対話を基軸とした中学校理科の問題解決過程における知識統合の実態
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(2) 中込・加藤:対話を基軸とした中学校理科の問題解決過程における知識統合の実態. さらに,これらの研究は,Linn が目指したような異 なる領域や内容間の統合について言及するまでには 至っていない。 以上を踏まえ,本研究では,CSCL 環境下ではな い一般的な中学校理科の学習環境を前提として,主 に生徒の対話を基軸とした問題解決の中で見出すこ とが出来た知識統合の実態を,生徒の思考プロセス とその際に創られる知識や考え方の分析から明らか にすることを目的とする。. 2.知識統合の具体 2.1 2 種類の知識統合と段階性 三宅(2003)は,Linn & Hsi(2000)が分析対象 とした授業実践から,以下の 2 種類の統合を規定し た。このことを踏まえ,本研究では,その 2 種類を 知識統合の視点として位置づける。 視点①:違う問題(領域や内容)に対する理解の統合 視点②:同じ問題に対する解・解法のバリエーショ ンの統合 視点①は,異なる問題(領域や内容の知識)に対 して共通点や相違点を見出すことを介して関連づけ, 原理や理論を導いていくものである。これに対して 視点②は,同じ問題に対して学習者が協働の場で考 えを共有する中で,異なる考えを関連づけ統合して いくもので,対話が中心となって行われるものであ る。この 2 つの視点について,Linn & Hsi の研究で 取り上げられた学習内容を事例として,統合の具体 を表したものを図 1 に示す。. ここでは,教科書の単元に相当するものを「領域」 とし,その単元を構成しているものを「内容」とし て位置づけている。知識統合の学習プロセスは,ま ず内容レベルの知識を創り出すことからはじまる。 それには,視点②を用いて,内容について自ら所持 する既習知識や日常知から考えを創り出し,他者の 考え方を取り入れ,多様性を包含しながら考えをま とめていく。ここでは,事実に即した知識や考えの 獲得が目指される。次に,創り上げた各内容につい ての知識を統合して,一般化・抽象化された領域の 知識や考えを創り出す。そして,創り上げた異なる 領域の知識を統合し,原理や理論に迫っていくので ある。これらは,視点①に該当する。視点①は,異 なる領域や内容の知識を同時に取り扱う分,視点② よりも取り扱う知識量が増加し,認知的な負荷が多 くかかることから,学習者間の対話のみでは統合の 実現が難しく,学習者の主体性は保証しながらも, カリキュラムレベルでの手立ての検討が必要と考え られる。 なお,図 1 に記述されているものは一例であり, 知識や考えのみならず技能と結びつく場合など,そ の対象や要素の数は様々考えられる。また,教科書 を用いて学習の初期段階から一般化された知識を用 いる場合等,様々な学習文脈が考えられるため,必 ずしも図 1 の下から順にすべてのプロセスを経て, 最終的に目指す知識統合が実現されるわけではない。 2.2 知識統合を導く 4 つのステップ Linn は,知識統合を導くプロセスとして,以下の 4 つのステップを明示している(表 1)。. 【原理や理論】. (抽象的). エネルギーの性質. 知識統合の視点❶. 熱の伝導性. 異なる「領域」間の統合 【一般化・抽象化された知識や考え】 (カリキュラムレベル+対話レベル). 光の伝わり方. 知識統合の視点❶. 異なる「内容」間の統合 (カリキュラムレベル+対話レベル) 物質の違いによる 熱と温度の違い 熱の伝わり方. 知識統合の視点❷. 同一の「内容」における多様な考えの統合 (対話レベル) 熱と温度は同 熱の流れ(量) で温度が決まる (具体的)じである. 【事実に即した知識や考え】 光が届く距離. 光の進み方. 【自分の考えや他者の考え】 途中でなく なってしまう. 弱まるが、なく ならない. 図 1 2 種類の視点とその段階性 ※三宅(2003)が提唱した知識統合の 2 つの視点をもとに,Linn & Hsi(2000)の実践の結果を図式化したものである 468.
