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<研究ノート>グラス・スティーガル法をめぐる若干の考察 利用統計を見る

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の考察

著者

辻 信二

著者別名

Tsuji Shinji

雑誌名

経営論集

29

ページ

197-216

発行年

1987-03-23

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005765/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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[ 研究ノート]

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グラス・ステ ィーガル法をめ ぐる若干 め考察

辻 信 二 1 。2.3.4.5.6.ま え が き 一 論 点 の 整 理-証 券 業 務 の リ ス ク と は 何 か ¶-・ ・ 利 益 相 反 の 弊 害 △‥ “AreBanksSpecial? ” 論 争 子 会 社 の 利 用 あ と が き 一 残 さ れ た 検 討 課 題-1。 まえ がき 論点 の整理-ア メリカにおけ る金融 のderegulation は, 第1 段 階 の金利 自由化を完了 し て,業 際問題 と州際業務問題 の第2 段 階 に 移っ てい る。 ここ で業 際問題 と は, 銀行 ・証 券 の分 離, すな わち グ ラス・ ステ ィーガ ル法問題を 意味す る。 そ れは, 同じ 「垣根」を もつわ が国に とって も, 重 大な関 心事 であ る。 し グラス・ ステ ィーガル法(以下,GS 法とよ1) に つい て は, すでに・た くさ ん の文 献があ る。 また同法 の下 でのい わ ゆ るグレ ー ・ゾ ーンを めぐって, 近 年 , 様 々な事 実や 論争, 訴訟, 見 解が 積み重 ねら れてい ることは, 周知の通 りであ る。 そ のすべ てを 論ず るこ とは 小論 の範 囲を こえ る。 本 稿は,銀行 ・ 証 券 の分離問題 を 考え る上で必要 と思 わ れ る若干 の論点 に限 って, 予備的な 考察を試み た ものであ る。 はじ めに, 論点 を 整理 す るため の手懸 りとし て, わ が 国でも屡 々言及され てい る二つ の報告書 につ い て, 簡単 に 触れてお こ う。 そ の一つ は, モルガン銀 行め“RethinkingGlass-Steagair であ る。1984 年12 月に公表 された。 当 然 のこ となが ら,GS 法撤廃 論 であ る。 議論は, 次 の四 つ0 論 点を めぐって展 開され てい る。 こ の うち ① と②は,GS 法 の撤廃 (すなわち銀行の証券業務進出)に よって生 ず る コ‥スト(マ イナス面)で あ り, ③ と④はそ のベネフ ィット(プラス面)であ る。

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① 証 券業務 は リ スキ ーであ るから, 銀行経営 の健全 性 ・安全性 を 損な う。 ② 利益 相反 (conflictofinterest)の弊害が生ず る。 ③ 証 券 市場 の 競争を 促進す る効果 があ る。 ④ 銀行業に とって多 角化 め利 益(economyofscope )を もたらす。 伺 リポートに よれば, 両 者を 比較 考量 す ると, コ ストは 小 さ く, かつ 管理 可 能 であ るのに対し て, ペ ネフ ィット のほ うがは るかに 大 きい。 なぜなら,証 券業 務の リスクとは, 「短 期」 の価 格変 動 リ ス クに限ら れて お り, 現存 の銀 行業 務に と もな う他 の リス クに比べて, と くに 大 きい とはい え ない。 また健全 注・安全 性に関す る問題は,Gs 法制 定以後 に 行 なわれた 預 金 保険制度り 導入や 連 銀法 の改正に よって解消ず みであ る。 一 方,利 益相 反 の弊害 も, そ の後 の デ ィス クpr ージ ャ ーの義務づけ やSEC の規制を遵 守 す れ ば,充 分防 止 で きる。 要す るに, 銀行 ・証 券を 「分離 」す る必 要は なか った, とい うのが同 リポ ート の骨 子であ る。 なお, こ こで 銀行 の証 券業務 への進 出とは, 銀行持 株会 社子 会社 に, 企業 の発 行す る証 券(社債および株式)のunderwriting (引受)お よびdealing (売 買)を 許容す る こ とを 意味し てい る。 これに 対し , も う一 つ の報 告書は,SIA (証券業者協会) が1985 年3 月 に ま と めだQuestioningExpandedBankPowers" であ る。 もち ろ んGs 法擁 護 論を内容 とし てい る。 そ の要 旨は次 の四つ であ る。 ① 現行 の銀行 シ ステ ムは脆 弱であ り, リスキ ,な証 券業 務に 進 出す べ き でない。 ② 証 券市場 はす でに 充 分に競争的 であ るレ ③ 銀 行は 「特 殊な存 在」 とし て諸 々の特典を与 えら れてい る。 そ の特典 を もって証 券業 務 に 参入す れば, 公正 な競争が保証 さ れない。 ④ 証 券業 務に限 らず , 銀行 の他業 禁止は不変 の理念 であ る。 こ の うち重点 は, ③ と④ と りわけ ③にお かれてい るよ うに 思 われ る。 銀行の 参入 が競争条件 の イコ ール・ フッテ ィン グに反 す ることを 強 調す る のは, 新 し い問題 提起 とい え る。 十 以上二つ の報告 書 から もわか る ように,銀 行の証券業 務を 禁 止す る論拠 の 中 心は, ① リスキ ーであ るこ と,②利 益相反 の弊 害, の二つ にあ る。し たが って 本稿 も, まず これ らを 対象 とす る。 このほか, 第3 の弊 害 とし て挙げら

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グラス・スティーガル法をめぐる若干の考察199 れ るり は , 銀 行 へ の 経 済 力 集 中 であ る。 また , 銀 行 の 証 券 業 務 に よ っ て 証 券 市 場 刈 のGs 法 制 定 当 時 に は 問 題 で あ っ た が , 今 で は 重 要 性 を 失 な っ てい る と思 わ れ るの で, こ こ で は 割 愛 し よ ‰ また , モ ル ガ ン ・ リ ポ ー ト の い う ベ ネ フ ィ ッ ト(競争促進 効果 と多 角化 の利益)i>. 重 要 な 問 題 だ が , 対 象 外 と す る。 そ の代 り,SIA リ ポ ー ト に おけ る③ と ④ の問 題 を 併 わ せ て 検 討し て お きた い 。GS 法 論 議 も 最 終 的 に は , 銀 行 と は 何 か, ど こ ま で 特 殊 な 存 在 か, とい う一 般問 題 に 帰 着 す る と思 わ れ る か ら で あ る。 そし て 最 後 に , 子 会 社 の 利 用 に つい て 考 察 す る。 銀 行 の 証 券 業 務 とい って も, 銀 行 本 体 で 行 な う場 合 と, 証 券 子会 社 (銀行の, もし くは銀行持株会社の)で 行 な う場 合 と の , 夫 々 の利 害 得 失 は ど うか 。 犬 以 上, ① リ ス ク, ② 利 益 相 反 , ③ 銀 行 の 特 殊 性, ④ 子 会 社 の利 用 , の 四 つ が 本 稿 の 課 題 であ る。 1) 本稿でグラス・スティーガル法とは,1933年銀行法のうち証券業務に係わる4 ケ条(16,20,21,32 条)を指す。 2. 証 券業 務の リス クとは 何か (1)Underwriting とDealing お よそ リス クの ない企業 活動はあ りえ ない。 問題 は, そ の中 身 と大 きさで あ る。 はじ めに 銀 行業 務 と証 券業務につ い て夫 々の リス クを 比較し てみ よ う。 銀行は, 顧客 に代 わ って リス クを 負担す る。 銀 行業 の リス クとは, 信用 リ ス ク, 流動 性 リス ク, 市場 (金利) リ ス ク, の三 つであ るが, 貸出先 が倒産 し て も(信用リスク), 貸出が 長期に固定し て も(流動性V ス ク),金利 が低下 し て も(金利リスク), 預金者 に対す る支 払金額 ・期間 ・金利 が変 更 され るこ とは ない。 銀 行が 顧客(預金者)のリス クを 肩替 りす る から であ る。 だから, 顧客はいっ さい リス クを 負わない。そ れが間接金融 の本質であ る。 顧客が 負 担す るリス クとは, 銀 行そ の もののデフ ォルト ・リス クだけ 七あ る。 これに対し 証 券業 の場 合 は, リス クは顧客(投資家)に 移転 し , 証 券業 者 は リスクを 負わない のが原m であ る。 買 った証 券が値下 が りす れば, 損を す るのは投資家 であ る。 証券 業が 本質的 に ブpt ーカ ーであ るとい われ るのは,

