東南 アジア研究 7巻3号 1969年12月
タ イ 国 生 薬 の 考 察
Ⅳ
木
島正
夫 *Natural
Dr
ugR
esourcesin Thailand,I
V
by Masao二KoNOSHIMA タイ国天然薬物 に関 する文献 -・・-追捕 さきに解説 した (「タイ国生薬 の考察 Ⅰ」本誌Vol.6,No.2,pp.164-174,1968)タイ薬文 献 の一 つ,〔2〕"タイ国薬 物効能集成 第1巻〝 に続 く "第2巻〝 が1967年 に発刊 され てい た が,筆者 は最近 これ を入手 したのでその内容 について追 加紹介 す る。 (注 :従来 第 1巻 を〔2〕と略称 したが,以下第1巻 を〔2-Ⅰ〕と改 め,第2巻 を〔2-Ⅱ〕と 略称 す る) 〔2-Ⅰ〕
蝕 1
円3日 .3.1州品 別品
3
1m (Samakhom Rongrien PhaetphaenBoran)(古医学校協会 編纂)
血 っ創細 別?01日11m
(
m
爾 N ) (Pramuan Sapphakllum YaThai,Pt・2)(タイ国薬物 効能集成 第 2巻) 本書 は第 1巻(1964)発刊後,3年 目の1967年 に続刊 され た もので,表紙 ,体裁 ,記載形式, その他すべ て第 1巻 と同様 で, これ らについては改 めて解説 す る必要 はない。第 1巻〔2 -
Ⅰ〕
では タイ文 字順 (子音 字母) の ∩(K)の部 か ら可(Ch)の部 のは じめ までの554種 の薬物 をあ げ たが,第2巻〔2-Ⅰ〕では本文354ペ -ジで 可(Ch)の部 の大部分 の ものか ら 雨(F)の部 ま で519の種 をあげ ていて,1,2巻 を通 じて今 までに 1073種薬 物 について解説 してい る。 さらに〔2-Ⅰ
〕に記載 され てい る薬物 519種 を内訳 す ると,基原植物 (動物 な ども含 め)の学 *京都大学薬学部 391東 南 アジ ア研究 7巻3号
名 あ るいは英 名 な どを明記 してい る もの 416種 , タイ名 だけ をあげ て,基原 の明確 で ない もの な ど 103種 で,後者 の うち約 50-60種 は動物生薬 的 な ものや製 剤 的 な もので あ る。
これ を〔2- Ⅰ〕と同様 に〔1〕と比較 す る とだ い たい〔2 - Ⅰ〕に引 き続 き, 〔1〕の 230番 目の
1ノ L勾
那 3Jelglu (Chamotton) か ら 529番 目
血
n(Faeb) 〔また は 鞘qNO(Ling)〕 まで の もの を増補 改訂 した もので, 〔1〕に記載 され てい る薬 物 (305種) で〔2 -Ⅲ
〕に記載 され た ものは244種 で (61種 の薬 物 は整理 削除 して〔2- Ⅱ〕には記 載 され てい ない), 〔2- Ⅰ〕に新 し く記載 した薬 物 は 275種 にお よんで い る。 い ま〔1〕に記載 され てい る薬 物 で 〔2- Ⅰ〕に記載 され た もの約 250種 の内訳 を見 る と, 〔1〕 に記 載 され てい る基原 をその まま〔2- Ⅰ〕に記載 した ものが 181種 , これ に大幅 に増補 改訂 を 加 え た ものが 63種 で あ る (この うちには基原 を新 し く明確 に設 定 した もの 25種 が含 まれ てい る)。 す なわ ち従来 か ら薬 物文献 に あげ られ てい る ものの約% に近 い もの に大幅 な訂 正 を加 え, その上 さ らに新 し く約 270数種 の薬 物 を加 えて, 〔2- Ⅰ〕に引 き続 き,面 目を一新 した続 刊が 刊行 され た とい え よ う。 改訂 の内容 はおお むね〔2-Ⅰ
〕に記 した ことと同様 で あ るので,個 々 の もの につ い て例 を挙 げ るこ とは省略 す る。 なお 〔2-Ⅱ〕に新 し く記載 され た50-60種 の動物 生薬 的 あ るいは製 剤 的 な薬 物 の うちには一 例 をあげ ると"
乳
汁鞍 〝 12種 ,"液 汁類 〝 (例 えば "砂 糖 汁〝 の よ うな) 10教程 ま とま って記 載 され てい る。 この よ うな特殊 な薬 物 は さきに記述 しなか ったが,〔2-Ⅰ
〕に も同様 に記載 さ れ てい て,例 えば "混 合薬 物額 〝 lo激種 ,≠骨 片類薬 物〝 20数種 が あげ られ てい たO この うち には迷信的 な もの も 2-3例 は 見 られ, 薬 物 として あげ られ てい るこ と自体 にい ささか疑 問 を もつ。 しか しこの よ うな特殊 な薬 物 は タイ国 だけ では な く, イ ン ドの薬 物 中 に も見 られ, われ われ に も最 も関係 の深 い中国の古典本草書 に も見 られ る もので, その薬 物的効果 , あ るい は実 際 に薬 物 として どれ だけ実 用 に供 され てい るかな どは別 として, はなはだ興 味 の あ る もので あ る。 これ らの ものについ ては別 に考察 を加 えて見 たい。なお本書 の入手 には ColomboPlanExpert としてバ ン コクの 国立薬 品研究 所 に勤 務 中の木 村孟淳博士 夫妻 の協 力 を得 た。 こ こに深謝 す る。 果 実 類 生 薬 (1) 筆 者が収 集 した標 晶 中,果 実類 生薬 は約 80数 晶,60数種 で あ ったが, 現在 なお基 原植 物 そ の他, 明 らか に し得 ない もの数種 が あ るC さ らに筆 者 の予察 後 ,数種 の果 実類 生薬 を追 加 入手 してい る。 結 局 約 50種 の ものについ て検討 した。 なお今後 も新 し く入手 で き る もの もあ るが , これ らにつ いては追加報告 す る。 9ノ (1)Maphrao 3JS
刊3
1
つ (写真 Fr-1)木 島 :タイ国生薬 の考察 Ⅳ
写真 Fr-1 ‥Ma-phraoH (× ca.0.2)
げ, そ の果 実 を強心 薬 ,神 経刺激薬 として用 い る とい う。 ただ筆者 は タイ国薬 店 その他 で ココヤ シの果 実 あ るいはその一部が生薬 とし て販売 され てい る もの を見 ない。 ココヤシは タイ国で は広 く自生状態 に栽 培 され てい て, おそ ら く民衆 は特 に生薬 とした もの を入手 す る必要 が な く, その周辺 にあ る植 物 か ら直接 得 られ るか らで あろ う。 C.m
L
Cifcra ココヤシ,古 古郁 子,Coconut treeは原産 地 は マ レー付 近 と考 え られ てい る が 明 らか でな く, 熱帯 アジアでは広 く栽 培 し, 自生 状態 に も生育 す る。 常緑 高木 状 で茎 は直 立 す るか, 弓状 に湾 曲 して高 さ 15- 30m に 達 し,葉 は大形,羽 状 で20- 30葉 を頂 生 す る。葉 は長 さ4- 7m,幅 約 1m に達 す る。 大 きな 肉穂 花 序 をえ き(敬 )生 し,花 序 の先端 には雄花 ,下部 に雌花 の単性花 をつけ る。果 実 は成熟 す る ものは数個 ,球 形 ,偏球 形,楕 円球 形 な どあ り,径 約 20- 30cm。 外側 はセル ローズ質 また はや や ろ う質 の表皮 でおおわれ,灰 か っ色 を星 してい るが,横 断面 は3角 状 円形 を皇 し,表 皮 は うす く, その 内側 は厚 さ3- 4cmの粗 毛繊維 状 の厚 い中果 皮 か らな り, 内果皮 は厚 さ0・ 2-0.6cm,禾 質 で,暗 か っ色∼ 黒 色 の石 核 とな る。 内果 皮 の内側 には薄 い灰 か っ色の種 皮 が あ り, さ らに内側 には厚 い 白色,脂肪 闇 とな った旺 乳 が あ り, 中央 は空所 にな って酸 甘味 の あ る乳濁 酸 をみ た してい る。 腔 乳 は脂肪 を多量 に含み, 1)ミスチ ン酸 , ラ ウ リン酸 の グ 1)セ 1)ヅ ド, その他パ ル ミチ ン酸 , ス テ ア リン酸 , オ レイ ン酸 のグ リセ リッ ドのほ か揮 発性 酸少量 か らな る。 果 汁 には ヒスチ ジ ン, アルギ ニ ン, ア ラニ ンな ど多種類, 多量 の ア ミノ酸 , タ ンパ ク質 を含 み, また カイネチ ンよ うの植 物生長促進 物質 のほか,各種 の ビタ ミンB群 も含 まれ てい る。 生巣 の腔乳 をそ の まま搾 油 した ものが "ヤ シ油〝Coconutoilで, 腫乳 を切 り取 り陽乾 した もの を "コプラ〝Copra,これ を搾 油 した もの を "コプラ油〝 Copraoilと称 し, ヤ シ油 は コプ ラ油 よ りも優 良 で あ る。 ヤシ油 , コプラ油 は食 用油 ,石 鹸 , マーガ リン原 料, ク 1)- ム, ポ マ- ド原料 な どにな り, ヤシ油 の油 状部分 (Coconutolein)を除 い た固形分 (Coconutstearin) または ヤ シ硬 化油 は カカオ脂 の代 用 として製 薬 原料 とな り, ココヤ シの果 実 は重要 な油 脂 資源 で あ る. また内果皮 の石 核 は良質 の活性炭 製造 の原料 にな る。
