現 場向け特集 認知症 の方へ の食事 。排泄・入浴 ケア 事例紹介 食事 ケア 在宅 における認知症者へ の食事 の援助 高 山 藤澤 三澤 長澤 陽子 初枝 真理子 富子
在宅 にお ける認知症者 の食事 の トラブル は、本人の体 力低下や家族介護 の負担増な ど、生 活そ の ものを脅かす きっか け とな ります。 また、誤 った知識や介護 力不足 によ り、そ の人 が本来持 って いる力を発揮できず にいるケース も多 々見 られ ます。訪問看護では、介護家 族 の困 りごとに耳 を傾 けなが ら、実行可能 な援助方法 の糸 日を見つ ける ことが重要です。 今回、重度 アル ツハ イマー型認知症者 の食事援 助 を通 して、 どのよ うな援 助 を行 えば残 された能 力を最大限に発揮 させて ご本人の 「できる こと」 を増やす ことができるのか、家 族へ の支援 も含 めて考察 します。 倫理的配慮 執筆 にあた り、 ご本 人 とそ の ご家族 に文書で 同意 を得 ま した。 また、 当院規定 の倫 理委 員会 にて承認 を得 ま した。 方法・ 目的 ① 食事の場面に焦点をしばり、重度アルツハイマー型認知症者に対 して訪問看護師に対 して訪問看護師が指導、支援を行った
3事
例を評価、考察する。 ② 重度アルツハイマー型認知症者の患者への食事援助に必要なこととは何かを考察する。 ③ 重症度判定に関しては、N式
老年者用精神状態尺度(NMス
ケール)を
用いました。 訪 問看護 の実施 事例l A氏
(女性)70歳
代NMス
ケール3点
食行動 コップや箸が使 えな くなるとい う失行があ り、食事 は手づかみでたべ ることがあ ります。 さ らに、 目の前の食べ物が認知できず、食べは じめる ことができません。主介護者である 夫が、箸で食べ る ことを強要す るた め、本 人 は体 を硬 くして動かな くな り、 ます ます 口を 開けな くな る とい う混乱が生 じて いま した。 アセスメ ン ト ご本人は、食具は使 えな い状態ですが、手づかみで食べ る姿 も認め られたため、 ご本人 の意思 を尊重 して 自分で食べ ることの方が大事ではな いか とアセスメン トしま した。 介入方法 日に、ケーキのよ うな甘 いものを一 日入れ、食事であることへの認識 を高めます。次 に、 日を開けて食べ は じめたのを確認 した ら、ほかの食べ物へ移行 します。そ して、 ご本人の 食べて いる状況 を見なが ら、手 に食べ物 を持 って いただき ます。スプー ンでの介助 を休 み、 手 に持 った もの を ロヘ運ぶ の を待 ち、 日元 まで持 って い くことがで きな いときはス タ ッフ が手を持 って支えます。 アル ツハイマー病 の進行 によ りできな くな る部分 を確認 し、夫 と共有 します。た とえ手 づかみであって も、 自分で食べる ことが大切であると伝 えます。結果 自力での摂取が可能 とな り、夫 に もご本 人が食べて いる姿 を見 て満足 して いただ けま し た。甘 いケーキは、
A氏
にとって食べ物の認識 を高めるために有効だ とい うことが分か りま した。 ご本人の笑顔 も見 られ るよ うにな りました。 事例 1につ いて ・A氏
は、食事行動 において失認や失行が認め られ ま した。 しか し、「甘 い」 という味覚 を 刺激す る ことで、再び 「食事で ある」 との認識 を取 り戻す きつか け とな りま した。 ・ 認知症 はできな くなることも多 いのですが、反対 に、維持 している能 力もあ ります。そ の見極めができず に、 どのように介助 してよいのか分か らず困っている家族 は多 いと感 じます。 そ こで、認知症 の進行度 に合わせた介護方法が必要ではな いか と考 えます。訪 問看護 が必要ではないか と考 えます。訪 問看護の場面で、看護師が実際に介助 し、家族 と困 り ごとにつ いて相談 しなが ら、できることへの維持 を図る ことが大事であると学 んだ事例 で した。 事例2 B氏
(女性)70歳
代NMス
ケール8点
食行動 自力摂取 を行 うことができず、 日を開けないB氏
。介助 に対 して は、手で振 り払 う、足 で蹴 る、大声を出すな どの行動があ りました。 アセスメン ト 看護師はれ生活歴の中か らご本人の嗜好 を見つけ、食感や臭い刺激か ら摂取に結び付け ることができるのではないか とアセスメン トしました。 介入方法 ご本人が毎食で も焼き餃子 を摂取す るため、必ず餃子 を用意 して もらい、 ご飯 と一緒 に 食 べて も らうよ うに しま した。 また、病前 に好物で あつた臭 いや食感 に特徴 のある物 (こ の方 の場合 は、昔よ く好 んで食べて いた トース トや コー ヒーな ど)を