(3) 理科教育学研究 Vol.61 No.3(2021). 表 1 知識統合を導く 4 つのステップ(Linn, 2006) ステップⅠ ステップⅡ ステップⅢ ステップⅣ. 共通点や相違点を見つけることを通して矛盾等を解 消し,知識や考えを分類・整理する段階である。 これら 4 つのステップは,1 時間の授業において も意識されるものではあるが,Linn らの実践では, 1 つの単元や一連の学習文脈の中で 4 つが適切に生 じるように,知識ベースでカリキュラムがデザイン されていた。本研究では,この考え方を参考にして カリキュラムデザインを行うと共に,知識統合を目 指す学習者の思考プロセスを,表 1 の 4 つのステッ プにしたがって明確化することを試みた。. 学習者が現在持っている知識や考えを引き出す 新しい知識や考えが与えられる 知識や考えを,規準をもって自分で評価する 自他の知識や考えを分類・整理する. ステップⅠは,学習者の課題に対する知識や考え を表出する段階を指す。これによって自らの理解状 況を把握するだけでなく,他者から表出された知識 や考えとの比較や関連づけの素地を作ることが期待 できる。 ステップⅡは,望まれる知識や考えの獲得に向け て,自らの考えを捉え直す刺激となる新しい知識や 考えに触れる段階である。 ステップⅢは,ステップⅡで触れた新たな知識や 考えが,所持する知識や考えと関連づけられるか等 の観点から,規準をもって評価し判断する段階であ る。他者が表出した知識や考えは,十分な吟味や検 討もなく取り入れる場合があるが,ここでは,取り 入れる知識や考えを自分なりの視点から評価するこ とを前提としている。 ステップⅣは,獲得した知識や創り上げた考えを,. 3.調査の概要 3.1 調査時期,調査対象ならびに学習内容 (1)調査時期:2018 年 10 月∼11 月 (2)調査対象:神奈川県内公立中学校第 2 学年 3 ク ラス(84 名) (3)学習内容:「動物の生活と生物の変遷」単元内の 「動物のからだのつくりとはたらき」と「生物の変遷 と進化」 3.2 実施したカリキュラム 実施したカリキュラムを表 2 に示す。これは,生. 表 2 実施したカリキュラム 時 内容. 2. 3. 動物のからだのつくりと はたらき. 1. 4 生物の変遷と進化. 5. 6. 8. 環境の変化に伴う 動物の対応方法. 7. 行われた学習活動 知識統合の視点 ・ヒトの動きには見られない気になる動物の動きをグループで挙 げた。 ・その動き実現しているからだの構造について考えていくことと し,個人の考えをワークシートにまとめた。 他者との対立する多様な考えを批判的かつ建設的に捉え,自らの ・個人の考えをグループで共有し,その適切性について検討した。 考えと比較しながらまとめていく。対話中心で創り上げられる知 ・グループでの検討後,問いに対する自らの考えを,再度ワーク 識に,科学的な要素を効果的に結びつけ,抽象度を高めていくこ シートにまとめた。 とにより,統合を目指していく。目指す知識統合の視点:視点② ・第 2 時までに創り上げた考えについて,検証が必要な部分を WEB や書籍を用いて調べる学習を行った。 ・調べ学習後,ワークシートに個人の最終的な考えをまとめて, 結論を導出した。 ・第 1 ∼ 3 時でまとめた動物の動きが,どのような自然環境や生 存戦略が背景として出現したのかについて検討することを確認 した。 ・問いに対する個人の考えをワークシートにまとめ,考えをグ 自分達がまとめた考えだけでなく,他グループの考えも取り扱う ことで,第 1 ∼ 3 時より多様性を包含するプロセスを保証する。 ループで共有し,その適切性を検討した。 これにより,関連づけを促し,統合を目指す。目指す知識統合の ・グループで創り上げた考えを他のグループと共有し,双方の考 視点:視点② えを比較した。 ・比較から見出したことを基に,再度個人で考えをまとめ,結論 を導出した。 ・動きの特徴やその動きを実現しているからだの構造について, 既習の動物の分類方法について,批判的な視点から検討を行い, 動物は分類可能かについて検討することとした。 ・問いに対する考えをグループでまとめ,他のグループと考えを 分類方法の妥当性について,自らが創り上げてきた考えと関連づ けて考察し,より抽象度の高い知識や考えを創り出す。目指す知 共有した。 ・他グループの考えを参考にしながら,再度グループで検討を行 識統合の視点:視点② い,結論を導出した。 ・第 1 ∼ 6 時でまとめた考えを用いれば,これからの環境変化に 伴う動物の変化を予想することができることを確認し,具体的 「動物のからだのつくりとはたらき」と「生物の変遷と進化」の に検討することを確認した。 ・問いに対する個人の考えをワークシートにまとめた後,グルー 異なる内容について,獲得した知識を俯瞰的に捉え,適切に関連 付けることで,環境の変化に伴う動物の対応方法に関する抽象度 プで考えを共有し,その適切性について検討した。 の高い考えを創り出す。目指す知識統合の視点:視点① ・これまでに創り上げてきた考えや獲得した知識について振り返 り,再度個人でワークシートに考えをまとめ,結論を導出した。. 469.