果 汁 の うち未熟果 汁 は清涼 飲料 的 に供 され るが過熱果 汁 は酸 味が強 く,利 尿作 用が あ る。 最 近 は果 汁 に各種 のア ミノ酸 , タ ンパ ク質 のほか植 物生長 ホル モ ン的物質 , ビタ ミンB群 な どを 393
東南 アジ ア研究 7巻 3号 含 み,植 物組織 培養培地 に賞 用 され る。 そのほか中果皮 の粗 毛繊維 状 の部分 は薬 用以外 に,綱 , マ ッ トな どに利 用 され てい る。 なお タイでは果 実 を強心薬 ,神 経刺激薬 に, また- レ-では収 れん (赦)薬 あ るい は コ レラよ うの症 状 に用 い,イン ドでは婦 薬 ,利尿薬 な どに用 い る とい うが, その詳 細 は不 明で あ る。 (2)∼ (8) カル ダモ ン類 生薬
熱帯 ア ジア か ら産 出す る Zingibeyaceaeシ ョウガ科 に属 す る主 として AIPim'a,Amomum,
Eleitayia 属植 物 の果 実, 果皮 を除 い た種 子塊 , または種 子 で, 精油 成分 を含有 し,芳香性健 胃薬 あ るいは香 辛料 な ど, お お むね 同 じ目的 に用 い る生薬 類 を国際 生薬 市場 では カル ダモ ン類 (Cardamom)生薬 と総称 す る。 カル ダモ ン幣 生薬 は従来 ,Eleuariacaγdamomum Matonの果 実 , すなわ ち 「小豆悪」 (シ ョウズ ク),Cardamom seed で代表 され てい るが, 各地域 にはそ れぞれ代表 す る生薬 煩 が あ り, 中国で は 「自豆老 」
,
「縮 砂 」 が代表的 な もので あ り,本邦 で も 東南 ア ジアか ら輸 入す る 「縮 砂」が 代表的 な もので あ るが, これ に代用 す る本邦 産 の AIPim'a japonica Mique1- ナ ミョウガ の種 子,
「伊 豆 縮砂 」 な ど もカル ダモ ン類 生薬 の なかに含 まれるし, また欧 米 で 「小豆藷 」 に代 用 す る7 7 1)カ産 の Aframomu,m meleguelaK・Schum・
そ
の他 の同属植 物 の種子 ,ParadisiSemen まで広義 に カル ダモ ソ塀 生薬 として取 り扱 う。タイ国な らびにその近接地 か ら生産 され るカル ダモ ン煩生薬 として著 名 な もの は中国で使 わ れ る 「白豆藷」, 「縮砂」, 「陽 春 砂 」 な どで あ るが,前2着 , す なわ ち 「自豆薙 」 Cambodian round cardamom, 「縮砂」 Bastard cardamom の両種 は特 に Siamesecardamom と総称 さ
れ てい る。 これ らの生薬 の基 原植 物 は タイ薬 用植 物 , タイ薬 物効能 集成 には それぞれ TISつ
1
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Ka-wan,ほっ Reu,刊1Khaな どの タイ名 で記載 され てい るが, これ らの薬 物書 に見 られ る植 物 名 は従 来 の成 書 ,文献 に見 られ る もの と比較 す る と疑問 の あ る ものが 多 い。 また,東南 ア ジア産 の他 の カル ダモ ン塀 生薬 ,特 に中英 とす る ものは タイ国内で 中葉 的使 用 の ため, タイ 国-輸 入 され てい る もの も多 い。 しか るに これ ら中英 の基 原植 物 に も疑 問 の あ る ものが 多 い。 したが って ここには タイ国産 の もの を含 め,広 く東南 アジア産 カル ダモ ン煩生薬 を網羅 し, その基原植 物 ,産地 , それ らの関連性 な どについ て考察 を加 え る。 参 考 文 献 (2)∼(8)項に用いた主要参考文献をここに掲げ る。
1) I・H・Burkill:A Dictionary ofthe EconomicProducts of the Malay Peninsula・ (London,GreatBritain・1935)pp・13ト137,910-913,1302-1311・
2) 中国医学科学院荊物研究所他編 :中荊志Ⅰ(1959);Ⅰ(1961).(中国人民衛生出版社,北京) a)Ⅰ.1420, Ⅰ.126;b)Ⅰ.361;C)Ⅱ.336;d)Ⅰ.137;e)Ⅱ.365;f)Ⅱ.329. 3) 南京薬学院薬材学教研組集体編 :薬材学(1961)(中国人民衛生出版社,北京)
木島 :タイ国生薬 の考察 Ⅳ 4) 木村雄四郎他 :植物研究雑誌 ;a)32,53(1957);b)32,7(1957);C)41,49(19()6);(I)36, 1(1961);e)32,18(1957);f)32,297(1957);g)43,5()5(1968). 5) 木村雄四郎 ・吉村衛 :植物研究雑誌 ;43,447(1968);44,65(1969). 6) 第 7改正 日本薬局方2部 (1966). 1 I T Gi
(2) Kha刊1(aha ta daeng刊1例1AAelJ) お よび Kha lek刊1A
a
n (写 真 Fr-2)中葉 "紅豆蒐 〝 (コウズ ク) は カル ダモ ン額 生薬 の一 つで, その基原植 物 として中 国では,
AIpim'agalangaW illd・(-Languasgala17gaStautz.)1-大 高良妻 (Zi17g7'beyaceaeシ ョウガ科 ) の果 実 で あ る とす る。 写真Fr-2 HKha"OrHKhalek" (紅 豆 蓉 )(香 港市場 品) (× ca・1) A gαJ〃7/∼gα は中国本土南 部 (広東 ,広西 , 雲南 ),海南 島, 台湾 , マ レ-半 島, ジ ャワ, イ ン ド, その他熱帯 ア ジアに広 く分 布 し, そ の根茎 は Galang(TLmajor,Greatergalangnl, Jawagalangalな どと呼 び,後 に記 す "良妻 〝 よ りも形 は大 きいが,芳 香性 に劣 り,真 正 の "良妻 〝 の代用 品 とす るにす ぎない もので あ る。 一方 ,木村 雄 四郎 氏4la 5)は海南 島 にお い て 採集 したAli,im'aoBi,cinarlimHance(-Lan -glイαSODicim rlLmForwell)の果 実 と市 場品 生
莱 "紅豆墓 〝 を比較 して, そ の基原 植 物 に A.oPicim rum を充 当 してい るが, 中国薬 物書1)では A・oPcinaγum の果 実 は ミ紅豆窟 ミ にな
らない と否定 してい る。
A.oBicinayum は A.galanga と同 じ く, 中 国本土南 部 (広東 , 広西),海南 島 な どに分布 し, 両種 の分 布地域 はおお むね重複 す るが,後者 は前 者 よ りもその分 布 はせ まいC なお A・a_炉ci na-yum の根茎 は真 正 の "良妻〝 (1)ヨウキ ョウ), "高良妾 〝 Galanga minor,Galangalrootと
