東南 アジア研究 12巻4号 1975年3月
シンガポールの工業化 と米系企業
青
原
久
仁
夫*
Ame
r
ic
a
n・
Af
f
i
l
i
a
t
e
dCompa
ni
e
si
n Si
nga
po
r
eI
ndus
t
r
ia
l
i
z
a
t
i
o
n
by
Kuni
oY
osHIHARAは じ め に シ ンガポ ールの工業化は
EDB
が設立 され た1
9
61
年 に始 まった と考 えて よか ろ う。 しか し, 最初 の数年間は マ レー シア との併合 ・分離 とい う問題 のため, 工業化政策 を途 中で変更 しなけ れ ば な らず, 円滑 に行か なか った。 マ レ- シアの-州
としてで あれば輸入代替政策 に基 づ く工 業 化は可能 であ った し,事 実それ に従 って投資が奨 励 され た。 しか し,1
96
5
年8
月,1
年1
1カ 月の マ レー シア期 間後, シ ソガポ -ルは マ レ- シア と分離 し, 独立国 と して誕生 した。 これ に よ り, マ レーシアとの共 同市場成立は事実上不可能 とな り, 小 さな国内市場 とい う- ソデ ィキ ャ ップを克服す るための輸 出指 向型工業化が唯一 の活路 とな ったのであ る。1
9
6
7
年 以降の シンガポールの工業化 の テ ンポは急速 な ものであ った。 次 の5
年間に製造業 部 門 の付加価値 は年平均2
3
.
0%
,工業製 品 の輸 出は2
3
.
6%
,雇 用者 数は2
2
.
9%
増加 したが, この よ うな急速 な成長は ア ジアでは他に例が ない。 日本は製 造業部 門 で1
9
6
5-1
97
2
年F和 こ年平均1
6
.
6
% の付加価値 の増加を見たが, これ は 同期間の シ ソガポ --/レの年平均増加率2
2
.
5%
よ りもか な り低 い。台湾 の場合, 製造業 部門 の付加価値 は 日本 よ りも急速 な増加率 を示 したが,最 もそ の 率 の高い1
9
6
5
-1
9
7
2
年 間で見て も1
9
.
6%
に と どま り, シ ンガポ ール よ うも約3%
低 い。韓 国お よび最近の マ レー シアの工業化 は 目覚 ま しか ったが, 台湾 の1
9
.
6%
には及 ばず,従 って, マ レ ー シアか らの分離後 の シ ンガポ ールの工業化 の速度 よ りか な り遅 い とい うことに な る。1) * 京都大学東南アジア研究センタ-1) 日本,台湾,韓国,マレーシア,シンガポールの資料の出所は次の通 り。 日本 :『国民所得統計年報』,台湾 :Taiwan StatisticalData Book, 韓国 :Korea Statist∫calYearbook,マ レーシア :Mid・Term RevicwoftheSecondMqldySiaPlan1971-1975,シンガポール :YearbookofStatistics. なお,付
加価値の増加率には物価の上昇率が含まれている。実質化した場令,シンガポールの物価上昇率が1962
-1972年間に年率平均1%強と他の国よりもかな り低いので,付加価値増加率の格差は名 目上の場合よ り大きくなると思われる。
東南 アジア研 究 12巻4号 シ ンガポ ールは この よ うに急速 な工業 化 を達 成 したのであ るが, 問題 は外 資系企業 が重要 な 役割 を果 た した とい うと ころにあ る。2) 本稿 では 最大 の投 資 国で あ る 米 国の対 シ ソガポ -ル投 資 の実 態 につ い て述べ る ことにす る。 ここでは投 資理論 の適 用 可能性 につ いての検 討, あ るい は現状分析 か らの投 資理 論- の接 近 を直接 の 目的 と してほ ないが, この方 向での研究 に本稿 が い さ さか で も役立 てば幸 いであ る
O
3
)
廿
時間的パター ン 表1に外 国投 資 の過去 の パ ター ンが 国別に示 され て い るが,それ か ら明 らか な よ うに,米 国の対 シ ンガポ ール投 資は最初小規模 な も ので あ った。1
9
6
7
年末 まで は,熱帯産 品を加工 しそれ を本 国に持 ち帰 る ことを 目 的 と した投 資お よび東 南 ア ジア市場 の拠 点を シ ソガポ -ルに設置 す る ことを 目的 と した ものが圧倒 的に多か 国別 \\ -西 口 そ の 表 1 製 造 業 へ の 外 国 投 資 (100万 S ドル ) 5 69 1 69 8 1 69 7 1 1 9 66 1969と1970 :.5[ 4563 27 2 2 計 157 _._ . 」 1 1 _ 30 86 品 ● 、 / ■ 二 二 ㌧ ︰ 3 1 1 4 2 0 8 3 8 1 1 199: 294: 376 1 183; 274 355 1; 96 1 1 司 2,30 7資料 :EDB,Report on AnnualSurvey of Manufacturing Aciivity. 注 :数字は外国企業が所有する粗固定資産額 (土地代を除 く)を表 わす。合弁の場合は出資比率を用いて投資額が国別に振 り分け られている。 った。 日本 のそ の当時 の投 資 の動機 と比較 して顕著 な ことは, 日本 の企 業 が マ レー シア共 同市 場 を期待 して シ ンガポ ールに約
1
0社 が進 出 した のに対 し, 米 国の企業 はそれ に あ ま り大 きな関 心 を示 さなか った とい うことで あ る。4)マ レ- シアの人 口は約1,000万人 で,近隣諸 国 と比較す る と少 ない が,一人 当 り所 得 はか な り高 く, 国 内の購 買力 は タイ, フ ィリピンに匹敵 す る もの で あ った。5)輸 出依存度 の高 い 日本企業 に とって, マ レー シア 市場 の確 保 ・売上 げ の伸展 は重 要 な ことで あ った と思 われ るが, 米 国企 業 の中で マ レー シア市場 を主 た る 目標 と した企業 進 出 は極 め て少 なか ったので あ る。 2) 文献11)および23)参照。 3) シンガポールにおける米系企業の リス トを文献21)か ら得て, 各企業について会社登記局で 調 査 し た。同時に他の外資系企業および約200の民族系企業について調査 したが, これ らについては別の機会 に報告する。詳細については文献23)参照。 なお,韓国 ・台湾 ・香港の米系企業については後述するが, 韓国については文献20)を基礎資料 とし,台湾 ・香港については文献3),4)および米国大使館 ・公使 館の内部資料が主たる情報源である。欠けている情報については関係者とのインタビューで補足した。 4) シンガポール-の日本の企業進出の時間的パタ-ンの詳細については文献5)を参照。 5) 1963年のGDPはマラヤとシソガポールが30億U
Sドル,タイが33億U
S ドル,フィリピンが48億US
ドルであった。 490青原 :シ ンガポールの工業化 と米系企業 1967年末 まで 日本 よ りも小額 であ った米 国の投 資は, それ 以降急速 な テ ンポ で 上昇 した。 1969年には最 大投 資国 とな り,1972年末 には英 国 ・オ ラ ンダの2倍 強, 日本 の6倍 強の投 資額 を有す る国 とな -)たのであ る。 この よ うな多額 の投 資は1967年 までのパ タ- ソとは異 な り,栄 国企業 が シソガポ -ルを世 界 戦略 の一拠 点 と した と ころに原 因があ るO この期間に最 多額 の投 資を行 な 一-'た0_)は石油会
社
であ る0 1950年代には燃料 タンク建設 に伴 {)Cal
t
e
x
の投 資があ り, またMobi
l
は1966年 までに石油精製所 を建 設 したが, これ らは1968 年 以降の投 資 と比べ微 々た るものであ -,た。6)Mobi
l
の精製所 は当時1日27,000バ レルの精製 能 力 しか有せず, 国内お よび近隣諸国の市場 に供給す る程 度の ものであ った。 しか し,1968年Es
s
o
が進 出す る頃か らシ ソガポ -ル の性格が変わ り, 香 港 ・日本 な ど急速 に成長 してい る市 場- の供給基地 を シンガポ ールに設立す ることに な ったのであ る。 1971年 には1日81,000バ レ ルの能力を持つEs
s
o
精製所 が操業 を始 めたが,Es
s
o
はそれ 以後 も生産規模 を拡大 し,1973年 現在 1日181,()00バ レルの精製能 力を有す るまでに な った(。Mo
bi
l
も同時期に規模 を拡大 し, 1973年末現在 の精製能力は1日175,000バ レルであ った。 この よ うな大規模 な石油精製所 の建 設 は1970-1973年間に石油 会社の投 資額 を約3倍 に し, 1973年 末現在 での投 資額 は7億Sドル を超 え る もの と推定 され る。7) 他方,電気機器部門に対 す る米 国の投 資は1968年 以降に活発 とな った。 1960年代後半 , 日本 ・ヨ- ロ ッパか らの競争 に対拠す るため香港に進 出 していた米 国企業 が, 投 資環境 の悪化 のた め他 の国での生 産拡大 を決定 し, シ ソガポ -ルが代替基地 と して浮かび上 が ったため, この部 門での投 資が急 速 に伸 びたのであ る。8)米 国企業 は最初, 台湾 ・韓 国での生産を伸ば し, シン ガポ ールは考慮 の対象にな らないのでは ないか と当局は心配 した よ うであ るが,EDBの熱心 な勧 誘 とシソガポ-ルの投 資環境 の よさに引 きつけ られ て,1968年に初め て米国企業 の進 出が 決定 され た。 同年Te
