<論文>S.D.ハントの『基本的被説明項』第2群再考
: マーケティングの一般理論構築に向けて
著者
塚田 朋子
著者別名
Tsukada Tomoko
雑誌名
経営論集
巻
49
ページ
75-90
発行年
1999-03-31
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005592/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 )
S.D.
ハ ン ト の 『基 本 的 被 説 明項 』 第2 群 再 考
マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 般 理 論 構 築 に 向 け て 塚 田 朋 子 75 は じめに1. 仮説 演鐸的 体系 の枠組2. マ ーケテ ィング の一 般 理論 とS.D. ハント の『基 本的被 説明項 』第2 群2 −1 理論 とマ ―ケテ ィ ングに おけ る一 般理論 研究2 −2S.D. ハント の一 般理 論再 考3 [マ ーケ テ オン グの一 般理 論] 構築 に向け て 結論 は じ め に マ ーケテ ィ ング は、一 般的 に、 組 織 の問 題 解決 のため の実 践的 知識 の提 供を 担 うもの と 位置 付け ら れて い る。 こ うし た実践 的 有用 性 の 強調 は 他 の社 会科 学に も見 ら れる もの であ ろ う。 しか し なが ら、 過 去1 世 紀近 い マ ー ケティ ン グ研究 の歴 史 は 、 この 分野 が、 他 の隣接 諸学 科 に も 増し て実践 的 色彩 の 濃い 社 会科 学 であ るこ とを 、徐 々に 明ら か にす る 過程 であ った と言 え るか もし れ ない 。 もち ろ ん、 こ うし た歴 史 はそ れ とし て、 こ の分野 に お い ても 純粋 な理 論研 究は 可能 な は ず であ る し、 む し ろ 、 有用 で ある た めに こそ、 理 論研 究 が なさ れ なけ れ ばなら ない と我 々は考 え てい る。 ところ が 我 々の 分野 で は、 純粋 な理 論研 究( た り得 る もの) とマ ー ケテ ィ ン グ を 位 置 付け る ご く 小 数 の グ ル ープ と、 こ れを 応用科 学 とし て 進展 さ せ よ う とする グル ープ が存 在 する一 方 で 、 規範 的 主 張 の政 治 的( 論 理 的で は なく) 成 功を志 向 す る研 究 者 グル ープ も存在 す る。-さて 、 本稿 に おけ る我 々 の試論 は 、 こ の3 つ の グル ープ 分け に 従えば 、 最初 の2 つ の立 場 が基 本 的に は同 じ科 学 観に 依拠 し得 る も ので あ る とい う前 提 で論 じら れ る。 もちろ ん 、 こ の2 つ 目 の立場 の肯 定 は 、我 々 の分 野で は 第1 番 目の 立場 、 す な わち マ ー ケテ ィ ン グを 純粋 な 理論 研 究 と 見な す こ とが 困 難 だ とい うこ とを 意味 す るわけ では ま っ た くない 。 まず、 応 用科 学 とし て の進 展 を 意図 す る 場 合 に も、 そ れに よる純 粋理 論研 究 へ の貢 献 は 可能 であ る。 そし て 何 より、 ど ちら も ともに 、 論理 的 に 妥 当 な方 法論 的立 場に 立 脚せ ずに 研 究 の 高度 化を 図 る こと はで きない のであ る。 む しろ 両 者 の 区 分 より も問題 で ある の は、 純粋 理論 研 究 と して とら え るに せ よ応用 科学 とし て とら え るに せ よ、 マ ー ケテ ィン グは、 基 本的 に、 ① 何を 説 明項 とし 、 ②何を 被 説 明項 とす る のか とい う点に つ い て、 必 ず し も研 究者 の 間で コ ン センサ スが 得 ら れて い ない とい う現実 であ る よ うに思 わ れ る。76 経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 ) とい う のも、カ ール ・R ・ ポパ ー(KarlR.Popper) の方 法 論を 踏襲 し たい と考 え る我 々は 、定義 そ のもの あ るいは 定義 論争 に 、 何 ら価 値を 見出 さない か らで ある 几 定 義 が重 要 な 役 割 を 演 じ な い とす れば 、任 意 の組織 (非 営 利 組織 で あ れ、 ど の ような 規模 の営利 組 織 であ れ ) が 、 何ら か の特定 の行為 をそ の組織 の マ ーケ テ ィン グ と名 付け る ことに 意義 を 唱え るこ とは 無 意 味 と な る。 そ れどこ ろ か、 そ もそ も、 学問 の区 分 自 体が 、 例え ば 行政 上そ の 他の 便宜 に す ぎな い も のであ るか もし れな い のだ。そ こ で、「我 々 は何 ら か の主 題 の研 究 者な ので はな く、問 題 の研 究者 」で あ り、し か もこ こ で 言 う問題 は「ど の ような 主題 や 学 問 の境 界を ももろ に横 切っ て生 じ うる」とい う事 態町ま、マ ー ケ テ ィン グ研 究に も当 然あ て は まる わけ であ る。 し かし 、あ る 時代 のマ ー ケテ ィン グ研 究 者 の コンセ ンサ スを 得 る マ ー ケテ ィ ン グ活 動 が、そ の 時 代 のマ ー ケテ ィン グ実 践 者 の コン セ ン サ スを 得 る もので あ るか ど うか 疑 問 であ る とい う現状 は、学 問 の 進展に とって の障 害 と見 る べ き であ るだ ろ う。つ ま り、 マ ー ケテ ィン グ とい う用 語 の指示 内容 が 混迷 し た まま の状態 にあ るわけ だ が 、 こ のこ とは、 定義 の問題 では な く、 こ の分 野 の基 本的 な被-説 明項 及び そ の位置 付け に 関 す る、 研 究上 の、お そら く は極 めて論 理的 な 問 題 点 に起 因す る と言 う べ きで はない だ ろ うか。 本 稿 の考 察 は、 この 点を 論証 す る ものであ る。 さて、 こ こで 我 々は2 つ の 問を 提 起し た い。 第1 に 、技 術 として 実践 的 有 用 性を 求 め るな ら、「応用 科学 とし て のマ ーケテ ィン グ」は 、本来 学 科 の成 立 時に 解 決を求 め ら れた 基 本的 な 現 実 問題一 巨 大 企業( な かん ず く巨 大製 造 業) の立場 で の、主 とし て 流通 プ ロセ スに 関 す る諸 問 題13] の解 決を なし 得 た上 で、 新 たな 現 実 問 題 に 対 峙 し よ うとし てい る のであ ろ うか。 第2 に また、「純粋 理 論研 究 と し て のマ ーケテ ィン グ」を 考 える なら ば、マ ー ケテ ィ ン グ分野 の科 学論 争 は、経 済学に おけ る ポパ ー研 究 の よ うな終 紺41を 迎 える のであ ろ うか。そ れと も全 く逆に、独 自 の社会 科 学方 法論 研 究へ と 進展 す る 可能 性 ま で含 めて、 研究 の進展 が見 込 め る の だろ うか。そ し て もし も後 者で ある と すれ ば、70 年 代 まで に こ の分野 で提 起 され た科学 哲 学 的 な基 本 的 問題 群 は既 に 解 決さ れ た もの とみ なし て よい の であ ろ うか巴 以 上、2 つ の 問を設 定 し た上 で 、 本稿 で は、 まず、 応用 科学 が純 粋理 論 科学 と同 じ 仮 説演 鐸的枠 組 を もつ も のであ る こ とにつ い て 説 明さ れ る。 続い て、 かつ て ハ ント(ShelbyD.Hunt) が提 出し た一 般 理論 及 び 『基本 的 被説 明 項 』を 再 考 し、 将来 的に 我 々 の 分 野 で は ど の よ う な 具 体 的 なプ ロ ジ ェ クトに よ り一 般理 論 が探 求 可 能で あ る かにつ い て、 試論 を述 べ よ うと 思 う。 1 。 仮 説 演 鐸 的 体 系 の 枠 組 純粋 理 論 科学 にお い ては、 被説 明 項 ぱ説 明項か ら 導出 され ねば なら ない 。 ま た 、説 明項 は 真であ
S.D. ハ ン ト の 『 基 本 的 被 説mm 』 第2 群 再 考 叩 るべ きで あ り、 被説 明項を 論理 的 帰結 と し て含 意 す るこ とに加 え、 他 の初 期条 件 と 結 び 付い て 独立 に テ スト 可能 な 他の論 理的 帰 結(予 測 ) も含 意す る。 こ の仮説 演 輝的図 式に お い て 出 来 事 の因 果的 説 明 が行 わ れる わけ だ が、ポパ ーの言葉 で 言 え ぼ、あ る出 来事 の因 果的 説明 と は、「特定 の単 称 言 明 ( 初 期 条 件) と と もに 、1 つ あるい は そ れ以 上 の 普遍 法則 を 演棒 の前提 として 用 い る こ とに よっTて、 そ の 出 来 事を 叙述 す る言 明を導 き 出す こ と」で あ り、例 えば 、「あ る糸に 、そ の糸 の 引 張 り強 さ を特 徴 づけ る 重さ を超 えた 重 さが加 わ ると きに は 、 いつ で も、 そ の糸 は切 れる」 と い う仮説 ( 理 論) の 他 に 、「こ の糸 に とっ ての特 徴的 な重 さ は1 ポン ド であ る」と「こ の糸に かけ ら れ た 重 さは2 ポ ンド で あ る」 とい う2 う の単称 言 明をお くと す れば 、 こ の3 つ の 言明 はいず れ も、 因 果 的説 明 に と って の必 要 不 可欠 な構 成要 素 とな る。 そ し て、 初 期 条件 と 結び 付い た普 遍言 明か ら、「 この 糸 は切 れる」 と い う単称 言 明(「特殊 的 また ぱ単称 的 予 測」) が演 鐸 さ れる わけ であ る≒ こ こ で純 粋 理論 科学 におけ る仮説 演 鐸的 体系 を 図で示 せ ば以 下 の ように なる。