称 し,海南 島, 広東 , 広西 か ら生 産 され,芳 香健 胃薬 とす る生薬 で あ る。
(注 :
"良妾 〝 な ど は根茎 類 生薬 の項 で詳述 )しか し木村氏 の報文 中 にはA gαJα㈲gα の果 実 につい ては記載 な く, これ を否定 す る根拠 も 記 され ていな い。 また生薬 "紅豆急 〝 の産地 は両植物 の分 布 す る海南 島,広東 ,広西 で あ る1'2) 点 な どか ら筆 者 は い ちお う "紅豆慈 〝 の基原植 物 として A・galallga,A・obicinayum の両種 を
あげ てお く。
タイ国では AIPim-a 属植 物 を一般 に =KhaHと呼 び,A・
√
灘 cinal′um は ``Khalek日 と呼 び, 自生種 の よ うに記 され てい るが,A・gala朋ga は HKha ta daengHと呼 ばれ て外来種 と東南 アジ ア研究 7巻3号
され てい るo またタイ在来種 の A・siamensisKISchum・ と A・galanga を HKatukarohini
n
が
晶 ・あ るいは -Khayaiq
h
l血 - と同名 で呼ぶ な どの混乱 も見 られ るO (注 ‥従来Q) か ら知 られ てい る両種 の分布 か ら A・onicinayum が タイ国 に 自生 し, A・galangaを外来種 と す る点 にい ささか疑問 を感 じる。 またタイ国では A・siamensisの根茎 は "良妻 〝 と同 じ目的で薬 用 に供 してい る
。
)
さ らにタイ薬 物文献 に も同様 の混乱が見 られ るが, タイ薬物効能集成 には =KhatadaengH
I∫:ち
に A・galanga,HKhalek" あ るいは HKhaling刊1EN " に A.omcinayum をあててい る。 しか し筆者 は これ らの名称 で "紅豆蔑 〝 あ るいは これ に額 す る果実類 生薬 は入手 す ることが で きなか った。 HKhalek=′の名称 で入手 した ものは根茎類 生 薬 で 真 正 の "良妻 〝 で あ った。 "紅豆蒐 〝 は カル ダモ ン類生薬 として利用 され る中薬 で あ るが他 の同類生薬 に くらべ て比較 的 需要が少 な く, タイ国ではわずかに中薬的利用 は あ って もタイ薬 的利用 はないのではなかろ う か。 同時 にタイ国内で これ らの植物 か ら果実 を生薬 として生産 してい るかはい っそ う疑 問で あ って,今後 の調査 に またなけれ ばな らない。 ここには筆者 が香港市場 で入手 した "紅豆蔑 〝 について東南 アジア産 カル ダモ ン類生薬 の一 つ として記載 す る。 市販 品 "紅豆悪 〝 は一般 に楕 円球形 で,長 さ約 12mm,径 7mm の さ く(弗 )栗 で, 中央部が くびれ てマ-形 にな る ものが 多い。 (注 :中国薬物書 の基原植物 図 を見 ると A・galanga の果 実 は楕 円形 で あ るが,A・obicinayumの果実 は球形 に近 く,疑 問 を感 じる。)果皮 は汚赤 色∼暗 赤 色で薄 く,表面 は平滑 か, または多数 の しわが あ り,頂端 には宿存 が く, またはその残基 が あ る。 下端 には短 い果柄 をつけ てい る こともあ る。 果実 の内部 は3室 に分 かれ,果 皮 を除 くと, 各室 には上下 に2個 ず つ,6個 の種子が団結 し,果実 と同形 のマ-形 の種子塊 をな し,表面 は 淡 か っ色 を呈 す る。各種子 は外面 は淡灰黄 色の仮種 皮 を被 り,屈平 な球形で径4- 5mm。 "紅豆薙〝 は精油約 0.5% を含 むほかは明 らか に され ていない。 中国では芳香性健 胃薬 として民間薬 的 に使 用 され ることが多 く,他 の カル ダモ ン額生薬 に く らべて需要 は少 ない。 ソ連 で も薬用 に供 す るとい うが,詳 しくはわか らない。 わが 国では全 く 利用 され ていない。
(3) 葦豆莞 Round Chinesecardamom (写真Fr13)
"草豆藷 〝(ソウズ ク)は草藷 ,草薙仁 ,草仁 ,Round Chinesecardamom,W ild cardamom な どと呼 ばれ, 中国で使用 す るカル ダモ ン塀生薬 の一 つで あ るが,本生薬 は タイ国か らは産 出 せず, タイ薬物文献 に も見 られないか ら, タイ国では中葉 的利用以外 にはない もの と考 え る。 タイ国か ら生産 あ るいは タイ薬 的利用 をす る他 の カル ダモ ン類生薬 の近縁 の ものの一 つ として ここに挙げ る。
木 島 :タイ国生薬 の考察 Ⅳ
1
賢
し . J 甥 「」.W
. 写 真 Fr-3"タイ名不 明 "(草豆 莞)(香 港市場 品)(×ca.0_7) 雲 南 ,福 建 の各 省 か ら も産 出す る とい う。halsumadcLiHayata〔-LanguaskaislLmadai (Hayata)Merri11〕 を あげ る もの2`b・仙 5) と (2)A・globosa Horaninow (-A77u)mum gl o-bostim Laureiro,La71gLiaSgl,)bosa Burkill)
をあげ る もの3●b:'とが あ り, 海南 島 か ら産 出
す る ものは A・hatsLtmadaiの果 実 で あ り, 広 西 省か ら産 出 す る ものは A・globe)sa の果 実 で あ る とす るが ,後者 につ いては末 だ明確 でない点 もあ る。 また雲南 省 か らは A.blePhayc)calyxK・SchumリGlobbachi7te柁SisK・Schum・ の果 実 を も地 方的 に "草豆墓 〝 と称 して生産 され るとい うが, これ また明 らかで な い。 生薬 "章豆蒐 〝 はその果実 を採取 し,果 皮 を除 い た種 子 団塊 で あ る。 不 整球 形 で鈍 い3枚 が あ り,径 1- 2・5cm, 中軸 か ら放射 状 に発 した薄 い膜壁 で 3分 され,各 々 22-83個 の種 子 を団 結 す る。 種子 の外面 は灰 か っ色∼暗 か っ色 で きわ めて薄 い仮種 皮 を被 り, 1個 の種 子 はやや扇 圧 され た不 整 円柱形 で長 さ約 5mm,径 2mm で あ る。 "草豆蓬 〝 は精 油 約 4% を含み, 木 村氏 に よれ ば海南 島産 の A・hatsumada
,
i を基 原 とす る ものか らは一新 カル コン体 を検 出 してい るが, 市販 品 には これ を含 まない もの もあ るとい う。 中国では もっぱ ら健 胃駆 風薬 とされ てい るが,本 邦 では ほ とん ど市場性 はな く,利用 もされ て いない。 (4) 益 智 Bitterseed cardamom (写真 Fr-4) 益 智 (ヤ クチ) は益 智仁 ,益 智子, Bitterseed cardamom,Black cardamom な ど と 呼 ばれ, 中国では古 く本草拾 遺 (739年 ), 開 宝 本草 (973年 )に記載 され てい る生薬 で,漢 方 で使 用 され る代表 的 な カル ダモ ン生薬 の一 つで あ る。 わが 国 にお い て も日本薬 局方 (第 7改正 )6)に "縮 砂〝 〔別項(5)〕 とと もに収載 されてい る。 生薬 "益 智〝 は中 国広東 省海南 島 か ら主 と して産 出 し, その他雷 州半島 な どか ら も若 干 生産 され,各地 に輸 出 され る生薬 で, その産 写 真 Fr-4-タイ名不 明 -(益智 )(香港市場 品)(×ca_1) 397
塊 南アジ ア研究 7巻3号
地 はか な り限定 され た地域 であ るが, 従来 その基原植物 については Amomum amayum F.P.
