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日本語初級レベルのグループオンライン授業での教室活動に関する研究 ―担当教師へのインタビューを中心に―

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日本語初級レベルのグループオンライン授業での教室活動に関する研究

―担当教師へのインタビューを中心にー

藤本かおる

*

A Qualitative Study of Challenges Faced by Japanese language Teachers in

Conducting Online Classes for Groups of Students

-Focusing mainly on interviews with the teachers in charge -

Kaoru Fujimoto

*

This study explored the challenges faced by Japanese language teachers in conducting online classes for groups of students at the beginner level. Unstructured interviews with three Japanese language teachers were conducted to examine this issue. An analysis of the data collected from the interviews revealed certain factors causing teachers’ dissatisfaction with overall class management in online classes, such as in handling practices that they normally provide in a face-to-face class, structuring the learning environment, or understanding the motivation of individual leaners, as they cannot watch over all students. The teachers expressed that simply getting accustomed to conducting online classes for groups of students could reduce their dissatisfaction, but felt that this may be akin to giving up. They also voiced that technological support offered by IT specialists, such as changing the Internet network or the online communication system, could offer limited solutions.

Keywords: web meeting system, online class room, Beginner's group online class Japanese language education, distance education

1.研究の目的と意義 1.1 研究の目的 本稿では,対面コミュニケーションができるウェブコミュニケーションシステムを使い,同じ時間に インターネットでアクセスし,教師と学習者が画面越しに顔を合わせて行う授業をオンライン授業とす る.オンライン授業は,教師と学習者が1対1で行うプライベート授業と複数の学習者が参加するグル ープ授業があり,グループ授業は,2−4人程度の少人数から大教室に集まった学習者に向けて講義を行 うものや交流型など,レベルや授業形式にバリエーションがある. 筆者は,これまで様々なレベルの学習者を対象にした日本語オンライン授業を行なって来た.その中 で,特に初級レベルの学習者のグループ授業において,他のレベルを教える際には感じない「やりにく さ」を感じたが,同じ初級レベルの学習者でも,オンラインプライベート授業ではこのような「やりに くさ」はあまり感じなかった.一方,ミネルバ大学や,NTT ドコモが離島の学校と協力し行っている授 業などからみると,ディスカッションのような交流型授業では通常の対面授業とほとんど変わらない授 業が行えるように思われる. 現在,日本語教育においては,教師一人に対して複数の学習者が学ぶ形式のオンライン対面授業は盛 んに行われているわけではないが,介護関係の技能実習生の増加などにより,ニーズは増えると予想さ れる.そこで本研究では,初級レベルのオンライン授業に関して研究する前段階として,前述したよう な「やりにくさ」が実際にあるのか,あるとした場合それはどのようなもので原因は何なのかを探るこ とを目的として,初級レベルのオンライン授業においてグループ授業を担当したことのある教師へイン タビューを行い,インタビュー結果を分析する. 1.2 日本語教育におけるオンライン授業と研究の意義 現在,日本では少子高齢化による労働者不足が問題になっており,国際競争力向上の意味からも企業 のグローバル人財1雇用が進みつつある(福岡ほか2013*1,グローバル採用ナビ2018*2).海外で直接雇 1 「人材」の表記が一般的であるが,日本語教育の中では,ビジネス日本語研究会(http://business-japanese.net/)などで「人財」

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用された外国籍新入社員の場合日本語学習経験のない者も多く,e ラーニングとオンラインプライベー トレッスンを組み合わせたブレンディッドラーニングでの来日前日本語研修を行っている企業もある. 多様化する学習者と求められる外国籍人材への対応として,外国人社員雇用の拡大や技能実習生制度2 拡大が見込まれ,特に人材確保が急務とされる介護分野等では,来日前に一定レベルの日本語能力を身 に付けることが来日条件となっている3.しかし,介護人材を世界に多く輩出しているフィリピンなどの 東南アジアでは日本語教育が全土で行われているとは言えない(国際交流基金2017*3). 英語のオンラインプライベートレッスン隆盛の影響もあり,日本語でもskype を使ったオンラインレ ッスンが増加しているが,現在は,英語同様にプライベートが主流である.これまでの日本語のオンラ インでのレッスンは日本語教育専門家によるプライベートが中心であり,英語レッスンのように安価で は受けられない.そのため,最近では上記のように現地で適切な日本語教師が見つけられない受け入れ 機関から,オンライン対面授業についてのアドバイスを求められることが増えている.このことから, 初級グループオンライン授業には,潜在的なニーズがあると考える.また,現地での日本語学習の機会 を増やすことは,これから日本に就労にくる外国籍社員や技能実習生の生活の質や,仕事及び研修成果 を高めることに寄与できると考える. 一方,日本国内でも都市部から離れた工場などでの日本語教育の要請が増えており,オンライン対面 授業は教育的な検証をする前に,すでに取り入れられ始めている.しかし,企業側のオンライン会議の 実績を元に授業を依頼するケースが多く,結果として効果が低いとされ通常の対面授業に変更になるケ ースもある.e ラーニングが導入され始めた折には,教育方法や効果を検証する前に導入が始まり,結 果として「e ラーニングは効果が薄い」というようなマイナスな風潮が生まれたが,このままではオン ライン対面授業も同じような風潮が生まれることを危惧する.そこで,現段階でオンライン授業の授業 活動を検証することは,今後増えていくと予想される利用に対して,より効果的な学びを示唆すること ができると考える. 2.先行研究 外国語教育では,日本語教育に限らずウェブコミュケーションシステムを使った授業の先行研究が 2000 年代中頃から見られる.その多くは,教室で学んだ外国語のアウトプットのための交流型の授業や, 国際理解や異文化コミュニケーション授業などの実践報告である(廣瀬2006*4,松田他2008*5小林2014*6 張 2018*7).重松他(2008*8)では,中国語・フランス語・ドイツ語・日本語の授業で1つのシステム を用いた授業を行った.ウェブコミュケーションシステム(この発表ではTV 会議システム)の取り入 れ方は,それぞれの外国語クラスで多少違うが,学生へのアンケート結果では,TV 会議システムは「ナ マのコミュニケーションを変形するのではないかという不安はあるが,一方で距離を超えたリアルタイ ムコミュニケーションへの期待感は大きいという結果となった」(重松他2008*8). 日本語教育での先行研究では,中上級レベルでの交流授業などの実践が見られるが,初級のグループ 授業での事例はあまり見られない.中上級レベルの事例では,佐野(2009*9)は,アメリカと日本の大 学をWeb 掲示板・TV 会議システムでつなぎ,授業実践の中で現れた「言い訳」に焦点を当て,遠隔の リソースで日本語学習者にどのような学びがあったのかについて焦点をあて考察している.また,尹 (2009*10)では,ウェブコミュニケーションシステムを1つの遠隔接触場面とし,その中で日本語母語 話者と非母語話者のインターアクションについて詳細に分析している.尹 (2003*11,2004a*12,2004b*13 においては,遠隔接触場面での言語管理や,コミュニケーション・ストラテジー,turn-taking などに注 目し分析している.Yoshida 他(2017*14)では,オンライン協同学習活動の授業実施の前段階として, 参加予定の日韓の大学生の自己効力感やオンライン協同学習に対する不安を明らかにすることを目的 に調査を行なった.その結果,韓国の学生は,学習のためにコンピュータを使用することにかなり自信 があり,オンライン学習の成果や日本人学生とのコミュニケーションにはそれほど心配をしていないこ の字を使用するため,本稿ではこれを用いる. 2 「技術又は知識(以下「技能等」という.)の開発途上地域等への移転を図り,当該開発途上地域等の経済発展を担う『人づくり』に 寄与するという,国際協力の推進」(JITCO https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/index.html)とされているが,単純労働での受け 入れも多く,賃金未払いや労働環境の悪さなどが度々ニュースになるなど,多くの問題を抱えている. 3 第1号技能実習(1年目)は「日本語能力試験の N4 に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者」,第 2 号技能実習(2 年目)には,「日本語能力試験の N3 に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者であること」 が求められる.(https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/care.html)

