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視線を捉えるアルゴリズムの解明のための基礎実験 利用統計を見る

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[山梨大学工学部研究報告第41号1990年12月]

論 文

視線を捉えるアルゴリズムの解明のための基礎実験

岩村武英 稲葉政信 橋口住久 大木真

(平成2年8月31日受理)

A Basic Study for the Detection of Beeing Gazed

TakehideIWAMURA MasanobuINABA SumihisaHASHIGUCHI MakotoOHKI

      Ab8tract   Some basic experiments were performed in order to know the necessary condition to determine if one is looked at by the other.   It is shown that one can say if one is not looked at when the other looks at a point 4 degrees off the line connecting their pupils. 1 まえがき れれば注目していないと感じるかを調べた.  人間は対面している相手が注目しているかどうか容 易に判断することができる.そこで,どの様なアルゴ リズムで視線方向を判断しているかを解明するための 基礎的実験を行った.  アルゴリズムを解明するためには,まずそのアルゴ リズムの特性を調べ,次にその特性を示すためにはど の様なアルゴリズムが必要かを考えて,さらにそのア ルゴリズムを理論または実験で証明していく必要があ る.今回報告する実験では, 「アルゴリズムの特性を 知る」ということを目指した.  従来の視線検出法1)としては,眼球の定常電位を測 定する方法,角膜反射を利用する方法,角膜と強膜の 反射特性の違いを利用する方法などがある.本研究は 新しいアプローチの方法であり,視線検出のアルゴリ ズムを備えた装置を製作することを将来の目的として いる.これはヒューマンインターフェースとして,い ろいろなデバイスの入力部に利用できると考えられる.  実験では,10人の被験者について,相手が注目し ているかどうかを判断するには,相手の顔のどの範囲 が見えることが必要か,また視線が眼からどの程度そ *電子情報工学科,Department of Electrical Engineering& Computer Science 2 注目されているか否かの判断特性 2−1 両眼対両眼の場合の実験  この実験では,人間がどのような視線の判断特性を 備えているか調べた.予備実験において10枚の大き さの異なるポートレートを用いて,顔のどの範囲が見 えていれば,注目しているか否かを判断できるか調べ た.実験の簡易さと実験結果の精度を考慮して1mど した.なお,視線のずれを角度で定義するので実験結 果の一般性は失われない,現段階では両者の距離を1 mに固定して,このとき「注目しているかどうか」を 判断することを目標とする.予備実験では見るときの 条件を次のように基準化した. a)写っている人の瞳孔中心間距離を6.3cmと仮定 する. b)ポートレートとディテクタとの距離は式(1)によ り決定する. 距離= ポートレート中の両瞳孔 の中心間距離[em] 6. 3cm

×1m

(1) 一11一

(2)

平成2年12月 山梨大学工学部研究報告 第41号 c)視点の位置は,写っている人の顔のほぼ正面で, 式(1)で決めた距離のところとする.

 実験の結果,両眼を含む縦7cm横21cmの場合

よりさらに見える範囲を広げていったとき,視線の判 断を変える人が少なかったことから,判断に十分なの はこの範囲であることが分かった.  次に,相手に視線を送る人(サンプル)と,相手が 自分に注目しているかどうかを判断する人(ディテク タ)とを1mの距離で対面させて実験を行った. 率であり,枠の外側は誤答率である.右眼を見られた ときの注目されたと感じる割合(正答率)は90%, 左眼では52%とかなり差がある.これはディテクタ の利き眼が右眼であることによると思われる.また, 左右方向の判断は上下方向の判断よりも良い,上下方 向では上7cmの場所で50%もの割合で注目された と感じている(誤答している). 2−2 片眼対両眼の場合の実験 ↑−