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そ のた めであ る。 そこに間接 金融 と直接 金融 の本 質的な違い があ る。 もちろ ん引受 行為 とか上場基 準とい った ス クi; ーンを 通過 するこ とに よっ て, 証券 そ の ものの 質が大 幅に 向上 す る から ,そ れ だけ 投資家 の リス タ負担 は軽 減さ れ る。 これ が証券業務や証 券 市場 の重要 な役 割 であ るこ とは言 うまでもない。 し かし,/ だ から と言ってそ の リス クを 証券 業者 が 負担す るわけ ではない。 わ が 国では, これ まで社 債 のデフ ォルト に 際し ,受 託銀行 が買戻し に応じ て投 資 家を 救済し て きた とい う歴 史があ るが,そ れ は社 債の 本質では ない。 本来 社 債 のデフ ォル トは投 資家 の負 うべ き リス クであ って, そ れが 自己責 任 とい うもの であ る。そ の代わ り証 券業 者が倒 産し て も投資家 に何 の影響 も及ぼ さ な い。 ヶ この よ うに, 原則的に は証券 業 の リス クは 顧客に 移転す るが,し かし 証券 業 に 固有 の リス クも存在す る。 そ の大 宗 が引受 の リス クとデ ィーV ン グ・リ ス クであ る。 引受 け(アンダーライティング) とは, 証券 の発 行に際し , 売れ残 ったら 自 ら 取 得す る ことを 発行者に約 束し て, そ の証 券を 売 り出す行為 であ る。 通常 の場 合 は直ちに売 り切っ てし ま うだろ う。し かし , 市場 の見 通し を誤 って条 件 を 設定し たため売 れ残 りが 生ず れば, 手 持ち せざ るを えない。 発行者に対 し ては所定 の価格で全額を支 払 うから, 手 持ち 分は資金 負担 となる。 それを 避 け ようとす れば,条 件を悪 くし て, 損をし てで も売 り切ってし ま う必要が あ る。 ロ ット が大 きい から枡当 の リス クであ る。そ の リス クは, 市場 の実勢 が 当初設定し た条件を下 回わ った とい う意味 で, 手持ち(ポジシa ソ)に 伴な う価 格変動 リス クであ る。 一 層条 件 が悪 くならない うちに, で きるだけ短 期 間 で売 るこ とが要請さ れる。 ‥ 一 方, デ ィーリン グとは, 自己 の計算に より (顧客0 代理人としてではなく) 証 券を 売買す る業務 であ る。 顧客 の注文 に 敏速 に対応す るために は, あ る程 度 の手持在 庫を 持つ必 要があ る。 そ れ が ポジシ ョンであ る。 の みなら ず積極 的 に ポジシ ョンを持つ ことに よっ て, 価 格変 動に 伴な う収益を 期待 す るこ と が で きる。 そ の反 面, 価 格 の見 通し を 誤れ ば ロスが 生ず る。 デ ィーVV グ・ リス クとは, ポジシ ョンを 持つ こ とに よっ て生ず る価格変動 リス クであ る。 ポ ジシ ョン が大 きけ れば大 きいほ ど, リス クも大 きい。し たが って, ポジシ ョン は一 時的 ・短期的 な ものに 止 め てお く必要があ る。

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ダラス・スティーガル法をめぐる若干の考察201 こ の よ うに , ア ン ダ ー ライ テ ィン グ ・ リス ク もデ ィ ー リン グ ・ リス ク も, と もに ポジ シ ョ ン に 伴 な う価 格変 動 リ ス ク 七あ る。 価 格 変 動 の 可 能 性 は , 保 有 期 間が 長 く な れ ば な る ほ ど 大 き く な るか ら , 期 間 を 短 縮し て リス\ク の軽 減 を 図 るこ と が で き る。 そ こ に 銀 行 業 と の 違 い が あ る。 銀 行 に と っ て の 信 用 リ ス ク も期 間 が 長 い ほ ど 大 き くな るが , 転 売し な い 限 り, 貸 出期 間 を 短 期 化 す る こ とは で きな い 。 そ こで 審 査 能 力 の充 実 や 担 保 の 設 定 , 小 口 分 散 な ど に よ っ て, リ ス ク の軽 減 に 努 め る。 こ れ に 対し 証 券 業 の 価 格変 動 リ ス ク の緩 和 は, 短 期 化 か 含め 手 で あ る。 次 の 言葉 は , こ の 両 者 の違 い を 物 語 って い る。 「commercialbanker とinvestmentbanker の最 も基 本 的 な 違 い は , 資 産 を 持つ こ と に 対 す る 両 者 の態 度 に あ る。 前 者 は , 資 産 (貸出など)を 進 ん で保 有し , そ れ を 有 利 に 運 用 し よ うと す る。 こ れ に 対 じ , 後 者 に と っ て 資 産 を もつ こ と は , 何 か 大へ ん な 失 敗 の 証 拠 の よ うに 昔 か ら 見 飲 さ れ て き2) た 」 こ の よ うな ビ ヘ イビ ア のあ る限 り, 証 券 業 に 伴 な う リ ス ク は 本 来 的 に短 期 で あ る から , 既 存 の 銀 行 業 の リ ス クに 比 べ て と くに 大 きい と は 言 え な い , とい う の が,GS 法 撤 廃 論 者 の主 張 であ る。 2) 文献[3]所収,LH.Giddy,IsEquityUnderwritingRiskyforCommercialBankAffiliates?150 ページ(意訳)。 (2) 「証券投資」のリスク ‥ このよ うに 言 うと, 当然 疑問 が生ず るに違い ない。 銀行 の証 券 業務進 出が リスキーだとい うのは, 何 よりも価 格変動 の激し い 資産を 保 有す ることの リ ス ク, すなわち 「証 券投資」 の リス クでは なかった か。 そ れ が短 期に 止 まる とい う保 証は ない。 とくに 銀行は 資金 調達 力があ るから, とか くポジ ション3) を大 きく持と うとす る 「強い誘惑 におそ われ る」。GS 法制定 の契 機 と なった のは, まさにそ れであ った。1920 年 代 の ア メリ カの銀行は,(直接もし くは子会社を通じて)大 々的 に 証券 投資を 行 なったが, 株式 の大暴落に 直面し て, そ の大 量 の売 却を 余 儀な くされた。 そ れ が一 層の 株 価下落を 生 み√銀 行 の資産内容 の悪化を 促進し , 銀 行恐慌 の最大 の原 因と な ったはず であ る。 だ からこそGS 法は,銀 行の 「証券業 務」 を 禁止 す るの

