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〈原著〉マウス急性膵炎進展におけるα2アンチプラスミンノックアウトの効果

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Academic year: 2021

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(1)*近畿大医誌側. J山. 1 2 9. マウス急性勝炎進展における α2アンチプラス ミンノックアウトの効果 里井俊平 近畿大学医学部外科学教室. 抄 録 急性解炎発症後の壊死病変の成立と進展機序には様々な因子が関与している.最近の研究では,豚壊死は活性化 枠酵素による勝の融解壊死ではなく,豚微小循環障害,虚血・再潅流障害,好中球浸潤と好中球エラスターゼ、や活 性酸素による障害などと考えられている.なかでも醇微小循環障害の修飾因子として凝固・線溶系の関与が予想さ れている.そこで, α2アンチプラスミン遺伝子欠損 (α2-AP+)マウスを用い,勝壊死と血管内皮細胞障害の程 度を検討した.その結果,a2-AP 一/ーによりプラスミン活性が充進すると,豚腺房細胞は壊死からの修復が促進され, その機序のーっとして,プラスミンが血管内皮増殖因子 ( v a s c u l a re n d o t h e l i a lgrowthf a c t o r :VEGF) を誘導 することにより血管新生を促進し,血管内皮細胞が修復され,勝微小循環が回復した為と考えられた.しかし, VEGF受容体を阻害しても,壊死面積は変わらなかったことから,プラスミンによる微小血栓溶解や障害された細 胞外基質の除去などの作用で,組織再構築がなされたことが示唆される.. Keywords:a c u t en e c r o t i z i n gp a n c r e a t i t i s,c a e r u l e i n i n d u c e dp a n c r e a t i t i s,α 2 a n t i p l a s m i n d e f i c i e n tm i c e, r e e n d o t h e l i a l i z a t i o n. 緒. 雪量 E司. 急性醇炎において凝固・線溶系異常が重症化に大. 急性醇炎の病態進展における凝固線溶系の関与に ついては, Yamanelらが活性化 p r o t e i nC は急性壊 死性醇炎において醇組織の重症度・血清炎症マーカ. きく関与していることはよく知られている急性醇. ーを改善すると報告している 10 さらに, Lugeaらは. 炎発症後の醇壊死病変の進展に微小循環動態が影響. plasminogen/plasmin欠損マウスに c a e r u l e i n捧炎. することが示唆されており 2ヘ 醇 局 所 に お け る 微 小. を惹起した場合,間質の萎縮や繊維化のような慢性. 循環の修飾因子として凝固・線溶系の関与が予想さ. 醇炎に見られる所見が誘導されたと報告してい る11. れる.さらに全身性の変化として,重症急性梓炎で は,各種メディエーターが血管透過性充進や過凝固 から,しばしば播種性血管内凝固症候群を合併する ことが知られている.. 一方,線溶充進モデルとして α2-AP遺伝子欠損 (α2-AP+) マウスを用いた様々な研究が報告され 一/ーマウスは線溶活性が充進してい ている .α2-AP. 線溶系は,プラスミンを中心として血管内で生じ. るモデルであるが,顕著な出血傾向は示さず 12 出. たフィプリンを溶解し, α2アンチプラスミン ( α2-. 産,成長,健康状態とも正常でトある.さらに,血管. AP)のような阻害因子によって制御され,血液の流. v a s c u l a re n d o t h e l i a l growth f a c 内皮増殖因子 (. 動性のバランスを維持する .α2-APは主に肝臓で. x t r a c e l l u l a rmatrix (ECM) に捕 t o r:VEGF) は e. 合成され,プラスミンやプラスミノーゲンと結合す. 捉されプラスミンにより切断され活性化を受けるこ. ることにより,これらのフィプリンとの結合を阻害. -AP-r マウス とが知られている 13 Kannoらは α2. するべまた,線溶系は排卵・血管新生・アテローム. で皮膚創傷部位において VEGFの過剰発現が起こ. 性動脈硬化・腫蕩の浸潤・転移などの様々な現象に. り,周囲の血管新生を誘導し創閉鎖を活性化するこ. 関与していると報告されている 6-9. とを示し 14 Matsunoらは α2 A P r マウスの血管. 大阪府大阪狭山市大野東3 7 7 2( 干5 8 9 8 5 1 1 ) 受 付 平 成2 0年 8月2 9日 , 受 理 平 成2 0年 1 2月1 9日.