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とが示唆されたが,日本の学生は,コンピュータの使用に不安があり,その成果については意見が曖昧 であった.この結果から,Yoshida 他は,オンライン協調学習の質を高めるためには,特定の学習者の 不安を軽減し,自己効力感を促進するオンラインの円滑化スキルを開発する必要があるとしている. 日本語教育において,初級のグループオンライン授業の先行研究は,西郡他(2007*15)が日本−ベト ナム間で行ったものや,台湾やインドと東京をつないで授業を行った事例がある(藤本2008*162011*17). 西郡他(2007*15)や藤本(2008*16)は初級のグループオンライン授業の実践報告が中心だが,藤本(2011*17 では,初級のグループオンライン授業での教室活動に注目し,対面授業とオンライン対面授業の授業活 動を語学授業観察法で分析した.その結果,教師および学習者の発話や活動において,いくつかの点で 対面授業とオンライン対面授業で差が見られた.例えば,教師が学習者を指名して活動や発話を促す際 の指名について,対面授業では教師は視線や手ぶりで学生を指名することも多く,学習者の名前を呼ぶ ことはさほど多くない.また学生も,教師からの指名に返答しないことも多かった.それに対してグル ープオンライン授業では,「教師の学習者への指名は必ず呼びかけを伴い,学習者も毎回その呼びかけ に返答している.」(藤本2011*17). 現在,日本語教育においてもプライベートでのオンラインレッスンが広く行われるようになった.そ のようなレッスンに特化したオンラインスクールもあるが,営利目的であるため研究として成果を発表 していない.また,国際交流基金は,独自の教材である『まるごと日本語』をベースにしたe ラーニン グサイト「みなと」(https://minato-jf.jp/)を開設し,そのコンテンツを利用した教師支援付きコース では,本稿のオンライン対面授業にあたるウェブコミュニケーションシステムを利用したライブレッス ンも行われている(千葉他2017*182018*19).千葉他(2018*19)では,コースの運営において,ライブ レッスンとグループ運営に課題があるとしている.ライブレッスンに関しては,教師や他の学習者と話 せる点などが学習者から評価されたが,その反面コース全体で学習者の継続率が高くなく,その結果ラ イブレッスンがグループレッスンにならなかった点を問題としている.千葉他(2018*19)はこのことは ライブレッスンの問題としているが,実際はコース全体の継続率が問題の根底にあり,ライブレッスン での授業活動に関する考察はない.以上から,日本語の初級グループオンライン授業の先行研究の多く は,まだ実践報告に留まっていると言える. 次に,工学分野での先行研究だが,現在のテレビ会議システムやweb 会議システムには技術やシステ ムの制限があり,教師と学習者の視線が一致しないためお互いにどこを見ているかわからず,ノンバー バルコミュニケーションが伝わりにくいことが明らかになっている.そしてこの点が授業活動の妨げに なるとされ,工学分野では,それを解消するようなシステム開発や改良に関する先行研究が多い(村田 他2017*20,谷田貝・坂井2006*21森川・山下他2001*22山本・永岡他2017*23).そして,開発したシス テムの評価のための実践授業が行われ,学習者特性に着目した研究も行われているが(中山・山本 2009*24),語学授業活動の分析などはまだあまり行われていない. その他,ビデオを通したコミュニケーションに注目した研究もおこなわれている.ビデオを通したコ ミュニケーションはVideo-mediated Communication(VMC)と呼ばれるが,この場合のビデオは録画し たものではなく,双方が同時にアクセスしているものを指す.VMC の研究では,通信の遅延や視点の 不一致など解決されていない技術的な問題が複数あり,VMC は Face to Face(以下 FTF)に比べ微妙な感 情の手がかりを見失いやすく,動きや位置を制限するため,心理的距離を測る選択肢が少なく,文字や 聴覚でのコミュニケーションよりも親密性は低くなり,それらのことが,コミュニケーションに影響す るとされている.例えば,同調や関与度がFTF より上手く働かない,感情の伝わり方なども FTF とは 異なる点が見られる(Kappas 他 2011:Chapter 5 Parkinson and Lea*25).

外国語教育においては,単に実践を報告するだけでなく,ウェブコミュニケーションシステムを使っ た授業の中のある1つの事象に注目し研究している先行研究もある.また,日本語教育や外国語教育の 先行研究の多くは中上級レベルの学習者が対象であり,学んだ言語を使った交流の場合が多く,これは 外国語学習において,応用練習や文脈化に当たる.しかし,初級のオンライン対面授業に注目した研究 はまだ多くない. そして工学分野では,システム開発にかかる研究が多く,授業活動に言及している 研究は少ない.以上から,日本語教育の初級のグループ授業を研究対象にすることは,日本語教育だけ でなく,ウェブコミュニケーションシステムを利用した外国語学習の研究において新規性があると考え る.