l
e
dyne
,I
nt
e
r
nat
i
ona
lTe
c
hnol
o
gy
,Nat
i
onalSe
mi
c
onduc
t
o
r
,Te
xas
l
ns
t
r
ume
nt
s
が シンガポールに子会社 (100%出資の現地法人) を設立 し,1972年末 までにほ 25の米系企業 が設立 され た。 これ に伴 い投資額 は急速 に伸 び,1973年末 までには約1.9億Sド ルの投 資が行 なわれ た と推定 され る。9)∬
特 徴 1.米 国投 資 の特徴 の一つは特定 の産業 部門に集 中 してい る とい うことであ る。 1973年末現 6) 石油精製所の建設はShellが最も早 く,1967年には1月の精製能力は約15万バ レルに達していた。ベ トナムへの石油の輸出の主力をShellが担ったのである。1974年現在の精製能力は 日産55万バ レルであ る。7) AmericanEmbassy,Singapore,''AmericanInvestmentin Singapore,"May,1974・
8) この点については後に詳述する。
東南 アジア研 究 12巻4号 荏,米 国投 資額 の約
6
4
%
は石油部門に投 資 され ていた。10' この よ うな 高い集申度 を示す 国は他 にない。香 港の対 シソガポ-ル投 資におけ る繊維 部門- の集廟 封 土か な り高 いが, それ で も50 %弱であ る。 また, 日本の投 資が造船部伸 こ集 中 してい る といわれ るが,その集 中度は約30% で香 港の繊維部門- の集Ff二噛 三よ りも低 い。 米国投 資の場合,電気機器 部門- の集 中度が約1
4
%
で,石油部門 との合計 では約80%とな る. 香港 の繊維 部門以外 の投資は分散 してお り,2部門 へ の投 資集中
度は 合計55%前 後 と推定 され る(つ H本の投 資は電気機器部門
へ の集中度がか な り 高 く,造船 部Pljと合 計す ると集申
度約52% とな る。 Lか し, これは米 国の 2部門
集中度には及 ば ない 。11'2.
表2には米国が最多株主 とな ってい る60社 の産業別分布 が示 され てい る。 数 の 面か らす る と,電気機器 部門への25社 の集 中が顕 著 であ る。そ の部門 の中で も, 完成 品 よ りも電子部 品 メーカーの多い ことは注 目に値す る。 他 の先進 国 と比較す ると,採 油関連部門- の米 国の企業進 出は異色であ る。 この部門- の他国の進 出は皆 無であ る が, これ は米 国の技 術が進 んでい るとい う ことに よってあ る程 度説 明 され るか もしれ ない。 しか し,以前か らこの地域 で採 油に 従事 してい る会社 の多 くが米 国企業 で, こ れ らの企業 との過去 におけ る関係か ら,探 池 の関連部門 の企業進 出が始 まった と考 え られ る面 もあ る。12) 日本の進 出部門 と比較 してみ ると,織経 と造船におけ る差違 に特 色があ る。 日本 の場合 ,繊維 部門- の進 出 は電気機器部門に次 いで多いが,米 国の こ の部門の進 出は皆無で あ る。 造船 の分野で は 日系企業 は大型船舶 の建造 ・修理 を行 な ってい るが,そ の よ うな米系企業 は存在 し 表2 米系企業の産業別分布 産 業 食料品 ・飲料水 ・タバコ 化 学 基 礎 産 業用 薬 品 塗 料 ・印刷 イ ンク 石 け ん ・化 粧 品 /ミ ッ テ リ ー プ ラス チック製品 石 油 ・石 油 製 品 金 属 加 工 機 械 ・ 器 具 一 般 機 械 輸送機器 (船舶を除 く) 造 船 ・修 理 探 油 関 連 機 器 電 気 機 器 完 電 成 晶 子 部 品 そ の 他 紙 製 品 非 金 属 鉱 物 製 品 木 製 品 印 刷 ・ 出 版 4 (1) 6 (2) 1 (1) 1 2 1 1 5 6 9 2 1 1 5 25 7 18 5 1 2 1 1 計 1 60 ) ) ) ) ) 1 5 6 1 1 ( ( ( ( ( ) ) ) ) ) ) ) 2 6 6 3 1 1 1 2 1 ( ( ( ( ( ( ( 注 :かっこ内は創始産業の指定を受けている企 業数を表わす。 ない。 これ らの ことは 技術格差 が企業進 出 と 関連性 を 持 ってい ることを示 してい ると思われ る。 10) 注 7)に同じ。 ll) 本稿における日本の投資に関するデータは文献5)を参照のこと。 12) この地域で探油に従事 している企業名については文献15)参照。 492吉原 :S'},ガ ポ-)レの工業化 と米系企業
3・
米国人お よび米国企業が最多株主であ る企業数は60であ るが, これ は他の先進国 と比較 して特に多い とはいえない。 H本が57,英国が59で大差 ない。それに もかかわ らず,米 国の投 資額 が 日本の6.
3
倍,英 国の2
.
3
倍 とい うことは, 平均投資額が他の先進国 よ りも大 きい ことを 示 してい る。 そ の理 由 と して,石油精 製 部門-の巨大 な投資が挙げ られ, それを除くと米国投資の平均規 模は必ず しも大 き くはない といわれ る。 しか し,英 国の投資額 か らShellの投資を差 し引 き, 米国について同 じ作業を した として も, 米国の平均投資額 が 大 きい ことには変わ りはない。13' また 日本 との比較において も同 じことが言え, 石油部門-の投資を差 し引いた1972年末現在 の 米 国の平均投資額は 日本の 2倍強であ った と推定 され る。4.
創始産業 の指定 を受け てい るものが米系企業 の中で多い 。 60社中40社がその指定 を受け てい るが, これ は絶対的に も相対的に も他の先進国 よ り多い。 例えば, 日本の場合57社 中創始 産業 の指定を受けてい るのは24社,英 国 の場合59社rF128社であ る。 電気機器部門におけ る米系 企業 の創始産業指定比率は特に高 く,25社 中22社がその指定を受けてい る。 これを同部門にお け る 日系企業の比率 と比較すれば,格差 は さ らに顕著にな る。 それ ではなぜ比較的多 くの米系 企業 が創始産業 の指定を受け得 たか とい う疑問が生 じる。14) 英系企業 の場 合は輸入代 替的投 資で,多 くは マ レ-シアか らの分離前に設立 され た。 その反 面,米系企業 の多 くが最近設立 された もので, 輸 出指 向型であ るとい うことが創始産業指定率 を高めてい る原 因であ ると思われ る。 しか し, 日本企業 の中で1969年以降設立 され た ものの多 くも輸 出指 向型 で,特に電気機器部門におけ る投資は輸 出指 向型の ものであ った。 この中には 創始産業 の指定 を受けてい るもの もあ るが,そ の比率は米系企業 と比べてか な り低い。 この格 差を説 明す る要因は幾つか考え られ るが, 輸 出指 向型の企業進 出が 日本に比 して早 く, シソガ ポ-ル政府 との交渉において有利 な立場 に立 った とい うことが 一つの重 要な要因 と思われ る。 電気機器部門について比較 してみ ると, 日本の場合,低賃金労働者 を求めての投資は1970年に よ うや く活発にな って来た のであ るが, これは米系企業 の進 出に2,3年遅れてい る。 電子部 品部門は労働 集約的で, シソガポ-ル政府は失業問題を克服す るために この部門 への外 国投資 の勧 誘に特に熱心であ ったが, 日本の投資が始 まる頃には失業問題の深刻 さもかな り低下 し, 工業化政策が労働集約的産業か ら技術集約的産業 の育成へ と変わ りつつあ った。15)急速 な進歩 13) EDBの国別投資額は固定資産への投資額であるが,合弁の場合は持株比率によって振 り分け られて いる。SIlellの場合は合弁ではないが株の40%を英国の会社,60%をオランダの会社が所有しているの でこの比率で Shellの投資が振 り分け られている。英国の会社名は "ShellHTransportand Trading Co.,オランダの会社名は RoyalDutchPetroleum Co.である。14) 創始産業に指定されると, 5年間の免税および他の優遇措置を受けることができる。
15) 1965年の失業率は12.3%であったと推定されている (文献8)。 その後失業率は低下したが,1968年
の始めに発表された英軍の早期撤退は失業率を再び高めるおそれが強かった。1965年英軍の支出は国民
東南 アジア研究 12巻4号 を遂 げた シ ンガポ ール の工業 化 の下 では2, る。
5.
