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造血器腫瘍患者に対する集学的治療における化学療法の役割と連携(第56回北関東医学会総会抄録 ワークショップ)

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Academic year: 2021

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ワークショップ

がん患者の集学的治療と看護 −ケアの連携をめざして−

1981年以来, がんは日本人の死因の第一位を占め, そ の克服は国民的課題となっている. がん治療においては, 手術・薬物療法・放射線療法といった治療を駆 した集 学的治療が基本的なアプローチである. しかし, 新たな 治療法が開発されているものの, 治療法の確定, 標準化 はまだその途上にある. また, 全人的な視点にたった集 学的治療を行うためには, 多様な専門職によるチーム医 療が不可欠である. 群馬大学では, がんプロフェッショナル養成プランの 助成を受け, 放射線腫瘍専門医, がん薬物療法専門医, が ん看護専門看護師などの医療専門職の育成に取り組んで いる. また, 群馬大学医学部附属病院は, 群馬県がん診療 拠点病院としてその 命を達成するために, 腫瘍セン ター・外来化学療法センターが設置され, 今年度からは, 重粒子線医学研究センター臨床治療開始, 患者支援セン ターの設置など, がん患者に対する集学的治療, 集学的 医療の推進が期待されている. そこで, 平成 21年度の北 関東医学会におけるワークショップでは, がん医療にお ける集学的治療とチーム医療を推進するために, 本ワー クショップを企画した. まず, 手術, 薬物療法, 放射線治療 野の第一線で活躍 されている医師の方々に, それぞれの専門治療における 集学的治療の役割, 多職種連携の現状と課題について講 演していただく. 次に, 看護実践者の立場から, 集学的治 療における看護職の役割, チーム連携を促進するための 方略について講演をお願いする. 最後に, 各講演者から 示された現状における集学的治療, チーム医療を推進す るための課題をどう解決していくのかディスカッション し, その方向性を明らかにしたい. 神田 清子,二渡 玉江,武居 明美 堀越 政孝,瀬山 留加 (群馬大医・保・臨床看護学) 前立腺癌患者に対する集学的治療の実際と連携 鈴木 和浩 (群馬大院・医・泌尿器科学) 前立腺癌は高齢者男性に発生する癌であり, 男性ホル モン依存性という最大の特徴を持つ悪性腫瘍である. 腫 瘍マーカーである前立腺特異抗原 (PSA) の普及によっ て, 診断される患者数の増加が著しい. 群馬県では全国 に先駆けて PSA を 用した前立腺癌検診を導入し, 現 在年間 1200名の新規患者が発生している. 約 15%が転 移癌 (病期 D),約 20%が局所浸潤癌 (病期 C),約 60%が 限局癌 (病期 B) の病期 布となっている. 前立腺癌の治 療は,その病期および病理所見と年齢や全身状態 (PS)な どによって 合的な判断のもとに行われる. すなわち, 病期 D では男性ホルモン遮断療法 (内 泌療法) が行わ れ, ホルモン依存性から非依存性に転換したのちに症例 によってドセタキセルによる化学療法が選択される. ま た, ホルモン非依存性の定義も現在では, 種々の薬剤の 特徴によって従来よりも幅広いものとなっている. 病期 C では, 内 泌療法併用放射線治療が根治療法を意図す る治療としては第 1選択であり, 年齢と浸潤の程度に よって内 泌療法手術療法も選択される. 限局癌である 病期 Bでは, 腫瘍の性質や患者の状態によって, PSA 監 視待機療法とよばれる経過観察, 前立腺全摘術, 放射線 療法, 内 泌療法とあらゆる治療が選択肢として上がっ てくる. 特に, 手術, 放射線治療では単独および内 泌療 法併用と, さらに治療法は複雑化している. このように, 前立腺癌においては, 手術, 放射線, 内 泌療法といった あらゆる治療を, 適切に選択して提示し, 集学的なアプ ローチが必須となる. このように, 前立腺癌の治療は, 外来化学療法セン ターとの連携は, 化学療法はもちろん, LHRH アゴニス ト投与の際にも必須である. さらに今後重粒子線治療が 稼動することになり, フルラインアップの放射線治療モ ダリティーを手にすることなるので, 放射線科の先生方 との連携が今後以上にさらに重要となるであろう. 造血器腫瘍患者に対する集学的治療における化学療法の 役割と連携 塚本 憲 (群馬大医・附属病院・腫瘍センター) 造血器腫瘍には白血病, 悪性リンパ腫, 多発性骨髄腫 などがあり, これらに共通していることは化学療法 (が ん薬物療法) のウエイトが高いことである.

