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中高生の子どものパニック発作と睡眠習慣に関する検討

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中高生の子どものパニック発作と睡眠習慣に関する検討

股村美里

1

 小塩靖崇

1

 北川裕子

1

 福島昌子

2

米原裕美

2

 西田淳志

3

 東郷史治

1

 佐々木 司

1 1 東京大学大学院教育学研究科身体教育学コース 2 東京大学教育学部附属中等教育学校 3 東京都医学総合研究所心の健康プロジェクト 要約 パニック発作は,10代から報告され,他の精神疾患との合併,成人後の精神疾患の発症と関連する ことが指摘されている。臨床上,睡眠不足等が誘発することは知られているが,データによる実証は 十分とは言えない。本研究では,中高生を対象に質問紙調査を実施しパニック発作と睡眠習慣,就寝 前習慣との関連について検討した。参加者は中高生719名で,睡眠等に関する生活習慣,パニック発 作様症状の経験頻度等を質問紙によって尋ねた。回答の得られた699名中,パニック発作様症状を経 験した者は全体の22.7%で,学年および男女による頻度の差はみられなかった。夜中12時を過ぎて テレビやインターネットを利用している者は,全体の58.0%に上りこれらの要因は,ロジスティック 回帰分析で学年や性別,不安・抑うつを統制してもパニック発作様症状の経験と有意に関連してい た。就寝前習慣の改善が,中高生においてもパニック発作の予防や改善に役立つ可能性が示唆された。 キーワード:パニック発作様症状,睡眠時間,テレビ・ネット視聴,思春期 【背景】 パニック発作は10代からみられ,そのほか の精神疾患との合併や成人して以後の精神疾患 の発症ともかかわりがあることが先の研究に よって示されている(R. D. Goodwin & Gotlib, 2004; R. D. Goodwin & Lieb, 2004)。治 療 や 援 助行動を行っていないパニック発作の経験者 は,16.5∼63.3% で あ っ た(Hayward et al., 1997; King et al., 1993; Lau et al., 1996; Macaulay & Kleinknecht, 1989; Mathyssek et al., 2012; Mattis & Ollendick, 2002)。そうした パニック発作経験者の早期発見と早期介入が課 題とされる一方,パニック発作の発現要因にか かわる知見は不足している。 パニック発作を含む不安障害に関連するとさ れる生活習慣の一つに睡眠がある(Lepola et al., 1994)。パニック障害の患者に不眠が多く みられること,健常者とパニック障害患者の睡 眠構造の間に違いがあるとする知見はある (Arriaga et al., 1996; Cervenaet al., 2005)。

パニック発作が報告されるようになる思春期 の,特に中高生では睡眠習慣は大きく変化する こ と が 知 ら れ て い る(Gradisar et al., 2011; Spruyt et al., 2005)。すなわち,学年が上がる ごとに,就寝時刻は遅くなり,睡眠時間は短く なる(Gradisar et al., 2011)。また,就寝前習 慣としてテレビを視聴することや消灯後に携帯 電話を使用することが精神的健康に与える悪影 響 も 懸 念 さ れ て い る(Van Den Bulck, 2004, 2007; Oshima et al., 2012)。

