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ネパールの住民を対象とした Cryptosporidium sp.の疫学調査

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Academic year: 2021

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神戸常盤大学紀要  第2号 2010 43 −  − はじめに  コクシジウム類の一種である Cryptosporidium sp. は1984年アメリカテキサス州において世界で初めて水 道水が原因とされる本原虫による集団発生が報告されて以来、新たな下痢起因腸管寄生虫原虫として注目され ている。Cryptosporidium 症は、健常人では一過性の下痢で症状が軽減治癒することが多いが、免疫不全患 者など抵抗力の弱い人では本症による下痢が原因で死亡する場合がある。そこで我々は、近年の流行状況を調 査するためにカトマンズ市およびポカラ市郊外の住民の対象とした本症の疫学調査を行った。 材料と方法 1.材料 1)被検体:2008年にポカラ市郊外パトネリ村(地方)の住人より採取した血清 100検体(8∼ 77歳、男性22 人、女性78人)および 2006年にカトマンズ市郊外ルブー村(首都)の住人より採取した血清100検体(13 ∼ 79歳、男性50人、女性50人)の合計200検体を使用した。 2)陰性検体:健常人血清15検体をあらかじめ抗原液を感作したプレートに37℃、1時間反応させたものを使 用した。 2.方法 1)抗原の精製:人型 Cryptosporidium 陽性と判定された糞便検体から免疫磁気ビーズ法を用いて本原虫のみ を精製後、凍結溶解し、細胞壁を破砕した後、その溶液を抗原液とした。 2)ELISA による測定:マイクロプレートの各ウェルに Cryptosporidium 抗原液を感作し、被検体を反応さ せ、その後、ペルオキシダーゼ標識抗ヒト IgG、 A、 M 抗体を反応させ、その発色を吸光度で測定した。 3)カットオフ値:カットオフ値は、    陰性血清15検体の平均 OD 値+3 SD を計算した。求められたその値は0.424であり、0.424以下を陰性、 0.425以上を陽性とした。 結果・考察  パトネリ村の抗体保有率は2%であった。10年前の調査におけるカトマンズ市住民の抗体保有率は21%であり、 今回の調査における結果は極めて低い値であった。この要因が採取時期や対象地域の違いにあると考え、2006 年度採取したルブー村の検体を用い追加調査を行った。その結果は、抗体保有率22%であり、10年前の調査と ほぼ同じ保有率であった。地方のポカラ市では本症の感染は低く、首都のカトマンズ市では、本症の感染が高 いことが示唆された。主な感染経路として水道水が原因と考えられ、カトマンズ市の水道水の調査で、本原虫 汚染があると報告されている。本原虫は水道水だけではなく、食べ物や土壌からも感染する危険があり、環境 中の本原虫の汚染状況や感染経路を解明するために更なる調査を行っていきたいと考えている。

ネパールの住民を対象とした Cryptosporidium sp.の疫学調査

石山 聡子 

小野 一男 

参照

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