(2) 1 3 0. 里井俊平. 内皮細胞傷害モデルで,プラスミンが傷害部位周囲. ス 1匹につき無作為に 3か所選択し,梓腺房細胞の. の ECMや血管平滑筋に接着している VEGFを活. 細胞質が退色し,核が凝集していれば,壊死と判断. 性化し, VEGF受容体 ( f m s 1 i k et y r o s i n ek i n a s e:. した.醇腺房細胞組織全体に対する醇腺房細胞壊死. F 1 t 1 )を介して r e e n d o t h e 1 i a 1 i z a t i o nを進行すると. ro5 . 0を用い の割合を面積計算ソフト SigmascanP. 報告している 15. て計測した.. これらの報告をもとに,我々は急性醇炎において. 醇組織のアポトーシスは t e r m i n a 1 deoxynu・. 仮定した.この仮定を証明するため, α2-AP-' 群及. c l e o t i d yt r a n s f e r a s e (TdT)-mediated dUTP b i o t i nn i c kend1abe1ing(TUNEL)法を f 子 い , Apop Tag@P e r o x i d a s eI ns i t uA p o p t o s i sD e t e c t i o nK i t. e も,プラスミンの活性化は, VEGFを介して r e n d o t h e l i a l i z a t i o nを促進し組織修復に寄与すると びその野生型マウス ( α 2-AP+I+群)に c a e r u 1 e i n醇. を用いて計測した.そのプロトコールを簡潔に以下. 炎 16 を誘導し,勝壊死と血管内皮細胞障害の程度を. に述べる.ホルマリン固定後ノ fラフィン包埋し, 4ぃ. 比較検討した.. m 厚にスライスした醇組織は,脱パラフィンし脱水 後プロテナーゼ、 Kで処理した. 3.0%過酸化水素/ PBSで内因性ペルオキシダーゼを除去し, e q u i 1 i b r a t i o nb u f f e r次に TdTenzymeを添加し 1時間 u f f e rで撹拝・ 1 0 インキュベートした. Stop/washb. 方 法 実験動物 8週齢,. 24~28. gの α2-AP-1 マ ウ ス 及 び α2-. AP+I+マウスを用いた.動物実験は動物の愛護及び. 分間インキュペートし,抗ジゴキシゲ、ニン結合抗体. 管理に関する法律,基本指針に基づいて作成された. を添加した.PBSで洗浄しペルオキシダーゼ、基質で. 近畿大学医学部動物実験規定に準じて行った.. 5分開発色させた.蒸留水で洗浄後,メチルグ?リー. 使用薬剤. ンで対比染色した.. a e r u 1 e i nは 使用した薬剤について以下に述べる.c Sigma社 ( S t .L o u i s, Mo, USA) から, r a b b i t anti-humanvonWillbrandF a c t o rp o 1 y c l o n a 1a n t i e r o x i d a s eI nS i t uApoptosis bodyと ApopTag@P Detection K i tは CHMICON i n t e r n a t i o n a 1社 (Temecu1a,CA,USA) から購入したものを使用し た. a n t i m o u s e VEGF a n t i b o d yと a n t i m o u s e VEGF R1 ( F 1 t -1 ) a n t i b o d yは R&D s y s t e m s社 ( M i n n e a p o l i s, M N, USA) から,抗体希釈液は DAKO社 ( G 1 o s t r u p,Denmark) から購入したもの. von羽T i l l e b 1 a n dF a c t o r (vWF) 及び VEGFの免 疫染色は DAKO社のプロトコールに従って行っ た.すなわち,ホルマリン固定後パラフィン包埋し, 4ぃ m 厚にスライスした梓組織を,脱ノ fラフィンし 脱水後,抗原賦活化し 3.0%過酸化水素/メタノール でブロッキングした.洗浄後,抗体希釈液で b i o t i n ラベルの一次抗体 ( r a b b i t anti-human von W i l l :1 0 0 0もしく brandF a c t o rp o 1 y c l o n a 1a n t i b o d y,1. n t i m o u s eVEGFa n t i b o d y, 1 5同 /ml)を希釈 はa 2時間インキュベートした. H R P s t r e p t a v i di n し , 1. を使用した.. を標識した二次抗体を添加後 1時間インキュベート. 急性騨炎の作成. i a m i n o b e n z i d i n e(DAB)で発色させた.蒸留 し , d. α2-AP-1 群及び α2-AP+I+群に c a e r u 1 e i n(1回 投与量5 0阿 /kgを生理食塩水0 . 2 5m1で溶解)を 1. ematoxy1inで対比染色した. 水で洗浄後, h P1asminogena c t i v a t o r活性の測定. 時間間隔に 7回腹腔内投与し c a e r u 1 e i n梓炎を惹起. 液体窒素固定した惇組織をサンプルパップアー. した.対照群には生理食塩水0 . 2 5m1を同様に投与. 犠牲死させ,迅速に下大静脈からの採血と勝臓摘出. ( 1 5 0m MNa C 1, 1% T r i t o nX1 0 0,0.1%SDS, 0.5%sodiumd e o x y c h o 1 a t e, 0.2%sodiuma z i d eを 含む1 0m Msodiump h o s p h a t eb u f f e r,pH7 . 