(4) 中込・加藤:対話を基軸とした中学校理科の問題解決過程における知識統合の実態. 徒が経験した内容を中心に記す事後のカリキュラム として,知識統合の 2 つの視点との関係とあわせて 示したものである。 Linn の研究では,CSCL 環境を前提にしながら効 果的なコンテンツの配置を行うなど,知識統合を促 す周到な足場かけがなされており,教師の意図性が 強くあらわれたカリキュラムデザインとなっている。 これに対して本研究では,実践への適用をより重視 する立場から,生徒の問題意識をもとに全体のカリ キュラムデザインを行うことを重視した。 3.3 分析の視点と分析資料 第 1 時∼第 6 時は,「動物のからだのつくりとはた らき」と「生物の変遷と進化」について,それぞれ の内容についての知識や考えを創り出す,視点②を 目指す学習活動である。分析対象を第 1 時∼第 3 時 の事例とし,対立する考えをまとめていく過程を, 協働学習での発話プロトコルから分析し,個人の ワークシートへの記述内容から,問題解決過程にお ける対話がどのように個人の知識を構築することに関 与しながら,知識統合を実現するか分析を行なった。 第 7・8 時は視点①を目指すもので,2 つ目の分析 対象とした。異なる内容の知識がどのように関連づ いて,考えを創出していくのか,協働学習の発話プ ロトコルならびにワークシートの記述内容から分析 を行った。また,どのように考えを創り出したか詳 細に捉えるため,半構造化面接を実施した。視点① は,図 1 の異なる「内容間」の統合と異なる「領域 間」の統合が存在するが,本研究においては,生徒 の対話を基軸とした問題解決を重視することから, 抽象度の高い知識を取り扱うことによって,教師の 介入が多くなると考えられる後者よりも,前者を分 析対象とすることで,生徒の主体性との関連をより 追及することができると判断した。. 4.結果 4.1 授業実践を通じた知識統合の達成状況 分析対象とした第 1∼3 時と第 7・8 時において, 表 1 に示した知識統合の 4 つのステップをたどり知 識統合に至ったと判断できた生徒は,それぞれ 71 名 (84.5%)と 59 名(70.2%)であった(図 2)。この ことから,本研究で構想したカリキュラムにした がって実践された理科授業おいては,多くの生徒が 知識統合を実現できており,その実態を明らかにす る対象となり得ると判断できる。 このような実態を踏まえ,知識統合の具体を明ら かにするために,第 1∼3 時ならびに第 7・8 時の両 470. 第7・8時 (n=84). 第1~3時 (n=84). 71. 59. 57. [84.5%]. [70.2%]. 2 14. 25. 13 [15.5%]. 11. [29.8%]. 図 2 注目した授業時間において知識統合に至ったと判 断できる生徒の人数とその割合 ※上段の数字は人数を,[ ]内の数字は全体の割合を, 矢印付近の数字は,第 1∼3 時から第 7・8 時にかけて推 移した人数を示している。. 方で知識統合を実現できた 57 名から事例の抽出を行 い,詳細な分析を行うこととした。事例の抽出にあ たっては,収集した記録物等に十分な記述が為され ていることと,知識統合に関わる思考過程が明確に 読み取れることを条件に,2 名の生徒(生徒 A と生 徒 E と称する)を選択することとした。 4.2 知 識統合における「視点②」の実態(第 1 ~ 3 時) 事例分析として,ここでは,生徒 A の知識統合の 実態を明らかにしていく。 4 人グループを構成する生徒 A∼D は,第 1 時にお いて,ゾウの鼻が柔軟な動きを可能にしていること に関して,その構造について検討した。生徒 A の考 えを図 3 に示す。生徒 A は,ゾウの鼻に骨はなくす べて筋肉でできており,これによって柔軟な動きが できるとしている。また,筋肉の量が多いことで骨 の代わりを果たし,力強い動きが実現できると考え ていた。この表現は,課題に対する自らの考えの表 出に該当し,表 1 における知識統合のステップⅠと 判断できる。 第 2 時における,グループ内での個人の考えの共 有場面の発話プロトコルを表 3 に示す。象の鼻の構 造に関する生徒 A のいわゆる「筋肉」説に対し,生 徒 B からは,関節が多いことで柔軟な動きを実現し ているとする「関節」説が提示され,骨を必要とし ない生徒 A の考えと対立する構図が明確化した。こ の構図は,自らの考え方と比較することや,「関節」 説を批判的に検討する機会となっており,表 1 のス テップⅡに該当すると考えられる。生徒 B から示さ れた「関節」説は,生徒 A にとって「筋肉」説を問 い直すことに繋がる,新たな知識の提供という位置.
(5) 理科教育学研究 Vol.61 No.3(2021). 図 3 生徒 A の最初の考え 表 3 第 2 時の協議における発話プロトコル. 図 4 協議終了後の生徒 A の考えのまとめ. A1 ゾウの鼻は筋肉でできてて,だからしなやかに動く と思う。 B1 筋肉だけを動かすって無理じゃない? A2 なんで? C1 筋肉は骨にけんで繋がってるからってことだよね。 D1 え,でも,腹筋とか横にあばらはあるけど,真ん中 に骨なくても動かすことできるくない。 B2 それだったら,ゾウの鼻にも先っぽと頭らへんに骨 があって,そこから繋がってるってこと? D2 鼻の先の部分って,すごくぷよぷよして柔らかそう じゃない? B3 やっぱり,鼻の中心に細い骨みたいなのがいっぱい あって,関節が多いから曲げることができるんだって。 C2 関節があるなら,あそこまでしなやかには無理じゃ ない?曲がれない方向でてくるでしょ。 D3 キリンの首も,ゾウの鼻と同じ動きするけどさ,TV で キリンの首の骨について説明してたから同じだって。 A3 キリンは首支えてるから骨があるんじゃないの。ゾ ウは食べ物とるくらいしか使わないから。 C3 よく赤ちゃん持ち上げるの TV で見たことない?あ れ,骨があったら折れるんじゃない? D4 あれなんじゃないの。赤ちゃんの骨習ったときみた いに骨と骨の間隔空いてて曲げれる。そしたら,骨 折れることも少なくなるんじゃない?