急性白血病の治療は total cell killの概念に基づく. ま ず腫瘍細胞が見かけ上消失する完全寛解を第一目標とす

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る. 次いで寛解後 (地固め) 療法を数回行い, 腫瘍細胞ゼ ロを目指す. 大量の抗がん薬を 用するため化学療法共 通の副作用である骨髄抑制が強く,grade 4の血球減少が 1-2週間続く.感染症,出血のリスクも高く,その実施に あたっては無菌室管理, 成 輸血, 感染症対策などすべ ての副作用対策に精通する必要があり, がん薬物療法の 集大成といえる. 感染症罹患時の画像診断, 造血幹細胞 (骨髄) 移植時の放射線照射で他診療科との連携が必要 である. 悪性リンパ腫は腫瘤を形成し, リンパ系組織や全身諸 臓器に浸潤する点で他のがんと共通する. 病型診断に外 科系診療科, 病期決定に画像診断, 化学療法終了後の放 射線治療といろいろな診療科が関与し, 造血器腫瘍の中 でもっとも集学的治療の色合いが強い. しかし, 治療の 主体は化学療法で, リツキシマブ併用, 自己末梢血幹細 胞移植の実施によりその予後は向上している. 多発性骨髄腫は腫瘍細胞の増殖とともに骨破壊病変を 伴うことが特徴で, 病的骨折, 腰痛等で整形外科との関 連が深い. 形質細胞腫, 骨破壊が著明な場合には放射線 療法を行う場合もある. 治療は MP療法が標準療法であ るが, 自己末梢血幹細胞移植, 子標的療法薬ボルテゾ ミブ, 骨病変改善と抗腫瘍効果を狙ったビスフォスフォ ネート製剤など新規治療法も導入され, 治療成績は年々 改善している. 造血器腫瘍患者では他診療科との連携を図りながら化 学療法を行うことが, 治療成績と QOL 向上には不可欠 である. がん患者に対する集学的治療における重粒子線治療の役 割と連携 大野 達也,中野 隆 (群馬大学重粒子線医学研究センター) 重粒子線治療は, 限局性のがんに対する有効性や安全 性が従来の放射線治療に比べて向上し, 治療期間も短い (数日から 4週間) という特徴を持つ. 治療対象には, これまでの治療法では制御困難な腫瘍 (腺癌, 肉腫, 大きな腫瘍など) や, 手術が第 1選択である が医学的理由や手術拒否により手術適応とならない腫瘍 (肺癌, 肝細胞癌など) が多く含まれるが, 広範に転移を 有する場合は適応とならない. 照射の際にミリ単位の高 精度で標的を狙うため, 位置精度を保つための事前の準 備が特に重要である. 例えば, 仰向けまたはうつぶせで 固定具を装着した状態のまま CT を撮影して治療計画を 作成する. この際, 腫瘍の位置を同定するための金属 マーカー挿入や体内におけるビーム到達位置を再現する ための処置 (食事制限,膀胱内生食注入),CT 画像を適正 化するための歯金冠除去など前処置は患者毎, 治療計画 毎で多岐にわたり, 多職種間の連携が欠かせない. 既存の重粒子線治療施設では, 至適投与線量や短期照 射法の開発に代表される照射技術面の研究開発が主体で あった. 一方, 群馬大学では, がん診療体系における重粒 子線治療の役割を確認すべく, 重粒子線治療の特徴を生 かした集学的治療法開発を 命の一つとしている. 例え ば, 腫瘍が消化管に近接している場合でも, あらかじめ 手術にて腫瘍と腸管の間に人工物 (スぺーサー) を挿入 することで, 消化管に対して重篤な有害反応を出すこと なく治療可能な場合がある.また,抗がん薬, 子標的薬, ホルモン療法薬などの薬物療法ならびに免疫療法との併 用は, 既に群馬大学のプロトコールにて検討が開始され ている. 重粒子線治療の複雑な治療工程を安全かつ効果的に進 めるには, 情報の共有化と相互理解が必要である. 特に 患者にとっては, 主治医から重粒子線治療を勧められる ことが重粒子線治療の最大の契機となるため, 他の診療 科医師に対しては適切な情報提供を行う必要がある. がん患者に対する重粒子線治療における看護師の役割と 連携 中島 陽子,野本 悦子 (群馬大医・附属病院・看護部) 大野 達也 (群馬大学重粒子線医学研究センター) 重粒子線治療の特徴として, 対象が通常の治療に難治 性の腫瘍を持つ患者が多く含まれること, 腫瘍に対して 高精度技術を用いて照射するため, 準備が緻密になるこ とがあげられる. これらの特徴を踏まえ, 看護の役割と 連携について治療の過程に って以下に説明する. ①受診から適応決定,インフォームド・コンセントまで : 多くの患者は受診までに治療について勉強してくる場 合が多いが, その知識が正しいものかを見極めなけれ ばならない. 苦痛の少ない治療を望み, 重粒子線治療 を希望する患者が多いが, 治療の利点・欠点を理解し 患者自らが治療を受ける意思決定を行えるよう支援す る. ②治療の準備 : 適応の確定後も治療の準備のため, 固定 具の作成, 治療によっては体内にマーカーを埋め込む 処置や歯の金属除去を行う. この過程で治療に影響を 及ぼす身体症状や, 閉所恐怖症などの精神症状を予測 し, 多職種と連携して症状をマネジメントし綿密に準 備を行う. ③治療期間 : 毎回の治療は位置のずれがないことを確認 してから照射するため, およそ 2−40 にわたり, 体 を動かさずにいることが求められる. 治療は仰臥位, 腹臥位であるため, 腫瘍などで疼痛がある場合は勿論, 320 第 56回北関東医学会 会抄録

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