(1)3.患者情報共有システムの活用報告
佐々木智枝子1
,宇佐美友規1
,八木 早苗1
,
宗 雅世1
,川崎 典子1
,谷口 恵子1
,
杉山 芳崇1
,松下 鮎美1
,望月 峻也1
,
森 典子2
地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立総合病院
1
人工透析室,2
腎臓内科
【はじめに】
在宅血液透析(以後 HHD)導入時や機器の点検時に患者
の自宅を訪問し HHD 環境や物品管理を確認している.
2018 年 7 月より患者宅の HHD 環境の情報共有をするため
にふじのくにネット内の患者情報共有システム「ふじのく
に SNS」を活用しているので報告する.
〈ふじのくにネットとは〉
静岡県内患者の診療情報を複数の医療関連施設間で共有
し,患者により良い医療を提供する為のコンピュターネッ
トワークシステムである.
ふじのくにネット参加施設は開示施設 18(病院,診療
所),参照施設 132(病院,診療所,保険薬局,訪問介護ス
テーション,介護保険施設)である.
〈ふじのくに SNS とは〉
医療者が患者のページに情報を書きこんだり,写真を
撮って貼りつけたりすると病院の電子カルテからその情報
を見ることができる.
【方法】
1.対象:2018 年 7 月~2019 年 9 月に訪問した HHD 患者
18 名
2.患者宅を訪問した時にタブレット型コンピューターを使
用し,「ふじのくに SNS」患者画面から患者宅の HHD
環境を撮影する
3.訪問中に入力した画面情報などをカンファレンスで,情
報共有する
【結果】
自宅での物品管理の状態や HHD 環境が電子カルテで画像
確認でき,カンファレンスで問題点を共有し患者指導につ
なげることができた.
〈写真撮影場所:チェック項目〉
・物品の保管場所:整理整頓,保管方法,過剰在庫
・針捨て BOX:蓋つきの物を使用し蓋が閉まっているか,
保管方法
・ベッド周り,オーバーテーブル:整理整頓,掃除
・コンソール,RO 装置,配管:配線や配管の折れ曲がり,
掃除
【考察】
HHD は自宅での治療のため訪問時の情報は担当者の主
観的判断によるものが多かったが,HHD 環境の画像の取り
込みにより,可視化ができ,情報共有が容易となった.
HHD 環境の情報共有をすることで安全に HHD を継続する
ための指導に繋がると考える.
情報保持セキュリティー面においても,患者情報の紐づ
けが確実で,安全に電子カルテ内に格納できた.
4.在宅血液透析における新たな指標 squared
frequencyKt/Vを用いた透析量評価法の提案
村上 佳弥1
,小久保謙一1,2
,廣瀬 稔1,2
,
小林こず恵1,2
,小林 弘祐1,2
,久保田 勝1,2
1
北里大学大学院 医療系研究科,
2
北里大学 医療衛生学部
【背景・目的】
在宅血液透析(HHD)では,透析量を増加させる長時間
透析や短時間頻回透析など様々なスケジュールが可能であ
る.慢性透析療法の治療評価は,Kt/V 値が汎用されてい
る.Kt/V 値は 1 回の治療効率を表す指標であり,頻度の
異なる治療での比較は難しい.また,異なる透析スケジュー
ルでの治療評価には,Hemodialysis Product(HDP)=n2
t
(n:週あたりの透析日数;t:透析時間)が用いられる.
HDP は患者の臨床症状とよく一致すると報告されている
が,患者の体格やクリアランスは含まれない.そこで,我々
の研究では HDP が除去溶質の週最大濃度をよく反映して
いる指標であることを明らかにした.その結果をもとに作
成した新たな指標 squared frequency Kt/V(sf-Kt/V)=
n2
Kt/V(n:週あたりの透析日数;K:クリアランス;t:
透析時間;V:総体液量)の特徴を明らかにすることを目
的とした.
【方法】
小分子物質と中分子物質における 1 週間の溶質濃度の経
時変化を求めた.34 通りの透析スケジュールでそれぞれの
週最大濃度と時間平均濃度を算出し,週あたりの合計透析
時間と HDP との相関を比較し,モデル適合性の評価をお
こなった.また,その結果をもとに作成した新たな指標
sf-Kt/V を作成し,その特徴を検討した.
【結果】
小分子物質,中分子物質の週最大濃度のモデルの適合性
は,HDP のほうが週あたりの合計透析時間と比べて高かっ
た.HDP と週最大濃度の相関は週あたりの合計透析時間と
週最大濃度の相関と比べて,小分子物質,中分子物質のす
べてで有意に相関が高かった.
そこで,小分子物質の週最大濃度に影響を与える因子を
考慮して,新たな指標 sf-Kt/V を考案した.sf-Kt/V は HDP
に比べ,異なるクリアランスにおいても,小分子物質の週
最大濃度で有意にモデルの適合性が高かった.
【考察・結論】
HDP は透析スケジュールが同じであれば,クリアランス
に関わらず同じ値となってしまう.しかし,sf-Kt/V は,
クリアランスを反映できる指標となっているため,異なる
透析条件や透析スケジュールにおいても違いを数値化でき
るという点で有用である.sf-Kt/V を用いれば,患者の体
格に見合った透析スケジュールを提案したり,除去したい
溶質量から必要とされるクリアランスや透析時間,透析日
数などを設定したりすることが可能となる.
一般演題 1
2.学会講演後記録(一般報告)
(2)4.原水に湧水を使用した場合のRO膜交換時期の
検討
福留 悠樹1
,吉岡 典子1
,英 理香1
,
松浦 翔太1
,道脇 宏行1
,田尾 知浩1
,
岡田 一義2
1
(社医)川島会 川島透析クリニック 臨床工学部,
2
(社医)川島会 川島病院 腎臓科(透析・腎移植)
【背景】
当院では 4 名の在宅血液透析(以下:HHD)患者を受け
持っており内 1 名は,原水に湧水を使用している.第 19 回
在宅血液透析研究会にて,湧水を使用する場合,状況に応
じた前処理装置を設置し,RO 膜の交換頻度を 1 年に 1 回
とすれば安全に HHD が実施できると報告した.
【目的・方法】
RO 膜の交換頻度をメーカ推奨である 2 年に 1 回へ変更
する事が可能か検討した.評価項目は,原水導電率(mS/
m),RO 膜後導電率(mS/m),除去率(%)とした.原水
導電率は,前処理装置を通過し,個人用 RO 装置に流入す
る際の値とした.各項目の数値は患者が個人用 RO 装置に
表示される値を月初めに記録した.天候が原水水質,RO
膜の性能に影響する事を考慮し,悪天候時は天候回復後 2
日以内の評価項目値を記録する事とした.中止基準は除去
率が 90% 未満,RO 膜後導電率が 2.0mS/m 以上とし,悪天
候基準は台風上陸及び台風接近(徳島県気象情報より)と
した.
【結果】
原水導電率の推移は,26.7~33.3mS/m であり,悪天候後
では 12.27~28.01mS/m と低下した.RO 膜後導電率の推移
は 0.18~0.37mS/m であり,天候による影響はなかった.
除去率の推移は 99.0~99.5% であり,悪天候後では 98.1~
98.8% に低下した.悪天候時に低下した原水導電率,除去
率は翌月には悪天候前の数値へと上昇した.
【まとめ】
RO 膜の交換頻度をメーカ推奨である 2 年に 1 回へ変更
したが,除去率の大きな低下や RO 膜後導電率の上昇はな
く,除去率も 99% 台と新品時の値と同等で経過した.これ
は前処理装置として設置した軟水器によって RO 膜への負
担を軽減したことが大きな要因であると考える.
悪天候時に原水導電率が一時的に低下した要因としては
導電率の低い雨水が大量に湧水の水源に流れ込んだ為と考
えられたが,水源の導電率を実際には測定していない.今
後悪天候時の水質変化を詳細に調査する必要性がある.
