• 検索結果がありません。

外科感染症分離菌とその薬剤感受性―1982~2011年度の分離菌のまとめ―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "外科感染症分離菌とその薬剤感受性―1982~2011年度の分離菌のまとめ―"

Copied!
37
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

外科感染症分離菌とその薬剤感受性

1982

2011

年度の分離菌のまとめ―

品川長夫

東京医療保健大学大学院感染制御学

岩 充博

武田薬品工業株式会社 医薬開発本部ファーマコビジランス部製造販売後調査グループ (2015年2月18日受付) 1982年7月から2012年3月まで実施した外科感染症分離菌に関する多医療機関共 同調査の30年間の結果を集計解析したのでここに報告する。 本調査を行った30年間に一次感染2,132例,術野感染2,655例,合計4,787症例から 11,196菌株を採取した。一次感染では腹膜炎が多く42.3%∼55.5%を占め,術野感染 では創感染が多く49.3%∼66.1%を占めた。過去30年間で最も多く分離された菌種 はEscherichia coli(1,164株)で,次いでEnterococcus faecalis(842株),Staphylococcus

aureus(833 株),Pseudomonas aeruginosa(706 株),Bacteroides fragilis(705 株), Klebsiella pneumoniae(498 株),Enterobacter cloacae(391 株),coagulase-negative

staphylococci(CNS)(325株)であった。

調査期間中,S. aureus 及び CNS は Vancomycin に対して良好な感受性を維持した (MIC90=0.78∼3.13 μg/mL)。E. faecalisはVancomycin及びImipenemに対して良好な

感受性を示した(MIC90 0.78∼4 μg/mL)。E. coli, E. cloacae, K. pneumoniae, B. fragilis

はImipenemに対して良好な感受性を示した。P. aeruginosaに対するMIC90が2 μg/mL 未満を維持している抗菌薬はなかった。P. aeruginosaに対して検討した抗菌薬の中で は Ciprofloxacin が最も強力で,その MIC90は 0.5∼8 μg/mL の範囲で変動していた。 Bilophila wadsworthiaに対するMICが低値で安定していた抗菌薬はなく,Levofloxacin 及び Minocycline を除き,検討したほとんどの抗菌薬の MIC90は 128 μg/mL 以上で あった。

無菌手術で分離された細菌にはS. aureusの割合が多く,CNS, E. faecalis, E. coli, E.

cloacae, K. pneumoniae, P. aeruginosa, B. fragilis 及び B. wadsworthia と合わせて 55%

以上を占めたが,無菌状態が不良な手術になるにつれてその他のグラム陽性菌及び グラム陰性菌の占める割合が増加した。

癌,糖尿病,制癌剤,ステロイド剤,免疫抑制剤,放射線照射等の宿主減弱因子が 存在する症例では,E. faecalisの分離頻度が高い傾向にあり,その因子がない場合は

(2)

2剤耐性緑膿菌は1987年度に初めて認められ,それ以降も数株ずつ検出され,2011 年度までに69株検出された。3剤耐性菌は1990年度と1996年度に各2株,1998年度 に1株,合計5株認められたが,1999年度以降2011年度まで検出されていない。 1988 年 度 か ら 1991 年 度 の 4 年 間 は MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)の分離頻度が高かったが,その後,減少し,MRSAのS. aureusに占める割合 は1998年度,2005年度,2006年度で高くなったが2007年度以降は低い状態が続い た。 外科感染症分離菌とその薬剤感受性に関する多 医療機関共同調査を 1982 年 7 月に開始して以来 2011年度まで各年度の成績を報告してきた1∼36) 今回はその調査を終了するにあたり,30年間で得 られたすべての結果を集計し,主要菌種の分離頻 度やその薬剤感受性の 30 年間の推移を改めて解 析したのでここに報告する。

I. 対象と方法

1982年7月に開始した外科感染症分離菌感受性 調査研究会は,最終的に,消化器外科を中心とす る48医療機関の共同研究会となった(Table 1)。 対象は,消化器外科領域の感染症患者又は感染 を合併した入院患者であった。一次感染は,穿孔 Table 1. 参画医療機関一覧

(3)

性腹膜炎,急性胆嚢炎,急性胆管炎,肝膿瘍等の 腹腔内感染症,術野感染は,腹腔内膿瘍や創感染 等の消化器系手術後の術野感染とし,術後の呼吸 器系感染症,尿路感染症,血管内留置カテーテル 感染症又は敗血症等の術野外感染症は含めなかっ た。同一患者からの分離菌は,初回のもののみを 取り上げ,重複を避け,また,消化管と持続的に 交通している腸瘻等を伴う腹腔内感染は対象外と した。 病巣からの検体をケンキポーターⓇ(クリニカ ルサプライ)に採取し,2002年3月までは東京総 合臨床検査センターへ,その後は山田エビデンス リサーチへ送付し,原因菌を分離・同定した。 薬剤感受性は,日本化学療法学会標準法である MIC2000 システムを用いた微量液体希釈法によ り 測 定 し た。感 受 性 測 定 薬 剤 は,Methicillin (DMPPC), Oxacillin (MPIPC), Ampicillin

(ABPC), Piperacillin (PIPC), Tazobactam/

Piperacillin (TAZ/PIPC), Cefazolin (CEZ), Cefotiam(CTM),Cefmetazole(CMZ),Flomoxef

(FMOX), Cefmenoxime (CMX), Latamoxef (LMOX), Ceftazidime (CAZ), Cefpirome (CPR),Cefepime(CFPM),Cefozopran(CZOP),

Cefoperazone (CPZ), Sulbactam/Cefoperazone

(SBT/CPZ), Aztreonam (AZT), Carumonam (CRMN), Imipenem (IPM), Meropenem (MEPM), Doripenem (DRPM), Gentamicin (GM), Amikacin (AMK), Arbekacin (ABK),