表3
には米 国の直接 投 資 (株式投 資) の分布が示 され てい る。 少 数株式参 加 を含 め る と67の米 系企業 が あ るが,全 直接投 資額 は 1973年6月時 点で2.48億Sドルで あ った。 同 時 点で 日本 の直接 投 資額 は1.36億S
ドルで あ ったが,直接 投 資額 で は米 国 のそれ は 日本 の 2倍 に満 た ない。 しか し,表1に示 され てい る全 投 資額 では米 国は 日本 の約6.3倍 であ る。 とい うことは,米 国 の投 資の中で 直接投 資が 占め る比率 が低 い とい うことで あ る。 米 国 の投 資額 は1972年末 で8.61億S
ドルで あ った ので あ るか ら, 直接 投 資 の 占め る比率 は約29%で あ った とい うことに な る。 日本 の 3年 の遅れ はか な り大 きな 意味 を持 った と思われ 表3 米国の直接投資寵の分布 直接脚 (1'000Sニ 〔L L至堅 100_ 299 ! 1; 300- 499 2 500- 699 4 700- 999 7 1,000- 2,999 1 7 3,000- 4,999 5,000- 9,999 10,000以上 計 5 7 5 67 投資窺合計 (1,000Sドル) t 248・530 百三:67社の うち,米国が最多株主である米系 企業は60社,残 りは少数株式参加。 場合,1972年末 の全投 資額 は表1に よれば , 1.37億S
ドルであ ったが, これ は次 の半年 でか な り増 加 した もの と思われ る。16) そ こで,直接 投 資 の全投 資額 におけ る比率 は 明 白では ないが, 日系企業 の決算書 が得 られ る範 囲内で検討 し て見 る と, 全 資本額 の中で の直接 投 資 の 占め る割 合 が 高 い とい うことに 間違 いない。 そ の反 面, 米系企業 におけ る直接投 資 の 占め る比率 は低 い。17) 表3
に1
0
万S
ドル未 満 の直接投 資が9
件 あ るが, これ はすべ て子 会社- の投 資 であ って,そ のほ とん どが電 子部 品 メー カーで あ る。 最 も極端 な例 は, 払 込資本金 が全 資本額 の1%
に も満 た ない ものが あ る。 では, 米系企 業 の直接 投 資比率 を低 め る原 因は何 で あろ うか。 一 つ の理 由は,1965年 か ら実 施 に移 され た米 国の投 資規制 であ った と思われ る。 そ の ため, 米 国企業 は海外 での事 業 を拡張す る場合, 借 入金に依存せ ざ るを得 な くな った と考 え られ る。 しか し,発展途上 国に対す る規制 はか な り緩 く, これ が主 た る原 因だ とは思 えな い。子会社 で 直接 投 資の重要性 が特 に低 い とい うことは別 な要 因 が よ り重 要 であ った と考 え られ るのであ る。 そ こで,米 国におけ る税制 に注 目しなければ な らない。 米 国は原則 と して発展途上 国 と二 重 16) 直接投資麓の推定時点が1973年中頃,全投資麓の推定時点が1972年末で若干相違がある。 米国の全投 資筋 も半年間に増加したと思われるので,29%は上限とい うことになるO 日本の場合,半年間の差を考 慮 しないと,固定資産-の投資がすべて直接投資で賄われたとい うことになる。 銀行お よび親会社か ら の借入金もあるので,半年間の直接投資の伸びがこのような結果をもた らしたと考え られる0 17) 同じ点がオース トラリアにおける米系企業についても指摘 されている (文献9)04
9
4
青原 :ジ ンガ ポ -JL,の工業 化 と米 系企業 課税 防止協定 を締結 してい ないため, シ ンガポ ール等発展途上 国で免税 の恩典 を 得 た と して も,利潤 を米 国に持 ち帰 った場合 に課税 対象 とな る.18) そ こで米 国企業 の海外戦略 と して考 え られ ることは,
利
潤 を海外 に残 してお くとい うことで あ る。 海 外での子会社設立当時 は親会社 ・関連会社 ・銀 行か らの借 入金に主 と して頼 り, 利潤 が高 まるにつれ てそれを積み立てて,そ の分 だけ借入金を返済すれば税負担は ゼ ロにな る。 このための条件は税 免除の恩典 を受け てい る とい うことだけ でな く, そ の期間 中相当な利潤 が生 じるので なければ意味はない。 しか し, 子会社 の場合,親会社 あ るいは関連会社 との取 り引 きが主 た る もので, 価 格 を操作す る ことに よって全体の利潤 を税 免除 を受け てい る子会社 に集 中す る ことは不可能ではないのであ る。 最 も極端 な例はあ る有 名な米 国の部晶 メ-カーの子会社 で, 設立 当初払 込資本金2.5万S ドル, 借入金約1,500万 Sドルで あ った 。 しか し,3年後 には払込資本金は もとの ままで, 借 入金は すべ て返済 し利益剰余 金は 2,400万Sドル とな った。 この よ うな莫大 な利潤が短期 間に あげ ら れ るのは トランス フ ァ- ・プ ライ シソグを行 な うことに よって可能 にな った と考 え ざ るを得 な い0 19) 免税 の恩典は外 国企業誘致 において重 要度が低 い とい う論者 がい る.20) それが最 も重要 な要 因であ るとは勿論 いえないが,それを軽 視 してはな らない。 世 界的 な生産 の組織網 の一拠 点 と して シ ンガポール等発展途上 国に子会社 が設立 され る場合, 免税 の恩典 を受け得 るか否 かは重 要 な決定 要因 と考 え られ るのであ る。6.
米 国の企業 進 出は単独 で行 なわれ ることが多 い。 シ ンガポールにお いて米 国企業 が共 同 出資 してい るのほ 2
件 のみ で,他はすべ て単独 出資であ る.21) 日本 の場 合,単独 出資の ケース もか な りあ るが,共 同出資 のほ うが多い。 それでは なぜ この よ うなパ ター ンの相違 が生 じたの であろ うか。 一 つ の理 由は 日本におけ る商社 とメ-カーの関係 であ る。 日本 の企業 の中では東京 ・大阪 の 証 券 取引所 で一部上場 され てい る ものの中で も, 輸 出は商社 に依存 してい るものがあ り, 中小 企業 の場合特 にその傾 向が強 い。 この よ うな関係にあ る場合には, 商社 とメーカーが共 同 して 出資す ることが多い。22) た だ,商社 の役割 を過大評価 してはな らないのであ って, シ ソガポ-ルの 日系企業7
8社
の中で商社 が資本参 加 してい るのほ3
2
社 であ る。 他 の理 由 と しては, 日本 の 企業 が グル - プ化 してお り, メ-カ-が共 同 して出資す るとい うことが挙 げ られ る。 これは海 18) 日本,英国,オラソダの場合,シンガポールと二重課税防止協定を結んでお り,米国企業のような問 題はない。米国企業の海外利潤と法人税の問題についての詳細については、文献18)を参照。 19) 会社全体として利潤がなければこの操作も意味がない。 また,これ以外に借入金の伸縮が株式資本と 比べて簡単なため,税上の恩典とは無関係に利益剰余金によって借入金を返済する戦略も考え られる。 20) その一例としてほ文献13)の結論がある. 21) このことについては東南アジアへの米国企業進出全般についていえるようである。詳 しくは文献6) 参照。 22) 全国8証券取引所 (1部, 2部)に上場されていない30社が シソガポ-ルの製造業部門に投資してい るが,商社と共同出資しているケースはその うち11件にすぎない。東南 アジア研 究 12巻4号 外活動 の経験不足 を互 いに補足 しあ うとい うことよ りも, リス クの分散 お よび資金不足 を カバ ーす る とい うことが主 た る理 由なのではなか ろ うか。 中小企業 の海外進 出で商社 が参 加 してい ない場合, この傾 向が特に顕著 といえ る。 米 国企業 の場合,海外に進 出 してい る企業 の規模が 大 きい とい うこと,海外活動の経 験が豊富であ るとい うこと, と等に単独 出資を多 くしてい る原 因があ るよ うに思え る。
7.