本検証より前処理装置などを適正に設置すれば,RO 膜
の交換頻度を延長しても安全にHHDが実施可能であった.
3.在宅血液透析(HHD)導入後の看護師として
のサポート体制を考える
清水 操,小林 孝大,南 嘉継,伊達 敏行
(医)腎愛会だてクリニック
【序論】
当院における HHD 導入後の管理体制は,主に機器に関
する専門的な要素が多いことから臨床工学技士が中心と
なって行っており,これまで看護師は介入してこなかった.
【目的】
各家庭に潜在すると思われる問題点に対し,看護師目線
からの気付きを求めて,HHD 定期訪問に同行・面談するこ
とで,患者・介助者間の不安や不満要素を引き出す.
【対象】
a.HHD 歴:2 年 5 ヵ月,介助者:妻
b.HHD 歴:4 年 9 ヵ月,介助者:妻
c.HHD 歴:11 年,介助者:結婚を機に半年前より実母か
ら妻へ移行.
【結果】
a 氏:HHD 訓練中より介助者に依存し押し付ける傾向を
認めたが,導入後は更にエスカレートし,医材発注や装置
の日常点検等の大半まで任せていた.
b 氏:介助者が多忙な看護師ゆえに必要最小限の介助す
ら遠慮し,殆ど自身一人で行なっていた.
c 氏:従来高齢の母に対する配慮からほぼ一人で行って
いたが,介助者が切り替わっても従来方式から脱却できず
妻も介入を躊躇していた.
初回面談に対してはどの家庭も特に問題ないとの回答で
あったため,訪問結果から得られた問題点に対する指導内
容を,後日手紙で通知し再度面談を申し込んだ.
HHD 継続の中で,家族間の事情や生活様式によって管理
方法が変化していったことが伺え,お互いをサポートした
い気持ちが各家庭に共通して感じられた.
【考察】
患者・介助者間に潜む問題点は一方的に話し答えを聞き
出そうとするのではなく,各家庭の状況を踏まえ問題提起
することで意思疎通が図れ,コミュニケーションの幅は広
がると考える.
些細と思われるようなことでも気軽に話や相談のできる
空気作りが大切であり,医療者側は安全性の観点から適切
な助言や指導を行えるスキルが必要となる.
また特別リスクを伴わない作業に関する役割の分担は,
患者・介助者の心情や家庭環境を配慮した上で臨機応変に
対応しても良いと考えるが,一見良好と思われる両者間に
も隠れた不安や不満が潜んでいる可能性も否定できず,関
わりを継続的に行っていく過程で適宜フォローして行きた
いと考える.
【結語】
HHD 訪問に看護師が加わることにより,より充実したサ
ポート体制が可能になると思われる.
一般演題 2
(3)2.当院の在宅血液透析における透析液清浄化の担
保
深澤加奈子1
,角田 伊世1
,蔦木 翔1
,
金丸美羽子1
,内藤 大地1
,山本 唯1
,
降旗 俊輝1
,藤岡 未宇1
,清水 健司1
,
望月 仁1
,深澤 瑞也2
1
山梨大学医学部附属病院 ME センター,
2
山梨大学医学部附属病院 血液浄化療法部
【はじめに】
個人用透析システムは RO 装置から透析装置までの透析
用水送水ラインの洗浄や消毒が行えず最低限の水質管理基
準の透析液作成を目的とした透析システムである.当院で
は全自動熱水消毒型個人用透析システム(以下システム)
を在宅血液透析(以下 HHD)に採用している.
【装置】
透析装置:NCV-10i,RO 装置:NCR×ecoAo800.本シ
ステムを採用していることにより RO 膜以降のライン洗浄
を次亜塩素酸ナトリウムによる薬液消毒,活性炭フィルタ
以降の RO 膜から ETRF・RO タンクまで熱水消毒,さら
に透析装置と RO 装置が信号連動していることでループ配
管以降も洗浄消毒が可能.
【メリット】
デッドスペース無しに配管全てにおいて洗浄消毒が可能
であること,装置が信号連動していることで RO 装置は間
欠的に作動し,かつ RO タンクを内蔵していることにより
省エネ対策にも寄与する.また,洗浄消毒の週間プログラ
ム機能を有しており,自動で洗浄消毒が可能である.
【装置の現状】
透析装置は次亜塩素酸 Na による薬液消毒に酢酸を追加
した酸洗浄,熱水消毒を追加したものでプログラムされて
いる.RO 装置は次亜塩素酸 Na による薬液消毒に週 1 回の
熱水消毒を追加し,すべて透析装置からの信号連動にて施
行.定期点検は年 2 回とし,その際に生菌・エンドトキシ
ン活性値(以下 ET 活性値)を測定.RO 装置出口・透析
装置 ETRF 前・後において生菌数は不検出,ET 活性値に
おいても検出感度以下.
【結果】
透析液は透析用水の段階で ultra-pure の基準を満たして
いる.
【考察】
本システムを HHD に採用することで透析液清浄化は担
保されていると考える.
【まとめ】
多人数用透析システムにおいては厳しい水質管理が問わ
れる昨今,ETRF を最後の砦にしているような個人用透析
システム『HHD』について問いたい.
HHD の透析液水質基準は各施設基準に準じるとされて
いる為,定められた基準はない.しかし HHD をおこなう
ことによる頻回透析で得られるはずの体調改善が水質の影
響を受けてしまったら意味をなさないのではないか.
今後も HHD における透析液清浄化の担保に努めていき
たい.
1.在宅血液透析におけるROモジュール閉塞の要
因分析~第二報~
大橋 直人1
,杉山 正夫1
,伊佐慎太郎1
,
村杉 浩1
,本多 仁1
,友利 浩司2
,
大浜 和也1
,岡田 浩一2
埼玉医科大学病院 1
臨床工学部,2
腎臓内科
【緒言】
在宅血液透析(HHD)で使用する個人用逆浸透装置は軟
水器などの前処理工程が一部簡略化され,且つ小型の RO
モジュール形状のため,水質や水温,季節変動などにより
モジュール内に負荷が掛かりやすい構造になっている1)2)
.
以前,我々は他学会にて水温及び生物学的汚染物質の蓄積
が RO モジュール閉塞の要因であることについて報告し
た.今回,HHD の個人用逆浸透装置における RO モジュー
ル閉塞の要因を明らかにする目的で原水中の成分を元に調
査・分析した.
【対象・方法】
5 年間調査可能であった個人用逆浸透装置 17 台を対象
に,RO モジュール閉塞に至った装置の地域を調査した.
また,原水中の化学的汚染物質(カルシウム,マグネシウ
ム,ナトリウム,カリウム,アルミニウム),TOC(全有
機炭素),総硬度,シリカ,SDI(シルト濃度指数)値につ
いて RO モジュール閉塞の有無(8:9)で比較した.更に
各地域における県営浄水場の水質検査を分析した.今回,
RO モジュール閉塞有無の比較は Student’st-test 用い,5%
未満を統計学的に有意差ありとした.
【結果】
RO モジュール閉塞は埼玉県西部の一部に集中してお
り,SDI 値は 16.9±2.4 と有意に高値を認めた(未閉塞の
SDI 値 4.7±2.0).その他,化学的汚染物質,TOC(有 0.83
±0.18mg/L,無 0.85±0.25mg/L),総硬度(有 65.5±6.8mg/
L,無 64.0±4.2mg/L),シリカ(有 16.7±6.5mg/L,無 19.7
±6.2mg/L)では閉塞の有無に関わらず基準値以内であり
差は認めなかった.また,県営浄水場の水質検査では各浄
水場共に厚生労働省が示す水質基準値以下であった.