Ijl ,-i_J2,-Li3 タ・、.L 。理 論( 普遍 的 言 明)C いC2 ,C3 タ・・.c 。初期 条件 (問 題 とな っ てい る特 殊 な出 来事に つ いて の 言明) E 説 明・予 測 す べ き事 柄 (特 定 の現 象を 記述 す る単称 言 明) そ れ では 、 応用 科学 は どの ような 体系 を もつ の であ ろ うか。 こ れを論 ず る前に 、 ほ と んど の 社会 科 学 は、 実 践的 観 点か ら始 ま り、 もと も とぱ 技 術 であ っだ7」こ とを 我々は 再 確認 し て お こ う。 さ ら に、「道 具主 義 へ の回答」 の中 のポ パ ーの 主 張に 注 目 し よう。 すな わち、「 … 純 粋 な知 識 を 探し 求 め る こ とに おい て は、 われ わ れの 目的 は‥ 。理 解 す る こ とー ど の よ うに (hOW ) の 問 い と な ぜ (why )の問 いに 答え る こ とです。これ らは 、説 明を 与 え るこ とに よっ て答 えら れ る 問い で す。この よ うに 純 粋 な知 識に つ いて の問題 は 、 すべ て 理 論的 問 題で す。 そ れら ぱ説 明の 問題 です 。 こ の 種の 問題 は、も ちろ ん実 際的 な問 題に 端を 発 し てい るか もし れ ませ ん。た とえば 、『貧困 と戦 うた めに な に が で きる か』とい った 実際 的 な問題 は 、『人 々 は なぜ貧 困 な のか 』とい う純 粋に 理 論的 な 問題 に 通 じ ま す。 そし て そ こか ら、賃 金 と価 格 の理 論 、 等 々に一 別 のこ とば で言 えば、 純 粋な 経 済 理論 に 通 じ ます ‥ 。漕 。 要 す るに、 特 定 の実践 的 観点 に立 つ 技術 が、そ の アド ・ ホッ ク性か ら脱 し、一 般 的に 妥 当 す る理 論を めざ す場 合 に は、 そ の技 術 の体 系 は、 あ る一 定 の 条件 の下 で 、少 なく と も応 用 科学 と呼 び得 る し 、そ し て こ れら は理論 科学 として の 進展 の可 能性 を もつ わけ で あ る。 さ て、応 用 科 学を 仮説 演鐸 的 図式 で表 す 時、純 粋 理論 科学 におけ ると同 様 に、「L 」に は 普 遍 言明 が 位置 づけ ら れ る。 た だし、 一 般に 応 用科 学 が 行お うと する こ とは理 論そ の もの の 探 求 でぱ な いた めに 、こ のL は 与件 とさ れる。「C 」に は利 用 可能 な手 段 や制 約条 件を 表す 言 明が 位 置 付け ら れ 、そ し て 「E 」 に は 目的 が位 置付け ら れる。 要 す るに 応 用 科学 では 、 特定 の実践 的 目的 が予 め与 え られ、
78 経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 ) 科学 的関 心 におい て 手段 の 適 合性 の 判断 を 求 める わけ であ る[9]つ ま り、「与 件 とさ れた 理論 の演 標 体系 に実 践 的言 明一 所 与 の 『 目的』 とそ れを 達成 す る為 の 『手 段 』を 示 す 言 明- を 組込 み、 そ れら の言 明を 理論 から 演 標 す るこ とを 通 じ て、 そ の目的一 手段 の 適合 性を 論 理的 に 裏 付け よ うと す る もの 」が 応用 科学 であ る のだ から 、 結 局、 純粋 理論 科学 と応 用科 学 と は、 論理 構 造を 見 る限 り に おい て 、同一 の もの だ とい う点 が 強 調 され ねば なら ない 。「両者 の違 いを 生 じ さ せてい るの は『研 究 目的 』 の違い から 来 る理 論 の演 標体 系に 組 込 まれ る 『言明 構造 』 の違い 」 だ け な の であ る呪 応用 科学 にお げ る仮 説演 鐸的 体系 を 図示 す れ ば次 の ように なる。L1,L2 ,L3 タ・・.L 。( 与 件 と さ れる 言明)C1,C2 ,C3 タ・・.C 。(利 用可 能 な手 段 及び 制約 条 件を表 す 言 明) E ( 達成 す べ き 目的を 表 す言 明) 我 々 の科学 観 から すれ ば 、応 用 科 学 とし て のマ ーケテ ィン グの進 展を 志 向 す る こ と自 体 は否定 さ れ るべ きも ので はない。 何ら か の 仮 説を 与件 とし、 そ の理 論の応 用そ のも のを 社会 実 験 と見 て実 験 結果 の蓄 積に よる与件 の 修正 や 置換 を 研 究者 が厭 わない なら 、 む し ろ 、 応 用 科 学 とし て の マ ー ケ テ ィン グは、 遅 れた理 論 研 究に 貢献 する はず な ので ある。 ただし こ の主 張 は、 こ こに 与 件 とされ る 普 遍( 的) 言 明を欠 く場 合 に は、 全 く無 意味 と なる であろ う。 2. マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 般 理 論 とS.D . ハ ン ト の 『 基 本 的 被 説 明 項 』 第2 群2 −1 。理論 とマ ーケ テ ィン グ にお け る一 般理 論研 究 お よそ 理論 と 呼ば れ る諸 仮説 の満 た すべ き 要件 も また、 応用 科学 に おけ るそ れ と純 粋 理 論科学 に おけ るそ れ と何 ら変 わら な い。 さ ら に理 論 と 呼ぶ から には 、社 会科 学に お い て も物 理 学 に おいて も そ れを 追 求す る者 に求 め ら れ る態 度 は同 じ で なけ れば なら ない呪 そ こで 、理 論 とい う言葉 は 我 々 の 分野 に おい ては 「最 も 乱用 さ れ てい る用語 の最 たる も のとい わね ばな ら ない 」 とい う76年 の著 書 にお け るハ ント の分栓^'に我 々 は 同 意す る。 そ して 、理 論は 「仮説 の 体系 であ りそ の中に 法 則 が み ら れ る」 と指 摘し たブ ン グ(MarioBunge )、理 論を 「演 鐸的に 結 び付け ら れた 法 則 の集 団」 と指摘 す るバ ーグマ ン(GustavBergman )、 及 び「科 学的 理論 は 演鐸的 体 系で あ り、 そ の中 で、観察 可能 な帰 結 が観 察 された 事 実 とそ の 体系 の 基本 的 仮説 の集 合 と の連言(conjunction)か ら 論理 的に 導か れ る] とす るプ レ イス ウェ イ ト(RichardB.Braithwaite )等 々、科 学哲 学 者 め 見解 、 さらに マ ーケ テ ィ ン グの研 究者 では 、 理論 は [ そ れら 自身 の間 で整 合性 を もち、 現 実世 界の 何 ら か の局 面と 係わ る一 連 の命題 で ある]とし た オル ダ ース ソ(WroeAlderson )の定 義[13]を レ ビ ュ ーし た後 、ラド ナ ー (RichardRudner ) の主 張に 基 づ い て、76年 の著書 で ハント が提 出 した 定 義を 、我 々 もま た理論 の 定義 として 用 い よ うと思 う。 す な わち 、 理 論は 、 ①経 験的に テ スト 可能 な 、 ② い くつ か の法 則的一
S.D. ハ ン ト の 『 基 本 的 被 説 明 項 』 第2 群 再 考 79 般 化 を含 む 、 ③体 系的 に関 連づけ られ た 言 明 の集合 で あ り、「現 象を 説 明し予 測 す る こ と の で き る 体 系 化 さ れた 構造を 通 して の、科 学 的 理解 の増 大」 がそ の 目的で あ るとい う定義 で あ る114] と ころ で、 経 験的 に テス ト可能 ・法則 的 一般 化 ・ 体系的 関 連づけ と い う、理 論 が満 た す べ き3 つ の 基 準 の中 で も、[経 験的に テスト 可能 ]基 準に 、マ ー ケテ ィン グ研 究 は今 の と ころ 特 に 慎重 で あ る べ きだ と い うの が我 々の一 貫し た主 張 で あ る。 マ ーケテ ィン グの実践 的 有用 性 に 期 待 す る場 合に 、 今 、 我 々 が論 理的 に言 え ること は、 経 験的 な 妥 当性 を より多 くもっ てい る理 論 、 す な わち よ りよく テ スト され た理 論を 、裏 付け の 低い 理論 よ りも実 践 的適 用に お いて優 先 す るこ と は、 合 理 的 だ、 と い うこ とだけ だ と思 わ れる から であ る≒ 加え て、前 述 の よ うな論 理 図式 を 完成 させ る た め に は 、 一般 理 論 の追 究 とい う重 大な 問題 が あ る ことを 我 々 は再認 識 すべ きで あろ う。 さて 、現 実 に、 マ ー ケテ ィン グと 呼ば れ る技 術 や知 識が 様 々な 組 織 に 用 い ら れ る 中 で 、 マ ー ケ テ ィン グ研 究 者が、 仮 説演 鐸的 図式 を 無 視し て、 初 期条 件 と被 説明 項 のみで 完 結 さ れ る スト- リ ー を 提 出す る とい う事 態 (さ らに 言 うな ら、 そ の 流行 が繰 り返 さ れる とい う事 態) が あ る。 し かし こ うし た学 科 の問題 状 況は、 マ ーケテ ィ ン グが学 問 と して 「今 の ところ は まだ」 未 熟 であ る こ とを示 すだ け の こ とであ る。16 、17世紀 頃 か ら学 問の 萌芽を 見 せ た経 済 学 では 、アダ ム・ ス ミス(AdamSmith )がそ の主 著を 著 す18世 紀 後 半に は一 定 の体系を もつ よ うに な っ てい たと され る。 