米 国企業 の場合,現地側 との合弁が少 ない。表4に示 され るごと く,6
7
の米 系企業 の うち2
1
社 は合弁企業 であ る。 しか し,そ の うち1
0
社- の出資者 は中国系米 国人 お よび東南 アジア在住 の白系米 国人 であ って,米 国企業 が合弁事業 に資 本参 加 してい るのほ1
1件 しか ない。 しか もその うち6
件は 日 本 ・ヨー ロ ッパ ・香港 の企業 との合弁 であ って,現地側 との 合弁は5件 にす ぎない のであ る。 これは 日本 の企業 進 出の場 令,合弁 の ケースが多 く,そ のパ ー トナ -が現 地企業 お よび 現地人 であ ることと対 照的であ る。 また,米 国企業 の場合, 少数株式参 加が極め て少 ない。前述 の ごと く,共 同出資の ケ 系列化 が未発達であ るとい うこ 表4
米系企業の出資比率 10- 19 20- 29 30- 39 40- 49 50- 59 60- 69 70- 79 80- 89 90- 98 99- 100 4 2 2 6 6 1 46 計 . 67 中 央 値 (%) i 100 ースが2
件 あ るが, この場合一社 当 りの出資比率は5
0%
未満 F であ って も米 国側 の出資を合計す ればそ の比率 は5
0%
以上 にな る。 単独 出資の場合,5
0%
未満 の ケースは ない。 日本 の企業 の場 合,少数株式参加 のケ-スがか な りあ るが, これ は シンガポ ールへ の 日本 の企業進 出の特徴 と して指摘 で きよ う023)8.
米系企業 の多 くは子会社 であ る。 米国企業 の海外進 出は合弁形 式 を絶対 に取 らない とい うわけでは ないが, 日本企業 と比較 して1
0
0%
株式所有 に 固執す る傾 向があ る とい うことは事 実 の よ うで あ る。 しか し, 固執す るか らとい ってそれが実現す る と は 断定 で きないのであ っ て,必要で あれば現地側パ - トナ - との合弁 とい う形式を取 ることも多い。24)最近,発展途上 国は概 して合弁形式 を取 ることを外 国企業 に要求す るが, シソガポ-ル も例外 では ない。 それ に もかかわ らず,米 国側が1
0
0%
株式 を所 有 してい るケースが多い のは,米 国企業 が シンガポ ール政府 との交渉において有利 な立場 に立 った とい うことに原 因があ る と思われ る。 一つは米 国投資 のほ とん どが輸 出指 向型 の ものであ るとい うことであ る。 米 国内での賃金上 昇 のため, 労働集約 的工程 を持 つ企業 は海外か らの競争に対処す るため海外に進 出す る必要性 が高 まった。低賃金で労働生産性 が比較 的高 い国で, かつ外 国企業誘致 に熱心 な国が輸 出指 向 23) 米国企業が少数株主として資本参加することもある。韓国の場合,71の米系企業の うち21社への米国 側の出資比率は50%未満である。 少数株式参加をする米国企業は比較的名前の知られていないもので, 輸入代替型の企業進出と考えられる。 ただ, 日本と比較 して,少数株式参加のケ-スは少ない。 日本の 場合40%強が少数株式参加である。 24) フィリピンではL・L協定の下で米国企業は現地企業と同等の扱いを受けたので合弁の ケ-ス は非常 に少ないが,注23)で述べたように韓国への米国企業進出には合弁が多い。 496吉原 :シ ンガポールの工業化 と米系企業 型 の投 資の対象 とな るのであ るが, そ の中で香 港,韓 国,台湾, シンガポ ール, メキ シ コが大 きな地位 を 占め てい る。25' 輸入代替型 の投資 の場合,現地市場 が 目的であ るので外 国企業 の姿 勢 も柔軟 にな らざるを得 ない。 投 資 の必 要性が生 じて くるのは相手 国が関税 ・非関税障壁 を設 け て輸入を制限 しよ うとす るか らであ -'て, 投 資が許 可 され ない場合そ の市場 を喪失す る とい う結果 にな る。 現地政府 の要求す る令 弁形式 を とる用意 のあ る企業 があれば,
1
0
0%
の株式所 有 を要求す る外 国企業 は現地政府 との交渉において 極めて不 利な立場 に立 た され るので あ るo Lか し,輸 出指 向型 の投 資 の場合, 製 品は輸 出 され るのであ って,特定 の国にそ の拠 点 を作 ら なければ な らない理 由はな くな る。 そ のため,現地政府 の交渉 力は弱 ま り,外 国企業 の子会社 設立 を許可せ ざるを得 ない とい うことが 多い。 とはい って も, 輸 出指 向型であ才Mf交渉力が絶対 的 な ものに な るとい うのではな く, ‖春 の 場合 の よ うに, 輸 出指 向型投資であ りかつ1
0
0%
株式所有 を欲 していたに もかかわ らず,合弁 形式を とった ケースが何件 もあ る。26' そ こで, なぜ 同 じ輸 出指 向型 の投 資で も日米間で持株比 率 の差 が生 じたのかを考 えなければ な らない。 一 つは米国 の進 出が早か った とい うことであ る。 マ レー シア との分離後数年間, H本 の企業 進 出は極めて少 ないが,1
9
6
0
年代 の国内 の経済状態 は 輸 出指 向型 の投 資をあ ま り必要 と しなか った。英 国に対 して もシンガポ ール政府 は熱心 な勧 誘を行 な ったのであ るが, 英国経 済 の停滞 と英 国経 済界 の関心がEEC
に集 中 していた とい う事情 で, 英 国か らの輸 出指 向型 の投 資は極 め て少 なか った。それに反 し,米 国の投 資は1
9
6
8
年頃か ら本格的にな ったのであ るが, 当時英 軍 の撤退 に よ})て深刻 な影響 を受けつつ あ った シンガポール経 済に対 し米国は交渉 の上 で有利 な立場 に立つ ことがで きたのであ る。 そjt/か ら, シ ソガポ -ルが ベ トナ ム戦争か ら利益 を得 た とい うこと も米 国 の交渉力を高め る 原 因にな ったのでは なか ろ うか. ベ トナ ム- の米 国の経済援助 は莫大 な窮 に のぼ ったのであ る が,それは特定 の国か らの輸 入にのみ使 用で きた. シ ソガポ-ルはその特定 国の中に入 ってい て, ベ トナ ム- の輸 出の増 大は この援助 に よって 可能にな った といえ るので あ る。 また, ベ ト ナ ムの米兵が シ ソガポ-ルに休暇 に来 て落 とす外貨, あ るいは米 国艦船 の寄 港に よる経 済的利 益 等 シソガポ-ルの得 るところが大 きか った。 この よ うな背景 け 下で米 国の企業進 出が始 ま-) たのであ るが,米 国の もた らす利益 が シ ンガポ ール政府 との交渉において米 国企業 の交渉力を 高め たのではないか とも考え られ るので あ る。27' 25) 文献22)参照。 26) 1974年3月に,1970年以後設立された 日系企業で日本側出資比率が45%以上100%未満の企業を対象 にアソケー ト調査を行なった。回答率は80%であったが,それによると半数は100%の株式所有を欲し たが,シンガポール政府の許可が得 られないので合弁形式を取ったと答えた0 27) これは推論であって,その実証は極めて困難と思われる。東南 アジア研究 12巻4rt3・ Ⅲ 利 潤 率 外 資系企業 はか な り高 い利潤率を あげてい る とい うのが一般的 な考 え方 であろ う。 そ うでな ければ外 国へ の直接投 資の根拠がな くな る。 外 国企業 が シ ンガポールに なぜ直接投 資をす るの かを考 え る場合,間接投 資 との選択 と関連づけ なければ な らない。 経 営に参加す る理 由は,そ れに よって利潤 率が高 まるか らなのであ る。 