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IRUCAA@TDC : カウンターフォースアーチ®を用いた矯正治療前後における顆頭の位置変化と治療効果について

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Academic year: 2021

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(1)Title. Author(s) Journal URL. カウンターフォースアーチ®を用いた矯正治療前後におけ る顆頭の位置変化と治療効果について 樋口, 和彦; 渡木, 澄子; 末石, 研二; 谷田部, 賢一; 一色, 泰成 歯科学報, 101(11): 1025-1032 http://hdl.handle.net/10130/543. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 1 0 2 5. ―――― 原. 著 ――――. カウンターフォースアーチ!を用いた矯正治療前後における 顆頭の位置変化と治療効果について 樋 口 和 彦1). 渡 木 澄 子2). 谷田部 賢 一3) 1). 2). 東京都. 末 石 研 二3). 一 色 泰 成4). 3). 群馬県. 東京歯科大学水道橋病院. 4). 東京歯科大学歯科矯正学講座 (2 0 0 1年6月1 1日受付) (2 0 0 1年1 1月6日受理). 抄 録:近年,reverse curve of Spee が付与された Ni−Ti ワイヤーが開発され,咬合の挙上,空 隙閉鎖に対する補償の為に用いることがある。本ワイヤーは,従来のステンレススチールワイヤー に比較し,高い弾性限と低い弾性率をもち,永久変形を起こしにくい性状に製作されたものであ る。歯牙歯列への治療効果については報告されているが,顆頭の位置への影響についてはいまだ不 明である。そこで,straight wire appliance 法に reverse curve of Spee が付与されたワイヤーを 用いた際におこる治療効果について咬合器 Panadent 社製 condylar positioning indicator,および 側貌頭部エックス線規格写真を使用して検討した。このワイヤー用いた矯正治療による顆頭の変化 量は臨床的に問題になるものではなかった。 キーワード:顆頭位,カウンターフォース,C. P. I.. 緒. が生ずる可能性を示唆している。また Proffit2)も. 言. 近年 reverse curve of Spee が付与された Ni−. 臼歯の挺出の結果,前顔面高の増加を認めるとし. Ti ワイヤーが開発され,咬合の挙上,空隙閉鎖. ている。Ricketts3)も continuous wire による咬合. に対する歯牙の傾斜移動を補償するために用いら. 挙上の弊害として大臼歯の遠心への傾斜,前歯の. れている。本ワイヤーは,従来のステンレスス. 唇側への傾斜,小臼歯部の挺出が起こるとしてい. チールワイヤーに比較し,高い弾性限と低い弾性. る(図1)。この,reverse curve of Spee が付与. 率をもち,永久変形を起こしにくい性状に製作さ. された Ni−Ti ワイヤーの歯牙歯列に対する効果. れたものである。一方,reverse curve of Spee. についての報告4)はあるが,顆頭の位置への影響. が付与されたワイヤーによる咬合挙上の弊害とし. については報告がない。また矯正治療前後におけ. て,Gary ら1)は下顎前歯の唇側傾斜,小臼歯部の. る顆頭偏位に関する報告は少なく5),さらに矯正. 挺出,大臼歯の挺出が起こり,その結果下顔面高. 治療で咬合挙上を行った際の顆頭の位置変化につ. の増加,下顎下縁平面の開大が起こるとしてい. いても報告が少ない。そこで,ワイヤー材料の変. る。さらに咬頭嵌合位における下顎の機能的偏位. 化が生体に対する治療効果,特に顆頭の機能的位 置や,顎顔面の形態におよぼす違いを調査するた. 別刷請求先:〒2 6 1 ‐ 8 5 0 2 千葉市美浜区真砂1−2−2 東京歯科大学歯科矯正学講座 樋口和彦. め,本研究では straight wire appliance 法に reverse curve of Spee が付与されたワイヤーを用. ― 47 ―.