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3.教師へインタビュー調査 3.1 予備調査 初級グループオンライン授業でやりにくさを感じているのは筆者だけなのかを確認するために,授業 の印象などの実態を確認のための予備的な調査として,これまで初級グループオンライン授業の経験が ある日本語教師2 名に聞き取り調査を行った.2 名からの聞き取りから,現在の日本語初級レベルのグ ループオンライン授業は通常の対面授業をオンラインに焼き直している場合が多く,Kappas 他(2011*25 のいうようなVMC のプロセスを理解した上で授業に生かせておらず,そのため教師がやりにくさを感 じることがあるのではないかと考えた. 3.2 グループオンライン授業担当の教師へのインタビュー調査 予備調査を受けて上記 2 名を含むオンライン対面授業の経験のある教師 3 名に,グループオンライン 授業の担当教師は実際にやりづらさを感じていているのか,その原因は何に起因するのかを明確にする ことを目的に,非構造化インタビューを行った.インタビューは,インターネットのチャット機能を使 ったテキストインタビューもしくは対面で行い,各自1 時間程度である. 現在,プライベートでの初級オンラインレッスンを担当している日本語教師は多いが,グループ授業 を体験している者は,さほど多くないと思われる.今回話を聞いた3 名のうち A は,日本の私大の非常 勤講師として,アジア各国とのコンソーシアムでのプロジェクトの初級グループオンライン授業を5 年 に渡り担当した.また, B はプライベートでのオンラインレッスンのベテランであり,日本語教師向 けにオンラインプライベートレッスンをするための講座の講師なども担当しているが,グループでのレ ッスンは初中級に対するレッスン1コースのみである.C は,教員と同じ部屋に学習者がおり,同様に 多地点からオンラインで授業に参加する学習者もいるいわゆるハイブリット授業で,初級~中級のレベ ルが混在するクラスを担当した.各教師が担当した授業の詳細は以下の通りである. 表1 授業の詳細 オンライン対面授業の形式 学習者数(1回) 学習者レベル 備考 A 一箇所に複数人数のいる拠点を 複数箇所結ぶ. 授業は,所謂初級の授業で,学習 項目を導入し,練習まで行う. 1 拠点に 5 人程度で 5 拠点程度(主に東南 アジア) 未習者~初級 学 習 者 は 工 学 系の大学生. IT 技術者によるサポー トあり.大学コンソー シアムでの連携授業を 5年間担当. B 東京と那須の工場をつないだ. 各自のPC からアクセスした 3 名(中国人技術者) 初 級 後 半 〜 初 中級 日本語教師向けにオン ラインプライベートレ ッスンをするための講 座の講師なども担当 C 東京本社と広島支社をつなぐ. 東京支社で受講する学習者は対 面,広島からはオンライン対面と なる. 東京と広島にそれぞ れ数名(ベトナム人) 初 級 後 半 〜 初 中級 オンラインでのプライ ベートレッスン経験あ り.この授業は初めて のグループレッスン. 3.3 グループオンライン授業の形態について グループオンライン授業には,いくつかの形態がある(図1).まず,遠隔地にいる複数の学習者が, 通常の対面授業のように教室や会議室などの1 つの場所に集まり,1台の端末からウェブコミュニケー ションシステムにアクセスし授業を行う形態である(a).この場合,教師だけがその場いない.次に, 教師および学習者がそれぞれの端末からウェブコミュニケーションシステムにアクセスする (b).上記 2 つを合わせたものとして,1 つの場所に集まっている学習者が複数地点あるケースも見られる(c).そ して,最近では,通常の対面授業のように1つの場所に教師と学習者がいる地点と遠隔地にいる別の学 習者群をつないで行う授業があり,このような授業はハイブリット型と呼ばれることもある (d). 今回の場合,A の授業形態は(c),B の場合は(a)もしくは(b)で,C はハイブリット型の(d)だった. 本来,授業形態が同一の教師にインタビューすべきであるが,現在グループオンラインレッスンを担当

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している教師は多くないため,授業形態の違う3 名の教師にインタビューを行い,授業形態に関わらず, 教師がやりづらさを感じるかに焦点を当てインタビューした.

3.4 インタビューの分析方法

インタビューはSCAT(Steps for Coding and Theorization)で分析した.SCAT(大谷 2011*26)は,比較的

小規模のデータを分析するために,セグメント化したデータを4 ステップでコーディングし,ストーリ ーラインを分析していく分析方法である.大谷(2011*26)では,「一つだけのケースのデータやアンケ ートの自由記述欄などの,比較的小規模の質的データの分析にも有効である.また,明示的で定式的な 手続きを有するため,初学者にも着手しやすい」としている.今回のインタビューは3 人という小規模 なデータであること,また筆者は,発案者によるSCAT 研修を受けたことがあるため,本研究のインタ ビュー分析をSCAT で行うことにした. SCAT では,ステップ・コーディングを行う.ステップ・コーディングは,「<1>テクスト中の注目 すべき語句,<2>テクスト中の語句の言いかえ,<3>左を説明するようなテクスト外の概念,<4>テーマ・ 構成概念(前後や全体の文脈を考慮して),<5>疑問・課題」(大谷 2008*272011*26)と矢印のように 分析を進める(表2). 最初に,データの中でどのような点に着目したらいいかを明らかにするために,インタビューや記述 などで得られたテクストの中から,「研究トピックに関わる語,気になる語,疑問に思う語」,理解で きない語,あるいは語句,あるいは文字列」(大谷2011*26)を抜き出し「<1>テクスト中の注目すべき 語句」に記入する.次に,抜き出した個別の事象を一般化するために,「<2>テクスト中の語句の言い かえ」に<1>で抜き出した語句や文字列を言い換えて書く.そして,語句や文字列の背景,条件,原因, 結果などの検討のため,<2>を説明できるような概念を語句,文字列で「<3>左を説明するようなテクス ト外の概念」に記入する.<1>から<3>までの記述を元に,「<4>テーマ・構成概念(前後や全体の文脈 を考慮して)」に記述する.このテーマは,「どこにもない構成概念(construct)」(大谷 2011*26)が 書ければ最もよいが,そのような構成概念がまだわからない場合は,語句のまま記述してもよいとされ ている.「<5>疑問・課題」には,ステップ・コーディングを行った中で検討が必要だと思った点や追 加調査が必要な点などを書き出す. 表2 SCAT の分析シート(一部抜粋) 番 号 発話者 テクスト <1> テ ク ス ト 中 の 注目すべき語句 <2> テ ク ス ト 中 の語句の言いか え <3> 左 を 説 明 す る ようなテクスト外 の概念 <4>テーマ・構成 概念(前後や全体 の文 脈を考慮 し て) <5>疑問課題 上記の4 ステップによるコーディングに基づいて,ストーリーラインを書く.ストーリーラインとは, 「データに記述されている出来事に潜在する意味や意義を,主に<4>に記述したテーマを紡ぎ合わせて 書き表したもの」(大谷2011*24)で,SCAT では,小さなストーリーラインのいくつかを大きなストー リーラインにしていく.そして,ストーリーラインを書いてから,最終的に理論的記述を書く.この論 理的記述はストーリーラインから重要な部分を抜き出し記述することができる.データが小規模で一般

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(c)

