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金属溶湯脱成分法を用いた共連続中空構造を有するポーラス炭素薄膜の作製とその特性

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Academic year: 2021

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(1)

金属溶湯脱成分法を用いた共連続中空構造を有する

ポーラス炭素薄膜の作製とその特性

著者

朴 元永

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

11301甲第19280号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00130552

(2)

パク ウォンヨン

EA

朴 元永

研究科,専攻の名称 東北大学大学院工学研究科(博士課程)知能デバイス材料学専攻

A

学 位 論 文 題 目

EA

金属溶湯脱成分法を用いた共連続中空構造を有するポーラス炭素

薄膜の作製とその特性

A

論 文 審 査 委 員

EA

主査 東北大学教授 加藤 秀実 東北大学教授 吉見 享祐

東北大学教授 市坪 哲

論文内容要約

第 1 章 ナノポーラス材料は,多種多様な特性により多くの応用分野において適用されており,さらにそれらの性能 を改善するため今まで改善を重ねている.したがって,様々な工学分野では進化したナノポーラス材料と共に人 類の未来を開拓している.特にナノポーラス炭素は現代社会の課題である環境やエネルギー分野において必要不 可欠な材料として最も注目されており,その中でも携帯用電子機器の電力源として使われているリチウムイオン 電池をはじめとする各種の再生可能エネルギー貯蔵デバイス中で電極材料として多くの研究が行われている.そ れの体表的な例として,商用リチウムイオン電池の出力密度を改善するためにその負極活物質である黒鉛をポー ラス炭素へ代替する研究が多く成されて来た.近年においては,各分野の技術発展に伴いエネルギー貯蔵デバイ スに対する要求条件が高エネルギー密度や高出力密度だけでなくより複雑化しており,ウェアラブル,および, フレキシブルな電子機器の電力源として用いられるようなフレキシブル性も求められている.一方,今まで用い られている商用電池の電極は,粒子状の活物質をバインダーと混ぜスラリー化し,それを金属の集電体の上に塗 工して作製した塗布電極である.しかし,このような塗布電極は金属集電体の曲げや永久的変形などの機械的応 力によって集電体から粒子状の活物質が簡単に剥離されるのでフレキシブル電池の電極としては適していない. したがって,フレキシブルな電池を実現するためには,高機械的特性を有するフレキシブル電極材料が必要であ り,カーボンナノチューブ,グラフェン,カーボンファイバーなどの炭素単一体の材料をフリースタンディング 電極としてフレキシブル電池に応用する研究が注目されている.これらの材料は,バインダーや集電体フリーの 負極としてリチウムイオン電池で優れた電気化学特性を示すが,多くの研究報告がその機械的特性に対しては, ただ,曲げた電極の画像だけであり,その実際の機械的特性に関する議論は不十分である.したがって,高結晶 性と大比表面積を有しながら高機械的特性も有するポーラス炭素薄膜を電極として用いれば,フレキシブルリチ ウムイオン電池はもちろんナトリウムイオン電池などの新しい電池システムにおいて優れた特性が期待できる. 一方,2016 年に金属溶湯脱合金法を用いることによって大比表面積と高結晶性が両立する新しいポーラス炭素材 料の作製に関する研究が報告された.金属溶湯脱成分法は,元素間の混合熱の関係を用いて前駆体合金から特定 元素を選択的に金属溶湯へ溶解させる方法である.この現象を基づいて,ポーラス炭素は,Mn-C 前駆体と Bi 溶

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湯を用いて作製することが可能である (Mn と Bi は混合の関係,Bi と炭素は分離の関係).しかし,結晶質の前 駆合金を用いて作製したポーラス炭素には前駆合金が持った結晶粒界が脱成分反応後にクラックとして存在する. このようなクラックが存在することによって機械的特性が低いと考えられる.したがって,結晶粒界が存在しな い非晶質 Mn-C 前駆合金は,これらのクラックの発生を防ぐことが可能であると考えられる.本研究では,クラ ックフリー,かつ,高結晶性・大比表面積を有するシート状の共連続ポーラス炭素を金属溶湯脱成分法を用いて 作製し,これらの機械的特性,および,電気化学的特性を調査する.脱成分時間や温度に伴うポーラス炭素の形 状や特性変化を調査し,金属溶湯中での炭素原子の拡散挙動を考察して明らかにする.炭素の結晶性とリガメン ト形態の関係を調査し,ポーラス構造の形成メカニズムを考察する.作製したポーラス炭素薄膜に黒鉛化処理を 施し,比表面積,および,電気伝導率などの特性変化を調査する.そして,黒鉛化処理前後の結晶性による機械 的特性と電気化学的特性変化を明らかにする.以上,四点が本研究の目的である. 第 2 章 本章では,前駆合金中の結晶粒界に起因して発生するクラックが存在しないポーラス炭素薄膜を,金属溶湯 脱成分法を用いて作製することを目的とし,膜状の非晶質 Mn-C 前駆合金を 1000 ºC の Bi 溶湯中で 180 s 浸 漬して金属溶湯脱成分法を施すことによりクラックフリー,および,中空リガメントを有するナノポーラス炭素 薄膜 (PCF-1000) の作製に成功した.作製した PCF-1000 は 165 m2/g の比表面積を有しており,結晶性も高いこ とによって電気伝導率も高いことが分かった.また,PCF-1000 は脱成分時間が長いほど結晶性と La の大きさが 増大し,アレニウス式を用いて見積もった PCF の La 成長の活性化エネルギーは 93.1 kJ/mol であり,高温熱処 理による成長に関わる活性化エネルギーより小さいことが分かった.これは,遷移金属を触媒に用いることによ って,触媒表面での Carbon adatom の表面拡散が容易になる結果,カーボンナノチューブの成長の活性化エネル ギーが低滅することと同様に,Bi 溶湯によって Carbon adatom の表面拡散が促進されるため,PCF においても 小さな活性化エネルギーが得られると考えられる.また,PCF-1000 は黒鉛化処理を施すことによってポーラス 構造の変化はなくても特性改善が可能であった.黒鉛化処理の温度が高いほど炭素の結晶性は急増し,電気伝導 率は増加した.一方で,比表面積は多少低下することが分かった. 第 3 章 本章では,Fig. 1 のような PCF-1000 のクラックフリーでユニモーダルのポーラス構造の形成過程と中空リ ガメントの形成メカニズムに関して考察した.しかし,実験上の限界によって非晶質 Mn-C 薄膜の脱成分過程の 直接観察は困難であったため,結晶質 Mn-C 前駆合金の脱成分過程を調査して比較することにより,間接的に非 晶質 Mn-C の脱成分過程を考察し解釈を行った.結晶質の前駆合金を用いた場合,ポーラス炭素は粒界クラック が存在し,連続的に生じる二段階脱成分反応によって階層的ポーラス炭素が形成されることが分かった.したが