6

0り ↓.        ×        6      ×  ×

・函:婚

×  ×        ×

 7cm

  ×  × 1

←一一一450m−一一→

図1 ディテクタ側のマスクl Fi9.1  mask l on detector side

 サンプルの顔の正面に縦7cm横21cmの穴を開

けたマスクを設置し,ディテクタの顔の正面には図1 のように7cm間隔(ほぼ両眼の間隔)でマークを付 けたマスクを設置し,各マークに注目したとき,ディ テクタがどの様に判断するかを調べた.   表1 両眼対両眼の判断特性 Table l  detection characteristics:     both eyes vs. both eyes 「注目された」と判断した割合(%) ② ① 2 横座標 R   4 5 2 0 50   45 0 縦座 3 0 90  52 9 標 4 0 22   25 0  表1は良いサンプルと任意に選んだディテクタ1組 の実験結果である.表中の数値は,その点をサンプル が注目したときにディテクタが注目されていると判断 した割合である.枠の内側は眼の部分であるので正答  サンプル側のマスクの穴の大きさを7cm×10. 5cmにしてサンプル片眼(利き眼)のみが見える状 態にして,同様の実験を行った.  利き眼の決定法はいろいろある2》が,本研究では, 腕を伸ばし,両手で作った枠を通して,両眼で遠方に あるものを見させ,次にどちらか片眼を閉じたときそ れが見えなくなったならば,その眼を利き眼とした.   表2 片眼対両眼の判断特性 Table 2  detection characteristics:     single eye vs. both eyes (a)「注目された」と判断した割合(%)   サンプル右眼(利き眼) ② ① 2 横座標 R   4 5 2 0 10  20 0 縦座 3 45 75   61 18 標 4 9 27   27 18 (b)「注目された」と判断した割合(%)   サンプル左眼(利き眼でない方) ② ① 2 横座標 R   4 5 2 0 8  18 0 縦座 3 10 75   67 27 標 4 17 100  73 27 一12一

(3)

視線を捉えるアルゴリズムの解明のための基礎実験  表2(a)は表1の実験と同じ被験者の実験結果で ある.ディテクタの眼の左を注目したとき18%,右 を注目したとき45%注目されていると誤答しており 両眼対両眼より悪い値である.上下方向については下

方向で誤答27%,上方向で誤答10∼20%となっ

ており上方向は特に良く判断できている.  これから,サンプルの片眼だけでは左右方向の判断 確度がやや悪くなり,上下方向の判断確度には影響が ないことが分かる.この結果,片眼対両眼でも両眼対 両眼と同程度に判断できることが分かる.表2 (b) はサンプル左眼(利き眼でない方)にっいて表2(a) と同じ被験者の結果である.利き眼の場合(表2(a)) と比較して上下方向の正答が劣っている. ないと感じる範 囲を調べる.こ の実験ではディ テクタ側のマス クとして図2の ものを用いた. マスクは中央に

1.2cm角の

穴を開け,この 穴からディテク タがサンプルを 見る.マークは

1cm間隔であ

る.

765432101234567

       7        §

醗c間隔   9

       2

     緊  i

     ×1辺が1.2 2

     美・mの正方形2

      美   8

      ×         7 図2 ディテクタ側のマスク2 Fig.2  mask 2 0n detector side 2−3 片眼対片眼の場合の実験  片眼対片眼で判断を行うことが出来るかを調べた, サンプル,ディテクタともに利き眼の場合について実 験した.  表3に良いサンプルと良いディテクタ1組の実験結 果を示す.眼の部分(3,3)と隠されている側の眼

の部分(3,4)で76%,40%と高い数値になっ

ているが,眼の下と右で0%,上で18%である.こ のことから,利き眼から7cm離れたところでは注目 されていないと判断できることが分かる.  結果として,片眼対片眼でも十分に判断できると言 える.     表3 片眼対片眼の判断特性    Table 3  detection characteristics:         Single eye VS. Single eye     「注目された」と判断した割合(%) ① 横座標 ② 1 2 3 4 2 9 18 0 縦 座 3 0 76 40 標 4 0 0 0 Φ 0   100

c

o

△ oり ゆ   α二bミ50

 一

叫一 訟 o rづ

 Φ

Φ  N +♪ Q

tuO 

O

叱s

 765432101234567

−up     ↑   down−

      right−

−left Eye

   Distance[cm]