(3) 1 0 2 6. 樋口, 他:矯正治療前後における顆頭の位置変化. いた際におこる治療効果について咬合器 Pandent. とする) 。Ricketts 分析で用いられる形態的分類. 社製 condylar positioning indicator(以後 C. P. I.. では,mesio facial pattern が5名,dolico facial. とする図2),および側貌頭部エックス線規格写. pattern が17名,brachyo facial pattern は5名で. 真(以後セファロとする)を使用して検討した。. ある。対照は,同様に不正咬合と診断され,上下 顎第一小臼歯を抜歯して. 022インチサイズのスト. 方. 法. レイトワイヤーブラケットに屈曲のない Ni−Ti. 被験者は不正咬合と診断し,上下顎第一小臼歯. wire と抜歯空 隙 の 閉 鎖 に ワ イ ヤ ー サ イ ズ. 019. を抜歯して. 022インチサイズのストレイトワイ. ×. 025インチのステンレススチールワイヤーを用. ヤーブラケットに咬合挙上と抜歯空隙の閉鎖を目. い,矯正治療を行った2 7名の成人患者である (以. 的に,ワイヤーサイズ. 016×. 022インチの Lancer. 後 SS 群とする)。形態的分類では,mesio facial. 社 製 counter force(以 後 CF と す る)を 用 い,矯. pattern が2名,dolico facial pattern が21名,. 正治療を行った若年成人2 7名である(以後 CF 群. brchyo facial pattern は4名である。(表1に CF 群,SS 群の内訳を示す)全症例において,脳頭蓋 底でのセファロの重ね合わせで成長が認められな いものを抽出した。顎関節断層撮影で顆頭および 関節窩に形態的に異常を認めるもの,および臨床 的に顎関節症状のある症例は今回の調査対象から 除外した。また,患者に研究の趣旨を口頭による. 図1 リバーススピーを与えたワイヤーに対する歯牙の反応. 説明を行い,理解,協力を得られた患者を対照と した。両グループは,年齢,性別,治療期間,Angle 分 類 に お い て 有 意 差 の な い も の で あ る(表 1)。両群とも顎間ゴムの使用が少ないものを選 択している。また両群ともスライディングメカニ クスを用い治療し,SS 群では特に compensate 表1. 被験者群とコントロール群の比較. CF 群 SS 群 P−Value 人数 2 7 2 7 ― 男性 2 1 0. 5 5 女性 2 5 2 6 平均年齢(年) 21. 2±5. 123. 9±5. 8 0. 0 5 2 治療期間(年) 2. 89±1. 123. 15±0. 77 0. 0 5 3 CF ワイヤー使用期間(月)8. 12±6. 00 0 ― Angle 分類. 図2. ! " #. 6 1 6 5. 7 1 8 2. Mesio Facial Pattern Dolico Facial Pattern Brchyo Fadcial Pattern. 5 1 7 5. 2 2 1 4. 0. 5 7 0. 7 5 0. 2 2. *. C. P. I.分析. P<0. 0 5. ― 48 ―.

(4) 歯科学報. 図3. Vol.1 0 1,No.1 1(2 0 0 1). 1 0 2 7. 頭部X線規格写真における計測項目. curve をいれていないストレイトワイヤーを用い. 8)L6 to Mandibular Plane(Distance). ている。術前術後の centric relation 又は,refer-. 下顎第一大臼歯遠心接触点から下顎下縁平面. 6). ence position(以 後 CR と す る) を Dawson の bi-. へ垂線をおろしたその距離. lateral manipulation 法にて即時重合レジンを用. 計測結果は Apple 社製 Macintosh computer に. い採得 し,centric occlusion(以 後 CO と 略 す)は. 入力し,CF 群と SS 群それぞれの術前術後の統. 習慣的に咬合する位置を確認させたのち最大咬頭. 計処 理 は Microsoft 社 製 Excel な ら び に SAS 社. 嵌合位として,シリコーン印象剤にて採得した。. 製 JMP を用いた。統計処理としては,基本統計. この CO と CR の差を C. P. I. を用いて測定した。. 量を算出し,2群間の平均値についてt検定を. また併せて術前術後のセファロをトレース後,矯. 行った。. 正診断用コンピューター分析ソフト Quick ceph 結. image pro(Quick ceph systems 社製)を用いて,. 果. Ricketts 分析,Roth 分析,距離角度からの計測. CF 群,SS 群の術前術後の C. P. I.値の平均変. 分析を行った。分析項目は以下の通りである (図. 化量は左右での有意差がないため平均すると (表. 3)。. 2),CF 群では前後的には0. 27mm,上下的に0. 04. 1)SNA(Degree). mm,で あ っ た。そ れ に 対 し SS 群 で は そ れ ぞ. 2)SNB(Degree). れ,−0. 25mm,0. 09mm であった (表3)。治療. 3)Mandibular Plane Angle(Degree). 前後の比較では,有意な変化を認めなかった (表. 4)Anterior Facial Height(Distance). 2)。個々の顆頭に注目すると治療前後での CF. 5)Posterior Facial Height(Distance). 群の顆頭の上下的位置変化は,54顆頭中26顆頭が. 6)Articular Angle(Degree). 下方へ,2 6顆頭が上方へ,変化なしが2顆頭で. 7)L1 to Mandibular Plane(Distance). あった。前後的変化は,32顆頭が前方へ,19下顎. 下顎中切歯切端から下顎下縁平面へ垂線をお. 頭が後方へ,変化なしが3顆頭であった(図4)。. ろしたその距離. SS 群 で 上 下 的 変 化 は,54顆 頭 中26顆 頭 が 下 方 ― 49 ―.