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みなら ず, 「証券投資」 につ い 七 乱 ① 株式 の買付けは(特定の場合を除いて) 一 切禁止し , ②社債 も, 通 貨監 督官 の指 定す る優良 銘柄 のみ, かつ 同一 発 行 体につ き自己資 本のio %以 内に 限 る とい う保有 制限を 設け た のでは なかっ た か。つ まり証券業 務は証 券投資 と不 可 分であ り, 後者 の リス クを 必 然的に 伴 な うから こそ, 前 者が禁止 さ れた のであ る。 証 券業 務に 伴 うリス クが本来短 期 だ から とい って, 証 券投資 の リス クを 軽視す るのは間違い では ない か, と い う疑問 であ る。 この疑問に つい て 考え るた めには ,証 券保有を 「商品 有価証 券」勘 定に 属 す る短期保有 と, 「投 資有 価証 券」 勘定 とし ての長 期保 有とに区別し てみ る こ とが 必要 と思われ る。 前者は 証券 業 務に随伴す るポジシ ョン とし て の保有 であ り,後 者 は文字 通 り投資 の ため の保 有であ る。 ポジ ション とし て の商品 勘定 は流動資 産であ り, 当 然売 却を予 定し てい る。 これに対し 投 資勘定 は固 定 資 産であ って, 本来 売 るこ とを 前 提 とす べ きものではない。 そ のため, と もに証 券保有 であっ て も, リ ス クの性格 が違って くる。 短 期保 有の場合はニ 売 却を 前提 とし てい るから, 当然 価格変 動 リス クを 伴 な う。 その代 り短期 であ るから, 信 用 リ スクはあ まり考 慮し な くて よい。 早 めに 売 って リス クを 免れ る こと がで きる から であ る。 また何時 で も流動 化 で きるから, 流動性 リス クを 大 き くす る心 配もない。 これ に対し 長 期 保有 は √ 銀行貸 出 と同じ く信用 リ ス クが 生ず る。 また売 却し ない とす れば長 期固 定化 す るから, 流動性 リス クを 増 大さ せ る。 そ の反 面,売ら なけ れ ば価 格変動 リ ス クは生じ ない。 債 券なら ば 期 日まで 保有す れば額面 で 賞還され る。 この よ うに 考 えれば, 長期証 券保 有 の リス クは長 期 の銀 行貸 出 と同じ であ る。 もちろ ん実 際には, 投資 有 価証 券を 売 却し て売却損が 発生し た り, 売ら な くて も評 価 損を 計上し なけ れば なら ない 場合 があ るだろ う。 こ れは 価 格変動 リス ク懲あ る。し かし , 価 格変 動に は二つ の要 素があ る ことを 留意 す る必要 があ る。 一つ は, 金融 の繁 閑 な ど市場一 般 の情況に よって生ず る もの,す な わち 市場 リス クであ る6 も う一つ は, そ の銘柄に 固有の 理由に もとづ く価格 変 動であ る。 前者であ れば, 証 券 の全期 間を通じ てほぼ 損益相半 ばす る と考 えら れる。 損す る時 は売ら ず に市 況回 復を待 てば よい。 損を 承知で売 却を 余 儀な くされ る ような事 態を 回避 す る限 り(流動性リスクの回避), そ れ ほ ど大 きな リス クに はなら ない と思 われ。る。 後 者 の場合 はそ うはゆか ない。 下 が り

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グラス・スティーガル法をめぐる若干の考察203 放し で 回復し な い こ と もあ る。 し かし そ れ は 発 行 体 の 経 営 そ の も のに 問題 が あ る から であ っ て, む し ろ 信用 リ ス クり 一 種 と み て い い の で は な い か。 そ う 考 え れば , 投 資 有 価証 券 の主 な リス クは 信 用 リ ス ク と流 動 性 リ ス クであ り, 価 格 変 動 リ ス クは 商 品 有 価 証 券 に 固 有 の も の, と 言 う こ と が で き る。 こ れには 当 然反 論 が 予 想 さ れ る。 前 述し た1920 年 代 の ア メ リ カ の 状 況は , 証 券 投 資 が 価 格 変 動 リス クを 蒙 った 適 例 では な か っ た か と。 し かし , こ れ は 本 来 流 動 化 を 前 提 とし な い は ず の投 資 有 価 証 券 を 大 量 に 売 却 せ ざ る を え な か っ た から で あ り, さら に 言え ば , 大 量 に 売 却 せざ る を え な くな る ほ どに 流 動 性 リ ス クを 大 き くし てし ま っ た こ とに 原 因 が あ る。 投 資 有 価 証 券 が 必 ら ず多 額 の 価格 変 動 リ ス クを 伴 な うと い う実 例 に は な ら な い。 こ の よ うに 証 券 保 有を 二 つ に 分 け , 短 期 保 有 に つ い て は , 前 述 の よ うに極 力 短 期化 し て リ ス クを 軽 減 す る一 方 , 長 期 保 有 に つ い ては , 銀 行 貸 出 に対 す る と 同様 の節 度 と慎 重 さを も っ て, 信 用 リ ス ク の低 下 に 努 め , ま た 流 動 性 リ ス クを 増 大 さ せ な い よ う保 有 額 の抑 制 を 図 るな ら ば , 証 券 関 連 業 務 が 銀 行に と っ てい ち じ るし く リ スキ ー であ る とは 言 え な い よ うに 思 わ れ る。 モ ル ガ ン ・ リ ポ ート がGS 法 に お け る 証 券 業 務 の 禁 止 の み に つ い て 反 駁し , 証 券投 資 の制 限 に一 切 言 及し て い な い の は , 暗 黙(O うち に こ の よ うな 二 分 法 を と って い る か ら で は な か ろ うか。 3) 文献[7]32 ペ ージ。 3. 利益 相反 の弊害 (1) 実例と定義 利 益相反 (conflictofinterest)とい う言葉 は,法 律的 には か な り限定的・に用 いら れてい る。 す なわち 「当 事者 の間で利 益が 相反 す る行 為」 を利益 相反行 為 と よび, そ うフした行 為につい ては 「一 方 が他方を 代 理し た り, 一人 で双方 を 代理す るこ と」 は,公正を 期待し がたい ので「禁止 され る」。 た とえば,法 人 の理事が 自分 の債務につい て法人を 連帯保 証人 にし た り,親 権者が 自己の。4) 債務 の代物 弁 済とし て子の財産を 提供し た りす るこ とであ る。 し かし , 経済問 題 の場合は もっと広 い範 囲 で使わ れてい る ようであ る。共 通 の理 解とし ては, 「取引 の仲介者(たとえば銀行)が, あ る業務 の顧客 の犠

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牲 におい て,自ら の利 益 もし ぐは他 の業 務の顧客 の利 益を 図 ること」,或い は 「利 害が相対立 す る顧客 の利 益 の うち, どちら か一方 の利益を 優先 させた り, 顧客 の利 益 よりも 自社 の利 益を 優先 させる こと」 が利 益 相反 の弊 害 であ る。 そ うし た ケースは, 銀行 ・証 券 の場合に 限らず, 至ると ころ で発生 する 可能 性があ る。 銀 行内 部の銀 行業 務 と信託業 務との 間,証 券業 内 部で もア ン ダー ラ イテ ィン グ業 務 とデ ィー リン グ業 務 との聞, 証 券会社 と投資 信託 委託会 社 との間, より一 般的に は, 親 会社 と子 会社の間に も存在 す るし , 同一 業務 の 中 で も異 った商品を 扱 っ てい れば発生し うるだろ う。し かし , 当面 の問 題は 銀 行 ・証 券 の兼営 がそ うし た 弊害を いちじ るし く助長す るか ど うか, とい う 点 にあ る0 だから, あ ま り対象を 拡げ ず, 銀行業 務 と証 券業 務 の間に 限定し て 考 察する こと とし よ う。 ニ そ う限っ て 乱 利 益柏反 の具体 例とし て実に 様 々なケ ースを 挙げ る ことが で きる に こでは証券業務を銀行本体が行なうものとする。証券子会社の存在を考慮 すれば,ヶ−スはもっと増える)。 ① 銀行部門 の不 良 貸出を 回 収す るために,証 券部門が 借主 の社 債発行を 引受け る(投資家のリスクで,銀行部門ひいては預金者が利益を得る)。 ② 証 券部門 が引受 け て売 れ残 った証券を, 銀 行部門(もしくは信託勘定) が保有す る(証券部門の利益,銀行部門ないし信託委託者の不利益)。 ③ 証 券 部門 の引受 け た証 券を 銀行部門 の顧客に押し つけ るな ど, 両部門 の商品の抱 き合 わせ 販売 (tie-ins)。 ④ 証 券部門 の引受 け た 証 券の販売を 容易にす るため, 銀 行部門 が投資家 に融資す る。 ⑤ 証券部門 が引受 け た証 券 の発行企業 の業態が悪化し , 証 券 のデフ ォル ト もし くは 価 格下落 を 防ぐた め, 銀行部 門が同企業 に不 健全 な貸 出を す る(①と逆。 預金者のリスクで投資家が利益を得る)。 ⑥ 顧客に関 す る情報を 利 用し て利益を 得る ことが で きる(いわゆるイッサ イダー取引)。 この ほかに も多 くの事 例が 考え ら れる。 まこ とに (利益 相反を 正 確に定義 す6) 十 る ことは 困難」 と言 わざ るを え ない。 し かし , 上記 各 種の事 例 から共 通点 を見出 す とす れば , 次 の様に言y こ と ができ る のではない か。 十 \