2 )中 ですり潰し, 1 3, 0 0 0rpm・2 0分間の遠心分離後上清 1 e c t r o p h o r e t i c e n を抽出液とした.これを用い e zymographyを行い p1asminogena c t i v a t o r活性を. を行った.血清アミラーゼ値とリパーゼ、値の測定を. 測定した以 18 プロトコールを簡潔に以下に述べる.. 行った.醇臓は摘出後すぐに 2分割し,ホルマリン. 1 . 5M T r i s -HC1b u f f e r (pH8 . 8 ) :3 . 7 5m1,蒸留 水 :5 . 4m1,b o v i n ep 1 a s m i n o g e n r i c hf i b r i n o g e n: 8mg,30%acry1amide+1% bisacry1amide:5 m1,thrombin( 10NIHu/m l ) :8 11 11 ,10%SDS: 1 5 01 11 ,N, N,N', N ' t e t r a m e t h y 1 e t h y 1 e n e d i a m i n e (TEMED):1 51 11 ,10%ammonium peroxydisu1-. した.マウスは両群各時間で無作為に 5~6 匹に分. けられ,最初の c a e r u 1 e i n投与から 8・1 2・2 4時間経 過した時に, s odiump e n t o b a r b i t a 1( 5 0mg/ml)を. 1 0倍希釈し 0 . 2 5m1を腹腔内投与による全身麻酔後. 固定もしくは液体窒素で凍結し. 8 0Cで保存した. 0. 組織学的検討 ホルマリン固定された醇組織をパラフィン包埋 l m 厚にスライスし hematoxy1in and e o s i n し , 41 (HE)染色した.光学顕微鏡下(倍率 1 0 0倍)でマウ.

(3) 1 3 1. 急性勝炎進展と線溶系. f a t e(APS) :1 5 0ぃ lをよく混ぜて s eparationgelを. 1 .2ml,蒸 留 水 :4.78ml , 10%SDS:8 2~ l ,. 5M Tris-HClb u f f er (pH8 . 8 ): 作製した .次に, 0.. TEMED:1 6. 5~l , 1 0% APS:5 5~l をよく混ぜ て. 2. 0 6ml ,30%acrylamide+1% bisacrylamide:. s t a c k inggelを作製し s ep a r a t i o ngelに重層した. ritonX-1 0 0で 1時間洗 電気泳動後,ゲルを 2.5%T. α2 ・ Ap / . 群. α2-AP+ / + 群. . 1M gl yci ne-NaOH b u f f e r (pH8 . 4 )で 浄し, 0. 3TC・ 1 2 時間インキュベー トし た. ゲルは Coomas. c e t i ca c i dで脱色 s i eb r ili a n tbl ueで染色し , 7% a して , フィプリン溶解域を可視化した .溶解域は. Lumino lmagi n g Analyzer LAS-1 0 0 0 pl us (Toyobo,Osaka,]apan) で測定した . l t 1抗体投与の効果 抗 F α2-AP1群に VEGF受容体の抗体である抗 Fl t 1抗 体 ( 2 5いg per body ) を全身麻酔下 ( s o dium p e n t o b a r b i t a lを1 0倍希釈し, 0.15mlを 腹 腔 内 投 与)に陰茎静脈から注射後,前述した通り caer u le in 梓炎を誘導し , 2 4時間後に犠牲死させ,同様の方法 で血清アミラ ーゼ値及び豚腺房細胞の壊死面積割合 を測定した.. 統計処理 結 果 は mean: tSD 示 し. ∞ ∞. 4. 図 1 a2-AP 一 / 群 お よ び α2-AP+ I +群の c a e r . u J e i n勝炎作成後 8・1 2・2 4時間後における停 の HE像. (HE染色, 1 0 0倍). .A. 3 5 0 0 0. 2群 聞 の 比 較 は. *. = : ! 3∞0 0. コ 、~. 2 5 0 0 0. 中. 2. 恒l. ∞0 0. l k1 5 0 0 0 20. ∞0 0 省 5 0 ∞ l 入 制E. ) ポ (. 1. 40 高 1 5. 8. 1 2 時間 ( h). 2 4. 8. 1 2 時間 ( h ). 2 4. 拠 阻 ~. ∞o rB. 9. 幅 司 『将. 8 0 0 0. 型 1 0 事. _1. 百た女. 盤 世. コ 、 、 J : 、 7 0 0 0. 6 0 0 0. 凪 │. m∞ 早 朝 ∞ よ 3 ∞o 、 ‘ = 、 m∞. 坦. 5. 制堅 直 1 0 0 0. 。. 01. 8. 12. 24. 時間 ( h ) 図 2 α2-AP ー ト 群 お よ び α2-AP+ I +群の c a e r .. uJ e i n勝炎作成後 8・1 2・2 4時間後における醇 API -群, 腺房細胞壊死面積比率.・ :α2口 :a2-AP+ I +群,( 市 二0 . 0 8 )( * 場 p<O. O Ol ). I +群の c a e r . I群 お よ び α2-AP+ 図 3 α2-APu J e i n醇炎作成後 8・1 2・2 4時間後における血 清アミラーゼ値 ,血清 リパーゼ値( B ).・ : α2-API 群,口 :α2-AP+ I +群, ( * p< 村 p<0. 0 5 ) 0. 0 0 1) (. ω.