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1 グループオンライン授業の形態

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化できないような場合は理論的記述にならないこともあるが,その場合はストーリーラインで言えるこ とを分析結果とする. 4.インタビューの分析 4.1 インタビュー分析の方法 最初に,A,B,C のインタビューをそれぞれ SCAT で分析し,それぞれのストーリーラインおよび理論 的記述を行う.その後,3 名の分析結果をまとめて最終的な理論的記述を求める.なお,「<1>テクスト 中の注目すべき語句」は紙面の関係上,元テクストに下線で印した. 4.2 A のインタビュー分析 A は,所属する大学が海外の大学と結んでいるコンソーシアムの一環として,主に東南アジアの複数 地点をウェブコミュニケーションシステムでつないだ遠隔授業を5 年担当していた.工学系の学部学科 が中心となっていたこともあり,IT 専門家のサポートを受けていた.日本語の授業は正規科目ではなく, ある意味コンソーシアムの連携校に対するサービスであり,学習者は日本のアニメマンガなどのポップ カルチャーに興味のある理工系の学生で,学業や生活に日本語が必要な状況ではなかった.以下にA の インタビューのステップ・コーディングを載せる. A のインタビューからは,先行研究で指摘されている接続の問題や視覚的問題などが発生し,授業活 動や教師のメンタリティに影響を及ぼしていることがわかった.特に,オンラインでの教室内の練習に おいて,学習者の発話が聞こえにくいことや,発話のオリジナリティのなさなどの問題点が指摘されて いる.例えば,発話のオリジナリティは,学習者が学習項目を理解したかどうかの目安になる.既習の 文型や語彙の少ない初級レベルでは,対面授業でも学習者は同じような行動をすることがあるが,A は オンライン授業ではそれが対面より多く発生すると感じているようで,学習者からの発話をどのように 引き出すのか苦慮している(表中番号11-(1)). 表3 A のインタビュー分析(一部抜粋) 番 号 テクスト <2>テクスト中の語句の 言いかえ <3>左を説明する ようなテクスト外 の概念 <4>テーマ・構 成概念
(前後 や 全 体 の 文 脈 を考慮して) <5>疑問・ 課題 1 やりづらさというと第 1 に思い当たるの が,相手側のシステムスペックによる音 声・映像の遅延や乱れに起因するものです. 実は,これが頻繁に起こると,教師側の心理 状況にも影響します.具体的に申し上げま すと,対面授業では当たり前にできていた, 学生とのインタラクションを通じたトピッ ク導入だったり,学生の反応を見ながらの 進行だったりが,「どうせまた音声トラブル が起きるし…トラブルが起きたら授業時間 が奪われてしまうし…」といった不安によ り,"トラブルを回避したい"という心理が 働いて,あまりできなくなる傾向にありま した. 教師や学習者以外の要因 により授業が円滑に進ま ない.
技術の限界と影 響.
トラブルがおこらな いように教師行動に教師 が教室活動を制限してい る.
 システムの問題か らのオンライン授 業における教師の 回避行動 ス ム ー ズ で は な い イ ン タ ー ネット接続
 教 師 の 心 理 的 な問題
教師に よ る 授 業 活 動 への制限 イ ン タ ー ネ ッ ト 回 線 の 状 態 が 良 け れ ば, 教 師 の 不 安 感 や 不 満 は 軽 減 す る の か? 3 (2)特にアジアと繋ぐのは大変です.インド ネシアなんかは,大学からだとスムーズに 入ってこられるのに,休暇で地方の自宅に 帰省してそこから入られたりすると,十何 年も昔の遠隔電話みたいに途切れ途切れで 困りました. 接続している国や地域, 場所によって,通信回線 が左右される 教師側の努力だけ では解決できない インターネット回 線が授業に及ぼす 問題 技 術 的 な 問 題 の 授 業 へ の 影 響 イ ン タ ー ネ ッ ト 回 線 の 状 態 が 良 け れ ば, 教 師 の 不 安 感 や 不 満 は 軽 減 す る の か? 4 対面だと全員がはっきり把握できますし, 遅延の心配はありませんよね… 対面授業の利点と,イン ターネット回線への不満 オンライン対面授 業での学生把握の 難しさ. 場 の 共 有 と 授 業 運 営 の し や すさ 5 あとは,やはり教師側の心理状況が大きく, 教師のメンタリティと経 これまでの対面授 経験の重要性

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慣れも大事だと気付きました. 験 業とは違う経験 6 通信状況が改善されたり,先方のカメラの 位置や学生の着席場所をきちんと事前テス トしたりすれば,状況は変わるかもしれま せんが,(3)ミャンマーなんかは大学の IT 担当者が同席してても全くダメだったの で,こればかりはあまり期待値高くないか もしれません… 相手側の準備と相手との コミュニケーションが必 要だが,国によっては専 門家がいてもうまくいか ないことがある. 海外とのやりとり の難しさ 遠 隔 で の 意 思 疎通の難しさ. 国 内 で 行 う 場 合 で は? 7 場数は大きいです! 私の場合,4 年目くらいから突然,「もう, 何が起きても仕方ない!」って割り切った んですね(笑)そうしたら,対面授業と同 じようにインタラクションできるようにな りました. できないことを受容する ことで,行動に変化が起 こった. オンライン授業に なれると,トラブ ル に 動 じ な く な り,授業運営にも いい影響がある 経験の重要性 9 あとは,一斉に発話ができないことが厳し かったです.
話が前後しましたが,授業は, 最初は導入から練習という流れでやってい ました.
はい,口慣らしもそうですし,ペア ワークが一気に出来ないのが大変で… 授業の運営方法と練習の 説明
 練習形式への不満 授 業 活 動 へ の 不満 11 仕方なく順番に当てたりしていたんです が,(1)レベルが初級だと,はじめのペアの発 表と同じことをみんな真似して発表してし まうので,オリジナリティもなければ,各々 の間違いやすいところなんかも浮き立って こなくて… 授業運営方法と学習者の 授業中の行動の説明
 練習成果への不満 授 業 の 教 育 効 果への不満 20 学生アンケート,先生に今聞いていいのか わからないという答え.終わった後に教室 で先生を捕まえて聞くことができない(メ ールで質問するほどのことではないこと) メールで聞くほどのこと?という心理が働 いて,疑問を消化できない. 教師と学習者の心理的距 離が遠く,気軽に質問で きない. ラポール形成の難 しさ.学生は教師 に 遠 慮 を し て い る. 遠 隔 教 育 で の ラ ポ ー ル 形 成 の問題点. 23 海外にいて日本語の先生の授業を受けられ ることはメリット.でも,対面授業を単に 遠くにしたというだけじゃない?遠隔授業 ならではのメリットはって思っていた.日 本環境にない,距離を超えられるというの がメリットのはずだけど,それを活かしき れてない.授業を離れた時に会話をできた り,実際にオンラインで対面で買い物でき るとか?究極的にはそういうことが遠隔な らでは? 単に授業を置き換えているという感覚 ヴァーチャルリアリティー?ゲーム感覚は 大事,リアルさ 遠隔ならではのメリット がはっきりしない. 対面授業とオンライン授 業のそれぞれの良さは何 か. 何のためにオンラ インで学ぶのか. オンラインならで はというのがわか らない. オ ン ラ イ ン 授 業の意義. オ ン ラ イ ン な ら で は と は ど ん な こ と が 考 え ら れるか. 25 繋がらないとなると学生のインタラクショ ンが帰ってこないので,やめちゃおうとな る. 面倒なことを回避→吹っ切れるには教師の メンタルがかなり関わるって,それはシス テムの問題でない 回線の問題があると予定 していた教室活動ができ ない.システムの問題と いうより教師の心理的問 題. システムの限界に よる授業活動への 制限があるが,一 番の問題は教師の 慣れと姿勢. 教 師 が ど の よ う に オ ン ラ イ ン 授 業 に 取 り 組むか. 27 向こうに仕切れる人がいるとか テクニカルができる人が語学の授業がどう いうものかわかっている人が相手側に必要 →教室環境の設定から運営まで→テクニカ ルな人だと技術重視で見てしまう カメラが何台あればいいとかいう問題じゃ ないけど,技術系の人とは教室活動が全く 違うので,わかってもらえなかった 普通の講義授業だったらそうだよね,でも 語学の授業じゃ使えない システムのことをわかっ ている人は開く前システ ムのサポートで,語学授 業のサポートではない. システムに精通し ていても,語学授 業についてわかっ ていないとサポー トにならない. ブ リ ッ ジ 人 材 の必要性 A のインタビューでは,学習者のインタラクションが回線の問題などからスムーズに返ってこないこ とが再三指摘されている.接続先が東南アジアである場合,回線状況はオンライン授業に十分でないこ とがうかがえる(番号3-(2),6-(3)).回線やシステムから発生する問題は,初級のオンライン授業だけ

