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精神的ストレスがマウスの血小板凝集能に及ぼす影響に関する研究

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Academic year: 2021

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Title 精神的ストレスがマウスの血小板凝集能に及ぼす影響に関する研究( 内容と審査の要旨(Summary) ) Author(s) 松久, 葉一 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第425号 Issue Date 2014-09-24 Type 博士論文 Version ETD URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/50395 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本(国)籍) 松 久 葉 一(岐阜県) 主 指 導 教 員 名 帯広畜産大学 教授 佐 藤 栄 輝 学 位 の 種 類 博士(獣医学) 学 位 記 番 号 獣医博甲第425号 学 位 授 与 年 月 日 平成26年9月24日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第1項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 獣医学専攻 研究指導を受けた大学 帯広畜産大学 学 位 論 文 題 目 精神的ストレスがマウスの血小板凝集能に及ぼす影響に 関する研究 審 査 委 員 主査 帯広畜産大学 教 授 北 村 延 夫 副査 帯広畜産大学 教 授 佐 藤 栄 輝 副査 岩 手 大 学 教 授 山 岸 則 夫 副査 東京農工大学 教 授 下 田 実 副査 岐 阜 大 学 教 授 海 野 年 弘 学位論文の内容の要旨 精神的ストレスは循環器疾患の発症に関連することが知られており, 特に急性冠症候群 やアテローム動脈硬化性脳卒中など動脈硬化を基盤にして起こる血栓症との関連が指摘さ れている。しかし, 血栓症の発症において重要な役割を果たす血小板の凝集能に及ぼす精 神的ストレスの影響についての報告は僅かである。それらの研究では血液中の凝集に関与 する因子が除外されていないことから, 血小板自体に対する精神的ストレスの直接的な影 響については不明である。そこで本研究では, 精神的ストレスの血小板自体への直接的な 影響を明らかにするために, マウス洗浄血小板を用いて凝集能に及ぼす精神的ストレスの 影響を検討した。 第 1 章では, 精神的ストレスとして常用されている移動および2時間の拘束ストレスを 急性(1回)あるいは慢性的(1回/日, 3週間)に負荷したddY 系雄性マウスの洗浄血小 板を用いて凝集能を調べた。慢性ストレスは血小板のアゴニストである thrombin および ADP による凝集能を促進したが, 急性ストレスは影響を及ぼさなかった。尚, 急性ストレ スが血漿 corticosterone 濃度の上昇を, 慢性ストレスが体重増加率の低下を引き起こし たことは, 両ストレスがストレス反応を導く負荷として有効であることを示している。 第 2 章では, 慢性ストレスによる凝集能亢進の機序を明らかにするために, 血小板活性 化における主要なシグナル伝達因子および活性化を拡大するフィードバック因子の関与に ついて検討を行った。慢性ストレスがアゴニストによる血小板内遊離 Ca2+濃度の上昇を促 進しないことから, 凝集能の亢進は Ca2+非依存的な経路を介して起こることが明らかとな った。protein kinase Cδ, phosphoinositide 3-kinase および Akt の活性化も慢性ストレ スの影響を受けないことから, これらも凝集能の亢進に直接関与しないことが推察された。 フィードバック因子である ADP は濃染顆粒中に貯蔵されており, 濃染顆粒分泌能は慢性ス トレスにより亢進した。ADP 受容体である P2Y1受容体の阻害が慢性ストレスによる凝集能 と濃染顆粒分泌能の亢進を阻止したことから, 凝集能亢進は濃染顆粒分泌および分泌され