(4) 1 3 2. 里井俊平. Student' stt e s tを行った . P<0.05を有意差ありと. ゼ、値は 1 2時間後で最高値に達した .血清リパーゼ値. した. も,両群ともに血清アミラーゼ値と同様の経過を示. . し た (図 3). 結 果. TUNEL染色で検出 されるアポ トーシスは,両群. 両群の典型的な棒組織 HE染色を図 1に示す.勝 腺房細胞壊死の面積割合において, α 2 ~ AP + I + 群に比べ caerulein. とも勝全体に分布し,壊死部分への偏在は認めなか. α 2~AP ~1 群は. 解炎誘導 8時間後で. 早く始まる 傾向にあったが ( p二 0 . 0 8 ), 24時間後で l )( 図 2). 有意に減少していた (p<O.OO 壊死面積の結果を反映するように,. α 2 ~ AP ~1 群. では血清アミラーゼ値は, c a e r u l ei n騨炎誘導 8時間 後で早くも最高値に達し ,. α 2 ~ AP+I+ 群に 比 べて有. 意に増加していたが (p<O.OOl),その後直線的に低 下し, 24時間後では有意に低下していた ( p<0.05) . これとは対照的に,. α 2 ~ AP + I + 群では血清アミラー. A. え ,. . J . ぅ. ρ , . . 図4. α 2 ~ AP ~1. 群における cae rul e in 勝炎作成後. 1 2時 間 後 の 典 型 的 な TUNEL染 色 像. (TUNEL染色,100倍). 図5. α 2 ~ AP ~1. B. 群および α 2 ~ AP + I +群 における. c a e r ul e i n勝炎作成後2 4時間後の vWF発現. A:α 2~AP ~ 1 一 群 , B. 図6. α 2 ~ AP +I+ 群 ,. ( 2 00 倍). α 2 ~ AP -1 一 群および α 2 ~ AP +I+ 群. における c a e r u l ei n醇炎作成後 24 時間後の VEGF発現.A,B α 2 -API 群, c α 2~ AP+ I +群, ( 2 0 0倍).

(5) 急性解炎進展と線溶系. ( J B一 } 坦 'p│小川ト慎吾. A. . .. 1 3 3. A. ∞o. 8. 「一一*ーI. 7 田口. ∞o 5 ∞o 4∞ o 6. 3 曲 。. 2 叩O. ∞o. 1. α 2 A P+ I +群. 。 2 A p I -群. α 2 A P 1 群 +抗F~-1 抗体. 3. 4. 5. 6. 7. B 8. 1 4 1 2 1 0. c コ﹄﹂何﹂日一D﹂ ︿ ) 割問︿門主. ( 日 一. 。 2 A P + I +群. 7. α 2 A P 1 -群. α 2 A PI 群 +抗F l t 1抗体. 6. 1群に対する抗 F l t-l 抗体静脈内投 図 8 α2-APc a e r ul e i n解炎誘導 2 4時間後の ( A ) 血 与の効果. 清アミラーゼ値い p<O . O O l ),(防醇腺房細胞. 5 4. 壊死の面積割合. 3. enzymographyで測定し ,t-PAを同定した .α2-. 2. API 群において, cae r u l e i n醇炎誘導 8時間後の t. 。. 加していた(図7).. I +群に比べて有意 ( p< 0 . 0 01)に増 PAは α2-A P+. α2-AP1 ー 群 図7. (さ畑一両梅岡ぽ勝型車肱盤鑑. 2. B. α2-AP+I + 群. 。. 