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グラス・ステ^ −ガル法をめぐる若干の考察205 ( 複 数 の 業 務 を 兼 営し て い る企 業 に の場合, 銀行)が , そ の うち 一 つ の 業 務 の利 益 の た め に , 他 の 業 務 の機 能を 利 用し , そ れ が 利 用 さ れ た 業 務 もし くは そ の 顧 客 に 対し 不 利 益 を 与 え る こ と」 そ の動 機 ( 目的) は , あ く まで 企業 (銀行)自 身 の利 益 で あ る。 そ れ は 当 該 業 務 の販売 の 促 進 , 収 益 の 向 上,V ス クの 回避 , そ の 他 何 で も よい 。 そ れ に よ っ て そ の 業 務 の 顧 客沌 利 益 を 受 け る か もし れ な い が , そ れは 結 果 で あ っ て 目 的 では な い。 ケ ース① で い え ば , 銀 行 部 門 の 貸 出 の リ ス クを 回 避し よ う とい う動 機 が あ る。 銀行 は 当 該 貸 出先 に 貸 金 返 済 の た め の証 券 発 行 を 態 憑 す る こ とは で き る が , 不 良 先 で あ る以 上 誰 も 引 受 に 応 じ な い だ ろ う。 そ こ で 自 ら 引 受 業 務 を 行 な っ てい る こ と を 利 用し て , 業 態 不 良 の事 実 を 隠 蔽し て 発 行 す れ ば , 投 資 家 に リ ス クを 負 わ せ て 不 良 貸 出を 回 収 す る こ と が で き る。 そ れ は 結 果 とし て 預 金 者 の利 益 で も あ る。 これ とは 逆 に ケ ー ス ② は , 証 券 部 門 の引 受 リ ス ク回 避 の た め に , 銀 行 部 門 ( もし くは 信託勘定) の 証 券投 資 機 能 を 利 用 す る。 そ れ に よ って 資 産 内 容 は 悪 化し , 銀 行 部 門 ( もし くは信託委 託者) は 不 利 益 を 蒙 る。 ま た ヶ − ス ⑤ の 場 合 も投 資 家 の リ ス クを 軽 減し て 証 券 部 門 の利 益を 守 ろ うと い う の が , 直 接 の 動 機 であ る。 そ れ は 不 良 貸 出 と な り 銀 行 部 門 (ひい ては預金者) の 利 益 を 損 う。 他 の ヶ − スに つ い て も同 様 であ る。 こ れら の 事 例 は い ず れ も一 つ の 業 務 の 利 益 の た め に 他 の 業 務 を 利 用し て い る の であ る か ら , 複 数 の 業 務 を 兼 営 す れ ば, 利 益 相反 の 弊 害 の 発 生 す る 潜 在 的 可 能性 が 高 ま る こ と は 明ら か で あ る ○ jjj456 各 種 「 法 律 辞 典 」 よ り 。 文 献 [8 ] お よ び [9 ] よ り。 文 献 `[3] 所 収 ,E.J.Kelly Ⅲ,ConflictsofInterest:aLegalView,232 ペ ージ 。 (2) 発生の防止策 し かし,潜在的可能性が高 まるからといって,それが必ず現実 めものにな るとは限らない。 現実化するかどうかは次の二つの条件に依存し ているら

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一 つは, 動機に 関す るものであ って, 経営 者が 「短 期的利益」 と 「長 期的 利 益」 のい ずれを 優先す るかに よって 異 なる。 前 述 の よ うに,利 益 相反 行為 の 目的 は一つ の業 務部門の利益を 図 る こと であ るが,そ れに よっ て① 利用さ れた業 務部門 の顧客が不利 益を蒙 るとす れば, 長い 目で 見れば銀 行 の評 価を 落 とし , 不利 益に働 くはずであ る。 また ②利 用さ れた業 務部門 自体が, 不良 資 産を抱 え込 んで健全 臣を 損な うな ど の損害を 受け るな らば,や は り長 期的 に はマ イナ スであ る。し たがって, 経 営 者が短 期的 利益 より長期 的利益を 優 先し て考え れば 考えるほ ど, 利益 相反 の弊 害を 生ず る よ うな行為を 慎し む の は当 然であ ろ う。 言 い かえ れば, そ うし た 行為 に対 する市場 の「評価 」の厳 し い ことが, 経営者に 長期的不 利益を 自覚 させ, 弊害の発 生の防止 策 とな る。 も う一 つ は,他 の業 務を利用し て当初 の目的を 達成 で きるかど うかの可能 性 につい て であ る。 兼業し てい れば 必ず 利益 相反 行為 が成功す る わけ ではな い。 成功 す るためには, 情報 の非対称 性 (asymetries)お よび競争 の不完全 陸(imperfections )とい り二つ の前 提が必 要 であ る 。ヶ − ス①でいえ ば,証 券O 発 行企業 の業 態が芳し くないこ とを投 資家 が 知っ ていれ ば,つ証 券を 購 入し な い だ ろ う。 銀 行が 承知し てい る情 報(いわゆる内部情報) を 投資家 が知らない, つ まり情報 が非対称 的であ って始 めて, こ うし たヶ −ス が成 り立つ のであ る。 もし 証 券発 行に 際し て発行体 の企業 内容 に関 す る完全 なデ ィス クロ ージ ャー が 行 なわれ ていれば, こ の種 の問題 が発 生す る 可能性は いちじ るし く減殺さ れ る。 またヶ −ス②で も, 銀行が 売 れ残 り証 券を 保有し たこ とを 預 金者が知 れば, 資 産内容 の悪 化に懸 念を 抱い て取 引 銀行を 変 え るか 七し れない。 一 方, ヶ− ス④ の抱 き合 わせ販 売 が可 能に な るのは,一つ の商品 の市場に お い て競争 が不 完全 だ から であ る。 他 の商 品を 押し 付け ら れ るのが嫌なら別 の売 り手 から 買えばい い, とい う条 件 の下 では, 抱 き合 わせ 販売は成立し 難 い。 要 するに , 「利 益相反を 有利に利 用す るこ とが で きるた めに不 可欠 の条 件 は, 不完全 な情報 と不 完全 な競争であ る。 … …金 融機 関相 互 の競争 の度 合い が大きけ れ ば大 きい ほ ど, また 顧客の利 用 で きる情 報 の質(および量)が良好であ7) れ ばあ るほ ど,潜在的 な利 益 相反を利 用す る のは 高 くっ く( うま味がない)」 とい うことに な る。 た だし , そ うし た市場 の働 きだけ に任 せ ておい て弊害 の発 生を根 絶するわ