Isepamicin (ISP), Clindamycin (CLDM), Minocycline (MINO), Ciprofloxacin (CPFX), Levofloxacin (LVFX), Linezolid (LZD), Vancomycin (VCM), Teicoplanin (TEIC), Fosfomycin(FOM)を用いた。

(4)

II. 成績

1) 症例数及び菌株数 1982 年 7 月から 2012 年 3 月の 30 年間に調査対 象として検体が採取された症例は4,787例,菌株 数は 11,196 株であった。過去 30 年間の年度別症 例数及び分離細菌株数の推移を Fig. 1 に示した。 年平均症例数は159.6症例で,総分離細菌株数は 1990年代半ばから増加し,更に最近の数年間では 著増していた。年平均分離細菌総株数は373.2株 で,検体あたりの分離菌数も著増していた。 過去 30 年間の菌種別菌株数を Table 2 に示し た。30 年 間 で 最 も 多 く 分 離 さ れ た 菌 種 は Escherichia coli(1,164株)で,次いでEnterococcus faecalis(842株),Staphylococcus aureus(833株), Pseudomonas aeruginosa (706株), Bacteroides fragilis(705株),Klebsiella pneumoniae(498株), Enterobacter cloacae(391株),Coagulase-negative

staphylococci(CNS)(325株)であった。

2) 菌種別薬剤感受性

S. aureus, CNS, E. faecalis, E. coli, E. cloacae, K. pneumoniae, P. aeruginosa, B. fragilis 及 び Bilophila wadsworthiaの薬剤感受性をMIC50及び

MIC90としてTable 3∼11に示した。なお,MIC測

定不能の22株は除いた。 (1) Staphylococcus aureus S. aureus に対する MIC が低値で最も安定して いたのは VCM で,その MIC90は 2006 年度から 2011 年度まで 1 μg/mL であった。MINO の MIC90 は 3.13∼50 μg/mL の範囲にあり,2001 年度以降 は8∼16 μg/mLの範囲であった。しかし,その他 の抗菌薬のMIC90は128 μg/mL以上となる年度が 多かった。 (2) Coagulase-negative staphylococci 30年間にCNSとしてStaphylococcus epidermidis (244株)を含む計11菌種325株を検出した。これ Table 2. 外科感染症分離菌種別菌株数

(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)

らの菌株に対して良好な MIC90を示したのは VCMで,1995年度から2011年度まで0.78∼2 μg/ mL と 安 定 し て い た。ま た,MINO の MIC90 1995 年度から 2011 年度まで 0.25∼25 μg/mL の範 囲内であった。それ以外の抗菌薬のMIC90は年度 によって128 μg/mL以上となることもあり変動幅 が大きかった。 (3) Enterococcus faecalis E. faecalisに対するMICが低値で最も安定して いたのはVCM及びIPMで,測定を始めた1992年 度から2011年度までMIC90は4 μg/mLを上限とし て2 μg/mL前後で推移していた。 (4) Escherichia coli E. coli に対する MIC が低値で最も安定してい たのは IPM で,その MIC90は測定を始めた 1992 年度から 2011 年度まで 0.125∼1 μg/mL の範囲に あり,2005 年以降は 0.25 μg/mL 以下と優れてい た。次いで LMOX の MIC90が 0.2∼1.56 μg/mL の 範囲で安定していた。CMX, CZOP 及び AZT の MIC90は当初 0.1 μg/mL 以下と優れていたが徐々 に上昇する傾向を示した。 (5) Enterobacter cloacae E. cloacaeに対するMICが低値で最も安定して い た の は IPM で,そ の MIC90は 測 定 を 始 め た 1987年度から2011年度まで0.5∼3.13 μg/mLの範 囲にあり,2008年度以降は1 μg/mLと安定してい た。また,LVFXのMIC90は測定を始めた1995年 度から2011年度まで0.125∼3.13 μg/mLの範囲内 にあり低下傾向にあった。 (6) Klebsiella pneumoniae K. pneumoniaeに対するMICが低値で最も安定 していたのはIPMで,そのMIC90は測定を始めた 1987年度から2011年度まで0.125∼0.78 μg/mLの 範囲にあり,2004年以降は0.25 μg/mLと安定して いた。CZOPのMIC90は測定を始めた1990年度か ら1996年度まで0.1 μg/mL以下とIPMより優れて いたが,その後は2004年度に1 μg/mL,2011年度 に2 μg/mLと大きく上昇する年があった。AZTの Table 11. Bilophila wadsworthiaに対する年度別抗菌力

(14)