2-API群および α2-AP+ J+ 群における caeru lei n勝 炎 作 成 後 8時 間 後 の pl ase c t r o p h o r. minogen a c ti v a t o r活性.A:el PA の部位, 1: e ti ce nz ymography ( ~ :t 4:α 2 -AP-1群,5 -7:α2 t PA c o n t r o l,2AP+ I +群 ) , B:t -PA活性 ( p<O . O O l l( t PAc o n t r o lはヒ卜由来). α2-AP一 / 一 群 に 抗 Fl t -1抗体を静脈投与したモデ. ルでは,非投与群に比べ,caer u l e i n惇炎誘導 2 4時間 後の血清アミラーゼ値は有意に増加していたが (p<O.OOl),解腺房細胞壊死の面積割合は変化しな. かった(図. 8 ) . 考. 察. 急性勝炎を増悪させる因子の 1つとして ,梓炎の った(図 4) .. 発症に伴って早期から起こる微小循環障害が考えら. 8時間後および 12時間後. れている.騨における虚血・再潅流障害が活性酸素. で両群とも vWFの発現はなか ったが, 24時間後の. を産生し,血管内皮細胞障害,好中球の誘導・接着. vWFの免疫染色では. α2-AP1 群においてのみ小葉 内にまで vWFの発. 現がみられた(図. 5 ) .. が惹起されるとされている 19 急性解炎における血 管内皮細胞障害の機序については多くの報告がある. VEGFの免疫染色も同様に, 8時間後および 1 2時. が,血管内皮細胞の修復機序に関する報告はない.. 間後で両群とも VEGFの発現はなかったが,24時間. 今回の研究で,我々はマウスの caerul e in急性解炎. 後 の α2-AP-I群 に お い て の み 小 葉 内 に ま で. において ,牌組織が回復する変化はアポトーシスで. VEGFの発現がみられた(図 6) . plasminogen activat o r活 性 は el ectroph o r e t i c. は な し ま た ,α2-AP欠損は醇微小循環障害による 血管内皮の修復を促進し,醇腺房細胞壊死からの再.

(6) 1 3 4. 里井俊平. 構築を促進することを示した.以下にこの現象の発. 第二に,席末梢循環における微小血栓の影響を考. 現機構につき考察する.. える必要がある.循環障害や過凝固に起因した微小. 醇腺房細胞壊死の進展と梓酵素の逸脱は, α2AP-/ 群は α2-AP+/+群に比べ, c a e r u l e i n醇炎誘導 8時間後で増加していた.プラスミンの活性化は実. 血栓は,重症急性牌炎における醇の虚血や壊死を引. 験急性梓炎だけでなくへヒトにおける急性梓炎で. く,醇虚血が減弱した可能性がある.. も報告されている 21. ヘα2-AP-'一群で. き起こすことが知られているが2. は線溶現象が充進しており,微小血栓が形成され難. また,棒組織中の t-PAと u -. PAの増加はこの研究の比較モデルであるプラスミ a e r u l e i n醇炎モデル ノーゲン遺伝子欠損マウスの c においても報告されている 11 Enzymographyの結 果で示したように,惇組織中の t-PAは α 2-AP-/ 群において 8時間後で有意に増加していた.従って, 醇炎発症後早期に増加した t-PAによりさらにプラ スミンが活性化されると考えられる. t-PA活性が 増強した理由は明らかではないが, c a e r u l e i nの刺激. 今回の研究で, VEGF受容体を匝害することによ り醇腺房細胞壊死の回復が抑制されるかどうかの検 証を, c a e r u l e i n惇炎誘導 2 4時間後の α2-AP-' 群で 行った. VEGF受容体を阻害すると,血清アミラ一 ゼ. た.急性醇炎における腺房細胞障害過程では,腺房 細胞からの酵素逸脱が腺房細胞壊死に先行すると考 えられる. VEGF受容体の阻害では,壊死部分以外 の腺房細胞障害を助長し,酵素逸脱は促進するもの. によりトリプシノーゲンを含む梓酵素の活性化が目撃. の,壊死範囲の拡大にまでは至らなかったものと考. 組織で起こり, α2-AP欠損により蛋自分解酵素で. えられる.壊死範囲の拡大のためには, VEGF受容. もあるプラスミンの活性増強が,早期の急性醇炎お. 