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でなく交流型の授業などでも同様に起こりうるが,初級のオンライン授業でこの点が問題になるのはな ぜだろうか.初級の教室活動においては,教師から学習者へのインタラクションや働きかけが多い.そ して,そのようなインタラクションや働きかけに対して,学習者は即時的に応答することが求められる が,先行研究(Kappas 他 2011 *25)では,VMC では対面のようには即時的に対応できないことが指摘さ れている.日本語教育での先行研究においても,教師および学習者の発話や活動において,いくつかの 点で対面授業とオンライン対面授業で差が見られる(藤本2011*17). 以上から,初級の授業の場合,教師からの働きかけにより学習者が活動したり発話したりすることが 多く,交流型の授業に比べると,そのような授業活動の特性がウェブコミュニケーションシステムの問 題点である音声の遅延やノンバーバルコミュニケーションが伝わりにくい問題などと関係し,円滑な授 業活動が行えないという教師の意識につながったと推測できる. 4.3 B のインタビュー分析 B はオンラインでのプライベートレッスンの経験が豊富であり,日本語教師向けに skype を使ったオ ンラインプライベートレッスンの講師養成なども担当している.しかし,オンラインで複数の学習者を 教えたのは,インタビュー対象となった授業が初めてであった.使用したシステムは,学習者が所属す る企業が使用しているウェブコミュニケーションシステムだった.学習者は同じ部屋に集まっており, 回によって1 台の PC で全体を映し 3 人で参加することもあれば,各自が個人 PC でウェブコミュニケ ーションシステムにアクセスすることもあった. B も A と同様に,対面授業でできる練習がオンライン授業では難しい点を指摘している(番号 1-(4)). 対面授業では,全員が同時に発話練習しても,教師はその様子をモニターすることができる.ペアワー クも同様で,複数のペアの練習を見守り,練習が滞っているペアに介入したり,全体の問題点を把握し 練習後にキャッチアップすることもある.しかし,画面越しではこのような学習者のモニター活動が難 しいと感じている(番号1-(5)). 表4 B のインタビュー分析(一部抜粋) 番 号 テクスト <2>テクスト中の語句 の言いかえ <3>左を説明するよ うなテクスト外の概 念 <4>テーマ・構成概念
 (前後や全体の文脈を 考慮して) <5>疑問・課題 1 (4)相手が一度の話すことができない んです.なので1 人ずつ当てていく 感じになります. (5)ペアワークはやってもらえますけ ど,2 組のペアは無理です. 対面授業では当たり前 なのに,オンラインで は複数の発話練習がで きない. 声の聞こえ方.1組 づつしか発話できな い. システムの影響でオン ライン授業ではできな いこと. 2 また相手が複数の場合は,通信環境 にも問題があって,1 人だけ顔が見え ないということもあるので,その点 はやりにくかったですね. 複数の場合に起こる通 信環境が原因の問題. 学習者個々のPC 環境は教師にはどう にもできない. 対面では起こりえない 問題. 接 続 す る PC のスペックを 全て統一した らどうなるの か. 11 1対1だと集中して授業を受けても らえるが,1対複数だと相手の集中 力が欠けてくる.相手側が何をして るかわかりにくくなる.相手が画面 から消えているとコントロールが難 しい.本当はいないのかもしれない. 学習者の授業への取り 組み方と,教師が学習 者の把握ができない状 況. システムにより教室 全体を見渡すことが できないし,学習者 も疲れる. 視覚的制限と,システ ムを使うことによる物 理的な疲れ. VR な ど が 使 えるようにな ると,この辺 の問題はクリ ア で き る の か. 15 交流とする場合,話せればいい.授 業でする場合は教材を見せたり色々 しないとならないので,その辺のと ころじゃないか. 交 流 活 動 と 授 業 の 違 い,教師の授業内の活 動について. 対面より手間がかか る. 交流との差と教師の負 担. 16 学習者側が親しければ,場はすぐに 暖まるけど,多地点でお互いに親し くないと距離感は感じるかも.複数 の人たちの関係性.ぜんぜん知らな いもの同士で多地点中継だと,例え ば自分が他の地点の人の間違いに気 がついても,話に割り込めないかも. クラスダイナミズムや 一体感を作ることが難 しい. 同じ場所にいないも の同士を心理的に近 づけることは難しい オンラインで超えられ ない心理的距離感. 21 顔が見えなくても,やる人だったら3 人グループでできると思う.顔が見 声だけでオンラインレ ッスンをする場合の可 外国語学習と一斉講 義の違い. 適正人数. 会議などで使 っているから

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えたら,3 人以上でも可能かも?会話 をするに待ち時間を長くしたくない ので,3 人くらいがベストの気がす る.4 人くらいなら,まだできるかも. 先生が一方的に話すと言うよりも, みんなに話してもらいたいので,コ ントロールできる人数は多くはな い. 能性と授業運営と学習 者人数の関係 語 学 学 習 も・・・とい う考え方がそ もそも違うの か. 22 (6)語学の目標はインタラクション, 講義じゃない. (7)例えば英語だったら,小学校でも ローマ字習う.文字が違う言語を勉 強することを考えてみて.アルファ ベットじゃないやつ.ロシア語とか. それを考えてもらいたい. 講義と外国語授業の違 い. 日本語では文字表記も 勉強しないとならない 外国語学習と一斉講 義の違い. 日本語の文字表記の 特色と難しさ 会議などでオンライン システムを使うのと外 国語授業での使用の違 いについて 文法や発音を勉強しな がら、3種類の文字表 記も覚えないとならな い。 依頼側の意識 の問題? 25 対面でも同じクラスの人の発言を聞 いていない人がいるが,オンライン だともっと聞いていないかも→注意 力散漫,先生がコントロールできな い. 学習者の授業への集中 力と教師の対応 対面での視野と画面 越しの視野の違い 画面越しのモニターの 難しさ そもそも学習 者をコントロ ールする必要 があるのか 交流型の授業に限らず,会議での利用でも画面越しの相手が何をしているか行動を細かく把握できな い.しかし,交流型や会議での利用の場合,その時発言している当事者以外の行動に注目することは多 くないのではないだろうか.しかし,初級の授業の場合,教師は教室全体を把握し学習者が学習以外の ことをしている場合,授業に集中するように注意することもある.しかし,グループでのオンライン授 業では,画面に映っていない部分で学習者が何をしているかを教師が確認することはできないため,ク ラスコントロールが難しいと感じるようである. また,B は語学の目標としてインタラクションにふれ(番号 22-(6)),講義との違いを強調している. 講義は知識のインプットが中心であり,双方向のやり取りは質疑応答などに限られ,質疑応答のインタ ラクションは原則1 対 1 で行われる.しかし,初級日本語の場合,教師と学習者の双方向のやり取りが 授業の中心になり,インタラクションも1 対 1 に限らず様々なパターンがある.画面越しの場合,その ような複雑なインタラクションが難しいため,練習形式が限られてしまう.また,初級日本語の場合, 文法や発音だけでなく,ひらがな・カタカナ・漢字という異なる3 つの表記法も同時に学ぶことがほと んどである.インタラクションや学習項目が多岐であることから,交流型や会議などの利用とは違う側 面があり,講義や会議で問題がないからと言って同じような規模を日本語の授業に求められることに対 して,問題があると感じている(番号22-(7)). 4.4 C のインタビュー分析 C が受け持ったオンライン授業は,教師がいる東京と遠隔地である広島を結んだいわゆるハイブリッ ト授業であった.システムは企業が通常使っているウェブコミュニケーションシステムを使い,遠隔地 でのシステムの設定などは学習者が行なった.オンラインではプライベートレッスンの経験があるが, 日本語教師としてブランクがあり復帰後間もない. 表5 C のインタビュー分析(一部抜粋) 番 号 テクスト <2>テクスト中の語句 の言いかえ <3>左を説明するよ うなテクスト外の概 念 <4>テーマ・構成概 念
(前後や全体の 文脈を考慮して) <5>疑問・課題 1 (8)画面も 1 人ずつカット割りされるので はなく,みんな映ってるテレビに向かっ て,お互い話す感じです. オンライン授業でのク ラスの見え方. 画面を見ていること の印象. 視覚的制限. VR が 発 達 し たら? 3 (9)タイムラグがあるので,一斉コーラス はやりにくかったです オンライン授業では一 斉コーラスは難しい. オンライン授業では 難しい練習. 対面授業の練習と の違い. 国内でもタイ ム ラ グ が あ る. 4 やっぱり生身の対面ではないので,エネ ルギーが伝わらない感じがしました 画 面 越 し に 見 て い る と,リアル感がない. 画面越しだと心理的 距離がある. クラスの一体感の 欠如 5 (10)全員同じ画面に映ってるのですが, 画面では顔の表情がき 画面越しに見ること 視 覚 的 制 限 が あ