【まとめ・考察】
埼玉県西部は SDI 値が高く,RO モジュール閉塞が発生
しやすい地域であった.また,各浄水場の水質検査では厚
生労働省が示す水質基準値以下であり,各浄水場共に差は
なく同等であった.以上のことから,埼玉県西部の地域で
は浄水場から患者宅までの水路である配管内の汚染が影響
し,0.45μm 以上の懸濁物質が膜表面や細孔内に付着・堆積
したことが要因と推察される.本検討より,RO モジュー
ル閉塞の要因は生物学的汚染物質,水温だけではなく SDI
値も影響していることが示唆された.
参考文献
1)峰島三千男 他:頻回・長時間透析の現状と展望,透析会
誌 52(9):497~531,2019
2)大濵和也:水質管理・機器の保守点検,臨床透析vol.35no.10
201937・1263
一般演題 3
(4)4.HD リンクの使用経験
高森 佳代1
,中段沙緒里4
,松井 未紀1
,
山形 智子2
,山本美由紀2
,小野 亮一1
,
手島 和子2
,本丸 忠生4
,丹治 知恵3
,
碓井 公治3
医療法人一陽会 一陽会クリニック 1
血液浄化部,
2
看護部,3
医局,4
医療法人一陽会 原田病院 血液浄化部
当院では 5 名の患者が在宅血液透析(以下 HHD)を実施
しており,実績の確認や患者との接点は月 1 回の病院受診
時のみで,リアルタイムでの実績確認や体調管理が難しい
状況である.患者との連絡は専用の携帯電話を使用してい
るが,口頭だけではトラブル時のスムーズな誘導が困難な
場合がある.今回状況把握のタイムラグを軽減できるよう
日機装社製 HD リンクを試験導入し,HHD 患者の見守り支
援に活用したため報告する.
対象は患者背景を考慮して,40 代男性(透析歴 4 年 1 ヶ
月,HHD 歴 3 年 3 ヶ月)とした.導入後 HHD 管理や患者
の負担がどのように変化したか評価する.
HD リンクは体重入力のみで透析記録が自動で作成さ
れ,患者の負担が軽減した,トラブル時に画像やコメント
送信をしてもらうことで指示や誘導のスムーズな対応が期
待できる.施設側では遠隔で透析記録や装置自己診断の確
認ができ,工程を確認することで,HHD 状況の把握ができ
た.患者から「透析記録が自動作成されて記入の手間が減
り,透析中楽に過ごせた」「コメントの送信が簡単,何か
あったときはすぐに病院に報告できる」「トラブルがあった
ら画像で送ります」といった感想があった.
上記に対して,患者からのコメントに直接返信ができな
い,患者宅に新たにルーター,LAN ケーブル,タブレット
の設置が必要であることがデメリットである.そして,今
後期待する機能として,透析中のリアルタイムな透析記録
確認,警報履歴確認,BV 計の遠隔確認及び記録用紙転記,
テレビ電話機能,血液データ確認,透析記録の電子カルテ
との連動,物品在庫の把握,自宅訪問履歴管理等が挙げら
れる.
HD リンクを使用することで病院にいながら HHD の状
況把握が可能になった.透析記録の自動作成機能で患者の
記録記入の負担は軽減し,施設側は装置の日常管理,透析
記録を毎日確認することで血圧変動や除水状況の把握がし
やすくなった.画像送信やコメント機能を活用することで
スムーズなトラブル対応が期待できるが,透析中のリアル
タイムな透析記録や警報履歴確認はできず,患者との円滑
な連携を図るために今後さらなる機能の充実を期待したい.
一般演題 3
(5)3.当院におけるRO装置のフィルタ頻回交換の事
例
高橋 正樹
医療法人 三和会 東鷲宮病院透析センター
【はじめに】
HHD を開始してから,RO 装置のプレフィルタとカーボ
ンフィルタ交換を頻回に行った事例について報告する.
【対象】
期間:1 年 2 ヶ月間で行った 8 回の交換
対象機器:JWS 社製 MH500CX,以下 RO 装置.日機装社
製透析装置 DBB-100NX.
患者宅背景
・築 15 年の一軒家
・水道管の母管から自宅まで枝管を70m引き込んでいる構
造.
・水道が使用されているのは夕方から朝方であり,1 日の
およそ 10 時間は,水道管からの水の流動性はない状態.
・市水道 70%,井戸水 30%の割合.
【経緯】
・HHD を開始してから,1 ヶ月後にプレフィルタとカーボ
ンフィルタが目詰まりを起こし給水圧低下警報が発生.
・両フィルタの交換を行ったが,1 ヶ月後に再度,給水圧
低下警報が発生.
【水質分析結果】
・RO 装置の目詰まりの原因とされている物質の数値は,
TOC 0.7mg/l, 総 硬 度 40mg/l, シ リ カ 22mg/l, 鉄
0.012mg/l,マンガン 0.004mg/l であり高値を示していな
かった.
【フィルタ分析結果】
①プレフィルタは,全体が褐色に着色,繊維に褐色の粘状
物質の付着を確認.酸処理で溶解,脱色分散した.
②酸処理液を分析した結果多量の鉄,マンガン及び TOC
が検出された.
カーボンフィルタ表面にも褐色に着色が見られた.
【SDI 値測定結果】
使用上限値の 4 よりも高い 8.5 であった.
【対策】
カーボンフィルタを標準タイプから炭素充填量の少ない
標準外カーボンフィルタに変更した.炭素充填量の少ない
カーボンフィルタの特徴はフィルタの目が粗く,目詰まり
しにくい形状である.
【対策後の変化】
①標準外カーボンフィルタに変更後,RO 装置処理後の水
質検査では,いずれの数値も測定感度未満であり,標準
タイプと比べても塩素除去能力は遜色なかった.
②交換頻度は変更前 1 ヶ月に 1 回交換が必要だったが,標
準外カーボンフィルタに変更後は,交換頻度が 2 ヶ月~
3 ヶ月に 1 回程度になった.通常は半年に 1 回両フィル
タを交換している.
【考察】
①SDI 値が 8.5 と高かったことから,患者宅へ供給されて
いる配管設備の環境や枝管での滞留時間,配管の老朽化
及び難溶性イオンのスケールにより目詰まりを起こした
と考えられる.
②フィルタや RO 膜閉塞を防止する為に,RO 装置流入前
にフィルタ追加するなど前処理の検討が必要であると考
えられる.
2.在宅血液透析(HHD)における RO 水の水質
と ETRF の管理についての検討
久保 哲哉1
,田中 敬1
,廣川 隆一1
,
一色 啓二2
,富田 耕彬1,2
1
第二富田クリニック,2
富田クリニック
【目的】
在宅血液透析(HHD)における個人用 RO 装置は,その
使用が間欠的であるため装置内で原水が停滞し,生物学的
汚染が進行しやすい1)
.HHD において透析液の無菌性を担
保するにはエンドトキシン捕捉フィルター(ETRF)が必
須であるが,ETRF 入口側のバイオバーデンおよび ETRF
にかかる負荷は不明である.そこで今回 HHD における RO
水の生物学的汚染度と ETRF の管理について検討を行っ
た.
【対象および方法】
当院で HHD 施行中の患者 5 名について RO 水のエンド
トキシン(ET)と細菌数を施設の RO 水と比較した.測定
期間は 2019 年 4 月~9 月とし,ET はエンドスペシー法,
細菌培養はメンブレンフィルター法により測定した.RO
装置はMH500CXⓇ
(JWS社製),個人用透析装置はNCU-12Ⓡ
(ニプロ社製)を使用し,ETRF は疎水性 PES 膜である
CF609NⓇ
(ニプロ社製)を使用した.また HHD と施設で
6 ヶ月使用後の ETRF について,それぞれ 1 本ずつ限外濾
過率(UFR)および ET と細菌の対数減少値(LRV)の性
能試験を行った.
【結果】
RO 水の生物学的汚染度は ET 値(HHD:0.04 ± 0.05
EU/ml,施設:測定感度未満),および細菌数(HHD:22.6
±27.9CFU/ml,施設:0.2±0.3CFU/ml)ともに HHD の
方が有意に高く,透析医学会の定める透析用水の基準を超
える家庭もあった.LRV はメーカー保証性能(ET4 以上,
細菌8 以上)を維持していたが,UFR は施設使用品が未使
用品と比較して 18%の低下率であったのに対し,HHD で
は 45%の低下率となった.