さ ら に1820 、30 年 代 に は 、 リ カ ード ウ(DavidRicardo ) の抽象 的 で一 種 の 仮説 的 演輝、 マル サ ス(ThomasR.Malthus ) の帰納 で得 られ た具 体的 で 経験 的 な前提 か ら の推 論 の推 奨、 ジ3 ンズ(RichardJones )の事 実 の歴 史的 記述 の 推奨 と い う学説 の 分離[16]を 生 み、 加 え て より重 要 なこ とは 、1836 年 の雑 誌 で ミ ル(Johns.Mill ) が経 済学 方法 論を 開 始し た とい う方 法 論研 究 の歴 史 の長 さで あ る已 こ うし た 経 済 学 の 歴 史 と比 べ ると、 マ ーケテ ィ ン グは 今世 紀 初頭 の米 国資 本主 義 にお い て研究 課題 が 提 出 さ れ たわけ であ り、 と りわけ 方 法論 争に 至 っ ては ゴ ン グ ァー ス(PaulD.Converse)"'' まで待 た ね ば な らな か った わ け であ る から 、 理論 研究 の遅 れは 仕 方 がな い も ので あ るだろ う。 し か し方 法論 争 が根 付 いて いく 過 程で 、 マ ーケテ ィン グ研 究者 は、 少な く と も、 幾 度 か一 般 理論 構 築 の 必要 性を 説 いて い る。 とい う の も、 マ ー ケテ ィン グの一 般理 論 の追 求 は、 実 践 的 有用 性 を学 科 の なし 得 る もの と位置 付け ながら 先 の 仮説 演 鐸的 枠 組 みを 満 たし てい こ うとす る 場 合に 、 重 要な 意味 を もつ か ら であ ろ う。 しか しな が ら、 こ れ まで 提 出さ れた 一般 理論 は、 現 在 の 科学 哲 学論 争に 照 ら せ ば理 論 の基 準を 満 た さない もの が多 か っ た。 マ ー ケテ ィ ン グに おけ る交 換の 基 礎づけ を一 連 の論 文[19]で 仮 説 とし て 提 示 し た バ ゴ ッ ジ(Rich-ardp.Bagozzi )は、79年 の論 文 の結 論 とし て「今 こモ マ ーケテ ィン グの一 般理 論 構 築 へ と我 々の知 的 エ・ネル ギ ーを 向け な おす べ き時期 で は ない か」 と問 題提 起 す るに 止 まっ た已 こ れに 先 立 つ バ ー
80 経 営 論 集 第49 号(1999 年3 月 ) テ ル ズ (RobertBartels) も一 般 理 論 に 挑 戦 し た[21]が 、 そ れ に 対 し ハ ン ト は 、い わ ゆ る 発 見 の 文 脈 に お い て の み 評 価 さ れ る 「 物 語 り 的 な 主 張 で あ る」 と 結 論 づ け るt221. さ ら に 逆 上 れ ば オ ル ダ ー ス ソ も ま た 、 自 ら の 業 績 は マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 般 理 論 を 構 成 す る と 述 べ た 吼 実 際 、 オ ル ダ ー ス ン の65 年 の 業 績 は 、 後 述 す る ハ ン ト が 示 し た 『 基 本 的 被 説 明 項 』 の 総 て に 触 れ て い る。 た だ し こ れ も 、[ 部 分 的 に 形 式 化 さ れ て お り 体 系 的 研 究 と し て な じ み や す く も さ れ て い る ] こ と か ら 、 当 時 と し て ぱ 際 立 っ て い た も の の 、「 今 日 、満 足 で き る マ ー ケテ ィ ン グ の 一 般 理 論 と は み な し 得 な い 」 と い う の が ハ ン ト の 評 価 で あ っ た 呪 そ し て ハ ン ト 自 身 も 、そ の83 年 の 論 文 で 、「 も し そ れ が あ る と し て 、マ ー ケ テ ィ ン グ の一 般 理 論 の 特 性 は 何 か 」 と 問 題 提 起 す る 。 次 節 で は 、 そ の ハ ン ト の 一 般 理 論 を 再 考 し て み よ う 。 2 −2S.D. ハン トの一 般 理論 再 考83 年 の論文 では 、マ ー ケテ ィン グに おけ る理 論 の性質 につ い ての 概説 、 科学 哲学 に おけ る一般理 論 の 特徴 の精 査 がなさ れ た 上で 、 マ ーケテ ィ ン グの一般 理論 が説 明 ・予 測 す る 内容 の提示 、 我 々の 分 野に おけ る2 つ の レベ ル の一 般 理論 の概 説、 そし てそ れら2 つ の レベ ル の一 般 理 論 の地 位 の評価 とい う作業 が 展開 さ れた。 一般 理論 の 提案に つ い て は、60年 代 以 来 の マ ーケテ ィン グ 分 野 の理 論 研 究 を レ ビ ュ ーし た後 、 ① マ ーケテ ィン グ・サ イ エ ン スを交 換 関 係を 説 明し ようとす る行 動科 学 で あ る と考 え 、 また 、②交 換 の一 方 の行為 者を 「買い 手 」 も う一 方 の 行為 者を 「売 り手 」 とす る習 慣的 取 り決 め を採 用 するな ら 、マ ー ケテ ィン グ研 究 の 相互 に 関 連す る『基本 的被 説 明項(fundamentalexplananda )』は、4 つ の 群に ま とめ られ る とさ れた 。 す な わち 、 第 ↓群; 交換 の達 成 に 向 け ら れ る買 い 手 の 行 動 、 第2 群 ;交 換 の達成 に 向け ら れ る売 り手 の行 動、 第3 群 ;交 換 の達成 お よび ( もし くは ) 促 進に 向け ら れ る制度 的 枠 組、第4 群 ;交 換 の達 成 お よび( もし くは) 促 進に 向け ら れ る、 買 い 手 の行 動 ・売 り 手 の行動 ・ 制度 的枠 組 の社 会 に おけ る帰 結、 以 上で あ る呪 さて、 ハン トは、 あ る理 論 が 別 の理 論 より も一 般 的で あ るた めの基 準 を3 つ あ げ る。 す な わち一 般 理論 は、 より多 くの 現象 を 説 明 す るこ と で より一 般的 であ り得 る[26]し 、 第2 に 、 よ り多 く の 体系 的に 関 連づけ ら れた 法則 的 一 般 化を 含 む こ とで より一般 的で あ り得、 ま た 第3 に 、 そ の 構成 体が よ り 高度 な抽 象化 を含 む こ とで より一 般 的 で あ り得 る[27)と さ れた。 そ して そ の意 義 であ る が、 ハ ント に よれば 、一 般 理論 は、 多 数 の 現 象を 説 明し 、そ れ ほ ど一 般 的で ない 諸 理論 の法 則 的一 般 化 を統一 す る のに 役 立つ とさ れ る。 た だ し より高度 な抽 象化 がな され る場 合に つ い て の コ メン トに 、 我 々は 慎重 であ る べ きだろ う。 す な わ ち、 理 論 の構 成 体が 高度に 抽 象化 さ れる と、 観 察 可 能 な現 実 から の 乖離 (重 要 な構成 体 間 の関 連 性 があ ま り明確 に され な くな る) とい う意 味 で、 経 験 的 テ スト 可能性
S.D. ハ ン ト の 『 基 本 的 被 説 明 項 』 第2 群 再 考 81 は 損 な わ れ、 予測 力は 減退 し、 説明 の無 力 さ が生 じ る とい う点 であ る。 し かし、 こ うし た制 約 が あ るに も か かわ らず 、一 般理 論は、 他 の理 論 的成 果 を 導 くた め の「道 路地 図」 とい う有 効 な 目的 に役 立つ[28]と バ イト は主張 ≒ 我 々の分野 に おけ るそ の 必要 性を 強 調す る。 と こ ろで 、 ハ ントに よれ ば、我 々 の分 野に は2 つ の レベノレの一 般 理論 が存 在す る の で あ った。 す な わち 、『基 本的 被 説明項 』の どれか1 つ につ い て 総 てを 説 明す る「マ ーケ ティ ング に おけ る一 般諸 理 論(generaltheoriesinmarketing)」つ ま り中 範 囲 の一 般理 論 と、4 つ の群 のあ ら ゆ る 現 象を 説 明 す る 「 マ ー ケテ ィン グの一般 理論 (generaltheoryofmarketing )」 がそれ であ る。 一 般理 論 構 築に おい て、 ハン トは、4 群 各 々に関 す る一 般理 論 を まず 構 築し 、そ れ らを よ り包 括的 な 図式 へ と 統合 す る こ とで 「 マ ーケテ ィン グの一般 理 論」 を 構 築 す る方 法を 支持 し た。 も うL つ、 彼 が 「ヒ エ ラ ル キ ー的 形 態」 と名 付け た 方法 (非 常に 小 さな 基 礎 原理 ま たは 公理 か ら演 鐸す る こと で 「 マ ー ケテ ィ ン グ の一 般理 論 」を 構築 し よ うとい う方 法) ぱ 「極 めて 難し く 、 成 功 す る 可 能 性 は あ り そ う もな い1(291と され 、 ハ ントに よれ ば受け 入 れら れ ない とさ れ た。 し か し 、い ず れに して も、 ハン トの 言 う丿 マ ーケ テ ィン グの一 般理 論」 は存 在 し な い。 そ し てそ れ以 上 に 重要 な 問題 だと 思わ れる のは、 ハ ント の主 張 す る方 法で 一般 理論 を構 築 す る 場合 に 、4 群 各 々 の 「マ ー ケテ ィン グにおけ る一 般 理論 」 に は、 著 し い進 展 の差 が見ら れ る とい う点 で あ ろ う。 まず 、 ハ ント の 分析に よれば 最も進 展 して い る 『基 本 的 被説 明項 』 第1 群 に関 す る一 般 理 論に は、 経 験 的 支持 を 得 た モデ ル もあ る。 第2 群 に 関 し ては 、 オル ダ ースソ が提 出し た 「差 別的 有M' 既」 に かか お る 先駆 的業 績 はあ る ものの、60年 代 以 降 こ の群 の一 般 理論 の 進展は みら れ な い。 また 第3 群 に 関 し て、 バ ッタ リソ(Louisp.Bucklin )、 バ ライ と リチ-V ド(H.H.BalighandL.E.Richartz ) 及 び ロブ シ ョ ウとエ ル アン サリ ー(R.RobicheauxandAdelI.El-Ansary 卜 の業 績[3D1の 簡 単 な レ ビ ュ ーを し た ハ ントは 、これら の統 合が 必 要だ と主 張 した。