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Title
技術の体化とその価格低減への貢献メカニズムの分析
: 太陽電池モジュール価格におけるその支配要因分析
Author(s)
永松, 陽明; 渡辺, 千仭
Citation
年次学術大会講演要旨集, 16: 460-463
Issue Date
2001-10-19
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/6677
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
2B20
技術の体化とその 価格低減への 貢献メカニズムの 分析
一太陽電池モジュール 価榊こお げるその支配要因分析
0
永松 陽明，渡辺
千籾 ( 東工大社会理工 ) 1 席 蜻 ック の増加及びそれに 付随する太陽電池生産の 増加が 技術革新に関する 研究は 、 未だ多くの部分が 解明さ 挙げられる。 これは図 4 に示すような、 通産省のサン れていない。 情報化あ るいは知識が 重要視される 今日 、 シャイン計画に 触発された、 産業の精力的な 太陽電池 の 経済状況下でほ、 なお一層その 解明が重要な 問題に 研究開発拡大の 結果構築された 好循環サイクルによる なっている。 ものであ る。 ，未知な部分が 多い技術革新研究ではあ るが、 有効な 示唆に富む既存研究があ る。 その先鞭として 古典的成 - き てしロ ' 穏 長 会計理論が挙げられる。 その研究では、 技術革新が 製品価格を低下させると 主張している (Denlson, 1962
Jorgenson 及び Gnlllches, 1967) 。 また、 技術の普及に
関する研究では、 疫学関数で普及し、 技術革新は製品
に 体化することで 普及すると述べられている (Rogers, 1962) 。 学習効果を分析する 研究では、 その効果は価格 を低下させると 指摘している (Arrow,1962) 。 これら有 効 な研究はあ るが、 結びつけた分析は 行われていない。 つまり、 未だ技術革新製品 ( イ / ベーティブバッズ ) における価格低減メカニズムは、 ブラックボックスな のであ る。 本研究は、 そのブラックボックスを 解明す ることを目的とする。 分析対象は 、 新エネルギー 財団 (New Energy Foundation: N
冊
F) が実施しているアンケート 調査によ って得られたシャープ、 京セラ及び姉洋電機の 639 の 太陽電池モジュール 価格を対象とする。 太陽電池を分 析対象とする 理由として、 技術開発と生産量増加、 価 格低下の「 好 循環サイクル」が 実現された分野であ り、 技術のインパクトを 計測できる好例であ るためであ る。 2. ほ価開発、 生産Ⅰ 塔加 及 び 価格低減の好 循俺 メカ ニズム 通商産業省 ( 現 経済産業省 ) は 1974 年来のサンシャイ ン計画において 太陽電池研究開発に 着手し、 半導体技 術やアモルファス 太陽電池技術開発の 進展を テコ に、 1980 年来研究開発の 加速的推進を 図るに至っている。 こうした努力によって 日本は、 世界的に大きなシェア を有するに至っている ( 図 1 参照 ) 。図 1 世界の太陽電池生産の 推移 (1990-2000)MW
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1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 図 2 日本の太陽 佳池 生産の推移 (1990-2000)MW図 3 太陽電池セル 価格の推移 (1974-2000) 喀目 価格
(yen/W)
C0% Ⅰ ⅠⅠ 0 ば Pv サ寸ⅠⅠ "" 。 1 "ロ " ㏄ " 。 m . 。 。 l 巨 SCP ， 。 " ぬ 。 ，
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牡ぎ " 。 。 " ℡ PV 又と D ㎞五 % Ⅰ db 山山 PV Ⅱ PVヽAD［ itiated｜y｀ill's SSPV Sunsh@ e@Prol ct この中で、 本分析で対象としたシャープ、 京セラ、 図 4 太陽盆池における 好循環サイクル 三洋電機は生産量のおよそ 8 割を占める ( 図 2 参照 ) 。 図 3 は、 太陽電池セル 価格が着実に 低下しているこ Watanabe( I999) は、 このメカニズムを 統計的に確認して とを示している。 その理由として、 太陽電池技術スト いる。3. 太陽電池モジュール 価格の分布 (2) 式が得られる。 本分析では、 NEF が太陽電池システム 購入予定者向 けにインターネット 上で提供しているデータベースを 利用した。 企業別、 システム価格及びモジュール 価格 など詳細なデータがあ る唯一のデータベースであ る。 そのデータを 整理し、 ダンピンバ価格などを 考慮す ると、 各社の価格分布 2
