職業選択の自由をめぐる司法消極主義と積極主義(3)
中 谷 実
目次 Ⅰ はじめに ―以上,南山法学 42 卷 3―4 号(2019)― Ⅱ 消極主義のアプローチ 《消極主義Ⅰ》 (1)「法律上の争訟に当たらず不適法」アプローチ (2)「訴えの利益の事後喪失」アプローチ 《消極主義Ⅱ》 αタイプ (1)「申請時の法令の定める許可基準」アプローチ (2)「裁量権の範囲を逸脱・処分は違法,無罪」アプローチ βタイプ (1)「罰条の違憲性を上告趣意で初めて主張するのは不適法」アプローチ (2)「抽象的に違憲違法を主張するのは不適法」アプローチ (3)「処分は適法,有罪」アプローチ ―以上,南山大学アカデミア社会科学編 17 号(2019)― 《消極主義Ⅲ》〔承前〕 (1)「公共の福祉/有罪,処分適法」アプローチ (A)概要 これは,第 1 に,法令が,憲法 22 条 1 項の職業選択の自由(以下,単に,憲法 22 条ともいう) に反し無効であり,それにもとづく有罪の訴追,行政処分は無効であると主張される場合において, 職業選択の自由は「公共の福祉」により制限されることを強調し1),規制における立法事実を十分 に検討することなく2),また,規制目的を,消極,積極という目的 2 分論的に捉えず3),規制目的 と規制手段の関係にも十分触れることなく4),規制を,公共の福祉を維持するため必要な制限(公 共の福祉のための合理的な制限,公共の福祉を維持するために必要にしてやむを得ない制限,公共 の福祉に基づく必要最小((最少))限度の制限,公共の福祉に基づく必要かつ合理的な規制)とし て合憲とし,法令の適用も合憲,適法とする5)アプローチである。第 2 は,有罪や不利益な行政処 分の根拠となった法令自体の合憲性は争わないが,法令を当該事例に適用することは職業選択の自 由に反すると主張される場合において,法令の合憲性を前提に6),法令を当該事例に適用することは公共の福祉の観点から適法とするアプローチである。このアプローチの職業選択の自由へのコ ミットは弱く,職業選択の自由制限へのコミットは強い。 (B)裁判例 (1)S―24.5.10〈し職業紹介/禁止(有料)/刑〉仙台高判昭和 24 年 5 月 10 日(刑資 55 号 601 頁, ③→ S―25.6.21〈し職業紹介/禁止(有料)/刑〉最大判)は,被告人の主張―有料職業紹介を禁 じる職業安定法は憲法 22 条に違反する―について,「労働者に不利益な契約を成立せしめた事例多 く,弊害も甚しかったテーゼ」(後述(C)(2)【し職業紹介】ア)参照)をいい,「職業紹介事業 の禁止又は制限は公共の福祉のために外なら」ず,憲法 22 条に違背しないとし,控訴を棄却する。 (2)S―25.6.7〈せ石炭販売/禁止/刑〉最大判昭和 25 年 6 月 7 日(刑集 4 巻 6 号 956 頁)は,原 告の主張―配炭公団以外の者が石炭等の販売を禁じる商工省令の規定が憲法 22 条に違反する―に ついて,商工省令第 18 号 3 条は,臨時物資需給調整法及び配炭公団法の委任の範囲内に属すると いう。ついで,「公共の福祉テーゼ」(後述(C)(2)【全体】ア)参照。以下,「公共の福祉テーゼ」 に関し,後述(C)(2)【全体】ア)参照 を省略する),「指定生産資材割当規則を定め,公正な 分配を確保するテーゼ」(後述(C)(2)【せ石炭販売】ア)参照)をいい,「正に石炭等の適正配 給という公共の福祉を維持するため必要な制限」とし,憲法 22 条に違反しないとして上告を棄却 する7)。 (3)S―25.6.21〈し職業紹介/禁止(有料)/刑〉最大判昭和 25 年 6 月 21 日(刑集 4 巻 6 号 1049 頁) ②→ S―24.5.10〈し職業紹介/禁止(有料)/刑〉仙台高判)は,被告人の主張―前出,2 審参照― について,「公共の福祉テーゼ」,「労働者に不利益な契約を成立せしめた事例多く,弊害も甚しかっ たテーゼ」(後述(C)(2)【し職業紹介】ア)参照)をいい,憲法 22 条に違反しない,として上 告を棄却する8)。 (4)S―25.7.19〈ふ風俗(麻雀)/営業取消/取消〉東京地判昭和 25 年 7 月 19 日(行集 1 巻 6 号 892 頁,②→ S―26.4.20〈ふ風俗(麻雀)/営業取消/取消〉東京高判,③→ S―28.11.11〈ふ風俗(麻 雀)/営業取消/取消〉最大判)は,原告の主張―条例による営業許可の取消を定める風営法の規 定は憲法 22 条に違反する―について,「公共の福祉テーゼ」,「社会秩序・善良な風俗の維持テーゼ」 (後述(C)(2)【ふ風俗関係】◎非性風俗系ア)参照)をいい,「公共の福祉のため此種営業につ き国民の職業選択の自由を制限して」「公安委員会の許可にかゝらしめた取締法は憲法第 22 條第 1 項に違背」しない,とし,原告の請求を棄却する9)。 (5)S―26.4.20〈ふ風俗(麻雀)/営業取消/取消〉東京高判昭和 26 年 4 月 20 日(民集 7 巻 11 号 1199 頁,①→ S―25.7.19〈ふ風俗(麻雀)/営業取消/取消〉東京地判,③→ S―28.11.11〈ふ風俗(麻 雀)/営業取消/取消〉最大判は,1 審と同旨で控訴を棄却する。 (6)S―26.9.14〈し食肉/価格統制/刑〉最 2 判昭和 26 年 9 月 14 日(刑集 5 巻 10 号 1933 頁)は, 被告人の主張―価格統制令による食肉価格の統制は憲法 22 条に違反する―は,「公共の福祉テーゼ」 をいい,S―25.6.7〈せ石炭販売/禁止/刑〉最大判を援用し,「食肉に関する価格統制令」は「憲 法同条に直ちに違反しない」,「食肉価格の統制が,その具体的事象(具体的運営面)においてたと え」「不完全なものがあったとしても,これに違反した被告人等を処罰した原判決を目して憲法第 22 条に違反したものということはできない」とし,上告を棄却する10) 。 (7)S―28.3.18〈こ古物商/無許可/刑〉最大判昭和 28 年 3 月 18 日11)(刑集 7 巻 3 号 577 頁)は, 被告人の主張―古物営業を許可制とする古物営業法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「公 共の福祉テーゼ」,「被害者の保護を計ると共に犯罪の予防,鎮圧ないし検挙を容易にするテーゼ」(後
述(C)(2)【こ古物商】ア)参照)をいい,「古物営業法が許可制度をとり,無許可営業を処罰す ることは『公共の福祉』を維持するための必要な制限である」「から,何等,憲法 22 条に違反する ものではな」い,とし,上告を棄却する。 (8)S―28.4.16〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕平簡判昭和 28 年 4 月 16 日(刑集 14 巻 1 号 41 頁,②→ S―29.6.29〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕仙台高判,③→ S―35.1.27〔い医業関 係/禁止(類似行為)/刑〕最大判昭,②’12)S―38.7.22〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕仙 台高判(差戻控訴審),③’S―39.5.7〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕最 1 決)は,被告人の 主張―H・S 式無熱高周波療法を業とすることを,あん摩師,はり師,きゅう師及び柔道整復師法 の規定が医業類似行為として禁止するのは憲法 22 条に違反する―について,「医業類似行為の禁止 は公衆の保健衛生の向上に合致テーゼ」(後述(C)(2)【い医業関係】◎医業類似行為ア)参照) をいい,「斯る制限を設けることは公共の福祉を維持する為必要であ」り,H・S 式無熱高周波療 法は「医業類似行為に該当」するとして有罪とする。 (9)S―28.6.1〈こ公衆浴場/無許可/刑〉福岡地吉井支判(刑集 9 巻 1 号 104 頁,②→ S―28.9.29〈こ 公衆浴場/無許可/刑〉福岡高判,③→ S―30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最大判)は,被告 人の主張―適正配置を定める公衆浴場法,福岡県条例の規定は,憲法 22 条に違反する―について, 「公共の福祉テーゼ」をいい,「公衆浴場法第 2 条第 2 項に謂ゆる『公衆浴場の設置場所若しくは其 の構造設備が公衆衛生上不適当である』こと,又は『其の設置の場所が配置の適正を欠く』ことは, 憲法第 22 条に謂ゆる『公共の福祉』に反する」,「公衆浴場法第 2 条は憲法第 22 条に違反」しない, という。そして,被告人が「許可を得ず公衆浴場を経営した以上,当然同法違反の犯罪を構成する」 とする。また,「福岡県条例は同法第 2 条第 3 項に基き公衆浴場設置の場所の配置の基準を定めた もので,此の規定も亦『公共の福祉』を維持するのに必要なものであり,憲法に反」しない,とし, 有罪とする。 (10)S―28.9.9〈き金属屑/禁止(売買)/刑〉広島高判昭和 28 年 9 月 9 日13)(高刑 6 巻 12 号 1649 頁,③→ S―32.4.3〈き金属屑/禁止(売買)/刑〉最大判)は,被告人の主張―金属屑の未成年者 との売買を禁止する広島県金属屑業条例は,憲法 22 条に違反する―について,「公共の福祉テーゼ」 をいい,「金属屑営業に届出義務を課し且或る種の取引行為につき一定の制限を設けこれに違背し た場合を処罰することが公共の福祉を維持するために必要であるならばその制限は何等憲法に違 反」しない,といい,前出,S―28.3.18〈こ古物/無許可/刑〉最大判のいう「被害者の保護を計 ると共に犯罪の予防,鎮圧ないし検挙を容易にするテーゼ」(後述(C)(2)【こ古物商】ア)参照) を援用する。そして,金属屑業条例は,「地方公共の秩序を維持し住民及び滞在者の福祉を保持す るため即ち公共の福祉を維持するため必要」とし,控訴を棄却する14)。 (11)S―28.9.29〈こ公衆浴場/無許可/刑〉福岡高判昭和 28 年 9 月 29 日(刑集 9 巻 1 号 105 頁, ①→ S―28.6.1〈こ公衆浴場/無許可/刑〉福岡地吉井支判,③→ S―30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉 最大判)は,被告人の主張―前出,1 審参照―について,「公共の福祉テーゼ」をいい,「公衆浴場 法第 2 条第 1 項で公衆浴場業が許可を得てのみなし得ると定めている職業選択についての制限は, 衛生等の警察的立場による政策的考慮からなされたものと解すべきであり,その限りにおいては, 同法条は憲法第 22 条に違反するものではない」という。そして,2 条第 2 項後段について,「設立 を業者の自由に委せると偏在・濫立・経営の不安定・衛生的設備の低下テーゼ」(後述(C)(2)【こ 公衆浴場関係】ア)参照)をいい,「公衆浴場法第 2 条の規定が憲法違反でな」く,「その委任に基 く右のような配置基準を定めた本条例は」,憲法に違反しない,とし,控訴を棄却する。
(12)S―29.3.4〈か貸金業/無届出/刑〉大阪地判昭和 29 年 3 月 4 日(刑集 9 巻 9 号 1966 頁,② → S―30.2.28〈か貸金業/無届出/刑〉大阪高判,③→ S―30.7.22〈か貸金業/無届出/刑〉最高裁第) は,被告人の主張―貸金業を届出制とする貸金業等の取締に関する法律の規定は憲法 22 条に違反 する15)―について,「法律の制定は公共の福祉のため制定されたものと認めるのが相当であるから 何等自由権の不当な制限と解し得ない」とし,有罪とする。 (13)S―29.3.9〈し職業紹介/禁止(公衆衛生・公衆道徳)/刑〉大阪高判昭和 29 年 3 月 9 日(判 特 28 号 101 頁)は,被告人の主張―公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介をすること を禁じる職業安定法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「公共の福祉テーゼ」をいい,接客 婦のような「公共の福祉に違反する職業紹介を禁止することによって被告人等業者及び接客婦の職 業選択の自由が奪われたとしても,もとより当然の事理であって憲法第 22 条違反を論議する余地 はない」とし,有罪とする。 (14)S―29.5.25〔し酒類/免許拒否/取消〕大阪地判昭和 29 年 5 月 25 日(行集 5 巻 5 号 1158 頁)は, 被告の主張―免許拒否処分は憲法 22 条に違反する―の主張について,国民の権利自由を制限剥奪 する行政処分は法規裁量であるとしつつ,酒税法は,「酒類販売の公正と酒税の確保上不適当なる 者が酒類販売業を営むことは公共の福祉に反するものとしてこれ等の者には免許を与えないことを 得るものとしている」とし,「経験の極めて少ない者に酒類販売業を営ませることは酒類販売の公 正という見地からも酒税の確保という見地からも適当でないテーゼ」(後述(C)(2)【し酒類販売 関係】ア)参照)をいう。そして,種々,検討し,免許を与えなかった税務署長の処分は相当とし, 原告の請求を棄却する。 (15)S―29.6.29〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕仙台高判昭和 29 年 4 月 16 日16)(刑集 14 巻 1 号 43 頁,①→ S―28.4.16〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕平簡判,③→ S―35.1.27〔い医業 関係/禁止(類似行為)/刑〕最大判,②’S―38.7.22〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕仙台 高判,③’S―39.5.7〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕最 1 決)は,被告人の主張―前述 1 審, 参照―について,「正当な医療を受ける機会を失わせるおそれテーゼ」(後述(C)(2)【い医業関係】 ◎医業類似行為イ)参照)をいい,有罪とする。 (16)S―29.11.24〈か貸金業/無届出/刑〉最大判昭和 29 年 11 月 24 日17)(刑集 8 巻 11 号 1860 頁)は, 被告人の主張―貸金業を届出制とする貸金業等の取締に関する法律の規定は憲法 22 条に違反する ―について,「貸金業は届出で自由に行えるテーゼ」(後述(C)(2)【か貸金業】ア)参照)をいい, 「届出を怠って貸金業を営んだ者が」,「罰則の適用を受けるに至るとしても」,「職業選択の自由を 不当に圧迫するものということはできない」とし,上告を棄却する。 (17)S―30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最大判昭和 30 年 1 月 26 日(刑集 9 巻 1 号 89 頁,① → S―28.6.1〈こ公衆浴場/無許可/刑〉福岡地吉井支判,②→ S―28.9.29〈こ公衆浴場/無許可/刑〉 福岡高判)は,被告人の主張―前出,1 審参照―について,「設立を業者の自由に委せると偏在・ 濫立・経営の不安定・衛生的設備の低下テーゼ」(後述(C)(2)【こ公衆浴場関係】ア)参照)を いい,「公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠き,その偏在乃至濫立を来たすに至るがごときことは, 公共の福祉に反するものであって,この理由により公衆浴場の経営の許可を与えないことができる 旨の規定を設けることは,憲法 22 条に違反」しない,とする。また,公衆浴場法が公衆浴場の経 営について許可を原則とし,不許可を例外とする建前をとっているに拘わらず,福岡県条例は不許 可を原則とし,許可を例外とする建前をとっており,条例は公衆浴場法にくらべて,より多く職業 選択の自由を制限するのみならず,地方公共団体は「法律の範囲内」で条例を制定できるとする憲
法 94 条に違反しているとの主張について,「公衆浴場法の委任の範囲内テーゼ」(後述(C)(2)【こ 公衆浴場関係】ウ)参照)をいい,「違法は認められない」とし,上告を棄却する。 (18)S―30.2.2〈こ公衆浴場/不許可/取消〉福岡地判昭和 30 年 2 月 2 日(行集 6 巻 2 号 379 頁)は, 原告の主張―適正配置を定める公衆浴場法,福岡県条例は憲法 22 条に違反し,条例は公衆浴場法 の委任の範囲を超える―について,「公共の福祉テーゼ」,「設立を業者の自由に委せると偏在・濫立・ 経営の不安定・衛生的設備の低下テーゼ」(後述(C)(2)【こ公衆浴場関係】ア)参照)をいい,「公 衆浴場法第 2 条第 2 項本文後段の規定は,同前段とひとしく,公共の福祉を維持するために己むを 得ず職業選択の自由に制限を加えたものとして」,憲法 22 条に違反しない,という。また,「公衆 浴場法の委任の範囲内テーゼ」(後述(C)(2)【こ公衆浴場関係】ウ)参照)をいい,適正配置に 関する公衆浴場法,福岡県条例の規定は,いずれも合憲とし,原告の請求を棄却する18)。 (19)S―30.2.28〈か貸金業/無届出/刑〉大阪高判(刑集 9 巻 9 号 1968 頁,①→ S―29.3.4〈か貸金 業/無届出/刑〉大阪地判,③→ S―30.7.22〈か貸金業/無届出/刑〉最 2 判)は,被告人の主張 ―前出,1 審参照―について,S―29.11.24〈か貸金業/無届出/刑〉最大判を引用し,「公共の福祉 テーゼ」,「不正の金融から一般大衆を守るテーゼ」(後述(C)(2)【か貸金業】イ)参照),「貸金 業は届出で自由に行えるテーゼ」(後述(C)(2)【か貸金業】ア)参照)をいい,「公共の福祉の ために合理的な制限を附したに過ぎず」,貸金業等の取締に関する法律は,「憲法第 22 条その他憲 法が国民に保障する自由及び権利に関する条規に違反」しない,とし,控訴を棄却する。 (20)S―30.6.28〈こ公衆浴場/無許可/刑〉名古屋高金沢支判」昭和 30 年 6 月 28 日19)(高検速報 121 号,③→ S―32.6.25〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最 3 判)は,被告人の主張―適正配置を定め る公衆浴場法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「設立を業者の自由に委せると偏在・濫立・ 経営の不安定・衛生的設備の低下テーゼ」(後述(C)(2)【こ公衆浴場関係】ア)参照)をいい,「公 衆浴場の設置場所の配置に適正を欠き,その偏在,濫立を来たすに至るがごときは,却って公共の 福祉に反するものであって」,「公衆浴場の経営につき制限することができる旨の規定を設けること は憲法第 22 条に反」しない,として,控訴を棄却する。 (21)S―30.7.22〈か貸金業/無届出/刑〉最 2 判昭和 30 年 7 月 22 日(刑集 9 巻 9 号 1962 頁,① → S―29.3.4〈か貸金業/無届出/刑〉大阪地判,②→ S―30.2.28〈か貸金業/無届出/刑〉大阪高判) は,被告人の主張―前出,1 審参照―について,S―29.11.24〈か貸金業/無届出/刑〉最大判を援 用し,貸金業等の取締に関する法律は違憲でないとし,上告を棄却する。 (22)S―31.12.26〈ま麻薬/禁止/刑〉最大判昭和 31 年 12 月 26 日20)(刑集 10 巻 12 号 1746 頁)は, 被告人の主張―麻薬を譲受,所持等を禁じる麻薬取締法の規定は憲法 22 条に違反する―について, 「麻薬は人の心身にきわめて危険な害悪を生ずるおそれテーゼ」(後述(C)(2)【ま麻薬売買】ア) 参照)をいい,「禁止は,公共の福祉のため必要であるから,これに違反した者を処罰する所論麻 薬取締法の規定は,憲法 22 条 1 項に違反」しない,とし,上告を棄却する21)。 (23)S―32.4.3〈き金属屑/禁止(売買)/刑〉最大判(刑集 11 巻 4 号 1319 頁,②→ S―28.9.9〈き 金属/禁止(売買)/刑〉広島高判)は,被告人の主張―前出,2 審参照―について,「公共の福 祉テーゼ」をいい,S―28.3.18〈こ古物/無許可/刑〉最大判を援用し,「被害者の保護を計ると共 に犯罪の予防,鎮圧ないし検挙を容易にするテーゼ」(後述(C)(2)【こ古物商】ア)参照)いい, 金属屑業条例の各条が「営業の自由を制限することになるとしても,それは公共の福祉を維持する ために必要にして,かつ,やむを得ない」とし,上告を棄却する22)。 (24)S―32.6.25〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最 3 判昭和 32 年 6 月 25 日(刑集 11 巻 6 号 1732 頁,
②→ S―30.6.28〈こ公衆浴場/無許可/刑〉名古屋高金沢支判)は,被告人の主張―前出,2 審参 照―について,S―30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最大判を援用して,公衆浴場法 2 条 1 項,8 条 1 号の規定は,憲法 22 条に違反しないとし,上告を棄却する。 (25)S―32.10.30〈た煙草小売/無指定/刑〉東京高判昭和 32 年 10 月 30 日23)(高刑 10 巻 9 号 734 頁) は,被告人の主張―製造たばこの小売人指定制を規定するたばこ専売法は憲法 22 条に違反する― について,「たばこの専売制は国の財政上の重要な収入を図るともに,一般国民の日常生活におけ る必要に応ずるテーゼ」(後述(C)(2)【た煙草販売】ア)参照)をいい,小売人指定制がないと, 「たばこ専売法の目的とする」「公益性は全く失われ,ひいて憲法第 22 条に規定する公共の福祉も 損われる結果を招くことになる」とし,控訴を棄却する。 (26)S―33.2.10〈し歯科関係(技工士)/禁止(印象採得)/刑〉大阪高判昭和 33 年 2 月 10 日24)(刑 集 13 巻 7 号 1139 頁,③→ S―34.7.8〈し歯科関係(技工士)/禁止(印象採得)/刑〉最大判)は, 被告人の主張―歯科医師でなければ歯科医業をしてはならないとする歯科医師法は憲法 22 条に違 反する―について,「患者の保健衛生上危害を生ずるおそれテーゼ」(後述(C)(2)【し歯科関係】ア) 参照)をいい,歯科医師法第 17 条及び歯科技工法の規定は「公共の福祉のために国民衛生を保護 する必要上設けられた制限であ」り,「職業の自由に違反」しない,とし,控訴を棄却する。 (27)S―33.3.6〈こ公衆浴場/無許可/刑〉大阪高判(高刑特 5 巻 3 号 85 頁)は,被告人の主張― 適正配置を定める公衆浴場法の規定は憲法 22 条に反する―について,S―30.1.26〈こ公衆浴場/無 許可/刑〉最大判を援用して控訴を棄却する25)。 (28)S―33.10.20〈こ公衆浴場/無許可/刑〉奈良地葛城支判昭和 33 年 10 月 20 日(刑集 14 巻 2 号 122 頁,② S―34.6.5〈こ公衆浴場/無許可/刑〉大阪高判,③→ S―35.2.11〈こ公衆浴場/無許可/ 刑〉最 1 判)は,被告人の主張―適正配置を定める公衆浴場法,奈良県条例の規定は,憲法 22 条 に反する―について,「設立を業者の自由に委せると偏在・濫立・経営の不安定・衛生的設備の低 下テーゼ」(後述(C)(2)【こ公衆浴場関係】ア)参照)をいい,「法律及条例を設けこれを適用 することは公共の福祉の為め必要なことで有って憲法第 22 条に反」しない,とし,有罪とする。 (29)S―34.6.5〈こ公衆浴場/無許可/刑〉大阪高判昭和 34 年 6 月 5 日(刑集 14 巻 2 号 123 頁,高 検速報 34 年 4 号 2 頁,①→ S―33.10.20〈こ公衆浴場/無許可/刑〉奈良地葛城支判,③→ S― 35.2.11〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最 1 判)は,被告人の主張―前出,1 審参照―について,S― 30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最大判,S―32.6.25〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最 3 判を援用 しつつ,「設立を業者の自由に委せると偏在・濫立・経営の不安定・衛生的設備の低下テーゼ」(後 述(C)(2)【こ公衆浴場関係】ア)参照をいい,控訴を棄却する。 (30)S―34.7.8〈し歯科関係(技工士)/禁止(印象採得)/刑〉最大判昭和 34 年 7 月 8 日(刑集 13 巻 7 号 1132 頁,②→ S―33.2.10〈し歯科関係(技工士)/禁止(印象採得)/刑〉大阪高判)は, 被告人の主張―前出,2 審参照―について,最 2 判昭和 28 年 6 月 28 日(集 7 巻 6 号 1389 頁)を 援用し,「患者の保健衛生上危害を生ずるおそれテーゼ」(後述(C)(2)【し歯科関係】ア)参照) をいい,「国民の保健衛生を保護するという公共の福祉のための当然の制限であり」,憲法 22 条に 違反しない,とし,上告を棄却する26)。 (31)S―34.10.7〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉大阪高判昭和 34 年 10 月 7 日(下刑 1 巻 10 号 2105 頁)は,被告人の主張―自動車運送事業の免許制,及び,自家用自動車の使用制限を 定める道路運送法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「免許制は道路運送の総合的な発達を 図るテーゼ」(後述(C)(2)【う運送関係】◎自家用有償運送ア)参照),「公共の福祉テーゼ」を
いい,道路運送法が,「免許を受けず自家用自動車を使用して自動車運送事業を経営したときは運 輸大臣」「が 6 箇月以内の期間を定めて右自家用自動車の使用を制限又は禁止することができると 定めていることも右免許制を実効あらしめるための行政処分であって,この処分に違反し自家用自 動車を使用することは公益に反するものであり」,「これを処罰することは憲法の職業選択の自由を 侵害するものでない」,「道路運送法第 130 条第 4 号により処罰した原判決は正当」とし,控訴を棄 却する。 (32)S―34.10.14〈こ公衆浴場/無許可/刑〉大阪高判昭和 34 年 10 月 14 日27)(判タ 98 号 57 頁)は, 被告人の主張―本件浴場は一般公衆を対象としたものではないので知事の許可を受けなくても公衆 浴場法 2 条 1 項には反しないうえ,浴場営業に許可を要するとした公衆浴場法の規定は憲法 22 条 に違反する―について,本件浴場には知事の許可が必要だとし,公衆浴場経営の許可制について,「設 立を業者の自由に委せると偏在・濫立・経営の不安定・衛生的設備の低下テーゼ」(後述(C)(2)【こ 公衆浴場関係】ア)参照)をいい,許可制は職業選択の自由に違反しない,として控訴を棄却する。 (33)S―35.1.27〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕最大判昭和 35 年 1 月 27 日の石坂反対意見は, 「正当な医療を受ける機会を失わせるおそれテーゼ」(後述(C)(2)【い医業関係】◎医業類似行 為イ)参照)をいい,「器具を使用して」,「医業類似行為を業とすることを禁止する本法は,公共 の福祉のため,必要とするのであって,職業選択の自由を不当に制限したとはいえない」とし,田 中,下飯坂反対意見は,「画一性は法の特色テーゼ」(後述(C)(2)【い医業関係】◎医業類似行 為ウ)参照)をいい,「本件のような場合に有害の虞れの有無の認定は不必要である」,「無害の行 為についても他の弊害が存する」として,それぞれ上告を棄却すべきとする。 (34)S―35.2.11〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最 1 判昭和 35 年 2 月 11 日(刑集 14 巻 2 号 119 頁,① → S―33.10.20〈こ公衆浴場/無許可/刑〉奈良地葛城支判,②→ S―34.6.5〈こ公衆浴場/無許可/刑〉 大阪高判)は,被告人の主張―前出,1 審参照―について,S―30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉 最大判を援用して,公衆浴場法 2 条及び奈良県条例は,憲法 22 条等に反しない,とし,上告を棄 却する。 (35)S―35.3.1〈ふ風俗(簡易飲食店)/営業時間/刑〉東京簡判昭和 35 年 3 月 1 日(刑集 16 巻 4 号 382 頁,③→ S―37.4.4〈ふ風俗(簡易飲食店)/営業時間/刑〉最大判)は,被告人の主張―都 風営法施行条例による営業時間制限が憲法 22 条に違反する―について,「公共の福祉テーゼ」,「社 会秩序・善良な風俗の維持テーゼ」(後述(C)(2)【ふ風俗関係】◎非性風俗系ア)参照)をいい, 「風俗営業等取締法第 3 条は都道府県に各地の実情に応じて善良の風俗を害する虞あるときはその 行為を防止するために必要な処分をすることを委任しこれに基いて同法施行条例第 22 条は営業時 間を制限していることは誠に当然であってその時間外営業を処罰することは公共の福祉を維持する ための必要な制限である」「からこの制限は何等憲法第 22 条に違反」しない,として有罪とする。 (36)S―35.4.18〈た宅建/登録取消/無効確認〉山口地判昭和 35 年 4 月 18 日(訟月 6 巻 5 号 1000 頁, ②→ S―36.2.16〈た宅建/登録取消/無効確認〉広島高判,③→ S―37.10.24〈た宅建/登録取消/ 無効確認〉最大判)は,原告の主張―営業保証金の供託義務を課する宅建業法の規定は憲法 22 条 に違反する―について,「公共の福祉テーゼ」,「宅地建物取引の業務運営の適正を欠くときは一般 社会に与える損害は甚大テーゼ」(後述(C)(2)【た宅地建物取引】ア)参照)をいい,「供託義 務は既存の業者についても,公共の福祉上必要己むを得ない規制の範囲を越えない」,「登録取消処 分には違法の点はない」として,原告の請求を棄却する。 (37)S―35.11.14〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉東京高判28)(判タ 115 号 51 頁,③
→ S―38.12.4〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉最大判は,被告人の主張―自動車運送事 業の免許制,及び,自家用自動車の使用制限を定める道路運送法の規定は憲法 22 条に違反する― について,「免許制は道路運送の総合的な発達を図るテーゼ」(後述【う運送関係】◎自家用有償運 送ア)参照),「公共の福祉テーゼ」をいい,「憲法の規定に牴触する無効のもので」ない,とし, 有罪とする。 (38)S―35.12.23〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉大阪地判昭和 35 年 12 月 23 日(刑集 20 巻 5 号 502 頁, ②→ S―40.8.5〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉大阪高判,③→ S―41.6.16〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉最 1 判) は,被告人の主張―適正配置を定める公衆浴場法,条例の規定は憲法 22 条に反し,条例は公衆浴 場法の委任の範囲を超える―について,「公共の福祉テーゼ」をいい,S―30.1.26〈こ公衆浴場/無 許可/刑〉最大判,S―32.6.25〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最 3 判,S―35.2.11〈こ公衆浴場/無許 可/刑〉最 1 判を援用し,「憲法第 22 条第 1 項の容認するところ」とし,有罪とする。 (39)S―36.1.30〈ば売春/禁止/刑〉大阪高判昭和 36 年 1 月 30 日29)(刑集 15 巻 7 号 1101 頁,③ → S―36.7.14〈ば売春/禁止/刑〉最 2 判)は,被告人の主張―売春防止法 12 条は憲法 22 条に違 反する―について,「職業選択の自由テーゼ」(後述(C)(1)【全体】ア)参照。以下,「職業選択 の自由テーゼ」に関し,後述(C)(1)【全体】ア)参照 を省略する)を述べ,「売春は人として の尊厳を害し,性道徳に反するテーゼ」(後述(C)(2)【ば売春】ア)参照)をいい,「『自己の占 有し若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に婦女を居住させてこれに売春をさせることを 業とする』ことは,公共の福祉に反する」とし,「右所為を禁止処罰する売春防止法」は,「憲法第 22 条に違反」しない,として,控訴を棄却する。 (40)S―36.2.16〈た宅建/登録取消/無効確認〉広島高判昭和 36 年 2 月 16 日(民集 16 巻 10 号 2157 頁,①→ S―35.4.18〈た宅建/登録取消/無効確認〉山口地判,③→ S―37.10.24〈た宅建/登 録取消/無効確認〉最大判)は,原告の主張―前出,1 審参照―は,1 審と同旨で原告の請求を棄 却する。 (41)S―36.4.11〈し職業紹介(公衆衛生・公衆道徳/禁止/刑〉最 3 判昭和 36 年 4 月 11 日30)(刑 集 15 巻 4 号 716 頁)は,被告人の主張―公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介をする ことを禁じる職業安定法の規定は憲法 22 条に違反する―について,S―25.6.21〈し職業紹介/禁止(有 料)/刑〉最大判を援用し,上告を棄却する。 (42)S―36.4.14〈ほ法務(司法書士)/不認可/取消〉大阪高判昭和 36 年 4 月 14 日(行集 12 巻 4 号 901 頁)は,原告の主張―司法書士の認可制は憲法 22 条に違反する―について,「公共の福祉テー ゼ」,「司法書士業務の特殊性と公共性テーゼ」(後述(C)(2)【ほ法務関係】◎司法書士○不認可ア) 参照)をいい,「これを許可営業としたことは」,「一般国民の利益保護の見地から必要な自由の制限」 だとし,「憲法第 22 条に違反」せず,不認可処分にはなんら違法がない,とし,控訴を棄却する。 (43)S―36.6. 8〈ぎ技術士/禁止(称号)/国賠〉東京地判昭和 36 年 6 月 8 日(訟月 7 巻 6 号 1281 頁,②→ S―36.12.19〈ぎ技術士/禁止(称号)/国賠〉東京高判,③→ S―40.3.5〈ぎ技術士/禁止(称 号)/国賠〉最 2 判)は,原告の主張―技術士でない者は技術士の称号を使用してはならないとす る技術士法の規定は,旧技術士の職業選択遂行の自由を剥奪,制限する―について,「技術士法 39 条は名称独占規定テーゼ」(後述(C)(2)【ぎ技術士】ア)参照)をいい,「それは,職業選択遂 行の自由自体を剥奪または制限するものではな」く,「公共の福祉に合致する」という。さらに,「公 共の福祉」テーゼ,「技術士法 39 条は,科学技術の向上,国民経済の発展という積極的な国民の総 合的福祉を計るテーゼ」(後述(C)(2)【ぎ技術士】イ)参照)をいい,請求を棄却する。