対 し て、「マ ク ロマ ーケ テ ィ ン グの一 般 理 論 につ い て は、 そ の構築 を 目指す 人 さえ い な い1(311とい うの が第4 群に 関 す る ハ ン ト の 現 状 分 析 で あ り、 そ の後 彼 自身、 この 第4 群 に含 まれ る べ き一 連 の業 績を 提 出して い る已 さ て、 我 々 は ここで、 ハ ントとは 別 の角 度 か ら一 般 理論 を 仮説 的に 規定 して み よ う と思 う。 マ ーケテ ィン グ方法 論争 が展 開さ れ る中 で 、 かつ て ラッ ツ(RichardJ.Lutz ) は 「 マ ー ケテ ィン グに おい て 理論 的 にな さ れる行 動学 的研 究 の 大 部 分が 消 費者 行動 に 関す る もので あ っ た点」 を 問 題 視 し て、「もし 交換 こそ マ ーケテ ィン グの基 本 部 分(fundamentalbuildingblock )だ と本 当 に 信 ず る の な ら、 我 々は 事実 上 (科 学的 な意 味で ) 消 費者 に 対 す る売 り手 側 の行動 を無 視し て きた」 と 指摘 し た已 こ の指摘 に、我 々は 注 目し よ うと 思 う ので あ る。実 際、マ ーケテ ィ ング研 究 者 は、「交 換の 達成 に 向け られ る売 り手 の行動」 に 関す る理 論を 軽 視 し て きたー そ れ ど ころ か、 我 が国 にお い て は、 流 通 業に 関 す る膨 大な 研究業 績 の前 に 、 事実 上 こ の群 に 関す る理 論研 究 は放棄 さ れて き たー
82 経営論 集 第49号(1999年3 月) の では ない だろ うか。そ こ で 次章 で は、 こ の 「売 り手 の行 動」 に関 す る一 般 理 論 につ い て 考え て み よう と思 う。 3 「 マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 般 理 論 」 構 築 に 向 け て 我 々は 「売 り手 の行 動」 に 関 す る一 般 理論 構 築 の必要 性を 強調 す る。 そ の理 由は 、 まず、 成立 当 初に お い て、 米 国 マ ーヶ ティ ン グ 論 は 製 造 業 の 実 践 に 関 す る も の で あ った こ とに よる。 そ こで 、 経験 的 テ ス トに よる支 持を 得て い る か ど う か 疑 問 の 残 る 提 案 ( 時 に 我 々 の分 野で理 論 と呼 ばれ る も の) の応 用 よ り先 に、 ま ず、基 本的 な 説 明の 図 式を 提 案 す るべ きだ と考 え る のであ る。 つ ま り、製 造業 の マ ー ケテ ィン グ実践 を首 尾 よ く説 明す る 一 般理 論 を提 出し 、 社 会 実 験 の繰 り返し に よりそ の予 測力 及 び 説 明力を 高 度化 さ せる ことを 課 題 と す る、 応 用科 学 とし て のマ ー ケテ ィン グの進 展 が、 我 々 の分 野 の理 論 研究 の高 度化 に とって 必 要 だ ろ うと 主張 し たい の で あ る。 実際 、 ハント の 区分 に 従え ば 、 現実 に は、 第1 群 以外 は、 こ の群 に比 べて 遅 れ て(あ るい は、 著 し く遅 れ て) い る わけ であ る 。 ハ ント は そ れに も拘ら ず、4 つ の群 の一 般 理 論を 構 築し そ れ ら4 つ を 統合し よ うと主 張 し た が、 こ れ は少 な く とも、 第2 群 の研究 の進展 が 見 ら れ ない 場合 には 不可 能 であ る。 より 具体 的に 言え ば、 我 々は 次 の よ うに 提 案し ようと 思 う。 す なわ ち、 ハン ト の一 般 理論 に対 す る 分 析( とりわけ 我 々 の分 野に おけ るそ の 必 要性) は 肯定 す る ものの、 我 々は 、4 つ の『基 本的 被 説 明項 』 では な く、『基本 的 被説 明 項 』 とし て 、 ハント の 言 う[売 り手 の行 動 ]、 つ ま り第2 群だけ を 追 求 し 、 他の3 群 はこ こに 包括 され る と考 え ようとい う提 案一 他 の3 つ の群 は 、 条件 項に し て し まお うとい う提案 であ る。 さ て 、以 前我 々は、 近年 話題 に さ れ てい る リアル タ イ ム・ マ ー ケテ ィ ン グ の 提 唱 者 が と ら え た 「新 製 品開 発に 関 する 実務家 の問 題、 及 び そ の 解決案 」を 題 材 とし て、売 り手 の 行 動に 関 する一 般 理 論 構築 に挑 戦 する た めの試 論 を 提 出し た呪 そ し て、 リ アル タイ ム・ マ ー ケテ ィン グの 提 案 内 容 を 成 熟市 場 とい う条件 下 で の[ 初期 条 件] とし 、 そ れに関 す る事 例を 「 テス ト」 とし て 用い よ うと 提案 す る 場合 に は、一 般理 論を 欠い て い る 現 状が重 大 問題 であ る と主張 し た。 次 の ス テ ップ として 、我 々は 、「売 り手 の行 動 の一 般理 論」構 築に 取 り組 むプ ロ グ ラ ムを 考 案し な け れば なら ない わけ で ある が、 こ の 場 合に 、 こ れ まで のマ ー ケテ ィン グ研 究の 成 果 から 出発 する こ と が 選択 肢 の1 つ で あろ う。 例 え ば、 新 製 品 を、 そ の 画期性 の度 合い に 応 じて 並 べ た場 合 の 「画期 的 新製 品」 に 注 目す る ところ か ら ス タ ート で きな い だろ うか。 ここで [ 画期 既] と は、 新製 品 の、 既 存製 品 では 未 解決 であ った 問 題 解決 能 力に 比例 す る ものと 仮定し よ う已 そ し て 我 々 は、「 画期 的 新 製 品 の市 場化 に おい て、 マ ーケ テ ィン グと名 付け ら れる 製 造 業 の 実 践 の 意 味 が 最 も 明確 化 さ れ
S.D. ハ ン ト の 『 基 本 的 被 説 明 項 』 第2 群 再 考 83 る」と 仮定 し 、[ プ ロダ クト・ ライフ ・ サイ クル理 論 ]と呼 ば れる 仮説を 論理 的に 妥当 な 説 明に 置 き 換 える 作業 を 進 めたい と考え てい る。 ここ で我 々が提 案 する のは、 例え ば次 の よ うな 図式 で あ る。 すな わち 「総 て の新 製品 に は プ ロダ クト ・ ライ フ ・ サイ クル理 論があ ては まる」 を と りあ え ず一 般理 論、 つ ま り「L 」 の 出発 点 とし 、 次に 初期 条 件 「C 」 として 「総て の リ アル タイ ム・ マ ーケ テ ィン グの成果 であ る 新製 品 は 、 プ ロダ タト ・ ライ フ ・ サイ クル各段 階毎 の売 上 高を 予 測し 操 作す るこ とがで きる」 とい っ た 内 容 と 、[ 新 製 品A は 、リ アル タイ ム・マ ーケテ ィン グの成 果 であ る]を 位置 付げ る とす れば 、「E 」に 当 たる 言 明に よっ て、 この新 製品A のライフ ・ サイ クル 各段 階に つ い ての売 上 高 の予 損ト 操 作 が で きなけ れ ば なら ない 。 もちろ ん、 こ の説 明に は重 大な欠 陥が あ る。 そ れ は何 より も、 もと もとプ ロ ダ クト ・ ラ イフ ・ サ イ タル の主 張 が、 論理 的に 満足 ので き る説 明体 系を なし てい ない とい うこと3ejで あ る。 また 、 リ ア ル タ イ ム ・マ ーケテ ィン グの成果に つ い て の社 会 実験 の 蓄積 が 少ない とい うこと も問題 で あろ う。 し かし 、 こ うし た 問題 は今 後 の課題 とし て、 と りあ え ず、 一 般理 論に 向か う出発 点 とし て 、我 々CD 提案 を こ こ で は次 の ように まとめ て みたい 。1; 我 々は、 マ ーケテ ィン グの研 究対 象を 、 画期的 な 新 製品を 生 み出 し、 そ れを 市 場化 し 普 及 さ せて ゆ くため の諸活 動 と考え る。2; 我 々は まず、 画期 的新製 品 のプ ロダ クト ・ ラ イフ ・ サイ クル各 段 階に 関す る プ ロ モ ーシ ョ ソ戦略 と価格 設定 戦略に つい て、 簡 単な 仮説 を 提示 す る。 こ の仮説 で は、 関 与 する 経 済的 行為 者 が 総て、 合 理的に 行為 す る も の と仮定 さ れ る。我 々は、そ の仮説 の 内 容を ゼ ロ 座標 とし て 用い る こ とにし よ う。3; 現実 の、 画期的 新 製品 のプ ロダ クト ・ラ イフ ・ サイ クル 各段 階に 関 する プ ロ モ ーシ ョ ン戦 略 と価 格設定 戦 略に つい て、 我 々は 社 会実 験 の 結果を 収 集し 、各 々に つい て、 ゼ ロ 座標 と の偏 差を 調 べる。4; 我 々は、 製 造業 以外 の様 々な組 織 ( 小売 業 、 サ ービ ス業 、非営 利 組織 等) のマ ーケテ ィン グにつ い ては、 製造業に 関 す る知 識 の応 用 と とら え る。5; 社 会実 験 の結果 を 収集 す る過程 で 、我 々は 「数 的 な普 遍 性」を 追 究す る[37」。 さて 、上 記 の ようなプ ロジ ェクトを 仮 説的 に 提 出し 、 さら に 、用 いら れ る モデル を、 例え ば 次の よ うな ル ール に 従 って整 理 して み よう。我 々は 、 社会 実 験 の結果 を 得 るこ とー も ちろ ん 実 験結 果 の積 み重 ねに よる修正 を怠 ら ない こ とー に よ り、 今 は 稚拙 な 仮説 に過 ぎない 理 論 の高 度化 を 進 め る こ と が可 能 であ る だろ う。