(5) 1 0 2 8. 樋口, 他:矯正治療前後における顆頭の位置変化. へ,26顆頭が上方へ,変化なしが2顆頭であっ た。前後的変化としては,26顆頭が前方へ,28顆 頭が後方へ変位した(図5)。また2群間の治療前 後の差を比較したところ,有意差を認めなかっ た。しかし CF 群,SS 群治療前後の分散を比較 検定を行ったところ,CF 群では前後的にも上下 的にも変化は認められなかったが,SS 群では前 後的にも上下的にも収束する変化を認めた (P<. 図5. 表3. SS 群. 下顎頭偏位量の分布. 矯正治療前後の C. P. I.値と有意差検定 CF 群. Before. After. Difference. P−Value. X −0. 14±0. 86 0. 1 2±0. 6 7 0. 2 7±0. 9 0 Y 0. 3 5±0. 7 2 0. 3 9±0. 7 5 0. 0 4±1. 0 0. 0. 0 5 0 5 0. 6 4 4 5. SS 群 図4. 表2. CF 群. 下顎頭偏位量の分布. Before. 左右の矯正治療前後の C. P. I.値の差と有意検定. After. Difference. P−Value. X 0. 4 8±1. 5 3 0. 2 4±0. 8 7 −0. 25±1. 74 Y 0. 0 7±1. 2 0 0. 1 6±0. 7 8 0. 0 9±1. 2 6. 0. 2 6 7 4 0. 7 6 8 4. CF 群 Before. After. 表4. Difference P−Value. X(Ritght)−0. 21±0. 880. 2±0. 60 0. 27±0. 87 X(Left) −0. 07±0. 85 0. 05±0. 74 0. 26±0. 93 Y(Right) 0. 27±0. 74 0. 44±0. 76 0. 17±0. 99 Y(Left) 0. 43±0. 70 0. 34±0. 73 −0. 09±0. 99. ― 0. 9 7 ― 0. 3 5. CF 群. X Y. SS 群 Before. After. X(Ritght) 1. 21±1. 78 0. 17±0. 66 X(Left) 1. 43±2. 21 0. 38±0. 21 Y(Right)−0. 13±1. 23 0. 63±0. 40 Y(Left) 0. 07±0. 61 0. 25±0. 61. 矯正治療前後の C. P. I.値の分散と有意差検定. Before. After. P−Value. 0. 7 6 0. 5 4. 0. 4 7 0. 5 7. 0. 0 0 0 0 6* 0. 0 0 1 6*. SS 群. Difference P−Value −0. 11±1. 81 −0. 11±2. 18 0. 77±0. 97 0. 18±0. 92. ― 0. 3 1 ― 0. 9 1. X Y. Before. After. P−Value. 2. 3 8 1. 4 8. 0. 7 7 0. 6 1. 0. 0 7 3 2 0. 8 1 5 5 *. P<0. 0 5. ― 50 ―.