以上のことから,本研究では,中高生を対象 とした質問紙調査を実施し,パニック発作と睡 眠時間,就寝前習慣との関連について検討した。 〈資 料〉

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【方法】 1.調査方法 調査は,東京都内中高一貫校1校の協力を得 て実施された。調査対象は平成24年度に在籍 した719名のうち当日欠席した者を除く699名 から回答を得た。有効回答率は97.2%であっ た。また,対象は中学1年生から3年生,高校 1年生から3年生である。中高一貫校であるた め,途中高校入試はない。また1学年あたりの 人数は40名ほどで男女比は1対1である。 2.データ収集 調査は,平成24年6月中旬に,学級担任の 教示により自記式集合調査票により実施され た。学級担任へは,あらかじめ研究従事者より, 質問に対する回答の仕方などの教示がされてお り,対象生徒への教示は各学級で実施された。 3.質問項目 調査項目は,基本属性に関する項目,睡眠や 食事など日常生活に関する項目および精神的健 康を測定する項目を尋ねた。本研究で焦点を当 てる睡眠時間は,「学校のある日は,夜は何時 に寝て,朝は何時に起きますか」と質問をし, 自己報告による就寝時刻と起床時刻から算出さ れるものとした。 DSM-IV-TRによると,パニック発作は「強 い恐怖または不快を感じるはっきり区別できる 期間」であり,動悸や発汗,身震い,息切れな どを含む12項目の症状のうち4項目以上の症 状が当てはまるものと定義づけられている。本 研究では,それらの症状のうち,パニック障害 と診断される人に高頻度でみられる,動悸や息 苦しさ,発汗の3症状について尋ねることとし た (Lee et al., 2005; Macaulay & Kleinknecht, 1989)。また,パニック発作が起こりやすい場 面として人混みや,バスや電車に乗っている最 中にこれらの症状を経験したことがあるかどう かを尋ねた。 以上より,本研究では質問紙調査として簡便 な尋ね方を用い,「人ごみのなか,列に並んで いるとき,バスや電車の中で,急に心臓がどき どきしたり,息苦しくなったり,手に汗をかい たりしてとてもつらくなったことがあります か?」という1項目に対して「ある」か「ない」 かの2件法で尋ね,「ある」と回答した生徒 をパニック発作様症状あり群とした。交絡要 因として,精神的健康度尺度12-item General Health Questionnaire(以下,GHQ12)を用い て,不安・抑うつの高さを測定した。GHQ12 は,12項目にわたる質問に対して4件法で回答 し,それぞれ0, 1の2値に置き換えたあと,加 算してGHQ12尺度得点とした。したがって, 範囲は0∼12点となる。得点が高いほど,不 安・抑うつが高いと判断される。先の研究(荒 木田ら,2003; 福西,1990)ではカットオフポ イントとして,4ポイント以上の人を不安・抑 うつが高い群としており,本研究でもそれを用 いて,0点から3点までを不安・抑うつの低い 人,4点以上の人を高い人とした。 4.倫理的配慮 研究への参加意思については,調査実施およ そ1か月前に保護者へ調査主旨を文書にて説明 し,調査に関する質問のある場合には連絡して ほしいこと,参加に同意できない場合には無回 答としてほしいことを伝えた。また生徒自身が 参加への同意をしない場合には回答しなくてよ いこと,学級担任やほかの生徒には絶対に回答 を見られることがないことなどを明記した。生 徒は,学級担任より質問紙と回収用封筒を受け 取り,回答を終えた時間に回収用封筒に入れ封 をし,質問紙を入れた封筒は学級担任によって 回収された。回収された封筒は封を開けられる ことなく研究従事者に渡された。また質問紙に は学生番号のみが記されており,学籍番号と生 徒自身の名前を研究従事者は知ることができな い。また,以後の解析の段階においても解析用 IDが充てられ,研究者への生徒の匿名性は保

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たれた。なお,本調査は東京大学教育学研究科 倫理委員会および研究協力校の研究部の承認を 得て実施された。 5.統計解析について 分析は,基本的項目の度数や平均値を学年ご と,性別ごとに示したのち,パニック発作様症 状を目的変数とし,睡眠時間や就寝前習慣とし て深夜にテレビやインターネットを見るかどう かを説明変数として変数間の関連を明らかにす るためにロジスティック回帰分析を行った。交 絡要因としては,学年,性別,GHQ12を投入 した。データの管理と加工に関しては,SPSS for Windows ver.20Jを用いた。