関節がないか ら。で,周りに筋肉がある。. づけにあると解釈できるからである。 その後,それぞれの説を批判的に検討し,さらに, 既習知識や日常知を関連付け,説明が不十分な部分 や矛盾点の解決を図ろうとする中で,生徒 D からの 新たな説明である「赤ちゃんのような構造」説を検 討する方向へと進んだ。 グループでの協議後の生徒 A のワークシートの記 述を,図 4 に示す。生徒 A は,「関節」説に対して, 関節ごとに筋肉と骨がくっつくことで動きが制限さ れてしまうこと(図 4 下線部),「赤ちゃんのような 構造」説に対しては,利点を認めながらもこの構造. では力が入りにくいこと(図 4 点線部)を考察して いる。その結果,自らの「筋肉」説が妥当な説明で あると判断しているものの,C1 の発言における筋肉 と骨と腱がつながっているという体のつくりに関す る原則について,現段階では説明が不可能であるこ とや(図 4 太線部),「赤ちゃんの構造」説に対して は,D4 が指摘した骨があることによる丈夫さについ てまで,十分に検討・言及ができていない。これら から,生徒 A の中で検討すべき事項として,骨が必 要である可能性について考えの中に取り入れられる と共に,新たな考えを模索する状態にあることが推 察できる。この思考過程は,動きを実現する体のつ くりとして妥当かという判断の規準のようなものに したがって,グループ内で共有された他者の考え, すなわち生徒 A にとってステップⅡで獲得した考え や知識を対象として一定の評価を行い,取捨選択を している姿と捉えられる。このことから,この場面 は,表 1 のステップⅢの思考と判断できる。 また,ステップⅣとして,生徒 A はこれまでの自 他の知識や考えを整理し,結論として「筋肉」説を 主張する一方で,説明不可能な部分では骨が必要と いう考えを用いており,考えが混在した状態でまと めたこと(以下,「筋肉+骨」説と示す)が,協議後 の個人の記述から読み取れる(図 4)。このことは, 動きを実現するための筋肉と骨の関係について,よ り詳細な知識が必要であるという判断の下,次時に おいて WEB や書籍を用いた調べ学習を行なったこ とへと繋がった。 第 3 時における調べ学習後の生徒 A のワークシー トを,図 5 に示す。ここでは,前時に創り出した 「筋肉+骨」説について,科学的に説明できていない 可能性を再確認し(ステップⅠ),WEB や書籍を用 いて調べ学習を行なった。ここでは,ゾウの鼻は細 かい筋肉でできており,それが束状になっていると. 471.
(6) 中込・加藤:対話を基軸とした中学校理科の問題解決過程における知識統合の実態. 図 5 調べ学習後の生徒 A の考えのまとめ. いう,既習事項とは異なる特殊な構造に関する新た な知識を確認した(図 5 枠線部,ステップⅡ)。そし て,これが動きを実現するための説明に必要な知識 であると評価し,自らの考えに取り入れ(ステップ Ⅲ),検討事項にしていた骨の必要性について,象の 鼻は筋肉が骨の役割を果たすとし,ここまでの知識 や考えを整理して「ゾウの鼻は筋肉」説が成立する という考えをまとめている(ステップⅣ)。一方で, ゾウの鼻以外の柔軟な動きをする部位について,説 明を行うための知識も必要であると判断し,改めて 先の活動で獲得できた「ゾウの鼻は筋肉」説を考え. の前提として(ステップⅠ),調べ学習の中でキリン の首と人間の首の骨の本数は同じという別の知識を 確認した(図 5 下線部,ステップⅡに相当)。これ が,ゾウの鼻のような特殊なつくりをしている部位 以外について,柔軟な動きを実現する構造を考える ための必要な知識と判断し(ステップⅢ),一般的に 柔軟性のある動きをしている部位の構造は,既習ど おりの「筋肉+骨」説が成立すると判断したと考え られる。さらに,これまで獲得した考えや知識を再 整理し,関節の数が直接的に柔軟性に関係しないと 考え,「関節」説が成立しないことと(図 5 点線部), 動物が柔軟な動きを可能にするには,筋肉自体の柔 軟性が重要であるとまとめている(図 5 太線部,ス テップⅣ)。特殊なゾウの鼻のつくりだけにとどまら ず,動物全体に視点を向け,柔軟な動きと筋肉の関 連性に注目しながら体の構造に関するより一般化さ れた知識を創り出すことへと繋がった。この過程に よって,視点②が実現されたと判断するものである。 本実践においては,上述したように,抽象度の高 い知識を獲得するまでに,知識統合のステップⅠ∼ Ⅳが繰り返し表出していたことが確認できた。すな わち,学習問題の解決過程において,自らの考えを 前提としながら直面した新たな知識や考えの評価 や整理を行いながら関連づけ,少しずつ抽象度を高 めつつ解決していくという,いわゆる「小さな統合 (Micro Integration 以下,MI と略す)」の存在を見. 生徒A以外の知識や考え. 生徒Aの知識や考え 筋肉の柔軟性が重要となる 【ステップⅣ】. 【ステップⅢ】. Micro Integration. 「ゾウの鼻は筋肉」説. (他の部位は)「筋肉+骨」説. 取り入れ. キリンの首は人の首と骨の数が同じである 【ステップⅡ】. 【ステップⅠ】. WEB. 特殊なゾウの鼻以外の柔軟な動きを する部位の構造について検討が必要. 第3時. 【ステップⅣ】. 書籍. 「ゾウの鼻は筋肉」説. 【ステップⅢ】. Micro Integration. 筋肉が骨の役割を 果たす. 「筋肉+骨」説. 取り入れ. 象の鼻は細かい筋肉が束になっている 【ステップⅡ】. 【ステップⅠ】 動きが生じる際の筋肉と骨の関 係について、詳細な知識が必要. 【ステップⅢ】 関節が多いことで柔軟に動く. 動きが制限される. 【ステップⅣ】. 第2時. 「筋肉+骨」説. 棄却 力が入りにくい. Micro Integration. D. 骨があるから丈夫である. 「筋肉」説 第1時. A. 「筋肉」説. 構造上、骨は必要. 取り入れ. 筋肉は骨と腱につながることで動く. 【ステップⅠ】. 図 6 生徒 A の思考を中心とした視点②における思考のプロセスモデル 472. B. 関節がないから柔軟に動く (赤ちゃんを例に). 【ステップⅡ】. C.