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って,PCF-1000 を作製する金属溶湯脱成分反応では,非 晶質 Mn-C 前駆合金の結晶化,または,結晶の成長よりも Mn の溶出速度が速いので,クラックが存在せずユニモー ダルのポーラス構造を形成すると考えられる.また,PCF のリガメントは炭素の結晶構造によって異なり,グラフェ ンの積層構造を有すると中空リガメントが,一方,アモル ファス炭素を有すると中実リガメントが形成されることが 分かった.中空リガメントを形成するグラフェンは,Mn 溶 出によって生成される Carbon adatom の Bi 溶湯の触媒 効果による促進された表面拡散によって直接に形成,また

は,Carbon adatom のアモルファス炭素構造への自己組織化,成長,および,Bi 溶湯の触媒黒鉛化による形成で あると考えられる. 第 4 章 本章では,FIB マイクロ引張試験法を用いて PCF-1000 の機械的特性を評価した.また,PCF-1000 を用いて 2500 ºC で 30 min 黒鉛化処理を施した PCF-2500 も同様に機 械的特性を評価し,PCF の結晶性に伴う機械的特性の変 化を調査した.その結果,Fig. 2 の応力-歪み曲線のよう にクラックが存在しない PCF-1000 は,28.5 MPa の最大 引張強度,10 MPa の降伏強度,4.03 % の破断伸び,およ び,1.3 GPa のヤング率を有しており,他のポーラス炭素 材料中で最も高い機械的特性を有することが分かった.ま

た,PCF-2500 の最大引張強度は 34.8 MPa,降伏強度は 12 MPa,破断伸びは 2.39 %,ヤング率は 2.4 GPa で あった.ポーラス構造は同じであるが機械的特性が異なるのは,黒鉛化処理によって PCF-1000 より PCF-2500 の炭素原子間の結合力が強い,かつ,発達した結晶子に起因して PCF-2500 は PCF-1000 より高強度,および, 高いヤング率を示すと考えられる. 第 5 章 本章では,PCF-1000 と PCF-2500 をフリースタンディング電極としてリチウムイオン電池とナトリウムイ オン電池に応用し,それぞれ電池特性を評価した.その結果,PCF を用いたリチウムイオン電池は粒子状の活物 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 PCF-1000 PCF-2500 Tensi le st ress ( M Pa) Strain (%) Fig. 2 PCF-1000 と PCF-2500 の応力-歪み曲線. Fig. 1 金属溶湯脱成分法を用いたPCF-1000 の光学顕微 鏡像 (左上),表面 SEM 像 (左下),断面 SEM 像 (右上), TEM 像 (右下).

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質を用いたリチウムイオン電池よりレートに伴う容 量維持率が高いことが分かった.これは,PCF は高 電気伝導率を示しながらナノポーラス構造を有する ことに起因すると考えられる.その中でもより高結 晶性を有する PCF-2500 を用いたリチウムイオン 電池が,PCF-1000 を用いたリチウムイオン電池と 比べ高レート特性,および,高比容量を示すことが 分かった.また,PCF はエーテル系電解液を用いる ことにより,ナトリウムイオン電池のフリースタン ディング電極として応用することが可能であった.PCF を用いたナトリウムイオンは,他の炭素材料を用いたナ トリウムイオン電池より高レート特性を示し (Fig. 3),また,PCF-2500 はサイクル特性も優れることが分かった. PCF を用いたナトリウムイオン電池の充放電メカニズムは,in-situ ラマン分光法,および,STEM-EDX 分析に よって確認したようにナトリウムイオンとエーテル系溶媒の共挿入挙動に起因することが分かった. 第 6 章 本章は本論文の総括である. Fig. 3 エーテル系電解液を用いた PCF-1000 と PCF-2500 の ナトリウムイオン電池のレート特性.

Fig. 2 PCF-1000  と   PCF-2500  の応力 - 歪み曲線.

参照

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