とい うことは, 資本が経 営参加 と結合す る場合, 投 資受け入れ 国にない技術 お よび経 営 ・マーケテ ィングの ノウ ・- ウが導入 され, 外 資系企業 の利潤 には これ ら- の見返 りが含 まれ てい るのであ る。 企業進 出は極端 な場合,現 地 の銀行か らの借 入金 を資本 として経営がで きるのであ るか ら, 資本 の移転を伴 わ な くて もよい。 この場 令,利子支払後 の利益 はそ の企業 が導入 した ノウ ・- ウ- の見返 りとな る。 通常,企業進 出の 場合株式取得 のために資本が投下 され るが, この場合の利潤率は現地 におけ る資本- の平均利 潤 と,導入 され る ノウ ・- ウ- の見返 りが含 まれてい ると理解す るのが最 も妥 当 と思われ る。 従 って,民族 系企業 に比 し優れた ノウ ・- ウを所有 してい る外 資系企業 の利潤 率が高い ことは 当然であろ う。 しか し,上述 した ことは平均的 な ことであ って, 企業進 出に失敗す る例 もあ る ことに注意を 払 う必要 が あ る。 売上 げが期待通 り伸 びない, コス トが予想以上に高 くつ く,生産がなかなか 軌道 に乗 らない, 現地政府 の政策 が大 き く変わ ったために経営が苦 し くな った等 の理 由で撤退 を余儀 な くされた ケースは稀 では ない。28) また,進 出当初 は赤字を 出す企業 が多 く,経営が順 調 にな るのに操業後2年 くらいかか るのが平均 的であ るよ うに思われ る。29) 海外事業 の利潤 を実証 的に研究す るにあた って問題にな るのは 現地 の子会社 あ るいは合弁企 業 の利潤率 の信頼性 で あ る。 あ る外 国企業 に とってほ現地経 営で赤字を 出 した と して も,そ の 存続 に よって企業 が親会社 を含め て全体 として利益を上げ得れば よい。 現地企業 が親会社 あ る いは他国に あ る関連会社 の犠牲 に な ってい る場 合, 決算書 か ら現地企業 の成功度 を判断す るの は困難 であ る。 親会社 か らの原材 料購 入の場合, 購入価格 を 吊 り上 げた り, また関連会社-製 品を販売す る場合そ の価格 を不当 に低 くす る とい うことは例外では ない といわれ る。 しか し, だか らとい って赤 字を 出 してい る外 資系企業, あ るいは利潤率が低 い外 資系企業 がすべ て上述 の会計上 の操作 に よって説 明 され るものでは ない。 表5には創始産業 の指定 を受け てい る米系 企業 の中で決算書 が提 出 された ものの利潤率が示 され てい る。30) 3年 以上操業 してい る場合は 28) 日本企業でシンガポール-の進出に失敗した例としては,丸善石油と トーメンが共同出資した石油精 製所のBPへの売却,大和-ウス工業,桃井製網,川崎製鉄,大東マッチ工業,ヤンマー等の引き揚げ がある。 29) 文献 12)もこの点を指摘しているが,データの出所は明らかにされていない。 30) 創始産業の指定を40の米系企業が受けているが,その うち9社は操業を開始していないが,操業して いても1年末満であるため決算書が会社登記局に提出されていなかった0
4
9
8吉原 :ジ ンガポ-)レの工業化 と米系企業 最近
3
年の平均,操業開始以来 2年 の場合は 2年の平均, 1年 の場合はその ままの利潤率で, その計算式の分母は利益剰余金 を含む 自己資本金であ る。 創始産業の指定を受けてい る 場合,法人税は免除 され るので あ るか ら,親会社は利益をそ こ に集中す るのが得策であ る。 ト ラソスフ ァ- ・プライシングを 行なわない として も, シンガポ ールにあ る系列企業を犠牲にす 表5
創始産業の指定を受けている米系企業の利潤率 二 ∴ __∴ ' :-∴ 二 負0
-
4.9 5.0- 9.9 10.0- 14.9 15.0- 24.9 1 6 ・ 3 6 50.0- 74.9 75.0- 99.9 100以上 1 2 計 1 6 1 13 中央値 (%) 圭 34 4.6 計 完 2 2 1 1 4 3 i 2 -二 ・=i 三二 【 負 ト f′i I't】 負 ることは全体 としての税負担を軽 くす ることにはな らない(。従 って,創始産業 の指定を受けた 米系企業が利潤を過大に計上す ることはあ って も, その逆 の可能性は小 さい と思われ る。 この表か ら明 らかな ことは, 操業年数が増加す るに従 って利潤率は上昇す るが,最初 の2年 間は半数以上の企業が赤字を出 してい るとい うことであ る。 操業年数1
年の6
社はすべ て赤字 を出 してい る。 経験不足が1- 2年間 しか操業 していない企業の利潤率を悪 くしてい るが, 他の要因 として 最近労働者確保が困難にな って きた とい う事情 もあ る。 早 く進 出 した企業は良質な労働者を確 保 してい るが, 出遅れた企業 の場合それが困難 で, また雇用者 の離職率 も高 い。 従 って,今赤 字を出 してい る企業は2- 3年 して も経営成績が よ くな るとは断定で きないのであ る。Ⅳ
香港 ・台湾 ・韓国への企業進出との関連性 表6
には シソガポ-ル ・香港 ・台湾 ・韓 国の工業製品 (国際貿易分類品 目部番号5- 8)
の 対米輸出が示 されている。 1969年には シンガポールの対米輸出が 2,500万U
S ドルであ ったの に対 し,香港74,000万U
S ドル,韓国27,600万U
S ドル, 台湾33,200万U
S ドル とシンガポー ルの10-30倍 の額を米国市場に輸 出 していた。 ところが,その 4年後の1973年には シソガポ-ルの占め る地位はかな り高 くな った。 4年間に韓国の対米輸出が 3.4倍,台港が5.0倍,香港が 1.8倍に とどまったのに対 し, シンガポールの対米輸出は15.6倍 に増加 した。1973年で もシン ガポールの対米輸出額は他の3カ国に比べて まだ少 ないが, 格差は1969年 よ りかな り小 さ くな っている。 これ ら3カ国におけ る対米輸 出 と米国企業の進 出は品 目に よってはかな り密接 な関 係があ る。 しか し,全体 として民族系企業の果たす役割 も評価 して よい と思われ る。 それ と比 較す ると, シンガポールの民族系企業が対米輸出に果たす役割は小 さい。31' 日系企業な ど他の 31) 文献11)参照。東 南 ア ジア研究 12巻4号 外 資 系 企 業 も シ ン ガ ポ ー ル か ら米 国 市 場 に 輸 出す るが , そ の 大 半 は 米 系 企 業 に 担 わ れ て い る。 シ ソガ ポ --ル の 対 米 輸 出 の 増 加 は 米 国 企 業 の 進 出 に 始 ま り, 投 資 と貿 易 との 密 接 な 関 係 を こ こ に 見 る こ とが で き る。 輸 出指 向 型 の 投 資 の 場 合 , 投 資 国 へ 製 品 が 輸 出 され る とは 限 らな い 。 米 国企 業 の対 シ ソガ ポ 表
6
台湾 ・韓国 ・香港 ・シ ンガポールの対米輸 出 (1,000USドル) r 台 SITC
分類
6,941I 9,5161 12,075 8 9 8 2 96
4 31
喜 1 742・,
≡
;
25
i 862・,……… 7 ; 99,80 8:
1
5
5
,
計 65 84 72 183 190 401,07 3!600・547日 26,007; 30・613 1 1 583,叫 797,573.i159,803.225,590 540t 141,
8
9
42,49 265,28 4i ;I 1973 6227 2,104 232,763:303.029 76,336弓171,790 1 ::,'7221::! 7 7…三 日 喜;…器 22,248⊆ 25,335
.