(6) 歯科学報 表5. Vol.1 0 1,No.1 1(2 0 0 1). 1 0 2 9. 矯正治療前後の骨格的変化と有意差検定 CF 群. SNA(dg) SNB(dg) ANB(dg) Mandibular Plane(dg) Ant. Face Height(mm) Post. Face Height(mm) Articulare Angle(dg). Before. After. Difference. P−Value. 7 9. 3 6±3. 3 0 7 6. 0 5±3. 4 1 3. 3 3±2. 8 1 2 8. 8 3±5. 8 4 1 2 8. 1 6±5. 1 2 8 2. 0 3±7. 3 9 1 4 9. 3 5±5. 2 6. 7 8. 8 1±3. 2 7 7 5. 4 1±3. 3 7 3. 4±2. 8 0 2 9. 5 4±6. 2 2 1 2 9. 0 1±4. 6 9 8 2. 2 2±7. 2 5 1 4 9. 0 7±5. 1 3. −0. 5 5 −0. 6 4 0. 0 7 1. 3 4 0. 8 5 0. 1 9 −0. 2 8. 0. 0 2 6 1* 0. 0 0 0 1* 0. 5 1 5 5 0. 0 2 8 1* 0. 3 3 4 5 0. 0 0 2 4* 0. 8 8 9 6. Before. After. Difference. P−Value. 7 9. 6 1±4. 6 0 7 4. 8 6±4. 7 9 4. 7 4±2. 8 5 3 2. 0 1±4. 4 6 1 2 8. 1 4±8. 7 1 8 0. 5 8±7. 6 8 1 5 0. 1 3±7. 9 5. 7 9. 3 3±4. 6 8 7 4. 4 4±4. 8 2 4. 8 8±2. 7 6 3 2. 2 1±4. 5 4 1 2 8. 4 4±8. 9 5 8 0. 8 3±7. 5 9 1 5 2. 1 8±8. 0 4. −0. 3 1 −0. 4 2 0. 1 1 0. 1 1 0. 2 5 0. 3 2 1. 9 4. 0. 0 6 4 9 0. 0 0 2 4* 0. 5 6 0 7 0. 7 2 6 6 0. 2 0 3 0 0. 4 4 0 0 0. 3 6 4 4. SS 群. SNA(dg) SNB(dg) ANB(dg) Mandibular Plane(dg) Ant. Face Height(mm) Post. Face Height(mm) Articulare Angle(dg). *. P<0. 0 5. 考. 0. 05) (表4)。この変化の傾向を治療前後の9 0%. 察. の確率楕円をつけた散布図で示した(図4,5)。. 矯正歯科治療の現代までに至る多くの進歩の. また,側貌頭部 X 線規格写真計測分析での骨. 内,メカニクスと診断において以下の3点の進歩. 格的な上下的な変化としては,Mandibular Plane. が特筆される。!形態的歯牙情報を取り入れたス. Angle で CF 群 で は 平 均1. 34° (P<0. 05)と 開 大. ト レ イ ト ワ イ ヤ ー 法 の 開 発。こ の 装 置 は An-. し,SS 群では変化を認めなかった,。CF 群の Pos-. drews7)によって開発されたものであり,理想的. terior. な歯牙の配列を行う為に必要とされる,ファース. Facial. Height におい て,0. 19mm(P<. ト,セカンド,サードオーダーベンドの数をでき. 0. 05)増加と有意な変化を示した(表5)。 上下顎の前後的変化では,SNB が CF 群で−. るだけ排除するという目標を念頭において創られ. 0. 64°,(P<0. 005)SS 群 で−0. 42° (P<0. 005). たブラケットシステムである。さらに Roth8),お. と両群ともに減少した(表5)。. よびその他の研究者によって9)今日まで様々な概. 歯槽的な変化では,切歯の変化として CF 群で. 念のもとに改良されている。"矯正治療に用いら. L1 to to Mandibular Plane(Distance)−1. 62mm. れる装置の材質の改良。線矯正装置の材質におい. (P<0. 05),SS 群 で−1. 18mm(P<0. 05)と 両. て, 1950年代以前には貴金属合金が用いられ, 1950. 群ともに減少し,CF 群において圧下 量 が 大 き. 年以降はステンレススチールワイヤー,あるいは. か っ た(表6)。ま た 臼 歯 の 変 化 と し て L6 to. コバルトクロームワイヤーが用いられてきた。. Mandibular Plane(Degree)で SS 群で2. 7° (P<. 1970年代後半にはチタン合金が主成分となる形状. 0. 05)近心傾斜したが,CF 群は有意な変化は認. 記憶合金が開発され,このワイヤーは臨床での利. められなかった。. 便性,材質の構成,比率による力学的な特性に関 して現在でも改良され続けている。#矯正治療で ― 51 ―.

