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沖縄本島中北部みかん園土壌の化学性: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

沖縄本島中北部みかん園土壌の化学性

Author(s)

稲嶺, 盛三郎; 伊芸, 安正

Citation

沖縄農業, 14(2): 27-32

Issue Date

1978-07

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/1181

Rights

沖縄農業研究会

(2)

沖縄本島中北部みかん園土壌の化学性

稲嶺盛三部※伊芸安正※※

SeisaburolNAMINE,andYasumasalGEI:ChemicalPropertiesofcitrusorchardsoilsin theCentralandNorthernPantsofOkinawalsland. に協力してくれたことに感謝します.

2.土壌サンプルの採集及び分折法

(1)土壌サンプルの採取地点 分折に供した土壌サンプルは、本島中北部市町村から 次の+おり採取した(表1). 表1.市町村別土壌サンプル採取数 1.緒 言 沖縄における柑橘類の栽培は近年急激に盛んにない 冊和50年には栽培面積689ヘクタールに達していろ.そ のうち.早生温州は228ヘエタールで単一品種では最も 多く,次いでタンカン134ヘクタール、残り327ヘクター ルは在来のシークヮーサー,オート、カープチなどで占 められていろ.早生温州は7月下旬~8月下旬頃から収 穫され.「青切りみかん」として本土へ出荷されろ.タ ンカンは1月下旬~2月から収穫ざれ県内、県外で販売 されろ.シークヮサーは、従来まで生食用として多く用 いられたが.最近からパインアップル臓詰工場を利用し て罐ジュースが製造されるようになった.オート,カー プチはシークワ升一と同様に粗放栽培にも耐えろと、独 :特の風味があり生食用として県で販売されろ. 柑橘類は土壌反応に割合鈍感であり.排水さえよけれ ば酸性~アルカリ性いずれでも栽培可能である.しかし 均衡のとれた養分供給をする上から柑橘園の士壌pHは 5.5~6.0の範囲が好ましいとされていろ.沖縄において は,重粘な泥灰岩土壌地帯を除けば、すべての地域で柑 橘栽培が可能である.さんご石灰岩土壌はpH6を越す 場合も多いが排水は良好であり,みかん栽培に好適であ るが既耕地は他作物が栽培されており、又市街化された 地域が多く開墾してみかん園を造成することも困難であ る.沖縄における柑橘の主な栽培地域は木島中北部の洪 積層、粘板岩等の風化土で所謂国頭マーヂ地帯において 盛んである.早生温州、タンカン園の造成はこの地域の 丘陵緩傾斜地を開墾したところが多く酸性濟薄な土壌か ら成る場合が多い. 柑橘園の適正な肥培管理を実施する上で,土壌の化学 性を把握することは重要なことと考え沖縄島中北部柑橘 園の土壌分折を行なったのでここに報告する.本調査を 実施するにあたり,沖縄カンキッ技術者会議.比嘉英勇 会長をはじめ多くの会員が土壌サンプルの採集及び分折 土壌採取園数

急孟高言、

pH(H20) 測定用 有効養分等分折用 合 計 国頭村 大宜味村 東村 今帰仁村 本部町 名護市 恩納村 宜野座村 金武村 石川市 具志川市 沖縄市 嘉手納町 合計 29339釦532575381 1 0 1 08327642225438 1 2 1 8 21012611032100 2 土壌はあらかじめ選定されたみかん園内で、ほぼ分散 した3カ所からそれぞれ表層,下層の土を採取した.表 層土は地表からほぼ15センチメートルまで.下層土は35 センチメートル附近で採った. (2)分析の方法 同pH,水浸出pHは風乾細土と水を1対2.5の比 ※沖縄県農林水産部営農指導課専門技術員 ※※北部農業改良普及所主任技師(農業改良普及員)

(3)