【結果】 調査の同意の得られた699名が解析の対象と なった。各学年の解析対象者数は,1年生120 名,2年生117名,3年生118名,4年生117名, 5年生117名,6年生110名であった。全体では, 男子は345名,女子は350名,不明が4名であっ た。 対象の睡眠や就寝前行動,GHQ12得点を Table 1に示した。平均睡眠時間は,全体では 422.23分であった。また,一元配置分散分析を 用いて学年が上がるごとに短くなっていく傾向 が確認された(F(5, 684)=20.608, p<0.001)。 また,男子よりも女子の方が睡眠時間は短かっ た(平 均 睡 眠 時 間  男 子422.40分,女 子 406.20分)。就寝前の習慣として夜中の12時を 過ぎてからテレビ,インターネットを見ている 人は,全体のうち398名で,うち週に数日以上 見ていると回答した人は265名(38.6%)であっ た。週に数回以上見ていると回答した人は学年 が上がるごとに多くなる傾向が確認された (Kruskal–Wallis検定F(1, 5)=125.133, p<0.001)。 GHQ12得点は,全体の平均値は2.56で,学 年が上がるごとに得点が高くなった。また, GHQ12が4点以上である人は,全体では199名 (28.5%)おり,学年が上がるごとに増えていく 傾向が示された(Kruskal–Wallis検定F(1, 5)= 21.255, p=0.001)。また,得点も,男子よりも 女子で高く,4点以上の人が女子より多かった (χ224.834, df1, p0.001)。 パニック発作様症状を経験した者は,全体の うち159名(22.7%)であった。また,学年ご との回答は,1年生24名(20.0%),2年生29 名(24.8%),3年生27名(23.1%),4年生25 Table 1 対象の属性 全学年 学年 性別 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 男子 女子 N 699 120 117 118 117 117 110 345 350 睡眠時間 (平均値(分)±SD)(422.23 108.17)(459.92 72.10)(445.10 111.90)(425.25 73.67)(402.95 80.30)(394.31 51.27)(403.56 192.74)(422.40 67.50)(406.20 58.82) GHQ12 (平均値±SD) (2.56 2.86) (1.66 1.94) (2.16 2.49) (2.932.7 ) (2.46 2.85) (3.19 2.92) (3.22 3.01) (1.96 2.45) (3.15 2.93) GHQ12≧4 (%) 199 (28.5) (14.217 ) (24.829 ) (30.536 ) (28.233 ) (39.346 ) (34.538 ) (20.269 ) (37.1130 ) 深夜のテレビ視聴 N(%)ない (42.1289 ) (75.087 ) (64.175 ) (41.048 ) (33.037 ) (21.425 ) (15.717 ) (134 40) (44.1154 ) 月に何度か 133 (19.4) (11.213 ) (21.425 ) (23.127 ) (25.929 ) (21.425 ) (13.014 ) (18.261 ) (20.371 ) 週に数回以上 265 (38.6) (13.816 ) (14.517 ) (35.942 ) (41.146 ) (57.367 ) (71.377 ) (41.8140 ) (35.6124

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名(24.1%),5年生31名(26.5%),6年生23 名(21.1%)で 学 年 に よ る 症 状 経 験 者 の 割 合の違いは認めなかった(Kruskal–Wallis検定 F(1, 5)=2.021, p=0.846)。男女比は,男子77 名(22.3%),女子80名(22.9%)と差はみら れなかった(χ20.036, df1, p0.857)。 パニック発作様症状と睡眠習慣との関連を明 らかにするために,ロジスティック回帰分析を 行った。結果をTable 3に示した。Model 1で は,学年と性別に加えて,睡眠時間を投入した。 睡眠時間は,6時間未満,6時間以上8時間未 満,8時間以上の3群に分けて統制している。 また,Model 2では,Model 1で投入した変数 に加えて,夜12時を過ぎてからのテレビやイ ンターネットの視聴の有無について投入した。 Model 3は,GHQ12を投入し,パニック発作 様症状との関連を算出した。 また,独立変数を導入する際に,それぞれの 相関関係を検討し多重共線性がないか確認した。 GHQ12全体の得点が正規分布によらないため, Spearmanの 相 関 係 数 を 算 出 し た と こ ろ, GHQ12の 合 計 得 点 と 平 日 の 睡 眠 時 間 はr= −0.262,GHQ12の合計得点と夜中12時を過ぎ てテレビやインターネットを閲覧する頻度との 相関係数はr=0.233,平日の睡眠時間と夜中12 時を過ぎてテレビやインターネットを閲覧する 頻度との相関係数はr=−0.535であった。また 多 重 共 線 性 を 確 認 し た と こ ろVIFの 数 値 は 1.066∼1.506の間を取ることから,ロジスティッ ク回帰分析で検討する際に,平日の睡眠時間と 夜中12時を過ぎてのテレビ・ネットの閲覧, GHQ12を独立変数として同時に投入しても多 重共線性がある可能性は低いことが確認できた。 これらの結果によると,Model 1において, 学年および性別との関連は見られず,Model 2 において,深夜のテレビ視聴を「週に何度かす る」と回答した群において有意であった(オッ ズ比1.823,p<0.013)。また,それらはModel 3で,GHQ12を統制しても有意であった(オッ ズ比1.962,p<0.034)。一方で,睡眠時間は投 入したModel 1からModel 3のいずれにおいて も有意ではなかった。 【考察】 1.思春期のパニック発作様症状と睡眠習慣と の関連 本研究において,パニック発作様症状と夜間 のテレビ視聴,インターネットの閲覧との関連 が見られた。睡眠時間や不安・抑うつを交絡因 子として統制しても,パニック発作様症状を経 験していた者は,夜間のテレビ視聴やインター ネットの利用群は利用しない群と比較して不 Table 2 パニック発作様症状経験している人の頻度 急に心配や恐怖を感じる n % 95% CI 全学年 699 159 (22.8) 19.6 — 26.0 学年 1年生 120 24 (20.0) 17.0 — 23.0 2年生 117 29 (24.8) 23.1 — 28.1 3年生 118 27 (23.1) 19.9 — 26.3 4年生 117 25 (24.1) 20.9 — 27.3 5年生 117 31 (26.5) 23.2 — 29.8 6年生 110 23 (21.1) 18.0 — 24.2 性別 男子 345 77 (22.3) 19.1 — 25.5 女子 350 80 (22.9) 19.7 — 26.1