Smith6'といい, またAIPiniaallughasRosc・(-Zingibeynigyum Gaertn・)3■Cといい,APlinia
sp ・2●C) として明確 な榛 名 を挙げ ない もの な ど,定 説が なか った。 しか し中国華南植物研究所 の 呉 徳都民 は AIPiniaox
y
phylla Miq. を基原植物 とす る もので あ ることを報 告 し (1961年 ), また木村雄四郎 氏4'C・5)も同氏 の採 集植物,栽 培 品,市場 品生薬 な どを検討 の結果, これ を確認 し, よ うや く永年 の疑 問が解決 され,基原植物が 明 らかに され た。 Al0XyP
hylla は海南 島の山地 に多 く分布 す る植 物 で, タイ 国では本 植物 の 分布 を記載 す る ものはな く, また生薬 の生産 も見 ない。 ただ中英 的利用 が あ るだけで あ るが, 中薬 の代表的 カ ル ダモ ン生薬 として香港市場 で入手 した ものについ て記載 す る。 A.oxyphylla は草丈 1- 3m の多年生草本,4月中旬 に開花 し, 7- 8月に結実 す るが,生薬 "益智〝は完熟 した果実 を採取 ,乾 燥 した もので あ る。 生薬 は両端 の とが った楕 円球形 の さ く 果 で長 さ 1-1・5cm,直 径 0.8-1.2cm,上端 に柱頭 の跡が あ る。 外面 はか っ色∼暗 か っ色 を呈 し,多数 の縦 に連 な る小 さい こぶ状 の隆起が あ る。横切 す ると内部 は薄 膜で3室 に分 かれ, そ れぞれ5- 10個 の種子塊 が あ るが, "益 智〝 は果 皮が種子塊 に密着 してはがれ に くい。"益智〝は精 油 1.18% を含み,精油成分 は Pinene, 1・8 Cineol,Camphor,Zingiberene,
Zingiberolな どを含 む ことが知 られ てい る。
漢方 では芳香性苦味健 胃,整腸 薬 として,消化不 良 ,慢性 胃腸疾 患 な どに用 い る。 わが 国で は漢方 に用 い られ るほか,家庭薬 原料,香辛料 として も用 い られ る。
(5)Ka-wan
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上(写真Fr-5)タイ国バ ンコク薬店 で入手 した HKa-wan日,Amomum caydamon とラベル され てい た生薬
は "白豆蒐 〝 (- クズ ク), "円形小豆蒐 〝Round cardamomum で あ ったO
タイ薬用植物 には上記 と同様 に記載 され てい るが, タイ植物名桑 には =Ka-wan"あ るいは HKra-wanH は Amomum 属植物 (Zingibeyaceaeシ ョウガ科 )の一般 タイ植物 名で あ ると記 し,
またタイ薬 物効能集成 には HKa-wanH の項 に次 の3種 が あげ られ てい る。 (1) HKa-wan-khaoHAmomum hyeyvanhPierre 〔タイ国産 自豆尭 〕
(2) HKa-wan-pa=Amomum ulginosum Koem 〔縮砂〕 (3)HKa-wan-thet‥Amomum yePenSW illd・ 〔小豆意 〕
すなわ ち HKa-wanHが Amomum 属植物 の一般 名 で あ る ことを示 し,"自豆窟 〝 以外 の "蘇
砂〝 "小豆蓬 〝 に対 して も ‥Ka-wanH と呼ぶ場 合 もあ るのか明 らかでない。 く注 :〔 〕内に 記 した生薬 名 は筆者が注記 した もので, それぞれ の生薬 の詳細 については各項 において記 す。) 筆者 は生薬 "自豆蒐 〝 をバ ンコク薬店 (Ka-wan),香港 生薬市場 で タイ国産 (原庄豆 叩) と イ ン ドネシア産 (小 目叩) の 2種 , な らびにシ ンガポール 市場 で イ ン ドネ シ ア産 (wild car -damom)の計 4種 を入手 し (注 :( )内はそれぞれの市場 の商 品名。), これ らを比較 した結果 398
木 .Ll.ri:タ イ国生 基 の考察 Ⅳ
(xca.1.0)
写 真 Fr-5 '`Ka-W;ln=or‥Kra-wan''(自豆 籍 )
こ1:タイ産 b:イ ソ ドネ シ ア産 C :タイ産
d:イ ン ドネ シ ア産
タイ 国産 とイ ン ドネ シア産 の ものが若 干異 な り, これ らを従 来 の成 書 に見 られ るよ うに, ただ 1種 の植 物 , す なわ ち Amo77′ll/tnt kL'Pulaga Sprague etBurkill(-A.caJ′da,momtim Roxb., A・cardamo,anon Linll・)を基 原 とす る こ とに疑 問 が 生 し, そ の 検 討 を試 み た。 す な わ ち,
A・kePulaga SpragueetBurkillは ジ ャ ワの小丘 陵 地 帯 に野生 してい て,ス マ トラの南 部 で若
干栽 培 して い るよ うで あ り, タイ に は 自生 しな い。 タイ に 自生 または栽 培 す る もの は
HKa-wall-khao"あ るい は HKra-wan-khao''と呼ぶ A.hγerL・ajlh Pierreで, タイの ほ か カ ンボ ジア, ベ トナ ムに分 布 し, タイ 国チ ャンタブ リ地 区 その他 で栽 培 す る。 またそ の果 実 , す な わ ち "自豆蒐 〝 は前 者 は "ジ ャ ワ自豆 荒〝Javaneseround cardamom, 後 者 は "シ ャム自豆 蒐 〝 SiとImeSeround c(-LrdとImOm, あ るい は "カ ンボ ジ ア自豆嘉〝Cambodian round cardamom と 呼 び区別 してい る。
東南アジア研究 7巻3号 で,果皮 の外面 は灰 白色∼黄 白色 で多数 の縦線 を有 し,上端 にが くの残基 が あ り, やや とが っ てい る ものが あ る。 下端 には短 い果柄 を もち,果皮 はやや堅 いが縦 裂 しや す く,繊維性 で, 内 面 は叛 白色,滑沢 で あ る。果皮 を除 い た種 子塊 は外面 か っ色∼暗赤 か っ色 で,鈍 い3稜 を有 し, 球形∼ 屈球形で,薄膜 で3群 に分 かれ,各群 に種子4- 14個 を もつ,種子 は灰 白色 の薄 い仮種 皮 で連接 してい る。種 子 の味 はやや辛 く,特異 の樟脳 の よ うなにお い を もつ。 筆者 は タイ産 (写真 Fr-5:a,C)とイ ン ドネ シア産 の "自豆蔑 〝 (Fr-5:b,d) を比較 す る とタイ産 はいずれ もおおむね球形 に近 い ものが 多 く,大 き さが そろ っていて,果皮が薄 く,外 面 が 白い。 また種 子 は よ く熟 してい る。 イ ン ドネシア産 は先端部 のやや突 き出 してい る ものが 多 く, したが って タイ産 の もの よ り長 く感 じられ,果皮が薄 く,外面 は汚 白色∼帯 か っ白色で あ る。 ことに香港市場 で得 たイ ン ドネシア産 の ものは大小不 同で あ り, また種子 は いずれ も完 熟 していない ものが 多い。 なお内部構造 ,含有成分 の異 同については まだ精査 を経 ていないが, タイ産 とイ ン ドネシア 産 はその基原 を若 干異 に す る もの の ご と く, そ の 基 原 植 物 は 前 者 に は Amomum hyeyvanh Pierre,後者 には Amomum hePulaga Spragua'を充 当す るのが妥 当で あ ると考 え る. また市 場 で も上述 の よ うにタイ産 とイ ン ドネシア産 を明確 に区別 してい る。
"自豆悪 〝 は精 油約 2.4% を含 み,精油成分 は d-Borneol,d-Camphorで あ る ことが知 られ てい るが,産地 ,基原植物 の相違 によ る異 同については明 らかで ない。 タイ国では中国 その他 と同様 に芳香性健 胃薬 として広 く使 用 され るが, その他香辛料 として タイ料理 に常 に使用 していて,市販 され てい る香辛料 セ ッ トには必 ず組 み込 まれ てい る。 (本 誌 Vol.6,p.414参照) 中 国では最 も古 くか ら使 用 され るカル ダモ ン疑生薬 の代表 的 な ものの一 つで名医別録 (SOO年 頃) に 「豆墓 」 の名で見 られ,後 に 「自豆莞 」 と 「草豆悪 」 とが混 同 し,開宝本草(773年) に は これ を区別 し,以後 は 「自豆慈 」 は 「豆蒐 」 と略称 す るが, 「草豆藷 」 には必 ず 「草
」
の字 を冠 して区別 してい る。 (荏 :ただ, これ ら本草書 に記 す 「自豆藷 」 は現在の もの とは基原植 物 が ことな り,今 は明 らかで ないが,AIPim'a属植物 の果実 で あ ったよ うで あ る。) 現在 中国では 胃痛 ,消化不 良,噛吐,反 胃な どに繁用 され るか たわ ら, しば しば食 後 の 口な お しに種子 を噛 む風習が あ る。 欧 米では "自豆蒐 〝 は "小豆題 〝 の代用生薬 的 な取扱 い をな し, これ を踏襲 す るわが 国では 薬用 として, また香辛料 としては 「小豆蔑 」 を,漢方的利用 で は "縮 砂〝 を主 と して 用 い, 「自豆窟 」 の利用 は少 ない。 わが 国の生薬学成書 にはいずれ も 「小豆薙 」 の代用生薬 ,近縁 生 薬 的 な取扱 い を してい る。 "自豆歪 〝が欧 米 その他で "小豆蓋〝 の代用 生薬的 な取扱 い を受 け るにいた った原 因は漢薬 市場 な どで "小豆蔑 〝 と "自豆麓〝 を混 同 してい た ことによ る もので あろ う。 400木島 :タイ国生薬 の考察 Ⅳ