【考察】
HHD における個人用 RO 装置ではカーボンフィルター
以降のエリアで細菌が繁殖する可能性が高く,稼働直後の
初期抜水機能もないため,上流からの工程管理は困難であ
る.また RO 水の ET 値,細菌数ともに各患者宅でばらつ
きが大きく,細菌数が 100CFU/ml を超える家庭もあり,
ETRF1 本では無菌性が担保されない可能性がある.HHD
における UFR の低下はバイオバーデンの高さが影響して
いると考えられるが,親水性膜を使用した ETRF では経過
とともに UFR が増加し ET 阻止能が低下するという報告
もある2)
.そのため透析液の無菌性を担保するためには
ETRF をメーカー推奨通りの期間で交換することが必要で
あると思われる.
【結論】
HHD において透析液の無菌性を担保するには ETRF を
2 本設置し,メーカー推奨通りに交換する必要がある.
参考文献
1)(公社)日本臨床工学技士会透析液等安全委員会:2016年
版透析液水質基準達成のための手順書Ver1.00,2017.
2)TetsuyaKashiwagietal.:ThePerformanceEvaluationof
Endotoxin Retentive Filters in Haemodialysis J Nippon
MedSch2011;78(4)
(6)2.HHD における加圧式 VA マッサージにて PTA
間隔延長を試みた 1 例
星子 清貴1
,松田 政二2
,森石みさき2
,
川西 秀樹1
,土谷晋一郎1
1
あかね会 土谷総合病院 診療技術部 人工臓器部,
2
中島土谷クリニック
【はじめに】
近年,透析施設において加圧式 VA マッサージ(PVM)
が開存期間延長に効果があるとの報告がある.今回,短期
間に PTA を繰り返す在宅血液透析(HHD)患者に対し,
患者自身が PVM の方法を習得し PTA 間隔の延長を試み
たので報告する.
【対象】
70 歳代男性.DM 性腎症により 2011 年に HD 導入,2012
年より HHD 移行となる.HHD 歴は 7 年である.HHD の
条件は週 6 回で 1 週間当たりの透析時間は 12 時間だが,
2017 年より週 4 回で 1 週間当たり 12 時間に変更した.年
間あたりの PTA の回数だが 2015 年に 1 回,2017 年に 2
回,2018 年に 5 回,2019 年に 6 回であった.
【方法】
2018 年より PTA 間隔が短縮したため 2019 年 5 月より患
者自身による PVM の指導を行い,月 1 回の定期受診毎に
PVM の手技確認を行った.また VA エコーは定期受診毎
に施行し PVM 前後での上腕動脈血流量(FV),末梢血管
抵抗指数(RI),PTA 毎に拡張している狭窄部の内腔径を
計測した.
【結果】
PVM 前後でのエコー評価では FV430±166ml/min から
458±160ml/min となり PVM 後で有意に増加した(P<
0.0001).RI は 0.67±0.08 から 0.64±0.08 となり有意な差は
認めなかった(P=0.316).拡張部の内腔径は 2.5±0.6mm か
ら 2.7±0.5mm となり有意に PVM 後に拡大を認めた(P<
0.0001).2019 年 PVM 導入前の PTA 間隔は平均 44.5 日で
あったが導入後初回は 49 日,2 回目は 70 日と PTA 間隔を
延長することができた.また PVM 導入前は HHD 中に脱
血が出来なくなり緊急 PTA を繰り返していたが,PVM 導
入後は計画的な PTA で対応できている.
【まとめ】
今回,PVM 導入に関しては患者の受け入れもよく非常
に協力的であった.しかし,個人の性格からか PVM の手
技が自己流になっており,受診毎に手技の確認を行い狭窄
部に圧がかかるように再度指導した.PVM を導入して間
がないが少しでも PTA 間隔が延びると本人も満足されて
いた.今後,更なる PTA 間隔の延長を目指したい.
【結語】
HHD患者自身によるPVMでも分岐の少ない内膜肥厚に
よる血管狭窄に対しては有効である可能性がある.
1.在宅血液透析における家庭訪問からみえてきた
実際
古澤真由美,横江 直美,住谷 ゆみ,
荒木 陽子,一色 啓二,富田 耕彬
医療法人社団富田クリニック
【はじめに】
在宅血液透析(HHD)は,医療者不在で実施するため患
者・介助者に委ねられた責任は大きく,自己管理能力の向
上や HHD 中に起ったトラブルに対応する能力が求められ
る.当院では,トラブルを未然に防ぎ安心して安全な HHD
を継続するために家庭訪問を開始した.現在 2 年が経過し
たのでその実際を報告する.
【目的】
家庭訪問から患者・介助者が抱える問題を理解し,今後
の HHD における支援の在り方を検討する.
【対象】
当院 HHD 患者・介助者各 11 名.
【方法】
報告書を集計し①看護師からの指導内容②患者・介助者
からの質問③ HHD における不安の三項目に分類し分析し
た.
【結果】
項目①には自己流で習慣化した手技や操作があった.項
目②には普段あまり実施することがない緊急時の対処につ
いての質問が多くみられた.項目③では医療者が把握でき
ていなかった現状が明らかとなり,結果 HHD を離脱した
ケースもあった.また,高齢の患者・介助者からは,いつ
まで HHD を継続できるのかという漠然とした精神的不安
が聴かれた.
【考察】
今回,家庭訪問を実施したことで HHD の実際を知るこ
とが出来た.手技の確認のみであれば,施設で行うことも
可能であるが,あえて自宅に訪問することで普段の実施状
況をありのまま知ることが出来る.
患者・介助者は,HHD を続けていくうちに慣れが生じ自
己判断で行動しがちになる.その結果,手技や操作を自己
流にアレンジし習慣化してしまうケースがよく見られる.
それらの手技や操作が,マニュアルに準じたルールの中で
安全に行われているか否かを,各職種が専門性を生かしな
がら充分検討することが必要である.更に,情報をチーム
で共有することで,統一した支援を行うことが可能になる.
また,現在スムーズに HHD を継続出来ていると捉えて
いた患者・介助者でも,将来「HHD が出来なくなるかもし
れない」という漠然とした不安を抱えていることが分かっ
た.高齢により生じる個々の問題を具体的に予測すること
は困難だが,その思いに寄り添い傾聴しながら患者・介助
者にとっての最善の選択を共に考えることが私たちの責務
であると考える.
一般演題 5
(7)4.在宅血液透析中にシャント閉塞によって一時的
に長期留置型カテーテルを使用した 1 例
種山 嗣高1
,村主 美佳1
,竹石 康広1
,
佐藤 大樹1
,西澤 喬光1
,斉藤 祐太1
,
正木 一郎1
,菅沼 信也2
医療法人社団菅沼会 腎内科クリニック世田谷
1
臨床工学部,2
人工透析内科
【目的】
当院は施設透析で長期留置カテーテル(以下カテ)を使
用している患者はいるが,在宅血液透析(以下 HHD)でカ
テ使用者はいなかった.今回,バスキュラーアクセス(以
下 VA)閉塞によりカテを挿入,再建した VA が育つまで
カテで HHD を行ったので報告する.また居住区のゴミ回
収業者と医療廃棄物の廃棄方法についてトラブルがあり併
せて報告する.
【対象】
年齢 50 代,透析歴 5 年,HHD 歴 19 ヶ月
【経過】
X 月 X 日 VA 閉塞(左腕),5 日後 入院し VA 再建
(右腕),カテを挿入,6 日後 退院し当院で手技確認,9 日
後 HHD 再開,37 日後 VA 穿刺訓練開始,63 日後 HHD
で VA 穿刺移行,83 日後 カテ抜去
【結果】
導入時より VA トラブルが少なく今回の VA 閉塞で初め
て大きなトラブルを抱え,カテで HHD を行う.週一回来
院して穿刺訓練,目処がついた所でカテを抜去し VA 穿刺
に移行.医療廃棄物は回収業者と都の認識が異なっていた
が,患者の廃棄方法は問題が無い事を確認できた.