(44)S―36.7.14〈ば売春/禁止/刑〉最 2 判昭和 36 年 7 月 14 日(刑集 15 巻 7 号 1097 頁,②→ S― 36.1.30〈ば売春/禁止/刑〉大阪高判)は,被告人の主張―前出,2 審参照―について,S―25.6.21 〈し職業紹介/禁止(有料)/刑〉最大判を援用し,「公共の福祉テーゼ」,「売春は人としての尊厳 を害し,性道徳に反するテーゼ」(後述(C)(2)【ば売春】ア)参照)をいい,上告を棄却する。 (45)S―36.11.14〈こ公衆浴場/建築確認なし/刑〉仙台高判(判タ 130 号 64 頁,①→ S―35.3.28〈こ 公衆浴場/建築確認なし/刑〉青森地判)は,被告人の主張―適正配置を定める公衆浴場法,青森 県条例の規定は憲法 22 条に反する―について,公衆浴場法違反に関しては,問題となった浴場は「特 定の組合に加入している組合員の全体は,多数であっても,特定しているから,公衆ではない」と して公衆浴場法違反にならず無罪とするが,建築確認違反に関しては,「公共の福祉テーゼ」をいい, S―30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最大判を援用し,後述 1 審判決を破棄し31) ,有罪とする。 (46)S―36.12.13〈い医業関係/禁止(薬品塗布)/刑〉東京高判昭和 36 年 12 月 13 日(判タ 127 号 54 頁)は,被告人の主張―医業類似行為を禁止する医師法の規定は憲法 22 条に違反する―につ いて,「被告人等の所為が医師法第 17 条の規定に違反したものであることは明らか」とし,「医業 は公衆衛生に直接関係し国民の健康な生活を確保するテーゼ」(後述(C)(2)【い医業関係】◎薬 品塗布ア)参照)をいい,「法が医師でない者が医業をなすことを禁止するのは公共の福祉のため 必要」であって,職業選択の自由を不当に制限したものでないとし,控訴を棄却する。 (47)S―36.12.19〈ぎ技術士/禁止(称号)/国賠〉東京高判昭和 36 年 12 月 19 日(訟月 8 巻 1 号 23 頁,①→ S―36.6.8〈ぎ技術士/禁止(称号)/国賠〉東京地判,③→ S―40.3.5〈ぎ技術士/禁止 (称号)/国賠〉最 2 判)は,原告の主張―前出,1 審参照―について,「技術士法 39 条は,科学 技術の向上,国民経済の発展という積極的な国民の総合的福祉を計るテーゼ」(後述(C)(2)【ぎ 技術士】イ)参照),「技術士法 39 条は名称独占規定テーゼ」(後述(C)(2)【ぎ技術士】ア)参照) をいい,「技術士法第 39 条が公共の福祉に反しない限り,職業選択の自由を保障する日本国憲法第 22 条第 1 項に違反するものとはいえない」,「国が技術士法を施行し,これに基いて技術士試験を 実施したことは何ら違憲ではない」とし,控訴を棄却する。 (48)S―36.12.20〈か貸金業/無届出/刑〉最大判昭和 36 年 12 月 20 日32)(刑集 15 巻 11 号 1864 頁は, 被告人の主張―貸金業を届出制とする貸金業等の取締に関する法律の規定は憲法 22 条に違反する ―について,「不正の金融から一般大衆を守るテーゼ」(後述(C)(2)【か貸金業】イ)参照)を いい,届出制は「公共の福祉を維持するため必要であり,かつ,合理性のある措置」であるとし, 上告を棄却する33)。 (49)S―37.4.4〈ふ風俗(簡易飲食店)/営業時間/刑〉最大判昭和 37 年 4 月 4 日34)(刑集 16 巻 4 号 377 頁,①→ S―35.3.1〈ふ風俗(簡易飲食店)/営業時間/刑〉東京簡判)は,被告人の主張― 前出,1 審参照―について,「社会秩序・善良な風俗の維持テーゼ」(後述(C)(2)【ふ風俗関係】 ◎ 非性風俗系ア)参照)をいい,条例「による営業時間の制限は,右のような弊害を防止するた めに必要な措置であって,公共の福祉のために是認されるべき」とし,上告を棄却する35)。 (50)S―37.10.24〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉東京地判昭和 37 年 10 月 24 日36) (行集 13 巻 10 号 1858 頁,②→ S―38.4.26〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在 確認〉東京高判,③→ S―41.7.20〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉最大判)は, 原告の主張―薬局の許可更新義務を定めた薬事法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「開設 許可の更新制は薬局に許可基準に適合する状態を維持させるためテーゼ」(後述(C)(2)【い医薬 品関係】◎更新義務ア)参照)をいい,「薬局の開設が薬剤師の免許とはまた別の公益的見地から
規制されるべきものとしている」,「右のごとき要請のために一般的に薬局の開設を禁止し,これを 行政庁の許可又はその更新にかからしめることは合理的な理由を有」し,「薬剤師の免許制度と矛 盾するとも解せられないし,また,憲法の保障する職業選択の自由,個人の尊厳を侵すものとはい えない」と述べ,請求を棄却する37)。 (51)S―37.10.24〈た宅建/登録取消/無効確認〉最大判昭和 37 年 10 月 24 日(民集 16 巻 10 号 2143 頁,①→ S―35.4.18〈た宅建/登録取消/無効確認〉山口地判,②→ S―36.2.16〈た宅建/登録 取消/無効確認〉広島高判)は,原告の主張―前出,1 審参照―について,S―25.6.7〈せ石炭販売 /禁止/刑〉最大判,S―28.3.18〈こ古物商/無許可/刑〉最大判を援用し,「公共の福祉テーゼ」,「宅 地建物取引の業務運営の適正を欠くときは一般社会に与える損害は甚大テーゼ」(後述(C)(2)【た 宅地建物取引】ア)参照)をいい,宅建業法は「営業保証金の制度を設け,業者と取引する関係者 に対し不測の経済的損害を蒙る虞を除去し,その信頼度を高めることとした」という。そして,「公 共の福祉を維持するための必要な規制措置」であって,「かかる措置は,既存の業者についても, また必要であ」り,「しかも相当の猶予期間をおいて供託を命じているのであるから,所論営業保 証金の制度は,憲法 22 条に違反」しない,とし,上告を棄却する。 (52)S―38.4.12〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉東京高判昭和 38 年 4 月 12 日(下刑 5 巻 3・4 号 197 頁)は,被告人の主張―自動車運送事業の免許制は憲法 22 条に違反する―について, 「公共の福祉テーゼ」をいい,道路運送法の免許制は,「公共の福祉のための営業の自由に対する制 限」とし,控訴を棄却する。 (53)S―38.4.26〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉東京高判昭和 38 年 4 月 26 日(民集 20 巻 6 号 1234 頁,①→ S―37.10.24〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉 東京地判,③→ S―41.7.20〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉最大判)は,原 告の主張―前出,1 審参照―について,1 審と同旨で控訴を棄却する。 (54)S―38.7.22〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕仙台高判昭和 38 年 7 月 22 日(判時 345 号 12 頁,①→ S―28.4.16〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕平簡判,②→ S―29.6.29〔い医業関係 /禁止(類似行為)/刑〕仙台高判,③→ S―35.1.27〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕最大判, ③’→ S―39.5.7〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕最 1 決)は,被告人の主張―前出,1 審参 照―について,「医業類似行為の禁止は公衆の保健衛生の向上に合致テーゼ」(後述(C)(2)【い 医業関係】◎医業類似行為ア)参照)をいい,「かかる医業類似行為を業とすることが,公共の福 祉に反することも自明の理である」,「禁止したところで」「職業選択の自由を奪うものでない」とし, 控訴を棄却する。 (55)S―38.11.12〈だ大学理事/調停手続開始/無効確認〉東京地判昭和 38 年 11 月 12 日(行集 14 巻 11 号 2024 頁)は,原告の主張―当事者を解職する権限を所轄庁に与える調停法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「私立学校は自主的に管理テーゼ」(後述(C)(1)【だ大学理事】ア) 参照)をいうが,「私立学校は公共性を有するテーゼ」(後述(C)(2)【だ大学理事】ア)参照) をいい,「公共の見地から必要がある場合に,所轄庁が私立学校に対して監督権を行使することを 認めても,憲法第 22 条等の規定に反」しない,「もっとも,所轄庁による監督も,法律で定めさえ すればいかなることも許されるというものではなく,そこにはおのずから一定の限界があ」り,「そ の限界は右の自主性および経営の自由よりの要請と公共性よりの要請との調和点に求められなけれ ばならない」,調停法 10 条の「当該学校法人の正常な管理及び運営を図るため他に方法がないとき」 という「要件は」,「公平な第三者がみて当該役員を排除することが私立学校の公共性を維持するた