;1
0
,
8
5
6
1 9 211::4121123…・,S::i2……謂 389;;…
6
4:日 25.:;芸… (729・3) 弓 9,90_3_L li・__3_禦L 1_6_,_8_96」竺 _9?SL 警,__909L 1_5,76ヲ 香 港 二二 ー ¶年1
6 73,658: 7 1 47,401: l l 計 740,084 1 1 729 59,327 (729・3) ; 32・0031
小 計 :417,796 資料 :Departmentof 797; 733 1,076 80,
3
2
4 166,883183,778112173.491;241・,747765 1,628 153,266 317,015 862,945 13,8
0
4
118,175 30,148 3,974 26,125 127…:635364弓2233;≡;53≒2……・,03882ll 、 40,918 5,846 34,325 23.681; 31,168 47,886【8.4,913 ソ ガ ポ ー ル 4 5 83
5 5 52
2 8 58
464 31 2 9 32
7 7 2 1 1 3 62
5 8 1 1 869,8431902,6811,151,
9441,334,854i 25,386 ll 7,073 74,103 1三喜;;;…≒ 13,272 273,547 2,2
6
8
・ 3
,
9411 4,6421
41,072:145,994 1 68・172; 80・811 36,303! 32,4021線 33:・,986078.鳥 ;…! 2…:3……Commerce,U.S.GeneralImportsofMerchandise.
70,839i147,190 ll,913. 32,199 262,541 48,131 51,734'101,885;186,357 1 43,688 83,0
5
3
!
1
4
8,867 89,314.190,322 349,395 注 :SITC 分頬番号は以下の ごと くである。 5 (化学工業生産品), 6 (原料 品製品), 7 (機械類お よび 輸送 用機器類), 8 (雑製品),65(織物用織経 の糸,織物お よび繊維製 品),84(衣類), 72(電気機 器),724(通信機器, ラジオ用 または テ レビジ ョン用の送 受信機器お よび無線応用機器), 729(その 他の電気機 器),729.3(熱電子管,冷陰極管 ,光電管,半導体素子, 光電池お よび圧電気結晶素子). 500吉原 '.シンガポールの工業化 と米系企業 -ル投 資は本国- の製 品の持 ち帰 りを 目的 とす るところに一つ の特徴が あ るが, 日本企業 の場 合 はい ささか な異 な ってい る。 あ るア ンケー ト調査 に よると日系企業 の生産量 の40%は輸 出 さ れ るが,その内 u本 に輸 出 され るのは 1割 に も満 たない。32) 日本 国内U)賃金上昇や Flj切 り上げ のた鋸 こ多 くの 日本企業 が過 去2- 3年間に海外 に進 出 したが, 国内苗場 の防衛を 目的 と した ものは台湾 ・韓 国に集中 Lた。33'文化 的に も距離的 に もかけ離れ てい るシ ンガポ ール- の投 資 は近隣諸 国,欧 州,米国- の輸 出を 目的 と した ものであ --つた。 これ ら4カ国の対米輸 出の特徴 の一つは, 工業製 品の輸 出が衣 類 と電気機器
(
品 目分翫番号 84と72)に集中 してい ることであ る。 1973年 には台湾 の2品 目- の集中度 は53%,韓 国41%, 香港53%, シ ンガポ ール88%であ る。 シンガポール と他 の3カ国 と比 較す ると, シソガポ-ル では衣 類の重 要性が電気機器 に比 して特 に低 い。 シ ソガポ -ルの衣 類の輸 出額は他 の3カ国 と 比べ て少 ないが,ll-業製 晶 の中で 占め る比率は台湾 ・韓 国 と大 した差 は ないO シンガポ ールU) 対米輸 出にお いて繊維 が小 さ く見え る0)は 電気機器 の地位 が他の3カ国に比 して特に高 いか ら であ る。34) シ ンガポ ールの電気機器 の対米輸 出は1969年頃か ら急速に伸び始めた。 1969年 の時 点では, 香港 の輸 出額 が12,900万t
T
S ドル, 台湾が9,300万U
S ドル,韓 国が2,500万USドルであ った のに対 し, シ ソガポールのそれは800万U
S ドルにす ぎなか った。 しか し, シ ソガポ -ルの電 気機 器 の対米輸 出は急速に伸 び,1970年 には韓 国を追 い越 し,1
97
粥
三には香港の輸 出額 に匹敵 す るよ うにな り,台湾 との格差 もか な り縮 まった。 シ ソガポ-ルの電気機器 の対米輸 出の一つ の特徴 はそ の他の電気機器 (晶 杵分類番号729) -の集 中であ る。 この大半 を 占め てい るのほ電子部品, つ ま り熱電子管 ・冷陰 極管 ・光電管 ・半 導 体 デバイス ・超小型電 子回路 ・光電池 お よび圧電 気結 晶素子 (品 目分類番号729-3)であ る。 部品 の対米輸 出では4カ国中段 も多いC.それに比べ,通信機器 ・ラジオJHまたは テ レジジ ョン 用の送受信機 器 ・無線応 用機器 (品 目分 類番号724)の比重が極 めて小 さい 。 ラジオ ・テ レビ ジ ョン用の送受信機器 は台湾 の対米輸 出で比重が大 きい。 そ こで4カ国の電気機 器 の対 米輸 出の特徴 を次の よ うに 要約 す る ことがで きる。 台湾 の対米 輸 出は完成 品, シソガポ -ルは部 晶が主 であ る. 韓 国の場 合, シ ソガポ-ルほ ど特化 していな いが 部品の 占め る比重が高 いO香港 '/)場 合,両者 の バ ラ ンスが保 たれ てい る() 電気機 器 の対 米輸 出 と外 資系企業 との間 には密接 な関係があ る。35'香 港の1970年 の電 気機器 32) 日本大使館, 日本商工会議所,日本貿易振興会が共同で1973年中頃に日系企業を対象に アンケ- 卜調 査を行なった。 33) 文献5)を参照。 34) 衣類の輸出は香港および 日本系企業が主力。 35) 米国企業の海外での生産は関税法第807条の付加価値関税とも関係するが,それが主因ではない。付 加価値関税の果たす役割については文献22)を参照。東南 アジア研 究 12巻4号 の輸 出の
9
0%
以上が外 資系企業に よって行なわれてい る。36)香港におけ る電気機器部門では米 系企業 の比重が圧倒的に高いので, 香港の対米輸 出のほ とん どが米系企業に よって行なわれて い ると換言で きよ う。 韓 国について も1
9
7
2
年約3
分の2
の電気機器 の輸 出は米系企業に よって 行 なわれた。37)台湾の場合,不 明であ るが, シ ソガポ-ルについては 日系企業 の生産が1
9
7
3
年 末 までには まだ軌道に乗 っていなか った ことと, 他の外資系企業の規模が 小 さ い ことか ら,1
9
7
3
年末 までの電気機器の輸 出は米系企業に よって担われた とい って もよかろ う。 電気機器部門での米 国の企業進 出は香港か ら始 まった。1
9
6
1
年にAmpe
x
が子会社を設立 し たのが最初 で,翌年にはFai
r
c
hi
l
d
,Tr
a
ns
wor
l
d
,Lo
c
khe
e
dAi
r
c
r
af
t
がそれに続 いた。それ か ら1
9
6
6
年 までには現在操業 してい る米国企業 の主た るものは出そろ った。1
9
6
0
年頃には微 々 た る存在であ った電気機器産業は1
9
6
0
年代の末 までには 繊維 ・プラスチ ックについで第3
番 目 に重要 な部門に成長 したのであ る。 この よ うな急速な成長を担 ったのが米 国企業 の進 出であ っ た 。1
9
6
7
年の前半 まで急激に増加 した米国の投資 も, それ以後 テ ンポが鈍化 し, この2
年ほ どは 生産の伸び も極めて低 い ものにな った。 香港政庁の 自由放任政策は外 国企業 の 活 動 を容易に し,多 くの労働者 ・技術者が英語 を話す とい うことも香港の プラスの面であ った。 しか も,安 価 で良質 な労働者が多い ことは米 国企業 の香港-の 進 出の決定要 因 として重要であ った と思わ れ る。1
9
6
7
年夏,香港に暴動が起 こ り香港の将来性に暗い影を投げかけた。 暴動は1