(7) 理科教育学研究 Vol.61 No.3(2021). 出すものである。そして,それら小さな統合(MI) の連鎖と集積が,視点②を実現したと言える実態で あるということである。これら本実践における視点 ②の実態を,生徒 A の思考を中心として,モデル化 したものを図 6 に示す。この図から明らかなように, 生徒 A は,分析対象とした第 1 時から第 3 時の間で, ステップⅠからⅣに至る知識統合のプロセスを 3 回 経過したことが確認できる。 4.3 知識統合における視点①の実態(第 7・8 時) 事例分析として,ここでは,生徒 E の知識統合の 実態を明らかにしていく。 第 3 時までに創り上げた「動物の体のつくりとは たらき」の知識を踏まえて,第 7 時では,「環境の変 化に伴う動物の対応方法を考察する」という問いが 設定された。この問いに対する生徒 E の最初の考え を図 7 に,さらに,分析対象とした生徒 E のグルー プ(生徒 E ∼ H)の協議の発話プロトコルを表 4 に 示す。 「環境の変化に伴う動物の対応」について,生徒 E は,今後「森がなくなる」という環境の変化を想定 した(図 7)。また,考えられる動物の変化として, 確保できるエネルギー量の減少を理由に,体を小さ くするという考えと,一方で,手・足の筋肉や腎臓 の発達をあげている。生徒 E 自身が理由としてあげ たエネルギー収支の視点から,体の変化を十分に説 明するまでには至っていない。すなわち,生徒 E が 知識統合のステップⅠとして表出したそれぞれの考 えは独立する傾向にあり,前時までに創り上げてき. 図 7 第 7 時における生徒 E の最初の考え 473. た知識は活用されているものの,相互に関連付けら れていない状態と判断できる。 その後のグループ協議では,生徒 E の「腎臓を発 達させたい」,「体を小さくしたい」という考えに対 し,生徒 G からの「臓器が発達するなら,体は大き くなるはず」(G1 の発話)という考えや,生徒 F か らの「他の臓器も発達する必要がある」(F3 の発話) という指摘を受ける中で,臓器の発達に伴う体の変 化について検討している。その後,生徒 H からは機 能面について(H2 の発話),生徒 G からは効率面に 視点を向けて解決しようとする提案(G2 の発話)が なされている。これらは,生徒 E にとって新たな考 えの提供による,自らの考えの見直しと解釈できる 表 4 第 7 時の協議における発話プロトコル F1 腎臓が発達して細かな水分調節ってできるの? E1 どういうこと?今でもしてるじゃん。 F2 あ,そうなの?尿として出すだけかと思った。今も できてるならそのままでよくない? E2 尿で出すにしたって,植物の蒸散と同じでさ,水分 出しすぎたら水また吸わないといけないじゃん。そ れも調節できるかなって。 G1 発達するってことは,大抵大きくなるんじゃないの? 腎臓大きくなったら体も大きくなるんじゃないの? H1 あぁ,てことは体大きくしたほうがいいのか。でも, 人間って臓器発達してるけど他の哺乳類より体小さ くない? E3 むしろ進化とかって,小さくなって機能高めてるか ら進化になるんじゃないの? F3 え,じゃあさ,腎臓はわかったけど,森林なくなっ て栄養がないなら,少ない食糧で今より吸収できる 効率上げなくていいの?小腸とかも。そうなると, やっぱり体大きいほうがよくない? E4 でも,体小さくなったら細胞の呼吸とかで使うエネ ルギー少なくなるじゃん。 F4 それだったら,さっきの水の調節だってそうじゃん。 体小さくなったら,必要になる水は少なくていいの に,腎臓だけ発達っておかしくない? E5 そっか。でも,例えば小腸を長くするとしたら,さ すがに体大きくなるよね。 H2 臓器発達させたら大きくなる可能性があるんなら,臓 器じゃなくて消化液とか強くすればいいんじゃない? E6 あぁ,そっか。無理に臓器全体をってしなくてもい いのか。でも,それって,きっと強くした分,消化 液作るのにエネルギー使いそうなイメージない? G2 肺と小腸をどっちも少しだけ強くするっていうの は?エネルギー作るとき酸素も必要でしょ。少ない 酸素を効率よく取り込めるし一石二鳥だし。 H3 効率面なら,肺胞とかの一部でいいんじゃないの?.