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グラス・ステ・イーガル法をめぐる若干の考察j207 け に は ゆ か な い だ ろ う。 と りわ け 銀 行 と 顧 客 と の 間 で 「 情 報 の 非 対 称 性 」 は 避 け ら れ な い 事実 懲あ る。 そ こ で, 銀 行 ・ 証 券 の兼 業 を 認 め る な ら ば , 何 ら か の人 為 的 な 弊 害 防 止 策 が 必 要 と な る。 小 谷雅 貴 氏 (日本銀行金融研究所) に よ れば , 防 止 策 に は 情報 に 関 す る もの と 情報 を 利 用し た 行 為 に 関 す る も の とが あ る。 前 者 の方 策 とし て は , ① 特 定 め 部門 に 属 す る者 の 持 つ 情 報 が 別 の 部 門 に 属 す る 者 に 利 用 で き な い よ うに す る た め の 「隔 壁 (chinesev/all)」 の 構 築 (組織 の分離, 兼任の禁止など)。 ② 顧 客 と の 間 の情 報 の非 対 称 性を 軽 減 す る た め の 「 デ ィス ク ロ ージ ャ ー」 の義 務 づ け , な どが 挙 げ ら れ る。 ま た 後 者 では, ③ 内 部 情 報 の利 用 の 濫 用 を 防 止 す る 「濫 用防 止 規 定 」 の制 定 (自己勘定取引 の禁止,銀行 ・子会社間の貸出制限など)。 ④ 利 益 相 反 間 題 を 発 生 さ せ た 金 融 機 関 や 関 係 者 に 対 す る 「罰 則 規定 」 の整 備 が あ る。 さ ら に こ れ ら 防 止 策 の 実 効 を あ げ る た め , 自 己 規 律 の 涵 養 と 公 的当8 ) 局 お よび 業 界 自主 規 制 機 関 に よ る 規 制 ・監 督 の 必 要 性 が 挙 げ ら れ てい る。 ア メリ カ で は 利 益 相 反 問 題 へ の関 心 が 高 く,SEC を 始 め とし て そ の回避 の た め の 法 規 制 が す で に 各 方 面 に 及 ん で い る。 こ うし た 防 止 策 が 整 備 さ れ る な ら ば, 利 益 相 反 の防 止 の た め に あ え て 銀 行 ・証 券を 「 分 離 」 し てお く必 然 性 は 薄れ る よ うに 思 わ れ る。 も っ と も, 両 業 務 の 間に 人 的 ・ 物 的 な 「隔 壁 」 を 設 け る こ と は , 一 方 で 兼 業 に よ るこ二コ ノ ミ ー ・ オ ブ ・ ス コ ープ の メ リ ット を 失 な うこ と を 意 味 す る。 そ の ジレ ン マを ど う考 え る か が , 今 後 の一 つ の課 題 であ る が。 7) 文 献[3 ]所収,A.Saunders ,ConflictsofInterest:anEconomicView,216 ページお よび225 ペ ージ。8 ) 注5 )に同じ。 ・・I ■ 4. “AreBanksSpecial?" 論争 (1)銀行の特殊性 前述のように,証券業を分離する根拠の一つは,それが リスキーだという 点にあった。 もし そうだとし ても, なぜ証券会社はよくて,銀行が営んでは いけ ないのか,といえば,銀行は金融サービ ス業のなかで も「特殊な存在」 であるから,その健全性・安全性を損 うことは経済社会に重大な損失を もた

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らす, とい う認識が 前 提に な づていた。 こ の考え 方に立 てば, 銀 行が他 の金 融業 務に進 出す るこ とは, そ のリス クの程度に応じ て, 制限さ れて 然 るべ き であ る。 これに 対し て, 最近 の著し い金 融環境 の変 化に ともな って, もはや 銀 行は 「特 殊 な存在JT ではな くなった, とす る見解かお る。 だ とす れ ば, リ スキ ーであ ると否 とに拘 わらず,銀 行が他 の金 融業 務を 営 行こ とを禁 止する い われ はない。 むし ろそ れは, 経済全 般 の効率 注を妨げ る結果 とな る。 前者 の見 解 は, ニ ュ ーヨ ー ク連銀Corrigan 総裁 の論 文“AreBanksSpe-9)cial?" に代表 さ れてい る。 一 方, 後者 の立場 から これに 反論し た もの とし て。10 )Pierce 教 授 の論 文 “OntheExpansionofBankingPowers" が あ る。 この 対立 は,GS 法論争 のみ なら ず, 金融制 度全般 の問 題を 考え るに当 って,避 け て通 れない テ ーマ であ るよ うに思 われ る。 周知 のとお り, 昨 今 の金融変 革に と もたって, 金 融サ ービ ス業 相互間 の既 存 の境界線 が曖昧 に なっ てきた。CMA は見 たと とろ 銀 行 預金同 様 の決済機 能を 備え てお り, ノソ ・ バン クは傘下に 事実上 の銀行を 保有す るに至 ってい る。 コリガ ソ 論文 は, 銀行の機 能を 新し く定義し 直す こ とに よっ て, この よ うな状 況を 区 画整 理す る意図を 持った ものと言え る。 同論文 に よれば, 銀 行が他 の金融業 と区別され るの は, 次の三 つ の機 能を 果し てい るから であ る。 ① 決済勘 定(transactionaccounts)を 提供す る。 ② 他 のすべ て の経済主 体に対す る流動性 の最終的 な 供給 源 であ る。 ③ 金融政 策 の波及 媒体(transmissionbelt)であ る。 これら は相 互に関 連を もち, そ の共通 の基盤は 決済勘 定 の提供 であ る から, 「銀 行 とは 決済 勘定を 提供す る資 格を 有す る機 関であ る」 と定義 で き るよ と ころ で, 以 上三つ の役割を 果たすた めに は,銀 行 の資産 内 容に対 す る公 衆や 市場 の信頼 が 確固 たる ものでなけ れ ばならない。 なぜ なら① 決済勘定を 提供 する以 上,銀 行 が期 間の リス ク(流動性リスク)を 負 うこ と は避け られな い。 公衆 の信頼を 失 なえ ば, 預金 の引 き出し に よって, そ の リス クが顕在化 す る。② 万一 の場 合, 銀 行が流動性 の最 終的 な供給 源 と なり う るた めには, 自ら の資 金調達 が円 滑 でなけ れ ばならない。 市場の 信 頼が なけ れば, 資金調 達が 滞り, 流動 性 供給 源とし ての役割を 果たせ ない。 ③金 融政 策 の遂行ぱ, 波 及媒 体であ る銀 行 へ の信頼性 なし に は, 達成不 可 能であ る。 ニ