84 経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 ) ① : 我 々 が 求 め る 一 般 法 則 と は 、 リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ 。イ ン ク に 基 づ い て 「 画 期 的 新 製 品NP (い2 ,3 ,・……n )」 を 開 発 し よ う と す る 、 任 意 の 製 造 業 の マ ー ケ テ ィ ン グ 、 と り わ け 新 製 品 の プ ロ ダ ク ト ・ ラ イ フ ・ サ イ ク ル 各 段 階 に 関 す る 説 明 で あ る ノ ② −1 ; 時 間 の 経 過 は 次 の よ う に 表 示 さ れ る 。 す な わ ち 、 新 製 品NP の 開 発 期 間 は 、ト 。、・……t-3 ,レ2 ,レ1 と す る 。 市 場 化 さ れ る 時 点 を 、to と す る 。 販 売 後 は 、tl,tz ,t3 ,・……tn と す る 。 ② −2 ; 開 発 期 間 で あ る 、t 。 、・……t-3 ,卜2,t-1 に 関 し て 、 我 々 は あ る 特 定 の 業 種 の リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィ ン グ に 基 づ く 新 製 品 開 発 の テ ス ト 事 例 を 収 集 す る 。 ③ ; 販 売 数 量 はV で 表 す 。 す な わ ち 、 画 期 的 新 製 品NP の 販 売 期 間 に お け る 最 大 販 売 数 量 は 、Vma 、 製 品 廃 棄 決 定 時 の 販 売 数 量 は 、Vmi 、 損 益 分 岐 点 売 上 高 に 当 た る 販 売 数 量 は 、Vve 、 時 間 し の 販 売 数 量 は 、Vtn と す る 。 ④ ; 価 格 はP で 表 す 。 す な わ ち 、 画 期 的 新 製 品NP の 、to ,tl,t2 ,t3 , … …t 。そ れ ぞ れ の 価 格 は 、Pto ,Ptl,Pt2,Pts / ……Ptn と す る 。 ⑤ ; 利 益 額 はR で 表 す 。 す な わ ち 、 ≒ の 利 益 額 は 、R ≒ 、 販 売 期 間 中 の 最 大 利 益 額 は 、Rma と す る 。 ⑥ ; 広 告 及 び プ ロ モ ー シ ョ ン 戦 略 は 、 導 入 期;Xi,2,3, ・・・n ゝ 成 長 期;Yi タ2,3. ・・・n ゝ 成 熟 期Zi タ2,3, ・、・n で 表 す 。 こ の ① か ら ⑥ に 仮 に 示 さ れ る モ デ ル 構 築 の プ ロ ジ ェ ク ト を 、 特 定 の 業 種 一 例 え ば 、 定 期 的 に か つ 頻 繁 に 新 製 品 開 発 を 行 う フ ァ ッ シ ョ ン 業 界 で も よ い で あ ろ う ー に 当 て は め て 、 社 会 実 験 を 積 み 上 げ る と こ ろ か ら 、 我 々 の 初 期 条 件 と 同 時 に 我 々 の 求 め る べ き 一 般 理 論 の 言 明 の 精 緻 化 を 進 め る こ と が 、 我 々 に と っ て の 次 の ( 非 常 に 長 期 的 な ) 課 題 で あ る 。 結 論 本 稿に おけ る内 容は、 以下 の よ うに 要 約 で きる であ ろ う。1 純粋 理 論科 学に おい て は、 仮説 演 鐸 的 図式 に おい て 出来 事 の因果的 説 明が 行 わ れ る。 一 方、 応 用 科学 は 、特 定 の実 践的 目的 が 与え ら れ た時 に そ の手 段 の適合 性を 判 断す るこ とを 科学 的 関 心にお い て展 開 す る。し かし 、純 粋理 論科 学 と応 用科 学 と は、「科学 の論 理 構造」の側 面 か ら見 る 限 り同一 の も のであ る。2 方 法論 争 が根 付い てい く過程 で 、 マ ー ケテ ィ ン グ研究 者は い くたび か一 般 理 論 構築 の 必 要性を 説い てい る。 我 々の 分野 の一般 理 論 は、 実 践 的 有用 性を 志 向し つつ 理論 研 究を 進 展 させ る上 で重 要 な 意味を もつ だろ う。 し かし なが ら、 ハ ントを 含 め、 これ まで の一 般理 論研 究を レ ビ ュ ーす ると、
S 、D. ハ ン ト の 『 基 本 的 被 説 明 項 』 第2 群 再 考 85 一 般 理論 構 築 の よ り具 体的 なプ ロジ ェ クト の提案 が必 要 だ と思 われ る。3 我 々は 、 製造業 のマ ーケテ ィン グ、つ ま り、 ハ ント の示 す 『基本 的 被説 明項』 で 言え ば そ の第2 群 に 、 他 の3 つ の群は 包括 される と 考え よ うと提 案 す る。 そ し て 将 来 的 に は 、 製 造 業 の マ ー ケ テ ィ ン グ実 践 を 首尾 よ く説明 する一般 理 論を 提 出し 、 社会 実 験 の繰 り返し に よ りそ の予 測力 及び 説 明力 を 高度 化 さ せる こ とを 、 課題 とし よ うと考 え てい る。4 具 体的 に 言 えば、 我 々は、 画期的 新 製品 の市 場化 に お いて 、我 々 がマ ーケテ ィン グ と名 付け る 製 造業 の実 践 の 意味 が最 も明 確化 さ れる と 仮に 考 え る ところ か ら 出発す る。 そし て 「プ ロ ダ クト・ ライ フ・ サ イ クル 理論」 と呼ば れる周知 の説 明 を、 社 会 実 験 の繰 り返しに より論 理的 に 満 足 のい く 説 明 体系 に す るべ く再考 し たい と考 え てい る。 さて 、 こ こで 、冒 頭に 提起 した2 つ の問 に戻 ろ う。 第1; [応 用 科学 とし て のマ ーケテ ィ ン グ] は、 マ ーケテ ィ ン グの成立 時に 解決 を 求 め ら れた 巨 大な 製 造業 の立場 で の、主 として流 通プ ロ セ スに おけ る諸 問題 の解決を な し得 た ので あ ろ うか。 こ れを肯 定 す るこ とは でき ない であろ ‰ そ こで 、 どの よ うな 方向 が応 用科学 として のマ ーケ テ ィン グに必 要 で あ ろ うか と問 うべ きであ るが、 そ れ に は、 仮 説 演鐸 的図 式を と りあ えず 完成 さ せた 上 で、 社 会実 験 と い うテ スト の繰 り返し が必 要 だ と言 うべ きで あろ う。 第2; 「純粋 理 論研 究と して のマ ー ケテ ィン グ」 に 、 論理 的 に妥 当 とさ れ る方 法 論に 立 脚 し た研 究 の進 展 が 見込 め るとす れ ば、 どの よ うな マ ー ケテ ィン グ理 論 研究 が必 要で あろ うか。 この 問い に に は 、 応 用科 学 とし て の マ ー ケ テ ィ ン グ と、 純 粋 理 論 科 学 と し て の マ ー ケテ ィ ン グ と の 知 識 の キ ャ ッチ ボ ール が必 要だ と答 え るべ き だろ う。 そ し てそ の場 合に 、 我々 の分 野は、 小 規模 な 社会 実 験 の 蓄 積 が可 能 であ るとい う点を活 か して 、漸 次的 社会 工 学的 アプ ロ ―チに 基づ く研 究[38]を 進 め る べ き だ と思 わ れ る。 注 1; 科 学 に お い て 定 義 は 何 ら 重 要 な 役 割 を 担 わ な い と い う ポ パ ー の 科 学 観 は 、 ア リ ス ト テ レ ス の 本 質 主 義 的 定 義 の 方 法 を 論 ず る 『開 か れ た 社 会 と そ の 敵 』( 特 に 第n 章 ) に 詳 し い 。 そ こに おけ る 、「 科 学 は そ の 用 語 の 意 味 を 決 定 す る た め に 定 義 を 使 用 す る の で は な く 、 重 宝 で 短 い ラ ペ ル を 導 入 す る た め に の み そ うす る 」 の だ と い う 主 張 、 要 す る に 、 科 学 は 定 義 に 依 存 し な い と い う 科 学 観 に 、 我 々 は 同 意 し て い る (KarlR.Popper,TheOpenSocietyAndItsEnemies,PrincetonUniversityPress,1950. 小 河 原 誠 ・ 内 田 詔 夫 訳 『K.R. ポ パ ー 開 か れ た 社 会 と そ の 敵 第2 部 ; 予 言 の 大 潮 ; ヘ ー ゲル 、 マ ル ク スと そ の 余 波 』、 未 来 社 、1980 年 、p.26 )。2 ;KarlR.Popper,ConjecturesandRefutations ;TheGrowthofScientificKnowledge,London,
86 経 営 論 集 第49 号 (199& 年3 月 ) Routledge&KeganPaulLtd 。1963 ( 藤 本 隆 志 ・ 石 垣 壽 郎 ・ 森 博 訳 『 叢 書 ウ ニ ベ ル シ タ ス95 推 測 と 反 駁 ; 科 学 的 知 識 の 発 展 』、 法 政 大 学 出 版 局 、1980 年 、P.llD 。3; 我 々 は 、 米 国 マ ー ケ テ ィ ン グ 論 の 源 流 に つ い て 、 以 下 の よ うな 解 釈 に 同 意 し て い る 。 す な わ ち 、 マ ー ケ テ ィ ン グ と称 さ れ る 諸 技 法 は 「資 本 主 義 体 制 の 高 度 化 に と も な う社 会 経 済 的 構 造 の 変 化 を 背 景 と し て 生 ま れ た 」 も の で あ り 、米 国 マ ー ケ テ ィ ン グ 論 は 、 実 践 面 か ら の 要 求 が 急 速 に 高 ま っ て き た 段 階 で 、「 流 通 過 程 上 の 問 題 に 、 主 と し て 、 巨 大 企 業 の 立 場 か ら 対 処 す る こ とを 要 請 さ れ て い た 」 と い う解 釈 で あ る ( 三 浦 信 『 マ ー ケ テ ィ ン グ の構 造 』、 ミ ネ ル ヴ ア書 房 、1971 年 、P.26 )。4; ポ パ ーに 依 拠 し た 経 済学 方 法 論 者 に よ る85 年 の シ ン ポ ジ ウ ム の 論 文 集 の 編 者 は 、 そ の イ ン ト ロ ダ ク シ ョ ン を 次 の よ う に 結 論 づ け る 。 す な わ ち 、「 経 済 学 方 法 論 者 や 経 済 学 説 史 家 は 貪 る よ う に ポ パ ーに 飛 び つ い た 」