【考察】
当院ではカテを使用した HHD は経験が無かったが,患
者のカテ透析の手技習得が速やかであった為,問題なく
HHD を継続できた.また利き腕への VA 作成により利き
腕ではない腕で穿刺する必要があったが,カテ使用期間中
に,自身で血管走行の確認や刺し方の練習をしていたため,
特にトラブルなく習熟する事ができた.
また,回収業者の中には廃棄物に対して不審に思う方も
いるようだが,捨ててはいけない物ではないため,袋にしっ
かりと包み,外に見えないように捨てる対処をとれば問題
ない事が分かった.医療廃棄物の廃棄方法は行政と回収業
者の間で解釈が異なり,廃棄方法に問題がなくても回収さ
れない事があったが,今回行政の解釈を伝えたことで回収
業者の理解が得られた.
【まとめ】
1,カテを使用する事で,施設透析に戻ることなく HHD を
再開できた.また VA 穿刺の移行もスムーズに施行可
能であった.
2,HHD の廃棄物の廃棄方法は,行政の解釈を伝えたこと
で回収業者の理解が得られた.
3.VA トラブルの経験から在宅血液透析(HHD)
患者の望ましいボタンホール(BH)運用を考
える
小林 孝大,岸田 拓也,南 嘉継,
山口 基,伊達 敏行
(医)腎愛会だてクリニック
【序論】
BH 穿刺は毎回同じ刺入角度で穿刺することが求めら
れ,特に HHD の様な常に同一人物が穿刺を行う場合では
有利に作用することから,当院では 3 名の全 HHD 患者に
導入している.しかし本年度に入り患者 2 名が相次ぎ VA
の一部閉塞を来たし,エコー検査にて BH 近傍部に内膜肥
厚所見が確認された.
【目的】
穿刺頻度の多い HHD において,BH 穿刺ゆえに発生する
問題点を吟味し,今後の対策や注意点,継続の可否につい
ても検討する.
【対象】
a.HHD 歴(BH 歴):4 年 9 ヵ月,透析回数:週 5~6 回
b.HHD 歴(BH 歴):2 年 5 ヵ月,透析回数:週 6~7 回
c.HHD 歴:11 年,BH 歴:約 8 年,透析回数:週 4 回,
VA トラブル経験なし
【方法】
1.VAトラブル発生前における穿刺状況の変化や透析記録
の見直しを行った.
2.VA の一部閉塞を来たした 2 名の BH を再建し,エコー
検査にて半年間,血管状態を観察した.
【結果】
1.対象 a.b は共に,VA トラブル発生の約 1 ヵ月前より BH
穿刺の不調や静脈圧異常が発生していたが,HHD を継
続してきた自負心からか施設側への報告を怠り同一部
位の穿刺を継続していた.また施設側も,HHD 導入時
に設定したルールが遵守されていないことを薄々感じ
ていたが,親しさとマンネリ化から指導・改善に着手し
てこなかった.今回の経験から HHD ルールの再確認,
エコー検査や自宅訪問回数を増やす等,管理体制の見直
しを図った.
2.BH 再建部の観察所見では,約 3 ヵ月頃より内膜肥厚が
発生し徐々に悪化した後,BH 穿刺をスムーズに行えな
い頻度が増えてきた.
一方週 4 回透析の対象 c は,内膜肥厚の所見が確認され
たが,経過観察中は特に悪化を認めなかった.
【考察】
HHD 患者は,穿刺回数の多い事が内膜肥厚形成の進行を
早める可能性もあり,定期的なフォローが必要である.今
後は 2 ヶ月を目途に BH 位置変更を行うか,BH を週に 1~
2 日程度休息させるべく,2 パターンの BH を作製し,交互
に穿刺することで安定性が計れるかを検討予定である.ま
た施設側の積極的な聞き取り体制の不備を痛感し,HHD に
おけるコミュニケーションの重要性を再認識した.
【結語】
穿刺頻度の多い HHD の BH 管理に関しては,施設・患
者双方がVAに高い関心を持って運用していく必要がある.
一般演題 5
(8)5.JWS 社製新型個人用透析用水作成装置 MJ-1
の使用経験について
高橋 稔1
,中釡 祥吾1
,佐藤 大樹1
,
矢部 竜也2
,原田 聡子2
,川畑 勝2
,
野老山武士3
,原 正樹3
東京透析フロンティア池袋駅北口クリニック
1
臨床工学部,2
看護部,3
腎臓内科
【緒言】
本邦では在宅血液透析(HHD)専用機器の上市はなく,
各施設で使用している個人用透析監視装置,個人用 RO 装
置を使用している.HHD 実施においては操作が簡便で,居
宅に適したものが望まれている.HHD 向けに新たに販売さ
れた JWS 社製新型個人用透析用水作成装置 MJ-1 の使用経
験について報告する.
【方法】
当院で開始した HHD 患者 3 名の RO 水エンドトキシン
(ET)活性値,生菌数の確認,及び,騒音レベル測定,フィ
ルター交換を実践しそれぞれの使用感について検討した.
機器警報遠隔監視システム J モニターが安全管理,メンテ
ナンスにおいてどのような役割を果たすのか検討した.
【結果】
RO 水 の ET 活 性 値 0.018~0.047EU/mL, 生 菌 数 4.4~
89.6CFU/mL. 透 析 液 は ETRF 前 で ET 活 性 値 0.015~
0.047EU/mL,生菌数 3.7~11.9CFU/mL で共に日本透析医
学会の定める透析用水の条件を満たしていた.騒音値は約
40dB で図書館と同程度だった.使用患者からも「音は気に
なったことはない,想像以上に静か」など肯定的な意見が
聞かれた.前モデルはフィルターが装置前面,バルブや給
排水は背面に設置され,操作は手動で行うため煩雑となり,
作業中に水漏れやバルブの開閉忘れ等が起きる可能性が
あった.本モデル MJ-1 は給排水などすべて前面への配置
へ変更となっている為,操作性が格段に良くなっている.
フィルター交換はワンタッチカプラを採用し圧抜き等も自
動で行われる為,極めて容易に行うことができ漏水リスク
も低くなった.J モニタ-は MJ-1 の警報は警報名で,コン
ソールの警報は外部警報として送信される.警報内容によ
り患者個々の特性が分かり,再指導に有用であり安全運用
に繋がった.RO 装置運転・積算データがメールで自動送
信され,データ内容から機器状態確認,在庫管理にも役立
つ.これらの内容から水質の悪化を判断し,トラブルを未
然に防ぐことができる.RO 装置の作動履歴が確認できる
ため,機器管理の安定運用につながった.
【結語】
動作音は静音であり,フィルター交換も簡便である.ま
た,J モニターなどが新たに加わったことにより,前モデ
ルより更に安全に使用できる装置になった.個人用透析用
水作成装置 MJ-1 はメンテナンスし易く,安全性も向上し
ており HHD により適していると考える.
一般演題 5
(9)2.当院における在宅血液透析への取り組み~大学
病院における課題~
安野 哲彦
福岡大学病院腎臓 ・ 膠原病内科
在宅血液透析(HHD)は施設血液透析と比較して生命予
後や社会復帰における利点があるが,様々な理由により普
及が進んでいない.特に大学病院で HHD を行っている施
設は,少ないのが現状である.当院では 3 年間の準備期間
を経て,2018 年より HHD を開始するに至った.
【症例 1】
60 歳代男性,原疾患慢性糸球体腎炎,血液透析歴 2 年.
