- 201 -
タイ語を母語とする日本語学習者における条件表現『と・ぱ・たら・なら』の 習得上の問題点およ
t
撒 師 の 指 導 実 態 の 研 究教科・領域教育専攻 言語系コース(国語)
ONTA THANA即 DEE
1
.
研究の目的 日本語条件表現は,w
みんなの日本語初級 1,I
U
であれば"r
と」は第 23課,r
たらJは第 25課,r
ばjは第35課,r
ならJも第35課で学 ぶ項目であり,いずれも初級の段階で扱われ る。しかし,用法が多様であり,微妙な使い 分けが見られるため,初・中級学習者ばかり でなく,上級学習者にとっても難しい。また, 用法が類似しているため,各条件表現がどの ような場合に使用できるかといったことは日 本語学習者にとってなかなか理解できない。 「と・ば・たら・ならJは,第二言語習得 の観点からも指導の観点からも,まだ多く研 究されているとは言えない。また,タイ語母 語話者を対象とした「と・ば・たら・ならj の研究は,学習者の使用実態,習得過程とい った学習者側の側面のものは多くあるが,教 師の指導実態など,指導者側の側面は研究さ れていない。しかし,r
と・ば・たら・ならj の習得が困難なのは,学習の問題だけではな く,指導の問題である可能性もある。 そこで,本研究では, (i)タイ語を母語と する日本語学習者にとって「と・ば・たら・ ならJはどこが問題であるか,どこが間違い やすいかを明らかにし, (坦)r
と・ば・た ら・なら」がどのように指導されているのか, 現状と問題点を明らかにし, (温)r
と・ば・ 指導教員 田 中 大 輝 たら・なら」をタイ語を母語とする日本語学 習者に習得させるために,どのような指導が 必要であるかを考案した。2
.
論文の構成 第 1章 は じ め に 第2章 先 行 研 究 第3章学習者用アンケート調査の概要と結果 分析 第4章耕市用アンケート調査の概要と結果 分析 第 5章 日本語教育への提言と今後の課題 3. 論文の概要 第 1章では,研究の背景と目的,および fと・ば・たら・ならjの基礎的事項につい て述べた。 第 2章では,r
と・ば・たら・ならJの第二 言語習得の観点と指導の観点に関する先行研 究を整理し,残された課題を指摘した。 第3章では,タイ語を母語とする日本語学習 者を対象として行ったアンケート調査につい て述べた。「と・ば・たら・なら」は学習者に 定着しにくい項目であることが確認できた。 特に,r
なら」しカイ吏用できない文の時間的順 序制約と「たらJしか使用できない文のモダ リティ制約(動作性述語)が困難であること- 202 - が明らかになった。 第4章では,タイの大学で教えている,また は教えた経験がある日本語教師を対象として 行ったアンケート調査の結果について述べた。 日本人教師であれ,タイ人教師であれ,多く の日本語教師が, fと・ば・たら・なら」を教 えていて因った経験があることがわかった。 日本人教師は「と・ば・たら・なら」の違い はわかっているが,その違いの説明は簡単に はできないという問題点を抱えている。それ に対してタイ人日本語教師は,自分でも 「と・ば・たら・なら」の使い分けがあまり わからないという問題点を抱えて.いることが 明らかになった。 第5章では,本研究の調査結果を踏まえて, fと・ば・たら・なら」をタイ語を母語とす る日本語学習者に習得させるために,どのよ うな指導が必要であるか提言を行った。学習 者が目標言語を学習する時,母語と比較する のは当然のことである。そのため,まず, 「と・ば・たら・ならJがタイ語の条件表現 fph