疼痛に対する対処方法と自己効力感を獲得できた.『患者 の意向 (自律性尊重)』: 自宅で家族と過ごしたい,家族に 見守られて最期を迎えたいという希望を抽出. 患者の思 いを確認し, 家族との調整を行い, 患者と家族の在宅療 養への意志が明確にできた.『QOL (幸福追求)』: 疼痛に 関する本人・家族の不安,家族の介護力,退院の時期に関 する問題を抽出. それに対して多職種と連携を図り, 時 期を逸することなく退院を調整できた.『周囲の状況 (効 用と 正)』: 家族が, 今後の患者の身体的状態の変化や 在宅療養についてイメージが抱けないという問題を抽 出.この時点で受け入れは困難と思われたため,患者・家 族が在宅でも安心して療養できるよう訪問看護による継 続的な支援の調整を行った. 【 察】 患者が在宅で の生活が維持できる時期を逸することなく在宅療養へ移 行するためには, 積極的な退院支援が必要である. また, 患者・家族が課題に対してひとつひとつ対処方法を獲得 できるよう支援することが重要である. 11.薬局における在宅緩和ケアへの取り組み 大谷 元光,割田 美咲,長島るみ子 井坂 忠夫,大矢 浩 (あすなろ薬局 高崎京目店) 【はじめに】 ターミナルケア (終末期ケア) や慢性疾患 の療養への対応を期待され, 平成 18年の医療法改正で 在宅療養支援診療所が新設され, 翌年にはがん対策基本 法が施行された. この中で在宅医療の重要性が唱えられ ているが,薬局・薬剤師の在宅医療への参加,特に在宅緩 和ケアへの取り組みは, まだまだ十 とは言えない. 在 宅医療へ取り組む場合の薬局・薬剤師が抱えている課題 (①薬剤師の人員の確保②麻薬備蓄③薬局間の取り組み の違い) を えながら, 当薬局が昨年 1年間で, 在宅 (居 宅)訪問を行った,事例・訪問内容を紹介する. 【方 法】 期間 : 2009 年 1月∼2009 年 12月 対象 : 当薬局で在宅 訪問薬剤を施行した患者 【結 果】 患者数 : 66名 (が ん患者 41名, その他疾患 25名) 訪問 べ回数 : 531 回 1日平 訪問回数 : 2.0回 オピオイド 用薬品種 類 : デュロテップパッチ 23名 オプソ内服液 21名 ア ン ペック 坐 薬 19 名 オ キ シ コ ン チ ン 錠 8名 メ テ バ ニール 錠 3名 ピーガード 錠 2名 オ キ ノーム 散 1名 MS コンチン錠 1名 塩酸モル ヒ ネ 錠 1名 【ま と め】 訪問薬剤を行ってきた患者の 6割以上ががん患者であ り, その殆んどがオピオイド製剤を 用していた. 苦痛 緩和に必要な薬剤は多岐に渡り, その中でもオピオイド 製剤は患者によって, また 用時期によっても様々に変 化してくることもある. 薬剤師が在宅へ訪問することに よって, 薬剤の管理 (一包化, 投薬カレンダーの利用), 剤 形の適正, コンプライアンス, 薬識などを深めていくた めに, それぞれの患者・ご家族に合った服薬説明を行っ ていくことが大切と思われた. 【 察】 今後も患者・ 家族と関わっていく中で,医師・看護師・その他の職種間 との連携を密に行い, よりよいケアを行っていくことが できるよう, 薬剤師も貢献していくことができるとよい と思われる. 12.伊勢崎市民病院緩和ケア病棟,開棟より9ヶ月の歩 み 押本 直子,高橋 育,神坂 幸次 須永知香子,深沢いく子(伊勢崎市民病院) 【目 的】 昨年 4月に 17床の緩和ケア病棟が開棟し, 9ヶ月が経過した. 当院では, 腫瘍縮小を目的とした治療 が困難, あるいはそれを希望していない患者, 加えてあ る程度の病名・病状認識があり, 緩和ケア病棟への入院 を希望していることを入棟基準とし, 入棟前面談および 審査を全例に行っている. 今後の群馬県の緩和医療の方 向 性 を 探 る 目 的 で 患 者 動 向 を 検 討 し た. 【方 法】 2009 年 4月-12月 の 患 者 背 景 を 調 査 し た. 【結 果】 面談患者数 137名, エントリー患者数 118名, 不可 13 名, 保留 6名であった. べ入院患者数 115名, 実入院患 者数 96名, 1ヶ月平 入院患者数 9.8名, 患者平 年齢 68歳 (最年少 37歳,最年長 94歳),男性 55%・女性 44%, 平 在院日数 22.5日 (最長 132日, 最短 1日), 中央値 14 日であった.疾患別では,肺癌が 30%と最も多く,次いで 胃癌 15%,膵・胆道系の癌 15%,大腸癌 12%であった.院 内紹介患者数は 58%で, 院外のそれと拮抗していた. 患 者住所は 48%が市内であり, 隣接市町村を加えると 82%に達した. また, 埼玉県からの患者は 8%であった. 【 察】 面談患者の 86%はエントリーとなったが, ギ アチェンジしないまま紹介された患者が 14%認められ たことから, 当院の緩和ケア病棟を理解していただくた めの尚一層の努力が必要と思われた. また, 中央地区で は初めての緩和ケア病棟であったが, 患者住所の 82%が 市内および隣接市町村であったことより, 当地区での潜 在的な需要が推測され, に,患者・家族は自宅あるいは 非同居家族の居住地近隣の緩和ケア病棟を希望している ことがうかがえた. 現在, 県内 3ヶ所の緩和ケア病棟はバ ランスよく立地しているが, いずれからも遠方の患者も 多く, 今後の検討課題であると思われた. 13.藤岡医療圏におけるがん診療ネットワーク構築の試 み 石崎 政利 ( 立藤岡 合病院 緩和ケアチーム) 埼玉北部を含む藤岡医療圏におけるがん診療を地域で 完結することを目的に藤岡医療圏でネットワーク会議を 81
立ち上げました. がん診療, 緩和ケアに関心を持つ当院 の登録医の方から賛同を得, 参加施設は 26施設で, がん の経過観察と緩和ケアで連携をしていくことで一致しま した. 連携を開始するにあたり, 情報の共有とがん診療 の標準化を図るため, がんの経過観察については, まず 5 大がん (胃がん, 大腸がん, 肝がん, 肺がん, 乳がん) の術 後 1年以降の患者さんを対象に術後経過観察クリニカル パスを作成しました. また急性期緩和から慢性期・在宅 緩和へ移行する患者さんを対象に緩和地域連携クリニカ ルパスパッケージを作成し, 連携のツールとして 用し ていくことになりました. 今回, ネットワーク会議の立 ち上げと連携のツールとしての緩和地域連携クリニカル パスパッケージについて紹介します. 今後, ネットワー ク会議の活動を通して, 切れ目のない緩和ケアを地域で 支えられるシステム作りをすすめ, 患者さんが望むとこ ろで望むように過ごすことができるようにサポートして 行きたいと えています. また, 他のネットワークとの 流や諸施設とのネットワークも広げていきたいと え ています. 82 第 21回群馬緩和医療研究会