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現代アジアのルポルタージュ (ライブラリ・コーナー)

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Academic year: 2021

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アジ研ワールド・トレンド No.223(2014. 5) ル ポ ル タ ー ジ ュ は 、 著 者 が 自 身 の 経 験 を 土 台 に 、 綿 密 な 取 材 を も と に 、 間 近 に み た 地 の 現 実 を 描 き 出 す 作 品 で あ る 。 そ の 物 語 の 多 く は 著 者 の 眼 を 軸 に 展 開 し 、 読 み 手 は 現 実 世 界 を ﹁ 生 々 し く ﹂ 感 じ 取 る こ と が で き る 。 本 稿 で は 、 現 代 ア ジ ア の 実 相 に 迫 る ル ポ ル タ ー ジ ュ を 紹 介 し た い 。 石 井 光 太 著 ﹃ 物 乞 う 仏 陀 ﹄ ︵ 文 藝 春 秋 、 二 〇 〇 八 年 ︶ は 、 東 南 ア ジ ア や 南 ア ジ ア に 生 き る ﹁ 物 乞 う ﹂ 障 害 者 の 日 常 生 活 に 迫 る 。 カ ン ボ ジ ア で 地 雷 に よ り 手 足 を 吹 き 飛 ば さ れ た 人 々 、 ミ ャ ン マ ー で ハ ン セ ン 病 を 患 う 人 々 、 イ ン ド で マ フ ィ ア に 手 足 を 切 断 さ れ 、 目 を つ ぶ さ れ て 物 乞 い を 強 い ら れ る 人 々 な ど 、 一 括 り に ﹁ 障 害 者 ﹂ と 呼 ん で も 、 抱 え る 問 題 や そ の 背 景 は そ れ ぞ れ 異 な る 。 な ぜ 障 害 を 抱 え る に 至 っ た か 、 ど の よ う に 生 計 を 立 て て い る か 、 社 会 は 障 害 者 を ど の よ う に み て い る か 。 著 者 と ﹁ 障 害 者 ﹂ の 感 情 が 交 錯 す る な か で 、 ア ジ ア に 生 き る 障 害 者 の 哀 し く 、 明 る い 生 き 様 が 浮 き 彫 り に な る 。 久 遠 智 彦 著 ﹃ ワ ー カ ー ズ ﹁ 労 働 ﹂ を め ぐ る ア ジ ア の 旅 ﹄ ︵ 現 代 書 館 、 二 〇 一 二 年 ︶ は 、 ﹁ い ま 、 世 界 の 労 働 現 場 で は 何 が 起 き て い る の か ﹂ を 探 究 す る た め 、 低 賃 金 で 働 く ア ジ ア 諸 国 の 労 働 者 を 訪 ね 歩 い た 著 者 が 、 労 働 の 意 味 を 問 い 直 す 。 ﹁ 単 に 労 働 者 の 声 に 耳 を 傾 け る だ け で は 、 か れ ら の 心 の 深 み に 入 り 込 む こ と は 難 し い 。 ﹂ そ う 考 え た 著 者 は 、 現 場 で 身 体 を 使 っ て 共 に 働 き 、 自 ら も 労 働 者 と な っ た 。 資 本 に 振 り 回 さ れ る 労 働 者 た ち の 姿 、 身 も 心 も 磨 り 減 ら し な が ら 働 く 者 た ち の 息 遣 い が 丹 念 に 記 録 さ れ て い る 。 水 谷 竹 秀 著 ﹃ 日 本 を 捨 て た 男 た ち フ ィ リ ピ ン に 生 き る ﹁ 困 窮 邦 人 ﹂ ﹄ ︵ 集 英 社 、 二 〇 一 一 年 ︶ は 、 経 済 的 に 困 窮 状 態 に 陥 り 、 路 上 生 活 や ホ ー ム レ ス 状 態 を 強 い ら れ て い る フ ィ リ ピ ン の 日 本 人 を 取 り 上 げ る 。 フ ィ リ ピ ン ク ラ ブ で 知 り 合 っ た 女 性 を 追 っ て フ ィ リ ピ ン に 渡 っ た も の の 、 日 本 に 帰 る お 金 も な く 、 日 本 に も フ ィ リ ピ ン に も 頼 る あ て の な い ﹁ 困 窮 邦 人 ﹂ は 、 フ ィ リ ピ ン で は 一 般 的 な 問 題 と し て 理 解 さ れ て い る 。 フ ィ リ ピ ン で も が き 、 助 け ら れ な が ら 生 活 す る 困 窮 邦 人 の 人 生 を 追 う こ と は 、 日 本 社 会 の 闇 を 照 射 す る こ と に も 連 な る 。 和 田 博 幸 著 ﹃ カ ン ボ ジ ア 、 地 の 民 ﹄ ︵ 社 会 評 論 社 、 二 〇 〇 一 年 ︶ は 、 一 〇 〇 万 と も 二 〇 〇 万 と も い わ れ る 命 が 奪 わ れ た ポ ル ・ ポ ト 時 代 の 過 去 を 持 つ カ ン ボ ジ ア の 農 村 の 現 状 を 描 写 す る 。 