が 、 彼 ら は 、「 経 験 内 容 (empiricalcontent ) や 反 証 可 能 性 (falsifiability) や 演 鐸 的 テ ス ト (deductivetesting) と い っ た 考 え 方 に 口 先 で は 好 意 を 示 す が 、 実 際 に は 厳 し い テ ス ト を 求 め る ポ パ ー の 規 則 を 実 行 に 移 そ う と は し な か っ た ]。さ ら に 「皮 肉 に も 経 済 学 者 達 が ポ パ ーに 夢 中 に な っ て い る 理 由 の1 つ は 、 ポ パ ー が 経 済 学 に お け る テ スト の 問 題 に つ い て ほ と ん ど 何 も 述 べ て い な い と い うこ と に あ る 」 と し 、「 シ ソ ポ ジ ア ム 参 加 者 の うち 少 数 の 者 は 同 意 し な い か も し れ な い が 、 大 多 数 の 者 に と っ て は 、 様 々 な 十 分 な 理 由 か ら 、 経 済 学 に は 本 当 に 実 質 的 な ポ パ ー の遺 産 は 何 ら 無 い 、 と 結 論 す る こ と が 公 正 で あ る と 思 わ れ る 」 と 言 う の で あ る(NeilDeMarchi,ed.,ThePopperianLegacyinEconomics,PapersPresentedataSymposiuminAmsterdam,December1985,CambridgeUniversityPress,1988,pp.4,11,12 )。 上5;3 つ の2 分 法 に よ り研 究 領 域 を カ テ ゴ リ ー 化 し た ハ ン ト は 、 そ の 図式 を も っ て 、「 マ ー ケ テ ィ ン グ は 科 学 か 」「公 的 部 門 や 非 営 利 部 門 へ の 応 用 を 含 む べ く な さ れ る 概 念 拡 張 は 肯 定 さ れ る か 」「マ ー ケ テ ィ ン グ諸 活 動 や シ ス テ ム の社 会 に お け る 帰 結 を 含 む べ く な さ れ る 概 念 拡 張 は 肯 定 さ れ る か ] と い う3 つ の 問 は 肯 定 的 に 解 決 さ れ た と 言 う(ShelbyD.Hunt,MarketingTheory −ConceptualFoundations0/ResearchinMarketing,GridInc ・、1976,pp.7 −10)。 し か し 我 々 は 、 少 な く と も 第1 の 問 題 に 対 し て は 、「 マT ケ テ ィ ン グ が 科 学 た り 得 な い こ と を 立 証 す る 論 理 的 証 拠 は 提 出 で き な い 」 と 答 え る べ き で あ る と 考 え て い る 。6 ;KarlR.Popper,TheLogicofScientificDiscovery,London;Hutchinson,1959 ( 大 内 義 一 ・ 森 博 訳 、『 科 学 的 発 見 の 論 理 ( 上 )』、 恒 星 社 厚 生 閣 、1971 年 、PP.71-72.7 ; 「 わ れ わ れ の 科 学 も … 最 初 に は 実 践 的 な 観 点 か ら は じ ま っ た ‥ 。国 家 が 経 済 政 策 に つ い て お こ な う 一 定 の 基 準 の定 め か た に つ い て 価 値 判 断 を つ く りだ す こ と が 、 わ れ わ れ の 科 学 の 、 最 初 の 、 か つ さ し あ た っ て は 唯 一 の、 目 的 で あ っ た 。 わ れ わ れ の 科 学 は 『 技 術 』 で あ っ た … と こ ろ が よ く 知 ら れ て い る よ うに 、 こ うい う 状 態 は 少 し ず つ か わ っ て い っ た の だ け れ ど も 、そ の さ い 、『存 在 す る も の 』 の 認 識 と 『 存 在 す べ き も の 』 の認 識 と を 原 理 的 に お け る こ と が お こ な わ れ な か っ た の で あ った 」(MaxWeber,Die,,Obiektivitat “sozialwissenshaftlicherundsozialpolitischerErkenntnis,1904. 出 口勇 蔵 ・ 松 井 秀 親 ・ 中 村 貞 二 訳 「社 会 科 学 お よ び 社 会 政 策 の 認 識 の 〈 客 観 性 〉」『完 訳 ・ 世 界 の 大 思 想1; ウェ ーバ ー 社 会 科 学 論 集 』 河 出 書 房 新 社 、1982 年 、p.7 )。8 ;KarlR.Popper,TheMythoftheFramework,London;Routledge,1994 ( ポ パ ー 哲 学 研 究 会 訳 『 ポ イ ェ ー シ ス叢 書39 フ レ ー ム ワ ー ク の 神 話 : 科 学 と 合 理 性 の 擁 護 』、 未 来 社 、1998 年 、 )p。305-306)9; 経 済 学 で 言 え ば 、「応 用 経 済学 は 、功 利 の 観 点 か ら 財 生 産 の 最 大 化 の条 件 ま た は 手 段 を 理 論 的 に 論 じ 、社 会 経 済 学 は 、 正 義 の 観 点 か ら 財 の 公 正 な 分 配 の 条 件 な い し 手 段 を 理 論 的 に 論 じ る が 、 純 粋 経 済 学 は 、 こ の 財 交 換 の 『 法 則 』 を 説 く の で 、 こ の 『 法 則 』 を 知 る こ と で 、 そ の 利 用 も で き る 」 と さ れ る ( 馬 渡 尚 憲 『 経 済
S.D. ハ ン ト の 『 基 本 的 被 説 明 項 』 第2 群 再 考 87 学 の メ ソ ド ロ ジ ―; ス ミ ス か ら フ リ ー ド マ ン ま で 』 日 本 評 論 社 、1990 年 、P.88) 。10 ; 樫 原 正 勝 「マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 の 実 践 に か か わ る 方 法 論 的 諸 問 題 ( 上 )」『 三 田 商 学 研 究 』 第24 巻 第5 号 、1981 年 、p 。54,11 ; こ の こ と は 、 と り も な お さ ず 、 科 学 の方 法 は1 つ で あ る と い う こ と に ほ か な ら な い 。 我 々 は 、 科 学 の 方 法 は 、 問 題 、 理 論 、 批 判 と い う3 つ の 言 葉 に 要 約 さ れ る と 考 え て い る 。『 フ レ ー ム ワ ー ク の 神 話 ( 前 掲 邦 訳 )Jp.184 を 参 照 さ れ た い 。12 ;Ibid.,p.103.13 ;MarioBunge,ScientificResearchl ・TheSearchforSystem,NewYork:Springer-Verlag,1967,p.381.GustavBergman,PhilosophyofScience,Madison:UniversityofWisconsinPress,1957,p.31.RichardB.Braithwaite,ScientificExplanation,Cambridge:CambridgeUniversityPress,1968,p.22.WroeAlderson,MarketingBehaviorandExecutiveAction,Homewood,Illinois:RichardD.Irwin,Inc.,1957,p.5.RichardRudner,PhilosophyofSocialScience,EnglewoodCliffs,N.J.:Prentice-Hall,Inc.,1966,p.lO.U、 ;bid..p.104 。 ポ パ ー は 、「理 論 は 、 わ れ わ れ が 『 世 界 』 と よ ん で い る も のを 捕 え る た め に 、 つ ま り、 世 界 を 合 理 化 し 、説 明 し 、支 配 す るた め に 、投 げ か け た 網 で あ る」と 記 し た (『 科 学 的 発 見 の論 理 』 前 掲 邦 訳p.70 ) が 、 こ の 比 喩 的 な 表 現 に は 、 理 論 を 、 予 測 の た め の 道 具 や 手 段 に ほ か な ら な い とす る 見 解 へ の 批 判 が 込 め ら れ て い る 。「観 察 は つ ね に 理 論 の 光 に 照 ら さ れ た 観 察 」 で あ る こ と 、 ま た 、「 理 論 家 が 関 心 を 寄 せ る の は 説 明 そ の も の、 つ ま り テ ス ト 可 能 な 説 明 的 理 論 で あ る と い う こ と : 彼 が 応 用 と 予 測 に 関 心 を も つ の は 、 た だ 理 論 的 理 由 か ら で あ るー な ぜ な ら 、 そ れ ら は 理 論 の テ ス ト と し て用 い る こ と が で き る か ら 」 と い う、 上 記 定 義 に 対 す る 説 明 に 、 我 々 は 特 に 慎 重 で あ る べ き だ ろ う 。15 ; 「経 験 的 に テ スト 可 能 」 基 準 が必 要 で あ る 理 由 を ハ ン ト は3 点 に ま と め て い る。 す な わ ち、 提 出 さ れ た 理 論 が 、 ① 相 互 主 観 的 に 確 証 可 能(intersubjectivelycertifiable) で あ り 、 ② 現 象 の 説 明 や 予 測 が 可 能 で あ り 、 ③ 純 粋 に 分 析 的 な 言 明(purelyanalyticalschemata ) か ら 区 別 さ れ得 る べIbid.,p.130) とい う 内 容 で あ る 。 