体を血害するだけでなく,プラスミン活性そのもの. よび牌腺房細胞壊死をさらに促進したと考えられ. をも阻害することが必要であった可能性もある.. る.. c a e r u l e i n棒炎誘導 1 2時間後で, α2-AP+/+群にお. Yamanelらは,凝固系を阻害し線溶系を促進する ことで知られている活性化 p r o t e i nCは急性壊死性. いては血清勝酵素の増加と醇腺房細胞壊死の進展は. 醇炎において,醇組織の重症度,炎症度合い,血清. 2-AP-'一群は同時期にす 最高値に達し,対照的に α. 炎症マーカーを改善したと報告しているが 10 これ. でに低下していた.さらに 2 4時間後では, α2-AP-/. は,線溶系は急性醇炎における組織学的変化を回復. 群は α 2-AP+'+群に比べ明らかに血清醇酵素が低下. するという仮定を支持するものである.一方,現在. し,醇腺房細胞壊死が減少していた.これらの結果. 日本では g abexatem e s i l a t eのような蛋自分解酵素. から, α2-AP欠損により醇腺房細胞壊死からの修. 阻害薬が臨床使用され,急性醇炎の予後を改善する. 復が促進されたと考えることができる.この現象の. とされている 24 また,同様の蛋白分解酵素血害薬で. 理由として. 2つの可能性がある.. a e r u l e i n梓炎誘導 2 4時間後の α2-AP-/一 第一に, c. a f a m o s t a tm e s i l a t eや抗菌薬の醇局所動注療 ある n 法は感染性梓壊死の進展を防ぎ,壊死性醇炎の臨床. 群のみに, vWFと VEGFが免疫染色で発現した.. 予後を改善すると報告されている 2口 蛋 自 分 解 酵. vWFは血管内皮細胞障害の有無を, VEGFは血管 新生した内皮細胞を検出できることから, VEGFが 障害醇の r e e n d o t h e l i a l i z a t i o nを促進した可能性 atsunoらは α2-AP-/-マウスにおける血 がある.M 管内皮細胞障害後の動脈血流は α 2-AP+/+群に比べ. 素阻害薬はアンチプラスミン活性を含めた a n t i -. 維持されたままであり,また,持続的に活性化され. p r o t e a s e活性に対し幅広いスペクトラムを持って いることを考慮すると,急性醇炎の初期治療として の抗凝固療法の可能性を示唆する結果と考えられ た. 今回の検討により , a2-AP遺伝子欠損マウスに. て い る プ ラ ス ミ ン に よ る 局 所 VEGFの o v e r e e n d o t h e l i a l i z at i o nを促 r e l e a s eが血管障害後の r. おける c a e r u l e i n急性梓炎で,プラスミンの活性化. 進すると報告している 15 また,急性惇炎において血. 組織修復に寄与すると示唆された.. 清 VEGFは 増 加 し , 実 験 重 症 急 性 醇 炎 で r e c o m -. b i n a n tVEGFを静脈投与した場合,肝不全・腎不全 を改善し,回腸の微小循環を維持することによりバ クテリアルトランスロケーションを防ぐことが知ら れている 22ベこれらの傍証から, α2-AP欠損によ り VEGFがさらに活性化されたので, α 2-AP-/ 群 は梓腺房細胞壊死から早期に回復したと推察でき る.. は , VEGFを介して r e e n d o t h e l i a l i z a t i o nを促進し. 謝 辞. 稿を終えるにあたり,ご指導・後校閲をいただいた大柳治正 教授および松尾理教授に深甚なる謝意を表しますとともに, 終始直接ご指導とご助言をいただいた岡田清孝講師,ならび にご協力いただいた外科学教室,第2 生理学教室の各位に心か ら感謝いたします..