めに真に已むを得ない」「ときにのみ解職の要件が充たされ」,「このような限度で私立学校の自主 性と経営者の経営の自由(これは役員の営業の自由という意味で憲法第 22 条の職業選択の自由に 含まれるであろう。)に対し学校の公共性を優先させることは公共の福祉からみて許される」と述べ, 「調停法が憲法に違反して当事者たる役員の人権を侵害し営業の自由を奪うことになるとはいえな い」として,原告の請求を棄却する38)。 (56)S―38.11.22〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉京都地判昭和 38 年 11 月 22 日39)(刑 集 18 巻 10 号 987 頁)は,被告人の主張―自動車運送事業の免許制は憲法 22 条に違反する―につ いて,「公共の福祉テーゼ」,「免許制は道路運送の総合的な発達を図るテーゼ」(後述(C)(2)【う 運送関係】◎自家用有償運送ア)参照)をいい,「一定の免許基準(6 条)を定め,更に免許する か否かの相当性の裁量の余地を運輸大臣に留保したからといってそれを目して直ちに職業選択の自 由を保障する憲法 22 条に違反するということはできない」として,有罪とする。 (57)S―38.12.4〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉最大判昭和 38 年 12 月 4 日(刑集 17 巻 12 号 2434 頁,②→ S―35.11.14〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉)は,被告人の主張― 前出,2 審参照―について,「公共の福祉テーゼ」,「免許制は道路運送の総合的な発達を図るテーゼ」 (後述(C)(2)【う運送関係】◎自家用有償運送ア)参照),「自家用自動車の有償運送行為放任は 免許制度崩壊のおそれテーゼ」(後述(C)(2)【う運送関係】◎自家用有償運送イ)参照)をいい, 道路運送法「が自家用自動車を有償運送の用に供することを禁止しているのもまた公共の福祉の確 保のために必要な制限」とし,上告を棄却する。 (58)S―39.5.7〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕最 1 決昭和 39 年 5 月 7 日(刑集 18 巻 4 号 144 頁,①→ S―28.4.16〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕平簡判,②→ S―29.6.29〔い医業関 係/禁止(類似行為)/刑〕仙台高判,③→ S―35.1.27〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕最 大判,②’→ S―38.7.22〔い医業関係/禁止(類似行為)/刑〕仙台高判〕は,被告人の主張―前出, 1 審参照―について,「本件 HS 式無熱高周波療法が人の健康に害を及ぼすおそれのあるものであ るとした原判決の認定は」,「証拠関係により是認し得る」とし40),上告を棄却する41)。 (59)S―39.7.15〈た煙草小売/無指定/刑〉最大判昭和 39 年 7 月 15 日42)(刑集 18 巻 6 号 386 頁)は, 被告人の主張―小売人指定制をとるたばこ専売法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「公共 の福祉テーゼ」,「たばこの専売制は国の財政上の重要な収入を図るともに,一般国民の日常生活に おける必要に応ずるテーゼ」(後述(C)(2)【た煙草販売】ア)参照)をいい,「右専売制は,公 共の福祉を維持するための制度」であり,公社の売り渡さないたばこの譲渡・譲受等を禁止するた ばこ専売法 66 条 1 項が,「たばこその他の物につき所有等の制限を定め」,「違反行為に対し必要な 罰則を設けているのは」,「たばこ等の専売制を支障なく施行する上に遺憾なきを期するためのもの であ」り,「右条項は,合理的な根拠に基づき且つ公共の福祉の要請に適合する規定」であって, 憲法 22 条に違反しない,とし,上告を棄却する43)。 (60)S―40.3.5〈ぎ技術士/禁止(称号)/国賠〉最 2 判昭和 40 年 3 月 5 日(民集 19 巻 2 号 213 頁, ①→ S―36.6.8〈ぎ技術士/禁止(称号)/国賠〉東京地判,②→ S―36.12.19〈ぎ技術士/禁止(称号) /国賠〉東京高判)は,原告の主張―前出,1 審参照―について,「公共の福祉テーゼ」をいい, S―37.10.24〈た宅建/登録取消/無効確認〉最大判を援用し,2 審判決「が右技術士法 39 条および 同法附則 3 項が,職業選択の自由を保障する憲法 22 条 1 項に違反しない旨判示したことは,正当」 とし,上告を棄却する。 (61)S―40.7.1〔は廃棄物(清掃業)/不許可/取消〕横浜地判昭和 40 年 7 月 1 日(行集 16 巻 8 号
1434 頁,②→ S―42.11.21〔は廃棄物(清掃業)/不許可/取消〕東京高判,③→ S―47.10.12〔は廃 棄物(清掃業)/不許可/取消〕最 1 判,②’→ S―51.3.30〔は廃棄物(清掃業)/不許可/取消〕 東京高判)は,原告の主張―清掃法施行時に認められていた既存業者に対する経過措置が厚生省の 通達により適用されないのは憲法 22 条に違反する―について,被告,平塚市長としては,原告の 許可申請に対して,「市の人口及びその増加率,既に許可を与えた業者の営業能力,塚市(長)の 監督能力,許可申請者の営業能力及びこれまでの実績,その有する職業選択の権利その他諸般の事 情を裁量のうえ許可・不許可の処分をなしうる」という。そして,「職業選択の自由テーゼ」をい うとともに,「公共の福祉テーゼ」をいい,「汚物取扱業許可申請に対する判断は清掃法の立法趣旨 規定あるいは憲法などからみて,不法と断ぜざるをえないような場合つまり行政庁に委ねられた裁 量権の行使を逸脱したような場合を除けば第 1 次的には行政権の範囲に属する」とする。そして,「あ らたにし尿浄化槽内汚物収集等のため業者を加える必要は余りなく,これを加えると既存 6 業者が 被告の指示に応じてなしたし尿浄化槽内汚物収集のため投下した設備を無用なものとするおそれが ある」等述べ,「不許可処分を裁量権の範囲を逸脱した不法なもの」でない,として請求を棄却する。 (62)S―40.7.14〈い医薬品関係/無登録(販売)/刑〉最大判昭和 40 年 7 月 14 日44)(刑集 19 巻 5 号 554 頁)は,被告人の主張―医薬品販売業の登録制をとる薬事法の規定は憲法 22 条に違反する ―について,「一般公衆に対する保健衛生上有害な結果の発生を未然に防止テーゼ」(後述(C)(2) 【い医薬品関係】◎無登録販売ア)参照)をいい,「登録制は,ひっきょう公共の福祉を確保するた めの制度」であり,憲法 22 条に違反しない,とし,上告を棄却する45)。 (63)S―40.8.5〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉大阪高判昭和 40 年 8 月 5 日(刑集 20 巻 5 号 525 頁,① → S―35.12.23〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉大阪地判,③→ S―41.6.16〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉は, 被告人の主張―前出,1 審参照―について,1 審と同旨で控訴を棄却する。 (64)S―41.4.8〔ほ法務(司法書士)/不認可/取消〕徳島地判昭和 41 年 4 月 8 日(訟月 12 巻 5 号 702 頁)は,原告の主張―司法書士の選考試験をしたうえで不認可処分をすることは憲法 22 条に 違反する―について,「司法書士にある程度の教養および学力を要求するのは一般国民の利益保護 に必要テーゼ」(後述(C)(2)【ほ法務関係】○不認可イ)参照)をいい,「司法書士法並びにそ の委任を受けた司法書士法施行規則の認可に関する」「諸規定は,公共の福祉を維持するための必 要な制限であ」り,これに基いて,被告,徳島地方法務局長が為した不認可処分は,「憲法の諸規 定に違反」しない,とし,請求を棄却する。 (65)S―41.6.7〔ふ風俗(ビンゴ)/不許可/取消〕福岡地判昭和 41 年 6 月 7 日(行集 17 巻 6 号 634 頁)は,原告の主張―パチンコやスマートボールについては営業を認めながらビンゴゲーム営 業については新規営業のみならず相続による承継までも認めないのは憲法 22 条に違反する―につ いて,「社会秩序・善良な風俗の維持テーゼ」(後述(C)(2)【ふ風俗関係】◎非性風俗系ア)参照) をいい,種々検討し,「本件不許可処分は被告に与えられた裁量権の範囲を逸脱した不法のものと 断定」できない,として,訴えを棄却する46)。 (66)S―41.6.16〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉最 1 判昭和 41 年 6 月 16 日(刑集 20 巻 5 号 471 頁,① → 35.12.23〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉,②→ S―40.8.5〈こ公衆浴場/贈賄/刑〉大阪高判)は,被 告人の主張―前出,1 審参照―について,S―30.1.26〈こ公衆浴場/無許可/刑〉最大判を援用し,「公 衆浴場法 2 条,大阪府公衆浴場法施行条例および大阪府浴場審議会規則が憲法 22 条に違反」しない, とし,上告を棄却する。 (67)S―41.7.20〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉最大判(民集 20 巻 6 号