を示す図 5 が得られる。 Ⅰ・
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このコンセプトを 図示すると、 図 6 になる。 ゆ movW Ⅰの l蛇 ' ㎎ e=466 83 Ⅴ 柚沖 lCe - 9140 07 田田付 荻 ddeW 由 ㎝ -9S 60 Nm ㎏， Of 珂ゆ l 。 ， 。 350 図 6 技術ストツク 形成プロセス KyoCe イ オ Co Ⅰ p Ⅰ 吋 ogleCtrncco,. Lld 4.2 技術のスピルオーバー、 技術の向上及び 学習効果
Ⅰ
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新しく創出された 技術 [T/ は 、 現在の技術水準 r と研 究 開発投資 R で表すことができる。 Thomson(I993) に 乃 0 lu[a 田 @ Ⅰ pn ㏄ s[y す l@w> l り 2 コ 0 450 650 依拠すると、 学習関数ゅ を 導入すると (3) 式を得られる。 畑 ㎎。 "4@4 コ 8柚 。 穫 。 。 4'44' Standard deviation = 68 23
N@ 血比 r0 八 a@@ 且 es 。 234 Number@of@samples@=@55 Standard deviation = 66 82 Ⅰ
U
二ク仁ナ R(3)
図 5 大隅 甘池 リーディンバ 企業 3 社のモジュール 価格 学習効果関数ゅのは、 一般に 綾仁戸 0 ， グ ㏄ 片 0 0 分布 (2000 年 ) ㍗ 伊ノて 0 と特徴付けられるので、 /m 創出後の技術水準 図 5 における各曲線は 正規曲線であ る。 各社の価格 んはい ) 式になる。 の 分布はそれに 沿っており、 モジュール価格は 正規分 布に 従っていると 考えられる。 r, 二丁 十 Ⅰ r/ ノ r
(4)
また、 Jaffe (1986) に従って、 技術のドナー (D) から 4. 仮説構築 ホスト ( のへの技術スピルオーバー の メカニズムは (5) 技術革新製品における 価格低減プロセスは、 技術 向 式 で表すことができる。 "SSmla れⅡ 宕 ""1" 。 1" 。 。 " ' Ⅰ @llw07 上 、 スピルオーバー 技術及び学習効果のインタラクシ コ ンによってもたらされると 考える。 本節では、 そのⅠ
トノ
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Ⅰ ㎞ol
㎎ y Ⅱ0w
仔 町ん = タ イ Ⅱ 乃，の ・ r ィ 仮説を明確にする。(5)
Leaning and assimilation levelof@heh ㏄ t
4.1 太陽 E 泊モジュールにおける 技術ストック 構造 (3) 式 より (5) 式は (6) 式に展開され、 それより同化能力 技術形成プロセスは、 一般に技術ストック 形成プロ は学習効果に 依存することがわかる。 セス によって決定される。 技術ストックは、 固有の技
坤 endmgonownteChnologlCal 回 。 術 ストック ハと 同化能力 Z によって同化された 技術の TT は dV ん = 4 % り ・ ガ のり・ 冗は (6) スピルオーバー r, の 和で表すことができる (Watanabe, " 亜
"
。 '" 。 m 。 。 り " 2001)o 新技術を考慮したホストにおける 技術水準Ⅳ村は 、 T 二 Ⅰ +Z. 「 ，(1)
(4) 式 より求められる。 ここで、 企業 J の 製品 ブは、 7 社のその他製品の 技術 Ⅰ℡ ガニ が仁り R み + ぽ刀乃 = が 仁り仏力 + カリ T 刀 (7) ストックと他社の 技術ストックを 利用できるとすれば、 ℡ ，ノ皿 かつ 4% ゎ v ノ ノサ 仔 りなので、 スピルオーバー 2 この価格は、 NEF の補助金額を 除いたものであ る。 技術の増加は、 学習効果を向上させる。以上のスピルオーバー 技術、 技術の向上及び 学習効 果の循環関係とそれによる 価格低減のダイナミズムは 図 7 に示すとおりであ る。 本研究はこのダイナミズム の解明をねらいとする。 " Ⅱ。 。 dec 農 " れ
図 7 本研究の基本フレーム 5. 太陽電池 モ ジユール価格の 分散における 支配要因 太陽電池モジュール 価格 MPP は、 技術ストック T モジュールサイズ CP 、 変換効率 PF 及び平均価格
M
㍉ で表すことができる。 また MP0 と MP との分散は、 (8) 式で表すことができる。競二
G(T,C
Ⅰ，アガ ，
どり(8)
また同化能力 Z は大変小さいと 仮定すれば、 lnr は (1) 式 より導出できる。(9)
㎞7
丁㎞町+
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宙 ㎞ 写+7
号 展 開 す 式 ) を 千尋 用 を 理 定 の イ オ を 式 ) ㈹ る一
---(--.,--.