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た ADP の P2Y1受容体に対する作用に起因することが明らかとなった。別のフィードバック 因子である thromboxane A2の産生量は慢性ストレスの影響を受けず, 慢性ストレスによる 凝集能亢進は thromboxane A2産生阻害時にも認められたことから, thromboxane A2は慢性 ストレスによる凝集能の亢進に関与しないことが示された。 第 3 章では, 慢性ストレスによる凝集能の亢進とストレスホルモンの関係について検討 した。副腎を摘出したマウスに慢性ストレスを負荷し, 血小板の凝集能を調べたところ, 凝集能の亢進は消失した。したがって, 慢性ストレスによる凝集能の亢進は副腎から分泌 されるストレスホルモンである catecholamine あるいは glucocorticoid のどちらかもしく は両方の作用により引き起こされることが明らかとなった。一方, 慢性ストレス期間終了 3 週間後においても凝集能亢進が出現したことから, ストレスホルモンは血液中での寿命 が 1 週間程度である血小板に直接作用するのではなく, 骨髄において造血幹細胞から巨核 球を経て産生される過程に影響を及ぼしている可能性を示唆した。 本研究により, 慢性精神的ストレスは副腎から分泌されるストレスホルモンを介して血 小板凝集能を促進すること, およびこの促進作用は濃染顆粒分泌および分泌された ADP の P2Y1受容体への作用に起因することが明らかとなった。また, これらの血小板における変 化はストレスホルモンが血小板産生過程に影響を及ぼすことにより引き起こされると推察 された。 審査結果の要旨 精神的ストレスは心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症の発症の危険因子である。一方,血小板 はその発症に重要な役割を果たしている。しかし, 精神的ストレスが血小板に及ぼす直接 的な影響については不明である。そこで本研究では, 精神的ストレスの血小板への直接的 な影響を解明するために, マウス洗浄血小板を用いて凝集能に及ぼす精神的ストレスの影 響について検討している。 第 1 章では, 精神的ストレスとして常用されている移動および2時間の拘束ストレスを 急性(1回)あるいは慢性(1回/日, 3週間)的に負荷したddY 系雄性マウスの洗浄血小 板を用いて凝集能を調べている。その結果, 慢性ストレスは thrombin および ADP による凝 集能を促進したが, 急性ストレスは影響を及ぼさないことを明らかにしている。 第 2 章では, 慢性ストレスによる凝集能亢進の機序を明らかにするために, 血小板活性 化における主要なシグナル伝達因子および活性化を拡大するフィードバック因子の関与に ついて検討を行っている。その結果, 凝集能の亢進は濃染顆粒分泌および分泌された ADP の P2Y1受容体に対する作用に起因することを明らかにしている。また、血小板内遊離 Ca 2+, protein kinase Cδ, phosphoinositide 3-kinase, Akt および thromboxane A2は凝集能の 亢進に関与していないことを指摘している。 第 3 章では, 慢性ストレスによる凝集能亢進とストレスホルモンの関係について検討し ている。その結果, 慢性ストレスによる凝集能亢進は副腎から分泌されるストレスホルモ ンである catecholamine あるいは glucocorticoid のどちらかもしくは両方の作用により引 き起こされることを明らかにしている。また, ストレスホルモンは骨髄において造血幹細 胞から巨核球を経て血小板が産生される過程に影響を及ぼしている可能性を指摘している。 これらの結果から, 慢性精神的ストレスは副腎から分泌されるストレスホルモンを介し て血小板凝集能を促進すること, およびこの促進作用は濃染顆粒分泌および分泌された ADP の P2Y1受容体への作用に起因することを明らかにしている。これらの知見は精神的ス トレスによる血栓症発症機序のさらなる解明に大いに貢献するものである。

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以上について, 審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値があると認めた。

学位論文の基礎となる学術論文

1)題 目: Effects of acute and chronic psychological stress on platelet aggregation in mice

著 者 名: Matsuhisa,F., Kitamura,N. and Satoh,E. 学 術 雑 誌 名: Stress

巻・号・頁・発行年:17(2):186-192,2014 既発表学術論文

2)題 目: Chronic stress enhances calcium mobilization

and glutamate exocytosis in cerebrocortical synaptosomes from mice

著 者 名: Satoh,E., Tada,Y. and Matsuhisa,F. 学 術 雑 誌 名: Neurological Research

参照

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