(8) 中込・加藤:対話を基軸とした中学校理科の問題解決過程における知識統合の実態. ことから,表 1 のステップⅡに該当すると考えられ る。この解釈の妥当性については,生徒 E が協議後 に他者の考えをどのように取り入れたかについて, 半構造化面接による聞き取り調査を第 8 時終了後に 実施して確認した。その記録を表 5 に示す。表 5 の 下線部から,協議で提案された「体を大きくする必 要がある」という対立意見については,生徒 H や生 徒 G の考え方である,機能や効率に注目した新たな 視点を取り入れることで,体を大きくする必要はな いと判断したことがわかる。また,生徒 H や生徒 G の考えを取り入れた背景には,表 5 の波線部から, 馬の肺のつくりは大きくして対応するだけではなく, 機能と効率を高める工夫もあったという学習の想起 であることがわかる。これは,生徒 E が前時までに 視点②で創り上げた知識を活用している姿と考えら れ,視点②が視点①を支える事例のひとつであると 解釈できる。このように,自らの学習経験を想起し ながら,それを他者の考えを評価する規準として用 いて,自らの思考に取り入れるか判断していたこと は,知識統合のステップⅢに該当すると解釈できる。 加えて,知識統合のステップⅣとして,ここまでの 自他の考えについて整理を行い,協議前の関連が見 いだせない双方の考えが,「環境の変化」と「体のつ くり」を関連づけた考えに変容していることも確認 できた。. この一連のプロセスにおいて認められたことは, 視点②と同様に,自らの考えをもとに直面した問題 の 解 決 を 目 指 し て 思 考 す る 中 で,「 小 さ な 統 合 (MI)」が生じていたことである。 第 8 時の授業終了時点での生徒 E のワークシート の記述を,図 8 に示す。生徒 E は,第 7 時での MI によって獲得した考えを前提として(ステップⅠ) , 臓器の変化についてエネルギーを効率よく吸収する 点から考察した。そして,効率を上げるために臓器 の機能面に視点を向けた考え(図 8 点線部)を導く に至っている。また,運動の機能については,少な いエネルギーで運動ができる骨格の変化を提案して いる。筋肉の縮小による運動全体のパフォーマンス については,体が小さくなるため相対的には劣ると 考えられるが,動物の視点に立てばさほど大きな変. 表 5 生徒 E への半構造化面接の発話内容 T E. 協議を通して,最後の考えをまとめるまで,自分の 中でどのように考え方が変わりましたか? とにかく腎臓を発達させたかったんで,はじめは腎 臓が大きくなって,他の使わないところを小さくす れば,プラスマイナスゼロでいいかなって考えで。 ただ,話し合いでの中で,腎臓以外にも森林が減少 すると発達しなきゃいけない部分があることに気づ いて,それだとやっぱり体のサイズが大きくなって, エネルギー使ってしまうかと思ったんですけど,(生 徒 H や G)が臓器全体っていうより機能のことにつ いて言ってくれたから,そうやって進化してきたも のもいるかって。前の進化考えた時に,馬の肺でつ くりだけじゃなくて,機能を高める工夫も調べたの で,それで効率良くなって,それと一緒だなって。 体を大きくするか,小さくするかを考えてたけど, そこだけしか考えてなかったから,小腸だと柔毛だ け見ると,体を小さくしたいっていう自分の考えと 合わせることができるなって思って,その考え方に しました。これまでの進化の歴史的に見ても可能だ と思いました。. 図 8 第 8 時における最終的な生徒 E の考え 474.