MIC90は≦0.05∼0.78 μg/mL の範囲内の変動であ り,他の抗菌薬に比べて安定していた。また,GM の MIC90は 1982 年 度 か ら 1999 年 度 ま で 0.78∼ 3.13 μg/mL の範囲で変動していたが,その後は 0.39∼1 μg/mL の範囲の変動になり,感受性が良 好になる傾向を示した。 (7) Pseudomonas aeruginosa P. aeruginosaに対するMIC90が長期にわたって 2 μg/mL 未満を維持している抗菌薬はなかった。 検討した抗菌薬の中ではCPFXが最も強力で,そ のMIC90は測定を始めた2002 年度から2011 年ま で 0.5∼8 μg/mL の範囲で変動していた。GM は 1982 年度から 2000 年度まで 3.13∼>100 μg/mL の範囲で変動し,その後 2005 年度までに 0.5∼ 2 μg/mL まで低下し,2006 年度から 2011 年度は 4∼8 μg/mLの範囲に納まっていた。IPMも,測定 を開始した 1987 年度から 2011 年度まで,その MIC90は0.78∼50 μg/mLの範囲で大きく変動して いたが,他の抗菌薬に比べれば良好な結果であっ た。また,MIC50が2 μg/mL以下を維持していた抗 菌薬は,CZOP, IPM, LVFX及びCPFXで,なかで も CPFX の MIC50は 0.5 μg/mL 以下と安定してい た。 (8) Bacteroides fragilis B. fragilisに対するMICが低値で安定していた のは IPM で,その MIC90は 1994 年度から 2011 年 度まで0.1∼2 μg/mLの範囲であった。2002年度か ら 測 定 を 開 始 し た TAZ/PIPC の MIC90は 0.25∼ 4 μg/mLの範囲内で変動していた。 一方,PIPC, CPZ, CMX及びCZOPに対しては, 高度耐性株(MIC90>100 μg/mL, ≧128 μg/mL)が 多数認められた。 (9) Bilophila wadsworthia B. wadsworthiaに対するMICが低値で安定して いた抗菌薬はなく,LVFX及びMINOを除き,検 討したほとんどの抗菌薬のMIC90は128 μg/mL以 上 で あ っ た。LVFX の MIC90は 0.39∼128 μg/mL の範囲で大きく変動し,上昇する傾向にあった。 MINOのMIC90も同様に0.39∼32 μg/mLの範囲で 変動しながら上昇する傾向にあった。 3) 感染症別症例数 30 年間の感染症別症例数,菌株数を Table 12 に,年度別感染症別症例数をFig. 2に示した。 30年間の一次感染の例数は2,132例,術野感染 の 例 数 は 2,655 例 で あ り,術 野 感 染 が 全 体 の 55.5%を占めた。 Table 12. 感染症別症例数

(15)

Fig. 2(a). 年度別感染症別症例数(一次感染)

(16)

一 次 感 染 の お よ そ 半 分 は 腹 膜 炎 で 42.3%∼ 55.5%を占め,年々増える傾向にあった。肝・胆 道感染症は18.3%∼24.1%を占めていた。 術野感染では創感染が最も多く,次に腹膜炎, 肝・胆道感染(急性胆嚢炎,急性胆管炎,肝膿瘍 など)の順であった。その他としては,治療が必 要な臨床症状を有するドレーン感染が多かった。 創 感 染 は 49.3%∼66.1% を 占 め,腹 膜 炎 は 12.9%∼27.8% を占め,いずれも年々増える傾向 にあったが,肝・胆道感染の占める割合は2.5%∼ 10.1%で減少する傾向にあった。 4) 感染症別分離菌株数 年度別菌種別感染症別分離菌株数をFig. 3に示 した。 30 年間で一次感染の肝・胆道感染から 889株, 腹膜炎から3,302株,創感染から53株,その他か ら 1,407 株の計 5,651 株(50.6%)が分離された (Table 12)。S. aureusの分離頻度は減少し,E. coli

の分離頻度も減少傾向にあった。

術野感染では,肝・胆道感染から238株,腹膜 炎から1,345株,創感染から3,369株,その他から

571株の計5,523株(49.4%)が分離された(Table 12)。S. aureus, K. pneumoniae 及 び P. aeruginosa

の分離頻度は減少傾向にあった。 5) 性別分離菌株数

年度別菌種別性別分離菌株数をFig. 4に示した。

30年間で男性から分離された菌株数は6,740株

で,S. aureus, E. faecalis及びP. aeruginosaの分離 頻度は減少傾向にあった。女性から分離された菌 株数は4,434株で,男性同様,S. aureus, E. faecalis 及び P. aeruginosa の分離頻度が減少傾向にあっ た。 6) 術式別分離菌株数 年度別菌種別術式別分離菌株数をFig. 5に示し た。 1982年度から2000年度の無菌手術での細菌の 分離株数は497株,準無菌手術では1,665株,汚染 手術では 592 株であった。2000 年度から 2011 年 度の Clean での細菌の分離株数は 92 株,Clean-contaminatedでは1,598株,Contaminatedでは515 株,Dirty-infected で は 564 株 で あ っ た。無 菌 手術で分離された細菌には S. aureus の割合が 高 く, CNS, E. faecalis, E. coli, E. cloacae,

K. pneumoniae, P. aeruginosa, B. fragilis 及び B. wadsworthiaと合わせて55%以上を占めたが,無 菌状態が不良な手術になるにつれてその他のグラ ム陽性菌及びグラム陰性菌の占める割合が増加し た。 7) 抗菌薬投与前後別分離菌株数 年度別菌種別抗菌薬投与前後別分離菌株数を Fig. 6に示した。 抗菌薬投与前後に関わらず,主要菌種である

S. aureus, CNS, E. faecalis, E. coli, E. cloacae, K. pneumoniae, P. aeruginosa, B. fragilis 及び B. wadsworthia の合計が占める割合は年々減少し, 代わってそれ以外のグラム陽性菌及びグラム陰性 菌の占める割合が増加していた。 8) 宿主減弱因子別分離菌株数 年度別菌種別宿主減弱因子別分離菌株数をFig. 7に示した。 宿主減弱因子としては癌と糖尿病を含む疾患, 制癌剤,ステロイド剤及び免疫抑制剤を含む薬剤 の投与,放射線照射を含む処置とし,これらの因 子のいずれかが存在する場合と存在しない場合で 菌種の占める割合を比較した。 因子無しの場合は E. coliの占める割合が多く, 因子有りの場合はE. faecalisの占める割合が多い 傾向にあったが,いずれの場合でも,主要菌種で あるS. aureus, CNS, E. faecalis, E. coli, E. cloacae,

(17)

Fig. 3(a). 年度別菌種別感染症別分離菌の推移(一次感染)