HHD のトレーニングを開始したが,自己穿刺が困難であ
り,シャント閉塞,シャント感染を発症した.拡大した写
真や簡略化した患者独自のマニュアルを作成して,回路の
組み立て,操作方法を長期間指導したが,視力低下,理解
力不足から習得が困難とチーム内で判断し,トレーニング
を終了した.
【症例 2】
40 歳代男性,原疾患 2 型糖尿病.血液透析歴は 5 年で,
HHD への変更を希望した.1 日 3 時間×6 回/週の短時間頻
回透析の条件でトレーニングを開始した.初日から自己穿
刺が可能であり,HHD に必要な技術を習得したため 1 ヶ月
後に退院した.HHD により降圧薬は不要となり,体重減少
に伴い睡眠時無呼吸が改善したため CPAP 療法が不要と
なった.HHD を開始して 3 ヶ月経過したがメーカーによる
緊急時の自宅訪問は機器トラブルの 2 回のみであり,その
他は電話対応で対処が可能であった.
安全面,人材不足などによる不安から,当初はスタッフ
内で HHD を行うことに意見が分かれた.HHD 経験施設か
ら講師を招き,多くの職種のスタッフを交えてのミーティ
ングにて理解を深めていった.1 例目の HHD 導入ができな
かった問題点について検討を行い,HHD 管理体制を構築し
て 2 例目は導入に至った.大学ならではの課題を克服し,
多くの若手医師,スタッフが HHD 導入を経験することで,
HHD の普及につながるものと考えられる.
1.当院の在宅血液透析の現状~マンションでの設
置を経験して,臨床工学技士として関われたこ
と~
杉本 祐也,本部 知子,有馬 三喜,
新屋智珠子,後藤 哲也,児玉 直也,
児玉 敏宏,前田 明文
博文会 児玉病院
【背景】
より質の高い透析生活を支援するため,平成 24 年 11 月
から在宅血液透析を始めた.7 年目を迎え,現在 17 名の患
者様が元気に過ごされている.その中で,マンションでの
設置を 17 例目で初めて経験し,今までの一軒家の設置とは
異なり居住者への配慮が必要となった.
【目的】
マンションでの騒音対策や浸水対策を実施出来たこと
で,現在トラブルなく在宅血液透析を継続できている事例
を経験したので報告する.
【症例】
65 歳男性.原疾患は糖尿性腎症.既住歴は 40 歳頃に糖
尿病,高血圧,甲状腺機能低下症,心内膜下梗塞.平成 26
年 4 月に CAPD 導入のため当院に転院.CAPD 歴 3 年を経
て腹膜炎のため継続困難となり,平成 29 年 7 月に HD 導
入.翌年 12 月に在宅血液透析導入.
【方法】
今回のマンションでの導入で考えられるトラブルとし
て,①透析装置動作音による騒音,②排水不良における浸
水,③在宅血液透析時に排水として出る透析液や消毒液に
よる配管等の損傷.以上の 3 点に対し,対策を行った.
【結果】
①騒音対策には,患者様に市販の防音マットを購入して
頂き,搬入時に各装置の下に敷いてもらった.②浸水対策
として,ベランダに設置された排水配管は,搬入時には元々
排水口トラップが設置してあり,雨水配管に添えられてい
るだけであった.そこで排水口トラップを外し,排水配管
の先に L 字の配管をつけて直接雨水配管に排水が流れるよ
うに設置し直してもらった.③については,雨水配管の素
材として,広範囲の薬品に対して強い耐久性を持つ硬質塩
化ビニール管が使用されていたため,配管等の損傷は回避
できると考えられた.
【まとめ・考察】
トラブルの原因となりうる騒音を把握した上でマンショ
ンでの設置を行えた事により,考えられるトラブルに対し
て事前に対策出来た.今月で在宅血液透析を始めて 10 カ月
になるが,透析装置に対する騒音や排水トラブルも無く,
安全に在宅血液透析を行えている.
【結語】
在宅血液透析において看護師と共に臨床工学技士が下見
訪問を行う事で,騒音や浸水被害を事前に把握・対策する
事が出来て,マンションでの在宅血液透析が実現できた.
一般演題 6
(10)5.透析看護師への意識調査から考えた HHD 看護
師の育成
戸谷 宗弘,高木 彩乃,山岸 美波,
斎藤 真美,宮下みどり,長澤 正樹,
田村 克彦
南長野医療センター篠ノ井総合病院 人工腎センター
【はじめに】
当院透析室の看護方式は固定チームナーシングであり,
5 チームで活動している.在宅血液透析(以下 HHD)担当
看護師は各チームに配置され,4 名で患者 7 名を担当して
いる.情報交換と学習を重ね,メンバー変更なく 3 年経過
した.HHD の意識調査を行い,チーム体制と看護師育成に
ついて検討する.
【対象及び方法】
透析看護師 24 名に HHD のチーム体制,看護師人数,情
報共有方法,HHD を知りたいか,活動したいか,血液透析
(以下 HD)看護の不安内容(プライミング,穿刺,抜針,
止血,検査結果の見方,機械操作,警報対応,急変時対応,
VA 管理,食事指導,薬剤管理,患者の思いの傾聴,患者
家族への指導,家族の思いの傾聴,治療方針の相談)のア
ンケート調査をする.
【結果】
アンケート回収率は 100%だった.「チーム体制」は変更
希望 1 名,無回答 8 名,「看護師人数」は適切 17 名,無回
答 7 名,自由記載では多角的視点に欠ける,アソシエイト
の問題,情報共有方法検討などがあった.「HHD を知りた
い」は 15 名,「活動したい」は 4 名であった.HD 看護の
不安内容は「穿刺」「機械操作」「警報対応」は各 13 名,
「急変時対応」は 16 名,他は半数以下であった.HD 経験
年数 5 年以下の看護師は全項目で不安があり,経験年数が
長い程不安は減少した.自由記載では HHD 導入の流れと
費用について知りたい,家庭訪問・定期検査時の体制の検
討が必要とあった.
【考察】
「チーム体制」と「看護師人数」での無回答が多いこと,
HHD 活動希望が少ないこと,自由記載より,HHD と看護
師の役割の認知度が低いことがわかった.HHD 看護教育カ
リキュラムを作成し,知識と技術の充足,看護への興味と
関心を深め,また患者情報が周知できる伝達方法を検討す
る必要がある.HD 看護の不安は HHD にも同様にあると予
測される.看護教育において看護の振り返りを行い,知識,
思考,行動の主体性をもって患者対応をすることで HD 看
護の不安は軽減されると考える.
【まとめ】
チーム編成における指導者の位置づけと HHD の情報共
有方法を見直し,HHD 看護の理解を得る必要がある.ま
た,HHD 看護教育カリキュラムの作成を行い,それに基づ
き看護師育成を図ることが重要である.
4.水道水質が原因で頻回にRO装置のフィルター
交換を要した 1 例とその対策
木暮 光広,廣町 智子,山本 登,
青木理沙子,松澤 美和,熊谷 英治,
清水 幸博,重原 哲也
医療法人 社団 三矢会 上毛大橋クリニック
【事例紹介】
2013 年 8 月,群馬県東毛地区において在宅血液透析導入
に伴い,個人用 RO 装置(MRC-NFX)及び個人用透析監
視装置(NCV-10)を設置した.以後トラブルなく順調に稼
働しており,現在では,隔日 8H の透析治療を行っていた.
【問題及び対処】
①2018 年 3 月 3 日 フィルター差圧警報が発生,通常であ
れば 6 か月ほどの寿命であるが,約 3 か月経過で念のた
めプレフィルター(1μ),活性炭フィルターを交換する.
②2018 年 4 月 4 日 再びフィルター差圧警報発生,点検
にて活性炭フィルターの目詰まり確認,プレフィルター
(25μ),活性炭フィルターの交換を行う.原因検索の為,
活性炭フィルター,原水をサンプリングし分析に提出す
る.