(9) 理科教育学研究 Vol.61 No.3(2021). 化ではない(図 8 太線部)と考え,協議前の臓器や 器官に対する一面的な見方から,環境の変化に伴う エネルギー収支の視点を取り入れた考えに変化して いる。この一連の過程は,第 7 時で生じた MI によっ て構築した考えが既習事項に対する内省を促し,結 果として保持している知識を俯瞰的に捉え直す心的 な作用へと繋がっていったと考えられる。これによ り,最初の段階では用いられなかった知識が,自ら の考えを構築する上で有意味なものであることに気 づく等,知識統合のステップⅡとⅢの思考が同じ場 面で並行して生じた可能性が考えられる。 このように,第 1 時∼第 6 時の中で構築された「動 物のからだのつくりとはたらき」と「生物の変遷と 進化」についての知識は,MI の繰り返しによって再 整理がなされ(ステップⅣ),環境の変化といった外 的要因と,時間の変化という動的な捉えを併せ持っ た,動物のからだのつくりとはたらきに関する捉え を構築するに至っている。このような一連の思考過 程は,視点①の具体像として解釈できる。これらの 本実践における視点①の実態を,生徒 E の思考を中 心としてモデル化したものを,図 9 に示した。この 図から明らかなように,生徒 E は,一部に 2 つのス テップの思考が並行的に進んだ可能性が考えられる ものの,ステップⅠからⅣのプロセスを 2 回経過し たことが確認できた。. 5.考察 5.1 知 識の統合過程における「小さな統合(MI)」 の役割 知識統合の視点①,②に関する実態分析から,生. 徒の対話を中心とする問題解決過程においては,共 通して「小さな統合(MI)」が生じていることが明 らかになった。異なる内容や視点に関する知識や考 えを相互に関連付けていく思考については,従来, その過程を十分に明らかにするまでには至っていな かった。また,その実態については,短期間におけ る一回性の出来事のような捉え方があったように思 われる。本研究では,Linn ならびに三宅の理論的な 枠組みに沿って分析を試みる中で,部分的かつ段階 的に少しずつ統合が行われる姿(=「小さな統合 (MI)」)を明らかすることが出来た。このような統 合の姿については,次のように考察できる。 教師が目標として設定する抽象度の高い科学的な 知識や理論の獲得は,授業の中で対話を中心とする 問題解決に取り組む生徒にとって自明の目標ではな い。結果,一連の過程を通じて,生徒自身が目的的 に統合することは困難であると考えざるを得ない。 本研究の結果から,生徒は直近に生じる問題を解決 することを目的に MI を生じさせていた。すなわち, 自らの知識や考えを少しずつ統合して徐々に抽象度 を高めていくということ,これが生徒にとっての知 識統合の姿であると考えられる。そして,その役割 を果たしていたのが MI ということである。この MI については,知識の関連付けといった思考の広がり を保証する学習活動において,より顕著に現れるこ とが考えられる。したがって,段階的に MI によっ て自らの考えを創り出すことは,その考えを基にし て,自らの学習の見通しを持つことや,増大する知 識に対する認知的な負荷を軽減する役割もあると考 えられる。. 生徒Eの知識や考え 「からだのつくり」に対する外的要因を加味した動的な捉え 【ステップⅣ】. Micro Integration 生物の変遷と進化. 第8時 【ステップⅠ】. 時間の流れ. 動物のからだのつくり とはたらき. 「環境の変化」と「体のつ くり」を関連付けた考え. 【ステップⅡ・Ⅲ】 環境に対応するために、構造だ けでなく、機能、効率が発達し た進化の歴史がある ・エネルギーを効率よく取り入 れる臓器の機能に関する知識 ・少ないエネルギーで体を動かす骨 格や筋肉のつくりに関する知識. 既習内容の内省. 生徒E以外の知識や考え 「環境の変化」と「からだのつくり」を関連付けた捉え. 【ステップⅢ】. Micro Integration. 【ステップⅣ】. 体を大きくする必要はない. 第7時. 発達させると、体は大きくなる 棄却. 環境の変化. からだのつくり. ・森の減少によるO2 エネルギーの不足. ・腎臓や筋肉は発達 ・外見は小さく. 臓器の機能と効率が発達. 取り入れ(馬の肺の例をもとに). 機能を発達させればよい. G. 効率に注目して発達をさせればよい 【ステップⅡ】. 【ステップⅠ】. 図 9 生徒 E の思考を中心とした視点①における思考のプロセスモデル 475. F. H.
(10) 中込・加藤:対話を基軸とした中学校理科の問題解決過程における知識統合の実態. 本研究では,生徒 A が MI によって創り上げた考 えに対して科学的な立証が必要であると判断し,調 べ学習に対する見通しを立てたことや,生徒 E が MI によって創り上げた考えをもとに,既習内容の内省 を行い,獲得した知識や考えを再整理したこと等は, 上記のような解釈を支持する結果と言えるもので ある。 5.2 対話を基軸とした問題解決を重視した理科授業 における知識統合の特性 Linn の研究は,CSCL 環境下での実践を対象とし ており,この学習環境が知識統合に対して十分な足 場かけとして機能していたことが推察される。すな わち,CSCL が自らの考えと他者の考えや既習知識 などの関連付けを視覚的に捉えることを支援する, いわゆるメタ学習環境を提供していると考えられる からである。これは,生徒の視点に立てば,知識の 習得や関連づけが行い易い環境と言え,教師の視点 に立てば,生徒の思考の文脈をある程度規定するこ とに繋がる可能性,すなわち,教師の意図がカリ キュラムデザインに明確に現れた実践と言うことが できる状況である。 本研究で採用した生徒の対話を中心とした問題解 決過程における知識統合では,問いの見出しから活 用すべき知識や関連づける対象を生徒自らが決定し て,MI を生じさせつつ抽象度の高い知識を構築して いくという思考プロセスをたどっている。この実態 は,CSCL 環境下ではない一般的な理科授業の環境 下において,本研究で設定したカリキュラムに基づ いた授業の中で見出された特性と言えるものである。 本研究では,視点①の統合に際して MI の繰り返し の中で生じた俯瞰的な視点の存在を指摘したが,こ のような思考が,CSCL によって提供されるメタ学 習環境に概ね相当し,生徒の対話を中心とした問題 解決過程において重要な働きをする可能性が推察さ れる。知識統合におけるこのような思考の存在とそ の意義については,今後の検討課題と言えるであ ろう。. ては,Linn が整理した 4 つのステップが幾度となく 現れながら,徐々に知識や考え方の抽象度を高めて いくという小さな統合(MI)の連鎖が存在するこ と,この特性が事例分析における共通項として指摘 できることである。この成果は,理科学習における 「深い学び」を促す授業デザインに向けて,有意味な 示唆となり得るものと考える。 本研究では,MI が適切に駆動していく実態を具体 的な事例をもとに示すことに焦点化したことから, 思考過程の多様性や,MI が適切に駆動しない事例等 を示すまでに至っていない。それらの異なるタイプ やパターンを分析して,適切な統合が生じる要因を 明らかにしていくことは,本研究の成果を活かす意 味においても重要な検討課題であると考える。加え て,適切な統合が生じる要因等を踏まえた,理科の 授業デザインのあり方を明らかにしていくことも, 「深い学び」の実現に向けて取り組まねばならない課 題である。 これらの課題に対して,さらなる研究の進展と知 見の蓄積が求められる。. 6.まとめと今後の課題 本研究は,近年注目されている「深い学び」に関 わって,知識や技能を相互に関連づけて考え理解す ることに対して,Linn が提唱する「知識統合」の考 え方を援用すると共に,CSCL を用いない一般的な 理科授業の環境下におけるその実態を明らかにする ことを目指した。