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顔が小さくて,口が見えず,どう発音し てるか分からなかったです. ちんと見えない.発音 チェックができない。 の制限. 発音チェック り、発音指導にも 限界がある. 7 (11)1 対 1 ならオンラインでもいいと思 うのですがグループだと,傍観してる人 もいてボーっとテレビ見てる感じの人も いました 学習者の参加している という気持ちが薄い 教師が目の前にいな いからか,参加して いるという気持ちに な ら な い こ と も あ る. クラスの一体感の 欠如 15 対面がいいと言ってた学生は,最初,広 島で受けていて,途中から東京に転勤に なった人です. 向こうは6 人いて彼は新卒で,1 番たど たどしくて,1 人だけ初級レベル?って (12)思ってたんですが,あまり発言もし ないし東京に来たら,イキイキ話し出し て,たどたどしくはあるんですが,頑張 って話そうとしてました.広島にいた時 は,私にも,彼の意欲は掴みきれなかっ たです.近くで対面だから,じっくり見 れて,本当はやる気あったんだと気づけ た感じです. クラス活動の中で学習 者 個 々 の 把 握 が 難 し い. 実際の学習者の実力 や性格がわかりにく い. 学習者の把握が困 難. 16 (13)画面の向こうの人数が多いと,背景 みたいになって見逃してしまいそうな人 もいるかも. 全員が参加していると いう意識が持てない. クラス全体を見てい るようで見られてい ない. 遠隔地のクラス全 体 の 把 握 の 難 し さ. 19 (14)対面というか,説明の理解度も,目 の前の東京組を見て,なんとなく計って ました.無意識に.向こうが理解できて るかは,感覚として,分かりづらいです. 対面授業参加者とオン ライン参加者の教師の 扱いの違い. 離れている学習者を 短に感じられない. 遠隔の難しさとハ イブリッドの問題 点. ハイブリット にすることの 意 義 や 良 さ は? 25 (質問:よく,対面授業で,じゃあ隣の 人と練習して~みたいなのやるじゃない ですか.あれもやりましたか?) はい,やりました.東京ー広島間の電話 会話は,リアルで良かったです!画面越 しに会話する感じです.東京はAさん, 広島B さんで,せーのでコーラスでもや りました オンラインだからこそ の練習. しかし,意識してそ の練習をしたのでは なく,偶然の産物. オンラインならで はの練習とはどの ようなものがある か. 26 タイムラグがあるのですが,だんだん慣 れてきました.タイムラグが激しい日と そうでない日もあった気がします. システムの問題は慣れ によって気にならなく なる. 慣れにより,やりづ らいと思うこともな くなってくる可能性 がある. 経験を積むことの 重要性. 27 (私語について) 普通の教室だと気にならないと思うんで すが. 離れてる分,なんか教えてる方もテンシ ョン下がります.見えない糸で常に一生 懸命引っ張ってる感じです.すごい疲れ ますけど,それが切れると,お互いテン ション下がる感じがします.毎回ぐった りでした.楽しかったですけど 教師も学習者も常に緊 張しており,少しのこ とでその糸が途切れて しまう. 画面越しで相手が何 を話しているかわか らないので,余計に 気になる. 教師と学習者の心 理的負担. C のインタビューでも,AB と同様のシステムの限界による授業活動への制限があり,それが教師の 物理的負担や心理的やりづらさに影響していることが述べられている(番号 1-(8),3-(9),5-(10)).ま た,表では割愛しているが,遠隔地の学習者把握が難しいため,学習者の名前を呼ぶなどの教師の確認 作業が多くなったことは先行研究(藤本2011*17)と同様であった. 中上級の授業でも,教師は学習者の発話だけでなく発話している当人および他の学習者のノンバーバ ルな反応を見て理解できているかを測るが,初級の場合はアウトプットできる日本語が学習途中のため, 教師がノンバーバルな反応を頼りにすることは,中上級レベルの授業より多くなるだろう.しかし,画 面越しではそのような反応が伝わりにくいことは先行研究で指摘されている.C の場合は,やはり画面 越しの遠隔地の学習者の反応をつかむことができず,自分と同じ部屋で対面授業を受けていた学習者の 反応を頼りにしていた(番号7-(11) ,15-(12) ,16-(13) ,19-(14)). また,日本語には促音や拗音,発音という3 つの特殊音がある.初級レベルでは,文字表記の学習と 相まって,特殊音の発音は重要な学習ポイントである(例:「きて」「きって」では,違う語彙となる.