用意す るよ うに しま した。 夫 に対 して は、栄養 のバ ランスや 品数 よ り、食べ る行為や飲 み込 みができ る ことが大切 で ある と繰 り返 し伝 えました。 結果 ご本人が病前か ら好物であった臭 いに特徴が ある食品 によ り、表情の変化が見 られ、 日 を開けて摂取す る という一連 の行動 に結び付 く場面が あ りま した。た とえば、焼きあがる トース トの臭 いや コー ヒー の香 りは食事 をすす めるきっか けにな りま した。 また、子 ども の ころによ く日に して いたサイダーな どの炭酸飲料 を提供 した ところ、表情が豊か になる 効果が見受 け られ ま した。そ して 、夫が今 までの生活 を思 い出 しなが ら振 り返 る ことで、よ りご本人を理解 し、介 護 に協力的にな りま した。 事例
2に
つ いて 症状 の進行や 身体 レベル の悪化 な どで食事摂取 を拒む行為 は多 く見 られ ます。 日を開か な い ことで あき らめて しま う家族 も多 いです。 しか し、失認、失行 が あ り、食事量が低下 して いるB氏
はど餃子 のニ ンニク、ラー油な ど特徴 のある臭 いによって食事 を思 い出 し、 日を開ける ことが分か りま した。 また、子 どもの ころに日にあいて いた食品に対 して は、 懐 か しさや安心感 な どが あ り、摂取す る行為や表情 の変化 へ と結 び付 ける ことがで き ま し た。B氏
の 「食べる ことができる」という行為は、家族 を安心 させ、介護への関心 を高める ことにもつながった と考 え られ ます。 事例3 C氏
(男性)70歳
代NMス
ケール6点
C氏
は食物が 日の中に残 るな どの日腔失行がある方です。 また、「水分」 という認知がで きず、水が 日の中に入 ると、驚 いたよ うに囃下が起 こる状態で した。 さ らに、 日を開けた まま疎下 をす るため、むせが生 じることもしば しばあ りま した。 アセスメ ン ト 舌の動 きの鈍 さや 区 との中の感覚 の鈍 さが原 因 と思われ 、2つ
とも囃下そ のものの機能低 下で はな い と考 え られ ま した。妻 は 「食具 (箸や ス プー ン)は
使 えな い」 と話 します が、 右 手で頭 を掻 く姿が あ り、腕が上が る ことは確認で きま した。そ のため、「食べ物」 とい う 認知がで きれ ば 自力摂取 も可能ではな いか とアセスメ ン トしま した。 介入方法 水分 につ いて。・・ 口を閉 じて疎下 を促すためにス トローを使用 してみる 日腔 ケアの徹底 ・・・ 舌や 日腔 内の筋肉を刺激す る 触覚へ の刺激
・・・ リンゴを手 に持たせ る 妻へ は、な るべ くご本人 のできる こと (咀疇す る ことや飲 み込む こと
)を
維持 して い く ことが進行 を遅 らせ ることにつながると伝えます。 結果 ス トロー によ り日をきちん と閉 じた疎下が可能 にな りま した。 リンゴを持 たせ る と、最初 は持 った ままで した。 しか し、別 の リンゴを一 日、 日の中に 入れ る と、右 手が 自然 に動 き、次 の一 日は 自分 で食べて いま した。食べ る際 の シャ リシャ リという音 を聞きなが ら、「久 しぶ りに こんな姿 を見た」 と妻 も喜 ばれて いま した。 事例3に
つ いて 食事場 面で、失認・ 失行 のある患者 は、疎下障害が ある と判 断 されが ちで、持 って いる 能 力を失 って しま う可能性が あ ります。 むせが あるか らす く゛食事 形態 を変 え るので はな く 「食べ る機能が障が いされて いる部分 はどこか」「どのような ときに食べは じめることができるのか」「どうすれば食べ続けることができるのか」などの十分な観察 とアセスメン トが 必要です。 ま とめ アル ツハ イマー型認知症者 の食 事行動 の障が いは、 ご本 人ので きる こととで きな い こと を見極 めた援助方法 を実施す る ことが必要です。 また、重度のアルツハイマー型認知症者 の失認や失行 に伴 う食物 の認知障害 は、味覚や臭覚な どのほかの感覚様式が食事 の認知 を 助 ける ことにつなが る ことが分か りま した。食事摂取 には環境 、姿勢な ど影響 を及 ぼす部 分 も多 く、更なる観察 とアセ スメ ン トが必要です 。 在宅 にお いて、生活歴や個 人 の嗜好、 ご本 人 の興 味な どの情報 を得 る ことが大切です。 しか し、必 要以上 に手 を出 さな いよ うに気 を付 けま しょう。適切な援助 によって 自立 につ な げ る ことができ、 自力の摂取 を支援す る ことが、家族 の喜びや介護へ の意欲へ とつなが るのです。家族 との良い人間関係 を保ちなが られ各家庭で可能な食事援助技術 の模索が大 切です。