(18)

Fig. 4(a). 年度別菌種別性別分離菌の推移(性別:男性)

(19)

Fig. 5(a). 年度別菌種別術式別分離菌の推移(旧形式(1982∼2000年度):一次感染)

(20)

Fig. 5(c). 年度別菌種別術式別分離菌の推移(旧形式(1982∼2000年度):準無菌)

(21)

Fig. 5(e). 年度別菌種別術式別分離菌の推移(新形式(2000∼2011年度):一次感染)

(22)

Fig. 5(g). 年度別菌種別術式別分離菌の推移(新形式(2000∼2011年度):Clean-contaminated)

(23)

Fig. 5(i). 年度別菌種別術式別分離菌の推移(新形式(2000∼2011年度):Dirty-infected)

(24)

Fig. 6(b). 年度別菌種別抗菌薬投与前後別分離菌の推移(抗菌薬投与:投与後)

(25)

Fig. 7(b). 年度別菌種別宿主減弱因子別分離菌の推移(有無:有り)

(26)

Fig. 8(c). 年度別菌種別分離材料別分離菌の推移(分離材料:胆汁) Fig. 8(b). 年度別菌種別分離材料別分離菌の推移(分離材料:穿刺液)

(27)

Fig. 8(d). 年度別菌種別分離材料別分離菌の推移(分離材料:腹水)

(28)

Table 13.

(29)

Table 13.

(30)

Fig. 9.

 年度別

MRSA/MSSA

(31)

K. pneumoniae, P. aeruginosa, B. fragilis 及び B. wadsworthia の合計が占める割合は年々減少し, 代わってそれ以外のグラム陽性菌及びグラム陰性 菌の占める割合が増加していた。 9) 分離材料別分離菌株数 年度別菌種別分離材料別分離菌株数をFig. 8に 示した。分離材料は膿汁,穿刺液,胆汁,腹水, その他であった。 膿汁中で割合の多かった主要菌種は S. aureus,

E. faecalis, E. coli, P. aeruginosa 及 び B. fragilis で

あったが,S. aureusとP. aeruginosaは年々減少し た。B. wadsworthiaは2000年前後から出現し徐々 に増えていた。しかし,主要菌種全体の占める割 合は年々減少し,代わってそれ以外のグラム陽性 菌及びグラム陰性菌の占める割合が増加してい た。 穿 刺 液 中 で 割 合 の 多 か っ た 主 要 菌 種 は S.

aureus, E. faecalis, E. coli 及び B. fragilis であった

がS. aureusは年々減少傾向にあり,代わって主要 菌種以外のグラム陽性菌及びグラム陰性菌の占め る割合が増加していた。 胆汁中で割合の多かった主要菌種はE. faecalis, E. coli 及び K. pneumoniae で,主要菌種以外のグ ラム陽性菌及びグラム陰性菌の占める割合が増加 する傾向はみられなかった。 腹水中で割合の多かった主要菌種は E. coli で あったが,集計を開始した1994 年以降主要菌種 以外のグラム陽性菌及びグラム陰性菌の占める割 合が多く,また,その割合は年々増加する傾向に あった。 その他の分離材料中で割合の多かった主要菌種 はS. aureus, CNS, E. faecalisで,B. fragilisの割合 は年々増える傾向にあった。 10) 多剤耐性緑膿菌株数 年度別多剤耐性緑膿菌株数を Table 13 に示し た。 本調査開始当初は,多剤耐性緑膿菌は検出され な か っ た が,1984 年 度 に AMK 耐 性 の 緑 膿 菌 (AMK≧32 μg/mL)を 1 株,1986 年度に 3 株認め て以来,徐々に各抗菌薬に対する耐性菌が分離さ れるようになった。2011 年度までに認められた IPM 耐 性 緑 膿 菌(IPM≧16 μg/mL)は 68 株, MEPM耐性緑膿菌(MEPM≧16 μg/mL)は23株, AMK 耐 性 緑 膿 菌 は 43 株,CPFX 耐 性 緑 膿 菌 (CPFX≧4 μg/mL)は10株,Ofloxacin(OFLX)耐 性緑膿菌(OFLX≧8 μg/mL)は38株,LVFX耐性 緑膿菌(LVFX≧8 μg/mL)は28株であった。1987 年からは多剤耐性菌が認められるようになり,2 剤耐性菌は1987年度に3株,それ以降は数株ずつ 認められ,2011年度までに69株(9.8%)に上っ た。3剤耐性菌は1990年度に2株,1996年度に2 株,1998年度に1株,合計5株(0.7%)認められ たが,1999年度以降 2011年度まで認められてい ない。 11) MRSA株数 年度別MRSA株数をFig. 9に示した。 2000 年 度 ま で は DMPPC の MIC が 12.5 μg/mL 以 上 の S. aureus を,2001 年 度 以 降 は Oxacillin (MPIPC)の MIC が 4 μg/mL 以 上 の S. aureus を

MRSAとしている。 1988 年度から 1991 年度の 4 年間は MRSA が総 分離株数の10%以上を占めていたが,その後急激 に減少した。そして,1998年度に分離頻度が再び 高くなり,2005年度と2006年度にも高くなった が,2007 年度以降は 3% 以下と低い状態が続い た。

III. 考察

1982 年 7 月から 2012 年 3 月までの 30 年間にわ たり全国 48 医療機関の共同研究として外科感染

(32)