尚 、 ポ パ ーは 、 理 論 を テ ス ト す る 方 法 を4 つ 示 し て い る 。 す な わ ち 、 ①諸 結 論 ど うし のあ い だ の 論 理 的 比 較( こ れ に よ っ て 体 系 の 内 部的 整 合 性 が テ ス ト さ れ る )、② そ の 理 論 の 論 理 的 形 式 の 検 討( 経 験 的 ま た は 科 学 的 理 論 の 性 格を も っ て い る か ど う か 、 ト ー ト ロ ジ カ ル な も の で あ る か ど う か が 決 定 さ れ る )、 ③ 他 の諸 理 論 と の 比 較 ( そ の 理 論 が 様 々 な テ ス ト に 耐 え て 生 き の び 科 学 的 前 進 を も た ら す か ど う か を 決 定 す る )、 ④ 理 論 か ら 導 き 出 せ る 諸 結 論 を 経 験 的 に 適 用 す る こ と 、以 上 が そ れ で あ る。 ポ パ ーに よ れ ば 、4 つ 目 の テ ス ト の 目的 は 、「 理 論 の新 し い 帰 結 … が 、純 科 学 的 実 験 に よ っ て であ れ 、あ る い は 実 際 的 な 技 術 的 適 用 に よ っ て で あ れ 、 提 起 さ れ る 実 践 の 要 求 に ど れ ほ ど 耐 え ら れ る か を 、 発 見 す る こ と 」 で あ る と い う (『 科 学 的 発 見 の 論 理 』 前 掲 邦 訳p.37 )。16 ; 馬 渡 尚 憲 ( 前 掲 書J )p。4-5.17;J.s. ミ ル の 科 学 観 に つ い て は 、『 歴 史 法 則 主 義 の 貧 困 』 に お け る ポ パ ー の批 判 、 特 に 第4 章 「 自 然 主 義 的 な 主 張 の 批 判 」 を 参 照 さ れ たい 。 例 え ば そ の 中 で ポ パ ー は 、「 ミル が 『 人 間 社 旗 の諸 現 象 』は 『 あ る 軌 道 を 描 い て 』 廻 転 す る か 、 そ れ と も 『 あ る放 射 線 』 を 描 い て 前 進 的 に 運 動 す る か と い う 問 題 を 大 ま じ め に 論 じ て い る 」 と い う 事 実 は 、 ミル が 「 法 則 と 趨 勢 とを 基 本 的 に 混 同 し て い る こ と 」 に よ る と 言 う (KarlR.Popper,ThePovertyofHistoricism,London:Routledge&KeganPaul,1957,pp.ll8-119. )。18:PaulD.Converse,TheDevelopmentofaScienceofMarketing,JournalofMarketing,Vol.10,July
88 経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 )
1945,pp.14 −23.19
; 特 に 以 下 を 参 照 さ れ た い 。Richardp.Bagozzi,MarketingasExchange,Journalo/Marketing,Vol.39,October1975,pp.32
−39;MarketingasE χchange;ATheoryofTransactionsintheMarketplace ・,AmericanBehavioralScientist,Vol.21,March −April1978,pp.535 −56. 尚 , こ の2 つ 目 の 論 文 に お い て , バ ゴ ッ ジ は ハ ン ト の 言 う 「ヒ エ ラル キ ー 的 形 態 」 に 基 づ い て 「 マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 般 理 論 」 に 挑 戦 し て い る 。 バ ゴ ッ ジ の 一 般 理 論 に 対 す る 批 判 的 コ メ ン ト と し て は , 交 換 理 論 の概 念 を 経 済 学 ・ 心 理 学 ・ 社 会 学 か ら 直 接 マ ー ケ テ ィ ン グ に 導 入 し よ う と い う試 み は 危 険 で あ る と 結 論 づけ る 以 下 の業 績 を 参 照 さ れ た い 。O.C.FerrellandJ.R.Perrachione,AnInquiryintoBagozzi'sFormalTheoryofMarketingE χchanges,Charlesw.Lamb,Jr.andPatrickM.Dunneed..TheoreticalDevelopmentsinMarketing,Chicago,AMA,1980,pp.158 −61.20 ;Richardp.Bagozzi,TowardaFormalTheoryofMarketingE χchanges,O.C.Ferrell,Stephenw.Brown,andCharlesw.Lamb,Jr.,ed..ConceptualanaChicago;AMA,1979,p.445.21 ;RobertBartels バTheGeneralTheoryofMarketing."JournalofMarketing,Vol.32,January1968,pp.29 −33. バ ーテ ル ズ の一 般 理 論 は , ① 社 会 的 イ ニ シ ア テ ィ ブ の理 論 , ② 経 済 ( 市 場 ) 隔 離 の 理 論 , ③ 市 場 役 割 ・ 期 待 ・ 相 互 作 用 の理 論 , ④ フ ロ ー と シ ス テ ム の 理 論 , ⑤ 行 動 制 約 の 理 論 , ⑥ 社 会 的 変 化 と マ ー ケ テ ィ ン グ 発 展 の 理 論 , ⑦ マ ー ケ テ ィ ン グ の 社 会 的 統 制 の 理 論 と い う7 つ の下 位 理 論 か ら 構 成 さ れ る 。 そ の 再 構 成 は 以 下 の業 績 を 参 照 さ れ た い 。AdelI.E トAnsary,TheGeneralTheoryofMarketing:Revisited,o.c.Ferrell,StephenW.Brown,andCharlesw.Lamb,Jr.,ed ・,ConceptualandTeoreticalDevelopmentsinMarketing,Chicago;AMA,1979,pp.399 −407.ChristianR.A.Pinson,ReinhardEnglemar,andEduardoL.Roberto,AnEvaluationoftheGeneralTheoryofMarketing,JournalofMarketing,Vol.36,July1972,pp.66 −69.22 ;ShelbyD.Hunt,TheMorphologyofTheoryandtheGeneralTheoryofMarketing,JournalofMarketing,Vol.35,April1971,pp.65 −68.23 ;WroeAlderson,DynamicMarketingBehavior,Homewood ,Illinois:RichardD.Irwin,Inc.,1965.24 ;ShelbyD.Hunt,GeneralTheoriesandtheFundamentalExplanandaofMarketing,JournalofMarketing,Vol.47,Fall1983,p.l3.25 ; 卵 。池 。pp.13 −14. こ れ ら を 中 心 に ハ ン ト は 「 マ ー ケ テ ィ ン グ 科 学 の 性 質 」を 提 示 し た 。詳 し く は 以 下 を 参 照 さ れ た い 。 拙 稿 「S.D. ハ ン ト の 『 メ タ マ ー ケ テ ィ ン グ論 』 に お け る 内 的 矛 盾 と 方 法 論 的 問 題 点 」, 堀 田 一 善 編 著 『 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 の 方 法 論 』 中 央 経 済 社 ,1991 年 ,pp.93-123.26 ; こ う し た 意 味 で の 一 般 理 論 に つ い て は 以 下 を 参 照 さ れ た い 。RobertDubin ,TheoryBuilding,NewYork:TheFreePress,1969.27 ; 砂 。冶 。pp.1ト12. こ の 種 の一 般 的 モ デ ル や 理 論 が 最 大 限 に 有 効 で あ る の は ,直 接 的 説 明 力 を も つ 諸 理 論 の 構 築 や 発 見 ノ(い わ ゆ る 「発 見 の文 脈 」) に お い て の , 効 果 的 な 方 法 を 研 究 者 に さ し 示 す 場 合 で あ る 。28 ;op.cit.,p.12.29 ;op.cit.,p.14.30 ;Louisp.Bucklin,ATheoryojDistributionChannelStructure,Berkeley,CA:UniversityofCalifornia,InstituteofBusinessandEconomicResearch,1966.H.H.BalighandL.E.Richartz,Vertical