(7) 急性豚炎進展と線溶系. 文. 献. 1 . RadenkovicD,B a j e cD,KaramarkovicA,5 t e f a n o v i c B, M i l i cN, I g n j a t o v i c5, G r e g o r i cP,M i l i c e v i cM ( 2 0 0 4 ) D is o r d e r so fh e m o s t a s i sd u r i n gt h es u r g i c a l managemento fs e v e r en e c r o t i z i n gp a n c r e a t i t i s . P a n c r e a s2 9: 1 5 2 1 5 6 VollmarB ( 19 9 6 )I s c h e m i a 2 . MengerMD,BonkhoffH, r e p e r f u s i o n i n d u c e dp a n c r e a t i cm i c r o v a s c u l a ri n j u r y . Ani n t r a v i t a lf l u o r e s c e n c em i c r o s c o p i cs t u d yi nr a t s . DigD i s5 c i4 1:8 2 3 8 3 0 3 .C u t h b e r t s o nCM,C h r i s t o p h iC ( 2 0 0 6 )D i s t u r b a n c e so f t h em i c r o c i r c u l a t i o ni na c u t ep a n c r e a t i t i s . BrJ5urg9 3: 5 1 8 5 3 0 o l l e nD ( 19 9 5 )Genet a r g e t i n gandgene 4 .C a r m e l i e tP,C t r a n s f e rs t u d i e so ft h ep l a s m i n o g e n / p l a s m i ns y s t e m : e m o s t a s i s,n e o i n t i m af o r i m p l i c a t i o n si nt h r o m b o s i s,h 3 4 9 3 8 mation,anda t h e r o s c l e r o s i s . FasebJ9・9 o l l e nD ( 1 9 9 6 )Genem a n i p u l a t i o nand 5 .C a r m e l i e tP,C t r a n s f e ro ft h eplasminogenandc o a g u l a t i o ns y s t e mi n m i c e . 5eminThrombHemost2 2 :5 2 5 5 4 2 KC o l l e nD,GerardRD( 19 9 9 ) 6 . PrausM,Wauterickx, R e d u c t i o no ftumorc e l lm i g r a t i o nandm e t a s t a s i sby a d e n o v i r a lg e n et r a n s f e ro fplasminogena c t i v a t o ri n h i b i t o r s . GeneTher6 :2 2 7 2 3 6 2 0 0 4 ) The f u n c t i o n so f 7 . Plow EF,Hoover-PlowJ ( p l a s m i n o g e ni nc a r d i o v a s c u l a rd i s e a s e . Trends C a r d i o v a s cMed1 4 :1 8 0 1 8 6 8 .G u t i e r r e zL5,5chulmanA,B r i t o R o b i n s o nT,Noria l o p l i sVA, C a s t 巴l l i n oFJ( 2 0 0 0 )Tumordevelopment F,P i sr e t a r d e di nmicel a c k i n gt h egenef o ru r o k i n a s e t y p e l a s m i n o g e n p l a s m i n o g e na c t i v a t o ro ri t si n h i b i t o r,p .C a n c e rRes6 0 :5 8 3 9 5 8 4 7 a c t i v a t o ri n h i b i t o r -l ) R o l eo ft h e matrix m e t a l l o 9 . Pepper M5 ( 2 0 01 p r o t e i n a s eandplasminogena c t i v a t o r p l a s m i ns y s t e m s i na n g i o g e n e s i s . A r t e r i o s c l e rThrombVasc B i o l2 1 : 1 1 0 4 1 1 1 7 R ComertB,I s i kAT,Aydin5, 1 0 . YamanelL,MasM, MasN,D e v e c i5, OzyurtM, T a s c i1 , UnalT ( 2 0 0 5 )The e f f e c to fa c t i v a t e dp r o t e i n C on e x p e r i m e n t a la c u t e n e c r o t i z i n gp a n c r e a t i t i s .C r i tCare9 :1 8 4 1 9 0 e z e r r aJA,Gukovs1 1 . LugeaA,NanL,F r e n c h5W,B a n d o l5J( 2 0 0 6 )P a n c r e a sr e c o v e r yf o l l o w i n g kayaA5,P cerulein-induced p a n c r e a t i t i s i s impaired i n p l a s m i n o g e n d e f i c i e n tm i c e .G a s t r o e n t e r o l o g y1 3 1 :8 8 5 8 9 9 ij n e nHR, OkadaK,Matsuo0,C o l l e nD,Dewerchin 1 2 .L M( 1 9 9 9 )A l p h a 2 a n t i p l a s m i ngened e f i c i e n c yi nmicei s a s s o c i a t e dw i t henhancedf i b r i n o l y t i cp o t e n t i a lw i t h o u t o v e r tb l e e d i n g . Blood9 3 :2 2 7 4 2 2 8 1 e l l e rGA,F e r r a r aN ( 1 9 9 3 ) Thev a s c u l a r 1 3 . ParkJE,K e n d o t h e l i a lgrowthf a c t o r (VEGF) i s o f o r m s :d i f f e r e n t i a ld e p o s i t i o ni n t ot h es u b e p i t h e l i a le x t r a c e l l u l a r