(7) 1 0 3 0. 樋口, 他:矯正治療前後における顆頭の位置変化 表6. 矯正治療前後の歯槽的変化と有意差検定 CF 群. L 1 to Mand P. (mm) L 6 to Mand. P. (mm). Before. After. Difference. P−Value. 4 5. 7 6±3. 2 7 3 0. 4 8±2. 4 9. 4 4. 1 4±3. 0 0 3 1. 2 1±2. 3 4. −1. 6 2 0. 7 3. 0. 0 0 0 2* 0. 0 1 1 1*. Before. After. Difference. P−Value. 4 4. 4±3. 5 8 3 0. 3 5±2. 7 9. 4 3. 2 2±3. 6 8 3 1. 0 4±2. 9 4. −1. 1 8 0. 6 9. 0. 0 0 0 6* 0. 0 1 7 9*. SS 群. L 1 to Mand P. (mm) L 6 to Mand. P. (mm). *. P<0. 0 5. 機能的に安定した咬合を目標に歯牙を配列する. etts3)は大臼歯の遠心への傾斜,挺出,前歯の唇. 事。筋電図,顎運動測定器,顎関節断層 X 線,. 側への傾斜,小臼歯部の挺出が起こるとしてい. 咬合器,CT,M. R. I.などを用い顎機能を測定,. る。今回の研究で CF を用いた意義としては,咬. 評価することができるようになっている。1956年. 合の挙上,空隙閉鎖に対する歯牙の傾斜移動を補. 10). に Tompson が,矯正治療での機能的な咬合に 11). 5). 償するためである。研究結果では,大臼歯の変化. ついて言及して以来,Stuart ,Andrews ,Wil-. として SS 群に認めた近心への傾斜は認めなかっ. liamson12)13)14),Roth15),そして多くの研究者7)16)∼18). た(表6)。大臼歯の挺出は SS 群と比較すると,. が機能的に調和のとれた顆頭の位置への治療につ. CF 群において挺出量が大きかった (表6)。また. いて臨床的なアウトラインを述べている。矯正治. 前歯部における圧下量は CF 群において大きかっ. 療における理想的な顆頭と下顎窩の位置関係につ. た(表6)。これは Ricketts3)が述べている歯牙歯. いては,古くから論じられているが,約30年前に. 列に対する効果と同様の効果を示した。また Prof-. Perry17)は治療のゴールとして機能的咬合を提唱. fit2)が述べているように,この CF 群の臼歯部の. している。1980年後半まで,顎関節断層撮影が顎. 挺出量の大きさが骨格に及ぼす影響として下顎が. 関節の状態と位置決めに用いられてきた。Gian-. 後下方に回転したと考察される (表5)。この様な. 20). elly は矯正治療後の患者の下顎の位置を正確な. 下顎が後方に回転する骨格的変化は,!級不正咬. 断層撮影X線写真を用いて測定したが,結果とし. 合の治療には不利に働くものと考えられた。また. て有意な変化は認められないとしている。しかし. この臼歯部の挺出が顆頭になんらかの影響を及ぼ. 断層撮影X線写真ではおおよその顆頭の形態と位. すとして顆頭の位置変化を測定した。. 置しかわからず,また The American Dental As-. 今回と同様の咬合器を用いた正常咬合者の CO. sociation21),The American Academy of Cranio-. −CR の差の研究で,梶山ら23)は前後的には0. 11. mandibular Disorders22)においてもX線撮影が顎. mm,上下的には0. 37mm,Utt ら24)は前後的には. 関節を診断する指標とならないとしている。従っ. 0. 61mm,上下的には0. 84mm と報告している。. て今回,顆頭位の変化に関しては咬合器のコンダ. Slavicek18)はこの差として前後的に1. 5mm,上下. イルポストの位置変化を計測する C. P. I.法を用. 的には0. 5mm が許容範囲としている。また The. いるものとした。. American Academy of Craniomandibular Disor-. またstraight wire appliance法にreverse curve. ders22)においても2mm 以内なら問題はないとし. of Spee が付与されたワイヤーを用いた際におこ. ている。今回の計測結果をこれらの研究18)23)24)と. る顔面形態,歯牙歯列の治療効果について Rick-. 比較すると,治療前後の CF 群,SS 群共に,ほ. ― 52 ―.