なお,従来 ,"自豆墓 〝 につ い ては多 くは タイ, カ ンボジ アか ら産 す る生薬 , す なわ ち Si a-mesecardamom (Cambodian cardamom)について記 載 され てい るが, そ の基原植 物 につい
ては Amumumcuyda7110mumBoxb・す なわ ち AmomM tkePulClgaSpraguaとしてい るが, こ
れは AFIL,ノ/7Lum k7,eyVaFthPierreと改 め るべ きで あ る。 また現 在, 中国では広西,広東 ,海南
島 な どで栽 培 生産 す る といわれ るが, 中国で A.cardamumum L.とす る もの も A.hreruaJdl Pierreに改 め るべ き もので あ る。
(6) 革 果 Ovoid China cardamom (写真 Fr-6)
"草果 〝 (ソウ カ) は 0、,Old China cardam0m と呼 ばれ, 中国南 部地 方 で使用 す るカル ダ モ ン類 生 薬 の一 つで あ る0本 生薬 は タイ国か らは産 出 しない よ うで あ り, またタイ薬 物文 献 に も見 られず, タイ薬 的利用 は ない もの と考 え る。 東南 アジ ア産 の カル ダモ ン類 生薬 の一 つ とし て ここに挙 げ る。
"革果 〝 の基原植 物 については Amomum medi′um Loureiro (-AIPiyLL'a alba A・Dicsr,
写真Fr-6"タイ名不 明 ''(草果)(香港市場品)(×ca.0.5)
IlelleTtiaalbaW illd.)といい,14°e5〕AT柁Omum
coslatLtm Benth.etHook.とい い,3lLl) あ る いは A7710mtij71isao-koCrevostetLemarie
と もいわれ,3'e) い まだ定 説 が な く, また, い ず れの ものが 正 しいか, これ を確認 す る こと はで きない。 また これ ら3種 の ものは いずれ も中国本土 ,雲 南 省,景 州省,広西省 に野生 あ るい は 栽 培 す る とい わ れ, そ の ほ か A medium,A・coslatum はイ ン ドに, また A. lsao-hoは北 ベ トナ ムに産 す る とい う。 生薬 "革果 〝 は これ ら植 物 の完熟 した さ く栗 を採 取 ,乾 燥 した もので,生薬 は中国南 部 の広 画 省,
雲
南省,貴州
省 お よび北 ベ トナ ムに産 出 す る ことが知 られ てい る。 筆 者 は香港 市場 で入手 した もの のほ か,本学薬 学部所蔵 の数 種 の標 品 について検討 したが, 外観上 はいず れ も同 じ形 状 をそな えた もので ロー カル的 に産 出す る もの につい ては判 明 しない が,広 く国外 に輸 出 され てい る生薬 はその基原 が どの植 物 に よ る ものかは別 として単一基原 の もの と推定 で き る。 生薬 "草果 〝 は一般 に長楕 円球 形 で, まれ に紡 錘 形,長 さ2・5-4・Ocm,径 1・5- 2・5cmの さ く(覇 )果 て,果皮 の外 面 は灰 か っ色 を呈 し,多数 の隆起 した縦 線 が あ り,堅 く舷 維性 で しば し ば縦 裂 し,果皮 を剥 ぐと内部 には長楕 円球 形 の種 子 団塊 が あ る。 なお果 実 の下端 には しば しば 果柄 をつけ,果 柄 には節 間 の短 い節 が見 られ る。種 子 団塊 は薄 托英で中軸 中心 に3房 に分 かれ, 各房 には不 整 多角形 で長 さ約 7・5mm,径 約4・5mm の種子 約 10数個 が あ り, 各種子 は さ らに 401東南 アジア研究 つ 7巻 3号 仮 種 皮 を もち約50数個 の種子 が種 子 団塊 をな してい る。
"草果〝 は精 油 約0.3- 0.4% を含 む ことが知 られ てい るほかは末 だ明 らかで ない点 が多 い。
"草果 〝 は他 の "草豆歳 〝,"縮砂 〝 な どの カル ダモ ン瑛 生薬 と同様 に主 として中国で芳香健 胃消 化薬 として用 い られ るほか, 中国南 部 で は "常 山〝 とと もにマ ラ リア治検 案 とす る ことが あ るO (注 : "常 山〝 は Dichyoafebyifuga Lour・ジ ョウザ ン ア ジ サ イ (Saxifyagaceaeユ キ
ノシ タ科 ) の板 木 ) なお, 中国,特 に広西省 の一 部 では "革果 〝の果皮 を剥 いだ種 子 団塊 を ≠革豆ラ護〝 と呼ぶ こ とが あ るよ うで混 同 してい る。 わが 国で は ≠草果〝はほ とん ど用 い られ ない。 I (7)
R
ev Agつ (写真 Fr-7) タイ国バ ンコク薬 店 で入手 した HRew日 とラベル され てい る 2種 の生薬 はいずれ も漢薬 "縮 砂 〝(シ ュクシ ャ),Bastard cardamom で, 1品 は種 子 団塊 , 1品 は種 子 で あ った。 タイ薬 用 植 物 には HRew " には植物 の種 名 をあげず, ただ HZingibeyaceae" と記載 す るだけで あ るが,タイ植物 名嚢 その他 には, タイ名 で HRew H と呼ぶ ものには Amomum xanihioidesW all・,A・ villosum Lour・(Zingibeyaceae シ ョウガ科) の両種 が あ るO
中 国で は A.xanthioides (植 物 名一桁 砂 ),A・villosum (植 物名- 陽春砂) の両種 の種 子 を 生薬 "縮 砂〝, Bastard cardamom, 果 実 を生薬 、、陽 春 砂〝, Hairy China cardamom として い るが,2●f3'f)わが 国で は A.xanihioidesの種 子 を "縮 砂 〝 と考 え, 現 在第7改 正 日本 薬 局方 に も収載 してい る. また A.villosum の果 実 を "陽春砂〝 にあててい るが
,
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)"陽 春砂〝 はほ とん ど輸 入 してい ない。 す なわ ち, わが 国で は中国の植 物名 と生薬 名 が一致 してい るために こ の点 い ささか混 乱 を来 た してい るよ うに も思 われ る。 筆 者 はバ ンコク薬店 ,香 港市場 で入手 した標 品,本学 薬学部所蔵標 本 な どを検討 して, おお むね次 の よ うな こ とが判 明 した。1) HRew Hと呼ぶ植 物 は タイ国で は A・xanihioides,A・villosum 両種 の総称 で,A・xalL -ihioidesは タイ国一 帯,特 に東 北 部 に多 く分 布 し, A・villosum は南 部一 帯, 特 に東南 部 カ ン
ボジア国境 に近 い タラ- 1、 (Tarat)を中心 に多 く分 布 す る。
2) 生薬 は タイ, カ ンボジ ア,南 ベ トナ ム地 方 か ら産 出す る もので,特 に東 北 タイ, サ ラブ リ地 方 (この地 方 では "Mak-naengH と も呼ぶ) の メ コン川西側 ,NakawnPanon と Sakon Nakawnに主 として産 出す る。 3) 生薬 は両植物 の果 実 を集 め, その ま ま乾 燥 した もの は "陽春砂 〝, 果皮 を除 い た もの, す なわ ち種子 団塊 , あ るいは 種子 は "縮 砂〝 と して 扱 っ て い るが, "縮 砂〝 は 主 と して A xinthioidesか ら, また "陽春砂 〝 は主 として A.villosum か ら採 取 され てい るよ うで あ る. ただ A・xanlhioidesの果実 にはやや未熟 な ものが 多 い よ うで あ る。 す なわ ち生薬 ≠陽春砂 〝, "縮 砂 〝 の相違 は果実 で あ るか,種子 団塊 で あ るが の相違 で,基原植 物 の相違 は あ ま り重 視 さ 402
木 島 :タイ国生薬 の考察 N 写 真Fr17-B ‥Rc、、-"(殻 砂 )(香 港 市場 品 ) (× cL- 1) 写 真Fr-7-A ‥lic、、・''(摘 砂 , 砂 仁 ) 〔a:バ ンコク市
場L
混 b
:本邦輸入 品〕 (×ca.1) れ て い ない0 4) さ らに香 港 漢薬 市場 で知 り得 た事実 は3)を裏 書 き してい て,果 皮 をつけ た ま まの もの を "殻 砂 〝, または "殻 砂仁 〝,果 皮 を除 い た種 子 団塊 を "原 圧 砂仁 〝, "酉 砂 仁 〝, "迷 口砂仁 〝 な ど と称 し (さ らに これ を大,小 な どに よ って選 別 して "砂 王 〝, "砂頭〝