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ダラス・スティーガル法をめぐる若干の考察209 こ の よ うに 銀 行 の 資 産 内 容 へ の 信 頼 性 を 確 保 し ょ う と 思 え ば , 銀 行 の業 務 範 囲(scope) を , 次 の二 つ の基 準 に 従 っ て制 限 す る こ と が 必 要 に な る。 す な わ ち 「銀 行 の 周 辺 業 務 に は , 損失 を 蒙 る リ ス クが 極 度 に 大 きい 業 務 を 含 め る べ き では な い 」。 また 周辺 業 務 に よ っ て 「 信用 供 与 の 際 の 公 平 な 意 思 決定 が 損 わ れ て は な ら な いJo こ れ が , 銀 行 の業 務分 野 規 制 の 理 論 的 根 拠 で あ る。 こ こ で 飼論 文 は , 個 別 問 題 とし て の 銀 行 ・証 券 の 兼営 を 必 ら ず し も否 定し て い るわけ で は な い 。 た だ ,「銀 行 がMMF の販 売 や 証 券 の 分 売 お よび ブ ロ― カ ー業 務 を 営 む こ とぱ 差 支 え な い と い う コン セ ン サ ス が で きた とし て も, モ れ が 株 式 ・社 債 の 引 受 業 務や 商品 を 自 己 の 勘 定 で 売 買 す るこ と に まで 拡 が っ て ゆ くか ど う か は 疑 問 で あ る 」 と述 べ てい る。 以 上 の よ うに , 銀 行 の 「 特 殊 性 」 を 認 め こ れ を 他 の 金 融 業 と 区 別 し て扱 う と い う考え 方 は , 少 な く と もこ れ 迄 の と ころ , 各 国 に 共 通 の原 則 で あ った。 た だ 特 殊 性 の 中 身 は 何 か, に つ い て は 必 ら ずし も一 致し てい る わ け で は な い。 ア メリカ で 銀 行 の 法 的 な 定 義 とい え ば , 「 銀 行 持 株 会 社 法 」 第2 条 (C ) に よ り, ① 要 求 払 預 金 を 受 け 入 れ, か つ ② 商 業 貸 付 に 従 事し て い る機 関, であ る。 これ が ノン 。バ ン ク 。バ ン ク輩 出 の原 因 と な っ た こ と は 承 知 の と お り。 し かし , コ リ ガ ソ 論 文 の 言 う通 り, 銀 行 の資 産 面 に は 何 ら 独 特 な もの があ る わけ では な い 。 専 ら 負債 面 (ここでは,決済勘定 の提供) に 着 目し て 定 義 す る の が 正当 で あ ろ う。 一 方, わ が 国 で 銀 行 業 と は, 銀 行 法 第2 条 に よ り,預 金 の受 入 れ と 資 金 の 貸 付け とを 「 併 せ 行 う こ と」 であ り, か つ 第3 条 で, 預 金 の 受 入 れ を 行 う営 業 は す べ て 「 銀 行 業 とみ なし て, こ の 法 律を 適 用 」 さ れ る。 し た が っ て免 許 を 受 け た 銀 行 で な け れば 預 金 を 扱 うこ とが で きず , 銀 行 の 特 殊 性 は 預 金 の受 入 れ に 求 め ら れ る (貸付け は銀行固 有の業務ではない)よ もっ庖 も 預 金 と は 何 か と い えば , 銀 行 法 に も 規 定 は な く, わ ず かに 「 出 資 法 」 に よ っ てノ 「不 特 定 かつ 多 数 の 者 から 」 業 とし て 「預 り金 を す るこ と」 と 推 定 で き るだ け であ る 力t。 こ の よ うに , わ が 国 では 預金 の受 入 れ が 銀 行 の 固 有 の 機 能 で あ っ てょ そ れ が 決 済 勘 定 で あ る と 否 とを 問 わ な い。 こ れ に 対 し ア メ リ カ の場 合 は↓ 決 済性 預金 を 提 供 す る機 関 だ け が 銀 行 で あ る, とい う違 い があ る。 こ れ ぱ 両目 の銀 行 や 決 済 シ ス テ ム の。歴 史 の違 い か ら 生 じ た もの で あ る が, 一そ の い ず れ を 重 視

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す る かは, 今後 の金 融問題 を 考え るに当 って, 重要なポ イント となろ う。 9 )10 ) 文 献 [6 ]。 文 献 [3 ] 所 収 。 (2 ) 特 典 と 競 争 条 件 ‥ と れ に 対 し ピ ア ー ス 論 文 は , 銀 行 が 「 特 殊 な 存 在 」 で あ る こ と を 否 定 す る 。 す な わ ち ①CMA そ の 他 の 新 金 融 商 品 の 出 現 に よ っ て , 決 済 勘 定 は も は や 銀 行 だ け が 提 供 し う る も の で は な く な っ た 。 ま た 銀 行 の 負 債 勘 定 の う ち , 決 済 勘 定 は 今 で は1/4 弱 を 占 め る に す ぎ な い 。 ② 銀 行 が 流 動 性 の 最 終 的 な 供 給 源 で あ る と い っ て も , 銀 行 の 信 用 供 与 は,FED に よ る 準 備 預 金 の 供 給 が あ っ て 始 め て 可 能 に な る 。 そ れ が な け れ ば ( 個 々 の 銀 行 は と も か く ) 銀 行 シ ス テ ム 全 体 と し て , ネ ッ ト の 流 動 性 増 加 を も た ら す こ と は で き な い 。 ③ 銀 行 が 金 融 政 策 の 波 及 媒 体 た り う る の は , 準 備 預 金 をFED に 置 い て い る と い う 事 実 に よ る と こ ろ が 大 き い が , 準 備 預 金 の 設 置 が 銀 行 に 限 ら れ て い る の は , 法 的 ・ 制 度 的 な 理 由 か ら で あ っ て , 銀 行 の 経 済 的 特 殊 性 に 基 づ く も の で は な い 。 こ の よ う な 「 銀 行 分 離 学 派 」 (bankseparatenessschool) へ の 批 判 が も し 正 し け れ ば , 銀 行 の 業 務 分 野 規 制 は そ の 拠 り 所 を 失 な う こ と に な る 。 も っ と も 同 論 文 は , 銀 行 が 特 殊 な 存 在 だ と し て も , 証 券 業 務 進 出 に よ づ て 健 全 性 が 脅 か さ れ る 心 配 は な い , と い う 立 場 に た っ て い る か ら , 特 殊 か ど う か は 二 次 的 な 間 題 に す ぎ な い の か も し れ な い 。 し か し , コ リ ガ ソ 論 文 も 言 う 通 り , 銀 行 が 特 殊 な 存 在 で あ り , そ の 信 頼 性 を 確 保 す る こ と が 大 切 で あ る か ら こ そ , 銀 行 は , ① 預 金 保 険 制 度 に 加 入 し , ② 最 後 の 貸 し 手 と し て 中 央 銀 行 に 依 存 す る こ と が で き る , と い う 便 宜 を 与 え ら れ て い る 。 こ れ ら は , 銀 行 の 信 頼 性 を 補 強 す る た め の 公 的 な セ ー フ テ ィ ・ ネ ッ ト で あ る 。 業 務 制 限 と い う 規 制 と セ ー フ テ ィ ・ ネ ッ ト の 恩 典 と は , い ず れ も 銀 行 は 特 殊 な 存 在 で あ る と い う 認 識 か ら 出 発 し た 二 つ の 帰 結 で あ っ て , 両 者 は 一 体 不 可 分 で あ る 。 ㎜ ■ ㎜ ■㎜■SIA リ ポ ー ト が 問 題 に す る の は , ま さ に そ の 点 に あ る 。 同 リ ポ ・− ト に よ れ ば , 銀 行 は そ の 特 殊 性 の 故 に , 預 金 保 険 制 度 や 中 央 銀 行 借 入 と い う 特 別 の 便 益 (advantages) や 特 権 (privileges ) を 享 受 し て い る 。 こ れ は 一 種 の 補 助 金

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グラス・スティーガル法をめぐる若干の考察211 で あ る。 こ れ ら の 「特 典 」 を 維 持し た ま ま銀 行 が 証 券業 務 に 参 入 す れ ば, 既 存 の証 券業 者 と の 間 に 競 争 条 件 の イコ ール ・ フ ッ テ ィン グは 望 み え ず , 公 正 な 競 争は 実 現 で き な い。 し たが っ て, 特 典 を 持 つ 以 上 , 銀 行 は そ のr 本業 」 に のみ専 念 し な け れ ば な ら ない , とい うこ とに な る。 逆 に , もし 銀 行 が 特 殊 な 存 在で な く, そ の業 務 範 囲に 関し て 他 の金 融業 と伺 一 に 扱 わ れ るべ き だ と 言 うのな ら , こ れ ら の 特 典 (制度)を 「 す べ て 廃 止 す る か 」, そ れ と も (す べ11) て の機 関 に 対 し て 一 様 に こ れら の 制 度 を 利 用 で き る よ う に す る 」 か のい ず れ か が 要 請 さ れ る だ ろ う。 こ の よ うに 見 て く る と, 議 論 の 焦点 は, リス クや 利 益 相反 と い っ た 大 義 名 分 に あ る よ り も√ 業 態 相 互 間 の 競争 条 件 の 平 等 ・ 不 平 等 と い う, よ り現 実 的 な 問 題に 移 っ てl ヽる よ うに 思 わ れ る。 さ きに 利 益 相 反 の 一 例 と し て 挙 げ た 「抱 き合 わ せ 販 売 」 にし 七 も, 関 心 はむ し ろ 競 争 条 件 , た とえ ば 銀 行 が 貸 手 と い う地 位を 利 用 し て 債券 発 行 の主 幹 事 ま で 獲得 し てし ま う の で は ない か, と い った 懸 念 に あ る。 様 々 な金 融 変 革 に もか か わ ら ず, 銀 行 が 金 融 業 のな か で 特 殊 な存 在 であ る ‥と い う事 実 は , 今 後 と も変 ら な い だ ろ ‰ 業 務 分 野 規制 に よ っ て 「 損失 を 蒙 る リ ス クが 極 度 に 大 き い 業 務 」 を 銀 行 か ら 分 離し て お く こ とは 依 然 必要 であ る。 し かし , そ の中 に 証 券 業 務 が 含 まれ なけ れば な ら な い 必 然 性 は 薄 れ て い る ように 思 わ れ る。 だ とす れ ば 結 局 , 銀 行 の 参 入 に よ っ て証 券 市 場 に おけ る 競 争 の イコ ール ・ フ ッ テ ィン グが 失 な わ れ な い よ う, い か に 対 策 を 工 夫 す る か が, 目下 のGs 法 論 議 の 焦点 な の では あ る まい か。 11) 文献[6] 5. 子会社の利用 (1) アメリカの銀行持株会社 以上では,すべて証券業務を銀行本体が行なうものと想定し てきた。し か し 実際には子会社を利用し て行なうこともできる。むし ろGs 法制定以前に 問題を大きくし たのは,証券子会社の活動であった。し たがって,子会社利 用の利害得失について考察し ておくことが必要である。 子会社利用とい っても,銀行直接の子会社と持株会社子会社 とがあ るが,