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発音ができない場合,表記も間違えることが多い).画面越しの場合,口元まではっきり見ることがで きないため,このような発音の問題を授業中に見つけ指導することが難しい(5-(10)).現在の多くのオ ンライン授業では,学習者が教師と関われるのはオンラインでの授業時間に限られている場合がほとん どである.そのため,授業時間内に指導できない場合,学習者の発音が間違えたまま定着してしまう可 能性もある. 5. 初級グループオンライン授業で教師が感じる「やりづらさ」に関する考察 5.1 システムの問題からくる負担 3 名へのインタビューの分析から,システムの問題からくる負担を全員が感じていることがわかった. そしてその負担は,心理的なものと授業運営に関してのものがある.まず,精神的な負担としては,強 い緊張感が教師学習者共に続くことがあげられた.次に,授業運営に関しては,対面授業と同様の練習 が難しい,場の構築の難しさ,学習者全員を見守れず学習者のやる気を見逃すことがあるなど,授業運営 全体を通して細かな不満を感じている.また,オンライン授業では,対面授業にはないコンピュータ操 作やシステム操作を教師がしながら授業を行なうが,初めて使用するシステムで授業をすることも多く, 不慣れなシステムでの授業活動そのものにストレスを感じることもあるだろう.それに加え,学習者が 1 教室に集まっている場合でも,各自が個別のパソコンから接続していても,教室の全体および各学習 者の動きを把握することが難しく,画面に注視する必要がある上,タイムラグで遅れる音声を聞き洩ら さないようにしなければならない.このようなことから,教師の負担は心理的,物理的両方で大きくな ることが考えられる.インタビューの中にはオンライン授業に対する肯定的な意見も出てきたが,上記 のような負担が,担当教師のオンライン授業に対する「やりづらさ」という感覚を生んでいると考えら れる. 5.2 オンライン授業における教師の教室活動に対する不満 システムに起因する遅延や声の途切れなどの問題は,講義や交流型の授業でも同様に起こる.それで は,なぜこの問題が初級のグループオンライン授業では,教師のやりづらさの原因になるのだろうか. 講義型では,授業のかなりの時間を講師が聴衆に向かって1 方向で話をし,画面越しの参加者は各自 でそれを視聴する.対面での講義では私語などが講義に支障をきたすことがあるが,オンラインでは参 加者側は音声をミュートにしていることが多いので,むしろ講師は講義に集中して話すことができると 考えられる.また,質疑応答は双方向のやり取りであるが,通常講師と質問者の1 対 1 のやり取りが主 である. 次にグループでの交流型では,場の発言は複雑かつ流動的である.しかし,学習言語を使って交流す ることが目的のため,語学授業での交流の場合,教師はその場を積極的にコントロールしないことが多 い.また,学習者の発話に何か間違いがあっても,その場で直すことはない.交流型では,教師の役割 は教えることではなくファシリテーションのような働きになり,円滑にコミュニケーションが取れるよ う配慮するが,交流の中心はあくまでも学習者である. それに対して初級のグループ授業では,学習者の語学力は学習段階初期のため,教師主導のクラス活 動が中心となる.Kappas 他(2011*25)によると,ビデオ会議を含む対面コミュニケーションに関連す るプロセスについては,非言語コミュニケーション,感情,認知などが関係しているとされる.VMC での感情レベルのコミュニケーションの過程では,非言語フィードバックによる時間的問題に対する解 決のレベルが低い場合,また,相手の表現に即時性が無い場合は関係構築レベルが低くなり,コミュニ ケーションメディアの限界によって否定的な感情が悪化するとしている. インタビューした 3 名ともが,「対面授業で普通にできる練習がオンラインではできない」と述べて いる.そして,そのことに対して強いストレスを感じていることがうかがえた.初級レベルの外国語を 教える場合,オンラインでの授業は対面授業よりも授業活動が難しいように思われるのは,初級レベル の外国語授業の場合,教師,学習者とも言葉の不足を補うため,即時的にかなり非言語フィードバック に頼っているところがあり,オンラインでの授業ではそれが上手く伝わらない. そのため,初級のグ ループオンライン授業で対面授業と同様の授業活動を行おうとすると,システムの問題と相まって対面 授業よりうまく練習できないと教師は感じ,それも教師がオンライン授業にやりづらさを感じることに 影響していると考えられる。

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A:対面授業では当たり前にできていた,学生とのインタラクションを通じたトピック導入だったり,学生の反応を見な がらの進行だったりが,「どうせまた音声トラブルが起きるし…トラブルが起きたら授業時間が奪われてしまうし …」といった不安により,"トラブルを回避したい"という心理が働いて,あまりできなくなる傾向にありました. A:一斉に発話ができないことが厳しかったです. B:相手が一度の話すことができないんです.なので 1 人ずつ当てていく感じになります.ペアワークはやってもら えますけど,2 組のペアは無理です. C:タイムラグがあるので,一斉コーラスはやりにくかったです 5.3 オンラインの特性を生かした初級日本語授業の模索 交流型の授業では,学習言語を使い母語話者と話すことや,普通では簡単に会うことができない人た ちと語学を通して交流することを目的としている(廣瀬2006*4,松田他2008*5,小林2014*6,張2018*7 重松他2008*8飯野2015*28).つまり,教室の枠を越え様々な人とオンラインを通してコミュニケーシ ョンし,意見を交わすことが重要である.このことから,距離を越えることや,クラスを飛び越えたダ イナミズムを生み出すことが可能になることが,ウェブコミュニケーションシステムの授業での利用の 大きな魅力となっていると考えられる. それに対して今回のインタビューでは,オンライン授業ならではの良さを述べているデータは少なか った.データを見てみると,3名ともオンライン授業は面白いというコメントが所々に見られるが,対 面授業でも行っている活動が,たまたま遠隔であることやコンピュータのシステムと合い相乗的な効果 が生まれ,良い活動になっただけのようである. B:東京ー広島間の電話会話は,リアルで良かったです!画面越しに会話する感じです. 実際にオンライン授業の経験の長いA は,オンライン授業の利点について,海外にいながらにして日 本人教師と学べること以外にどのような利点があるのか,オンライン授業の意義が見出せないと述べて いる.初級のグループオンライン授業ならではの,オンラインの特性の生かした方について,現段階で は教師自身が見つけられていない状態であることがわかった.初級のオンライン授業をより良くしたい と教師は模索しながら授業を行っているが,なかなかそれを見つけることができず,結果的に対面授業 と比べて「できないこと」に意識が向いてしまい,オンライン授業への不満が高まり,やりづらさにつ ながると推測できる. 5.4 不満軽減に関わる授業活動における教師の慣れと回避行動 インタビューの中から,教師はやがてオンライン授業に慣れ,そのことが自身の授業運営に対する不 満を軽減させることが示唆された. A:私の場合,4 年目くらいから突然,「もう,何が起きても仕方ない!」って割り切ったんですね(笑)そうしたら, 対面授業と同じようにインタラクションできるようになりました. A:やはり教師側の心理状況が大きく,慣れも大事だと気付きました. C:タイムラグがあるのですが,だんだん慣れてきました. オンライン会議での授業に慣れるということは,タイムラグが起こること,学習者の表情が見えに くいこと,教室全体の動きの把握や対面授業のような練習ができないことなどの「できないこと」に慣 れるということである.そしてそれは,できないことに固執しないという一種の諦めである可能性が高く, 実際にオンラインでの授業に慣れると,教師は面倒なことを回避して授業を行なうようになる. A:面倒なことを回避→吹っ切れるには教師のメンタルがかなり関わるって,それはシステムの問題でない 繋がらないとなると学生のインタラクションが帰ってこないので,やめちゃおう それでは,上記のような教師の回避行動がそもそもどうして起こるのだろうか.新しい授業を担当す ることになった時,教師はこれまでの自身の経験や他者の経験を参考にし,授業を行なうことが多いだ ろう.日本語教育の場合,初級レベルは未経験者が最初に担当するレベルである.そのため,グループ オンライン授業という形式だったとしても,担当教師はこれまでの授業を参考にできると考え,実際に これまでの対面授業をオンラインでも行っていた.しかし,ウェブコミュニケーションシステム特有の 様々な問題に直面し,対面授業にはないやりづらさを感じてくる.そして,やがて問題に慣れてくると,