(8) 歯科学報. Vol.1 0 1,No.1 1(2 0 0 1). ぼ 同 様 の CO−CR の 差 を 示 し た と い え る(表 2)。また矯正治療による変化量は当初,CF 群 で下顎頭が抜け出ると想定していたが,両群共に 有為な変化は認められなかった。しかしながら, CF 群と SS 群の比較では,CF 群において,矯正 治療後,SS 群に認めた顆頭偏位量の分散の減少 を認めなかった。これは CF 群において臼歯部の 挺出量が大きく,その事が顆頭の偏位量の分散を 大きくしたものと考えられた。このことは矯正治 療で CO−CR を一致させるという治療目標を考 慮すると,使用を避けた方が好ましいと考察され た。また,今回 Facial Pattern を混在して評価し ているが,症例数などの関係で今後の研究課題で あると考察された。 結. 論. 1)矯正治療による顆頭の位置変化を C. P. I.を 用いて調査した結果,顆頭の偏位量の減少を CF 群,SS 群ともに認めなかった。しかし,SS 群で は顆頭偏位量の収束を認めた。 2)矯正治療による骨格的変化を,側貌セファロ を用いて調査した結果,CF 群における臼歯部の 挺出量が大きく下顎体部の下後方への回転を認め た。 謝. 辞. 稿を終えるにあたり,本発表に協力いただきました 小児歯科学講座藥師寺 仁教授に感謝いたします。. 文. 献. 1)Engle, G., Damerell, JM., Gordon, J., Levy, P., McAlpine, J., Otto, R., Walters, R., Chaconas, S, : Treatment of Deep−bite cases, American J Orthd, 8 0:1∼1 3,1 9 8 0. 9 1, 2)Proffit, RW.,:プロフィトの現代歯科矯正学,1 4 1 6∼4 1 8,5 1 6,1 9 8 9. 3)Ricketts RM : Bioprogressive Therapy. Denver, 1 9 7 9,Rocky MountainOrthodontics. 4)尾澤宏行:実験モデルにより測定した歯列弓に発現 する矯正力の研究。日大歯学,6 7:9 1 3∼9 2 6,1 9 9 3. 5)田口 亮,根津 浩,石山隆文,上田昌夫:矯正治 療前後における下顎頭の位置変化について。バイオプ ロ グ レ ッ シ ブ・ス タ デ ィ ク ラ ブ 会 誌,No.7:1 7∼ 3 1,1 9 9 3.. 1 0 3 1. 6)Dawson, P, E, : Evaluation, diagnosis, and treatment of occlusal problems. 2 nd ed. St. Louis, 1989, C. V. Mosby Co:2 8∼5 5,1 3 5∼1 8 2,6 0 8∼6 1 6,1 9 8 9. 7)Andrews, L, F, : Straight appliance. J. Clin. Orthod,1 0:9 9∼1 4 4, 1 7 4∼1 9 5, 2 8 2∼3 0 3, 4 2 5∼4 4 1, 5 0 7 ∼5 2 9,5 8 1∼5 8 8,1 9 7 6. 8)Roth, R, H, : Treatment Mechanics for the Straight Wire Appliance,in Orthodontics : Current Principles andTechniques. C. V. Mosby Co., St. Louis, 1 9 8 5. 9)Alexander, R, G, : The varisimplex discipline Part 1. Concept and appliance design. J Clin Orthop, 1 7: 3 8 0∼3 9 2,1 9 8 3. 1 0)Thompson, JR, : Functional−the neglected phase of orthodontics. Angle Orthod,2 6:1 2 9∼1 4 3,1 9 5 6. 1 1)Stuart, C, E, : Good occlusion for natural teeth. J. Proth Dent,1 4:7 1 6∼2 4,1 9 6 4. 1 2)Williamson, E, H, : Orthodontic implications in diagnosis, prevention, and treatment of TMJ dysfunction. In : GraberTM, Swain BF, editors. Orthodontics : current principles and techniques. St. Louis : C. V. Mosby,1 9 8 4. 1 3)Williamson, E, H, : The role of cranio−mandibular dysfunction In orthodonticdiagnosis and treatment planning. Dent Clin North Am, 2 7:5 4 1∼ 5 6 0,1 9 8 3. 1 4)Williamson, E, H, : Occusion and TMJdysfunction. J Clin Orthod,1 5:3 3 3∼3 5 0,1 9 8 1. 1 5)Roth,R, H, : Functional occlusion forthe orthodontist. J Clin Orthod,1 5:1∼8 0,1 9 8 1. 1 6)Huffman, R, W, : Regenos J W : Principle of occlusion. Columbus, Ohaio : Hand R. Press,1 9 7 8. 1 7)Viazis, A, D, : Atlas of orthodontics : principle and clinical applications.Philadelphia : WB Saunders, 1 9 9 3. 