1217 頁,①→ S―37.10.24〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉東京地判,② → S―38.4.26〈い医薬品関係(薬局)/許可更新義務/不存在確認〉東京高判)は,原告の主張― 前出,1 審参照―について,「開設許可の更新制は薬局に許可基準に適合する状態を維持させるた めテーゼ」(後述(C)(2)【い医薬品関係】◎更新義務ア)参照)をいい,「薬剤師の業務の遂行 については,単に薬学の知識調剤の技術,能力の具備を主眼として与えられる免許とは別に,公衆 衛生の見地からするこのような薬局に対する規制も不合理とはいえない」,「薬剤師に対する諸規制 は,その免許,許可の目的と薬剤師業務の実態とを併せ考えれば,これを過重不合理のものとは認 めがたく,いずれも,公共の福祉のためにする職業に対する制約」とし,さらに,「公共の福祉テー ゼ」をいい,上告を棄却する47)。 (68)S―42.11.29〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉神戸地判昭和 42 年 11 月 29 日(下刑 9 巻 11 号 1444 頁)は,被告人の主張―自動車運送事業の免許制,及び,自家用自動車による有償 運送の禁止は憲法 22 条に違反する―について,「公共の福祉テーゼ」,「自家用自動車の有償運送行 為の放任は免許制度崩壊のおそれテーゼ(後述(C)(2)【う運送関係】◎自家用有償運送イ)参照) をいい,有罪とする。 (69)S―43.7.30〈い医薬品関係(薬局)/不許可/取消〉広島高判昭和 43 年 7 月 30 日(民集 29 巻 4 号 635 頁,①→ S―42.4.17〈い医薬品関係(薬局)/不許可/取消〉広島地判,③→ S―50.4.30〈い 医薬品関係(薬局)/不許可/取消〉最大判)は,被控訴人(1 審原告)の主張―薬局の配置規制 に関する薬事法の規定,及び,それを受けた県条例は憲法 22 条に違反する―について,「行政処分 は処分時の法律に準拠テーゼ」(後述(C)(2)【い医薬品関係】◎適正配置ア)参照)をいう。そ して,「薬局の偏在・濫立・経営不安定・医薬品の品質低下テーゼ」(後述(C)(2)【い医薬品関係】 ◎適正配置イ)参照)をいい,「薬局などの設置の場所が配置の適正を欠き,その偏在ないし濫立 をきたすに至るが如きは,公共の福祉に反するものであ」り,「薬局の開設などに許可を与えない ことができる旨の右改正薬事法およびこれに基く右広島県条例は」,憲法第 22 条に違反しない,と し,事案の検討の結果,不許可処分を取り消した 1 審判決を取消す。 (70)S―43.9.30〈こ小売市場/無許可/刑〉東大阪簡判昭和 43 年 9 月 30 日(刑集 26 巻 9 号 603 頁, ②→ S―44.11.28〈こ小売市場/無許可/刑〉大阪高判,③→ S―47.11.22〈こ小売市場/無許可/刑〉 最大判)は,被告人の主張―小売商業調整特別措置法の許可制を定める規定は憲法 22 条に違反す る―について,「公共の福祉テーゼ」,「小売商の事業活動の機会の適正確保,小売商業の正常な秩 序を阻害する要因の除去,国民経済の健全な発展を目的とするテーゼ」(後述後述(C)(2)【こ小 売市場】ア)参照)をいい,「本法 3 条 1 項および同法施行令 2 条は,その目的達成のための最小 必要限度の制約を規定して」おり,「これをもって右条項が憲法 22 条 1 項に違反して無効なものと いうことはできない」48)とし,有罪とする。 (71)S―43.11.13〈い医薬品関係(薬局)/不許可/取消〉広島高判昭和 43 年 11 月 13 日(訟月 14 巻 12 号 1364 頁,①→ S―42.4.17〈い医薬品関係(薬局)/不許可/取消〉は,被控訴人(1 審原告) の主張―薬局の配置規制に関する薬事法の規定,及び,それを受けた県条例は憲法 22 条に違反す る―について,「行政処分は処分時の法律に準拠テーゼ」(後述(C)(2)【い医薬品関係】◎適正 配置ア)参照)をいう。そして,「公共の福祉テーゼ」,「薬局の偏在・濫立・経営不安定・医薬品 の品質低下テーゼ」(後述(C)(2)【い医薬品関係】◎適正配置イ)参照)をいい,「配置規制に 関する法律ならびに条例」は,憲法 22 条に違背しない,という。そして,事案を検討し,不許可 処分を取り消した 1 審判決を取消す49)。
(72)S―44.6.7〈こ小売市場/無許可/刑〉大阪高判昭和 44 年 6 月 7 日(高刑 22 巻 2 号 252 頁)は, 被告人の主張―許可制を定める小売商業調整特別措置法の規定は憲法 22 条に違反する―について, 「公共の福祉テーゼ」をいいつつ,「職業選択の自由テーゼ」(後述 注 89)参照)をいい,「かかる 自由に対する公共の福祉からする制限もできる限り厳密に限定されるべき」としつつ,「小売市場 の乱立・過当競争の防止・経済的弱者である小売市場商人の保護テーゼ」(後述(C)(2)【こ小売 市場】イ)参照)をいい,同法の許可制は憲法 22 条に違反しない,という。そして,種々検討し, 控訴を棄却する。 (73)S―44.9.30〈こ小売市場/無許可/刑〉大阪高判昭和 44 年 9 月 30 日(判タ 242 号 312 頁)は, 被告人の主張―許可制を定める小売商業調整特別措置法の規定は憲法 22 条に違反する―について, 「公共の福祉テーゼ」,「小売市場の乱立・過当競争の防止・経済的弱者である小売市場商人の保護テー ゼ」(後述(C)(2)【こ小売市場】イ)参照)をいい,「小売市場商人に対する保護が,小売市場 を開設しようとする者の営業の自由を,若干侵害する結果をきたしたとしても,公共の福祉を保持 するためけだし,止むを得ない」として,憲法 22 条に違反しないとし,控訴を棄却する50)。 (74)S―44.11.28〈こ小売市場/無許可/刑〉大阪高判昭和 44 年 11 月 28 日(刑集 26 巻 9 号 610 頁, ①→ S―43.9.30〈こ小売市場/無許可/刑〉東大阪簡判,③→ S―47.11.22〈こ小売市場/無許可/刑〉 は,被告人の主張―前出,1 審参照―について,「職業選択の自由テーゼ」,「公共の福祉テーゼ」,「小 売市場の乱立・過当競争の防止・経済的弱者である小売市場商人の保護テーゼ」(後述(C)(2)【こ 小売市場】イ)参照)をいい,「公共の福祉に基づく必要最少限度の制限であって必要の限度を逸 脱したものとは解せられず」,措置法の各規定は憲法 22 条に違反しない,とし,控訴を棄却し,有 罪とする51)。 (75)S―45.9.30〔い医薬品関係/無登録(販売)/刑〕津山簡判昭和 45 年 9 月 30 日(判タ 263 号 350 頁)は,弁護人の主張―細胞土は薬事法にいう「医薬品」にあたらず,かりにあたるとしても, 職業選択の自由が保障されることから「医薬品」の解釈は限定的になされるべき―について,「一 般公衆に対する保健衛生上有害な結果の発生を未然に防止テーゼ」(後述(C)(2)【い医薬品関係】 ◎無登録販売ア)参照)をいい,薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ医薬 品の販売等を許さない薬事法の規定は,「憲法第 13 条の本旨に基づき,公共の福祉のための必要上, 規定されたものであるから,医薬品販売業を制約するところがあるとしても」,「職業選択の自由を 侵すものとは解されない」という。そして,「本件細胞土が社会一般の通常人をして人の疾病の治療, 予防に使用される目的性をもつものである旨認識させるに十分であ」り,薬事法にいう「医薬品」 として有罪とする。 (76)S―45.12.17〔か会計士/登録抹消/取消〕東京高判昭和 45 年 12 月 17 日52)(行集 21 巻 11・12 号 1402 頁,①→ S―45.2.23〔か会計士/登録抹消/取消〕東京地判,③→ S―50.9.26〔か会計士/ 登録抹消/取消〕最 2 判)は,原告の主張―大蔵大臣のした公認会計士名簿の登録抹消処分は職業 選択の自由(職業からの離脱の自由)を侵害する―について,「公認会計士の地位は業務の公共性, 社会的重要性ゆえ登録により大蔵大臣及び協会から監督を受けるテーゼ」(後述(C)(2)【か会計士】 ア)参照)をいい,被控訴人(1 審原告)が,「粉飾経理の事実を知りながら,その財務書類に虚 偽のないものとして証明をしたことは,公認会計士として法律上特に付与せられた右のような社会 的公共的な責務の重大さを全く忘却,放擲し,ひいては公認会計士制度の有する機能を破壊する」 という。そして,大蔵大臣が「登録抹消の懲戒処分をなしたことをもって,社会観念上著しく妥当 を欠き懲戒権者たる」大蔵大臣「にまかされた裁量権の範囲をこえ,またはその濫用があったと解