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出来ないことはあきらめて回避するようになり出来る範囲で授業活動を遂行しようという意識になる ことがインタビューから明らかになった. 講義型や交流授業を担当している教師も初級レベルのグループオンライン授業を受け持った教師と 同様に,これまでの経験を活かして授業運営をしていると思われる.しかし,前節で述べたように,講 義および学生同士の交流が目的の授業とは教師の教室での振る舞いが異なる.初級レベルの教室での教 師の活動や振る舞いは,オンラインでの授業においてある程度の制限があるのではないだろうか. 現状では担当教師はウェブコミュニケーションシステムの特徴を理解しているわけではなく,結果と してオンライン対面授業の利点をはっきり見出せていないまま授業を行なっている現状がうかがえた. 初級レベルの場合,教師が学習者に対して授業を行なうという形式のため,ウェブコミュニケーション システムの利点である通常触れ合えない人たちとコミュニケーションできるという点が授業の魅力に なっていない.もちろん,授業活動にそのような活動を組み込むことは難しくないが,総合的にグルー プオンライン授業で初級日本語を教える場合,単に対面授業やオンラインプライベートレッスンの授業 活動を置き換えるのではなく,VMC の特徴を活かした授業デザインが必要であることが示唆された. 5.5 教師の IT に関する知識の必要性 インタビューで示唆されたように,初級のグループオンライン授業を担当した教師は,これまでの経 験をオンライン授業でも行おうとしていた.そして,システムや回線の影響などもありこれまでの経験 がそのまま生かせないことも明らかになった.教えた経験のない授業を初めて担当する場合,これまで の授業経験を活かそうとし,対面授業の中ではそれは有効な方法となる.しかしオンライン授業では, 機器の操作をしながら授業活動をする,学習者を画面越しに見る,音声や画像の遅延やノイズと言った システム障害への対処など,これまでの対面授業では経験していない様々な事象がある. 機器の操作をしながらの授業が負担,システムトラブルが授業の妨げになるということであれば,IT 専門家やアシスタントが同席して機器操作やトラブル対応を担当し,教師は授業活動に集中すれば問題 は解決するように思われる.実際A の授業は理工系学部のコンソーシアムでの授業であり,IT 専門家 の同席もあった.しかし,授業に IT 専門家が同席しシステムのサポートがあってもそれだけでは解決 できない問題が授業中に起こり,一概にインターネット回線やオンラインミーテイングシステムの機能 向上や変更だけでは,解決できないことがあると教師が感じていることもわかった. ウェブコミュニケーションシステムは必ず相手先があり,IT 専門家が同席しているその場のトラブル には対応できても,相手側の問題は解決できないことが多い.また,教師が解決したいのはシステムト ラブルから発生する授業活動であり,この問題は教師自身が対応していかなければならない.このこと から,担当教師がある程度システムについての知識を持ち,その特性に合わせた授業を組み立て,トラ ブル時に対処することが必要だろう. 7.まとめと今後の課題 今回は主に授業を担当している教師に授業中にやりづらさを感じるのは,感じるとしたらそれはどの ような理由からなのかなどを明らかにするためインタビューを行った.インタビューから現在の日本語 初級レベルのオンライン授業において,システムの不具合からの負担が教師のやりづらさという感覚を 生んでいること,また,通常の対面授業をオンライン授業でも置き換えて行おうとしそれがうまくいか ないことが多い事などが明らかになった.また,IT 専門家が授業に同席しても,彼らは語学の授業運営 に関しての知識が豊富なわけではないため,解決できる問題はあくまでシステムトラブルに関してで, システムに絡む授業運営に関しての語学教師の不満などが理解されず問題解決につながらないことが 多かったようである.以上から,教師自身がウェブコミュニケーションシステムの特性を知り,それを 活かした授業デザインをする必要性や,授業運営のサポートに関しては,IT 専門家と教師をつなぐブリ ッジ人材の必要性が示唆された. また,今後増えるだろうと思われるハイブリッド授業では,目の前にも学習者がいることにより遠隔 地の学習者への対応がより難しくなることが示唆された.遠隔地にいる学習者も,参加しているという 意識が希薄になりがちで,学習者によっては学習意欲の低下につながることも考えられる.教師と学習 者双方が遠隔地におりオンラインシステムでつながっている場合,教師は画面越しの学習者に意識を集 中させる.しかし,同じ教室にも学習者がいる場合,そちらの反応は意識することなく把握することが できるため,画面越しの学習者へ意識を向けることが難しくなる.

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今回のインタビュー分析をうけ,オンラインでの初級日本語グループ授業ではどのような活動が難し いのか,オンラインならではの活動とはどのようなものを明らかにするために,実際の授業の教案分析 を行い,具体的な授業内容についてより詳細に分析することを今後の課題とする. 参考文献 [1] 福岡昌子・趙 康英(2013)「グローバル人材育成と企業の留学生雇用に関する研究」,三重大学国際交流 センター紀要 8, 19-38, 三重大学国際交流センター [2] グローバル採用ナビ「日本企業の外国人雇用の実態」記事更新日:2018 年 03 月 13 日初回公開日:2017 年10 月 12 日) (https://global-saiyou.com/column/view/japanese_companies(閲覧日 2019 年 3 月 25 日) [3] 国際交流基金「2015 年度 海外日本語教育機関調査報告書」(2019 年 3 月 25 日閲覧) https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/survey15.html [4]廣瀬孝文(2006)「テレビ会議を利用した国際遠隔授業の試み --カナダの大学との連携授業の実践と自己 評価--」, 岐阜聖徳学園大学紀要. 外国語学部編 45, 43-59, 岐阜聖徳学園大学 [5] 松田奏保・石川希美・小野真嗣(2008)「TV会議システムを用いたニュージーランドとの遠隔授業実施 報告」, 苫小牧工業高等専門学校紀要,第 43 号,39-53, 苫小牧工業高等専門学校 [6] 小林 智香子(2014)「文化を取り入れた総合的日本語教育による日韓国際遠隔授業における学び」, 比較 文化研究 = Studies in comparative culture (110), 93-103,日本比較文化学会

[7] 張 晶・劉 潔・大橋 眞(2018)「対話型国際遠隔授業の成果と課題について : 青島理工大学と徳島大学と の遠隔ネット交流の実例から」, 大学教育研究ジャーナル 15, 55-64,徳島大学 [8] 重松淳・國枝孝弘・藁谷 郁美(2008)「遠隔会議システムを利用した外国語授業実践」,2008PC カンフ ァレンス論文集,CIEC http://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/paper/2008/pdf/57.pdf(2019 年 3 月 25 日閲 覧) [9]佐野香織(2009)「Web 掲示板と遠隔 TV 会議システムを利用した授業実践 : 「言い訳」に注目して」大 学院教育改革支援プログラム「日本文化研究の国際的情報伝達スキルの育成」活動報告書 平成 20 年度 学内教育事業編, 276-279,お茶の水女子大学大学院教育改革支援プログラム「日本文化研究の国際的情報 伝達スキルの育成」事務局 [10]尹智鉉(2009)『遠隔の日本語教育と e ラーニング : テレビ会議システムを介した遠隔チュートリアルの 可能性』早稲田大学出版部 [11]尹智鉉(2003)「ビデオ会議システムを介したコミュニケーションの特徴-ストラテジー使用による日本語 学習者の言語管理」,早稲田大学日本語教育研究,第 2 号 ,245-260,早稲田大学大学院日本語教育研 究科 [12]尹智鉉(2004a)「遠隔接触場面における調整軌道-ビデオ会議システムを用いた日本語教育の試み-」, 日本語教育学会,日本語教育,123 号,17-26, 日本語教育学会 [13]尹智鉉(2004b)「ビデオ会議システムを介した遠隔接触場面における言語管理-「turn-taking」と処理 過程をめぐって」,『世界の日本語教育』,14 ,35-52, 国際交流基金

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