matrix andb i o a c. 1 3 5. ( 2 0 0 6 ) Lacko fa l p h a 2 a n t i p l a s m i ni m p r o v e sc u t a n e o u s woundh e a l i n gv i ao v e r r e l e a s e dv a s c u l a re n d o t h e l i a l growthf a c t o r i n d u c e da n g i o g e n e s i si nwoundl e s i o n s .J ThrombHaemost4 :1 6 0 2 1 6 1 0 1 5 . MatsunoH,I s h i s a k iA,NakajimaK,OkadaK,U巴 shima5,Matsuo0,Kozawa0 ( 2 0 0 3 )Lacko fa l p h a2 a n t i p l a s m i n promotes r e e n d o t h e l i a l i z a t i o nv i ao v e r r e l e a s eo fVEGFa f t e rv a s c u l a ri n j u r yi nm i c e . Blood 1 0 2 :3 6 2 1 3 6 2 8 e r r e l lLD,G r e n d e l lJH( 19 8 5 )C a e r u l e i n 1 6 . NiederauC,F i n d u c e da c u t en e c r o t i z i n gp a n c r e a t i t i si nmice:p r o t e c e n z o t r i p t,and s e c r e t i n . t i v ee f f e c t so fp r o g l u m i d e,b G a s t r o e n t e r o l o g y8 8 :1 1 9 2 1 2 0 4 1 7 . Matsuo0,BandoH,OkadaK,Nakajima5,Takagi 0,I z a k i 5,5akai5 ( 19 8 6 ) Plasminogena c t i v a t o ri n 3 5 0 b r o n c h o a l v e o l a rf l u i d . Haemostasis1 6・4 1 8 . MatsumotoH,Ueshima5,FukaoH,M i t s u iY,Mat19 9 6 )E f f e c t so fl i p o p o l y s a c c h a r i d e on t h e s u o0 ( e x p r e s s i o no ff i b r i n o l y t i cf a c t o r si nane s t a b l i s h e dc e l l l i n efromhumane n d o t h e l i a lc e l l s .L i f e5 c i5 9 :8 5 9 6 1 9 .K u s t e r e rK,PoschmannT,FriedemannA,Enghofer 19 9 3 )A r t e r i a lc o n s t r i c t i o n, M,Z e n d l e r5,U s a d e lKH ( i s c h e m i a r e p e r f u s i o n,andl e u k o c y t ea d h e r e n c ei na c u t e p a n c r e a t i t i s . AmJP h y s i o l2 6 5 :G 1 6 5 1 7 1 a s s o n A,Hage E ( 19 9 9 )P r o t e a s e s and 2 0 . Kruse P,L p r o t e a s e i n h i b i t o r s i nc e r u l e i n i n d u c e d a c u t e p a n c r e a t i t i si nr a t s . J5urgRes8 5 :2 9 4 3 0 0 1 .5 e g a l1 ,C h a l o n e rC,DouglasJ .JohnKD,Z a i d iA, 2 C o t t e rL, Appelros5, BorgstromA, BraganzaJM( 2 0 0 2 ) f r i c a :r e l a t i o n Acutep a n c r e a t i t i si n5oweto,50uthA s h i pbetweent r y p s i n o g e nl o a d,t r y p s i n o g e na c t i v a t i o n, andf i b r i n o l y s i s . AmJG a s t r o e n t e r o l9 7・8 8 3 8 8 9 2 2 . Ueda T,Takeyama Y,Yasuda T,Matsumura N, 2 0 0 6 ) Vasculare n 5awaH,NakajimaT,KurodaY ( d o t h e l i a lgrowthf a c t o ri n c r e a s e si nserumandp r o t e c t s a g a i n s tt h eorgani n j u r i e si ns e v e r ea c u t ep a n c r e a t i t i s .J 5urgRes1 3 4 :2 2 3 2 3 0 2 3 . NakajimaT,UedaT,TakeyamaY,YasudaT,5 h i n 2 0 0 7 )P r o t e c t i v ee f f e c t so f z e k iM,5awaH,KurodaY ( v a s c u l a re n d o t h e l i a lgrowthf a c t o roni n t e s t i n a le p i t h e l i a la p o p t o s i sandb a c t e r i a lt r a n s l o c a t i o ni ne x p e r i m e n t a ls e v e r ea c u t ep a n c r e a t i t i s .P a n c r e a s3 4 :4 1 0 4 1 6 a nYY,ChenMF 2 4 . ChenH M,ChenJC,HwangTL,J ( 2 0 0 0 )P r o s p e c t i v eandrandomizeds t u d yo fgabexate m e s i l a t ef o rt h et r e a t m e n to fs e v e r ea c u t ep a n c r e a t i t i s w i t horgand y s f u n c t i o n . H e p a t o g a s t r o e n t e r o l o g y4 7 : 1 1 4 7 1 1 5 0 2 5 . TakedaK,Matsuno5,5unamuraM,KakugawaY ( 19 9 6 )C o n t i n u o u sr e g i o n a la r t e r i a li n f u s i o no fp r o t e a s e i n.

(8)

図 4 α 2 ~AP~1 群における cae rulein 勝炎作成後

参照

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