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安・抑うつを統制してもオッズ比が1.69と有 意に高かった。

Van Den Bulck et al. (2004)や Oshima et al.

(2012)の研究においても,就寝前習慣として 夜間のテレビ視聴やインターネットの利用が疲 労感や自傷行為,希死念慮との関連しているこ とが示唆されている。そのメカニズムは,液晶 ディスプレイによる強い光への曝露やテレビ視 聴やインターネットの閲覧による就寝時刻の不 規則性などが考えられる。寝室にテレビやパソ コンが置かれている世帯は,近年まれではなく (Sisson et al., 2011; National Sleep Foundation,

2006),日本においても携帯電話やスマート フォン,タブレット型端末の所持率も高まって いる(総務省,2012)ことから,就寝前にこう した機器の使用頻度は高まると考えられる。夜 間のテレビ視聴やインターネットの閲覧を控え るようにすることを,健康教育や予防的介入の Table 3 パニック発作様症状と睡眠時間,深夜のテレビ視聴・インターネットの閲覧との関連について Crude Model 1 説明変数 p値 OR 下限95% CI上限 p値 OR 下限95% CI上限 学年 0.759 1.016 0.916 1.128 0.884 1.008 0.902 1.128 性別(男子/女子) 0.849 1.035 0.725 1.477 0.867 1.031 0.718 1.481 平日の睡眠時間 6時間以上8時間未満 Reference Reference 6時間未満 0.089 1.536 0.937 2.518 0.099 1.531 0.922 2.542 8時間以上 0.931 1.029 0.538 1.969 0.874 1.056 0.537 2.076 深夜のテレビ視聴・ ネット閲覧 月に何度か(/ない) 0.837 1.055 0.631 1.763 週に何度か(/ない) 0.015 1.635 1.101 2.429 GHQ12 (≧4/0–3) 0.000 1.976 1.362 2.868 Model 2 Model 3 説明変数 p値 OR 95% CI p値 OR 95% CI 下限 上限 下限 上限 学年 0.381 0.947 0.837 1.070 0.211 0.923 0.814 1.047 性別(男子/女子) 0.725 1.068 0.740 1.542 0.707 0.929 0.635 1.361 平日の睡眠時間 6時間以上8時間未満 Reference Reference 6時間未満 0.416 1.245 0.734 2.111 0.466 1.220 0.715 2.082 8時間以上 0.591 1.209 0.605 2.420 0.645 1.180 0.584 2.385 深夜のテレビ視聴・ ネット閲覧 月に何度か(/ない) 0.835 1.060 0.616 1.824 0.826 1.063 0.615 1.840 週に何度か(/ない) 0.013 1.823 1.133 2.934 0.034 1.689 1.042 2.737 GHQ12 (≧4/0–3) 0.001 1.962 1.319 2.918

注:ロジスティック回帰分析 従属変数:パニック症状の有無,Model 1:平日の睡眠時間,Model 2:Model 1+深夜のテレビ視聴・インターネット閲覧,Model 3:Model 2+GHQ12(4点以上/4点未満)

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対象とすることには意義があるだろう。 2.思春期のパニック発作様症状の頻度 本研究では,全体の22.7%においてパニック 発作様症状がみられた。 先行研究では,パニック発作について質問 紙 法 で 尋 ね る と39.0∼63.3% と 本 調 査 よ り も 高 頻 度 で あ っ た(Macaulay & Kleinknecht, 1989; King et al., 1993; Lau et al., 1996; Hayward et al., 1997)。King et al.は,13歳 か ら18歳 の