2018 年 4 月 24 日 ②と同様
2018 年 5 月 4 日 ②と同様
2018 年 5 月 15 日 配管の可能性を疑い,RO 装置の配管を
交換する.
2018 年 5 月 26 日 ②と同様
2018 年 6 月 6 日 水道水,活性炭フィルターの解析の結
果,RO 装置の前に活性炭ボンベを設置.
以後,差圧警報はなくなり通常期間でのフィルター交換
サイクルに戻る.(1 回/半年)
【結果及び対策】
活性炭フィルター解析の結果,フィルター入り口部にア
ルミニウムの付着が認められた.このことで差圧警報が発
生したと考えられた.
対象地域では現象が起きた春頃にかけて原水に藻類が大
量に発生した事実が確認されており,浄水場で藻類発生時
に凝集不良が生じ,凝集剤としてポリ塩化アルミニウム,
硫酸アルミニウムなどのアルミニウム系凝集剤を用いて浄
水をしたと推定され,これらのアルミニウムが活性炭フィ
ルターの目詰まりを発生させたと考えられた.
対策として活性炭ボンベを設置した.
【結論】
在宅血液透析患者の存在を行政に認知してもらい,水質
変化時や必要な対策の情報を得られるよう関係を構築して
おく.
治療不可能な状況は患者にとって強い不安を与えるため
早急な原因検索と対策が必要である.
一般演題 6
(11)6.透析患者の妊娠,出産~社会的問題が大きかっ
た一症例
藤倉 恵美1
,宮崎真理子2
1
東北大学病院血液浄化療法部,
2
東北大学医学系研究科腎・高血圧・内分泌学分野
【背景】
透析患者の妊娠は健康な妊婦と比較して生児を得る確率
が低いだけでなく,早産,低出生体重児の頻度が高いこと
が知られている.妊娠中の血液透析管理については日本腎
臓学会から指針が出されておりある程度の症例の集積があ
るが,妊娠~出産~育児にあたっては長期的な視野を持っ
て患者と生まれてくる子どものサポートにあたることが必
要になる.
【症例】
42 歳,女性.腎不全の家族歴あり.15 歳時に網膜色素変
性症と診断されている.12 歳時に原因不明の腎不全として
血液透析を導入した.15 歳時に生体腎移植を施行されたが
31 歳時に移植腎不全のため血液透析再導入となった.X-7
年より挙児希望あり,当院婦人科外来通院し X 年 42 歳時
にタイミング法で妊娠した.維持透析施設外来で週 4 回,
後に週 5 回の血液透析を施行し,児の発育は順調であった.
妊娠 25 週で内シャント血管狭窄および体液管理不良のた
め当院へ入院した.
【透析および妊娠経過】
β2MG,BUN を指標に,週 5 回,1 回 4-5 時間の透析を
継続した.シャント不全に関しては対側に新シャント造設
するもまもなく血栓性閉塞をきたし,現シャントの再建術
を施行した.徐々に羊水過多や肺高血圧症を認めたため妊
娠 36 週で予定帝王切開により分娩した.児は出生時体重
2459g,Apgarscore8/8 であり,良好な発育が得られた.
患者は出産後経過に問題なく,出産翌日より週 3 回の血液
透析へ移行した.
【腎不全原疾患検索】
腎不全の原疾患不明とされていたが,入院後の問診や合
併症等から遺伝性疾患を疑い,児や他の家族への影響,利
害を検討し本人が了承した上で遺伝性腎疾患についての検
索を行いネフロン癆の診断が得られた.
【社会的環境整備】
入院中から行政の医療福祉担当者と打ち合わせを行い,
出産後の育児サポートの準備を行った.
【考察】
本症例は患者の自立性尊重の一方で子への原疾患遺伝の
可能性や育児の環境が家族の力だけでは整わないなど,妊
娠管理以外の課題を多く持つ事例であった.透析患者が妊
娠,出産する上では透析看護師,助産師,医療ソーシャル
ワーカー,自治体の担当者など,多職種が緊密かつ迅速な
連携を行い,医学的管理とともに社会的支援策の整備が必
要である.
一般演題 6
(12)2.滋賀県下における在宅血液透析(HHD)の意識
調査~HHD 未導入施設の実態把握を試みて~
荒木 陽子,古澤真由美,宮本 和代,
住谷 ゆみ,久保 哲哉,中澤 弘貴,
田中 敬,廣川 隆一,一色 啓二,
富田 耕彬
医療法人社団富田クリニック 第二富田クリニック
在宅血液透析(HHD)は,十分な透析量を確保すること
で患者の生命予後の改善に結びつき,患者自身の生活スタ
イルに透析を組み込むことによって QOL の向上と社会復
帰に貢献できる治療法である.HHD のメリットは明確であ
るが,その実際は広く周知されていない.そこで患者・家
族・医療従事者が HHD について理解できるよう当院独自
のパンフレット,リーフレットを作成して,滋賀県下透析
ベッド数 10 床以上の HHD 未施行 30 施設に送付した.半
年後に各施設の看護師(Ns)・臨床工学技士(CE)を対象
にアンケート調査を行った.
HHD 未施行 30 施設中,17 施設の Ns15 人,CE16 人か
ら回答を得た.
送付したパンフレットについて,Ns11 人・CE12 人が興
味をもって読んだと回答があった.
自施設における HHD 適応者の有無については,「いる」
との回答が Ns3 人・CE4 人,「いない」との回答が Ns・CE
共に 12 人となった.
HHD について,詳しく知りたいかという設問には,「知
りたい」が Ns11 人・CE12 人,「思わない」が Ns1 人・CE4
人という結果になった.
自由記載欄では,「知識として知りたいが,病院の体制的
に無理があり興味が沸かない」とのコメントが複数あった.
また,「病院には適応者がいない」,「患者が自己穿刺を怖が
るのでできないと思う」との回答が得られた.
多くの透析患者が「自宅で血液透析ができる」という認
識はあるものの,その詳細については知られていない.患
者が HHD の実際について理解ができる環境が整っていな
いことが考えられる.HHD パンフレットは,誰もが HHD
について理解することの端緒となる.
HHD の普及を考えた時,HHD 訓練施設を増やすことは
難しく,まずは HHD の実際について透析医療従事者・患
者・家族に理解してもらうことからはじめることが重要で
ある.
自施設に HHD 適応者がいないとの回答が多いことか
ら,医療者側が HHD をイメージができていないことも予
測でき,パンフレットの送付により,医療者が興味を持っ
て読むことができたことが自施設の HHD 適応者へのアプ
ローチを始めるきっかけになり得たのではないかと考える.
1.夫婦での在宅血液透析を実現して~見えてきた
現状と課題~
林 浩子1
,深江 玲子1
,菅原しげ子1
,
萩原由里子1
,林 達也2
,八木原達也2
,
山口 聡3
,佐藤 陽3
,三橋 洋4
厚済会 横浜じんせい病院 1
看護部,2
臨床工学科,
3
腎臓内科,4
厚済会 上大岡仁正クリニック
【目的】
2017 年から在宅血液透析(以下 HHD)トレーニングを
開始し,現在 HHD 患者 3 名を管理している.
今回,夫婦双方が HHD を実現したことによる現状と課
題を報告する.
【方法】
妻(HHD 歴 1 年半)と夫(HHD 導入直後)へインタビュー
を実施.
①夫婦双方の患者・家族・介助者としての思いを理解する.
②同日に夫婦双方が HHD を実施することによる時間的工
夫や経済的負担について患者と共に考える.
【対象】
○代 女性 会社員 HHD 歴 1 年半 HD 歴 2 年
○代 男性 会社員 HHD 歴 2 カ月 HD 歴 13 年
【結果】
①HHD 導入後,夫婦ともに社会復帰を果たすことができ
た.
②夫婦双方が患者・家族・介助者を経験することにより,
様々な視点から HHD を考えるきっかけとなった.
③帰宅後に夫婦双方が HHD を実施するため,本来自由度
の高い HHD が時間に追われている現状となっている.