28 沖縄農業第14巻第2号(1978年) で混じガラス棒でよく攪伴し懸濁液を作り、pHメータ のガラス電極を挿入して測定した.塩化加里浸出pHは 置換酸度(Y’)測定に用いる濾液を用いて測定した. (イ)置換酸度(Y1),風乾細土409に1規定塩化加 里10Mを加え振とう後櫨過し.濾液5021'′を0.1規定水酸 化ナトリウムで滴定し(Y’)を算出した. (ウ)全窒素,ケルダール法によった. 回腐植,チューリン法によった. ㈱有効態りん酸,トルオーグ法によった. ㈲置換性塩基,風乾細士51を1規定酢酸アンモ ニウム液100カM'で浸出し濾液のK,Ca,Mg,Naを測定 した.Mgは原子吸光法で,他は炎光々度計で測定した. ㈲電気伝導度,土対水の比を1対5にして測定し た. け)緩衝曲線,風乾土を1001単位で採取し、炭 酸カルシウム0.59,1.09,1.59,2.09を添加し蒸留水 250剛を加えよく擬拝し、1昼夜経過したあとpHの変 化を測定した. 3.結巣 (1)水浸出pH測定の結果を次表に示した(表2). 表2.水浸出pHの測定結果 平均値及びその標準偏差(95%) 市町村 表 層 士 下層士 国大東今本名恩宜金石具沖嘉全 村村村村町市村村村“市市市町体 頭 宜味 jjjjjjJjjjjJJj 67997659251590 32 281 421 1 ’’’’’一一一|||’二一一一一一一一一一一一一3

mmmmmmmmmmmmm産

35577079 9060く 12341169 25832 ●●●●●●●● 。。。・1 00000000 0000・ 士士士士士士士士 士士士士0 3928008253128士 42270955077830 。。。..。.。。。。。・7 4444444454554。 4 jjJjjjjJjJjjJj 67997659251590 32 281 421 1 ’’’’’’’’’’’一一一一一二一一一一一一一一3

mmmmmmmmmmmmm医

75135088 3321く 22251255 25820 ●●●●●●●● 。。。・1 00000000 0000・ 士士士士士士士士 士士士士0 1491056558521士 52380753756946 ...。。..。.。。。・6 4444444444554. 4 帰仁 部 護 納 野座 武 川 志川 縄 手納

(4)

稲嶺・伊芸:沖縄本島中北部みかん園土壌の化学性 29 (2)有効養分等の分折結果:土壌中の主な有効養分の分折結果は次のとおりである.(表3) 表3.主要成分の分折結果

Ⅱ騨犀①

6000 効ン・

仇即雌

1042 有リ酸 匹m1 22 炭カル 必要 量kg / 10a 置換 酸度 全窒素 C/N率 pH 層 EC (1:5) ミリモー /c、 炭素(腐植) 置換性塩基me/1009 位 H201KC1 Y % % KlCalMglNal計 表下表下 120 200 40 痕跡 8456 ●●●● 4455 1.2(2.07) 1.14(1.96) 1.05(1.81) 0.30(0.50) 0.1 0.04 0.11 0.03 3.85 3.90 5.50 4.00 5555 ■■■■ 2001 41 3 0.13 0.03 0.13 0.02 3484 1668 ■■■■ 1131 4.00 5.00 13.00 4.50 8.25 0.43 1.32 103 0.39 0.52 0.74 0.87 5.77 7.29 18.74 6.40 9.2 28.0 8.1 15.0 (2) 大宜味村 (3) I 表下 I

:;M:iII:;I

艦|:11

3.95 3.7

:::|}::

1.24 0.56

:iIIlM,

0.26 0.30 5.77 3.85 5.3 4.3 24.0 2.0 名護市(旧羽地) (4)

靴)

;iIに;:|:二|:::

200 200 3.75 3.90 0.03 0.08 4.3 3.7 2.0 痕跡 1.02 0.82 3.30 4.50 0.07 0.49 0.22 0.35 4.41 6.86 名護市( (5) 】410-24(【 、_4910-3516-8510_O8120C )40-45(O-7I L271U、3915.6: 名護 (6) 霊’3.813.70118.0’’1-44(248)’36 う113-3I 913-8(】 】h-44【別-4$ 4( ロロ 561U、101300 ヴb(1-t (7) 9710-9(1 蚕13.9513.80117.71痕Mi 511.291リ頁跡10.1911.8410.O8130C (8) )10-4411-9§ 810.061200 名護市(1日久志) (9) 表下一表下

川棚一州州

6502 5050 ■■■■ 33 4 1.26(2.17) 0.84(1.45) 0.39(0.67) 0.60(1.03)