0月にはお さま ったが,香 港の企業家 の中にはそれを共産革命 の 前兆 と考 え海外脱 出を図 った者 も多か った。 特に この頃, シンガポ ール政府は逃避 資本を引 きつけ るために憲法を改正 し,25万 Sドル以上 を製造業部門に投資 した者に永住権 と5
年後には市民権を付与す ることに したが, これは1
9
6
7
年 の後半か らその翌年 にかけて香港か ら投 資が急増す るのに大 きな役割を果た した。38) この よ うな政治不安の下で,米国企業 も香港以外での生産拡張を考え始めたのであ る。 台湾 ・韓 国-の米国企業 の進 出は両 国の 輸 出指 向型 の工業化政策が本格化 した ことに関係す る。 香港 よ りも低賃金であ るに もかかわ らず, 韓 国 ・台湾-の進 出が遅れたのは両国の外資政 策 ・イ ソフラス トラクチ ュアの整備に問題があ ったか らであ る。 ところが,台湾 の高雄に 自由 貿易区が建設 され,輸 出指 向型 の指 資に対 して手続 きが簡素化 された。 韓国 も同 じよ うな政策 を施行 しよ うとしたのであ るが, 米国企業に とって台湾ほ ど投資環境 が よ くなか った よ うであ る 。39) 米国の台湾進出はGe
ne
r
a
ll
ns
t
r
ume
nt
s
の子会社設立に始 ま り,2
年後にはTRW
とAdmi
r
al
36) 文献10)参照。 37) 文献19)参照。 38) 文献23)第7茸を参照。 39) 文献7)を参照。また,韓国における二,三の米系企業の経営者も同意見であった。吉原 :ジンカ.ポ-ルの工業化 と米系企業
が進 出を決定 した
。1
9
7
0
年 までにほRCA
,Te
xa
sI
ns
t
r
ume
nt
s
,Mot
or
ol
a
,Ampe
x
,Ar
vi
n
I
ndus
t
r
i
e
s
,Bendi
x
,Co
r
ni
ngGl
a
s
s
,Ze
ni
t
h
等米 国の電気機 器 部門におけ る代表 的企業 が進出 していた
。1
9
7
0
年頃に な ると生産 が軌 道 に乗 った企業 も増 加 し, それか ら3
年間に ラジオ ・テ レビジ ョン用受信機 の生産が急速に伸 びたのであ る。
米 国企業 は当初韓 国に電 子部晶の生産基地 を作 るのではないか と思 われた
。1
9
6
6
年 にはFai
r
-c
hi
l
d
の韓 国進 出が決定 され ,翌年Cont
r
oIDa
t
a
とMot
or
ol
a
の進出が決 まった。1
9
6
9
年 の 段階 では まだ韓 国 の生産規模 が シンガポ ールのそれ よ りも大 きか った のであ る。 しか し,韓 国 政府 との関係が ス ムーズに行か ない場令 が多 く, 韓 国か らシソガポ-ルへ と米 国企業 の関心が 移 った よ うであ る。 シ ンガポール- の進出が始 まった1
9
6
8
年 の時 点では香 港の ほ う が 貸金は低か った040) しか し,2年後にはそ の地位 が逆転 し, シ ンガポ ールが優位 に立つ よ うにな った。 しか し,韓 国 と 比べ るとシンガポールの貸金 のほ うが高か った ので あ るが, イ ンフラス トラクチ ュアの整備, 輸送 の便,政府 ・官庁 の能率, 英 国文化 の遺 産等の面
で シンガポ ールが優位 に立 っていた ので は ないか と考 え られ る。1
96
8
壬印こ始 まった米 国企業 の進 出は1
9
7
2
年末 まで続 き,全 部で2
5
の米 系企業 が この部 門で設立 された。 そ の多 くが電子部 晶の生産 を行 な ってい るので あ る が, チ 日, 台湾 ・韓 国は もちろん の こと,香 港 よ りも重要 な部 晶供給基地 とな ってい る。 輸 出指 向型 の米 国の直接 投 資で最 も菰要 な ものに石油会社 の投 資が あ るが, これは シ ンガポ ールに集 中 してい る。 台湾 に この部門で米 国企業が進 出で きなか -)たのは,石油
精製 が国営企 業 で なければ な らない とい う制度的制約 に基 づいてい る。 韓 国 の場合, シ ンガポール と比べ て 立地 条件が思 い とい うこともあろ うが, 政治的な安定性 とい う面 で も 不利 であ った よ うであ る。 また,韓 国政府 の政策 お よびその実行能力に対 しての評価 も低か った よ うに 思わ れ る。41) 香 港 の場合, シ ンガポ ール と競争 で きた と思われ るが, 香 港政 庁が優遇措置 を何 ら講 じなか っ た とい う所 に問題があ ーつた のでは なか ろ うか。 中国 との借地権 の問題で香 港が不利 な立場 に立 っていた よ うに も思われ るが, 石油精製 を含 む化学 コンビナ ー トを建設す る計画が現在 米 国企 業 の手で進め られ てい る ことを考 え ると, 中国 との問題は大 きな マイナス要 因では なか った の であろ う。 シ ンガポ ールは政権 が安定 してお り, 安全保障 とい う点に も特に問題はな く,多額 の投 資に よ り適 した投 資環境 に恵 まれ ていた といえ よ う。 それ に加 えて,政 府 の熱心 な勧 誘 と 米 国企業へ の優 遇措置お よび政府 ・官庁 の能率 を米 国企業は高 く評価 した のではなか ろ うか。42) 40) シンガポール,香港,台湾,韓国 の平均賃金の比較を香港の労働省が1970年までについて発表してい る。 41) 文献7)を参照。 42) She11がすでに シンガポールを 7ジアの精製基地としていたことも米国の石油会社を誘致するのにプ ラスの要因であったと思われる。しかし,それではなぜ Shellがシンガポールを選んだかとい うことが 問題になるが,それはシソガポ-ルの立地条件,政権の安定性,安全保障,政府の能率等前述 したこと が主たる要因であったと考えられる。東南 アジア研 究 12巻4号 終 わ りに , シ ンガポ ール ・香 港 ・台 湾 ・韓 国- の ri・米 企 業 進 出 の特 徴 を ま とめ てみ よ う0
1
. コス トお よび生 産性 は大 差 が な い場 合, 非経 折 的 要因が企 業 進 出 の重要 な決 定 要 因 とな るO表7
に4カ国 に おけ るl
l・米 系企業 数 と投 資額 が 示 され て い るが , 日本企業 に と-)て の韓 国お よび台 湾 の重要 性 は距 離 的 に 近 い とい うこ とだけ で な く, 戦前 日本 の植 民地 で あ った ため に 日本語 の通 じるパ ー トナ -が得 られ 易い とい う所 に もあ る。 それ とは対 照 的 に, 国 と して の 規 模 が小 さい に もか か わ らず, シ ソガポ -ル ・香 港 が米 国企業 に と って よ り重要 な存 在 で あ る こ とは英 国文 化 が両 国 に浸透 して い る とい うこ と とは無 関 係 では なか ろ う。2.1
9
7
0
年 に 発表 され た 「周 四 条件」 は 日本 の企業 進 出 の流れ を変 えた。 粕 こ台 湾 - の大企 業 の投 資は それ 以 後ほ とん ど止 ま -'た ので あ るが, それ が 米 国企業 の進 出に与 えた 影 響は小 さ い。日本 の大 企 業 に と ってほ 中国 が市 場 と して現在 大- ん重 要な存 在 で あ るか , 将 来 そ うな る 可能 性 が強 い のに対 して, 米 国企 業 に と って 中 国市 場 の重 要性 が低 い とい う こ と が 「周 四 条 件 」 へ の対 応 の相違 を 生 ん だ と考 え られ る。 以下 の6
点につ い ては シ ンガポ ールの米 系企 業 だけ で な く, 程 度 の差 は あ るが他 の3
カ国 の 米 系企 業 につ い て も妥 当す る。 表7 シンガポール ・香港 ・台湾 ・韓国の製造業部門における日 ・米系企業 首r妄 1藻 同庁 Iil嘉 &T E藻 「嘉 遠 企 業 数 77 8 8 9 9 01 9 19 6 44 7 1 6 0 1 平 均 投 資 街1) 算 術 平 均 0.716; 1.513 0.818: 1.119 中 央 値 0.288 0.690 1 二部門集中度3' 52 72 韓 国4' 日 本 i米 国 477 ; 173 ミ 519 i 71 146.1! 3251.
0
!