することは到底できない」とし,2 審判決を取り消し,被控訴人の請求を棄却する。 (77)S―46.4.17〔う運送(個人タクシー)/免許申請却下/取消〕東京地判昭和 46 年 4 月 17 日(訟 月 18 巻 3 号 360 頁,②→ S―52.2.3〔う運送(個人タクシー)/免許申請却下/取消〕東京高判)は, 原告の主張―申請の許可決定手続において,道路運送法 6 条に基づく具体的審査基準の適用上必要 とされる事項について弁解の機会を与えずに却下処分としたのは違法である53)―について,S― 38.12.4〈う運送(自家用)/無免許(有償)/刑〉最大判を援用して,「道路運送法の採用する免 許制が憲法 22 条の保障する国民の職業選択の自由に対する制約である」という。そして,「適正手 続テーゼ」(後述(C)(1)【う運送関係】ア)参照)をいい,「具体的審査基準を免許申請者であ る原告に告知し,又は一般に公表したとはいえず,他にこれを認めるに足りる証拠がない。したがっ て本件処分には手続上の瑕疵がある」とするものの,「本件処分に右のような手続上の瑕疵があっ ても,本件処分の内容が適法,正当である以上,これを取り消すのは相当でない」とし,処分の内 容の適否について検討する。そして,「道路運送法は,自動車運送事業が公共の福祉にかかわる」 とし,「自動車運送事業の免許は特許テーゼ」54)(後述(C)(2)【う運送関係】◎個人タクシー免許・ 許可ア)参照)をいい,「免許の許否が国民の職業選択の自由にかかわること,ならびに同法が抽 象的ではあるが免許基準を定めてこれを審査しなければならないとしていることにかんがみ,同法 6 条 1 項各号の免許基準に適合するかどうかの判断は,いわゆる自由裁量ではなく,法規裁量に属 する」としつつも,種々検討し,処分は違法でないとして原告の請求を棄却する。 (78)S―48.7.25〈だ大学理事/解職/無効確認〉東京地判昭和 48 年 7 月 25 日(行集 24 巻 6・7 号 626 頁,②→ S―50.2.27〈だ大学理事/解職/無効確認〉東京高裁)は,原告の主張―当事者を解 職する権限を所轄庁に与える調停法の規定は憲法 22 条に違反する―について,「職業選択の自由 テーゼ」とともに,「公共の福祉テーゼ」,「私立学校は公共性を有するテーゼ」(後述(C)(2)【だ 大学理事】ア)参照)をいい,「学校法人ないし私立学校に対する種々の規制は,教育の公共性と いう公共の福祉の観点から合理化されるわけであるが,いかなる規制でも許されるというものでは なく,その限界(すなわち,規制が許される場合とその方法・程度についての限界)は右公共性の 要請と私立学校経営の自由ないし学校法人における管理運営の自主性の要請との調和点に求められ なければならない」とし,「教育を受ける学生に対しきわめて悪い影響を及ぼすテーゼ」(後述(C) (2)【だ大学理事】イ)参照)をいい,「学校法人に対する解散命令(私立学校法 62 条)といった 終局的な段階に至る前の救済方法として被告に理事等の解職権を認めることは,教育の公共性とい う公共の福祉の観点からみてまことにやむをえない」とする。そして,特定個人が学校法人の理事 等になる自由ないし理事等の地位を行政権によりみだりに奪われない自由との関連においても同旨 を述べ,「本件調停法 10 条 4 項は憲法 22 条 1 項に違反」しない,「原告の主張する本件解職処分の 無効事由はいずれも認めることができない」として,請求を棄却する55)。 (79)S―49.10.22〈ふ風俗(個室付浴場)/営業禁止(条例)/刑〉東京高判昭和 49 年 10 月 22 日(東 高刑報 25 巻 10 号 92 頁)は,被告人の主張―風営法に基づき,相模原市全域を個室付浴場の禁止 区域と指定する神奈川県条例は,風営法の委任の範囲を越え違法であり,営業活動の自由を侵害す る―について,「公共の福祉テーゼ」をいい,風営法 4 条の 4 第 2 項は,「一定地域における善良の 風俗保持の必要に出た合理的な制限であって,右条項に基づく条例の適用については同条第 3 項に おいて,現に公衆浴場法 2 条 1 項の許可を受けて営業している個室付浴場業に対する適用除外を明 確にし,第 2 項による営業活動の制限」は「将来におけるものである」,「神奈川県条例が相模原市 全域を個室付浴場業の禁止区域と指定したことは右風俗営業等取締法 4 条の 4 第 2 項の委任の範囲
を越える違法のものとは認められないし,また,憲法 22 条 1 項は国民に営業活動の自由を保障す るものではあるが,国が国民生活の平穏ないし善良の風俗保持の一手段として営業活動に必要かつ 合理的規制措置を講ずることは右条項の公共の福祉による制約として憲法の禁ずるところではな」 い,とし,「右規定による制限は公共の福祉による制約の範囲内のもの」で,憲法 22 条に違反しな いという。 (80)S―49.12.10〔ふ風俗(個室付浴場)/営業禁止(児童遊園設置認可)/刑〕仙台高秋田支判 昭和 49 年 12 月 10 日56)(判タ 323 号 279 頁,③→ S―53.6.16〔ふ風俗(個室付浴場)/営業禁止(児 童遊園設置認可)/刑〕最 2 判)は,被告人の主張―知事の児童遊園設置を認可した行為は憲法 22 条に違反する―について,「児童遊園は児童厚生施設として不適当な場所にないテーゼ」(後述(C) (2)【ふ風俗関係】◎性風俗系イ)参照)をいい,「児童遊園が児童厚生施設としての福祉施設最低 基準所定の要件等の実質的要件に欠けているとは思われず」,「本件認可が無効であるとは考えられ ない」とする。そして,「公共の福祉テーゼ」をいい,「右動機・目的は適法であり,本件認可が同 条同項に違反」しない,として,控訴を棄却する57)。 (81)S―50.2.27〈だ大学理事/解職/無効確認〉東京高裁昭和 50 年 2 月 27 日(行集 26 巻 2 号 301 頁, ①→ S―48.7,25〈が学校/理事解職/無効確認〉東京地判)は,1 審と同旨で控訴を棄却する。 (82)S―50.4.14〈ふ風俗(モーテル)/営業廃止/無効確認〉名古屋地判昭和 50 年 4 月 14 日(判 タ 320 号 131 頁,②→ S―52.10.20〈ふ風俗(モーテル)/営業廃止/無効確認〉名古屋高判)は, 原告の主張―モーテル営業を風俗営業の一種として規制する風営法の規定,及び,これを受けて一 定地域でのモーテル営業を禁止する愛知県風営法施行条例の規定は憲法 22 条に違反する―につい て,「職業選択の自由テーゼ」をいうが,「モーテル特有の性犯罪防止テーゼ」(後述(C)(2)【ふ 風俗関係】◎性風俗系ウ)参照),「公共の福祉テーゼ」をいい,「モーテル営業という個人の経済 的活動に対する規制は,個人の自由な活動からもたらされる諸種の弊害が社会公共の安全と秩序の 維持の見地から看過することができない場合に,消極的に,右弊害を除去または緩和ずるために必 要かつ合理的な規制である限り,その法的規制が許される」とする。そして,種々検討し,「かか る規制は」「各弊害を除去するため,やむをえない相当の規制というべく,必ずしも不合理なもの とみることはできない」,「一般のモーテル営業を全面的に禁止したものではないことからみても, 本件規制が憲法 22 条 1 項に反」しない,県風営法施行条例「もまた合憲適法であるから,これら に基づいてなされた本件処分は適法なもの」とし,請求を棄却する58)。 (83)S―50.9.26〔か会計士/登録抹消/取消〕最 2 判昭和 50 年 9 月 26 日59)(民集 29 巻 8 号 1338 頁, ①→ S―45.2.23〔か会計士/登録抹消/取消〕東京地判,②→ S―45.12.17〔か会計士/登録抹消/ 取消〕東京高判)は,原告の主張―前出,2 審参照―について,「公認会計士の地位は業務の公共性, 社会的重要性ゆえ登録により大蔵大臣及び協会から監督を受けるテーゼ」(後述(C)(2)【か会計士】 ア)参照)をいい,「公認会計士たる地位の喪失は,当該公認会計士が業務遂行の意思がなくなっ たことを明らかにし,かつ,監督機関において監督関係の保持の必要がないと認めたときに」,「す なわち」,「公認会計士がその業務を廃止した時ではなく,協会が」大蔵大臣による公認会計士名簿 の登録抹消の懲戒処分「に基づいて登録を抹消した時に生ずる」とし,上告を棄却する。 (84)S―50.5.29〔う運送(バス)/免許申請却下/取消〕最 1 判昭和 50 年 5 月 29 日(民集 29 巻 5 号 662 頁,①→ S―38.12.25〔う運送(バス)/免許申請却下/取消〕東京地判,②→ S―42.7.25〔う 運送(バス)/免許申請却下/取消〕東京高判)は,原告の主張―一般乗合旅客自動車運送事業の 免許申請を却下した処分は憲法 22 条に違反する―について,「公共の福祉テーゼ」をいい,「自動