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まず ア メリカ特有の銀 行持 株会社 につい て一瞥し てお こ う。・ ア メリカ の銀 行 持株会社(以下BHC とよぶ)は, 銀 行に 対 す る業務分野 規制や州 際業 務規 制 を尻 抜け にす るた めのloophole とし て利用 され, そり 抜 け穴を 塞 ぐこ とを 目的 とし て 「銀 行持 株会社 法」(以下BHc 法とよぶ)が制 定され(1956年),強 化 され(1970年)て きた とい う経緯 があ る。し たが っ て, 銀 行 ・証 券 の問 題 に 限らず, 広 く銀 行業 務の多 様化 問題一 般を 考え る上 で, 欠かす こ とので き ない 検討 課題であ る。 い まBHc 法 の構造を やや 簡略化し て述 べ れば, 次 の 通 り。 同法におい てBHc と は, 定 義 に よって 銀行 と見倣 さ れる 機 関 の株式 の25 %以上を 保 有す る会社で あ る。し た が って, 株を 保有す ることだけ を 目的 とし たい わゆ る持 株会社に 止 まらず, た とえ ばわが国 の銀 行も, ア メリカに 銀 行子 会社を 持 うてい る限 りにおい て, 同法におけ るBHc であ る。 同法第4 条 に よって,BHC は原m とし て銀行で ない 会社の 株式 を 持つ こ とがで きない。 た だし 例 外 とし て, 次の も の に は この禁止は適 用さ れない (同条c 項)。 / ① 銀行 の使用す る不動 産 の保 有 ・運営に 従事す る会社, 保護 預 り業務を 行な う会社, 銀行に対 す るサ ービス の提供に 従事す る会社, 等 の株式。 ② し当該会 社の発 行済 み株式 の5% 未満 の株式。 ③ 連邦準 備制度理 事会(以下FRB とよぶ)が,命令 または規制 に よって, そ の会社 の活動が 「銀 行業に 密接 に 関連し , それに当 然付随す る」 と決 定し た会社 の 株式 (同項8 号)。 ④ 他の7 項 目は省略。BHc 子会社 に 対し 非銀 行業 務が許 容 され る のは,主 とし て こ の③, す なわ ちBHc 法 第4 条C 項8 号に よって であ る。 条文 の示す 通 りその解釈 権限はFRB に与 えられ てい る。FRB は 同条 に 基い てBHc 子会社 の行い う る 業 務を 規定し てきた。 そ の結 果,「BHc もし くはそ の子会 社 が従事し て よい」 と認 められ た業 務 の一 覧表が, レ ギ ュレ ーシ ョンY の225 ・25 項に示 されて い る ○ ■ ■ ■ ■ ■ 一覧表 の詳 細は省略 す るが, た とえ ば1983 年9 月, こ の リストに 「(15)有 価証 券仲買業」 が新た に加え ら れた こ とは, 同年1 月 ア メリカ銀 行のシ ュフ ップ商 会買収を 契機に 始 まった, デ・,スカケ ント ・ブロ ―カー業 務へ の銀行

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ダラス・スティーガル法をめぐる若干の考察213 の 参 入が 合 法 化 さ れ た こ とを 示 す も の で あ る (もっとも容認された業務だ から と言っても,株式取得に際し てFRB へ の申請が必要である)。 この よ うに し てBHC 法 は , 銀 行 の非 銀 行 業 へ の 進 出 を 制 限 し てい る が , 同 時 に そ れ は 非 銀 行 業 に よ る 銀 行 の 所 有 も封 じ て い る こ とを 忘 れ て は な ら な い 。 それ は ア メ リ カ に お け るbanking とcommerce (―般商柴活動) の 分 離 と い う伝統 的 な 考 え 方 に 根 ざ し て い る。(banking はcommerce を 支 配し ては12 ) な ら ない が,commerce に よ っ て 支 配 さ れ て もい け な い 」 の であ る。 12) 文 献 [14 ]。 (2) その利害得失 以上の ような 持株会社 子 会社 であ る と, 直接 の子 会社 であ るとを 問 わず, 非銀行業務活動に子 会社を 利 用す る こと の功 罪を ど う考え たら よい か。 一 言 でいえば, 子会社利用 は 両刄 の剣 であ る。 メリットがあ ると同 時に デ メリッ ト も伴な う6 一 般的にい って, リス クにし ろ利 益 相反にし ろ 競争の イコ ール ・フ ッテ ィ ン グにし ろ, 子会社方式 のほ うが弊害 が 少ない と考え る のが普通 であ る。 す な わち① リス クに 関し て言え ば, 仮 りに子 会社が経営 不 振に陥 って 乱 別会 社 であるなら,銀 行に 直接 の影響 は及 ば ない。 リス クを 子 会社 だけ に隔離 す る ことが で きる。 ②利 益 相反に つい て も, 別会社 であ れば, 内部情 報 の交 流 を 制限す るため の「隔壁」 が 築 き易 く, 当 局の規制 ・監督に 服す ること も容 易 であろ う。 また③顧 客 が銀行 と同一 視 す るおそ れは少 ない から, 銀 行 の特 典を利用す ることはで きず, 競争 条件 の イコ ール ・フ ッテ ィン グに も資す る と思 われる。 モルガン ・ リポ ート は, 銀行 の証券業 務進 出を もっぱ らBHC 子 会社に よる証 券業 務に 限定し て論じ てい るし,SIA リポ ート で は, も し 銀 行が証 券業 務を 行な うなら 次 の条件 が守 られなけれ ば ならない, とし て掲 げ た10 ケ条 のなかで,「BHC 傘下 の別会 社に限 る」 こ とを第1 条 件とし てい る。 し かし, デ メリット もあ る。 い かに別 会社 であ って も, お互い に無 関係 と い うことはあ りえない (それなら子会社にする必要がない)。むし ろ,BHC 傘下 の各会社は多 かれ 少なか れ 単一 の経営体 とし て行動す る, と考えた ほ うが よ