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(9)
それぞれの支配要因「， CP,PF で偏微分し、 それらを (9) 式に代入すると、 (10) 式が得られる。 M クM ク
」Ⅴ ク
+(
Ⅰ，
2+
月2lnT+
月2Z.
号+y.¥nC
う転
(10)
(10) 式の初項は、 分散に対する 技術のインバク ト を 示し、 同様に 2 項、 3 項はそれぞれサイズ、 変換効率 のインバク ト とを示す。 表 2 の係数を (10) 式に代入すると、 2000 年における 支配要因を明らかにできる。 その結果をまとめると 図 8 になる。 寒 Sh Ⅰ イ pco ノ p母 1.02 200
300 400 500 600 700 玉イク
ち イ ソ (8) 式を 2 次項までテーラー 展開した式に (9) 式を代入
すると、 (10) 式を得られる。
中ン @ Ⅰ ち 臣 + 月
，
㎞Ⅰ・№CP+
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+y,lnCP ， }nPF+e' 竣 0-46683(10)
(10) 式の結果は表 1 に示すとおりであ る。 @母
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母 表 ] 各社の支配要因結果 匂が SblpCon-029 -000
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表 1 より、 技術ストック と スピルオーバー 技術は価 格 低減に貢献していることがわかるが、 モジュールサ イズ の効果は極めて 小さい。 ただ、 三洋電機における スピルオーバー 技術とサイズの 組み合わされた 効果は
Ⅱ
"
有意であ り、 価格上昇に寄与する。 この理由として、 竣 @" 。 ' 。 。 ' 三洋電機のみがアモルファス 太陽電池を製造するから 図 8 モジュール価格の 価格分布と支配要因 だと考えられる。 次にモジュール 価格の分散の 支配要因を特定化する。 図 8 より、 技術には価格低減の 効果があ ると同時に 、価格の分散を 最小化する作用を 持ち合わせるというこ とがわかる。 この結果は、 4 節で述べた仮説を 支持す る。 また、 経済産業省、 新エネルギー 産業技術総合開発 機構 (NEDO) 及び NEF による研究開発や 購買の助成 は、 好循環メカニズムの 促進に大きな 影響を持っこと 図 9 は、 各社の価格低減における 技術 ( スピルオー バー技術も含めた ) の貢献の大きさと 価格の標準偏差 との相関を示した 図であ る。 この 国 より技術の貢献は 標準偏差を小さくすると 同時に、 技術の貢献は、 各社 の技術ストックのレベルに 依拠することを 明らかにし ている。 穏
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砧 p" 社 Ⅴ。 金
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Ⅰ @田
Technology stock of firms
[ 。 。 耐 ㍻。 血 。 m ㎝ 図 9 大場電池モジュール 価格低減における 技術貢献と 価格の楳革偏差の 相関 表 2 太陽電池モジュール 価格の分散と 変換効率の相関 結果 @ 皿んゆ Ⅰ a+blnCPF
where DMp distribution of module prices, CPF contribution of performance@and@a,@b@ parameters
S Ⅰ れ Ⅰ pCor Ⅰ -641 0 %l (-237 30) (-4881)
-11 31 8 ㏄ 0 %5 (-23868) (-12091) "" 。 プ 。 "' 。 。 ㎡。 ' 。 ","' 。 -6 13 -1 30 0768 (-1421) (-1 76) "" 。 。 ""PP"""""' 。 ， '"'"" 。 """"' 。 " 表 2 は、 各社のモジュール 価格の分散と 変換効率と の相関の結果であ る。 これより、 変換効率が分散に 対 して負の影響を 持つ、 つまり小さくするインパクトを 持つことを示している。 6. 結論 本分析では、 企業独自の技術ストック 及びスピルオ ""/ ベ -" 技術が太陽電池モジュール 価格低減に大きく 貢 献することを 実証した。 この貢献は、 企業の技術スト ック に左右されると 同時に、 価格の分散を 最小化する 作用を持つ。 また、 モジュールの 性能 ( 変換効率 ) は価 格の分散に影響するが、 サイズは影響を 与えないこと が明らかになった。 技術による技術革新製品に 対する体化のメカニズム は、 競争などのダイナミックゲームを 通じて行われる。 も 指摘される。 太陽電池技術開発では、 スピルオーバー 技術、 技術 の向上及び学習効果が 織り成す 好 循環メカニズムが 価 格低減の構造的なソースであ ることが明らかになった。 さらなる研究課題として、 木 仮説の普遍性・ 妥当性 の 確認として、 他産業や他技術革新製品での 分析が希 求される。 参考文献 [01]@ K ・ J ・ Arrow ， "The@Economic@Implications@of@Learning
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