, "小 砂 頭 〝 な ど と 規 格 名 をつけ る), また団塊 か ら離 れ た種 子 だけ を集 め た もの を "砂 米〝 と称 して い る。 なお 漢薬 市場 で は特 に "陽 春 砂 〝 の名称 は な く, "殻 砂〝- "陽 春 砂 〝 の取 扱 い を してい る。 5) わが 国 に輸 入 され る "縮 砂 〝,"唐縮 砂 〝は種 子 団塊 を石 灰粉 で まぶ し,表面 に白色 の粉 霜 を帯 びて い るが , この加 工処 理 は タイ国 な どの生薬 生産 現地 で施 され る もので は な く, い っ たん香 港 に集 荷 , 選 別 後, 加 工 し, 輸 出 され る もので, 虫霊 を防 止 す るための加 工 と思 わ れ る。 なお わが 国 に輸 入 され る もの のみ な らず , か つての北 京 ,天 津市場 品 に も石 灰 加 工 した も の が あ る。6) 別 に タイ国 マ レー半 島部 Pattani地 方 で は A・xatlthioides と A・ulginosumKoem・と
東南 アジア研究 7巻3号
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香 -KawanpaTISつ17
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あ るいは -KrawanpaTl含Sつ1血
1日
と同名で呼んでいて, 同 地方 か らも "縮砂〝 の生産 があ り,A.ulginosum か らも果実, 種子 を同様 に生産 す るよ うで あ るが,詳 細 は 目下不 明で今後 の調査 に またなければな らない。 ただマ レーでは本種 の果実 を 薬用 にす る記轟 は ない。7) タイ植物名嚢 によれば,バ ンコク付近 では AIPiniaallughasRosc.(-Zingibernigyum Gaertn.)もまた A.xanihioides,A.V/illos,um と同 じ く HReu" と呼 ばれてい るが, この植物
は別項(4)"益智〝 の基原植物 の一 つに擬 せ られてい るもので,"縮砂〝, "陽春砂〝 には関係は ない。 8) 筆 者 の収集 した標 品,本学 所蔵 の標本 を形態的 に比較 検討 して, "殻 砂〝 と "陽春砂〝 (果実生薬 ), また "縮砂〝 と "陽春砂〝 の種子 (種子生薬) との間 にはほ とん ど異 同はみ とめ られず,木村雄四郎氏 の報告 を検討 して も,異種果実, あ るいは異種種子 と断定 で き るものは ない。 また木村氏 も種子 においては種皮 の構造 か ら異 同は識 別で きない と記述 してい る。 おそ らく A・xanthioides,A.m'llosum の両種 は極 めて近 似 した もの と思 われ る。 以上 か ら筆者 は タイ国で HRew 日と呼ぶ生薬 は,種子 は "縮砂〝,果実 は "殻砂〝-"陽春砂〝 とし, その基原植物 には A・xanihioides,A.uillosum の両種 を挙げ る。 (なお A.ulginosum を基原植物 の一 つに挙げ ることは調査 を完 了す るまでい ちお う保留 す る) 生薬 "殻砂〝 (-"陽春砂〝) 〔果実〕 は楕 円球 形 で,長 さ15- 17mm,径 10- 12mm の さ く (覇)果,上端 はやや とが り,が くの脱落 したあ とが あ り,下端 には短 い果柄 が あ る。 果皮 は暗 か っ色∼灰 か っ色 を皇 し,表面 には多数 の柔 らかい 「ささ くれ」状の突起 を密布す る。上端 か ら下端 に向か って3条の縦線 が あ り, これ によ りやや三角状 を呈 す る。 中央部 で横切 す ると果 実 は薄膜で3室 に分 かれ (3心皮, 3室 の さ く果),種子 は各室 に団塊 をなす。果皮 の内面 は灰 か っ色 を呈 す る。 なお往 々に して種子 のやや未熟 な ものが あ る。 生薬 "桁砂
〝
〔種子団塊〕ほほほ球 形 または楕 円球形 で,長 さ1-1・5cm,径 0.8- 1cm の種子 塊 で外面 は灰 か っ色∼暗 か っ色,わが 国に輸 入 され るもの (≠唐桁砂〝) は石灰加工 され,表面 に白色 の粉霜 を帯 び る。 種 子塊 は薄 い隔膜 で縦 に3群 に分 かれ, 各群 は 10-20個 の種子が さ らに薄 い仮種 皮 で連接 してい るが, 個 々の種子 は分離 しやすい 。 "砂米〝 〔種 子〕 は長 さ3-5 mm,径約 3mm の多角形,種皮 は暗 か っ色で表面 に細 い突起 が あ る。 味 は辛 く,特異 な樟脳 よ うの芳香 が あ る。"縮砂〝 は精 油約 1.5-3% を含 み,精油成分 は Borneol,Linalool,Nerolidolな どで市場 品 によっては精油 の比重 ,旋光度, その他, 恒数 に多少 の相違 が あ る4●r)とい うが,基原植物 の
相違 に よるものか とも思 われ る。果皮 を ともな った "殻砂〝,≠陽春砂〝 については未 だ明 らか
で ない。
"縮砂〝 は中国では1000年以上以前か ら消化不 良,腹痛 ,堰吐, 慢性下痢, 憶気 な どに用 404
木 島 :タイ国生薬 の考察 Ⅳ い, わが 国で も漢 方 で芳 香性健 胃薬 として用 い るほか, 同様 の 目的 の家庭 薬原料 として需 要 の 多 い もので あ る。 ただ香辛 料 と して用 い られ るこ とは ない。 "陽 春砂〝 も "縮 砂〝 と全 く同様 で あ るが, わが 国ではほ とん ど利用 されず輸 入 もほ とん ど され てい ない。 なお イ ン ドでは A・xa71thioidesの他3種 をいずれ も種 子 を同様 に用 い る。
またマ レーでは AIXaldhioides,A・uligiosum が あ り, その種 子 ,果 実 を同様 に薬 用 , さ ら に香辛 料 として用 い るが,A.m'losum は分 布 してい ないO
(8) Ka・wan thetTISつ1um再,Kra・wan thetTlSSつ1um 再 (写 真 Fト8)
タイ薬 物効能集成1)の ‥KaノーWanHにあげ る HKa-wan thetHあ るいは HKra-wan thetH,
Amomum rePeliSW illd・は Eletiayiacaydamomum Maton
(
-E・cardamomu,m Maton var. milml,SCulaBurkill,AIPi17iaca7′damomlim Roxb・,Amom7m yei,e77SSonner.) (Zi71giberaceaeシ ョウガ科) で あ る。 EICaプ′damomum は イ ン ド, マ ラバ ール地 方 に野生 し, 現在 は 同地 方 な らびにセ イ ロンで栽 培 し,近 時 は グ ァテ マ ラで も栽 培 され てい る。 タイ には分布 せず, イ ン ドか らの外 来種 で あ る。 多年生草 本 で高 さは約3m に達 し,葉 は互 生,長 い菓鞘 を もち,案 は ひ(披 )針 形,地 下茎 か ら花 茎 を抽 出 し,複総 状花 序 に花 をつけ,3心 皮3宝 , さ く(覇 )栗 を熟 すO 生薬 "小豆 至芸〝 は おお むね完 熟 した さ く栗 を採 取 ,乾 燥 した もので あ るが,果皮 を白 くす るため に二酸 化 イオ ウ の蒸 気 に さ らしてi票白,乾 燥 した もの もあ る。
"小豆蓋 〝 (シ ョウズ ク) は Cardamom seed,Mamba,rc(l′rdamom と称 し,欧 米 では Car -damom 類 生薬 の代表 品 として取 り扱 われ るもので, 生薬 は カル カ ッタ, ボ ンベイ, シ ンガポ ール を集散地 として,医薬 品原料,香 辛 料 生薬 と して欧米 に輸 出 され てい る。 筆 者 は タイ国で は "小豆妄還 〝 を入手 す るこ とはで きなか ったが, シ ンガポ ールの香 辛 料専 門取扱 業 者 か ら標 品 を入手 す るこ とが で きた。 筆 者 の調査 によれ ば優 良品 はほ とん ど欧米 に輸 出 され ていて,現在 わが 国 に香辛 料 生薬 と して輸 入 され てい る ものは その品質 は欧米 向け生薬 よ りか な り劣 ってい る。 生薬 は長楕 円形 の さ く栗 で,長 さ 10-20mm,径 5- 10mm,果皮 は外側,淡黄 色 でむ ぎわ ら状 を呈 し,3本 の鈍 い稜 と多数 の縦 線 が あ り,頂端 には小突起 が あ る。果 皮 は薄 く, 内部 は 薄 膜 で3室 に分 かれ,各室 には薄膜 の仮種 皮 によ って連結 され た種 子3- 7個 が包有 され てい る。種 子 は長 さ 3-4mm の不 整 有角性 の長 卵 形 で,種 皮 は暗 か っ色∼ 黒 か っ色 で,果 皮 は気 味 を もたないが ,種 子 は味 が芳 香性 で辛 く, やや苦 い。
"小豆 窟〝 (種 子)は精 油3- 8% を含 み,精 油成分 は d-4-Terpinylacetatc,d-α一TerPineol,
Cineoleで あ り,種 子 には他 に脂肪 滴 1- 2% を含 んで い る。
芳 香性健 胃薬 と し,欧米各 国では苦 味 チ ンキ,芳 香 チ ソキ な どの原料 とし,わが 国 で も第5 405
