Title 悪性神経膠腫におけるテロメラーゼに関する研究( はしがき) Author(s) 坂井, 昇 Report No. 平成9年度-平成11年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2) 課題番号09671415) 研究成果報告書 Issue Date 1999 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/400 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
D.研究成果 当施設および関連病院にて手術的に摘出した脳腫瘍について、凍結保存した標本 より蛋白を抽出し、TRAP(telomericrepeatamplificationprotocol)法を用いてテロ メレース活性の有無を調べ、その組織化学的分類、腫瘍増殖能、患者の予後との関 連について調べた。その結果髄膜腫などの良性腫瘍にはその活性はなく、神経膠腫 の中では乏突起膠腫を除いてはその悪性度に相関して活性の頻度が高くなることが 解った。また腫瘍増殖能とは直接関係がなく、膠芽腫の中では活性のあるものはな いものに比しその予後が悪い傾向を示した。良性腫瘍の中で乏突起膠腫だけはテロ メレース活性を高頻度で有しており、その原因として他の研究において乏突起膠腫 に特有な蛋白も見いだされており、同腫瘍が他の神経膠腫とその起源を異にする可 能性が示唆された。また、invitroの系での実験として、ヒトおよびラットの脳腫 瘍を分化誘導した際のテロメレース活性の変化について検討した。A172ヒト膠芽 腫細胞およびC6ラット神経膠肉腫細胞を培養し、これに数種の分化誘導因子を負 荷させたところ、いずれの場合にも形態学的、生物学的に分化し、それに伴ってテ ロメレース活性が低下することが解った。特にretinoicacidによる活性の低下が著 しく、今後抗テロメレース療法等の臨床応用の可能性を示唆した。さらに、invivo の系として妊娠ラットにethylmitrosoureaを注射し脳腫瘍モデルを作成し、その腫瘍 発達の各段階でのテロメレース活性を調べたが明らかな違いを見いだすことができ ず、今後に課題を残した。以上の結果より、ヒト脳腫瘍においてテロメレース活性 の有力削ま腫瘍の悪性度、予後と相関し、これをターゲットにした治療の開発は有意 義であると考えられたため、引き続き研究を行っていく所存である。