【考察】
HHD は患者のライフスタイルに合わせ,仕事との両立が
しやすく,身体的・時間的拘束が少ない治療法である.し
かし,帰宅後から就寝前という限られた時間の中で,夫婦
双方が連日 HHD を実施することにより,①就寝時間が遅
く,十分な休息がとれない②一人目の穿刺ミスにより開始
が遅れた場合,二人目の開始も遅くなるというプレッ
シャーがあるなど精神的・身体的ストレスが生じている.
現在月曜日から土曜日まで連日 HHD であるが,ストレス
を軽減し,安全に HHD を実施するには,日曜日も HHD 可
能とすることが望ましいと考える.このことにより,週 1
日は一人のみ HHD とし,夫婦双方の休息時間を確保でき
る.実現するためには,病院組織を巻き込み,対応を検討
する必要がある.
【結語】
夫婦双方が安全に HHD を行うには,組織全体で対応を
検討する必要がある.
一般演題 7
(13)4.HHD 導入後の再教育について
三浦 綾夏,中山 栞,小泉 昌弘,眞下 啓一
沼田脳神経外科循環器科病院 臨床工学課
【目的】
在宅血液透析は長期にわたる治療であるため,導入時の
指導教育だけでなく継続的な指導が必要と考えられる.改
めて教育の時間を設けるのは時間調整など難しいことも多
く,無理なく続けていくのは難しい.そこで外来受診時の
空き時間に導入後の再教育を行い,有効性を検討した.
【対象・方法】
患 者 5 名(HHD 歴 7 年 1 名,6 年 2 名,5 年 1 名,2 年
1 名),介助者 5 名に不安に思っていることについてアン
ケートおよび聞き取り調査を行い,その内容から必要な異
常時の対応について指導を行った.聞き取り調査は血圧が
急に低下したとき,針が抜けたとき,シャントが感染を起
こしたときの 3 つに重点を置いた.
【結果】
患者と介助者が不安に思っていることは,血圧低下時に
中止するタイミング,急変時の対応,介助者が体調不良の
時,災害時,穿刺場所などがあった.また今までにあった
ミスやトラブルは,接続部のゆるみ,除水の計算間違いな
どがあった.聞き取り調査については,答えられた人と曖
昧になっていたりわからないと答えた項目があった.
【考察】
HHD 経験年数に限らず不安に思っていることはあり,異
常時の対処法についても頭でわかっていても実際にすぐに
対応ができるとは限らない.中には自分は血圧が下がった
ことがないから大丈夫,腕は動かさないから大丈夫と言う
人もいるため透析中は血圧低下や事故は誰にでも起こり得
ると認識して貰うことが必要と考える.また在宅透析を続
けている中で導入時からある不安とは別に,新たな不安が
でてくることもわかった.再指導を行うタイミングとして
は,夜間就寝前やオーバーナイト透析をしている患者も多
く,現場での直接指導が難しいため,外来待ち時間に行う
こととした.今後このような取り組みはあった方がいいか
という質問に対して時々あった方が意識できるという答え
が多く聞かれた.新たに出てくる不安に対してはその都度
対応し不安を軽減させていくことが必要と考えられた.
【結語】
外来受診時の待ち時間に再指導を行うことは時間も有効
に使うことができ,効果的であった.
3.JWS 社製 MJ-1 を活用した在宅血液透析に適
した水処理装置システムの検討
北村健太郎1
,春日 稔1
,田中 光1
,
中島 拓也1
,関原 宏幸1
,長澤 正樹2
,
穴山万理子2
,中村 裕紀2
,牧野 靖2
,
田村 克彦2
JA 長野厚生連 南長野医療センター 篠ノ井総合病院
1
臨床工学科,2
腎臓内科
【背景】
在宅血液透析(以下 HHD)において,水処理装置は在宅
専用のものはなく,医療用の装置を転用しているのが現状
である.医療用の装置の運用と決定的に異なるのは,モニ
タリングや管理が困難であるということであり,今後 HHD
を普及させていくためには,モニタリングや管理の簡易化
を行いながら水質を担保していくことが望まれる.
【MJ-1 について】
今回発売された JWS 社製在宅透析用透析用水作製装置
MJ-1(以下 MJ)は,静音性・性能ともに HHD において
優れた水処理装置であると考え,また簡易的に交換可能な
前処理フィルタの装着により,メンテナンス面でも省力化
が図れる装置であると期待する.しかしそのコンパクトな
デザイン上,大型なフィルタは内部に装着できず,頻回な
メンテナンスが想定される.
【MJ を生かすシステムの考案】
そこで今回 MJ のコンセプトを生かしながら,HHD の水
処理システムとして適したシステムを考案した.考案した
システムは MJ 前にプレフィルタを中心とした目詰まり時
のバイパス配管と定常圧力・流量でモニタリングできる配
管を組み合わせ,安価で省力化と治療を中断させることの
ないシステムである.
【試験的運用の結果】
プレフィルタの目詰まり時も MJ のフィルタを担保にバ
イパスすることができ,また MJ のフィルタは患者でも交
換可能であるため,医療者・メーカの訪問回数が減少する
可能性が示唆される.また,定常圧力・流量モニタリング
は従来の稼働状態では把握困難であった膜の最大能力を測
定できる可能性を簡易的実験で実証した.また,HHD では
残留塩素のモニタリングが困難なことが報告されており,
原水の残留塩素濃度が高い場合や不明な場合はカーボンの
多段設置が推奨されている.HHD の現況を踏まえ,カーボ
ンの多段設置は HHD にとってマストとなる可能性を試験
的運転で示した.
【考察・結語】
地域によって水処理装置に求めるものは大きく異なる.
今回の MJ のような良い装置をニーズに応じ有効活用でき
るような創意工夫が今後 HHD には求められると考え,そ
の創意工夫を集結し HHD 普及のために日本という地域
で,汎用性のある専用装置の開発が望まれる.
一般演題 7
(14)5.在宅透析患者の現状調査
南 剛正1
,矢野慎太郎1
,篠原 正彦1
,
重原 哲也2
,木暮 光広2
1
医療法人社団三矢会 前橋広瀬川クリニック,
2
医療法人社団三矢会 上毛大橋クリニック
【目的】
自分は,在宅透析 3 年前から関わり始めました.当院で
は通常透析導入になる方は高齢の方が多い傾向がありま
す.MSW としてその人の状況以外に,ご家族や介護保険
の有無を必ず確認します.
それを考えたとき今回在宅透析患者が,本人の高齢や転
居,介助者が何かしらの理由で介助できなくなるなど,い
つか在宅透析が困難になる時がくると考えました.
当院では現在男性 3 名・女性 2 名の 5 名です.今回 MSW
として患者が,いかに長く自宅で今のまま継続できるかと
考えたときに MSW としてできることは何かないかと考え
当院の現状調査を行いました.
【対象】
在宅透析患者 5 名
【結果・考察】
実際現時点では,患者さんの現在の気持ちは在宅透析は
続けられるとの結果になりました.
まだ本人や家族は具体的に考えていないように思われま
す.ただ,MSW として考えた時いくつかの問題があると
考えられる.
一つ目は,実際患者や家族の高齢化による穿刺の問題で
す.通常であれば介護保険の訪問看護利用ですが介護保険
単位の上限が決まっているため難しいです.一番の問題は
在宅透析を知っている訪問看護を見つけることが難しいと
考えられる.
二つ目は,市外の患者さんが 3 名いますが,在宅透析が
困難になったときに当院で血液透析の送迎バスの範囲でな
いことが分かりました.
今回調査を実施して,もし要介護認定を受けたとしても
利用できるサービスに介護保険単位など課題が考えられ
る.そして,患者や家族・介護保険事業者・病院との連携
も必要と考えます.
MSW として,今できることは一人一人の患者の状況を
知ることが第一歩だと考えられる.
一般演題 7