症分離菌とその薬剤感受性について調査を実施し てきた。そこでこれまでの 30 年間に集積された 結果をもとに考察をする。 近年,嫌気性菌を中心に多くの菌種が再分類さ れ,また新しい菌種も登録されてきた。消化器外 科領域では腸内細菌が関与する感染症が多く,本 研究においても新しい菌種が分離された。1989年 に分類承認された無芽胞嫌気性グラム陰性桿菌で あるB. wadsworthiaは,本研究において1999年度 から感受性測定対象菌とした。本菌は腸内常在菌 であり,穿孔性腹膜炎から高頻度に分離され,カ ルバぺネム薬や多くのβ-ラクタム薬に耐性37) ある。呼吸器感染症,尿路感染症及び敗血症等か らのまとまった分離報告はないが,今後の経過を 注意深く観察する必要がある。 外科医にとって嫌気性菌感染症を苦手とする 理 由 の 1 つ に,菌 種 名 の 変 更 が あ げ ら れ る。 Bacteroidesの一部はPrevotella, Porphyromonas等 に再分類され,Peptostreptococcus は Finegoldia, Parvimonas(旧Micromonas),Peptoniphilus又は Anaerococcus等に再分類され,Peptostreptococcus は Peptostreptococcus anaerobius と 新 菌 種 の Peptostreptococcus stomatis が残るのみとなって いる。その他に多くの再分類や新規の属や菌種の 登録がある。菌種の再分類等は,医学の進歩によ るものである。論文にも新しい細菌名が使われる ようになっているので,外科臨床における重要な 細菌については,旧名も認識し対応38)していく必 要がある。 本研究において,1990年代の半ばから1検体あ たりの分離菌株数の増加が認められている。これ は分離培養法の向上により,特に嫌気性菌を中心 に新しい細菌の分離が可能となってきたことによ るものである。一次感染における重要な細菌を分 離 株 数 か ら み る と,好 気 性 菌 で は E. coli と K. pneumoniaeであり,嫌気性菌ではB. fragilisとB. wadsworthia等である。さらに,これらの細菌の 毒力を考慮し,臨床上の重要性を判断しなければ ならないが,B. wadsworthia等多くの嫌気性菌の 毒力についての検討は少ない。それぞれの細菌の 毒力の評価ばかりでなく,これらの混合感染時の 毒力の評価等は今後に残された課題であると言え る。 MRSAの分離頻度は,1988年度から1991年度 にかけ急速に高くなった。検体中に占めるすべて のS. aureus及びMRSAの頻度は1991年度が最も 高く,以後これを超えることはなかった。さらに 最近のMRSAの頻度は,2007年度以降3%以下と なっている。また,S. aureusに占めるMRSAの割 合は,今世紀に入っても70∼80%前後と高かった が,2009年度には50%台,2010年度と2011年度 ではそれぞれ60%台へと低下している。しかし, 吉田らや山口らの報告39,40)と比較すると,外科領 域である本研究での S. aureus に占める MRSA の 割合は高い。 S. aureusに対するVCMのMICは,2001年度以 降 1∼2 μg/mL の株が多かった。しかし,2009∼ 2011 年度34∼36)の 3 年間で分離された 61 株のう ち,MIC が 2 μg/mL の株はわずかに 1 株のみで あった。また全期間を通じて,MICが4 μg/mLを 超える株は認められていない。 1991 年 11 月に静注用 VCM の臨床使用を開始 してからMRSAの分離頻度は低下し,VCM使用 増加に伴うVCM耐性MRSAの出現は認められて い な い。一 方,過 去 3 年 間 に 分 離 さ れ た S. epidermidisに対するVCMのMICをみると,2 μg/ mL が 17 株(54.8%)も 存 在 す る こ と か ら, Staphylococci の耐性菌出現には注意が必要であ る。これらは心臓ペースメーカー移植術,心臓弁 置換術や人工関節置換術等の異物留置を伴う手術 後の感染症起炎菌として注目すべきものである。 したがって,VCM等の抗MRSA薬の長期使用又 は偏った使用等,抗MRSA薬の投与方法に問題が ないか,又は院内感染対策に不備がないかどうか

(33)