著 者 は ﹁ 農 民 が ど の よ う に 生 ま れ 、 働 き 、 祈 り 、 そ し て 死 ん で い く の か ﹂ を 、 か つ て の ポ ル ・ ポ ト 政 権 下 で 強 制 移 送 先 と な っ た 農 村 に 住 み こ ん で 見 聞 き し 、 苦 難 に 直 面 し て い る 人 び と を 各 地 に 訪 ね て 、 そ の 実 像 に 迫 っ た 。 エ イ ズ に 侵 さ れ た 少 女 、 過 労 死 す る 労 働 者 、 産 業 廃 棄 物 が 捨 て ら れ た 現 場 の 周 辺 で 、 健 康 被 害 を 訴 え る 住 民 ︱ 。 内 戦 後 、 市 場 経 済 化 を 経 て め ま ぐ る し く 変 化 す る 社 会 の ひ ず み が 、 農 村 に 生 じ て い る 。 横 田 幸 典 著 ﹃ 東 テ ィ モ ー ル に 生 ま れ て 独 立 に 賭 け る ゼ キ ト の 青 春 ﹄ ︵ 現 代 書 館 、 二 〇 〇 一 年 ︶ は 、 紛 争 地 で あ っ た 東 テ ィ モ ー ル を 一 九 九 一 年 か ら 八 年 間 に わ た っ て 取 材 し た 記 録 で あ る 。 当 時 東 テ ィ モ ー ル の 若 者 た ち は 、 イ ン ド ネ シ ア 軍 の 占 領 で 表 現 の 自 由 を 奪 わ れ 、 逮 捕 や 拷 問 の 恐 怖 に さ ら さ れ て い た 。 独 立 を 願 い 、 外 国 人 に 窮 状 を 訴 え 、 独 立 闘 争 を 目 論 む ゲ リ ラ 兵 に も 通 じ て い た 青 年 ゼ キ ト の 日 常 も ま た 、 常 に 命 の 危 険 と 隣 り 合 わ せ だ っ た 。 ゼ キ ト の ﹁ 友 だ ち ﹂ と し て 彼 の 人 生 に 深 く 関 わ っ た 著 者 が 、 ゼ キ ト の 日 常 生 活 と ゼ キ ト が イ ギ リ ス へ 亡 命 す る 過 程 を 詳 細 に 描 く 。 過 酷 な 運 命 に あ る 若 者 や ゲ リ ラ 兵 が ﹁ 普 通 の 人 た ち ﹂ で あ る こ と が 印 象 深 い 。 渡 辺 一 枝 著 ﹃ 消 さ れ ゆ く チ ベ ッ ト ﹄ ︵ 集 英 社 、 二 〇 一 三 年 ︶ は 、 こ と に 二 〇 〇 八 年 の 騒 乱 以 降 、 中 国 政 府 に よ る 宗 教 活 動 の 制 限 、 チ ベ ッ ト 語 教 育 へ の 介 入 、 言 論 統 制 な ど 、 厳 し い 政 治 的 、 文 化 的 弾 圧 下 に 置 か れ る チ ベ ッ ト の 現 況 を 詳 細 に 伝 え る 。 圧 倒 的 な 力 の 前 に ﹁ 消 さ れ ゆ く ﹂ 伝 統 や 文 化 を 、 チ ベ ッ ト の 人 々 は し た た か に 、 懸 命 に 、 守 り 抜 こ う と し て い る 。 一 体 か れ ら は 何 を 守 り 、 伝 え 、 訴 え よ う と し て い る の か 。 独 自 の 取 材 を 長 年 続 け て き た 著 者 だ か ら こ そ み え る チ ベ ッ ト の 姿 が 描 き 出 さ れ る 。 李 学 俊 著 、 澤 田 克 己 訳 ﹃ 天 国 の 国 境 を 越 え る 命 懸 け で 脱 北 者 を 追 い 続 け た 1 7 0 0 日 ﹄ ︵ 東 洋 経 済 新 報 社 、 二 〇 一 三 年 ︶ は 、 ﹁ 飢 え ﹂ な ど の 理 由 で 脱 北 し 、 中 国 に 潜 み 、 自 由 を 求 め て 再 び 第 三 国 の 国 境 を 越 え る 脱 北 者 た ち の 姿 を 、 四 年 半 余 り に わ た っ て 取 材 し た 書 。 命 懸 け の 脱 北 を 経 て 散 り 散 り に な る 家 族 の 厳 し い 現 実 が 明 か さ れ る 。 多 く の 家 族 の 危 険 と 悲 し み を 目 撃 し 続 け た 著 者 は 、 取 材 の 後 に 心 身 を 病 む 。 そ し て 、 ﹁ 暑 さ に 疲 れ た 足 を 川 に つ け た ま ま 、 降 る よ う な 星 空 を 見 上 げ ﹂ て 、 ﹁ 体 と 心 に 平 和 と 休 息 が も た ら さ れ る こ と を 祈 る 。 だ が 、 そ ん な 願 い は 欲 張 り だ と い う こ と を 悟 る ま で に 、 そ れ ほ ど の 時 間 が 必 要 な よ う に は 思 え な か っ た 。 私 は 今 も 、 心 の 国 境 を 越 え て い る か ら だ 。 ﹂ と 、 言 葉 を 紡 い だ 。 ︵ こ ば や し   ま り え / ア ジ ア 経 済 研 究 所   図 書 館 ︶

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