東南 アジア研究 7巻3号 三 妾 改正 日本薬 局方 まで収載 され てい て これ らの 原料生薬 と したので あ るが ,高価 な輸 入 品で あ るため現行薬 局方 では ≠山板 〝 に代 え られ てい る。 現在 わが 国では食 品香辛 料 として ソ ース, カ レー粉 な どに使 用 す るために輸 入 し てい る。 なお中 国では "小豆 蔑〝は特 に "印度豆悪 〝 あ るいは "三角志 〝 と称 して, ほか の "自豆 三冠 〝 な どのほ とん ど同 じ目的 に使 用 す るカル ダモ ン類 生薬 とは区別 して,漢薬 として使 用 され る ことは ないO したが って香 港 , シ ソガ ポ -ルな どの漢薬業者 の手 に取 り扱 われ るこ とは少 な く,主 として香 辛料取扱 業者 に よ っ て商取 引 され てい る。 これは タイ国 にお い て も同様 の ことが いわれ る。 木村雄 四郎 氏 によれ ば香港 漢英 市場 で集収 され た, タイ, イ ン ドネシア各市場 (これ は タイ,イ ン ドネシア産 の意 と解 釈 す る)の "小 豆 竃〝 と称 す るものは いずれ も "自豆 惹〝 で あ った こと, また この ことか ら中 国,東南 ア ジア市場 では しば しば "小豆 ラ琵〝と "自豆 慈〝 とは混 同 され てい ると報 告 してい るが,5) 翠 者 の調査 では先 に述 べ たよ うに カル ダモ ン類
写真 F,-8 -Ka_wanthet-(小豆 蓉)(×。a.1) 生薬 では "自豆 湛〝 中心 に取 り扱 う香 港 漢薬
A ・B :小豆莞 (シソガポ ル市場 品) 市場 の業 者 の一部 では "小豆 悪〝を "自豆 志〝 C:長形小豆柴 (セイ ロソ産 ) と混 同 してい るか もわか らないが ("タイ産 自 豆蓋 〝 を "原庄豆 叩〝, "イ ン ドネシア産 自豆 蓬〝 を "小 目叩〝 と称 し, "自豆藷 〝 を "豆 叩〝, "豆意 〝 と略称 してい るので この よ うな混乱 が起 こった もの と考 え る), シソガポ -ルでは明 らか に区別 し,取 扱業 もことな り,何 らの混 同 も混乱 も起 こっていない。 ただ タイ薬 物文献 に は一部混 同 して い る もの もあ ったが,新 しい文 献 では区別 してい る し,薬 物業 者 は取 り扱 って いない。 (荏 :( )に記 したよ うに, Amnmum 属 の一般 名称 を HKawanH あ るいは HKra wan" と総称 してい る。)
木 島 :タイ国生薬 の考察 Ⅳ
たために,真 正 の "小豆 悪〝 に対 して教程 の代 用生薬 が 出現 した。 そ の うち,著 名 な ものは次 の ご とき もの で あ る。
1) ≠長形小豆 慈〝,``しく)ng cardamom," HCeylon cardamom," =Mangalor cardam()m " な ど と呼 ばれ るもので, セ イ ロンか ら生産 す る Eleital,ia "1ajorSmith (-E・caydamnmum Maton var・majnyThwaites)の果実。精 油含量 は少 な く,生薬 と しての価値 は劣 るo 現在 は 生薬 と して市場 性 はほ とん どない。 (写真 Fr-8-C)
2) "自豆 悪 〝,"円形小豆 老 〝, ``Round c,lrdamom,日 日W hitec(lrdamom =な ど と呼 ばれ, 前項(5)の "自豆 悪〝 で あ るが ,元来 は "小豆 悪〝 の代用 品 では ・!-;く,中 国, タイの代 表的 カル
ダモ ン鞍 生薬 で あ る0
3) その他 Amnm7im S7すわIatln" Roxb.の果実 を ``Nepalcardamom = な ど と呼ぶが, イ
ン ド, ネパ -ル地方 の ロ- カル的 な もので市場 にはほ とん ど流通 しない。
4) 7 7 1)カ産 の近縁植物 AframomTtm属植 物,A.meleguet(IK・Schum・,A・gγa- 守,al,adisi
K.Schum.の種 子 を GTain ofParadiseと称 し, これ は 7 プ リカ住民 が最 も普通 に用 い る香 辛 料 生薬 で,か つて カル ダモ ン類生薬 の一 つ と して ヨー ロ ッパ に輸 出 され た ことが あ るが,覗 在 はほ とん ど見 られ ない よ うで あ る。
CL/
(9) Blla luang王」つ門田つJ (写真 Fr-9)
タ イ 同 では Nehimわn n71,tCifEm GEIertn.(- NelZlml諭 /m Lqf,PCI'osllm W illd.) - ス, 荏
(N_V7nt,lzaeaceaeスイ レン科) 杏 "Bu(1 1unngH と呼ぶC,
ノ、スは広 く東 洋 各地 の池沼 に 白生 し, また栽 培 す る多年 生水生植 物 で, その分布 は広 くオ ー ス トラ リア, ペル シ ャに もお よぶ。 ことに仏教 国では水 田に栽 培 し,仏花 と しての利 用が多 い。 タイ国では赤 花種 が多 い。 写真 Fr-9 ‥Bualu;111g A :果実 (石荘子), (バ ソ コ ク市 場晶)(×cn.08) ち :果托(荘司),(
香
港市場 品)(×ca-OS) 407東南アジア研究 7巻 3号 筆 者 が タイ国で得 た- ス を基 原 とす る生薬 はいずれ も HBan luangHの名称 で,果実 〔石連 子 〕,菓 〔荷葉 〕, 堆 ず い (蕊 )〔蓬髪 〕で, その他果托 〔蓮 房 〕,種 子 〔連 子〕, 腔 〔蓮 子蕊 〕な ど も 薬 用 にす る。 (注 :
〔
〕内は中薬 名 で葉 ,雄 ず いな どについては別 に記述 す る) ・、スの果実 は花 後,倒 円 すい形 に膨 大 した果托 の平面 に10数個埋 もれ て生長 す る もので, と きには 「種 子 」 と誤 るこ とが あ る。 この果 実 を採取 した ものが "石 連 子〝 で あ り, その あ との 果托 を "蓮 房 〝, また果実 の果 皮 を除 い た もの を "蓮 子 〝, さ らに種 子 中 の腔 を と り出 した もの 香 "蓮 子蕊 〝 と呼 んで い る。 "石連 子〝(セ キ レンシ) は中 国では "甜 石蓮〝 と も呼 び, 日本 で は往 々 "蓮 子 〝 と混 同 して い る。 卵 円形 ∼楕 円球 形 の果皮 の堅 硬 な果実 で,表面 は灰 か っ色∼ 灰黒 色 でわず か に灰 白色 の 粉 霜 をお び る。長 さ1・5-2・Ocm,直 径約0.8-1・3cm, 両端 はわずか に とが り, 頂端 に小 さい 円孔 と基部 には短 い果 柄 をそな え, また果 柄 のそばには 円形 , か っ色 の小 突起が あ る。果皮 は 破 砕 し難 いが, その厚 さは約0・8mm, その内面 は紅 か っ色∼ か っ色 を呈 し,粗 い縦 じわが あ る。種 子 , すなわ ち "蓮 子 〝(レンシ)は卵 円形∼楕 円球形 で,長径 1・2-1・7cm,短 径0.7-1.2 cm,表面 は紅 か っ色∼淡 か っ色 で,粗 い縦 じわが あ り,J頁端 中央 にはやや濃 色 の乳 状突起 が あ り, その周辺 はわずか に くぼ む。種 皮 は海 綿 質 よ うで子葉 に貼 着 していてはが れ難 い。 これ を 除去 す る とよ く肥 厚 した2個 の子葉 が あ り,表面黄 白色 を呈 し, 中央 には大 きな空 隙 が で きて いてそ こに すで に幼 芽 をそ な えた腔軸 が あ るo この子葉 を除 い た豚 の部分 を "蓮 子 蕊〝 (i,ソ シシソ) と呼 んでい る。 "蓮 子蕊 〝 は長 さ1・2-1・6cm,径 約 1・5mm の棒 状 で,緑 色∼暗線 か っ色 を塁 し, 陸軸 の先端 は幼 芽 が二 つに分 かれ,一 つは長 く,一 つは短 く巻 曲 して い る。 種 皮 は味 が しぶ く,子葉 はわずか に甘 く,旺軸 は極 めて苦 い。 石蓮 子 の子葉 中には多量 のでんぷ ん を含 み,Rafhnoscを検 出す るほか, 非 フ ェノ-ル性 ア ル カ ロイ ドPronuciferineが証 明 され てい る。 また腔軸 すなわ ち蓮 心蕊 か らは Isoliensinine, Liensinine,Neferine,Pronuciferine,Nuciferine,Lotusineな どが検 出 され てい る*が, その存在 は産地 に よ って多少 ことな る。 石連 子 は タイ国では中 国や 日本 と同様 に主 として強壮 薬 と し, また婦 人薬 と もす る。 また 口 渇 や堰 吐 を とめ るのに用 い る。 イ ン ドで も同様 に用 い るほか,子供 に利尿薬 として あたえた り, レプラや皮 ふ病 に清涼 剤 とした り,毒物 に対 す る解毒 薬 にす る ともい う。 なお蓮 子蕊 は中 国で は遣精 の治療 に用 い る。 また蓮 子 は蓮 肉 と も呼 ばれ 中国, 日本 をは じめ, タイ, マ レーな ど東 洋各地 で食 用 にす る。 なお,- スの果托 , すなわ ち "蓮 房 〝(レンボ ウ) は香 港市場 で入手 した もので あ るが ここに 付 記 す る(写真 Fr-9-ち)。 一般 に "蓮 房〝 は果実 〔石蓮 子 〕を採取後 , その果托 を集 め た もの で, ほぼ倒 円すい形 のは ちの巣状 を呈 し, 頂面 はほぼ 円形 で直径 7- 10cmで高 さ3-8cm, * 富 田 ・古川
:
Chem,Phaym,βu佑13,39(1965);『薬誌』85,335,353,472(1965);86,75(1966). 408木 島 :タイ国生薬 の考察 Ⅳ 表面 は紅 か っ色 ∼暗 か っ色 で大小 の縦 じわが あ り,頂 両 には果 実 の埋 没 してい た多数 の ま るい くぼみ が あ り, 一 部未熟 の果 実 が なお存 在 す る もの もあ る。 基 部 には わず か に果托 の 柄 を 残 存 して い る。 果托 の質 は海 綿 状 で, 生薬 は破 損 して い る ものが 多 く, にお いは な く, 味 は し ぶ い。 "蓮 房 〝 は その成分 に つい ては末 だ 明 らか で な いが , 中 国 で は止血 作 用 が あ り,血 便 ,血 尿 な どに用 い る とい う。 なお 中 国 で は "苦石蓮〝 と称 す る ものが あ るが, これ は中 国雲 両 省 , 広西 省 な どに 白生 す る
CaesalPiniamina,yHce,(I-eg71mi71nLWC マ メ科) の種 子 で, ときには市 場 で混 同 して い るこ と
もあ るが全 く別物 で あ るo
(1.) P.ikak琉
‰
(写真 Fr_10)タイ国 で は大筒 香 (ダイ ウイ キ ョウ), 八角筒 香 (- ッカ ク ウイ キ ョウ),Star,lniseを HPoi kakH と呼 ぶが ,大筒 香 は世 界 的 に著 名 な香辛 料 生 薬 で 中 国 広西 省 と北 ベ トナ ム国境付近 の き わ めて限 られ た地 域 だ け に分 布 す る Tllici1477… C3,ltmHook.fit.(Ill7lciaceaeシキ ミ科 ) の果 実 写真 Fr-10 "PoikakH大筒香 ) (×ca.1.5) a :表面, b :裏面.(中国品) で,生薬 は 中 国側 で は竜 州,北 ベ トナ ム側 で は Lansong(諒 山) を中心 に生産 され る もの で, タイ国で は本植 物 の分 布 な らびに生 薬 の 生産 は な い。 Z・ i-el,71,m は常 緑 の小 高 木 で高 さ 10- 12m に達 し,葉 は楕 円形 ∼長 楕 円状 の ひ(披 )針 形 で, 全縁 , 長 さ()∼ llcm,幅 ,2.2- 4cm, 平 滑 で や や
革
質 ,互 生。 花 は が く片3,黄 緑 負 ,花 弁 6- 9,赤 色 または 白色 ,花 の中央 に 6- 8個 の分 離 心 皮 (雌 ず い) が輪 状 にな らび, 果 実 は赤 か っ色 の袋 栗 が 星 状 に並 ん だ集 果 と な る。 生薬 は完熟 した果 実 を採 集 した もので,普 通6- 8個 の袋 栗 が果 柄 の上部 に水 平 に星 状 に配 列 す るo 各 袋 栗 は長 さ1・5cm,完熟 した 袋 栗 は上線 の 内縫 線 が裂 開 して ボ ー ド状 をET:. し, 内部 に赤 か っ色,光 沢 の あ る凸 レンズ状 の種 子 1個 を露 出す る。 果 皮 には ア ネ トール の芳 香 が あ る。 大筒 香 は精 油 (大筒 香 油 )約5%
を含 み, 409東南 アジア研究 7巻3号
主成分 は AnetholeCl。H120 85%, その他d-α-Pinene,d-α-Phellandrene,α-Terpineolな
どを含 み, 精油 の性状 は ウイキ ョウ Foe解iculum vulgayeMiller(Umbellifeyaeセ 1)料) の果 実 (小筒 香 ,Fennelseed)の精 油 (ウイキ ョウ油 )と化学的,物理的性 状 にほ とん ど差 異がみ とめ られず,現在市販 され てい る 「ウイ キ ョウ油 」 はほ とん ど大筒香 油 で あ る。 生薬 の大筒 香 は ウイ キ ョウ油 の製造 原料 とす るほか,料理 用香味料 として ソースな どの製 造 に, その他食 品 に添 加 す る。 また ウイキ ョウ油 は歯 みが き,石 鹸 な どの香料 に, またアネ トー ル製造 原料 にあ るいは酸 化 して アニスアルデ ヒ ドを製 造 す る。 なお薬 用 には芳香性健 胃駆 風薬 として用 い るが, わが 国では生薬 を直 接薬 用 とす る ことは少 な く, ア ムモ ニア ウイキ ョウ精 な どに製剤 して用 い る。 ヨー ロ ッパ, 中国で は茶剤 とす る。 タイ国で も同様 に薬 用 とす るほか, 中国料理 同様 , タイ料理 の調味 用 の香辛料 として欠 くべ か らざ る もので あ り,市販 の香辛料 セ ッ トには必 ず他 の香 辛料生薬 とと もに組 み こまれ てい る。
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) 肉桂 子 (写真 Fr-ll) 筆者 は香港 漢英市場 で東南 アジア生薬 の一 つ として 「広西産 西桂子 」 を入手 した。「西桂子」 は 「肉桂子」
(ニ ッケイ シ) の異 名で あ り,市場 品名 で,本 来 は桂皮, 肉桂 の基 原植物 で あ るCillnamOmum CaSSiaBlum・(Lauraceaeクス ノキ科) の未熟 果実 で あ る。 中英 の一 つで あ る が, 日本 ではほ とん ど薬 用 に供 されず, あ ま り知 られ ていない。 C・cassiaは主 として 中 国広西省 の西北部 か ら北 ベ トナ ムの北 部, すなわ ち中国, 北 ベ トナ ムの国境付近 に野生 し,栽 培 もされてい る とい うが, この付 近 には同属近縁 の植 物 が多 く, ま た桂皮 は生薬 中で も薬 用 その他 の用途 の ため需 要 の最 も多 い もので あ るため,現在市場 に出現 す る もの には真 正 品で ない近縁生薬 が極 めて多 く,特 に C.cassiaの産地付近 か ら生産 され る (×ca.1) 写真 Fr-11 日タイ名不明 =(肉桂子)(香港市場品) (B :拡 大写頁) (×ca.2.5) 410
木島 :タイ円生薬 の考察 Ⅳ もの にお い て も容 易 に真 正 晶 は 得 られ難 い状態 で あ る。 したが って その未熟 果 実 で あ る 「肉桂 子 」 もまた C・cassiaに基 因 す る もの だけで あ るか 明 らか で ない。 さ らに桂 皮 の類 縁品 は広西 省 のみ な らず,東 南 ア ジ ア各地 か ら も産 出 し, これ らの未熟 果 実 が 同様 に肉桂子 と して市場 に 出回 る ものか も不 明で あ る。 以 上 の よ うに 「肉桂子 」 はい ちお う C・lassI'a の未熟 果 実 とされ てい るが,精 査 を経 なけ れ ば な らない もの と思 う。 また 「肉桂 子 」 は香 港 か らタイ国- 輸 出 して い る といわれ , お そ ら くタイ同で は小 薬 的 な利 用 を してい る もの で, タイ薬 的 利 用 は ない もの と思 うが ,東南 ア ジア生薬 の一 つ として 記 す。 生 薬 「西 桂 子 J は未熟 果実 を膨 大 した花 が く(琴 )の部分 か ら採 集 し,乾 燥 した もので , 「丁 子 」 の形 に似 て, さかず き状 の宿 布 が く(琴 )は黒 か っ色 を皐 し, 径 約 5mm,長 さ()∼ 10mm で基 部 は径 約 2mm のが く筒 を形 成。 果 実 部 は桁 行 が く中 に半 ば
埋
没 し,頂 端 部 は露出
して い るが ,頂 端 は やや膨 大 した房球 形 で,表面 は淡 か っ色 ∼ 暗箭 か っ色 で光 沢 が あ る。 未熟 果 実 を 取 り出す と径 約3-4mm,厚 さ約 2mmの霜 円形 で上 部 に花 柱 の残 基 が わ ず か に突 起 とな って 見 られ る。 また下面 中央 部 には胎 座 の痕 跡 が見 られ る。 「肉桂子 」 に つい ては極 めて微 量 の アル カ ロイ ド(0.007% ),サ ポ ニン約2% ,タ ンニン約2.5 % な どが検 出 され て い るが , Cinna・micaldellydの有 無 な どについ ては知 られ て い ないO その 他詳 細 は明 らかで ないO 中国 で は腹痛 ,心痛 の治療 に用 い られ る とい う。なお 「タイ国薬 用植 物 」 には C.ca∫57laに ・・上
欄
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1
g‥Thep thnrO- の タイ名 をあ たえ てい るが ,タイ には C・cassiaは野生 しない し, また 「タイ植 物 名菓
」には CIPa7,i7zenoxylon Mciss. を あて,
「タイ薬 物 効能 集成Ⅱ」
で は これ を削除 して い るo C・」佃 .fhe}10,ryl0両 まマ レー半 島,ス マ トラ, ジ ャ ワ, タイ, 中 国南 部 に分 布 す る巨大 な高木 で あ るが, 材 に Safrolを含 み ,C. caがiaとは 同属植 物 で は あ るが , 成分 的 には別系統 の 1
種
で,桂 皮 の類縁 基 原柄 物 で はない。、 以 上 `lThep tll,lrOHに C・cE7SSi(tを あ て る こ とは誤 りで あ る.。また タイ同 か らは "桂皮〝 の 名 の もとに一般 生薬 市場 に搬 廿ほ れ る押 縁 生薬 は'ないが , /jイ
因 に多 く自生 す る C17'71CrSReinw・(タイ名 ‥f]iJi6m :OP Choci.''または ``f]ijA別 所u:011 choeiton") は C・catu7-a と同系統 の もので あ り, 他 に も現在 は未 だ明 らか で な いが