223 (83) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
イノ ウエ ユキ コ井上幸子(昭和2
医学博士 乙第1082号平成2年3月16日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
糖尿病患者の血漿およびアロキサン糖尿病犬の血漿ならびに膵におけるpan・ creatic polypeptide(PP)濃度に関する研究 (主査)教授 平田 幸正 (副査)教授 出村 博,香川 順論 文 内 容 の 要 旨
目的 Pancreatic polypeptide(PP)は主として膵に由来 するホルモンの1つといわれているが,糖尿病とPP の関係は明確ではない.本研究では糖尿病患老と健常 対照者の血漿PPの分泌動態について,日内変動をみ るとともに強いPP分泌刺激を起こすCampbell感喜 beef soup(BS)負荷試験を施行し,血漿PPに対する 糖尿病病型および糖尿病治療の影響を検討した.さら に動物実験によって膵組織におけるPP濃度と血漿 PPの相関を検討しようとした. 方法 臨床例の対象は糖尿病患者35名および健常者16名で ある.糖尿病患者35名のうち13名は未治療インスリン 非依存型糖尿病(NIDDM),残りの22名は治療中の糖尿病患老でその内訳はインスリン依存型糖尿病
(IDDM)16名とNIDDM 6名であった.未治療
NIDDMについては糖尿病治療開始前および後でBS
負荷試験を施行して血漿PP反応を比較した.治療中のIDDMとNIDDMはBSを負荷して糖尿病病型別
に血漿PPを比較した.またインスリン治療中の
IDDMのうち4名については血糖コントロール不良
時と強化インスリン療法で血糖コントロールを良好と した際の血漿PP日内変動を比較した. 雑種犬10頭にアロキサンを静注しアロキサン糖尿病 犬を作製した.対照としては健常犬10頭を用いた.ア ロキサン糖尿病犬は4~12週間治療を行わずに高度の 糖尿病状態のままBSを負荷した.2日後後に脱血し 膵を摘出.膵切片から酸エタノールにて抽出,膵PP濃 度を測定した.血漿および膵PP測定はradio im- munoassayによった. 結果と考察 健常老と糖尿病患者の空腹時血糖および血漿PP濃 度はそれぞれ90±81ng/dl,185±138pg/mlと198±73 mg/dl,240±132pg/mlであった.糖尿病患者も健常者 と同様にBS負荷により著しい上昇を認め両者間に有 意差はなかった.糖尿病治療開始前後で血漿PPに変 化は認められず,さらにIDDMにおいても血糖コント ロールの良期,不良期における血漿PPに差は認めら れなかった.これに対し対照犬およびアロキサン糖尿病犬の空腹時血糖と血漿PPはそれぞれ79±1mg/
dl,279±36pg/mlと303±28mg/dl,765±192pg/mlで あり,アロキサン糖尿病犬においては対照犬に比し血 漿PPは明らかに高かった.なおBS負荷試験でもPP はアロキサン糖尿病犬ではより高値を示した.しかし ながら膵PP濃度は両群間に差は認めなかった.犬で は両群とも膵PP濃度は鉤状突起部に最も多く,頭部, 体部,尾部の順に減少した.このように糖尿病患者に おいて血漿PPは健常者と有意差はなかったが,アロ キサン糖尿病犬では血漿PPは対照犬に比べ有意な高 値が認められた.この差については動物の種差による ものなのか,犬における糖尿病の病態が臨床例と異な るのかは不明であった. 結論 糖尿病患者において病型とコントロール良否でPP 一825一224 の分泌に差は認められないこと,アロキサン糖尿病犬 では対照犬に比し膵PP濃度に差はないものの血漿 PPは有意に高値であることを認めた.