を常に考えておく必要がある。 調査を開始以来,Enterococcus spp.で最も注目 されるVCM耐性Enterococcus(VRE)は1株も分 離されていない。しかし,欧米ばかりでなく,ア ジアにおいても高率にVRE が分離されているこ とを考慮すれば,今後の感受性動向に注意すべき であろう。 E. coli については,1990 年代の半ばで CEZ に 100 μg/mL以上のMICを示した株が10%ほどみら れ11,13∼15),その後低下傾向となった。しかし,2002 年度26),2007年度32)及び2009∼2011年度34∼36) 10% 以 上 の CEZ 耐 性 株 が認 められ た。さ ら に β-lactamases阻害剤であるTAZ配合のPIPC(TAZ/ PIPC)に対してもわずかではあるが高度耐性株 が 認 め ら れ て い る。多 く が Extended spectrum β-lactamases(ESBLs)産生菌と考えられるゆえ, これらの薬剤使用に当たっては注意が必要であ る。一方,E. coli に対するカルバペネム系薬と LMOX の MIC はほとんどの株で 4 μg/mL 以下と 良好であった。 今回,30年間のデータを集計した結果から,2 剤及び3剤に対して耐性をもつ多剤耐性緑膿菌を それぞれ706株中69株(9.8%)及び5株(0.7%) 認めた。多剤耐性緑膿菌についての日本での分離 株数は,NIKIらの報告41)では171株中1株(0.6%), 山口らの報告40)では尿路感染症由来で 609 株中 14株(2.3%),呼吸器感染症由来で660株中12株 (1.8%),吉田らの報告42)では94株中1株(1.1%), 小林らの報告43)では14株中0株であった。尿路 感 染 症 由 来 又 は 血 液 培 養 か ら の 緑 膿 菌 に は, metallo-β-lactamase 産生株が多くみられること, 緑膿菌は個々の医療機関において分離頻度が異な ること等を考慮し,十分に注意しておかなければ ならない。 また,B. fragilisやB. wadsworthiaは,臨床で使用 頻度の高いセフェム系薬に中等度から高度耐性株 が多いので注意が必要である。特にB. wadsworthia は,カルバペネム系薬を含め多くの薬剤に耐性を 示し,腹膜炎等の一次感染ばかりでなく術野感染 からの分離頻度も高い。 さらに,世界各地で様々なタイプの plasmid性 metallo-β-lactamase産生菌の報告がある。日本で は緑膿菌が中心であったが,近年,肺炎桿菌を初 めとしてカルバペネマーゼ産生腸内細菌の存在が 報告されている41, 42)。Plasmid性の耐性遺伝子は 菌種を超えて伝播するため,今後も様々な菌種が 耐性遺伝子を獲得していくことが予想される。消 化器外科領域の感染症においては,大きな変化が 生じる可能性があり,注意しなければならない。 結果の解釈にあたっては,30年間にわたる研究 であり,いくつかの背景要因についても考慮しな ければならない。前半のおよそ 15 年での悪性腫 瘍に対する手術は,拡大根治手術が主流であった が,後半では腹腔鏡下手術が導入されるとともに 縮小手術へと変遷してきた。この変遷により術後 感染については,高頻度で重症例が多かったもの が,後半にはより軽症化するとともに発症頻度に も低下傾向が認められてきた。さらに術後感染の 種類によっても低下傾向には差がみられてきた。 また進行癌症例に対しては積極的に手術が施行さ れてきたが,これらの治療も制癌剤による治療や 放射線治療などへと変遷してきた。感染に対し抵 抗力の減弱した手術症例が減少したことは,術後 感染発症率低下の1要因として挙げられる。しか し,最も大きな要因は,術後感染の予防や治療に 使用される抗菌薬の種類や投与量の変遷であろ う。 術後感染の定義については,術野感染と術野外 感染に分けられるが,この研究では消化器外科領 域の術野感染を対象としてきた。1990年代に入っ てsurgical site infection(SSI)の概念が導入され, 多くの施設で感染症サーベイランスに取り入れら れてきた。術後感染イコールSSIではなく,術野 感染は手術操作が及ぶすべての部位の術後感染を

(34)

取り上げており SSI より広範囲である。SSI の概 念からは,術後感染のサーベイランスが明確に施 行しやすい利点があげられる。一方,術野感染の 概念からは外科医にとって臨床上の有意義な情報 が得られると言う利点がある。 30年と言う一期間ではあるが,全国的なバラン スの取れた共同研究であり,我が国の外科感染症 研究の一面を明らかにしてきた。多くの要因によ る変遷が認められるが,詳細については,各年度 の成績を参照にして判断していただきたい。 謝 辞 今回の調査にあたって分離菌をご提供いただい た外科感染症分離菌感受性調査研究会の以下の諸 先生,調査にご協力をいただいた先生に厚く御礼 申し上げます。(分離菌提供時の所属で記載,敬称 略) 谷口正哲(大隈病院外科),平田公一・古畑智 久・水口 徹(札幌医科大学医学部外科学第一講 座),長内宏之(札幌外科記念病院外科),柳内良 之(社会医療法人禎心会新札幌恵愛会病院外科), 秦 史壯(札幌道都病院外科),佐々木一晃・大野 敬祐・河野 剛・柴田稔人(小樽掖済会病院外 科),時田捷司・中村誠志(独立行政法人地域医療 機能推進機構登別病院外科),渋谷 均(市立室蘭 総合病院外科),長谷川 格・木村雅美・大島秀 紀・檜垣長斗(北海道済生会小樽病院外科),向谷 充宏・鬼原 史(北海道社会事業協会函館病院外 科),渡部公祥(市立赤平総合病院外科),星川  剛・木村 仁(滝川市立病院外科),相川直樹・ 佐々木淳一・鈴木 昌・関根和彦・安倍晋也(慶 應義塾大学医学部救急医学),竹山廣光・若杉健 弘(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科 学),真下啓二(愛知厚生連尾西病院外科),田中 守嗣(刈谷豊田総合病院外科),水野 章・石川雅 一(三重厚生連いなべ総合病院外科),岩井昭彦・ 齋藤高明(三重厚生連菰野厚生病院外科),村元雅 之・角田直樹(知多厚生病院外科),久保正二* 李 栄柱**(大阪市立大学大学院*肝胆膵外科学 **消化器外科学),寺倉政伸・福原研一朗(市立藤 井寺市民病院外科),小林康人(和歌山ろうさい病 院外科),山上裕機・廣野誠子(和歌山県立医科大 学第二外科),竹末芳生(兵庫医科大学感染制御 学),藤原俊義・篠浦 先(岡山大学大学院医歯薬 学総合研究科消化器外科学),木村秀幸(岡山済生 会総合病院外科),岩垣博巳・德永尚之(独立行政 法人国立病院機構福山医療センター外科),末田 泰二郎・檜山英三・村上義昭・大毛宏喜・上村健 一郎(広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生 命科学部門外科学),津村裕昭・金廣哲也(広島市 立舟入市民病院外科),竹内仁司・田中屋宏爾(独 立行政法人国立病院機構岩国医療センター外科) 本研究は,武田薬品工業株式会社の支援のもと に実施した。 利益相反自己申告 著者 品川長夫は武田薬品工業株式会社から資 金提供を受けている。著者 岩 充博は武田薬品 工業株式会社の社員である。