1 8)Slavicek, R, : Clinical and instrumental functional analysis for diagnosiis and treatment planning, part ! : instrumental analysis of mandibular casts usingthe mandibular position indicator. J Clin orthod, 2 2:5 6 6∼5 7 5,1 9 8 8. 1 9)Perry, H, T, : Mandibular function : an orthodontic responsibility. AmericanJ Orthd, 6 7:3 1 7∼ 3 2 3,1 9 7 5. 2 0)Gianelly, A, A,. Hughes, H, M,. Wohlgemuth, P,. Gildea, G, : Condylar position and extraction treatment : American J Orthopedic , 8 8:2 0 1∼ 2 0 5,1 9 8 8. 2 1)American Dental Association : Recommendations in radiographic practices, 1984 Council on Dental Materials, Instruments and Equipment. Chicago. J Am Dent Assoc,1 0 9:7 6 4∼7 6 5,1 9 8 4. 2 2)American Academy of CraniomandibularDisorders : Craniomandibular disorder : guide−lines for evaluation, diagnosis, and management. Chicago : Quin-. ― 53 ―.

(9) 1 0 3 2. 樋口, 他:矯正治療前後における顆頭の位置変化. tessence,2 5∼3 3,1 9 9 0. 2 3)梶山 晃,茂木悦子,宮崎晴代,柴田康司,瀬端正 之:Mandibular Positioning Indicator を用いた成人 正常咬合者の CO−CR の検討。日矯歯誌,5 2!:5 7 8 ∼5 8 4,1 9 9 3. 2 4)Utt, T, W,. Meyers, Jr, C, E,. Wierzba, T, F,. Hondrum, S, O,. : A three−dimensional comparison of. condylar position changes between centric relation and centric occlusion using the mandibular position indicator. AM J Orthod Dentfac Orthop, 1 0 7:2 9 8∼ 3 0 8,1 9 9 5. 2 5)三谷英夫:歯科矯正学 生発達治療法 ロッキーマ ウンテンモリタ,1 1 8,1 9 8 0.. Effects of orthodontic treatment using counter force wire on the condylar position and dentofacial form Kazuhiko HIGUCHI1), Sumiko TONEKI2), Kenji SUEISHI3) Kenichi YATABE3) and Yasusige ISSHIKI4) 1). Tokyo Metropolis. 2). Gunma Prefecture. 3). Tokyo Dental College Suidoubashi Hospital. 4). Department of Orthodontics, Tokyo Dental College. Key words : Condylar Position−Counter Force−C. P. I.. Recently, a Ni−Ti wire with a reversecurve of Spee has been developed, and is occasionally used for bite opening andcompensation for closure space. This wire has a higher elastic limit and lower elasti modulus than a conventional stainless steel wire, and is prepared in a shape that is less likely to develop permanent deformation. Although its therapeutic effectiveness when applied to teeth and dentition has been reported, its effects on the position of the mandibular head remain unknown. In this study, therefore, therapeutic effects of the straightwire appliance method using an articulator, a Panadent condylar positioning indicator and standard lateral head X−ray films. There was clinically significant change of the condyle after orthodontic treatment using this wire. (The Shikwa Gakuho,1 0 1:1 0 2 5∼1 0 3 2,2 0 0 1). ― 54 ―.

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参照

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