179.1… 122.1注:
1
)
単位は100万 USドル 2) 香港の投資麓は固定資本に流動資本を合計 したもの。他の3カ国の場合は直接投 資算。台湾 ・韓国は許可べ-ス,香港 ・シンガポールは実績。なお,香港 ・シンガ ポールの投資額は1U Sドル-5.65HKドル-2.45SドルでUSドルに換算 した。 台湾 ・韓国のデータはU Sドル表示。 3) 単位は%。香港については不明,他の3カ国の詳細は次の通 り。米国投資の電気 機器への集中度はシンガポール14.8.%,台湾68%,韓国28%。石油化学-の集中度 はシンガポール57.5%,台湾20%,韓国53%。 日本投資の電気機器-の集中度はシ ソガポ-ル20%,台湾39%,韓国28、%。船舶-の集中度はシソガポ-ル32%,化学 は台湾22%,繊維は韓国18%であぞ'oなお,米国の集中度は直接投資の集中度で, 第]節で述べた集中度 よりも少 し低い。 4) 韓国の場合,個人投資は対象か ら除外 されている。 5) シソガポ-ルの調査時点は1973
年中頃,韓国 ・台湾は1973年末,香港は1974年3 月末である。資料 :香港はCommerCeandlndustryDepartment,韓国は経済企画院,台湾は 華僑及外 国人投資審議委員会のデータを用いた。台湾 ・香港のデータは公表されているが, 韓国は未公表。
青 原 :ジ ンガ ポ-ルの工業化 と米系企業 3.米国企業 の場合,単独出資が圧倒的に多いのに対 して, 日本企業 の場 合は共 同出資のケ -スが多い043)
4
,米国投資の特定郡Pr卜 の集中度が高い (表7
参 照)。 米 国投 資の二つ の重要部門 は4
カ 国いずれ も電気機器 と石油精製 ・石油化学であ るが, 日本 の場合後者 の重要性は低い。 国に よ って異な るが,繊維 ・船舶 ・一般化学がそれに代わ る。5.
米 国の輸出指 向型投 資は 日本のそれに先行 し, 優位 な立場で生産の拠 点を作 ることがで きた 。 6.米国の輸出指 向型 の投資が本国へ の製 晶持 ち帰 りを 目的 とした ものが主で あ る の に 対 し, 日本 の輸 出指 向型 の投 資においてほ第三 国市場がか な りの重要性 を持つ。7.
日系企業 の平均規模 は米系企業に比 して小 さい。 これは 日本 の企業 進出の中で中小企業 が 占め る地位が大 きい ことと関係 してい るもの と思われ る。 韓 国の場 育, 中小企業 の進 出が特 に 目立つ。 全 国8証 券取引所 (1郡,2部) に上場 されてい る企業が1973年春現在約1,700社 あ -)たが,
それ らをすべ て中小企業 の範臆か ら除外す ることには問題 が あ るか もしれ ない。W しか し,非上場 会社 を中小企業 と見なす と, 韓 国に1973年末現在 資本参加 していた約550社中, 約100社が上場会社で残 りの会社は非上場であ る。45) この よ うに多 くの非上場会社 の進 出が, 日系企業 の平均規模を小 さ くしてい る重要 な一 因 と思われ る。 8.米系企業 の中で子会社 の 占め る比率が高い。 シンガポールの場合,57社に対 し米 国企業 が資本参加 してい るが,そ の うち46社が子会社であ った.16) しか し,台湾 ・韓 国におけ る子会 社 の比率は シンガポールのそれ よ りも低 い。 それは両 国に輸入代替型 の投 資が行なわれ てい る ことと関連す るよ うに思 う。 台湾 の場令,88社 の米系企業 につ いて出資比率が判 明 し て い る が,そ の うち子会社は38社であ る。 韓 国の場合,71の米系企業 の うち子会社は21社であ る。 こ れ らは 日系企業 におけ る子会社 の比率 よ り高いが, シソガポ∼ルのそれ よ りもかな り低 い。47) 米 系企業 の うちで合弁件数が台湾 ・韓 国で多いのは小規模 な投資が原 因ではない。 韓 国にお いて大規模投 資 プロジ ェク トについて調査 したが, 合弁か子会社かは投 資規模 と関係がない こ とが判 明した。300万t
T
S ドルの直接投 資額 を越え るものが8件 あ ったが, そ の うち7件 につ いては米国側の持株比率5()%,他 の1件が100%であ った。 この1件は電子部品 メ-カ-で, 他はすべて韓 国市場を狙 った ものであ るか ら, 米 国企業 の場合 で も輸入代替型 の投資であれば 43) 韓国については文献20)に出資企業名が掲載されてお り,実証される。香港,台湾については文献4) に掲載されている進出企業 リス トから同じことがいえるが, データ不完全なところがあ り,また少し古 い。なお,台湾については文献3)も参照のこと。 44) 東洋経済新報社 『会社四季報』,昭和48年,第2集。 45) 文献 5)参照。 46) 米系企業67社中,10枚に対してほ個人投資。 47) 日系企業の出資比率については文献5)を参照。 韓国における米国企業の出資比率は文献20), 台湾 については文献1)による。東南 アジア研 究 12巻4号 合 弁 形 態 を 取 る こ とが 少 な くな い とい え よ う.48) 参 考 文 献 A 和 文 1) 交流協会 『台湾 におけ る外人投資 :政策 と現状分析』,1974年 5月。 2) 難波武夫 「シソガポ-ルにおけ る外 国人投資 の現状」 『アジア経済』1974年12月。 3) 日本商工会議所 「米系企業 の対 台湾進 出の実態」 『海外企業 と技術』1972年8月。 4) 日本貿 易振興会 『海外市場 自書1972年版 :第2分冊,わが国海外投資の現状』 5) 吉原久仁夫 ・足立恭一郎 「日本の海外企業進ILli-韓国 ・台湾 ・香港 ・シ ンガポール」『東南 アジア 研究』1974年9月。 B 英 文
6)Allen,T.,DirectInvestmentof UnitedStates Enterprise in Southeast Asia,The Econmic CooperationCenterforAsianandPacificRegion,StudyNo.1,1973・
7)ArthurD.Littlelnternationallnc.,Ab♪endicestoaNationalIndustrialDevelopmentOvervieuJ: GuidelinesandSiraiegyforTai弘・an,August,1973.
8)Blake,D.J.,L'Employmentand Unemploymentin Singapore,"inCriticalIssuesinIndustrial RelationsinSing(ゆorebyW.E.Chalmers(DonaldMoorePress,1967).
9)Brash,D.T.,AmericanZnvesimeniin Australian Industry,Australian NationalUniversity Press,1966.
10)Chen,K.YH"TheElectronics IndustryofHong Kong:An AnalysisofItsGrowth,H M・A・ thesissubmittedtotheUniversityofHongKong,1971.
ll)Chia,S.Y・,"ExportPerformance and Foreign Manufacturing Firms in Singapore,"a Paper PresentedattheSimposium onSingaporeintheinternationalEconomy,March,1972. 12)Drucker,P.F.,"Multinationals and Developing Countries: Myths and Realities,"Foreign
Affairs,October,1974.
13)Hugh es,H.andYou,P.S.ed.,Foreign Investmentand Industrialization in Singapore,Aus・ tralianNationalUniversityPress,1969.
14)Hwang,P.Y.,HForeign lnvestmentin Singapore,Ha PaperPresented atthe Simposium on SingaporeinthelnternationalEconomy,March,1972.
15)Ichord,R.,"SoutheastAsiaandthe WorldOilCrisis;1973,"inSouiheasiAsianAffairs1974
(InstituteofSoutheastAsianStudies,Singapore). 16)Josey,A.,LeeKuanYew,AsiaPacificPress,1968.
17)SingaporeGovernment,"EconomicSurveyofSingaporein1973,AnnualBudgetStatement."
18)Smith,D.T.,"TaxPolicyandForeignlnvestment,HLaw and Contemporary Problems,Winter, 1969.
19)Sub,S.Cリ"TheKoreanElectronicsasExportIndustry,"aPaperPresented attheKDトHIID Conference,Seoul,June,1974.
20)USAID/Korea,HTotalForeign Equity and Loan Funds Authorized for Projects Approved UndertheForeignCapitallnducementLaw(FCIL)since1962(AsofDecember31,1973)." 21)USEmbassy,Singapore,"U.S.BusinessFirmsintheRepublicofSingapore,"May,1973. 22)UnitedStatesTariffCommission,EconomicFactorsAffecting ikeUseofZiems 807.00 and
806.300ftheTariffSchedulesoftheUm'tedSiaies,TC Publication339,1970.
23)Yoshihara,K・,Foreign Investmentand Domestic Response in Singapore Znduslrialiraiion, forthcomlng.
48) 8件への投資企業名は Chemtex,Skelly Oil(2),Gulf Oil(2),ControlData,Dow Chemical, GeneralMotorsであ る。 この うち輸 出指 向型 の投資 を行 なった と考え られ るのは ControIDataのみ 。 506