S.D. ハ ント の 『 基 本 的 被 説 明 項 』 第2 群 再 考 89 MarketStructures,Boston:Allyn&Bacon,1967.R.RobicheauxandAdelI.E トAnsary,AGeneralModelforUnderstandingChannelMemberBehavior,JournalofRetailing,Vol.52,Winter1975 ,pp.13 −30,90 −94.31 ; 砂 。cit.,p.15.32 ;ShelbyD.HuntandLawrenceB.Chonko,EthicsandMarketingManagement:AnEmpiricalExamination,JournalofBusinessResearch,Vol.13,1985,pp.339 −359.ShelbyD.Hunt,LawrenceB ・ChonkoandJamesB.Wilcox ,EthicalProblemsofMarketingResearchers,JournalofMarketingResearch,Vol.21,August1984,pp.304 −24.ShelbyD.HuntandJohnR.Sparks,MarketingResearcherEthicalSensitivity:Conceptualization,Measurement,andE χploratoryInvestigation,JournalofMarketing,Vol.62,April1998,pp.92 −109.ShelbyD.HuntandJerryR.Goolsby,CognitiveMoralDevelopmentandMarketing,JournalofMarketing,Vol.56,January1992,pp.55 −68.ShelbyD.Hunt,CommentaryonanEmpiricalInvestigationofaGeneralTheoryofMarketingEthics,JournaloftheAcademyofMarketingScience,Vol.18,Spring1990,pp.173 −77.ShelbyD.HuntandArturoVasquez −Parraga,OrganizationalConsequences,MarketingEthics,andSalesforceSupervision,Jour ↑nalofMarketingResearch,Vol.30,February1993,pp.78 −90.ShelbyD.HuntandScottJ.Vitell,TheGeneralTheoryofMarketingEthics:ARetrospectiveandRevision,inN.CraigSmithandJohnA.Quelch,eds.,EthicsinMarketing,Homewood,IL:RichardD.Irwin,1992 ,pp.775 −84. 尚 , こ れ ら 一 連 の業 績 の 出 発 点 で あ る マ ク ロ/ ミ クP マ ー ケ テ ィ ン グ の 分 析 に つ い て は ハ ン ト の 論 文 (ShelbyD.HuntandJohnJ.Burnett,TheMacromarketing/MicromarketingDichotomy:ATaxonomicalModel,JournalofMarketing,Vol.46,summer1982,pp.1 ト26 ) を 参 照 さ れ た い 。33 ;RichardJ.Lutz,OpeningStatement,inO.C.Ferrell,Stephenw.Brown,andC.W.Lamb,Jr.,ed 。ConceptualandTeoreticalDevelopmentsinMarketing,Chicago;AMA,1979,pp.3 −6.34 ; リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィ ン グ提 唱 者 の 主 張 は 次 の よ う に ま と め ら れ る 。 す な わ ち , ① リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィ ン グは 成 熟 市 場 で 新製 品 を 成 功 さ せ る た め の 提 案 で あ る 。 ② 成 熟 市 場 で は , 新 製 品 を 成 功 さ せ る 上 で 市 場 認 知 所 要 時 間 の 短 縮 が 重 要 で あ り , そ の た め に は 新 製 品 開 発 の段 階 か ら 潜 在 顧 客 を 巻 き込 む こ と が必 要 と な る 。 ③ 企 業 は , 新製 品 の 開 発 担 当 者 と 潜 在 顧 客 が 相 互 に 影 響 し あ っ て イ ン タ ラ クテ ィ ブ に 新 し い 可 能 性 を 想 像 し , 新 し い 製 品 を 創 造 す る た め に , 対 話 の 場 を 設 定 す る こ と が 必 要 で あ る。 ④ そ の 対 話 か ら 得 ら れ た 総 て の ア イ デ ィ アを 検 討 し , 新 し い 製 品 を 決 定 し た 後 , 同 新 製 品 を 先 の 顧 客 に 伝 え て テ ス ト す る こ と が , 市 場 認 知 所 要 時 間を 短 縮 す る 上 で 重 要 で あ る 。 ⑤ 市 場 へ の 新 製 品 導 入 後 も , 顧 客 の ロ イ ヤ ル テ ィを 育 て る た め 常 に 顧 客 と 対 話 を す る 必 要 が あ る が , こ の 段 階 で は 高 度 な 情 報 技 術 が 重 要 な 役 割 を 演 じ る。 以 下 を 参 照 さ れ た い 。 拙 稿 「 リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィ ン グ に 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 」『東 洋 大 学 経 営 論 集 』47 号 ,1998 年 ,pp.89-104.35 ; ポ パ ー の 『 世 界1 、2 、3 理 論 』 に 基 づ け ば , 新 製 品 開 発 と は , 主 観 的 知 識 を も つ ば か り で な く 「 世 界1 に 存 在 す る 物 質 」 及 び 「 世 界3 に 存 在 す る , 客 観 的 な 文 化 体 系 」 の 両 方 と 相 互 作 用 す る 「世 界2 の 行 為 者 」 が , あ る 企 業 が 市 場 化 す る世 界1 の新 し い 人 工 物 を 生 み 出 す 行 為- と 考 え て よ い だ ろ う。 い わ ゆ る 「 画 期 的 新 製 品 」 と は 世 界3 に 大 き く 依 存 し て 生 み 出 さ れ る も の , そ の対 極 の も の は , 主 に 主 観 的 知 識 と 世 界1 に 依 存 す る も の と 解 釈 で き る か もし れ な いヽ。 そ し て , 世 界3 の 自 律 性 の 故 に 「つ ね に 独 創 的 で 創 造 的 な 仕 事 の た め の 余 地 が あ る 」(KarlR.Popper,ObjectiveKnowledge:AnEvolutionaryApproach,
90 経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 ) Oxford:ClarendonPress,1972. 森 博 訳 『客 観 的 知 識 ; 進 化 論 的 ア プ ロ ―チ 』木 鐸 社 、1974 年p.184 ) と い う ポ パ ー の 指 摘 は 、 画 期 的 な 新 製 品 が 無 限 に 生 み 出 さ れ る こ とを 示 唆 す る が 、 そ の 開 発 に つ い て は 、 前 近 代 的 な 中 小 企 業 も、 先 端 技 術 を 組 み 込 む 巨 大 企 業 と 同 じ 意 味 で の 、 世 界1 及 び 世 界3 と 開 発 担 当 者 の 係 わ り を あ て は め る こ と が で き る ( 原 理 的 に は 、 あ ら ゆ る 業 種 や 企 業 規 模 に 関 し て 、 画 期 的 な 新 製 品 の 開 発 と い う 行 為 を 、 同 じ 次 元 で 論 ず る こ と が で き る ) は ず で あ る 。 拙 稿 ( 上 記 ) を 参 照 さ れ た い 。36; ラ イ フ ・ サ イ ク ル の 段 階 を 決 め る 主 要 因 は 売 上 高 と い う こ と に な る け れ ど も、 売 上 高 の 水 準 が ラ イ フ ・ サ イ ク ル の 段 階 を 決 め る と す る と 、 ラ イ フ ・ サ イ ク ル の段 階 は 売 上 高 の 水 準 の説 明 に は 使 え な い か ら 、 説 明 項 は ト ート ロ ジ ー ま た は 分 析 的 説 明 に な っ て し ま う。 そ こ で 、 そ の 段 階 が 売 上 高 変 数 に 依 存 す る こ と な く 識 別 さ れ る と こ ろ ま で プ ロ ダ クト ・ ラ イ フ ・ サ イ タ ル が 精 緻 化 さ れ な い 限 り、 こ の 概 念 は 無 能 で 説 明 力 を 欠 い た ま まだ とノヽソ ト は 主 張 す る (Ibid.、p.55)。37; 「満 足 の い く 説 明 」 を 求 め る 上 で 、「 数 的 な 普 遍 性 」 を 追 求 す る こ と は 容 認 さ れ る べ き で あ ろ う 。 ポ パ ー ぱ 、 法 則 的 言 明 の 普 遍 性 に 関 し て 、「 数 的 な 普 遍 性 」 と 「厳 密 な 普 遍 性 」 を 区 別 す る 。 数 的 な 普 遍 性 と は 、 「 十 分 な 時 間 が 与 え ら れ れ ば 枚 挙 可 能 な 全 要 素 に つ い て 言 わ れ う る 性 質 」( 小 河 原 誠( 現 代 思 想 の 冒 険 者 だ ち 第14 巻 ポ パ ー; 批 判 的 合 理 主 義 ム 講 談 社 、1997 年 、p.98 ) で あ り、 例 え ば 、「総 て の東 証1 部 上 場 製 造 業 に 関 し て 、A な ら ば 必 ずB で あ る 」、「 総 て の オ リ ン ピ ッ ク・ ス ポ ン サ ー の広 告 効 果 に 関 し て 、A な ら ば 必 ずB で あ る 」 と い う言 明 は 、 こ の 「数 的 普 遍 性 」 に あ た る 。38 ; 以 下 を 参 照 さ れ た い 。 拙 稿 几 マ ク ロ マ ー ケ テ ィ ン グ 論 ]序 説 一 漸 次 的 社 会 工 学 的 アプ ロ ―チ に 基 づ く 研 究 構 想 ]『 三 田 商 学 研 究 』32 巻4 号 、1989 年 、pp.43-57 。(1998 年12 月17 日 受 理 )