 月 戸 FF 月月戸戸戸月月戸戸戸月月月月 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 6 0 6 0 6 0 6 0 6 0 6 0 6 0 6 0 6 0 6 年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 • •• ••• •• ••• •• ••• •• ••• •• ••• •• • 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 x o o o x o o x o x x x x x x x x x x o x x o x x x x x x 図

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テスト点下位者のWeb宿題結果の一例 (0が成功、 Xが失敗を表す。) 記録は取っていないが著者が見た範囲では解答時間はあまり取っていない。つまり、「解 答時間をほとんどかけずに同じタイプの問題を2回間違える」ということを何日も続けて いるのである。やはり、「ただクリックしているだけ」を疑わざるを得ない。しかし、そう であってもそれを何日も続けていることに著者はショックを受けた。あるいは、本当にま じめに考えて間違い続けていたなら、さらにショックは大きい。 また、 Web宿題点が高いのにテスト点がそれほど高くない学生もいる(医 7参照)。著 者が確認した範囲では、まじめな学生に見える。希望的には「彼らはWeb宿題をたくさん したことによってテスト点が向上した」と解釈したい。これらの学生は著者には特定でき るので、個別に事情を調査したいと考える。

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このように特異な例も散見されるが、全体は「宿題点とテスト点には正の相関がある」 となることは重ねて述べておく。 2017年度と 2019年度で大きく異なるのは出席率である。記録は取っていないが 2017年 度は半数以上の学生が出席していたのに対し、 2019年度は 10%強(5、6人)程度の出席 率であった。出席率とは逆に Web宿題の得点(成功回数)は、 2017年度は 35.4で、 2019 年度 54.5と逆転している。なぜそうなったのか今の段階ではわからない。出席率の変化の 理由の 1つは、 2017年度の講義は 3限だったのに対し、 2019年度には 1限だったためか とも思う。また、「Web宿題をやっていれば、講義に出る必要はない」という情報がより 広く(ウソではないと)共有されたためかもしれない。 本小論で紹介した事実は、まとめると「授業に出ずに宿題をやっていた 2019年度の学生 の方が成績が良い」ということになる。声を張り上げて教えている側としては残念ではあ るが、これも 1つの結果だと思う。 (Web宿題には解説も多くあり、その作成には講義時 間以上の時間を割いていることも付け加えておきたい。)ただ、少なくとも 2、3名のテス 卜裔得点者・ Web宿題高得点者は毎同出席していた。彼らから、「Web宿題で点数を積み 上げていくことに達成感を感じる」という意味のことも直接聞いている。 2017年度と 2019年度でテスト点、 Web点とも標準偏差はあまり変わっていないが、図 2と図 3、図 4と図 5を比べると、どちらも 2019年度の方が山が低くなっているように見 える。これは学生の多様化が進んだことを表しているように思える。 1つ気が付いたことがある。それは、それぞれの学生が Web宿題をする時間帯がだいた い決まっているということである。日付が変わった直後に解答する学生、早朝の 3 時∼ 5 時に解答する学生、夕方に解答する学生などさまざまだったが、「同じ学生は同じ時間帯に Web宿題をする傾向」が強かったのである。それは、それぞれに生活のリズムがあり、そ の中で Web宿題をする時間帯が決められるからだろうと思う。この事実は一見当たり前 のようだが、著者には指導上の重要なポイントであるように思える。たとえば、ときどき 語られる「時間が空いたとき、臨機応変に Webを見て勉強する」というスタイルとは違う スタイルを学生は取っているということである。 謝 辞 ご協力いただいた静岡産業大学情報学部の先生方、また、学生諸君に感謝します。 参考文献

参照

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