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い であろ う。 間題 が 起れば グル ープ全体 の問題 とな る。(証券子会社に限らず) どこ かの子 会社 の業態 が悪化すれば, 銀行が 救済融 資を 行な うのは必至 であ る。 それ は銀 行の不良 貸出とな って, リス クを 倍 加す るお そ れがあ る。 だか ら こそ連 邦 準 備法23A 条に よって,BHC 子 会社に対 す る銀 行 の貸出は1 社 当 り銀行 の 自己資 本 の10 %以 内に制 限されてい る のであ る(ほかに担保取得挺 定)。し かし 法を くぐることは可 能だろ う。 この条 項 があ るからBHC 子会社 と銀 行と の間を 遮 断亡 きると考え る のは, 単 純にす ぎる。 利 益 相反問 題にし て も, 子会 社 が加 わるこ とに よって, そ の株主 な ど利 害 関係 者 が増え, 弊害 の起 こる可 能 性はむし ろ大 き くなるおそ れ もあ る。 そ のた めあ る論者は, 銀 行が 直接 証 券業 務を 行な うならば問 題は 少ない が, 子会 社を 利用す ると, 経13 ) 営 の リス クと利 益相 反の弊害を と もに助長 す るとし て批 判的 であ る。 この よ うに 子会社利用 の利害得 失は様 々であ るが, そ れ はあら ゆる親子会 社(持株会社)に共 通の問題 であ っ て, 銀行 ・証 券問 題 とは別 であ ることを 認 識す る必 要 があ る。 両者を合体し て取扱 っ て きた と ころに,GS 法論議 の 混迷 の一 因が あ った。 二つ の問題を 分け て考え, 銀 行 ・証 券分 離の是非と子 会社 利用 の利 害得失 とを別 々に考察 する ことが, 論点 の整理 に役立つ と思わ れ る。 13 ) 文 献 [4 ] 所 収,F.R.Edwards,BanksandSecuritiesActivities. 6。 あ と が き一 残 された検討課 題 こ のほか,GS 法に関し ては 少な くとも次 の三つ の検 討 課題 が残さ れてい る。 づ 第1 は,GS 法の制定事 情 であ る。 当特 の議論を 振力 返 っ て みると, 現在 論議 さ れてい るアン ダ ーライ テ ィン グや デ ィーリン グの リス ク云 々 より も, 何 よ りも過 大 な証 券投資 が問題 視され ていた。real-billdoctrine とい う古 典 的 な 商業 銀行 観 が窺わ れ るよ うに思 わ れ る。 また当 時は , 銀 行(および子会 社)の証 券投 資 のみ なら ず, 銀 行が証 券担保 貸 出を 積 極 化し た こ とに よって, 証券 ブ ー ムが 惹 き起こ され, ひい ては 大暴落を 招い て恐 慌 の引 き金ど なっ た, と非 難さ れ た。 あ たか も昭和47 ∼48 年当 時 のわが 国で, 銀 行 の不 動産 貸出の 激増 が地 価暴 騰り 元凶に なった とし て, 銀行不 信を か き立 てた のと よく似て

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グラス・スティーガル法をめぐる若干の考察215 い る。 こ うし た 当 時 と現 在 の 間 題 意識 の ズ レ を 確め て お く こ と は , 議 論を 混 乱 さ せ な い た め に 必 要 と思 わ れ る。 第2 は,GS 法 の グレ ー ゾ ー ンを め ぐ る 最 近 の 動 向 で あ る。GS 法 制定 当 時 に は存 在し て い な か っ た 様 々 な新 商 品 が 生 まれ , そ の 取 扱 い を め ぐ って 話 題 が 山積し て い る。 す で に ① デ ィス カ ウ ンフト ・ ブpj ー カ ー業 務 へ の銀 行 の 参 入。 ② バソ カ ー ス ・ ト ラ ス トに よ るCP 仲 介 業 を め ぐ る 訴 訟 。 ③ シ テ ィ・ コ ー プ, モ ル ガ ン 銀 行 に よ る 証 券業 務 を 「主 た る 業 務 」 とし な い 証 券 子 会 社 の14 ) 認 可 申請 。 ④FDIC に よ る州 法 銀 行 の証 券 子 会 社 設 立 認 可 。 ⑤ そ の後 中 断し て い るが , レ ベ ニ ュ。一 債やCP 引 受 け 等 に 関 す る議 会 で の 立 法 化 の 動 き。 ⑥ 銀 行 に 認 め ら れ て い る 公 共 債や ユ ーpr 債を 中 心 とし た 大 手 銀 行 の 「投 資 銀 行 化 」 戦略 。 等 々が す で に 進 行中 で あ る。 当 局 の 見 解 を 探 り, 将 来 の方 向を 見 定 め るた め に , 欠 か せ な い 検討 対 象 で あ ろ う。 第3 は , わ が 国 の 証 取 法65 条 に つ い て で あ る。 そ れ がGS 法 を 母 体 と す る も の であ る の は 言 う迄 も な い が , ① なぜ , 昭 和23 年 法 制 定 の 最 終 段 階 に な っ て,GHQ から 突 如 とし て 提 示 さ れ た の かよ ②GS 法 を 移 入し な が ら , な ぜ, 同 法 の柱 の一 つ で あ る株 式 保 有 禁 止 条 項 を 欠 く の か 。 ③ そ の 立 法 趣 旨は , 銀 行 の 健全 性 と 預 金 者 保 護 に あ る の か , そ れ と も証 券 業 者 の 保 護 育 成 が ね らい15) だ っ た の か。 等 々, 未 解 決 の問 題 が 多 く残 さ れ て い る よ う であ る。 14) 子会社で 証券業 務を行な うことを禁じ たGS 法20 条は, 国法銀行お よび連邦準 備制度加盟 の州法銀行を対象に。し た ものであ るから,非 加盟 の州法銀行には適用 されない(銀行持株会社は除 く)。15 ) 「わが国 の証取法が証券分離を定 めたお もな 目的は『証券 業務を証券会社の専 業とすることに よって,証券会社の保護育成を図り, もって資 本市場の発展を促 進する』とい う点にあった。…… アタリカのグラス・ス ティ ーガル法とわが国の 証取法 の制定主 目的 の 〔こ の〕違いは,ダ ラス・スティーガル法においては,銀 行に よる株式取得が 原則とし て禁止されてい るのに対し , 日本 の証取法お よび銀 行法ではそれが禁止されていない とい う点に最 も端的に現わ れてい る(羽倉信也 『金融財政事情』61年9 月1 日)」 とい う意見もあ る。 ( 参 考 文 献 ) [1 ]J.p.Morgan&Co.Inc.,RethinkingG/ass-Steagall ,1984. [2 ]SecuritiesIndustryAssociation,QuestioningExt

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[3]IngoWalter,Editor,DeregulatingWallStreet,JohnWiley&Sons, Inc.,1985.

[4 ]L.G.Goldberg/L.J.White,Editor,TheDeregulationoftheBankingandSecuritiesIndustries,D.C.Health&Co.,1979.

[5 ]A.W.Sametz,Editor,SecuritiesActivitiesofCommercialBank,D.C.Health&Co.,1981.

[6 ]E.G.Corrigan ,AreBanksSpecial?,1982 (J.A.Haslem,CommercialBankManagement ,RestonPub 】ishingCo.,Inc.,1985 , 所 収 ) [7 ] 熊 野 剛 雄 「 銀 行 業 務 と 証 券 業 務 」『 金 融 経 済 』61 年4 月 。 [8 ] 小 谷 雅 貴 「 銀 行 ・ 証 券 業 務 に。係 る 利 益 相 反 問 題 」 金 融 学 会61 年 秋 季 大 会・報 告 。 [9 ] 同 「 利 益 相 反 問 題 \と 銀 行 ・ 証 券 業 務 」『 金 融 財 政 事 情 』61 年n 月24 日 。 [10 ] 柴 田 武 男 「 ア ノV カに お け る 銀 行 業 務 規 制 緩 和 の 議 論 に つ い て 」『 証 券 資 料No.91ji61 年5 月 。 [11 ] 米 国 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 『 米 国 連 邦 準 備 制 度 , そ の 目 的 と 機 能 』 日 本 信 用 調 査 株 式 会 社 ,60 年12 月 ○ [12 ] 全 国 銀 行 協 会 連 合 会 「 米 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 の 規 則Q ,お よ び 規 則Y 」60年2 月 。 [13 ] 同 「 ア 」 リ カ 銀 行 持 株 会 社 法 」61 年3 月 。 [14 ] ポ ル カ 一 議 長 の 下 院 委 員 会 に お け る 証 言(1986.6.11 ),F.R.Bulletin,1986.8 月 。

参照

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