  図3 7cm以内の判断特性

Fig.3  Detection characteristics:    single eye vs. single eye  図3は表3と同じ被験者の実験結果である.注目さ れていると感じる範囲の申心が眼から右下にずれてい ることが分かる.いま,便宜上10%未満のところを 「注目されていないと感じる範囲」と定義すると,上

7cm,下4cm,左3cm,右7cmの外側の範囲

ということになる.  図3について,ディテクタのランダムな判断によっ て得られたものではないと統計的に言うには,注目さ れたと判断する確率を1/3と仮定して,有意水準0. 05の両側検定s)を行い有意と判断することが必要で ある.検定を行った結果,左に1cm以内,右に2c m以内,下に3cm以内のときは,ランダムに判断を 行ったと仮定するには,確率が高過ぎると言える. 2−4 注目されていると感じる範囲 3 視線判断情報集中領域 ディテクタの利き眼から7cm以内の注目されてい 一13 一

(4)

平成2年12月 山梨大学工学部研究報告 第41号  視線判断には,相手の眼の周囲のどの範囲が見える ことが必要かを調べる.図4,図5に示すように,瞳      図4 左右方向を隠した場合 Fig.4 A case of hiding right side and left side 一 藻 一 一 一 巨 一 ’ 一 一 一 一 止 ⇔ 一 一 〔 一 ← 一 一 一 一 A 一 → 一 領 一 一 一 一丁 一下i

     図5 上下方向を隠した場合 Fig.5 A case of hiding up side and down side 表4 眼頭/眼尻/上瞼/下瞼が見える場合の判断特性 Table 4  Detection characteristics:the part of     eye just inside eyelashes is visible. 判断確度[%] 画像の種類 正解 不正解 判断できない 注目している

80

20

0 注目していない

77

22

0 (上方向)

100

0 0 (下方向)

70

30

0 (右方向)

70

30

0 (左方向)

70

30

0 を中心として左右方向と上下方向とを覆った場合にっ いて実験した.図4において,①は虹彩が見える範囲, ②は白眼全体が見える範囲,③は眼頭から眼尻までが 見える範囲である.図5において,①は虹彩が見える 範囲,②は上瞼から下瞼までが見える範囲,③眉毛ま でが見える範囲である.サンプル画像をディスプレイ 上に順次表示し,判断させる.なお,ディテクタは2 人である.  縦方向,横方向ともに範囲の狭いものから実験して いき,横方向は③の範囲,縦方向は②の範囲までが見 えれば判断が十分可能であることが分かった.  そこで,これらを組み合わせて,顔画像に掛けるマ スクを横方向③∩縦方向②の範囲に限定した.この範 囲についてさらに判断特性を調べた.表4はこのとき 判断の良かったディテクタ1人の実験結果である.上 下方向も左右方向も正答率が70%以上と高い.これ から眼頭,眼尻,上瞼,下瞼が見えていれば注目して いるかどうかを判断することができることが分かる. 4 むすび  相手が両眼で自分を見ているときと,片眼で見てい るときとでは見られているという判断の正しさは同程 度である.片眼のときには,利き眼を見られたときの 方が,反対側の眼を見られたときより,正確に判断で きる.相手と1m離れて,眼から7cmの位置を見て いるときは,眼球は4度回転している.眼頭,眼尻, 上瞼,下瞼,が入る領域が見えていれば,眼球が4度 以上ずれたとき,注目していないと判断できることが 分かった. 参考文献 1)斎藤 進,藤田忠彦:“眼球運動の産業医学的評価”  ,人間工学.第20巻.特別号,pp.50−51 2)Clare Porac,Stanley Coren: ‘‘The Dominant Eye,,  ,Psychological Bulletin,1976,Vo1.83,No.5,pp.88  0−897 3)和田秀三:“基本演習確率統計”,サイエンス社,pp.  96−125 一14一

参照

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