M川一M期

0.13 0.10 0.05 0.08 9.7 8.4 7.8 7.5 1.33 0.72

川川一川Ⅲ

川川一剛川

4.00 3.30

Ⅲ川一MⅢ

川畑一川川

ⅢⅢ|Ⅲ川

棚Ⅲ|伽伽

今 帰仁

;::に:I

⑩ 本部町 ⑪ 表下表下 2012 ●●●● 4444 0.45(0.78) 0.75(1.30) 0.93(1.60) 0.66(1.14) 5555 6378 ■■■■ 3333 9.0 41.5 10.5 12.7 0.12 0.06 0.12 0.09 8583 ●●●● 3、77 0000 ■■■■ 2262 5 1 1.59 1.33 1.84 1.33 6.00 3.50 4.30 5.00 9198 6221 ■■■■ 0000 0.65 0.35 0.30 0.22 8.93 5.39 6.73 6.73 0.50 0.12 0.16 0.10 0000 0000 2322 ⑫ 恩納村 脚 宜野座村 ⑭ 表下一表下

鯛〃|〃〃

TP(【)、夕已【x|】 ■ ■ ■ 屯□且[〃0(皿v

州州一州帆

Ⅶ川一川川

0.24(0.41) 0.21(0.40) 1.14(1.96) 0.54(0.93)

加川|汕柵

240.0 105.0

MMlMM

Ⅶ測一棚川

7310 4768 ■■■■ 0000

ⅢM|Ⅲ側

川棚一柵Ⅲ

ⅢⅢ|Ⅲ川

Ⅲ川一伽伽

8.8

(5)

30 沖縄農業第14巻第2号(1978年) 表3つづき

、享目

市町村名度、

写夫篝菖〉、

炭カル 必要 量kg / 10a C/N 率 有効リン酸 置換 酸度 全窒素 O:5)EC ミリモー /c、 pH 炭素(腐植) 置換性塩基me/1009 層 P205 mg/ 1009 H201KC1 KlCalMglNal計 位 Y % % 石川市 ⑬ 表下表下表下 0.52(0.89) 0.19(0.33) 0.55(0.95) 0.58(0.99) 0.38(0.65) 0.26(0.45) 214442 000000 ●●●●●● 000000 222222 000000000000 285000 322114 ●●●●●● 444444 886780 005000 ●●●●●● 333334 0.06 痕跡 0.05 0.05 0.06 痕弥 088080 ●●● ● 826 0 1.39 1.09 1.19 0.99 0.99 0.89 0.89 痕跡 0.07 痕跡 痕跡 痕弥 0.23 0.23 0.16 0.23 0.16 0.09 1.88 1.45 1.75 1.55 1.35 1.16 000250 ●●●●●● 530428 123222 732665 ■■■■■■ 869176 1 833308 113321 ●●●●●● 000000 ⑯ ⑰ 具志川市 ⑬ 表下表下 0.97(1.67) 0.88(1.52) 0.58(0.99) 1.23(0.39) 痕跡 痕跡 200 200 8.2 8.1 4.5 4.4 0.61 0.44 0.15 0.18 19.96 19.96 2.29 1.59 妬妬旧跡 000痕 0.41 0.36 0.17 0.22 0.06 0.06 0.04 0.02 7.70 7.85 4.2 4.00 5370 ●●●● 0088 1 朋朋佃弥 000痕 8877 ●●●● 0999 1 084痕1 880姉 21.43 21.21 2.64 1.99 ⑲ 沖縄市 ⑩ 痕跡

:::Ii:I|に::

〃 0.90(155) 0.36(0.62) 200 120 表下

::iIIl::

30.0 12.0 2.8 痕跡 0.89 0.59 2.39 0.99 4.39 4.58 ※炭カル必要量は緩衝曲線をもとにし,目標pHを6.2として既植園における施用量の概略値である. 尚,施用方法は畦間施用とし,その作用面積は全面施用時の光とみなし20噸士層を改良の対象とした. (8)緩衝曲線:供試土壌の土性別緩衝曲線は次図のとおりである(図1)

埴質壌±

埴土 7.0 6.0 、

pH60 5.0 pH 5.0 40 40 3.0 3.0 051.0152.0 炭カル添加量,/100土,当り 0.51.01.52.0

炭カル添加量9/1009土当り

図1.みかん園土壌の土性別緩衝曲線

(6)