534名のオーストラリア人を対象に調査したと ころ,全体では42.9%が「パニック発作を経験 したことがある」と回答した。Lau et al.は,14

歳から18歳のアメリカ人77名を対象として

PAQ(Panic Attack Questionnaire)を用いて調 査したところ,39%が1年以内にパニック発作 を経験したと回答した。Macaulay et al.は,13 歳 か ら18歳 の630名 に つ い て 同 様 にPAQに よって複数の質問項目を用いて調査したところ 63.3%が1年以内にパニック発作を経験したと 回答した。Hayward et al.は,1,013名の11歳か ら16歳の女子を対象にパニック発作の経験を 尋ねたところ,21.4%が,経験があると回答した。 一方で,自己報告による判別は,面接による 判別よりも高頻度となることが報告されている (Hayward et al., 1997)。たとえば,Hayward et

al.は,質問紙に加え面接を行ったところ,厳 密にパニック発作と断定されたのは,3.8%で あったと報告している。本研究においても,面 接で厳密な評価を行えば,パニック発作様症状 の経験比率は下がる可能性がある。 本研究では,学年や性別による差はみられな かった。学年が上がるごとにパニック発作様症 状の経験比率が上がるかどうかは,質問紙を用 いた先行研究でも結果は一貫していない。たと えば,Macaulay et al.の研究では,13歳から18 歳を対象とし,学年が上がる一方でパニック発 作を経験したことがあるとした者の数は有意に 増えた。一方で,King et al.の報告では,13∼ 15歳,16歳∼18歳の2群に分けて,パニック 発作の報告に差があったか検討したところ,統 計的な有意差はなかったという(13歳∼15歳 46.3%,16∼18歳39.9%)。 また,性差について女子の方が,高頻度だっ たといわれているが(Macaulay & Kleinknecht, 1989; Mattis & Ollendick, 2002),本 研 究 の 結 果では,性差はみられなかった。 本研究では,都内中高一貫校に在籍する生徒 を対象にパニック発作の発現要因にかかわる知 見を明らかにするために,睡眠習慣に着目をし て関連を検討した。交絡要因として不安・抑う つが高い者は,パニック発作を多く経験してい たが,加えて深夜のテレビ視聴やネットの閲覧 を週に何度かしている者は,そうでない者に比 して有意にパニック発作を経験していることが 明らかになった。 3.本研究の限界 第一にパニック発作の有無を一つの質問項目 にて尋ね,簡便な尋ね方を用いている。本研究 では,厳密に診断する意味においてパニック発 作の有無を特定しておらず,またサブサンプル による面接調査との関連を検討するなど,パ ニック発作の尋ね方妥当性を検討することはで きなかった。この点については,面接による厳 密なパニック発作を特定した研究(Goodwin & Gotlib, 2004; Norton & Zvolensky, 2008) と 比較するとパニック発作を経験したと回答した 比率は本研究の方が高く,厳密な診断基準に照 らしあわせたパニック発作経験のみとの関連を 検討することはできなかった。今後は,質問紙 調査対象者の一部に面接調査を実施し,質問項 目の妥当性を検討することが必要である。 第二に,本研究は都内中高一貫校1校のみを 対象としているため,人口統計学上の代表性に 乏しい。本研究の結果を一般化するには注意が 必要である。さらには,本研究は横断研究であ るために,因果関係を特定することはできな かった。今後は,人口統計学上代表性のある対 象において,縦断的調査の実施が望まれる。

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【文献】

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Association between Panic Attack and Sleep Habits

in Japanese Adolescents

Misato Matamura

1

Yasutaka Ojio

1

Yuko Kitagawa

1

Masako Fukushima

2

Hiromi Yonehara

2

Atsushi Nishida

3

Fumiharu Togo

1

Tsukasa Sasaki

1

1

Department of Physical and Health Education, Graduate School of Education,

The University of Tokyo

2

The University of Tokyo Secondary School attached to the Faculty of Education

3

Department of Psychiatry & Behavioral Science,

Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science

Abstract

Sleep habits such as shortage of sleep and irregular bed time may be associated with the development and exacerbation of panic attacks, according to clinical impressions. The association remains to be further studied. The present study examined relationship between panic attack and sleep habits in adolescents using self-report questionnaire. Participants comprised Japanese students (N=699) at grades 7–12 from a secondary school in Tokyo. They were required to answer questions on sleep habits, panic attack and mental status (i.e., 12-item General Health Questionnaire). Panic attacks were experienced in 22.7% of the students, according to the questionnaire. The frequency was not different by sex or grade. Watching TV and using internet after midnight was significantly associated with the experience of panic attack after adjusting for grade, sex and depression/anxiety.

参照

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