文 献

1)由良二郎,品川長夫,石川 周,他:外科感 染症分離菌及び感受性調査(第1報)。Jpn. J. Antibiotics 39: 25572578, 1986 2)由良二郎,品川長夫,石川 周,他:外科感 染症分離菌の様相と薬剤感受性の動向(第2 報)。Jpn. J. Antibiotics 41: 361389, 1988 3)品川長夫,由良二郎,石川 周,他:穿孔性 腹膜炎よりの分離菌とその薬剤感受性。日本 化学療法学会雑誌37: 731743, 1989 4)品川長夫,由良二郎,石川 周,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―特にメチシリ ン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)について―。 日本外科感染症研究2: 232240, 1990 5)品川長夫,由良二郎,石川 周,他:外科感 染症分離の嫌気性菌について。日本外科感染 症研究3: 103108, 1991

(35)

6)真下啓二,品川長夫,由良二郎,他:外科感 染症分離の緑膿菌とその薬剤感受性。日本外 科感染症研究4: 4349, 1992 7)真下啓二,品川長夫,由良二郎,他:術後感 染より分離したMRSAについて。日本外科感 染症研究5: 105111, 1993 8)品川長夫,由良二郎,石川 周,他:消化器 外科術後感染分離菌とその薬剤感受性の変 遷。Jpn. J. Antibiotics 47: 493501, 1994 9)品川長夫,水野 章,真下啓二,他:急性化 膿性腹膜炎よりの分離菌とその薬剤感受性に ついて。Jpn. J. Antibiotics 47: 13291343, 1994 10)品川長夫,水野 章,真下啓二,他:外科感 染症分離の嫌気性菌について。日本嫌気性菌 感染症研究24: 4045, 1995 11)品川長夫,由良二郎,真辺忠夫,他:外科感 染症におけるEscherichia coliの分離頻度と薬 剤感受性の変遷。Jpn. J. Antibiotics 49: 456 464, 1996 12)品川長夫,由良二郎,真辺忠夫,他:外科感 染症におけるPseudomonas aeruginosaの分離 頻度と薬剤感受性の変遷。Jpn. J. Antibiotics 49: 544554, 1996 13)品川長夫,平田公一,傳野隆一,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―1994年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 49: 849891, 1996 14)品川長夫,小出 肇,平田公一,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―1995年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 50: 143177, 1997 15)真下啓二,品川長夫,平田公一,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―1996年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 52: 398430, 1999 16)品川長夫,真下啓二,山本俊信,他:外科感

染症分離のBacteroides fragilis groupとその薬

剤感受性。日本嫌気性菌感染症研究28: 48 54, 1998 17)品川長夫,真下啓二,山本俊信,他:外科感 染症分離の嫌気性菌とその薬剤感受性。日本 嫌気性菌感染症研究29: 104111, 1999 18)真下啓二,品川長夫,山本俊信,他:外科領 域感染症から分離された嫌気性菌の薬剤耐性 菌の動向。日本嫌気性菌感染症研究30: 36 43, 2000 19)品川長夫,真下啓二,山本俊信,他:外科感 染症から分離された嫌気性菌の動向。日本嫌 気性菌感染症研究30: 141147, 2000 20)真下啓二,品川長夫,平田公一,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―1997年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 53: 533565, 2000 21)真下啓二,品川長夫,平田公一,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―1998年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 54: 497531, 2001 22)品川長夫,真下啓二,真辺忠夫,他:外科領 域感染症分離の嫌気性菌とその薬剤感受性。 日本嫌気性菌感染症研究32: 94102, 2002 23)真下啓二,品川長夫,平田公一,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―1999年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 55: 697729, 2002 24)品川長夫,平田公一,向谷充宏,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2000年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 55: 730763, 2002 25)品川長夫,平田公一,桂巻 正,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2001年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 56: 105137, 2003 26)品川長夫,平田公一,桂巻 正,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2002年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 57: 3369, 2004 27)品川長夫,平田公一,桂巻 正,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2003年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 58: 123158, 2005 28)品川長夫,平田公一,桂巻 正,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2004年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 59: 72116, 2006 29)品川長夫,水野 勇,平田公一,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2005年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 60: 5997, 2007 30)品川長夫,由良二郎,竹山廣光,他:外科感 染症分離のClostridium spp.とその薬剤感受 性。Jpn. J. Antibiotics 60: 171180, 2007 31)品川長夫,平田公一,桂巻 正,他:外科感

(36)

染症分離菌とその薬剤感受性―2006年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 61: 122171, 2008 32)品川長夫,長谷川正光,平田公一,他:外科 感染症分離菌とその薬剤感受性―2007年度分 離菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 62: 277 338, 2009 33)品川長夫,長谷川正光,平田公一,他:外科 感染症分離菌とその薬剤感受性―2008年度分 離菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 63: 105 170, 2010 34)品川長夫,平田公一,古畑智久,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2009年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 64: 125169, 2011 35)品川長夫,平田公一,古畑智久,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2010年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 67: 293333, 2014 36)品川長夫,平田公一,古畑智久,他:外科感 染症分離菌とその薬剤感受性―2011年度分離 菌を中心に―。Jpn. J. Antibiotics 67: 339383, 2014 37)品川長夫,由良二郎,竹山廣光,他:外科感 染 症 分 離 のBilophila wadsworthiaJpn. J. Antibiotics 59: 452458, 2006 38)品川長夫:臨床的に重要な菌種とその要約。 品川長夫著,外科医のための抗菌薬療法。医 薬ジャーナル社,大阪,pp. 518529, 2011 39)吉田 勇,山口高広,工藤礼子,他:各種抗 菌薬に対する2008年臨床分離好気性グラム陽 性球菌および嫌気性菌の感受性サーベイラン ス。Jpn. J. Antibiotics 65: 4972, 2012 40)山口惠三,大野 章,石井良和,他:2010 に全国72施設の臨床材料から分離された 12,866株の各種抗菌薬に対する感受性サーベ イランス。Jpn. J. Antibiotics 65: 181206, 2012 41 NIKI, Y.; H. HANAKI, T. MATSUMOTO, et al.:

Nationwide surveillance of bacterial respiratory pathogens conducted by the Japanese Society of Chemotherapy in 2007: general view of the pathogens antibacterial susceptibility. J. Infect. Chemother. 15: 156167, 2009 42)吉 田  勇,山 口 高 広,工 藤 礼 子,他:各 種 抗菌薬に対する2008年臨床分離好気性グラム 陰 性 菌 の 感 受 性 サ ー ベ イ ラ ン ス。Jpn. J. Antibiotics 65: 7396, 2012 43)小林芳夫,墨谷祐子,猪瀬里香,他:2010 に分離された血液由来菌に対するmeropenem の抗菌力。Jpn. J. Antibiotics 64: 355366, 2011

Bacteria isolated from surgical infections and its susceptibilities

to antimicrobial agents

—Special references to bacteria isolated

between July 1982 and March 2012—

N

AGAO

S

HINAGAWA

Tokyo Healthcare University and Postgraduate School, Infection Prevention

and Control Science

M

ITSUHIRO

I

WASAKI

Post Marketing Surveillance,

Pharmacovigilance Department Pharmaceutical Development Division

Takeda Pharmaceutical Company Limited

(37)

This is an integrated summary of the results obtained from a 3-decade multicenter study on

bacteria isolated from surgical infections in Japan between July 1982 and March 2012.

During the 3-decade study, 11,196 strains were isolated from 4,787 patients consisting of

2,132 patients with primary infection and 2,655 patients with surgical site infection. Almost half

of the primary infection was peritonitis, which accounted for 42.3%–55.5%. In contrast, most of

the surgical site infection was wound infection, which accounted for 49.3%–66.1%. The most

commonly isolated bacteria throughout three decades were Escherichia coli

(1,164 strains)

,

Enterococcus faecalis

(842)

, Staphylococcus aureus

(833)

, Pseudomonas aeruginosa

(706)

,

Bacteroides fragilis

(705)

, Klebsiella pneumoniae

(498)

, Enterobacter cloacae

(391)

and

coagulase-negative staphylococci

(CNS)(325)

.

Overall, S. aureus and CNS had sensitivity for vancomycin, whose MIC

90

s were 0.78 to

3.13 μg/mL; E. faecalis had sensitivity for vancomycin and imipenem, whose MIC

90

s were

0.78∼4 μg/mL; E coli, E. cloacae, K. pneumoniae, and B. fragilis had preferable sensitivity for

imipenem. No antibacterial agents had a long-term good activity

e.g. MIC

90<2 μg/mL)

for P.

aeruginosa and Bilophila wadsworthia. Among antibacterial agents tested, ciprofloxacin had

most bactericidal activity for P. aeruginosa; its MIC

90

varied from 0.5 to 8 μg/mL. The MIC

90

s of

all antibacterial agents tested except levofloxacin and minocycline were at least 128 μg/mL for B.

wadsworthia.

S. aureus accounted for approximately 20% to 60% of bacteria isolated after clean operation.

Overall, at least 55% of the bacteria isolated after clean operation consisted of S. aureus, CNS, E.

faecalis, E. coli, E. cloacae, K. pneumoniae, P. aeruginosa, B. fragilis, and B. wadsworthia

throughout three decades. However, the percentage of other Gram-positive and negative bacteria

increased with the worse of sterile condition in surgical operation.

E. faecalis tended to be most commonly isolated from patients having host-compromised

factors including carcinoma, diabetes, anticancer agents, steroids, immunosuppressants, and

radiation, while E. coli was commonly isolated from patients having no such factors.

Two-drug-resistant P. aeruginosa was first isolated in 1987, thereafter was frequently

isolated, and reached 69 strains for 30 years. Three-drug-resistant P. aeruginosa was isolated in

1990, 1996, and 1998 to reach 5 strains, but not isolated in remaining 13 years.

Methicillin-resistant S. aureus was highly frequently isolated between 1988 and 1991.

Subsequently, the isolation frequency declined, sometimes increased in 1998, 2005, and 2006,

and thereafter maintained lower levels by 2011.

Fig. 1. 症例数と分離細菌株数の推移
Table 3. Staphylococcus aureusに対する年度別抗菌力
Table 6. Escherichia coli に対する年度別抗菌力
Table 7. Enterobacter cloacae に対する年度別抗菌力
+7

参照

関連したドキュメント

5) The Japanese Respiratory Society Guidelines for the management of respiratory tract infection. The Japanese Respiratory Society.. A prediction rule to identify low- risk

In the present study, we investigated the prevalence of HPV infection and HPV types in the oropharynx (oral cavity) and urine of male Japanese patients who attended a

The objectives of this study were to evaluate the formation of lymphvascular niches in lymph nodes of patients with oral squamous cell carcinoma (OSCC), and investigate the roles

Methods: IgG and IgM anti-cardiolipin antibodies (aCL), IgG anti-cardiolipin-β 2 glycoprotein I complex antibody (aCL/β 2 GPI), and IgG anti-phosphatidylserine-prothrombin complex

We measured blood levels of adiponectin in SeP knockout mice fed a high sucrose, high fat diet to examine whether SeP was related to the development of hypoadiponectinemia induced

Keywords : Antibacterial agent, Bactericidal or bacteriostatic actions, Metal ion, Ribosome, Enzyme and protein, APT production, Reactive oxygen species, Free radicals, Primary site

宮崎県立宮崎病院 内科(感染症内科・感染管理科)山中 篤志

「A 生活を支えるための感染対策」とその下の「チェックテスト」が一つのセットになってい ます。まず、「