本研究の成果として,生徒の問題 意識をもとに展開するいわゆる問題解決過程におい 476. 附記 本研究は,平成 30 年度日本理科教育学会関東支部 大会,日本科学教育学会研究会(南関東支部開催) で発表したものに加筆・修正を行ったものである。 本研究は,JSPS 科研費 19K02835 の助成を受けた ものである。. 引用文献 バークレー,E. F.(2015)「関与の条件―大学授業への学生 の関与を理解し促すということ―」松下佳代・京都大 学高等教育研究開発推進センター編著『ディープ・ア クティブラーニング』勁草書房,58–91. Bell, P., & Linn, M. C. (2000). Scientific arguments as learning artifacts: designing for learning from the web with KIE. International Journal of Science Education, 22(8), 797–818. Clark, D., & Linn, M. C. (2003). Designing for knowledge Integration: The Impact of Instructional Time. The Jounal of the learning sciences, 12(4), 451–493. Entwistle, N. (2009). Teaching for understanding at university: Deep approaches and distinctive ways of thinking. New York: Palgrave Macmillan. エントウィスル,N.(2010)『学 生の理解を重視する大学授業』(山口栄一訳)玉川大 学出版部. Linn, M. C. (2000). Designing the knowledge Integration Enviroment. International Journal of Science Education, 22(8), 781–796 . Linn, M. C. (2006). The knowledge integration perspective on.
(11) 理科教育学研究 Vol.61 No.3(2021) 小田切歩(2013)「高校の数学授業における協働的統合過程 を通じた個人の知識統合メカニズム―回転運動と三角 関数の関連づけに着目して―」『教育心理学研究』第 61 巻,第 1 号,1–16. 橘春菜・藤村宣之(2010)「高校生ペアでの協同解決を通じ た知識統合過程―知識を相互構築する相手としての他 者の役割に着目して―」『教育心理学研究』第 58 巻, 第 1 号,1–11. 中央教育審議会(2016)『幼稚園,小学校,中学校,高等学 校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要 な方策等について(答申) 』 .Retrieved from https://www. mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/ afieldfile/2017/00/10/1380902_0.pdf(accessed 2020.4.3). learning and instruction. In R. K. Sawyer (Ed.). The Cambridge handbook of the learning sciences. Cambridge University Press, 243–264. Linn, M. C., & Hsi, S. (2000). Computers, teachers, peers : Science learning partners. Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates. 松下佳代(2015)「ディープ・アクティブラーニングへの誘 い」松下佳代・京都大学高等教育研究開発推進セン ター編著『ディープ・アクティブラーニング』勁草書 房,1–27. McTighe, J., & Wiggins, G. (2004). Understanding by design: Professional development workbook. Alexandria, VA: Association for Supervision and Curriculm Development. 三宅なほみ(2003)『学習科学とテクノロジ』放送大学教育 振興会. 文部科学省(2018)『中学校学習指導要領(平成 29 年告 示)』東山書房.. (2020 年 4 月 3 日受付,2020 年 10 月 14 日受理). 477.
(12) 中込・加藤:対話を基軸とした中学校理科の問題解決過程における知識統合の実態. The Actual Situation of Knowledge Integration in the Problem-Solving Process of Lower Secondary School Science, Based on Dialogue Taiki NAKAGOMI 1, Keiji KATO 2 1. 2. Zushi Municipal Numama Lower Secondary School Faculity of Education, Yokohama National University. SUMMARY This research focuses on a theory of knowledge integration proposed by Linn (2000) for the purpose of clarifying the concrete process of thinking by associating knowledge and skills toward the realization of “deep learning”, a theory that has been attracting attention in recent years. We conducted a case study analysis of students’ thinking on the problem-solving process based on dialogue in science. Our results revealed that the students repeatedly performed “micro integration (referred to as MI in this study)” intended to solve the immediate problem. In knowledge integration, it became clear that students perform “micro integration” in problem solving, gradually increasing the abstraction of knowledge and ideas, to eventually reach a deep understanding of scientific knowledge and theory. <Key words> Knowledge Integration, Deep Learning, Thinking Process, Lower Secondary School Science, Problem Solving. 478.
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