稲嶺・伊芸:沖縄本島中北部みかん園土壌の化学性 31 砂質壌土 7.0 7.0 6.0

pH=

5.0 6.0 pH 5.0 4.0 40 3.0 3.0 0.51.01.52.0 炭カル添加量,/1001土当り 0.51.01.52.0 炭カル添加量,/1001土当り 図1.(つづき) んでいることが推察されるが,測定結果もこれを証明し ていろ.カルシウム含量は低くほとんどの園が九州地域 の鉱質土壌みかん園の好適含量とされる5ミリグラム当 量に達しないマグネシウム含量も低くほとんどの園に おいて、九州における基準値1ミリグラム当量に達しな い.カリウム含量は割合高<九州地域における基準値 0.4~0.7ミリグラム当量を凌駕している園が多い.尚カ リウム含量は表層土に多いことから化学肥料として施用 されたものに由来していろと考えられろ.カリウムの過 剰は.拮抗的に他のカチオン吸収を阻害するので注意す る必要がある. (5)緩衝能:腐植含量が少なく粘土含量も多くない鉱 質土壌であるため,少量の石灰添加で容易にpHは上昇 する.士性別の緩衝曲線は明確な差異が認められず.ほ とんどが土壌1001当り50021Vの炭カル施用でpHは6~ 7に上昇する.矯正資材としては,過剰施用しても急激 にpHを上昇させる心配のない炭カルが良いと思われ る.生石灰,消石灰は作用が急激であるためpHが急上 昇する心配がある.マグネシウム含量が極めて低いこと から考えると、ドロマイト質の石灰岩を施用することが 最もよい.尚みかんは永年作物であるため,細かく粉砕 されていない所謂粗砕石灰岩も効果が永続的なため適当 な資材である. 4.考察 (1)pH及び置換酸度:沖縄本島のみかん園土壌は安 田統,中川統に属する土壌が多いこれらの土壌は国頭 礫層や粘板岩に由来し,酸性を呈することはこれまでの 土壌調査報告書にもみられれる.九州における鉱質土壌 のみかん園土壌では好適pH(H20)は55~62程度と されるが,今度の調査結果では5.5未満を示す園が極め て多いことがわかった.適正な養分供給を計る上からも pHの矯正は必要である. (2)全窒素及び腐植:全窒素及び腐植含量ともに低く 地力の減耗していることがうかがわれる.温暖多雨な気 候条件とあいまって、みかん園などでは有機質資材の施 用が少ないため懐i棺含量は少なくなっていろ.有機物の 分解により放出される窒素はみかん樹のみならず、すべ ての作物の生長に重要な役割を果すことから土壌中にお ける腐植の富化に努めなければならない九州における

非火山灰鉱質土壌みかん園では,腐植含量2%以上に保

つことが好適とされている. (3)有効態りん酸:有効態りん酸含量はトルオーグ法 による分折では、土壌1001当り10噸以上含有されるこ とが望ましいとされろ.多くのみかん園では10噸以上の 含量を示しているが,ごく一部の園ではこれに達しな い施肥の影響を受けている表層土では概して含量は多 い.有効態りん酸含量が10噸に達しない園及び酸度矯正 の必要な園では.深耕時に石灰資材とともにりん酸資材 `の施用が望まれろ. (4)置換性塩基:pHの低いことから塩基の溶脱は進 5.摘要 沖縄本島中北部の柑橘園土壌の有効養分含量等の特性 を明らかにし適正な土壌管理を行うため,化学分析を行 なった.結果の要約は、次のとおりである.

(7)

32 沖縄農業第14巻第2号(1978年) (1)pHは全般的に低く水浸出値で5.5未満を示す園 が約90パーセント以上を占めろ.置換酸度(Y1)は,ほ とんどの園で6以上を示す強酸性.極強酸性土壌であ る. (2)全窒素含量および腐植はともに低く、有機質資材 施用による地力増強が望まれる. (3)有効態りん酸は土壌10W当り]Ojリリ以上の含量を

示す園が割合多く.極少数の園においてのみ102W未満の

欠乏値がみられるだけである. (4)置換性塩基のうち,カリウムは割合多いがカルシ ウム、マグネシウムいずれも低い.特に,マグネシウム }よ含量が低いと思慮される. (5)緩衝能は小さく、pH4~5の土壌100,当り§00 カWの炭カルを添加することによってpHは6~7に上昇 する. 5.参考文献 L沖縄県果樹農業振興計画書(1977)沖縄県. 2.九州農業試験場(1978)九州における土壌診断 基準. 3.松坂,音羽,出井,浜崎(1963)沖縄本島土壌 調査報告書.琉球政府農林部農産課. ・OIIルー・OII11.~o0IlIU0.~0101叩.~。OⅡ190.~・OII110.~.OⅡIOC・~・0011,0.-0011110.~0010ルー・OIIルー・DIIⅡ0-.0011ルー・'''10.-0011伽-.0110,.<

参照

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